ecomaginationレポート2012(日本語版)

Our Global
Impact
GE のグローバル・インパクト
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—「GE で、私たちは重要な課題に取り組んでいます。お客さまやコミュニティのた
めの問題解決は GE の事業戦略の一環であり、当社の企業文化の根幹を成すものです。
事業における責任ある行動、GE ファンデーションを通じた慈善事業 、そして世界
中の社員たちが、彼らが属すコミュニティにもたらしている数えきれないほどの貢
献を、誇りに思っています」—
GE は「いま世界が何を必要としているかを考えること」に、
「つ
ねに最良のカタチを創るという信念」と「世界が求めるソリュー
ションの絶え間ない発明と創出」という強力な組み合わせを掛
け合わせることで、
「よりよい世界」が生まれると確信しています。
私たちはお客さまやコミュニティのための問題解決と、地球や地
球上の人々、そして経済のためになるソリューションを見いだす
ことに全力を投じています。この取り組みは事業戦略の一環で
あるだけでなく、当社の企業文化に浸透しています。事業におけ
る道徳的かつ責任ある行動、GE ファンデーションを通じた慈善
事業、世界中のコミュニティにおける社員の数え切れない貢献の
どれもが“GE Works”であると誇りを持って主張できます。
いま、世界は不安定で不確実です。人口は増加し続け、2030 年
までに 85 億人程度に達すると見込まれています。中間所得層も
増えており、新興国市場では今後数年の間に 10 億人を超える消
費者が中間所得層の仲間入りを果たす予定です。さらに今世紀
末までには、世界の都市人口はほぼ倍増するとみられています。
こうした環境下で、多くの人々が現実的で本質的な課題に直面し
ています。エネルギー制約や水をはじめとする天然資源不足、不
十分な輸送インフラ、医療など重要なサービスへのアクセス難は
その一例です。ビジネスとは、こうしたニーズに応えることを通
じて社会貢献できるものでなければなりません。実際に私たち
は、GE 自身を含むあらゆる企業の成長を実現する力、コミュニ
ティを支援する力、そして世界経済の持続に貢献する力が密接
に連携してこそ、こうした課題解決を実現できるものと考えてい
ます。
そして、こうした課題を解決する鍵となるのは、テクノロジーと
人材です。
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テクノロジー
GE は ecomagination(エコマジネーション)、healthymagination(ヘルシーマジネーション)、Industrial Internet(イ
ンダストリアル・インターネット)の製品ポートフォリオを拡充し、お客さまやコミュニティの生産性や柔軟性の向上に貢
献します。
ecomagination は効率性がお客さまの事業の助けとなり、産業をよりよい形に変化させ、環境を保護することができる
という考えに基づいています。当社と運搬車両用天然ガス供給米国最大手のクリーン・エナジー・フューエルズ社との取
り組みはその好例です。液化天然ガス(LNG)の利用により、トラックの燃料費はディーゼル車と比較して 25% 以上も
削減することができ、排気ガス等の排出量も低減できます。ただし、この実現にはインフラ整備が不可欠。私たちは米
国の主要な幹線道路沿いにトラック向けの LNG スタンドを建設中です。
healthymagination は医療の質の向上、医療へのアクセス拡大、低価格な医療の普及を通じ、より多くの人々により健
康な生活を提供するものです。この取り組みの一環として、GE はパートナー各社とともに、乳がん診断を進化させるアイ
デアを発掘し市場へ投入することを目指す、グローバルなオープン・イノベーション・チャレンジを実施しました。
医療従事者や患者さんは、標準的な治療が効きにくくより攻撃的なトリプルネガティブ乳がんにつきものである腫瘍に対
する理解を深めたいと願っています。さらなる早期発見の実現や診断精度の向上によって、医師が患者さん一人ひとりに
最適な治療を施せるようになります。前述のチャレンジには 40 カ国から 500 件以上のアイデアが寄せられました。昨年
はそのなかの 5 つのアイデアに投資し、テクノロジー開発と市場投入スピードの向上に努めました。
人材
こうしたイノベーションには優れた人材が必要です。GE の事業は社員やお客さま、投資家の皆さま、生活や仕事の場で
もあるコミュニティなど、基本的に「人」に関連しています。一企業として、これまで同様に人材育成に非常に力を入れ
ています。
GE の人材育成は、教育システムはニューエコノミーが求める要求にいち早く応えるものであり、かつ、絶えず変化する
要求に常に沿うものであるべきとの信念を起点としています。GE ファンデーションは地方学区におけるカリキュラム運営
をより厳密に行い成果をあげるうえで、大きな成功を収めています。また事業者と教育機関は人材のスキル開発のうえで
協力すべきという理解のもと、米国の退役軍人が先進的な製造現場で活躍できるよう育成するプログラム「Get Skills to
Work
(仕事のためのスキルを得よう)
」も実施しています。そして、
GE の人材育成の最大の要点は、この複雑な時代を明確、
大胆かつ誠実に主導するグローバルリーダーの育成にフォーカスすることです。人材育成は私たち自身を向上させるだけ
