LT3511 - モノリシック、高電圧、絶縁型フライバック

LT3511
モノリシック、高電圧、
絶縁型フライバック・コンバータ
特長
n
n
n
n
n
n
n
n
n
概要
入力電圧範囲:4.5V ∼ 100V
240mA、150V のパワー ・スイッチを内蔵
バウンダリ・モード動作
トランスの 3 次巻線やオプトアイソレータを必要としない
レギュレーション
1 次側巻線帰還によるロード・レギュレーションを改善
出力電圧を2 本の外付け抵抗で設定
内部バイアス電源とパワー・スイッチ・ドライバ用の
BIASピン
外付け起動抵抗が不要
16ピンMSOP パッケージ
アプリケーション
n
n
n
テレコム用絶縁型電源
絶縁型補助電源 /ハウスキーピング用電源
産業用、車載および医療用絶縁型電源
LT®3511は絶縁型フライバック・トポロジー向けに特に設計さ
れた、高電圧モノリシック・スイッチング・レギュレータです。出
力電圧を1 次側フライバック波形から直接検出するので、レ
ギュレーションを行うのに3 次巻線やオプトアイソレータは不
要です。このデバイスは240mA、150Vのパワー・スイッチ、高
電圧回路、および制御回路を、4 本のピンを取り去った高電
圧 16ピンMSOP パッケージに搭載しています。
LT3511は4.5V ∼ 100Vの入力電圧で動作し、最大 2.5Wの
絶縁された出力電力を供給します。出力電圧は、2 本の外付
け抵抗とトランスの巻数比で容易に設定されます。いくつかの
アプリケーションで既製トランスを使用できます。高い集積度
とバウンダリ・モード動作の使用により、従来難題だった絶縁
電力供給に対する、高精度に安定化されたシンプルでクリー
ンなソリューションを提供します。
L、LT、LTC、LTM、Burst Mode、Linear Technologyおよび Linearのロゴはリニアテクノロジー
社の登録商標です。No RSENSE はリニアテクノロジー社の商標です。その他すべての商標の所
有権は、それぞれの所有者に帰属します。5438499、7471522を含む米国特許によって保護さ
れています。
標準的応用例
48V から5V の絶縁型フライバック・コンバータ
1µF
4:1
1M
EN/UVLO
43.2k
VIN
LT3511
RFB
RREF
169k
10k
TC
SW
VC
69.8k
•
300µH
•
5.25
VOUT+
5V
0.3A
19µH
5.20
5.15
22µF
VOUT–
5.10
VOUT (V)
VIN
36V TO 72V
出力負荷およびライン・レギュレーション
VIN = 48V
5.05
VIN = 36V
5.00
VIN = 72V
4.95
4.90
4.85
GND BIAS
4.80
16.9k
3.3nF
4.7µF
3511 TA01a
4.75
0
50
150
200
100
LOAD CURRENT (mA)
250
300
3511 TA01b
3511fc
1
LT3511
絶対最大定格
ピン配置
(Note 1)
SW(Note 4)........................................................................ 150V
VIN、EN/UVLO、RFB ............................................................ 100V
VIN ~ RFB 間 ........................................................................ ±6V
BIAS .........................................................20VとVINの小さい方
RREF、TC、VC ........................................................................... 6V
動作接合部温度範囲(Note 2)
LT3511E, LT3511I.......................................... –40ºC ~ 125ºC
LT3511H ........................................................ –40ºC ~ 150ºC
LT3511MP ..................................................... –55ºC ~ 150ºC
保存温度範囲.................................................... –65ºC ~ 150ºC
TOP VIEW
EN/UVLO 1
16 SW
VIN 3
14 RFB
GND
BIAS
NC
GND
5
6
7
8
12
11
10
9
RREF
TC
VC
GND
MS PACKAGE
16(12)-LEAD PLASTIC MSOP
θJA = 90°C/W
発注情報
無鉛仕上げ
テープアンドリール
製品マーキング *
パッケージ
温度範囲
LT3511EMS#PBF
LT3511EMS#TRPBF
3511
16-Lead Plastic MSOP
–40°C to 125°C
LT3511IMS#PBF
LT3511IMS#TRPBF
3511
16-Lead Plastic MSOP
–40°C to 125°C
LT3511HMS#PBF
LT3511HMS#TRPBF
3511
16-Lead Plastic MSOP
–40°C to 150°C
LT3511MPMS#PBF
LT3511MPMS#TRPBF
3511
16-Lead Plastic MSOP
–55°C to 150°C
さらに広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。* 温度グレードは出荷時のコンテナのラベルで識別されます。
非標準の鉛仕上げの製品の詳細については、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。
無鉛仕上げの製品マーキングの詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/designtools/leadfree/ をご覧ください。
テープアンドリールの仕様の詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/tapeandreel/ をご覧ください。
電気的特性
l は全動作温度範囲での規格値を意味する。それ以外は TA = 25ºCでの値。注記がない限り、VIN = 24V。
PARAMETER
Input Voltage Range
Quiescent Current
EN/UVLO Pin Threshold
EN/UVLO Pin Current
Maximum Switching Frequency
Maximum Current Limit
Minimum Current Limit
Switch VCESAT
RREF Voltage
CONDITIONS
l
VIN = BIAS
Not Switching
VEN/UVLO = 0.2V
EN/UVLO Pin Voltage Rising
VEN/UVLO = 1.1V
VEN/UVLO = 1.4V
l
1.15
2.0
240
35
ISW = 100mA
l
RREF Voltage Line Regulation
RREF Pin Bias Current
Error Amplifier Voltage Gain
Error Amplifier Transconductance
MIN
6
4.5
6V < VIN < 100V
(Note 3)
∆I = 2µA
l
1.18
1.17
TYP
2.7
0
1.21
2.6
0
650
330
60
0.3
1.20
0.01
80
150
140
MAX
100
15
3.5
1.27
3.3
430
90
1.215
1.23
0.03
400
