第76期 中間事業報告書

株主の皆様へ
代表執行役
執行役社長
平素は、株主の皆様には格別のご支援を賜り、厚くお礼申し上
げます。
当上半期(第2四半期連結累計期間)
における世界経済は、
全
体として減速の動きが広がりました。欧州は、財政問題から生じる
金融不安が継続し、景気が減速しました。米国は、個人消費の伸
びが鈍化し、
緩やかな回復となりました。中国をはじめとする新興国
は、輸出の伸びが低迷し、経済成長が減速しました。わが国経済
は、自動車関連需要等の国内需要は堅調に推移していますが、
世界経済の低迷から成長のペースは減速し、先行きの減速感が
強まっています。
当社グループの関連業界では、自動車は、国内ではエコカー補
助金等の政策効果もあり、
堅調に推移しました。海外では、
米国市
場が好調を維持しましたが、中国をはじめとする新興国は減速傾
向となり、欧州市場も大幅に減速しました。携帯電話は、
スマート
フォンの需要は拡大しましたが、全体ではやや低迷しました。半導
体は、
スマートフォンやタブレット端末の需要は旺盛でしたが、液晶
テレビやパソコンの需要が戻らず、
低調に推移しました。鉄鋼は、
国
内では復興関連需要があったものの横ばいとなり、
海外でも需要が
減速しました。国内住宅建設は、復興関連需要もありましたが、横
ばいとなっており、公共投資は、補正予算の効果もあり、堅調に推
移しました。
このような事業環境のもと、
当上半期における当社グループの売
上高は、
前年同期比5%増の274,443百万円となりました。一方、
経
常利益は、前年同期比193百万円減の15,289百万円、四半期純
-1-
利益は、
タイ洪水被害の受取保険金3,490百万円を計上したこと
から、
前年同期比4,095百万円増の10,885百万円となりました。
中間配当につきましては、
連結業績が概ね堅調に推移したこと
から、
1株当たり1円増配の7円とさせていただきました。
当社グループを取り巻く事業環境は、
世界経済の減速を背景と
して、
先行き不透明な状況にあり、
当面弱めの動きが続くと見込ま
れます。
当社グループの関連業界においては、
自動車は、
国内ではエコ
カー補助金終了の反動減が想定されますが、米国を中心に堅調
な消費が続くと見込まれます。エレクトロニクスは、
スマートフォンやタ
ブレット端末が、
市場成長の牽引役となると見込まれます。鉄鋼は、
海外の市況が停滞し、
需給の軟化が見込まれます。住宅建設は、
復興関連需要が押し上げ要因となると見込まれます。
このような状況のもと、当社グループは、「2012年度中期経営計
画」の最終年度を迎えておりますが、
引き続きそのアクションプランを
推進してまいります。本計画の下、
海外売上高比率及び新製品売
上高比率の向上を図るとともに、CO 2 排出規制への対応及びグ
ローバル経営に対応できる仕組み・組織づくりを進めております。
本計画の実行を通じて、
製造、
販売、
管理を包括した「モノづくりの
総合力」を強化し、
グローバル市場で持続的成長をめざしてまいり
ます。
当社は、平成24年11月1日をもって工具、表面処理等の製造・
販売事業を営む子会社である日立ツール株式会社を完全子会社
化いたしました。両社の経営資源を活用し、相乗効果を追求する
ことで、
材料開発から加工までのトータル・ソリューションの提供及び
顧客基盤の拡大が可能となります。
当社グループは、
これらの施策によって事業の成長を確かなもの
とし、
さらなる企業価値の向上を図ってまいります。
今後とも皆様の変わらぬご指導とご支援をお願い申し上げます。
平成24年11月
-2-
上半期(第2四半期連結累計期間)の事業の概況
高級金属製品
売上高113,027百万円(前年同期比5%減)
金型・工具用材料については、工具鋼は、国内の自動車用金型
材料がエコカー補助金等の政策効果で底堅く推移しましたが、
海外
への輸出が低調に推移し、
期後半には自動車の生産調整もあり、
減
少しました。
電子金属材料については、
液晶パネル関連材料は、
液晶テレビの
世界的な販売不振が続き、減少しました。半導体等パッケージ材料
は、
半導体需要が低調に推移し、
減少しました。
産業機器・エネルギー関連材料については、
自動車関連材料は、
建設機械、
トラック等の需要の落ち込みもあり、減少しました。エネル
ギー関連材料は、
航空機関連の需要が伸長しましたが、
エネルギー
関連やその他の産業機器が低迷し、
全体では減少しました。
各種ロールについては、国内の鉄鋼需給が造船、産業機械等の
