LTC1622 - 低入力電圧、電流モード降圧 DC/DC

LTC1622
低入力電圧、電流モード降圧
DC/DCコントローラ
特長
概要
■
LTC®1622は、AC/DCロード・レギュレーションおよび
ライン・レギュレーションの優れた、定周波数電流モー
ド降圧DC/DCコントローラです。LTC1622は高精度の低
電圧ロックアウト機能を内蔵し、入力電圧が2V以下に
なると自動的にシャットダウンします。
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■
高効率
550kHz定周波数動作
VIN範囲:2V∼10V
数アンペアの出力電流
OPTI-LOOPTM補償によりCOUTを最小化
選択可能なバースト・モード動作
低ドロップアウト動作:100%デューティ・サイクル
750kHzまで同期可能
電流モード動作で優れたラインおよび負荷過渡応答を
達成
低消費電流:350µA
シャットダウン・モードでの消費電流はわずか15µA
±1.9%のリファレンス精度
8ピンMSOPパッケージで供給
アプリケーション
■
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■
■
■
■
1セルまたは2セルのリチウムイオン電池駆動アプリ
ケーション
セルラ電話
ワイヤレス・モデム
ポータブル・コンピュータ
3.3V、2.5V、または1.8Vの電力分配システム
スキャナ
バッテリ駆動機器
、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。
Burst ModeとOPTI-LOOPは、リニアテクノロジー社の商標です。
LTC1622は±1.9%の出力電圧精度を誇り、消費電流はわず
か350µAです。効率が重要なアプリケーションで負荷電流
が大幅に変化する場合は、LTC1622をバースト・モードTM
動作に構成することができます。バースト・モード動作に
より、低電流時の効率が改善され、バッテリ動作時間が延
長します。バースト・モード動作は、同期中またはSYNC/
MODEピンが
“L”
のときには、ノイズや発生する可能性の
あるRF干渉を低減するために禁止されます。
550kHzの高い定周波数動作により、小型インダクタを
使用することができます。このデバイスは特殊なアプリ
ケーションでは、最大750kHzまで同期可能です。8ピン
MSOPパッケージで供給され、高周波数で動作するた
め、非常に小さなPCB面積で高性能ソリューションを提
供します。
バッテリ電源の寿命をさらに延長するために、ドロップ
アウト時にはPチャネルMOSFETスイッチが連続して
タ ー ン オ ン し ま す( 100%デ ュ ー テ ィ ・ サ イ ク ル )。
シャットダウン時には、わずか15µAしか流れません。
標準的応用例
バースト・モード動作イネーブル
時の効率と負荷電流
VIN
2.5V TO 8.5V
2
R1
10k
C3
220pF
SENSE –
ITH
1
7
PDRV
LTC1622
5
SYNC/MODE
4
470pF
VIN
RUN/SS
GND
VFB
6
R2
0.03Ω
VIN = 4.2V
90
Si3443DV L1
4.7µH
D1
IR10BQ015
R3
159k
VOUT
2.5V
1.5A
+
R4
75k
3
C1: TAIYO YUDEN CERAMIC EMK325BJ106MNT
C2: SANYO POSCAP 6TPA47M
D1: INTERNATIONAL RECTIFIER IR10BQ015
100
C1
10µF
10V
L1: MURATA LQN6C-4R7
R2: DALE WSL-1206 0-03Ω
図1. 高効率降圧コンバータ
C2
47µF
6V
EFFICIENCY (%)
8
VIN = 3.3V
80
VIN = 6V
VIN = 8.4V
70
60
50
1622 F01a
40
VOUT = 2.5V
RSENSE = 0.03Ω
1
10
100
1000
LOAD CURRENT (mA)
5000
1622 F01b
1
LTC1622
絶対最大定格 (Note 1)
入力電源電圧(VIN)..................................... −0.3V∼10V
RUN/SS電圧 ............................................. −0.3V∼2.4V
SYNC/MODE電圧 ....................................... −0.3V∼VIN
SENSE−電圧 .................................................. 2.4V∼VIN
PDRVピーク出力電流(< 10µs)................................. 1A
保存周囲温度範囲 .................................. −65℃∼150℃
動作温度範囲
コマーシャル .............................................. 0℃∼70℃
インダストリアル ................................. −40℃∼85℃
接合部温度(Note 2).............................................. 125℃
リード温度(半田付け、10秒)............................... 300℃
パッケージ/発注情報
ORDER PART
NUMBER
TOP VIEW
SENSE –
8
7
6
5
1
ITH 2
VFB 3
RUN/SS 4
LTC1622CMS8
VIN
PDRV
GND
SYNC/MODE
MS8 PACKAGE
8-LEAD PLASTIC MSOP
TJMAX = 125°C, θJA = 250°C/ W
MS8 PART MARKING
ORDER PART
NUMBER
TOP VIEW
SENSE – 1
8
VIN
ITH 2
7
PDRV
VFB 3
6
GND
RUN/SS 4
5
SYNC/MODE
LTDB
LTC1622CS8
LTC1622IS8
S8 PART MARKING
S8 PACKAGE
8-LEAD PLASTIC SO
1622
1622I
TJMAX = 125°C, θJA = 150°C/ W
ミリタリ・グレードに関してはお問い合わせください。
電気的特性
● は全動作温度範囲の規格値を意味する。それ以外はTA=25℃での値。VIN=4.2V。
SYMBOL
PARAMETER
CONDITIONS
MIN
TYP
IVFB
Feedback Current
(Note 3) VFB = 0.8V
VFB