UNITS
V
V
mA
µA
V
µA
µA
kHz
mA
mA
V
V
V
%/V
nA
V/V
µmhos
3511fc
2
LT3511
電気的特性
l は全動作温度範囲での規格値を意味する。それ以外は TA = 25ºCでの値。注記がない限り、VIN = 24V。
PARAMETER
Minimum Switching Frequency
TC Current into RREF
BIAS Pin Voltage
CONDITIONS
MIN
RTC = 53.6k
Internally Regulated
TYP
40
9.5
3.1
3
MAX
UNITS
kHz
µA
V
3.2
Note 1: 絶対最大定格に記載された値を超えるストレスはデバイスに永続的損傷を与える可
能性がある。また、長期にわたって絶対最大定格条件に曝すと、デバイスの信頼性と寿命に
悪影響を与える可能性がある。
度範囲で性能仕様に適合することが保証されている。LT3511MPは–55ºC ~ 150ºCの全動作
接合部温度範囲で保証されている。高い接合部温度は動作寿命に悪影響を及ぼす。接合部
温度が 125ºCを超えると、動作寿命が短くなる。
Note 2:LT3511Eは、0ºC ~ 125ºCの接合部温度で性能仕様に適合することが保証されている。
–40ºC ~ 125ºCの動作接合部温度範囲での仕様は、設計、特性評価および統計学的なプロセ
ス・コントロールとの相関で確認されている。LT3511Iは–40ºC ~ 125ºCの動作接合部温度範
囲で性能仕様に適合することが保証されている。LT3511Hは–40ºC ~ 150ºCの動作接合部温
Note 3:電流はRREF ピンから流れ出す。
標準的性能特性
注記がない限り、TA = 25ºC。
出力電圧
5.25
5.20
Note 4: SWピンの過渡電圧定格は最大 150Vである。図 5に示すように、SWピンの動作波形
はフライバック波形のペデスタルを100V 以下に保つ必要がある。
消費電流
BIASピンの電圧
5
VIN = 48V
5.15
4.0
4
3.5
5.00
4.95
BIAS VOLTAGE (V)
5.05
IQ (mA)
VOUT (V)
5.10
3
2
4.90
4.85
2.5
1
VIN = 24V
VIN = 48V
VIN = 100V
4.80
4.75
–50 –25
0
0
–50 –25
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
0
スイッチの VCESAT
スイッチの電流制限値
350
消費電流とVIN
4
MAXIMUM CURRENT LIMIT
3
300
250
IQ (mA)
CURRENT LIMIT (mA)
800
200
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3511 G03
400
400
0
3511 G02
1000
600
VIN = 24V, 10mA
VIN = 24V, NO LOAD
2.0
–50 –25
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3511 G01
SWITCH VCESAT VOLTAGE (mV)
3.0
200
2
150
100
1
MINIMUM CURRENT LIMIT
50
0
0
50
100 150 200 250
SWITCH CURRENT (mA)
300
350
3511 G04
0
–50 –25
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3511 G05
0
0
20
60
40
VOLTAGE (V)
80
100
3511 G06
3511fc
3
LT3511
注記がない限り、TA = 25ºC。
EN/UVLOピンの
(ヒステリシス)
電流と温度
5
EN/UVLO = 1.2V
EN/UVLO PIN CURRENT (µA)
EN/UVLO PIN CURRENT (µA)
4
3
2
1
0
–50 –25
0
EN/UVLOスレッショルドと温度
EN/UVLOピンの電流とVEN/UVLO
30
3.0
25
2.5
20
15
10
2.0
1.5
1.0
0.5
5
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
EN/UVLO THRESHOLD (V)
標準的性能特性
1
20
40
60
80
VEN/UVLO VOLTAGE (V)
3511 G07
0
–50 –25
100
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3511 G09
3511 G08
最大周波数と温度
EN/UVLOシャットダウン・
スレッショルドと温度
最小周波数と温度
1000
100
800
80
0.9
600
400
200
EN/UVLO THRESHOLD (V)
MINIMUM FREQUENCY (kHz)
MAXIMUM FREQUENCY (kHz)
0.8
60
40
20
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
–50 –25
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
0
–50 –25
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3511 G10
0
–50 –25
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3511 G11
バウンダリ・モードの波形
3511 G14
軽負荷時不連続モードの波形
20V/DIV
20V/DIV
1µs/DIV
3511 G12
2µs/DIV
3511 G13
3511fc
4
LT3511
ピン機能
EN/UVLO( ピ ン1)
: イネ ー ブ ル/ 低 電 圧 ロックア ウト。
EN/UVLOピンはLT3511を起動するのに使用します。このピ
ンを0Vに引き下げると、LT3511はシャットダウンします。この
ピンは1.21Vの高精度スレッショルドを備えており、電源から
グランドに接続した抵抗分割器を使って、低電圧ロックアウト
(UVLO)
スレッショルドを設定するのに使用することができ
ます。
2.6μAのピン電流ヒステリシスにより、低電圧ロックアウト
(UVLO)
ヒステリシスを設定することができます。EN/UVLO
はVIN に直接接続することができます。このピンをオープン状
態のままにすると、デバイスは起動しません。
VIN(ピン3)
: 入力電源ピン。このピンは内部起動回路に電流
を供給し、DCMコンパレータおよび帰還回路の基準電圧とし
て機能します。このピンのすぐ近くにコンデンサを接続してバ
イパスする必要があります。
GND(ピン5、8、9)
:グランド・ピン。3つのピンはすべてローカ
ル・グランド・プレーンに直接接続します。
BIAS(ピン6)
:バイアス電圧。このピンはLT3511のスイッチ・
ドライバおよび内部回路に電流を供給します。3 次巻線を使用
しておらず VIN が 20Vより低い場合は、このピンをVIN に接続
することもできます。BIASとVIN が互いに接続されている場合、
デバイスは最小で4.5Vまで動作可能です。3 次巻線が使用さ
れている場合には、適正に動作させるためにBIAS 電圧を入力
電圧より低く、3.3Vより高くします。BIASは、ピンの近くに配置
した4.7μFのコンデンサでバイパスする必要があります。
VC(ピン10)
:内部エラーアンプの補償ピン。このピンからグラ
ンドに直列のRCを接続してスイッチング・レギュレータを補償
します。このピンからグランドに100pFのコンデンサを追加す
ると、ノイズの除去に役立ちます。
TC(ピン11)
:出力電圧の温度補償。グランドとの間に抵抗を
接続し、絶対温度に比例した電流を発生してRREF ノードに
ソースします。
ITC = 0.55V/RTC.