分野で減少し、
海外も顧客が生産調整に転じた影響等により、
微減
となりました。
射出成形機用部品については、
中国向け機械の需要が低迷し、
減少しました。
アモルファス金属材料については、
主要市場である中国の需要が
旺盛で増加しました。
切削工具については、
主要顧客である自動車関連産業向けの工
具需要は底堅く推移しましたが、海外の需要が減速傾向となり、減
少しました。
電子・情報部品
売上高78,045百万円(前年同期比23%増)
マグネットについては、
希土類磁石は、
FA関連や家電用部品で生
産調整があり、
またパソコンの販売不振による需要減があったものの、
価格見直し等により伸長しました。フェライト磁石は、自動車用電装
部品や家電用部品の需要が手堅く推移し、
好調でした。
自動車用電装部品
軟質磁性材料については、
ソフトフェライトは、
や太陽光発電用部品が好調でした。ファインメットは、
欧州向け太陽
光発電用部品の需要が回復せず、
産業機器関連等の在庫調整も
続き、
減少しました。
情報通信機器用部品については、
携帯電話関連で、
販売不振に
よる顧客の生産調整があったほか、
伸長分野への採用が進まず、
減
-3-
少しました。
高級機能部品
売上高83,627百万円(前年同期比4%増)
高級ダクタイル鋳鉄製品については、
エコカー補助金等の政策効
果で乗用車の国内販売が順調に推移したことに加え、米国の需要
が引き続き旺盛に推移したことにより、
伸長しました。
耐熱鋳造部品については、
主要な市場である欧州の景気悪化に
より、
輸出を中心に減少しました。
アルミホイールについては、国内ではエコカー補助金等の政策効
果と輸出用車種の増産があったことに加え、米国の需要が旺盛に
推移し、
増加しました。
各種管継手については、復興関連需要等で住宅着工戸数に持
ち直しの動きが見られたものの、
前期並みとなりました。
ステンレス及びプラスチック配管機器については、
マンション等の
都市ガス向けの需要が増加したことや、復興関連需要もあり、好調
でした。
建築部材については、
公共投資が堅調に推移し、
国内の民間設
備投資も底堅く、
建設・機械設備市況を支えて、
微増しました。
その他
売上高2,397百万円(前年同期比19%増)
(注)各事業の売上高は、
各事業間の内部売上高又は振替高を含
んでおります。なお、
第1四半期連結累計期間より、
事業の区分
を変更しており、
前年同期比については、
前年同期の数値を変
更後の事業区分に組み替えた数値で比較しております。
-4-
連結業績の推移
売上高(億円)
6,500
6,000
5,569
5,500
5,202
通期
5,000
4,500
4,317
上半期
4,000
3,500
3,000
2,542
2,500
2,000
2,617
2,744
1,953
1,500
1,000
500
0
第73期
第74期
第75期
第76期
(平成21年度)(平成22年度)(平成23年度)(平成24年度)
セグメント別売上高構成比[第76期(平成24年度)上半期]
その他
0.8%
高級機能部品
30.2%
高級金属製品
40.8%
電子・情報部品
28.2%
(注)
セグメント別売上高構成比は、
各事業間の内部売上高または振替高を含め
た数値に基づいて算出しております。
-5-
営業利益(億円)
500
449
431
400
通期
300
上半期
219
200
165
133
170
100
0
△35
△100
△200
第73期
第74期
第75期
第76期
(平成21年度)(平成22年度)(平成23年度)(平成24年度)
純利益(億円)
300
250
222
通期
200
179
上半期
150
109
103
100
68
50
19
0
△50
△100
△57
第76期
第73期
第74期
第75期
(平成21年度)(平成22年度)(平成23年度)(平成24年度)
-6-
四半期連結貸借対照表の要旨(平成24年9月30日現在)
〔当第2四半期連結会計期間末〕
(単位:百万円)
科 目 金 額
流
動
資
産
282,691
現 金 及 び 預 金
23,134
受取手形及び売掛金
99,543
商 品 及 び 製 品
44,855
仕 掛 品
30,969
原材料及び貯蔵品
61,185
繰 延 税 金 資 産
8,971
未 収 入 金
8,154
そ の 他
6,333
貸
倒
引
当
金
△
453
固
定
資
産
255,371
有 形 固 定 資 産