Regulated Feedback Voltage
(Note 3) Commercial Grade
(Note 3) Industrial Grade
10
70
nA
0.785
0.780
0.8
0.8
0.815
0.820
V
V
VOVL
Output Overvoltage Lockout
Referenced to Nominal VOUT
4
7.5
10.5
%
∆VOSENSE
Reference Voltage Line Regulation
VLOADREG
Output Voltage Load Regulation
VIN = 4.2V to 8.5V (Note 3)
0.04
0.08
%/V
Measured in Servo Loop; VITH = 0.2V to 0.625V
Measured in Servo Loop; VITH = 0.9V to 0.625V
0.3
– 0.3
0.5
– 0.5
%
%
IS
Input DC Supply Current
Burst Mode Inhibited
Sleep Mode
Shutdown
Shutdown
(Note 4)
VIN = 2.3V
VITH = 0V, VSYNC/MODE = 2.4V
VRUN/SS = 0V
VRUN/SS = 0V, VIN = VUVLO – 0.1V
450
350
15
4
400
30
10
µA
µA
µA
µA
VRUN/SS
RUN/SS Threshold
Commercial Grade
Industrial Grade
0.7
0.7
0.9
1.0
V
V
IRUN/SS
Soft-Start Current Source
VRUN/SS = 0V
fOSC
Oscillator Frequency
VFB = 0.8V
VFB = 0V
VSYNC/MODE SYNC/MODE Threshold
VSYNC/MODE Ramping Down
VUVLO
VIN Ramping Down
VIN Ramping Up
2
Undervoltage Lockout
●
●
●
●
●
0.4
0.3
MAX
UNITS
1
2.5
5
µA
475
75
550
110
625
140
kHz
kHz
1
1.5
V
1.55
1.92
1.97
2.3
2.36
V
V
LTC1622
電気的特性
● は全動作温度範囲の規格値を意味する。それ以外はTA=25℃での値。VIN=4.2V。
SYMBOL
PARAMETER
CONDITIONS
PDRV tr
PDRV tf
Gate Drive Rise Time
Gate Drive Fall Time
CLOAD = 3000pF
CLOAD = 3000pF
MIN
∆VSENSE(MAX)
Maximum Current Sense Voltage
80
●
TYP
MAX
UNITS
80
100
140
140
ns
ns
110
140
mV
Note 3:LTC1622はVFBを誤差アンプの帰還点(VITH=0.8V)にサーボ制御する
帰還ループでテストされている。
Note 4:スイッチング周波数で発生するゲート電荷により動作時消費電流は高
くなる。
Note 1:絶対最大定格はそれを超えるとデバイスの寿命を損なう可能性がある
値。
Note 2:TJは周囲温度TAと消費電力PDから、次の式で計算される。
LTC1622CS8; TJ=TA+(PD • 150℃/W)、
LTC1622CMS8; TJ=TA+(PD • 250℃/W)
標準的性能特性
シャットダウン電流と電源電圧
最大電流センス電圧と
デューティ・サイクル
RUN/SS電流と電源電圧
45
3.50
110
30
25
20
15
10
3.00
TRIP VOLTAGE (mV)
35
2.50
2.00
UNSYNC
80
70
60
40
1.00
0
2
3
4
6
7
5
8
SUPPLY VOLTAGE (V)
9
2
10
3
4
5
6
7
8
30
20
10
30
40
1622 G02
リファレンス電圧と温度
0.810
VIN = 4.2V
7.5
REFERENCE VOLTAGE (V)
2.5
0
–2.5
–5.0
低電圧ロックアウト電圧と温度
VIN = 4.2V
0.800
0.795
0.790
0.785
0.780
–7.5
5 25 45 65 85 105 125
TEMPERATURE (°C)
1622 G04
0.775
–55 –35 –15
100
90
2.10
0.805
5.0
50 60 70 80
DUTY CYCLE (%)
1622 G03
UNDERVOLTAGE LOCKOUT VOLTAGE (V)
正規化発振器周波数と温度
–10.0
–55 –35 –15
9
SUPPLY VOLTAGE (V)
1622 G01
NORMALIZED FREQUENCY (%)
90
50
1.50
5
10.0
VIN = 4.2V
100
SOFT-START CURRENT (µA)
SHUTDOWN CURRENT (µA)
40
5 25 45 65 85 105 125
TEMPERATURE (°C)
1622 G05
2.05
2.00
1.95
1.90
1.85
1.80
1.75
–55 –35 –15
5 25 45 65 85 105 125
TEMPERATURE (°C)
1622 G06
3
LTC1622
標準的性能特性
図1の回路でバースト・モード
動作ディスエーブル時の効率と
負荷電流
バースト・イネーブル時の
負荷ステップ過渡応答
バースト禁止時の
負荷ステップ過渡応答
100
VIN = 3.3V
VIN = 4.2V
80
70
VIN = 6V
100mV/DIV
100mV/DIV
EFFICIENCY (%)
90
VIN = 8.4V
60
50
VOUT = 2.5V
RSENSE = 0.03Ω
ILOAD = 50mA TO 1.2A
VIN = 4.2V
ILOAD = 50mA TO 1.2A
VIN = 4.2V
40
1622 G09
1
10
100
LOAD CURRENT (mA)
1000
1622 G08
1622 G07
ピン機能
SENSE−(ピン1):電流コンパレータの負入力。
ITH(ピン2):誤差アンプの補償点。電流コンパレータの
スレッショルドは、この制御電圧に応じて上昇します。
このピンの公称電圧範囲は0V∼1.2Vです。
VFB(ピン3):出力コンデンサの両端に接続された外部
抵抗分割器から帰還電圧を受け取ります。
RUN/SS(ピン4):ソフトスタートと実行制御入力の組
合せ。このピンからグランドの間のコンデンサで、最大
電流出力までのランプ時間を設定します。この時間は約
0.45s/µFです。このピンを0.4V以下にすると、すべての