RREF
(ピン12)
:グランドを基準とした外付けリファレンス抵抗
の入力ピン。このピンの抵抗は10kΩにします。非絶縁型アプ
リケーションでは、VOUT からこのピンに従来の抵抗分割器を
接続することができます。
RFB(ピン14)
:外付け帰還抵抗の入力ピン。このピンはトラン
スの1 次側(VSW)
に接続します。RREF 抵抗に対するこの抵抗
の比に内部バンドギャップ・リファレンスを掛けた値によって
出力電圧が決定します
(これに1 以外のトランスの巻数比の
影響が加わります)。非絶縁型アプリケーションの場合は、こ
のピンを1MΩの抵抗でGNDに接続します。
SW(ピン16)
:スイッチ・ピン。内部パワー・スイッチのコレクタ。
EMIと電圧スパイクを最小限に抑えるため、このピンのトレー
ス面積を最小限に抑えます。
3511fc
5
LT3511
ブロック図
D1
VIN
VOUT +
T1
C1
L1A
L1B
C2
R3
VOUT –
N:1
TC
CURRENT
TC
VIN
Q3
SW
RFB
FLYBACK
ERROR
AMP
Q2
R5
I2
1.2V
–g
m
+
–
+
ONE
SHOT
CURRENT
COMPARATOR
A2
–
A1
+
S
S
BIAS
DRIVER
BIAS
R1
EN/UVLO
R
1.2V
R2
+
A5
–
3µA
Q4
INTERNAL
REFERENCE
AND
REGULATORS
Q1
Q
MASTER
LATCH
C4
–
VIN
RREF
R4
+
V1
120mV
+
–
A4
RSENSE
0.02Ω
GND
OSCILLATOR
VC
R6
C3
3511 BD
3511fc
6
LT3511
動作
LT3511は、特に絶縁型フライバック・トポロジー用に設計され
た、電流モードのスイッチング・レギュレータICです。絶縁型
トポロジーの主な課題は、出力電圧に関する情報を、トランス
の絶縁された2 次側から1 次側へどのように伝達するかです。
従来は、オプトアイソレータや追加のトランス巻線によってトラ
ンスを越えて、この情報を伝達していました。オプトアイソレー
タ回路は出力電力を浪費し、追加の部品によって電源のコス
トと物理的サイズが増大します。また、オプトアイソレータは、
制限されたダイナミック応答、非直線性、ユニットごとのばら
つき、経年変化などのため問題を生じることがあります。追加
のトランス巻線を採用した回路にも短所があります。追加の
巻線を使用すると、
トランスの物理的サイズとコストが増大し、
多くの場合ダイナミック応答の質が劣ります。
LT3511では、1 次側のフライバック・パルスにより、絶縁され
た出力電圧についての情報が与えられます。この方法では、レ
ギュレーションにオプトアイソレータも追加のトランス巻線も
不要です。2 本の抵抗によって出力電圧が設定されます。この
デバイスはバウンダリ・モードで動作するので、2 次側電流が
ほとんどゼロのときのスイッチ・ピンからの出力電圧を計算し
ます。
システムの全体像を
「ブロック図」
に示します。ブロックの多く
は従来のスイッチング・レギュレータにあるものと同様で、内部
バイアス・レギュレータ、発振器、ロジック、電流アンプ、電流コ
ンパレータ、
ドライバ、出力スイッチなどです。目新しい部分は、
特殊なフライバック・エラーアンプと温度補償回路です。さら
に、ロジック・システムにはバウンダリ・モード動作のための追
加ロジックが含まれています。
LT3511は、連続導通モードと不連続導通モードの境界でデ
バイスが動作するバウンダリ・モード制御機能を備えていま
す。VCピンは通常の電流モード動作と全く同様に電流レベル
を制御しますが、デバイスは発振器の周期の開始点でスイッ
チをオンせずに、2 次側の巻線電流がゼロになるときにスイッ
チをオンします。
バウンダリ・モード動作
バウンダリ・モードは、可変周波数、電流モードのスイッチング
方式で動作します。スイッチがオンし、VCピンによって制御さ
れる電流制限値に達するまでインダクタ電流が増加します。ス
イッチがオフすると、SWピンの電圧は、出力電圧をトランスの
2次対1次の巻数比で割った電圧に入力電圧を加えた電圧ま
で上昇します。ダイオードを流れる2 次側電流がゼロまで減少
すると、SWピンの電圧が VIN を下回ります。不連続導通モー
ド
(DCM)
コンパレータがこの事象を検出し、スイッチを再度
オンします。
バウンダリ・モードではサイクルごとに2 次側の電流をゼロに
戻すので、寄生抵抗の電圧降下によるロード・レギュレーショ
ンの誤差は生じません。また、バウンダリ・モードでは連続導
通モードに比べて小型のトランスを使用することができ、低調
波発振が生じません。
LT3511は、出力電流が小さいときにスイッチのターンオンを
遅らせるので、不連続モードで動作します。従来のフライバッ
ク・コンバータとは異なり、出力電圧の情報を更新するために
スイッチがオンする必要があります。VCピンの電圧が 0.6Vよ
り低いと、電流コンパレータのレベルはその最小値まで減少
し、内部発振器の周波数が低下します。内部発振器の周波数
の低下に伴い、デバイスはDCM(不連続導通モード)
での動
作を開始します。フライバック・エラーアンプの最小スイッチ・
オフ時間を見込んだ上で、出力電流を低減することができま
す。VC が 0Vのときの内部発振器の標準的な最小周波数は
40kHzです。
3511fc
7
LT3511
アプリケーション情報
擬似 DC 理論
「ブロック図」
のRREF(R4)
とRFB(R3)
は、出力電圧の設定に
使用される外付け抵抗です。LT3511は、帰還情報をフライバッ
ク・パルスから得る特殊なエラーアンプを採用していることを除
き、従来の電流モード・スイッチャと同様の動作をします。
動作は次のとおりです。出力スイッチQ1 がオフすると、そのコ
レクタ電圧が上昇してVINレールを上回ります。
このフライバッ
ク・パルスの振幅(つまり、コレクタ電圧とVIN の差)
は次式で
与えられます。
VFLBK =(VOUT +VF +ISEC • ESR)
• NPS
VF = D1の順方向電圧
ISEC = トランスの2 次側電流
ESR = 2 次側回路の全インピーダンス
(ESR)
の影響が含まれています。バウンダリ制御モードでは、
このインピーダンスの項の影響が最小になります。
温度補償
VOUT の式の最初の項には温度依存性はありませんが、ダイ
オードの順方向電圧降下には大きな負の温度係数がありま
す。これを補償するために、正の温度係数の電流源が RREF ピ
ンに接続されています。TC ピンからグランドに接続された抵
抗によって補償電流が設定されます。
温度係数のキャンセル方法を次式に示します。
δVF
R
1 δVTC
= – FB •
•
or,
δT
RTC NPS δT
RTC =
δV
–RFB
1
R
•
• TC ≈ FB
NPS δVF / δT δT
NPS
NPS = トランスの1 次対 2 次の実効巻数比
(δVF/δT) = ダイオードの順方向電圧の温度係数
RFBとQ2はフライバック電圧を電流に変換します。この電流
の大半は抵抗 RREF を通って流れ、グランド基準の電圧を生
じます。この結果得られる電圧がフライバック・エラーアンプへ
の入力になります。フライバック・エラーアンプは、2 次側の巻