でなく、すべての人を向上させる取り組みなのです。これは GE のシチズンシップの考え方の不可欠な要素です。
私は常々、企業は投資家の皆さまの期待に応えるべきであり、そして、変革のための前向きな原動力であるべきだと考え
ています。GE は両者を同時に満たしており最善の状態です。当社が 130 年以上にわたり存続しているゆえんはここにあ
ります。
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GE は米ビジネス誌エシスフィア・マガジンによる「世界で最も倫理的な企業」に選出されました。誠実さに根ざし正当な
成果を挙げることに尽力している点が評価されました。私たちは問題解決にやりがいを感じていますし、GE の事業は意
義のあるものだと自覚しています。困難な課題、
重要な課題に取り組んでいることを大変誇りに思っています。この思いは、
当社の製品やその製造過程、世界中のコミュニティのなかで GE 社員が図っている貢献に表れています。
コミュニティやインフラを築き(building)
、発電技術を作り(powering)
、
人々やものを運び(moving)、より優れた医療を届ける(curing)こと。
世界のニーズが、GE の使命です。
ジェフリー・R・イメルト
GE 取締役会長兼 CEO
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GE の
450 か所
GE 製品
66 件を
healthymagination 製品として
認証
以上の拠点を
HealthAhead 認定
世界中の
GE 社員の
3分の2
healthymagination は
10 億人以上の生活に関与
healthymagination の研究開発(R&D)
投資額は当初の目標額 60 億ドルに対し
が HealthAhead
による好影響を
実感
2012 年の
ecomagination の R&D 投資額は
14 億ドル
35 億ドル
を投資済み
2012 年
、
GE のエネルギー強度は
2004 年の基準値から
32%
2012 年の ecomagination
関連製品の売上高は
250 億ドル
改善
2012 年、GE の淡水使用量は
2006 年の基準値から
46% 削減
GE は年 1 回発行されるエコマジネーション・レポート
(ecomagination の取り組みの詳細と進捗に関する報告書)
やパブリックエンゲージメントを通じ、お客さま、ステーク
ホルダーの皆さま、コミュニティに対する情報公開と
参画推進に尽力
Ecomagination
エコマジネーション
01 /20
現在の ecomagination(エコマジネーション)は風力や太陽光、燃料電池といった「伝
統的」で持続可能なテクノロジーから、鉱業や非在来型資源事業、石油・ガス事業な
どの重工業向けソリューションに至るまで視野を広げています。
GE は今日ならではの価値を発揮する各種機器や設備、つまり、現場ニー
ズに応えることができ、ソフトウェアをベースとした賢い機械を通じ
て、事業運営を最適化するお手伝いをしています。
ecomagination は GE の姿勢でもあります。それは、私たちの研究や
製品開発、事業活動に深く浸透しています。お客さまのコストを何
十億ドルも節減するとともに、環境への悪影響も大幅に低減するもの
です。
私たちは再生可能エネルギー事業も継続しています。鉱業や天然ガス
開発事業のような新しい分野にも事業を拡げ、GE の環境関連事業を、
いっそうクリーンでよりスマート、より優れたものにすべく働いてい
ます。なぜなら、この分野は今後数十年にわたり引き続き経済の要と
なることを私たちは認識しているからです。GE は過去 20 年にわたる
最も目覚ましい技術革新のいくつかをこの環境分野で見いだしてきま
したし、環境市場の創出や拡大にも関わってきました。こうした取り
組みから得られる、経済的、環境的かつ社会的な利益は今後ひろく浸
透していくことでしょう。
私たちの世代が抱える課題を解決するために、世界中の企業、コミュ
ニティ、NGO(非政府組織)
、政府が一丸となって取り組む必要があり
ます。私たちは、エネルギーの使い方や省エネの方法、エネルギーに
対する考え方を根本から変えるソリューションをお客さまにご提供す
べく、働いています。
̶デブ・フロドル、
GEecomagination 担当グローバル・エグゼクティブ・ディレクター
02 /20
コミットメントに対する進捗
ecomagination 関連製品の売り上げ増加
2010 年、GE は ecomagination 関連製品の売上を、今後 5 年間で全社売上高成長率の 2 倍にすると
いう意欲的な目標を設定しました。2012 年はこの目標を達成し、この分野の総売上高は 250 億ドル
に達しました。
環境技術への研究開発投資額を倍増
2012 年の ecomagination に関する研究開発(R&D)総投資額は 14 億ドルでした。2010 年から
2012 年までの累計投資額は 50 億ドルを突破し、目標として設定した 2010 年から 2015 年までの累
計投資額 100 億ドルに向け順調に推移しています。
2015 年までに温室効果ガス(GHG)排出量を 25% 削減し、
事業活動から生じるエネルギー強度を 50% 改善
GHG 排出量を二酸化炭素(CO2)換算で 488 万トン(MT)まで削減し、ベースラインである 2004
年の調整済み数値から 32% 削減しました。