回路がシャットダウンされます。
SYNC/MODE(ピン5):このピンには次の3つの機能が
あります。このピンの電圧を2V以上にすると低負荷電
流でバースト・モード動作を行うことができ、このピン
を接地するかまたはクロック信号を印加するとバース
ト・モード動作が停止します。625kHz∼750kHzの外部
クロックをこのピンに印加すると、LTC1622は外部ク
ロック周波数で動作します。625kHz以下の周波数に同
期させようとしないでください。ピン5には1µAのプル
アップ電流源が内蔵されています。
GND(ピン6):グランド・ピン。
PDRV(ピン7):外部PチャネルMOSFETのゲート・ドラ
イブ。このピンは0VからVINまでスイングします。
VIN(ピン8):メイン電源ピン。グランド・ピン6の近く
でデカップリングしなければなりません。
4
LTC1622
機能図
VIN
BURST DEFEAT
Y = “0” ONLY WHEN X IS A CONSTANT “1”
OTHERWISE Y = “1”
Y
VCC
X
1µA
SLOPE
COMP
SYNC/
5
MODE
OSC
0.36V
0.3V
–
VFB 3
+
–
FREQ
SHIFT
0.8V
VREF
VIN
+
–
0.12V
EA
gm = 0.5m
2.5µA
VIN
0.8V
REFERENCE
RUN/SS 4
+
–
VIN
Ω
RUN/
SOFT-START
SLEEP
+
ICOMP
BURST
2
VREF
0.8V
8
EN
+
–
SENSE – 1
ITH
S
R
Q
RS1
SWITCHING
LOGIC
AND
BLANKING
CIRCUIT
VIN
PDRV
7
UVLO
TRIP = 1.97V
+
OV
6
SHUTDOWN
VREF + 60mV
–
GND
1622 BD
動作 (機能図を参照)
メイン制御ループ
LTC1622は定周波数電流モード・スイッチング・レギュ
レータです。通常動作中は、発振器が各サイクルごとに
RSラッチ(RS1)をセットすると外部Pチャネル・パワー
MOSFETがターンオンし、電流コンパレータ(ICOMP)が
このラッチをリセットするとターンオフします。ICOMP
がRSラッチをリセットするピーク・インダクタ電流は、
誤差アンプEAの出力であるITHピンの電圧によって制御
されます。EAはVOUTとグランド間に接続された外部抵
抗分割器から出力帰還電圧VFBを受け取ることができま
す。負荷電流が増加すると、0.8Vリファレンスに対して
VFBがわずかに減少し、それによって平均インダクタ電
流が新しい負荷電流と等しくなるまでITH電圧が上昇し
ます。
メ イ ン 制 御 ル ー プ は 、 RUN/SSピ ン を“ L”に す る と
シャット・ダウンされます。RUN/SSを解放すると、内
部2.5µA電流源(機能図参照)がソフト・スタート・コン
デンサCSSを充電することができます。CSSが0.7Vに達す
ると、メイン制御ループは、ITH電圧が最大値の約5%で
クランプされた状態でイネーブルされます。CSSが引き
続き充電されるとITHは徐々に解放され、通常動作が再
開できます。
コンパレータOVはPチャネル・パワーMOSFETをターン
オフし、フォールトが解消されるまでオフ状態を維持す
ることにより、7.5%を超える過渡オーバーシュートか
らデバイスを保護します。
バースト・モード動作
LTC1622は低負荷電流時にSYNC/MODEピンをオープン
にしたままにするか、あるいは最小2Vの電圧に接続す
るだけでバースト・モード動作にすることが可能です。
このモードでは、ITHピンの電圧が低い値であっても、
インダクタ電流のピークはVITH=0.36V(低デューティ・
サイクル)の場合と同じに設定されます。インダクタの
5
LTC1622
動作 (機能図を参照)
周波数同期
LTC1622は最大750kHzのTTL/CMOSコンパチブルのク
ロック信号により外部からドライブすることができま
す。異常動作や不要周波数スペクトルが発生する可能性
があるため、LTC1622を625kHzの最大デフォルト動作
周波数以下の周波数に同期させないでください。
LTC1622はクロックの立上りエッジに同期します。外部
クロックのパルス幅は100ns以上、(周期−200ns)以下で
なければなりません。
帰 還 電 圧 が 0.3V以 下 に 低 下 す る と 同 期 が 禁 止 さ れ ま
す。これは短絡状態でインダクタ電流が増大するのを防
止するためです。LTC1622を外部からクロックでドライ
ブすると、バースト・モード動作が停止します。
ドロップアウト動作
入力電源電圧が出力電圧に向かって低下すると、オン・
サイクル中のインダクタ電流の変化率が低下します。こ
の低下は、インダクタ電流がEAで設定されているス
レ ッ シ ョ ル ド ま で 上 昇 し て い な い た め 、 Pチ ャ ネ ル
MOSFETが1発振器サイクル以上オンになったままであ
ることを意味します。入力電源電圧がさらに低下する
と、最終的にPチャネルMOSFETが100%ターンオンし、
DCになります。このときの出力電圧は、(入力電圧)−
(MOSFET、センス抵抗、およびインダクタの電圧降下)
になります。
低電圧ロックアウト
PチャネルMOSFETが安全な入力電圧レベル以下では動
作しないようにするために、LTC1622は低電圧ロックア
ウトを内蔵しています。入力電源電圧が2V以下に低下
す る と 、 低 電 圧 ブ ロ ッ ク を 除 く 全 回 路 と Pチ ャ ネ ル
MOSFETがターンオフされ、低電圧ブロックには数µA
しか流れません。
6
短絡保護回路
出力がグランドに短絡すると、発振器の周波数は約
110kHzに低下します。周波数が低下するとインダクタ
電流は安全に放電され、電流暴走が回避されます。帰還
電圧が0.65Vを超えて上昇すると、発振器の周波数は標
準値まで徐々に増加します。帰還電圧が0.3Vを超えるま
で同期は禁止されることに注意してください。
過電圧保護
さらに、LTC1622は過電圧コンパレータを内蔵してお
り、帰還電圧が0.8Vのリファレンス電圧より7.5%高くな
ると、外部MOSFETをターンオフします。このコンパ
レータのヒステリシスは標準35mVです。
スロープ補償とピーク・インダクタ電流
インダクタのピーク電流は次式によって決まります。
IPK =
(
VITH
10 RSENSE
)
これはLTC1622が40%以下のデューティ・サイクルで動
作している場合です。ただし、デューティ・サイクルが
40%を超えた場合はスロープ補償が開始し、ピーク・イ
ンダクタ電流を効果的に低減します。図2にその減少量
を曲線で示します。
110
100
90
SF = IOUT/IOUT(MAX) (%)