線電流がゼロのとき電圧の情報をサンプリングします。バンド
ギャップ電圧(1.20V)
がフライバック・エラーアンプのリファレ
ンスとして機能します。
(δVTC/δT) = 2mV
ループ全体の利得が比較的大きいので、RREF の電圧はバン
ドギャップ・リファレンス電圧 VBG にほぼ等しくなります。した
がって、VFLBKとVBG の関係はほぼ次のようになります。
 VFLBK  VBG
R 
or VFLBK = VBG  FB 

=
 RFB  RREF
 RREF 
VTC = 0.55V
この結果得られたRTC の値を実験によって検証し、必要に応
じて調整して全温度範囲にわたって最適なレギュレーション
を達成します。
温度補償電流の追加により、出力電圧の式は以下のように修
正されます。
 R  1 
VOUT = VBG  FB  
 – VF
 RREF   NPS 
V  R
–  TC  • FB – ISEC (ESR)
 RTC  NPS
VBG = 内部バンドギャップ・リファレンス
出力電力
上式と前に得られたVFLBK の結果を組み合わせると、次式が
得られます。
フライバック・コンバータは、降圧コンバータや昇圧コンバータ
に比べて、入力電流と出力電流の間に複雑な関係があります。
昇圧コンバータは入力電圧に関係なく最大入力電流が比較
的一定であり、降圧コンバータは入力電圧に関係なく最大出
力電流が比較的一定です。これは2つの電流の動作が連続し
ていて切り替わらないからです。フライバック・コンバータは入
力電流と出力電流の両方が不連続なので、非絶縁型昇降圧
コンバータに似たものになります。デューティ・サイクルが入力
 R  1 
VOUT = VBG  FB  
 – VF – ISEC (ESR)
 RREF   NPS 
この式はVOUT を内部リファレンス、設定抵抗、トランスの巻
数比、およびダイオードの順方向電圧降下の項で表していま
す。さらに、
これにはゼロではない2 次側の出力インピーダンス
3511fc
8
LT3511
アプリケーション情報
電流と出力電流に影響を与えるので、出力電力を予測するの
は困難です。さらに、出力電流を増加させるため、スイッチ電
圧が高くなることを代償に巻数比を変えることができます。
図 1 ∼図 4のグラフは、3.3V、5V、12V、および 24Vの出力
電圧に対して可能な標準の最大出力電力を示しています。こ
の最大出力電力曲線は、オフ時間の間のスイッチの電圧が
100Vの場合の計算によって得られた出力電力です。漏れ電
圧スパイクに対して50Vのマージンが見込まれています。与
えられた入力でこの電力レベルを実現するには、スイッチに
100Vを印加する巻数比の値を計算する必要があり、半端な
値の比になることがあります。以下の曲線は、一般的な巻数比
の値と、与えられた入力電圧での出力電力の大きさの例です。
設計の一例は、最小入力電圧が 36V、最大入力電圧が 72V
の5V出力のコンバータです。4:1の巻数比がこの設計例に
適合し、出力は72Vで1.6Wに近い値となりますが、36Vでは
1Wまで減少します。
以下の式により出力電力が計算されます。
電力 = η • VIN • D • IPEAK • 0.5
効率 = η = 約 85%
Duty Cycle = D =
ピーク・スイッチ電流 = IPEAK = 0.26A
3.0
3.5
3.0
N = NPS(MAX)
2.0
N = 15 N = 12
N = 10
N=8
OUTPUT POWER (W)
OUTPUT POWER (W)
2.5
N=6
1.5
N=4
1.0
N=2
0.5
0
( VOUT + VF ) • NPS
( VOUT + VF ) • NPS + VIN
N=5
2.5
N=4
N = NPS(MAX)
N=3
2.0
N=2
1.5
N=1
1.0
0.5
0
20
40
60
INPUT VOLTAGE (V)
0
100
80
0
20
40
60
INPUT VOLTAGE (V)
80
3511 F01
3511 F03
図 1.3.3V 出力での出力電力
図 3.12V 出力での出力電力
3.0
3.0
OUTPUT POWER (W)
N = NPS(MAX)
2.0
1.5
N=3
N=2
1.0
N=1
0.5
0
20
40
60
INPUT VOLTAGE (V)
80
N=2
2.0
N=1
1.5
1.0
0.5
100
3511 F02
図 2.5V 出力での出力電力
N = NPS(MAX)
2.5
N=7
N=6
N=5
N=4
OUTPUT POWER (W)
N=8
2.5
0
100
0
0
20
40
60
INPUT VOLTAGE (V)
100
80
3511 F04
図 4.24V 出力での出力電力
3511fc
9
LT3511
アプリケーション情報
トランスの設計に関する検討事項
LT3511をうまく使用できるかはトランスの適切な仕様と設計
に依存します。高周波数用絶縁型電源トランスの設計に関す
る従来のガイドラインに加えて、以下の情報を注意深く検討し
てください。
リニアテクノロジーは、LT3511と共に使用するために事前に
設計されたフライバック・トランスを製造するため、主要な磁
気部品メーカー数社と協力してきました。これらのトランスの
詳細を表 1に示します。
表 1.事前に設計されたトランス
トランスの
製品番号
750311558
LPRI(µH)
300
漏れインダクタンス
(μH)
1.5
NP:NS:NB
4:1:1
絶縁電圧(V)
1500
750311019
400
5
6:1:2
1500
750
Würth Elektronik
750311659
750311660
300
350
2
3
1:1:0.2
2:1:0.33
1500
1500
560
520
Würth Elektronik
Würth Elektronik
750311838
350
3
2:1:1
1500
520
Würth Elektronik
750311963
200
0.4
1:5:5
1500
650
Würth Elektronik
750311966
120
0.45
1:5:0.5
1500
900
Würth Elektronik
10396-T024
300
2.0
4:1:1
1500
500
Sumida
10396-T026
300
2.5
6:1:2
1500
500
Sumida
01355-T057
10396-T022
250
300
2.0
2.0
1:1:0.2
2:1:0.33
1500
1500
500
500
Sumida
Sumida
10396-T028
300
2.5
2:1:1
1500
500
Sumida
飽和電流(mA)
メーカー
500
Würth Elektronik
ターゲット・
アプリケーション
48V to 5V, 0.3A
24V to 5V, 0.2A
12V to 5V, 0.13A
48V to 3.3V, 0.33A
24V to 3.3V, 0.28A
12V to 3.3V, 0.18A
24V to 5V, 0.26A
12V to 5V, 0.17A
48V to 3.3V, 0.43A
24V to 3.3V, 0.35A
12V to 3.3V, 0.2A
48V to 24V, 0.07A
48V to 15V, 0.1A
48V to 12V, 0.12A