2012 年のエネルギー強度は基準年である 2004 年比 32% 改善しました(ドルベースの売上高当た
りのエネルギー消費量で算出)
。
水消費量 25% 削減と再利用促進
2012 年の淡水消費量は、ベースラインである 2006 年比 46% 減となる 74 億 3,000 万ガロンとなり、
2011 年比 18% 減少しました。
皆さまへの情報公開
GE は本レポートやお客さまと進めている取り組みを通じ、お客さまやステークホルダーの皆さま、
コミュニティに対する情報公開に尽力しています。
03 /20
製品
私たちは ecomagination を通じ、低炭素社会のための
技術開発を加速して GE 製品のエネルギー効率を向上
させると同時に、お客さまのより効率的なエネルギー
利用を推進する製品やサービスを提供しています。
ENERGY STAR 認証取得済みの約 400 点におよぶ GE 家
電製品や、高効率照明システムをはじめとする消費者
向け製品から、航空機や鉄道、電気自動車のための産
業規模のエネルギーシステムや移動ソリューションに
至るまで、エネルギー効率に優れた製品を幅広く提供
しています。
GE の Durathon バッテリーは、湿式鉛蓄電池を使用した標準的な無停
また同様に、お客さまのより効率的なエネルギー利用
を推進するスマートグリッド・ソリューションなどの
インフラ構築も推進しています。現に GE は広範な製
品ポートフォリオを有しており、製品効率を個別に向
上させる一方、利用するインフラ効率を高めることに
よって、さまざまな水準のソリューションを同時に開
発・統合することが出来ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.ge.com/about-us/ecomagination
電電源装置(UPS)バッテリーの約半分のサイズで、より効率的にエネ
ルギーを充放電し、20 年間使用できます。
04 /20
GHG 排出量とエネルギー消費量の削減
エネルギー、とりわけ電力はグローバル経済やコミュ
ニティの発展に不可欠です。新興国経済の旺盛なエネ
ルギー需要は今後 20 年間で 40% 増加するとみられて
おり、解決策を見いだすことが、貧困から抜け出し人
類の発展を改善するうえで欠かせません。さらにエネ
ルギー需要の高まりによる化石燃料の使用が、気候変
動を引き起こす GHG 排出量を増加させています。GE
はお客さまの、より多様でクリーンなエネルギー源を
利用したエネルギーの生産性向上を支援する一方、独
自のオペレーションやバリューチェーンにおける環境
負荷の軽減にも力を入れています。
こうした課題に対処し政府と協働するために、GE は独
自のエネルギー消費を最適化し GHG 排出を低減するた
めの重要なコミットメントを掲げました。また新興国
市場や産業の継続的な経済成長に不可欠なその他の資
源を特定・管理することにも尽力しています。資源制
約の増加により、重要な原料の管理・使用・再利用の
手法に関するイノベーションが当社の製品バリュー
チェーン全体で促進されています。私たちはこのイノ
ベーションを通じ、今日の多種多様な市場において事
業成長を支えるリーダーとしてふさわしい存在であり
たいと願っています。
GE においては、エネルギー消費量と GHG 排出量は部
門横断的なチームによって管理されています。このチー
ムはエンジニアリング、オペレーション、金融、環境、ソー
シング、法律など各事業部門のスペシャリストで構成さ
れており、GE グローバル・リサーチ・センターの仲間
と協働しています。 この部門横断的アプローチは非常
に効果的なメカニズムで、GE の事業活動におけるさま
ざまな局面でエネルギー消費の削減を主導しています。
私たちは事業活動におけるフットプリントの縮小、新た
なテクノロジーの導入、ガスや電力などユーティリティ
の効果的な調達、再生可能エネルギーの活用など多様
な戦略を駆使しています。そしてこのような戦略と米国
、米国北東部州地域排出量取引制度、
環境保護庁(EPA)
欧州連合(EU)域内排出量取引制度を含むさまざまな
管轄機関の GHG 排出量やコンプライアンス報告に関す
る規制をマッチさせています。こうしたアプローチによ
り、エネルギー消費量を最適化し、GHG 排出量を管理し、
規制義務を履行することに注力できるのです。
2012 年、GE はグローバルな事業活動におけるエネル
ギー消費を管理するエコフレームワーク・ツールキッ
トを開発・公開しました。これにより社員とリーダー
は一丸となって、省エネならびに技術面におけるエネ
ルギー消費や関連施設の管理に取り組むことができま
す。このフレームワークには当社の環境・安全・衛生
(EHS)プログラムの管理システムの開発経験が活かさ
れています。
地域改善がグローバルな連携を促進する EHS(環境・安全・衛生)アカ
デミー
ロシア・サハリンのオイル & ガス施設で優れたオペレーションを発揮
する GE 社員
05 /20
2012 年、GE はエネルギー消費量を 4,803 万 Btu に削減し、ベースラインである 2004 年の調整済み数値から 19% 減、
2011 年の水準からもわずかながら低下させました。
また GHG 排出量も CO2 換算で 488 万トンに削減し、ベースラインである 2004 年の調整済み数値から 32% 減、
2011 年の水準から 4% 減をそれぞれ達成しました。
GE の事業活動における
エネルギー消費量
(単位:100 万 Btu)
GE の事業活動における