平均電流が負荷の要求値より大きい場合、ITHピンの電
圧は低下します。ITH電圧が0.12V以下になると、スリー
プ信号が“H”になり、外部MOSFETをターンオフしま
す。ITH電圧が0.22Vを超えるとスリープ信号は“L”にな
り、LTC1622は通常動作を再開します。次の発振器サイ
クルで外部MOSFETがターンオンし、スイッチング・サ
イクルを繰り返します。
80
70
60
IRIPPLE = 0.4IPK
AT 5% DUTY CYCLE
IRIPPLE = 0.2IPK
AT 5% DUTY CYCLE
50
40
30
VIN = 4.2V
UNSYNC
20
10
0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
DUTY CYCLE (%)
1622 F02
図2. 最大出力電流とデューティ・サイクル
LTC1622
アプリケーション情報
図1に基本的なLTC1622の応用回路を示します。外付け
部品の選択は負荷の要求条件に基づいて行われ、Lおよ
びRSENSEの選択から始めます。次に、パワーMOSFETと
出力ダイオードD1、続いてCINとCOUTを選択します。
は次式から求めることができます。
出力電流に対応したRSENSEの選択
ここで、fは動作周波数です。大きなIRIPPLEの値が許容で
きれば低いインダクタンスを使用できますが、出力電圧
リップルが高くなりコア損失も大きくなってしまいま
す。リップル電流を設定するための妥当な出発点は、
IRIPPLE=0.4( IOUT(MAX))です。入力電圧が最大のときに
IRIPPLEが最大になることを忘れないでください。
RSENSEは必要な出力電流をもとに選択します。RSENSEに生
じる電圧をモニタしている電流コンパレータのスレッショ
ルドによって、インダクタのピーク電流が決まります。
LTC1622が供給する出力電流は、次式で与えられます。
IOUT =
0.08
I
− RIPPLE
RSENSE
2
ここで、
IRIPPLEはインダクタのピーク・ツー・ピーク・リップ
ル電流です
(
「インダクタ値の計算」
のセクションを参照)
。
リップル電流を設定するための妥当な出発点は、IRIPPLE
=(0.4)
(IOUT)です。上記の式を整理すると、次のように
なります。
RSENSE =
1
15 IOUT デューティ・サイクルが40%未満の場合
( )( )
ただし、デューティ・サイクルが40%以上の動作ではス
ロープ補償を考慮し、必要な電流を提供するため適切な
値を選択しなければなりません。図2を使って、RSENSE
の値を次式から求めます。
RSENSE =
SF
(15)(IOUT)(100)
インダクタ値の計算
動作周波数とインダクタの選択には相関関係があるた
め、インダクタ・リップル電流が同じ場合、高い動作周
波数ではより小さなインダクタを使用できます。ただ
し、この場合はMOSFETゲートの電荷損失が増加するた
め効率が犠牲になります。
インダクタンスの値もリップル電流に直接影響します。
リップル電流IRIPPLEは、インダクタンスまたは周波数が
高いほど減少し、VINまたはVOUTが高いほど増加しま
す。インダクタのピーク・ツー・ピーク・リップル電流
V
V −V
+V 
IRIPPLE = IN OUT  OUT D 
 VIN + VD 
fL
()
LTC1622でバースト・モード動作を選択した場合、リッ
プル電流は通常、バースト期間中にインダクタ電流が連
続して流れるように設定されます。したがって、ピー
ク・ツー・ピーク・リップル電流が以下の値を超えては
なりません。
IRIPPLE ≤
0.036
RSENSE
これは、最小インダクタンスが以下のようになることを
意味します。
V
V −V
+V 
LMIN = IN OUT  OUT D 
 0.036   VIN + VD 
f

 RSENSE 
(VIN(MAX)=VINを使用)
この回路ではLMINより低い値を使用することができま
す。ただし、インダクタ電流はバースト期間中には連続
して流れません。
インダクタ・コアの選択
Lの値が分かったら、次にインダクタのタイプを選択しな
ければなりません。高効率コンバータは、一般に低コスト
の鉄粉コアで生じるコア損失では最適な性能が得られない
ため、より高価なフェライト、Molypermalloy、またはKool
Mµ®コアを使用しなければなりません。インダクタ値が同
じ場合、実際のコア損失はコア・サイズではなく、選択し
たインダクタンスによって大きく異なります。インダクタ
ンスが増加するとコア損失が低下します。残念ながら、イ
ンダクタンスを大きくするにはワイヤの巻数を増やす必要
があるため銅損失が増加します。フェライト設計ではコア
Kool MµはMagnetics, Inc.の登録商標です。
7
LTC1622
アプリケーション情報
損失がきわめて低く、高スイッチング周波数では好まれる
ため、設計目標を銅損失と飽和を防ぐことに集中すること
ができます。フェライト・コア材料は
“ハード”
に飽和しま
す。つまり、最大設計電流を超えるとインダクタンスが急
激に消滅します。この結果、インダクタのリップル電流が
急増し、出力電圧リップルが増加します。コアは絶対に飽
和させないでください。
Molypermalloy( Magnetics, Inc.製)は、トロイドに最適な
低損失コア材料ですが、フェライトよりも高価です。
Magnetics, Inc.製で経済的なものがKool Muです。トロイ
ドは特に多層巻線が使用できるときに、空間効率が非常
に高くなります。一般に、これらに適したボビンが少な
く実装もさらに困難です。ただし、表面実装用の新製品
が入手可能で、高さもそれほどではありません。
パワーMOSFETの選択
LTC1622に使用する外部Pチャネル・パワーMOSFETを選
択しなければなりません。パワーMOSFETの主な選択基
準は、スレッショルド電圧VGS(TH)と“オン”抵抗RDS(ON)、
逆伝達容量CRSS、および全ゲート電荷です。
LTC1622は低入力電圧でも動作するように設計されてい
るため、これに近い電圧で動作するアプリケーションに
はサブロジック・レベル・スレッショルドMOSFET
(VGS
=2.5VのRDS(ON)が保証されている)が必要です。これら
のMOSFETを使用するときは、LTC1622への入力電源が
絶対最大MOSFET VGS定格(標準8V)より低いことを確認
してください。ゲート・ドライブ電圧レベルは、グラン
ドからVINまでです。
MOSFETの必要な最小RDS(ON)は、
許容消費電力で決まりま
す。
LTC1622をドロップアウト
(つまり、
100%デューティ・サ
イクル)
で動作させるアプリケーションの場合、
ワースト・
ケースで要求されるRDS(ON)は次式で与えられます。