24V to 15V, 0.09A
12V to 15V, 0.045A
48V to ±15V, 0.05A
48V to ±12V, 0.06A
24V to ±15V, 0.045A
12V to ±70V, 0.004A
12V to ±100V, 0.003A
12V to ±150V, 0.002A
12V to +120V and
–12V, 0.002A
48V to 5V, 0.3A
24V to 5V, 0.2A
12V to 5V, 0.13A
48V to 3.3V, 0.33A
24V to 3.3V, 0.28A
12V to 3.3V, 0.18A
24V to 5V, 0.26A
12V to 5V, 0.17A
48V to 3.3V, 0.43A
24V to 3.3V, 0.35A
12V to 3.3V, 0.2A
48V to 24V, 0.07A
48V to 15V, 0.1A
48V to 12V, 0.12A
24V to 15V, 0.09A
12V to 15V, 0.045A
48V to ±15V, 0.05A
48V to ±12V, 0.06A
24V to ±15V, 0.045A
3511fc
10
LT3511
アプリケーション情報
巻数比
飽和電流
出力電圧を設定するのにRFB/RREF の抵抗比を使用すると、
所定のアプリケーションに適合するようにトランスの巻数比を
比較的自由に選択できることに注目してください。対照的に、
小さな整数の単純な比
(1:1、2:1、3:2など)
を使うと、全巻数
と相互インダクタンスをより自由に設定できます。
トランスの巻線の電流は定格飽和電流を超えてはなりませ
ん。コアが飽和すると、注入されたエネルギーは2 次側に伝達
されずにコア内で消費されます。飽和電流の情報はトランス
のメーカーから得られます。LT3511と共に使用するために設
計されたトランスの飽和電流を表 1に示します。
一般に、トランスの巻数は利用可能な出力電力が最大になる
ように選択します。低い出力電圧(3.3Vや5V)
では、1 次巻数
を2 次巻数の複数倍にして、N:1の巻数比を使用し、
トランス
の電流利得(および出力電力)
を最大にすることができます。
ただし、SWピンには、最大入力電源電圧と、出力電圧に巻数
比を乗じた電圧の和に等しい電圧が現れることに注意してく
ださい。さらに、漏れインダクタンスは、この反映された電圧の
上に電圧スパイク
(VLEAKAGE)
を生じます。この全体の大きさ
は、内部パワー・スイッチの破損を防ぐため、SWピンの絶対
最大定格より低く保つ必要があります。これらの条件を総合
することによって、所定のアプリケーションの巻数比
(N)
の上
限が決まります。次式を満たすように十分小さな巻数比を選
択します。
N<
150V – VIN(MAX) – VLEAKAGE
VOUT + VF
N:1の値が大きい場合は、追加の電流を供給するために物
理的サイズが大きなトランスを選択します。さらに、出力電圧
を測定するのに十分な長さのオフ時間になるように、十分大
きなインダクタンスを選択します。
出力電力レベルが低い場合は、トランスのサイズを絶対的に
最小にするために、1:1または1:Nのトランスを選択します。
1:Nのトランスを使うと励磁インダクタンス
(およびサイズ)
は最
小になりますが、利用可能な出力電力も制限されます。1:Nの
巻数比を大きくすると、内部パワー・スイッチのブレークダウン
電圧を超えることなく非常に高い出力電圧が可能になります。
絶縁型帰還方式では巻数比が重要な要素の1つです。
トラン
スのメーカーが 1% 以内の巻数比の精度を保証していること
を確認してください。
1 次側インダクタンスの要件
LT3511は、スイッチ・ピンに反映された出力電圧から出力電
圧の情報を得ます。2 次巻線に電流が流れると、1 次側の出力
電圧に反映されます。サンプリング回路は、反映された出力電
圧をセトリングさせてサンプリングするのに最小 400nsを必要
とします。適切なサンプリングを行うためには、2 次巻線に最
小 400nsの間電流を流す必要があります。以下の式から1 次
側励磁インダクタンスの最小値が与えられます。
LPRI ≥
tOFF(MIN) • NPS • ( VOUT + VF )
IPEAK(MIN)
tOFF(MIN) = 400ns
IPEAK(MIN) = 55mA
サンプリング時間に関する1 次側インダクタンス要件の他に、
LT3511には、スイッチのオン時間を100nsより短くするという
内部回路の制約があります。その時間内にインダクタ電流が
所期の電流リミットを超えると、電流制御ループがその制御
能力を失って出力が発振する可能性があります。1 次側励磁
インダクタンスを選択するときは、最大入力電圧に基づいて以
下の式にも従う必要があります。
LPRI ≥
tON(MIN) • VIN(MAX)
IPEAK(MIN)
tON(MIN) = 100ns
IPEAK(MIN) = 55mA
3511fc
11
LT3511
アプリケーション情報
VSW
VSW
<150V
<150V
<140V
VLEAKAGE
<100V
<100V
t OFF > 400ns
t OFF > 400ns
TIME
tSP < 150ns
without Clamp
tSP < 150ns
3511 F05
TIME
with Clamp
図 5.SWピンのフライバック波形の最大電圧
漏れインダクタンスとクランプ回路
トランスの漏れインダクタンスが
(1 次側または2 次側のいず
れかに)
あると、出力スイッチがオフした後に電圧スパイクが
1 次側に発生します。このスパイクは負荷電流が大きくなるほ
ど顕著になり、より大きな蓄積エネルギーを消費しなければ
なりません。アプリケーションを設計する際には、漏れ電圧ス
パイクの影響に対して十分なマージンを確保します。ほとんど
の場合は、1 次側に反映された出力電圧とVIN の和は100V
以下に保たれます。これにより、ライン条件および負荷条件に
わたり、漏れスパイクについて少なくとも50Vのマージンが得
られます。巻数が不十分なトランスや過度の漏れインダクタン
スに対しては、さらに大きな電圧マージンが必要です。この点
について図 5に示します。トランスの漏れインダクタンスは最
小限に抑えてください。
ほとんどのアプリケーションには、クランプ回路を推奨します。
内部パワー・スイッチの保護が可能な回路には、RCD(抵抗 コンデンサ-ダイオード)
クランプとDZ(ダイオード-ツェナー)
クランプの2 種類があります。クランプ回路は、漏れインダクタ
ンスに蓄積されたエネルギーを消費します。LT3511の推奨ク
ランプはDZクランプです。DZクランプは設計しやすく、クラン
プ電圧が高く、電力レベルが低いので、好ましいソリューショ
ンです。さらに、DZクランプは明確に定まった一定のクランプ
電圧を保証します。スイッチ波形に対するクランプの効果を
図 5に、DZクランプの接続回路を図 6に示します。
LS
Z
D
3511 F06
図 6.DZクランプ
ダイオードとツェナー・ダイオードの両方を選択するときは十
分な注意を払う必要があります。
通常はショットキー・ダイオー
ドが最適ですが、漏れインダクタンスによるスパイクを制限す
るのに十分速くオンする場合に使用できるPNダイオードもあ