178,546
建 物 及 び 構 築 物
47,530
機械装置及び運搬具
65,841
工具、器具及び備品
7,555
土 地
49,768
建
設
仮
勘
定
7,835
リ
ー
ス
資
産
17
無 形 固 定 資 産
44,063
の れ ん
37,397
そ の 他
6,666
投資等その他の資産
32,762
投 資 有 価 証 券
13,646
長
期
貸
付
金
1,909
繰 延 税 金 資 産
6,848
そ の 他
12,370
貸
倒
引
当
金
△ 2,011
資
産
合
計
538,062
流
動
負
債
182,030
支払手形及び買掛金
74,694
短
期
借
入
金
54,610
関係会社短期借入金
1,217
一年内返済予定の長期借入金
7,590
一年内償還予定の社債
4,000
未 払 法 人 税 等
5,534
未 払 費 用
18,978
前 受 金
1,085
役 員 賞 与 引 当 金
204
そ の 他
14,118
固
定
負
債
111,133
社 債
30,000
転換社債型新株予約権付社債
4,495
長
期
借
入
金
44,859
退 職 給 付 引 当 金
22,735
役員退職慰労引当金
151
債務保証損失引当金
808
関係会社事業損失引当金
1,100
環 境 対 策 引 当 金
980
繰 延 税 金 負 債
2,194
資 産 除 去 債 務
246
そ の 他
3,565
負
債
合
計
293,163
株
主
資
本
249,713
資
本
金
26,284
資
本
剰
余
金
41,245
利
益
剰
余
金
192,897
自 己 株 式
△10,713
その他の包括利益累計額
△25,150
その他有価証券評価差額金
2,620
為替換算調整勘定
△25,315
在外子会社年金債務調整額
△ 2,455
少 数 株 主 持 分
20,336
純 資 産 合 計
244,899
負 債 純 資 産 合 計
538,062
-7-
四半期連結損益計算書の要旨
〔当第2四半期連結累計期間〕
1日
( 自至 平成24年4月
平成24年9月30日 )
(単位:百万円)
科
目
売
上
高
売 上 原 価
売 上 総 利 益
販売費及び一般管理費
営 業 利 益
営
業
外
収
益
営
業
外
費
用
経
常
利
益
特
別
利
益
特
別
損
失
災 害 に よ る 損 失
事業構造改善費用
税金等調整前四半期純利益
法 人 税 等
少数株主損益調整前四半期純利益
少 数 株 主 利 益
四 半 期 純 利 益
四半期連結キャッシュ・フローの状況
〔当第2四半期連結累計期間〕
金 額
274,443
220,486
53,957
37,005
16,952
2,111
3,774
15,289
3,490
1,047
375
672
17,732
6,240
11,492
607
10,885
平成24年4月 1 日
( 自至 平成24年9月30日
)
(単位:百万円)
営 業 キ ャ ッ シ ュ・フ ロ ー
投 資 キ ャ ッ シ ュ・フ ロ ー
財 務 キ ャ ッ シ ュ・フ ロ ー
現金及び現金同等物の四半期末残高
-8-
36,532
△15,793
△24,253
23,284
事業所紹介
日立金属ファインテック株式会社
(所在地:三重県桑名市 従業員:448名)
伝統と革新技術を駆使し、
配管機器で産業インフラ発展に貢献
平成24年4月1日付で、株式会社桑名クリエイトは、日立金属ファイ
ンテック株式会社に社名変更いたしました。
同社は、
ガス・建築・産業機器などの幅広い分野で使用される鋳物継
手、
プラスチック・ステンレス継手類、
隔膜式膨張タンク、
マスフローコント
ローラなどさまざまな配管機器の製造を行っております。
社名変更を機に業容の拡大をしており、
今後もさらなる技術の向上を
めざすとともに、
産業インフラの発展に貢献してまいります。
キーワード
「マスフローコントローラ」
マスフローコントローラとは、
気体の流量を測定しながら設定した流量に
制御する配管機器であり、
半導体製造ラインにおいて欠くことができない重
要な部品の一つであります。
当社は、
以前より、
高機能を特長とする「SAM」ブランドのマスフローコン
トローラを製造・販売してきましたが、平成22年10月にアドバンスド・エナジ
ー社のマスフローコントローラ事業(「Aera」ブランド)
を買収いたしました。
「Aera」ブランドは、半導体製造ライン向けだけでなくフラットパネルディスプ