GHG 排出量
(二酸化炭素排出に換算
(単位:100 万トン)
)
2012 年の GE のエネルギー強度は基準年である 2004 年比 32% 改善されました(ドルベースの売上高当たりのエネ
ルギー消費量で算出)
。この結果は 2011 年比ほぼ横ばいですが、2008 年の報告値から 37% 改善しており、当社で
はポートフォリオの変化や経済回復が想定より遅れていることに起因するものと考えています。GE のエネルギー消
費の大半は天然ガス(主に蒸気および熱)と電力の消費で占められています。
GE の GHG 強度は 2004 年比で 43% 改善しました。これは CO2 以外の GHG 物質を扱う事業分野の改善によるもので、
特にアプライアンス事業で使用される発泡断熱材に関するプロセスが寄与していると考えています。
GE の事業活動における
エネルギー強度
(売上高 100 万ドルあたり
(単位:100 万 Btu))
GE の事業活動における
GHG 強度
(売上高 100 万ドルあたり
(単位:100 万トン)
)
06 /20
水ソリューション
水の消費量削減と再利用促進
2008 年 5 月に発表した目標は、2012 年の淡水消費量をベースラインとなる 2006 年比 20% 削減するというもので
したが、2009 年初旬にこの目標を上方修正し、2015 年までに 25% 削減するという目標を新たに掲げました。GE で
は毎年、年間の水消費量が 1,500 万ガロンを超える社内の施設を対象に水消費量に関するデータを収集しています。
データの対象には、飲用水、処理用水、衛生用水に加えて、貫流冷却装置に使用される淡水も含まれます。この水消
費量のデータは、買収や売却を伴う事業再編の状況に合わせて毎年調整を行います。
2012 年 GE の淡水消費量はベースラインである 2006 年比 46% 減の 74 億 3,000 万ガロンとなり、2011 年より 18%
削減されました。
前年比からの削減に寄与した要因には以下のことが含まれます。
• 特定施設での水の消費量削減に向けた「Kaizen(改善)Blitz」イベントの実施
• 製品テストキャンペーン(貫流冷却水の使用量が減少)
水の総消費量
74 億 3,000 万
ガロン
貫流冷却水
39 億
2,000 万
ガロン
2012 年
水の総消費量
138 億ガロン
貫流冷却水
88 億
9,000 万
ガロン
2006 年
07 /20
現在進めている新たな活動により、GE のグローバルな水消費量を最大 5% 程度削減できるかもしれません。米国プ
ラントのひとつで実施されている大きなプロジェクトにより、膜技術を含む GE ウォーター&プロセステクノロジー
の設備が、水のリサイクルやリユースに有効活用される予定です。新システムは 2015 年までに実用化される見込み
です。
2008 年からの「Kaizen(改善)Blitz」イベントによる素晴らしい成果に続き、水不足の地域にある GE 施設を対象と
したイベントを 2014 年から開催する計画です。
事業売却や買収、2013 年以降の製品テストキャンペーンにより、目標達成期間の実績には引き続き変動性が伴います。
その他
5,200 万ガロン
敷地内地下水井戸
9 億 2,000 万ガロン
公共・商業用水域
46 億 1,000 万ガロン
川・運河
18 億 5,000 万ガロン
水源別淡水消費量
08 /20
水不足
ecomagination の目標のひとつに、2015 年までに淡水消費量を 25% 削減するというものがありますが、GE では年
間の淡水消費量が 1,500 万ガロンを超える社内の施設のために特別なプログラムを用意しています。対象施設の淡水
消費量は GE の淡水総消費量の約 90% に匹敵します。GE グローバル・リサーチ・センターは英メープルクロフト社
が発表した「水資源危険インデックス」をもとに、2012 年の年間淡水消費量が 1,500 万ガロンを超えた 65 施設を見
直しました。同インデックスによると、
「潜在的に極めて深刻な水不足地域」(水資源危険インデックス(WSI)≥ 0.7)
に該当したのは 5 施設で、
「中程度の水不足地域」(WSI は 0.4 ∼ 0.7 の間)に該当した施設も 19 箇所ありました。
この結果を総合すると、当社の 2012 年の年間淡水消費量の 15% に相当する 10 億 8,000 万ガロンが水不足地域で消
費されていました。また、当社の水不足地域における 2012 年の淡水消費量は 2011 年比で 2.5% 減少しました。
最大の懸念は歴史的に水不足への対応力が乏しい発展途上国にある施設でした。例えばインドのバンガロールにある
GE のリサーチ・センターは、メープルクロフト社が極めて深刻な水不足地域と分類した地域のひとつに位置してい
ます。同センターでは GE のテクノロジー(ecomagination 認定製品の限外ろ過膜「ZeeWeed」を利用した膜バイ
オリアクター技術)を導入したほか、2006 年から 2012 年までの間に 1 人当たりの水消費量を 35% 削減する新たな
改善も取り入れ、排水処理システムを刷新しました。
発展途上国にある当社施設はこのほかに中国に 5 箇所、メキシコに 1 施設あります。中国の施設の大半はグレーター
上海(上海中心部から半径 150 キロの江蘇省南部と浙江省北部までを含むエリア)に位置しています。この地域の施
設の水消費量は地域全体からみれば微々たるもので、
2012 年の GE の水消費量は 2008 年の上海の水消費量の 0.004%