ります。逆電圧定格が最大スイッチ電圧より高いダイオードを
選択します。ツェナー・ダイオードのブレークダウン電圧は、電
力損失とスイッチ電圧の保護のバランスがとれるように選択し
ます。最善の妥協案は、最も高いブレークダウン電圧を選択
することです。適切に選択するには次式を使用します。
VZENER(MAX) ≤ 150V – VIN(MAX)
最大入力電圧が 72Vのアプリケーションでは、VZENER(MAX)
が
(78Vの最大値より低い)72Vである、68VのVZENER を選
択します。
クランプの電力損失によってツェナー・ダイオードの電力定格
が決まります。クランプの電力損失は、最大負荷と最小入力
3511fc
12
LT3511
アプリケーション情報
電圧のときに最大になります。スイッチ電流は、漏れインダクタ
ンスに蓄積されたエネルギーを加えて、この時点で最大にな
ります。最大のVZENER を選択した場合、0.5Wのツェナーが
ほとんどのアプリケーションの要件を満たします。VZENER に
小さい値を選択すると、次式に示すように、過度の電力損失
を生じます。
DZ Power Loss =
1
• L • IPK(VIN(MIN))2 • fSW •
2 l
⎛
⎞
NPS • ( VOUT + VF )
⎜⎜1+
⎟⎟
⎝ VZENER – NPS • ( VOUT + VF ) ⎠
上がり時間とトランスの漏れインダクタンスによって遅延が生
じます。漏れインダクタンスで、トランスの1 次側に非常に高速
の電圧スパイクも生じます。漏れスパイクの振幅は、パワー・
スイッチの電流が最大のときに最も大きくなります。スイッチの
ターンオフとサンプリングの開始の間に内部固定遅延を設け
て、前述の現象に対する耐性をもたせます。LT3511では、内
部ブランキングが 150nsに設定されています。場合によっては、
漏れインダクタンスによるスパイクが内部ブランキングより長く
続くこともありますが、出力のレギュレーションに大きく影響す
ることはありません。
L l = 漏れインダクタンス
2 次側漏れインダクタンス
VOUT • IOUT • 2
IPK(VIN(MIN)) =
η • VIN(MIN) • DVIN(MIN)
1 次側漏れインダクタンスに加えて、2 次側漏れインダクタンス
がアプリケーションの設計に重要な影響を与えます。2 次側
漏れインダクタンスは、トランスの2 次側に誘導性分割器を形
成します。誘導性分割器は1 次側換算のフライバック・パルス
の大きさを実効的に減らします。フライバック・パルスが小さく
なると、安定化出力電圧が高くなります。2 次側漏れインダク
タンスの誘導性分割器の影響は負荷に依存しません。2 次側
漏れインダクタンスが
(製造時のばらつきも含めて)一定の割
合の相互インダクタンスである限りでは、RFB/RREF 比を調整
してこの影響に対応することができます。
fSW =
1
1
=
•
I
L
tON + tOFF
PRI PK(VIN(MIN)) LPRI • IPK(VIN(MIN))
+
VIN(MIN)
NPS • ( VOUT + VF )
推奨するダイオードおよびツェナー・ダイオードのいくつかを、
表 2および表 3に示します。
表 2.推奨するツェナー・ダイオード
部品
MMSZ5266BT1G
MMSZ5270BT1G
CMHZ5266B
CMHZ5267B
BZX84J-68
BZX100A
VZENER
(V)
68
91
68
75
68
100
表 3.推奨するダイオード
部品
BAV21W
BAV20W
I (A)
0.625
0.625
電力
(W)
0.5
0.5
0.5
0.5
0.5
0.5
VREVERSE
(V)
200
150
ケース
SOD-123
SOD-123
SOD-123
SOD-123
SOD323F
SOD323F
メーカー
On Semi
Central
Semiconductor
NXP
巻線抵抗の影響
1 次側と2 次側のどちらの抵抗成分も全体の効率(POUT/PIN)
を低下させます。LT3511のバウンダリ・モード動作により、十
分な出力電圧レギュレーションが巻線抵抗に関係なく維持さ
れます。
バイファイラ巻き
ケース
SOD-123
SOD-123
メーカー
Diodes Inc.
漏れインダクタンスのブランキング
パワー・スイッチがオフすると、フライバック・パルスが発生しま
す。ただし、トランスの1次側の電圧波形が出力電圧に近くな
るまでには、ある有限の時間が経過します。SWノードの立ち
バイファイラ巻きや同様の巻線手法は、漏れインダクタンスの
問題を最小限に抑えるのに有効です。ただし、これは1 次側 2 次側間の静電容量も増やして1 次側 -2 次側間のブレークダ
ウン電圧を制限するので、バイファイラ巻きが常に実用的であ
るとは限らないことに注意してください。リニアテクノロジーの
アプリケーション・グループがトランスの選択や設計をお手伝
いします。
3511fc
13
LT3511
アプリケーション情報
アプリケーション設計に関する検討事項
反復設計手順
LT3511は、絶縁された出力電圧を安定化するのに独自のサ
ンプリング手法を使用しています。この絶縁手法を使用するに
は、帰還抵抗と温度補償抵抗を選択するシンプルな反復手
順が必要です。帰還抵抗と温度補償抵抗の値は、選択された
アプリケーション、トランスおよび出力ダイオードに大きく依存
します。
反復手順を通して抵抗値が定まると、この値が、選択された
トランスと出力ダイオードとともに一定の出力電圧を生成しま
す。トランスの巻数比が 1% 以内であることが保証されてい
なければならない点に注意してください。このデータシートに
記載されたトランスのメーカーでは、この規格に従ったトラン
スの製造が可能です。
式ではダイオードとVTC の温度係数が等しいと仮定していま
すが、1 次近似としてはこれで十分です。
厳密にいえば、上式はRFB を絶対値としてではなくRREF の比
として定義しています。したがって、次の問題は、RREFとして
適切な値は何か、ということになります。
「RREF は約 10kΩにす
る」が答えです。LT3511はこのRREF の値を使って調整され、
仕様が規定されています。RREF のインピーダンスが 10kΩ か
ら大きく変化すると、余計な誤差が生じます。ただし、RREF の
ばらつきは数パーセントであれば許容できます。したがって、
公称のRFB/RREF 比を実現するのに、標準の1% 抵抗値を選
択すれば問題ありません。
低電圧ロックアウト
(UVLO)
RFB とRREF の抵抗値の選択
VIN ピンからEN/UVLOピンに抵抗分割器を接続することに
よって低電圧ロックアウト
(UVLO)
が実現されます。この構成
を図 7に示します。EN/UVLOピンのスレッショルドは1.21V
に設定されています。
以下のセクションにRFB およびRREF の値を設定する式を示し
ます。この式は目安にすぎません。
「 設計手順」
で概説する手
順に従い、反復設計手順を使ってRFB、RREF および RTC の正
確な値を設定します。
また、EN/UVLOピンの電圧が 1.21Vより低いと、このピンに
2.6μAが流れます。この電流はR1の値に基づいてユーザーが
設定可能なヒステリシスを与えます。実効的なUVLOスレッ
ショルドは以下のようになります。