RDS(ON)DC=100% =
RDS(ON) ≅
PP
(DC)IOUT (1+ δp)
2
ここで、DCはLTC1622の最大動作デューティ・サイク
ルです。
LTC1622が連続モードで動作しているときのMOSFETの
電力消費は次式で表されます。
( ) (1+ δp)RDS(ON)
2
+ K ( VIN) (IOUT )(CRSS )( f)
PMOSFET =
VOUT + VD
IOUT
VIN + VD
2
ここで、Kはゲート・ドライブ電流に反比例する定数で
す。スイッチング周波数が高いため、スイッチング損
失に関する2番目の項は重要であり、無視できません。
定数K=3を用いて、MOSFETの消費電力式の2つの項の
関係を推定することができます。
出力ダイオードの選択
キャッチ・ダイオードはオフタイム時に負荷電流を流し
ます。したがって、平均ダイオード電流はPチャネル・
スイッチのデューティ・サイクルに依存します。高入力
電圧では、ダイオードはほとんど導通しています。VIN
がVOUT近くになると、ダイオードはわずかな時間だけ
導通します。ダイオードにとって最も過酷な状態は出力
短絡時です。この状態では、ダイオードは100%近い
デューティ・サイクルでIPEAKを安全に処理する必要が
あります。したがって、ダイオードの定格を超えないよ
う、ダイオードのピーク電流と平均消費電力を適切に規
定することが重要です。
PP
(IOUT(MAX)) (1+ δp)
2
ここで、PPは許容消費電力、δpはRDS(ON)の温度係数です。
あるMOSFETに対する(1+δp)は、一般に正規化RDS(ON)と
温度の関係を示す曲線から得られますが、低電圧
MOSFETに対する近似値としてδp=0.005/℃を使用する
ことができます。
8
最 大 デ ュ ー テ ィ ・ サ イ ク ル が 100%よ り 小 さ く 、
LTC1622が連続モードのアプリケーションでは、RDS(ON)
は次式から求まります。
通常の負荷条件で、ダイオードの平均導通電流は次式か
ら求められます。
V −V 
ID =  IN OUT  IOUT
 VIN + VD 
LTC1622
アプリケーション情報
ダイオードの許容順方向電圧降下は、最大短絡電流から
次式のとおり算出されます。
VF ≈
PD
ISC(MAX )

1 
∆VOUT ≈ IRIPPLE  ESR +

8 fCOUT 

ここで、PDは許容消費電力で、効率や温度条件によっ
て決まります。
ここで、fは動作周波数、COUTは出力容量、IRIPPLEはイ
ンダクタのリップル電流です。∆ILは入力電圧に応じて
増加するため、出力リップルは入力電圧が最大のときに
最も高くなります。
効率を最適化するために、高速スイッチング・ダイオード
を使用しなければなりません。順方向電圧降下が低く、ス
イッチング時間が高速であるため、ショットキ・ダイオー
ドが適しています。リンギングや消費電力の増加を防止す
るために、リード長を短くして適切な接地を行ってくださ
い
(
「ボード・レイアウト・チェックリスト」
を参照)
。
小さな出力容量を使用すると、周波数に依存する項に
よって出力リップル電圧が上昇しますが、ESRが非常に
低いコンデンサを使用してリップル電圧の低い状態を維
持することにより補償できます。ITHピンのOPTI-LOOP
の補償部品は、選択した出力コンデンサに関係なく、安
定した、高性能過渡応答を提供するよう最適化します。
CINおよびCOUTの選択
ニチコン、United Chemicon、三洋電機などのメーカーか
ら高性能なスルーホール・コンデンサが入手できます。
三洋製のOS-CON半導体誘電体コンデンサは、アルミニ
ウム電解コンデンサの中で(ESR・サイズ)の積が最も低
いものですが、やや高価です。COUTのESR条件を満足す
れば、一般に実効電流定格はIRIPPLE(P-P)条件をはるかに
上回ります。
連続モードでは、PチャネルMOSFETのソース電流は
(V
/ IN+VD)の方形
デューティ・サイクルが(VOUT+VD)
波になります。大きな過渡電圧を防止するには、最大
RMS電流に対応できる低ESR入力コンデンサを使用する
必要があります。最大RMSコンデンサ電流は次式で得
られます。
CINの所要IRMS ≈ IMAX
[V (V
OUT
IN − VOUT
)]
1/ 2
VIN
この式はVIN=2VOUTのときに最大値になります。ここ
で、IRMS=IOUT/2です。大きく変化させてもそれほど状
況が改善されないため、一般にはこの単純なワースト
ケース条件が設計に使用されます。多くの場合、コンデ
ンサ製造業者のリップル電流定格は、2000時間の寿命時
間に基づいて規定されています。このため、コンデンサ
をさらにディレーティングする、つまり要求条件よりも
高い温度定格のコンデンサを選択するようにしてくださ
い。設計でのサイズまたは高さの条件に適合させるた
め、複数のコンデンサを並列にすることができます。
LTC1622の動作周波数が高いため、CINにセラミック・
コンデンサを使用することもできます。疑問点について
は、必ずメーカーに問い合わせてください。
COUTは要求される等価直列抵抗(ESR)に基づいて選択し
ます。一般に、ESR要求条件が満たされると、その容量
はフィルタリングに対し十分です。出力リップル
(∆VOUT)は、ほぼ次式のようになります:
表面実装のアプリケーションでは、アプリケーションの
要求するESRまたは実効電流に関する条件に適合させる
ため、複数のコンデンサを並列に接続する必要があるこ
とがあります。表面実装型のアルミニウム電解コンデン
サと乾式タンタル・コンデンサが提供されています。タ
ンタル・コンデンサの場合、スイッチング電源に使用す
るためのサージ試験が実施されていることが求められま
す 。 ケ ー ス の 高 さ が 2mmか ら 4mmの 表 面 実 装 タ ン タ
ル ・ コ ン デ ン サ 、 AVX TPS、 AVX TPSV、 お よ び
KEMET T510シリーズが最適です。他のコンデンサ・タ
イプとしては、三洋のOS-CON、三洋のPOSCAP、ニチ
コンのPLシリーズ、そしてパナソニックのSPシリーズ
があります。
低電源動作
LTC1622は最小2Vで動作可能ですが、VINが3V以下にな
ると最大許容出力電流が低減されます。図3は電源を2V
まで低下させたときの変化量を示します。また、図3に
VINが2.3V以下のときにVINがVREFに与える影響を示しま
す。最大出力電流を設定する最大電流センス電圧は、
9
LTC1622
アプリケーション情報
NORMALIZED VOLTAGE (%)
101
も効率が改善されるかを判断できる場合がよくありま
す。効率は次式で表すことができます。
VREF
100
効率=100%−(η1 + η2 + η3 + ...)