相当でしたが、削減余地はまだあると考えています。GE は 2013 年に同地域で「Kaizen(改善)Blitz」トレーニング
イベントを主催し、当社の現地チームに水不足を未然に防ぎ、水の総消費量を削減するための準備に着手させる予定
です。また 2014 年にかけて、潜在的な水不足地域に位置する残りの施設で「Kaizen(改善)Blitz」イベントを優先
的に開催することを計画しています。詳しくは GE の水資源開発プロセスをご覧ください。
09 /20
加速するオープンイノベーション・プロジェクト
「エコマジネーション・チャレンジ」
GE のエコマジネーション・チャレンジは当社のイノベーションプロセスに大きく寄与し、投資活動を加速させてい
ます。これまでに 22 件の投資やビジネスパートナーシップを締結、1 社を買収、そして 10 件の新規事業およびイノ
ベーターに資金提供を行いました。同チャレンジを通じ、エネルギーに関する革新的なアイデアを発掘・市場投入す
ることを目指しています。
10 /20
エコマジネーション・チャレンジの受賞者:中国
世界第 2 位のエネルギー市場である中国は、このイニ
シアチブにとって非常に重要な地域であるため、GE と
ベンチャー・キャピタル各社は 2011 年に中国地域に
特化したエコマジネーション・チャレンジを立ち上げ
ました。目的はガスを活用する革新的なエネルギー技
術を発掘・市場投入し、中国の増大するエネルギー需
要と環境ニーズに対応することです。同地域における
同様のオープンイノベーション・プロジェクトの中で
は最大規模で、公共、民間、国営の各セクターから
200 件以上のアイデアが寄せられました。
2012 年に GE は中国地域に特化したエコマジネーショ
ン・チャレンジの受賞者を発表しました。選考は GE
の技術専門家やビジネスリーダー、GE 以外の専門家で
構成される評価委員会が行いました。5 位以下の入賞
企業および個人には賞金 5 万ドルが贈られました。5
中国地域に特化したエコマジネーション・チャレンジの受賞式
位入賞者はガス以外のアイデアで入選し、エコマジネー
ション・チャレンジ・キャンパス・スター賞を獲得し、
賞金 2,000 ドルに加え、GE が世界に有する五大研究開
発(R&D)ハブのひとつである上海の GE 中国テクノ
ロジー・センターでのインターンシップの機会が提供
されました。
受賞者の詳細は以下のとおりです。
シンセン・リケ社 ̶ 圧力(または天然ガスパイプライ
ンのゲートステーションにおける不要物)を都市の暖
熱・冷却システム向けエネルギーに変換し、安定供給
を実現するエンジニアリングソリューションを提供し
ています。
ルオン・エナジー社 ̶ 天然ガス充填プロセスにおける
大幅なコスト削減を推進する新種の化学物質を開発し
ているため、商業規模でのガス自動車開発に道を開く
可能性があります。
同済大学のユ・シュイリー教授 ̶ オイル・ガス分野に
おける排水浄化の効率を著しく高める精巧な膜システ
ムの設計者です。
独立デザイナーのルオ・イー ̶ 都市農業とバイオガス
をはじめとするさまざまな分散型再生可能エネルギー
発電を組み合わせることによって、都市住民の食品や
エネルギーの安全に対処するために設計された都市型
ホイールファームの製作者です。
中国中央化学技術大学学生のカン・シウェイ ̶ 速度や
回転パターンを自由に調整できる振り子式風力タービ
ンの開発者です。風力や風向の変動に対抗するのでは
なく、それらを活用して、より効率性の高い風力発電
を実現しました。
画期的なアイデアを披露し賞金 5 万ドルを獲得した受賞者のひとり
11 /20
エコマジネーション・チャレンジの立ち上げ:オーストラリア
グローバル展開を推進するため、GE とベンチャー・キャピタル・パートナー 5 社はオーストラリアとニュージーラ
ンドに特化したエコマジネーション・チャレンジを立ち上げ、両国のカーボンフットプリントを削減するための画期
的なアイデアを発掘し、資金提供や市場投入を行いました。
このオープンイノベーション・プロジェクトは事業者、起業家、イノベーター、学生から低炭素ソリューションや低
炭素技術の実用的なアイデアを募りました。
GE オーストラリア&ニュージーランドの ecomagination 担当ディレクター、ベン・ウォーターズは次のように述べ
ています。
「オーストラリアとニュージーランドは再生エネルギー発電や温室効果ガス削減に関する国家目標で一致
協力しており、世界で通用する優れた技術のための強力な市場を有しています。したがって低炭素社会への移行に役
立つテクノロジーを発掘し、投資するためのエコマジネーション・チャレンジを実施するには絶好のタイミングであ
り、絶好の地域であると確信しています」
2012 年 11 月 30 日に締め切られた同チャレンジは大成功で、両国からの有効応募数はおよそ 200 件にのぼりました。
GE は 2013 年 3 月に、オーストラリア・ニュージーランドに特化したエコマジネーション・チャレンジで入賞に輝
いた 5 件の低炭素イノベーションを発表し、受賞者に賞金 10 万ドルをそれぞれ授与しました。受賞者の詳細は次の
とおりです。
オーストラリアは率先して再生可能エネルギー発電を世
界に普及させています。
「オーストラリアとニュージーランドが競争力を維持し、
重要な変革を主導できているのは、こうした起業家精神
やイノベーション、人材、そして情熱のおかげです」̶
ベン・ウォーターズ
12 /20