「動作」
のセクションで導き出した、
「温度補償」
のセクション
のVOUT の式を整理すると、以下のようなRFB の式が得られ
ます。
RFB =
RREF • NPS ( VOUT + VF ) + VTC 
VBG
ここで、
VOUT = 出力電圧
VF = スイッチング・ダイオードの順方向電圧
VIN(UVLO,RISING) =
1.2V • (R1+ R2)
VIN(UVLO,FALLING) =
+ 2.6µA • R1
R2
1.2V • (R1+ R2)
R2
図 7では、UVLO 機能を使って外部シャットダウン制御を行う
回路も示しています。NMOSをオンするとEN/UVLOピンが接
地され、LT3511は消費電流が 1μA 未満のシャットダウン状
態になります。
VIN
NPS = 1 次対 2 次の実効巻数比
R1
VTC = 0.55V
この式は以下を仮定しています。
RTC =
RFB
NPS
EN/UVLO
RUN/STOP
CONTROL
(OPTIONAL)
R2
LT3511
GND
3511 F07
図 7.低電圧ロックアウト
(UVLO)
3511fc
14
LT3511
アプリケーション情報
最小負荷の要件
LT3511
LT3511はフライバック・パルスを使って出力電圧の情報を回
収します。スイッチがオフして2 次巻線に電流が流れると、フラ
イバック・パルスが発生します。出力電圧を安定化させるため、
LT3511はフライバック・パルスをサンプリングする必要があり
ます。LT3511は、軽負荷状態のときも最小量のエネルギーを
供給して出力電圧の正確な情報を確保します。最小量のエ
ネルギーを供給するには、個々のアプリケーションに応じて
10mA ∼ 15mAの最小負荷が必要になります。各アプリケー
ションの最小負荷要件を検証してください。事前に負荷をか
けることが認められない場合は、ツェナー・ブレークダウン電
圧が出力電圧より20%高いツェナー・ダイオードを最小負荷と
して使用できます。出力電圧が 5Vの場合には、カソードを出
力に接続した6Vのツェナー・ダイオードを使用します。
3 次巻線によるBIASピンのオーバードライブ
LT3511はオプトカプラや3 次巻線を必要とせずに優れた出力
電圧の安定化を実現しますが、入力電圧が高い
(>20V)
アプ
リケーションの中には、新たな巻線(多くの場合 3 次巻線と呼
ばれる)
を追加することでシステム全体の効率を向上できるも
のがあります。3 次巻線は、出力電圧が 3.3V ∼ 12Vになるよう
に設計します。VIN が 48Vの標準的なアプリケーションでは、
BIASピンをオーバードライブすると、効率が 4% ∼ 5% 向上し
ます。
6V TO 100V
LDO
3V
BIAS
LT3511
VIN
4.5V TO 15V
LDO
BIAS
OPTIONAL
BIASピンに関する検討事項
BIASピンはLT3511の内部回路に電力を供給します。BIAS
ピンを安定化させるための、3つの異なる構成があります。1つ
目の構成では、VIN 電源から内部 LDOを介してBIASピンを
内部でドライブします。2つ目の構成では、VIN 電源をBIASピ
ンに直接接続し、内部 LDOを迂回することにより、VIN 電源
が BIASピンを直接ドライブします。この構成では、デバイスは
最小 4.5V、最大 15Vで動作することができます。3つ目の構
成では、外部電源または3 次巻線が BIASピンをドライブしま
す。入力電源より低い電源が存在するときは、このオプション
を使用します。内部 LDOをディスエーブルするには、3.3Vより
高い電源でBIASピンをドライブします。電源電圧を低くする
と、内部回路の電源効率が向上します。
VIN
LT3511
VIN
6V TO 100V
LDO
3.3V < BIAS < 20V
BIAS
EXTERNAL
SUPPLY
3511 F08
図 8.BIASピンの構成
ループ補償
LT3511では、抵抗とコンデンサのネットワークをVCピンに外
付けすることで補償をします。標準的な補償値はRC = 20kΩ
(他の可能な値については
「標
および CC = 2.2nFの近辺です
準的応用例」のセクションの各種回路を参照)。安定性と許
容可能な過渡応答を実現するには、RCとCC の両方を適切に
選択することが重要です。たとえば、RC が大きすぎると、高周
波ノイズとジッタの影響を受けやすくなります。これに対して、
RC が小さすぎると、過渡性能が低下します。CC の値に関して
は、これと逆になります。CC が大きすぎると過渡応答が悪化
し、CC が小さすぎると不安定になります。RC および CC の具
体的な値は、アプリケーションとトランスの選択によって異な
ります。基板レベルの評価と過渡応答性能をもって、個々の
選択を検証してください。
3511fc
15
LT3511
アプリケーション情報
設計手順 / 設計例
LT3511のアプリケーションを設計するための目安として、以
下の設計手順を使用します。独自のサンプリング・アーキテク
チャは適切な抵抗値を選択するための反復手順を必要とす
る、ということに注意してください。
この設計例では、100mAの負荷電流と36V ∼ 72Vの入力範
囲で15V出力を設計します。
VIN(MIN) = 36V、VIN(NOM) = 48V、VIN(MAX) = 72V、
VOUT = 15Vおよび IOUT = 100mA
ステップ 1:トランスの巻数比を選択します。
NPS <
VSW(MAX) – VIN(MAX) – VLEAKAGE
VOUT + VF
VSW(MAX)= 内部スイッチの最大定格 = 150V
VLEAKAGE = トランスの漏れスパイクのマージン = 40V
VF = 出力ダイオードの順方向電圧 = 約 0.5Vと仮定
例:
150V – 72V – 40V
15V + 0.5V
< 2.45
NPS <
NPS
NPS = 2
「出力電力」
のセクションで説明したように、出力電力を決定
するときは巻数比の選択が重要です。この時点で、効率を向
上させるため、トランスに3 次巻線を追加してLT3511のBIAS
ピンをドライブすることができます。効率を最大にするには、
3 次巻線の電圧が 3.3V ∼ 6Vに安定化するように設定する巻
数比を選択します。
BIAS 巻線を5Vでドライブするための、3 次巻線の巻数比を
選択します。
(オプション)
例:
NTHIRD VTHIRD 5V
=
=
= 0.33
15V
NS
VOUT
ステップ 2:最小 VIN での最大出力電力を計算します。
POUT(VIN(MIN)) = η • VIN(MIN) • IIN = η • VIN(MIN) • D •
IPEAK • 0.5
D=
( VOUT + VF ) • NPS
( VOUT + VF ) • NPS + VIN(MIN)
η = 効率 = 約 75%
IPEAK = ピーク・スイッチ電流 = 0.26A
例:
D = 0.46
POUT(VIN(MIN)) = 1.62
IOUT(VIN(MIN)) = POUT(VIN(MIN))/VOUT = 0.11A
選択した巻数比は100mAの出力電流要件を満たします。出
力電流が小さすぎると、最小入力電圧が高めに調整される可
能性があります。スイッチ電圧要件と、漏れインダクタンスによ