VITH
99
ここで、η1、η2などは個々の損失を入力電力に対する
パーセントで表したものです。
98
97
96
95
2.0
2.2
2.4
2.6
2.8
INPUT VOLTAGE (V)
3.0
1622 F03
図3. VREFとVITHのライン・レギュレーション
ITHピンの最大電圧によって決まることを忘れないでく
ださい。
出力電圧の設定
LTC1622は帰還(ピン3)端子とグランド間に0.8Vのリ
ファレンス電圧を発生します(図4参照)。抵抗R1を選択
すれば、R1とR2を通して一定の電流が流れ、出力電圧
が設定されます。安定化された出力電圧は次式から求ま
ります。
 R2 
VOUT = 0.8 1 + 
 R1 
ほとんどのアプリケーションで、R1には30kΩ抵抗を推
奨します。寄生ピックアップを防止するには、LTC1622
の近くに配置したR1の両端に100pFコンデンサを接続す
ることを推奨します。
VOUT
LTC1622
VFB
R2
3
100pF
R1
1622 F04
図4. 出力電圧の設定
効率の検討
スイッチング・レギュレータの効率は、出力電力÷入力
電力×100%で表されます。個々の損失を解析して、効
率を制限する要素がどれであり、また何が変化すれば最
10
回路内にある電力を消費するすべての部品で損失が発生
しますが、LTC1622回路での損失の大半は、一般に以下
の4つの主な要因によるものです。1) LTC1622 DCバイア
ス電流、2) MOSFETゲート充電電流、3) I2R損失、4) 出
力ダイオードの電圧降下、および5) 遷移損失です。
1. VIN電流は電気的特性に記載した DC電源電流であ
り、MOSFETドライバと制御回路の電流は含まれま
せん。VIN電流によって小さな損失が発生し、この損
失はVINに従って増加します。
2. パワー MOSFETのゲート容量をスイッチングする
と、MOSFETゲート充電電流が流れます。MOSFET
ゲートが“L”から“H”、そして再び“L”に切り替わる
たびに、VINからグランドに微小電荷dQが移動しま
す。したがって、dQ/dtはVINから流出する電流であ
り、一般にDC電源電流よりはるかに大きくなりま
す。連続モードでは、IGATECHG=f(Qp)となります。
3. I2R損失はMOSFET、インダクタ、および電流シャン
トの各DC抵抗から容易に推定されます。連続モード
では、平均出力電流がLを流れますが、RSENSEと直列
に接続されたPチャネルMOSFETと出力ダイオード間
で「チョップ」されます。(MOSFET RDS(ON)+RSENSE)
×デューティ・サイクルを、インダクタの抵抗値と
加算してI2R損失を求めます。
4. 出力ダイオードは高電流時の電力損失の主な要因
で、高い入力電圧で悪化します。ダイオードの損失
は、順方向電圧降下にダイオードのデューティ・サ
イクルと負荷電流の積を掛けることによって算出さ
れます。たとえば、デューティ・サイクルが50%
で、ショットキ・ダイオードの順方向電圧降下が
0.4Vと仮定すると、負荷電流が0.5Aから2Aに上昇す
ると、損失は0.5%から8%に増加します。
5. 遷移損失は外部MOSFETで生じ、動作周波数および
入力電圧が高くなると増加します。遷移損失は次式
から推定できます。
LTC1622
アプリケーション情報
遷移損失=3(VIN)2 IO(MAX)CRSS(f)
VOUT
LTC1622
R2
CINやCOUTのESR消費損失やインダクタのコア損失など
その他の損失は全付加損失の2%以下に過ぎません。
ITH
VFB
+
DFB
R1
実行/ソフト・スタート機能
1622 F05
RUN/SSピンには2つの機能があり、ソフト・スタート機
能とLTC1622をシャット・ダウンする手段を提供しま
す。ソフト・スタートは、内部電流制限を徐々に上昇さ
せることによって、VINからの入力サージ電流を低減し
ます。このピンを使用して電源のシーケンシングも実行
できます。
内部2.5µA電流源が外付けコンデンサCSSを充電します。
RUN/SSの電圧が0.7Vに達すると、LTC1622が動作を開
始します。このピンの電圧が0.7Vから1.8Vまでランプ
アップを続けると、内部電流制限もそれに比例した直線
レートで上昇します。電流制限は0A(VRUN/SS=0.7V)付
近から始まって、0.1/RSENSE(VRUN/SS ≥ 1.8V)で終了しま
す。このように、出力電流はゆっくりランプアップし
て、入力電源から流れる起動サージ電流を低減します。
RUN/SSがグランド電位まで引き下げられると、電流制
限が上昇を開始する前に、次式で表す遅延時間が挿入さ
れます。
図5. フォールドバック電流制限
設計例
LTC1622をリチウムイオン・バッテリ1個で駆動するセ
ルラ電話アプリケーションに使用するものと仮定しま
す。VINは最大4.2Vから最小2.7Vの範囲で動作します。
負荷電流条件は最大1.5Aですが、ほとんどの時間はスタ
ンバイ・モードになっており、2mAしか必要としませ
ん。低負荷電流時と高負荷電流時の両方での効率が重要
です。出力電圧は2.5Vです。
上記のアプリケーションで、バースト・モード動作はピ
ン5をVINに接続するとイネーブルされます。
最大デューティ・サイクル=
VOUT + VD
= 93%
VIN(MIN) + VD
図2から、SF=57%。
tDELAY=2.8 • 105 • CSS
(単位は秒)
RUN/SSピンを0.4V以下にすると、LTC1622は低消費電
流のシャットダウン状態(IQ < 15µA)になります。
フォールドバック電流制限
出力ダイオードの選択のセクションで説明したとおり、
ワーストケースの消費電力は、ダイオードがほとんど連
続して電流制限値で導通する出力短絡状態で発生しま
す。ダイオードの過熱を防止するために、フォールド
バック電流制限を追加し、フォールトの程度に応じて電
流を低減することができます。
フォールドバック電流制限は、図5に示すとおり、出力
とITHピンの間にダイオードDFB(1N4148、または同等
品)を追加して行われます。ハード短絡(VOUT=0V)の場
合、電流は最大出力電流の約50%に低減されます。
動作周波数はLTC1622の自走周波数なので、図2の曲線
を使用します。
RSENSE =
SF
=
0.57
(15)(IOUT)(100) (15)(1.5A)
= 0.0253Ω
このアプリケーションでは、0.025Ω抵抗を使用しま
す。インダクタに必要な値は次式から求まります。
LMIN =
 2.5 + 0.3 
4.2 − 2.5
= 1.33µH
 0.036   4.2 + 0.3 
550kHz

 0.025 
このアプリケーションでは、インダクタ・リップル電流
を低減して出力電圧リップルを抑えるために3.9µHのイ
ンダクタを使用します。
外部MOSFETを選択する場合、LTC1622は最小2.7Vで動
作しなければならないため、RDS(ON)は2.5Vで保証されて
11
LTC1622
アプリケーション情報
い な け れ ば な り ま せ ん 。 MOSFETの 消 費 電 力 が PP=
250mWに制限され、熱抵抗が50℃/Wであると仮定しま
す。したがって、TA=25℃での接合部温度は37.5℃、δp
=0.005(37.5−25)=0.0625となります。必要なRDS(ON)は
次式で与えられます。
RDS(ON) ≅
PP
( ) (1+ δp)
DC IOUT
2
ト図にイラストで示してあります。レイアウトで以下の
項目をチェックしてください。
1. ショットキ・ダイオードが、グランド(CINの(−)
リード)と外部MOSFETのドレイン間に近接して接続
されているか?