ボンボラ・ウェーブ・パワー社
受賞対象:波エネルギー変換装置
グリーンシンク社
受賞対象:需要管理に利用される電力ネットワーク設計ツール
エンジン・エア社
受賞対象:圧縮空気を利用したディ・ピエトロ・エンジン
ハイドロクシス社
受賞対象:エネルギーのリサイクルおよびリユースに役立つ膜技術
アウトポスト・セントラル社
受賞対象:WASP スマート水道メーター
13 /20
パートナーシップのスケールを拡大する GE のベンチャー事業
GE は革新的なアイデアの製品化を加速するために全力で取り組んでいます。
ecomagination の理念のもと、GE ベンチャーズ・エナジーはエネルギー業界の革新的な企業にベンチャー・キャピ
タル投資を行っています。GE ベンチャーズ・エナジーの目的は、資金提供はもちろん、GE のノウハウや資源、グロー
バルなスケールへのアクセスを活用することによって、世界に通用するアイデアや技術の製品化を加速するために選
ばれるグローバルパートナーになることです。
ポートフォリオ企業との製品化パートナーシップの構築プロセスを加速させるため、GE は ecomagination 推進組織
も立ち上げ、アイデアのスケールアップや製品化に最大 2,000 万ドルの資金提供も行うことにしました。このプログ
ラムを介し、当社は価値ある提案を検証・強化するために、優れた新興企業とパイロット製品の設計やそれに対する
資金提供を行っています。現在、ecomagination 推進組織は革新的な新興企業と GE の事業チームが締結した 5 つの
パートナーシップに資金提供しています。
最近のプロジェクトには以下が含まれています。
オブロング社(米国)
クーレッジライティング社(カナダ)
高度なグリッド監視および制御オペレー
GE のライティング(照明)事業と協働で、
LED 照明シートを製造。このシートは高品
ションの可視化プラットフォームを構築。
オブロング社の技術は複数のデータ源の統
質な照明を提供するために開発され、薄い
合・提示により、グリッドのパフォーマン
プラスチックの基板上に高密度に配置した
スに影響を及ぼす事象をより早期に認識・
LED を利用しています。クーレッジライ
評価し、GE のグリッドを利用されている
ティング社の LED 照明シートは独特の形
お客さまのビッグデータの活用方法を変え、効率化を一層推進し、コス
状因子を有しており、従来の LED 照明の機能に課された多くの制限や
トや故障時の影響を低減します。
課題を取り除き、パネルの大型化、寸法の拡張、多種多様な形状に順応
する機能を実現しています。
メムシス・クリアーウォーター有限責任会社(ドイツ)
サルガス社(ノルウェー)
膜やポリマーを利用した熱の分散分離技術
石油増進回収のための独自の総合的な炭素
を提供。メムシス社の膜蒸留技術は、非腐
捕捉技術を有する企業。サルガス社は GE
食性物質と熱蒸発プロセスの範囲を拡大す
の分散発電事業と提携し、石油増進回収
るエネルギー回収による省エネを利用した
(EOR)で利用する CO2 を捕捉・監視する
低価格な濃縮塩水技術です。特に同社のプ
天 然 ガ ス 発 電 プ ラ ン ト「 ス タ ー ゲ イ ト
ロセスは、先進のガス探査に関連した取り
扱いが困難な水処理に役立ちます。コスト削減と熱分離で生じるカーボ
ンフットプリントの縮小が同社の使命です。
オンランプ・ワイヤレス社(米国)
スマートメーターや変圧器、故障回路指示
器、ネットワークを一元化するその他のグ
リッド資源など、配電のための検針アプリ
ケーションを複数監視でき、公益企業の投
資収益率(ROI)向上を促進するワイヤレ
スコミュニケーションプラットフォームを
構築。公益企業はグリッドの信頼性向上や停電防止のために、バックエ
ンドアプリケーションを利用してデータを監視・分析できるほか、追加
的なインフラ導入に伴うコストを低減したり、ネットワーク上で定期保
守を実施することも可能です。
250」で CO2 排出量のより少ない発電を実
現しています。
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代替燃料車への扉を開く
世界が抱える最も喫緊の課題といえる環境課題も、GE が得意とする想像力を駆使してお客さまや社会のためになる
画期的なソリューションを構築する機会を与えてくれています。GE キャピタルの車両管理サービス事業は、企業、
業界団体、
研究者が代替燃料車を直接体験できる世界レベルの施設「Vehicle Innovation Center」をミネソタ州エデン・
プレイリーにオープンし、まさにこの強みを発揮しました。
同センターでは、フェデックス社のように代替燃料車を早期採用した企業が短距離移動にハイブリッド車や電気自動
車を利用しています。お客さまは GE の専用コースで、シボレーボルトや日産リーフをはじめ、電気、天然ガス、水
素を燃料とする他の乗用車やトラック、
ハイブリッド車を試乗することができます。また電気自動車用充電ステーショ
ン「GE ワットステーション™」や小型圧縮天然ガス充填システム「CNG In A Box」、ずらりと並んだ商用電気自動車(EV)
用充電ステーション「デュラステーション」に再生可能エネルギーを充填するソーラーカーポートなど、GE のテク
ノロジーをご堪能いただけます。
同センターではビジネスメリットと経済成長を促進する革新的なソリューションで環境問題を解決することに注力し
ています。
