低抵抗ラジアス工具

新製品紹介
低抵抗ラジアス工具
Milling Cutter with Round Inserts
Indexable radius cutter:Radius mill RV type
ステンレス鋼は装置部品から発電
め,インサートの回動を防止する機
イプ」と,乾式加工用としてスクイ
部品,航空・宇宙関連部品など,幅
構を備えている工具が必要となる。
角 10 度の「刃先強化ブレーカ:C8
広い分野で使用されている。
しかし,
日立ツールは,これらの要望に応
タイプ」の 2 種類を開発した。コー
ステンレス鋼は一般的な鋼材に比べ
えるため「アルファラジアスミル
テ ィ ン グ に は, 湿 式 加 工 向 け に
ると切削の難易度が高く,工具折損
RV 形」(図 1)を商品化した。
PVD(Physical Vapor Deposition)
のトラブルや工具寿命が短命である
図 2 にインサート取り付け部詳細
コーティングである「JM4060」を,
など,切削上の課題がある。そのた
を示す。インサートの回動防止を目
乾式加工向けとして CVD(Chemical
め,市場からはステンレス鋼の高能
的として,取り付け座の側面および
Vapor Deposition)コーティングで
率加工が行える工具の要求が非常に
底面の 2 か所に回動防止部を配置し
ある「GX2160」を採用した。
高い。
た。このような形状を採用すること
開発した工具を用いて,
湿式加工,
また一方で,このような加工で主
で,
確実にインサートの締結ができ,
乾式加工それぞれの切削性能を評価
に荒加工用工具として使用される汎
切削加工の安定化を図れた。
した結果,図 3,図 4 に示すとおり
用的なラジアス工具では,インサー
インサートのブレーカ形状(切屑
他の市販工具に比べて最大 1.2 ∼ 1.5
ト(取り替え刃)形状が円形である
を分断するためのインサート表面形
倍の長寿命化が達成できた。
ために,切削加工中にインサートが
状)には,低抵抗加工用としてすく
回動してしまう課題もある。そのた
い角 23 度の「快削ブレーカ:B8 タ
(日立ツール株式会社)
10 mm
図 1 アルファラジアスミル RV 形
Fig. 1 Radius mill RV type
Bottom rotation
prevention
Side rotation
prevention
2 mm
図 2 回動防止機構
Fig. 2 Anti-rotation mechanism
0.4
JM4060
Competitor A
Competitor B
0.3
0.2
0.1
0
0
5
[Cutting conditions]
Work material: SUS630 (HRC 36.6),Dry cutting
Cutter: RV4B050R-5 (diameter: 50 mm) , Inserts: RPMT1204M0EN-C8 (GX2160)
Cutting speed (Vc) : 300 m/min, Feed rate (Vf) : 1430 mm/min
Axial depth of cut (ap) : 1 mm, Radial depth of cut (ae) : 31 mm
Maximum flank wear
VBmax(mm)
Maximum flank wear
VBmax(mm)
[Cutting conditions]
Work material: SUS630 (HRC 36.6),Wet cutting
Cutter: RV4B050R-5(diameter: 50 mm), Inserts: RPMT1204M0EN-B8 (JM4060)
Cutting speed (Vc) : 150 m/min, Feed rate (Vf) : 1430 mm/min
Axial depth of cut (ap) : 1 mm, Radial depth of cut (ae) : 31 mm
10
Cutting time(min)
図 3 湿式加工における加工性能比較
Fig. 3 Cutting performance of wet cutting
15
20
0.4
GX2160
Competitor A
Competitor B
0.3
0.2
0.1
0
0
5
10
15
20
25
Cutting time(min)
図 4 乾式加工における加工性能比較
Fig. 4 Cutting performance of dry cutting
日立金属技報 Vol. 29(2013) 55