レイ、太陽電池パネル製造ライン向けに至るまで多彩なラインアップを特長
としております。両ブランドの展開により、
開発力強化、
グローバルな顧客基
盤の構築及びシェアアップを図ってまいります。
-9-
役員(平成24年9月30日現在)
取締役
取締役会長
取
締
役
取
締
役
取
締
役
持田農夫男
藤井 博行
野口 泰稔
町田 尚
取
締
役
取
締
役
取
締
役
取
締
役
石垣 忠彦
西野 壽一
吉岡 博美
島 順彦
(注)野口泰稔、
町田尚、
石垣忠彦及び西野壽一の4氏は、
社外取締役であります。
執行役
代
執
代
執
表
行
表
行
執
役
執
役
行
社
行
常
役
長
役
務
執行役常務
藤井 博行
島 順彦
浜本 直樹
執行役常務
執行役常務
執
行
役
村山眞一郎
小西 和幸
中村 正明
(注)藤井博行及び島順彦の両氏は、
取締役を兼任しています。
事業役員
事業役員常務
事業役員常務
事 業 役 員
事 業 役 員
事 業 役 員
中西 寛紀
平木 明敏
鎌田 淳一
松崎 吉衛
松永 昭博
事 業 役 員
事 業 役 員
事 業 役 員
事 業 役 員
久富 伸道
釜谷 和嗣
安岡 幹雄
長谷川正人
会社の概況(平成24年9月30日現在)
商号
日立金属株式会社
(証券コード5486)
設立年月日
昭和31年4月10日
資本金
26,284百万円
発行済株式の総数
366,557千株
株主数
13,005名
従業員数
4,785名
ホームページアドレス http://www.hitachi-metals.co.jp
事業所(平成24年10月1日現在)
本
店
支
店
営 業 所
工 場 等
研 究 所
海外営業拠点
駐在員事務所
海外製造拠点
(国及び地域)
東京都港区芝浦一丁目2番1号(シーバンスN館)
関西・九州・中部東海・中国・北関東・北日本
北陸・浜松・静岡・北海道・新潟
九州工場・真岡工場・桑名工場・安来工場
熊谷工場・鳥取工場・山崎製造センター
熊谷製作所・佐賀工場・メトグラス安来工場
生産システム研究所・素材研究所
冶金研究所・磁性材料研究所
ニューヨーク・デュッセルドルフ・シンガポール・香港・上海・アユタヤ・グルガオン
上海
米国(オハイオ・ペンシルバニア
・ノースカロライナ
イリノイ・サウスカロライナ)
タイ・フィリピン・インドネシア・中国(広東省・江蘇省)
大韓民国・台湾・インド
- 10 -
株主メモ
事業年度………………………毎年4月1日から翌年3月末日まで
配当金受領株主確定日………毎年3月末日及び9月末日
定時株主総会の基準日………毎年3月末日
公告方法………………………電子公告
公告を掲載するホームページアドレス
http://www.hitachi-metals.co.jp/koukoku/index.html
ただし、事 故その他やむを得ない事 由によって電 子 公 告ができないときは、
日本経済新聞に掲載いたします。
株主名簿管理人………………東京証券代行株式会社
東京都千代田区大手町二丁目6番2号(日本ビル4階)
郵便物送付先 〒168-8522
連 絡 先
東京都杉並区和泉二丁目8番4号
東京証券代行株式会社 事務センター
電話 0120-49-7009(フリーダイヤル)
取次事務は、三井住友信託銀行株式会社の全国本支店(コンサルティング
オフィス・コンサルプラザ・i-Stationを除きます)
で行っております。
住所変更・単元未満株式の買取・買増等のお申出先について
お取引口座のある証券会社にお申し出ください。ただし、特別口座に記
録された株式に係る各種手続につきましては、特別口座の口座管理機
関である東京証券代行株式会社にお申し出ください。
未払配当金のお支払いについて
株主名簿管理人である東京証券代行株式会社にお申し出ください。
「配当金計算書」について
配当金を銀行等口座振込(株式数比例配分方式を除きます。
)
また
は配当金領収証にてお受取りの場合、
お支払の際ご送付している「配
当金計算書」は、租税特別措置法の規定に基づく
「支払通知書」を兼
ねております。確定申告を行う際は、
その添付書類としてご使用いただく
ことができます。なお、株式数比例配分方式をご選択されている株主様
におかれましては、
お取引の証券会社等にご確認ください。
株主通信に関するお問い合わせ先
経営企画室(法務)
電話(03)5765-4133
表紙:当社で量産中のフェライト磁石NMF-9シリーズの電子顕微鏡写
真。従来より、高精度の配向度分析が可能となり、
さらなる磁石
の高性能化が期待されます。