2012 年の Vehicle Innovation Center への来場者数は 1,000 人を突破し、来場者の 92% が代替燃料自動車に対する
意識が訪問後に好転したと報告しています。
GE がオープンした、代替燃料を利用した自動車およびソ
リューションのための施設、Vehicle Innovation Center 。
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事業における環境負荷を軽減する ecomagination ネーション
ecomagination ネーションは GE パワー&ウォーターが展開するグローバルな環境保全イニシアチブで、社員に GE
のカーボンフットプリントや、エネルギーおよび水の消費量削減を働き掛け、その消費量削減によりコスト低減を図
るものです。
ecomagination ネーションの規定基準を満たした施設は 18 箇所あり、この基準には環境問題に対するコミュニティ
支援や排出量削減の文書化、約 5,000 人におよぶ GE 社員へのリーダーシップ支援が含まれ、2012 年は 230 万ドル
もの節減がもたらされました。ecomagination ネーション認定施設における成果は以下の通りです。
• GHG 排出量を 4 万 9,597 トン削減 ̶ これは路上を走行する自動車を 1 万 1,000 台減少させることに相当します。
• 水消費量を 6 億 6,900 万ガロン削減 ̶ これはナイアガラの滝を 77 分間せき止めることに相当します。
GE がオープンした、代替燃料を利用した自動車およびソ
リューションのための施設、Vehicle Innovation Center 。
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ecomagination ネーション
ニューヨーク州スケネクタディ
スケネクタディは GE パワー & ウォーターの本拠地です
が、自社ビル 20 棟には GE コーポレート & トランスポー
テーションチームの社員も勤務しています。この 600 エー
カー前後の施設で ecomagination・ネイションの基準を
達成するには、意識改革や積極的参加を促すための協力
や広範な計画、包括的なコミュニケーションプランが必
要でした。2012 年、
同施設の 25 名の ecomagination ネー
ション・アンバサダーと 500 名のメンバーは多数のイニ
シアチブに取り組み、35 万ドル以上の節減と、2,600 ト
ン以上の GHG 排出量削減を達成しました。
ハンガリー・ヴェレシュエジハーズ
53 エーカーの敷地に 1,500 人を超える社員を有するヴェ
レシュエジハーズの GE 施設では、環境負荷の軽減に尽
力しています。同施設の ecomagination ネーション・ア
ンバサダーと支援チームは、これまでにない革新的な省
エネイニシアチブに取り組み、他の施設がプロセスや手
順を見直すきっかけを提供しました。
ヴェレシュエジハーズでは継続的なエネルギー消費の削
減が決定され、新たなイニシアチブが毎年 5 ∼ 6 件実施
されています。2007 年以来、同施設の生産は倍増しましたが、温室効果ガス強度は 60% 削減されています。同施設
では熱水の新たな熱交換プロセスを導入し、地下深部に水を送り、地熱で熱くなった熱水をプラント内にくみ上げて
います。このプロセスにより CO2 排出量を 760 トン、天然ガス消費量を年間 40 万 m3 それぞれ削減したほか、年間
14 万ドルの節減が見込まれています。
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GE 史上最もクリーンな次世代機関車開発にデータやソフトウェアモデル
を生かす方法
2012 年 8 月、GE トランスポーテーションは次世代のエボリューション ® シリーズ機関車の試作品を発表しました。
この機関車は規制物質の排出を 70% 以上削減し、鉄道のお客さまのインフラコストおよび運営コストを 15 億ドル以
上節減できる可能性があります。米国環境保護庁(EPA)の設定する厳しい排出基準の「第 4 段階(Tier 4)」は、段
階的なプログラムスケジュールにおいて単独で最大の排出量削減を要求していますが、当社ではこの機関車が同基準
をクリアする業界初の機関車になるとみています。さらにこの機関車の特筆すべき点は、添加剤を混合した特殊な排
気ガスやインフラ投資を必要とする高額な手段によってではなく、テクノロジーの進歩によって同基準を満たそうと
している点です。
この次世代機関車は GE ecomagination 認定のエボリューション・シリーズ機関車で、グローバルな機関車プラット
フォームで最もよく売れています。現在同シリーズの機関車は米国および世界で 5,000 台以上運行されおり、燃料 1
ガロンで 1 トンの貨物を 480 マイル以上輸送することができます。この新しいエンジン技術は 6 年の歳月と 4 億ド
ルの投資に加え、EPA の排出基準 Tier 4 の達成に万全を期すため、研究、設計、開発にさらに 2 年の歳月と 2 億ドル
の投資を費やし開発されました。
Tier 4 規制対応の次世代機関車で実現された排出量の削
減について語る GE エンジニア
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世界を変える発電
電力周波数が 60Hz の国のニーズに対応した GE の発電システム「FlexEfficiency* 60」の製品ポートフォリオは、連