2. CINの(+)プレートはセンス抵抗にできる限り接近し
て接続されているか? このコンデンサはMOSFETに
AC電流を供給します。
= 0.11Ω
PチャネルMOSFETの要求条件は、Si6433DQで満たすこ
とができます。
ショットキ・ダイオードの要求条件は、VOUT=0Vすなわ
ち短絡のとき最も厳しくなります。0.025ΩのRSENSE抵抗
を使用した場合、ショットキを流れる短絡電流は0.1/
0.025=4Aです。ショットキ・ダイオードMBRS340T3を
選択します。4Aが流れると、ダイオード順方向電圧は
0.4Vになります。したがって、ダイオードのワースト
ケース消費電力は1.6Wです。DFBを追加すると(図5)、ダ
イオードの消費電力は約0.8Wに低減されます。
入力コンデンサは全動作温度で最低0.75AのRMS電流定
格が必要で、最高の効率を実現するにはCOUTには0.1Ω
のESRが必要です。
PCボード・レイアウト・チェックリスト
PCボードをレイアウトするときには、以下のチェック
リストを使用してLTC1622が正しく動作するよう配慮し
なければなりません。これらの項目は、図6のレイアウ
(ピン
3. 入力デカップリング・コンデンサ
(0.1µF)
は、VIN
8)
とグランド
(ピン6)
間に近接して接続されているか?
4. RSENSEの一端を可能な限りVIN
(ピン8)に近接して接続
する。VINピンは電流コンパレータのSENSE+です。
5. SENSE−(ピン1)からセンス抵抗までのトレースは短
くなっているか? そのトレースはRSENSEに近接して
接続されているか?
6. スイッチング・ノードSWを敏感な小信号ノードから
離す。
7. VFBピンが帰還抵抗に直結されているか? 抵抗分割
器R1およびR2は、COUTの(+)プレートと信号グラン
ドの間に接続しなければなりません。オプションの
コンデンサC1は、できる限りLTC1622に近づけて配
置してください。
R1とR2は、できる限りLTC1622に近づけて配置して
ください。R2は、実用上可能な限り負荷に近づけて
出力に接続してください。
RSENSE
1
2
3
RITH
C1
CITH
SENSE –
ITH
PDRV
4 RUN/
SS
CIN
8
7
LTC1622
6
GND
VFB
CSS
R1
VIN
VIN
+
0.1µF
M1
SW
L1
VOUT
+
SYNC/ 5
MODE
COUT
QUIET SGND
R2
1622 F06
BOLD LINES INDICATE HIGH CURRENT PATHS
図6. LTC1622レイアウト図(PCボード・レイアウト・チェックリストを参照)
12
LTC1622
標準的応用例
バースト・モード動作がディスエーブルされたLTC1622 1.8V/1.5Aレギュレータ
C1
47µF
16V
1
2
R1
10K
3
C3
220pF
R2
0.025Ω
U1
1
8
7
2
7
LTC1622
6
GND
3
SENSE –
VIN
ITH
VFB
+
VIN
2.5V TO
8.5V
PDRV
8
R3
93.1k
6
4
SYNC/ 5
MODE
4 RUN/
SS
L1
3.3µH
5
R4
75k
C4
560pF
VOUT
1.8V
1.5A
+ C2
220µF
6V
1622 TA01
C1: AVX TPSD476M016R0150
C2: AVX TPSD227M006R0100
L1: MURATA LQN6C3R3
R2: DALE WSL-1206 0.025Ω
U1: INTERNATIONAL RECTIFIER FETKY TM IRF7422D2
バースト・モード動作がイネーブルされたLTC1622 2.5V/2Aレギュレータ
+
1
2
3
R1
10k
C3
220pF
SENSE –
ITH
VIN
PDRV
7
LTC1622
6
VFB
GND
4 RUN/
SS
SYNC/ 5
MODE
C4
560pF
R2
0.02Ω
8
M1
D1
VIN
3.3V TO
8.5V
C1
47µF
16V
×2
L1
4.7µH
+
C2
150µF
6V
×2
R3
158k
VOUT
2.5V
2A
R4
75k
1622 TA02
C1: AVX TPSD476M016R0150
C2: SANYO POSCAP 6TPA47M
D1: MOTOROLA MBR320T3
L1: COILCRAFT D03316-472
M1: SILICONIX Si3443DV
R2: DALE WSL-2010 0.02Ω
FETKYはInternational Rectifier Corporationの商標です。
13
LTC1622
標準的応用例
外部周波数同期のLTC1622 2.5V/3Aレギュレータ
1
2
SENSE –
VIN
7
PDRV
LTC1622
3
6
VFB
GND
R1
10k
ITH
4 RUN/
SS
C3
220pF
+
R2
0.01Ω
8
M1
D1
C1
47µF
16V
×2
L1
4.7µH
SYNC/ 5
MODE
+
650kHz
1.5VP-P
C4
560pF
VIN
3.3V TO
8.5V
C2
100µF
6.3V
×2
R3
158k
R4
75k
1622 TA03
L1: COILCRAFT D03316-472
M1: SILICONIX Si3443DV
R2: DALE WSL-2512 0.01Ω
C1: AVX TPSD476M016R0150
C2: AVX TPSD107M010R0065
D1: MOTOROLA MBR320T3
VOUT
2.5V
3A
フォールドバック電流制限を使用したゼータ・コンバータ
D2
1N4818
1
VIN
R2
0.04Ω
8
7
PDRV
LTC1622
6
3
GND
VFB
2
R1
47k
C3
470pF
SENSE –
ITH
4 RUN/
SS
+
Si3441DV
L1B
6.2µH
+
SYNC/ 5
MODE
47µF
16V
L1A
6.2µH
VIN
2.5V TO
8.5V
C1
47µF
16V
×2
D1
+
C4
0.1µF
C2
100µF
10V
R3
232k
VOUT
3.3V
R4
75k
1622 TA04
C1: AVX TPSD476M016R0150
C2: AVX TPSD107M010R0080
D1: MOTOROLA MBRS320T3
L1B
L1A, L1B: BH ELECTRONICS BH511-1012
R2: DALE WSL-1206 0.04Ω
14
3
2
TOP VIEW
4
•
1
L1A
VIN
(V)
2.5
3.3
5.0
6.0
8.4
IOUT(MAX)
(A)
0.45
0.70
0.95
1.00
1.05
LTC1622
パッケージ 注記がない限り、寸法はインチ(ミリメートル)
MS8パッケージ
8ピン・プラスチックMSOP
(LTC DWG # 05-08-1660)
0.118 ± 0.004*
(3.00 ± 0.102)
8
7 6
5
0.118 ± 0.004**
(3.00 ± 0.102)
0.193 ± 0.006
(4.90 ± 0.15)
1
2 3
4
0.040 ± 0.006