続的かつ周期的な運用を可能にする効率性とかつてない運用上の柔軟性を提供すると共に、信頼性が高く伝達の良い
電力を電力網へ供給します。2012 年 9 月に発表された FlexEfficiency 60 を採用したコンバインド・サイクル発電プ
ラントは、モジュール式技術に基づいており、信頼性が高く、効率のよい、経済的な電力をカスタマイズされた環境
に提供します。
貴重な天然ガス資源をこのように高い効率で利用する機会に、これほど恵まれたパワープラントオーナーはかつてい
ませんでした。お客さまが高効率のベースロード用発電を要求された場合でも、より柔軟性の高いサイクル発電を要
求された場合でも、FlexEfficiency60 の製品ポートフォリオならどちらのご要望にもお応えできます。
ecomagination 認定の FlexEfficiency 60 を採用した発電プラントは、多くの経済的・環境的利益をもたらしています。
標準的な石炭火力発電プラントやコンバインド・サイクル発電プラントに比べ、燃料燃焼や排出量を削減することも
可能です。
GE の FlexEfficiency 60 は 60Hz 地域向けアプリケーショ
ンの運営上の柔軟性基準を設定しました。
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石炭火力発電との比較
同サイズの石炭火力発電プラントの代わりに、2 基の 7F 7 シリーズ・ガスタービンを搭載した FlexEfficiency 60 を
採用した発電プラントを運営すれば、毎年 260 万トンの CO2 を削減できる可能性があります 1。
この数値は、米国民 50 万人超が自動車から自転車に乗り換えた場合の CO2 排出の削減量に相当し、また日本国内を
走行する乗用車約 300 万台の年間 CO2 排出量に相当します。
従来のテクノロジーとの比較
従来の技術を利用した発電容量が同程度のコンバインド・サイクル発電プラントの代わりに、2 基の 7F 7 シリーズ・
ガスタービンを搭載した FlexEfficiency 60 を採用した発電プラントを利用した場合、以下の結果が見込まれます 2。
• 年間 5 万 6,000 トンの CO2 削減
• 年間 9 億 5,000 万立方フィートの天然ガスの燃焼削減
この CO2 の年間削減量は、米国内を走行する乗用車 1 万 1,000 台以上の CO2 排出量に相当します。また年間の燃費
節約量は、米国の約 1 万 3,000 世帯分の年間天然ガス消費量に相当します。これは言い換えると、北米でコンバイン
ド・サイクル発電を実施した場合には年間 360 万ドル、同発電を日本で実施した場合には年間 1,440 万ドルの節減が
可能であることを意味しています 3,4。
* FlexEfficiency はゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company、GE)の商標です。
比較に関する表記は特に記載されていない限り、GE の社内データを参照しています。
(1)標準的な石炭火力プラントの数値は米国環境保護庁(EPA)のデータに基づいています。
(2)国際標準化機構(ISO)のベースロード条件下で、年間 5,800 時間運営した場合を想定しています。
(3)北米の天然ガス燃料価格は 100 万 BTU あたり 3.75 ドルと想定しています。
(4)日本の天然ガス燃料価格は 100 万 BTU あたり 15 ドルと想定しています。
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天然ガスを利用した輸送のためのインフラ整備を推進
GE は車両燃料用天然ガス供給北米最大手のクリーン・エナジー・フューエルズ社と協働し、米国の主要な幹線道路
沿いに長距離大型トラック用の液化天然ガス(LNG)スタンドを設置するための新技術を提供する予定です。
GE オイル & ガスの非在来型資源事業担当ゼネラル・マネジャーのマイク・ホスフォードによると「小型天然ガス充
填システムは今後 5 年で、GE にとって 10 億ドル規模の市場に成長する可能性があります」
GE の ecomagination・ポートフォリオに含まれているマイクロ LNG プラントは、日量最大 25 万ガロンの LNG を製
造していますが、モジュール工法により最大 100 万ガロンまで容易に拡大することができます。GE がカタールや豪
州の大規模 LNG 業者向けに考案したターボ機械技術を再開発することによって生まれたテクノロジーは、ガス供給
網のどの段階においても天然ガスを液化することができるため、燃料輸送コストや物流コストの削減が可能となり、
遠隔地の車両への充填を支える理想的な手段となっています。
このマイクロ LNG システムにより製造された LNG は、大型トラックおよそ 2 万 8,000 台の燃料として利用でき、ディー
ゼルエンジントラックを低燃費トラックへと移行させます。これにより輸送業者は年間 13 万 9,000 トン以上の CO2
換算排出量、もしくは米国内を走行するガソリン乗用車約 2 万 7,000 台の年間温室効果ガス排出量、または同ディー
ゼルエンジントラック(年間平均走行距離は約 1 万 4,000 マイルを想定)7,000 台の年間温室効果ガス排出量を削減
することができます。
マイクロ LNG プラントはガスの液化に関する統合的ソ
リューションを提供しています。