(1.02 ± 0.15)
0.007
(0.18)
0.034 ± 0.004
(0.86 ± 0.102)
0° – 6° TYP
SEATING
PLANE 0.012
0.006 ± 0.004
(0.30)
(0.15 ± 0.102)
0.0256
MSOP (MS8) 1098
REF
(0.65)
BSC
*寸法にはモールドのバリ、突起、またはゲートのバリを含まない。モールドのバリ、
突起、またはゲートのバリは片側で0.006"(0.152mm)を超えないこと。
**寸法にはリード間のバリまたは突起を含まない。リード間のバリまたは突起は片側で
0.006"(0.152mm)を超えないこと。
0.021 ± 0.006
(0.53 ± 0.015)
S8パッケージ
8ピン・プラスチック・スモール・アウトライン(細型0.150)
(LTC DWG # 05-08-1610)
0.189 – 0.197*
(4.801 – 5.004)
8
7
6
5
0.150 – 0.157**
(3.810 – 3.988)
0.228 – 0.244
(5.791 – 6.197)
1
0.010 – 0.020
× 45°
(0.254 – 0.508)
0.008 – 0.010
(0.203 – 0.254)
0.053 – 0.069
(1.346 – 1.752)
0°– 8° TYP
0.016 – 0.050
(0.406 – 1.270)
0.014 – 0.019
(0.355 – 0.483)
TYP
*寸法にはモールドのバリを含まない。モールドのバリは片側で
0.006"(0.152mm)を超えないこと。
**寸法にはリード間のバリを含まない。リード間のバリは片側で
0.010" (0.254mm)を超えないこと。
2
3
4
0.004 – 0.010
(0.101 – 0.254)
0.050
(1.270)
BSC
SO8 1298
リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、
その使用に関する責務は一切
負いません。
また、
ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。
なお、
日本語の資料はあくまで
も参考資料です。
訂正、
変更、
改版に追従していない場合があります。
最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。
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LTC1622
標準的応用例
小実装面積の3.3V/1Aレギュレータ
2
SENSE –
VIN
8
7
PDRV
LTC1622
3
6
VFB
GND
4 RUN/
SYNC/ 5
MODE
SS
R1
10k
C3
220pF
M1 L1
2.2µH
ITH
R3
232k
D1
C2
47µF
6V
C4
560pF
100
VIN
3.3V TO
C1
8.5V
10µF
16V
CERAMIC
+
VIN = 3.5V
90
EFFICIENCY (%)
1
R2
0.025Ω
効率と負荷電流
VOUT
3.3V
1A
+
R4
75k
VIN = 6V
70
60
VOUT = 3.3V
RSENSE = 0.025Ω
50
1622 TA05
10
100
LOAD CURRENT (mA)
1
L1: COILCRAFT D01608C-222
M1: SILICONIX Si3443DY
R2: DALE WSL-2010 0.025Ω
C1: MURATA CERAMIC GRM235Y5V106Z
C2: SANYO POSCAP 6TPA47M
D1: MOTOROLA MBRS120LT3
VIN = 4.2V
80
1000
1622 TA05b
LTC1622をブースト・コンバータとして
構成したときの効率と負荷電流
ブースト・コンバータ3.3V/2.5A
100
SENSE –
VIN
8
7
PDRV
LTC1622
6
3
VFB
GND
2
C3
470pF
ITH
R1
33k
4 RUN/
SS
C5
150pF
C4
0.1µF
+
C1
100µF
10V
C6
0.1µF
R2
0.015Ω
R3
105k
M1
D1
R4
20k
Si6801DQ
VOUT
5V
2.5A
+
C2
220µF
10V
×2
80
70
60
1622 TA06a
C1, C2: SANYO POSCAP TPB SERIES
D1: MOTOROLA MBRD835L
L1: SUMIDA CEP123-4R6
90
VIN = 3.3V
L1
4.6µH
SYNC/ 5
MODE
VOUT = 5V
RSENSE = 0.015Ω
VIN
3.3V
EFFICIENCY (%)
1
50
0.001
M1: SILICONIX Si3442DV
R2: DALE WS-L2512 0.015Ω
0.01
0.1
LOAD CURRENT (mA)
1
1622 TA06b
関連製品
製品番号
説明
LTC1147シリーズ
高効率降圧スイッチング・レギュレータ・コントローラ 100%デューティ・サイクル、3.5V ≤ VIN ≤ 16V、HVバージョンは20VINを含む
注釈
LT1375/LT1376
1.5A、
500kHz降圧スイッチング・レギュレータ
高周波数、
小型インダクタ、
高効率
LTC1436/LTC1436-PLL 高効率、
低ノイズ、
同期整流型降圧コンバータ
24ピン細型SSOP、
3.5V ≤ VIN ≤ 36V
LTC1438/LTC1439
デュアル、
低ノイズ、
同期整流型降圧コンバータ
多出力可能、
3.5V ≤ VIN ≤ 36V
LTC1474/LTC1475
低消費電流降圧DC/DCコンバータ
モノリシック、
MSOP、
IOUT=10µA
LTC1624
高効率SO-8 Nチャネル・スイッチング・レギュレータ・コントローラ
8ピンNチャネル・ドライブ、
3.5V ≤ VIN ≤ 36V
LTC1626
低電圧、
高効率降圧DC/DCコンバータ
モノリシック、
定オフタイム、
2.5V ≤ VIN ≤ 6V
LTC1627/LTC1707
低電圧、
モノリシック同期整流型降圧レギュレータ
低電源電圧範囲:2.65V∼8V、
0.5A
LTC1628
デュアル高効率2フェーズ降圧コントローラ
非同期ドライブ、
3.5V ≤ VIN ≤ 36V、
保護回路
LTC1772
SOT-23電流モード降圧コントローラ
6ピンSOT-23、
2.5V ≤ VIN ≤ 9.8V、
550kHz
LTC1735
高効率、低ノイズ、同期整流型スイッチング・コントローラ
バースト・モード動作、
保護回路、
3.5V ≤ VIN ≤ 36V
16
1622f 0100 0.5K • PRINTED IN JAPAN
リニアテクノロジー株式会社
〒162-0814 東京都新宿区新小川町1-14 NAOビル5F
TEL 03-3267-7891• FAX 03-3267-8510 • www.linear-tech.co.jp
 LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 1998