る電圧スパイクのマージンが与えられると、この例の巻数比
の値が最大に設定されます。
ステップ 3:1 次側インダクタンス、スイッチング周波数、およ
び飽和電流を決定します。
最小オフ時間および最小オン時間の要件を満たすため、トラ
ンスの1 次側インダクタンスは最小値より大きい値に設定する
必要があります。
LPRI ≥
tOFF(MIN) • NPS • ( VOUT + VF )
IPEAK(MIN)
tOFF(MIN) = 400ns
IPEAK(MIN) = 55mA
LPRI ≥
tON(MIN) • VIN(MAX)
IPEAK(MIN)
tON(MIN) = 100ns
IPEAK(MIN) = 55mA
トランスの巻数比は、次のように選択します。
NPRIMARY:NSECONDARY:NTHIRD = 2:1:0.33
3511fc
16
LT3511
アプリケーション情報
例:
LPRI ≥
400ns • 2 • (15 + 0.5)
0.055
LPRI ≥ 225µH
100ns • 72
0.055
LPRI ≥ 131µH
LPRI ≥
さらに、1 次側インダクタンスはスイッチング周波数も決定します。
fSW
1
1
=
=
tON + tOFF LPRI • IPEAK + LPRI • IPEAK
VIN
NPS • ( VOUT + VF )
IPEAK =
VOUT • IOUT • 2
η • VIN • D
例:
公称のVIN である48Vでのスイッチング周波数を計算してみ
ます。
D=
(15 + 0.5) • 2 = 0.39
(15 + 0.5) • 2 + 48
IPEAK =
15V • 0.1A • 2
= 0.21A
0.75 • 48V • 0.39
LPRI = 350μHを選択することにします。ほとんどのトランスで
は、1 次側インダクタンスの許容差が 20%に規定されている
ことに注意してください。
fSW = 256kHz
最後に、トランスの定格は、ライン条件および負荷条件に対し
て適切な飽和電流レベルに定められている必要があります。
与えられた例では、スイッチ電流のワーストケースの条件は、
最小 VIN でありかつ最大負荷であるときです。
VOUT • IOUT • 2
η • VIN • D
15V • 0.1A • 2
=
= 0.24A
0.75 • 36V • 0.46
IPEAK =
IPEAK
飽和電流が定常状態の動作条件、起動条件および過渡条件
を満たしていることを確認します。これらの条件を満たすには、
定常状態の計算値より50% 以上大きな飽和電流を選択しま
す。この例では、400mA ∼ 500mAの範囲の飽和電流を選択
しています。
事前に設計されたフライバック・トランスのリストを表 1に示し
ます。このアプリケーションでは、Würthの750311660トランス
を使用します。
ステップ 4:適切な出力ダイオードを選択します。
出力ダイオードの主な2つの選択基準は、順方向電流定格と
逆電圧定格です。最大負荷要件は、出力ダイオードの平均電
流要件としての、良好な1 次推定値になります。さらに良好な
推定値は、RMS 電流です。
IRMS = IPEAK(VIN(MIN)) • NPS •
1– DVIN(MIN)
3
例:
IRMS = 0.24 • 2 •
1– 0.46
= 0.2A
3
次に、最大 VIN を使用して、逆電圧要件を計算します。
VREVERSE = VOUT +
VIN(MAX)
NPS
例:
VREVERSE = 15V +
72V
= 51V
2
Diodes 社の60V/0.5Aダイオード
(SBR0560S1)
を使用します。
ステップ 5:出力コンデンサを選択します。
出力コンデンサは出力電圧リップルが最小になるように選択
し、大容量のコンデンサの場合は、サイズとコストの妥協点を
見つけます。公称 VIN では以下の式を使用します。
C=
IOUT • D
∆VOUT • fSW
3511fc
17
LT3511
アプリケーション情報
例:
ステップ 7:補償を行います。
リップル・レベルが 50mV 以下になるように設計します。
補償は、設計手順の最後の方で最適化していきます。VCノー
ドからグランドに、抵抗とコンデンサを接続します。20kΩの抵
抗と2.2nFのコンデンサを使用します。
C=
0.1A • 0.39
= 3.1µF
0.05V • 256kHz
10μF/25Vの出力コンデンサを選択します。セラミック・コンデ
ンサは印加電圧によって容量が減少することに注意してくだ
さい。容量は、最大電圧定格のときに想定容量の40%まで減
少する可能性があります。
ステップ 8:RFB 抵抗とRTC 抵抗を選択します。
次の式を使用して、RFBとRTC の出発点の値を選択します。
RREF を10kΩに設定します。
( VOUT + VF + 0.55V ) • NPS • RREF
ステップ 6:クランプ回路を設計します。
RFB =
クランプ回路は、漏れインダクタンスによるスパイクからスイッ
チを保護します。クランプ回路には、DZクランプが適していま
す。ツェナーとダイオードを選択する必要があります。
RREF = 10k
ツェナーの最大値は、最大VIN に従って、次のように設定します。
VZENER(MAX) ≤ 150V – VIN(MAX)
例:
VZENER(MAX) ≤ 150V – 72V
VZENER(MAX) ≤ 78V
また、前に説明したように、クランプ回路の電力損失はクラン
プ電圧に反比例します。クランプ電圧が高くなると、電力損失
は小さくなります。
最大電圧が 72Vの68Vツェナーが最適な保護を行い、電力
損失を最小限に抑えます。0.5Wのツェナーは、LT3511に関
係するほとんどのクランプ・アプリケーションの要件を満たし
ます。電力損失は、
「漏れインダクタンスとクランプ回路」
のセ
クションに示す式を使用して計算できます。
選択するツェナーは、On Semiconductorの68V/0.5Wツェナー
(MMSZ5266BT1G)
です。
高速であり、逆ブレークダウン電圧が十分なダイオードを選
択します。
VREVERSE > VSW(MAX)
VSW(MAX) = VIN(MAX) +VZENER(MAX)
例:
RTC =
1.2V
RFB
NPS
例:
RFB =
RTC
(15 + 0.5 + 0.55V ) • 2 • 10k = 267k
1.2V
267k
=
= 133k
2
ステップ 9:出力電圧に基づいてRFBを調整します。
実際に部品を接続したアプリケーションに電源を投入して、
安定化された出力電圧を測定します。測定された出力電圧に
基づいてRFB を再調整します。
RFB(NEW) =
VOUT
VOUT(MEAS)
• RFB(OLD)
例:
RFB(NEW) =
15V
• 267k = 237k
16.8V
ステップ 10:RTC を取り去って、全温度範囲で出力電圧を測
定します。
恒温槽のような温度が制御された環境で出力電圧を測定し、
出力の温度係数を求めます。一定の負荷電流および入力電
圧での出力電圧を、全動作温度範囲にわたって測定します。
この手順により、全温度範囲でライン・レギュレーションとロー
ド・レギュレーションが最適化されます。
VREVERSE > 140V
ダイオードは、0.24Aと算出されたスイッチのピーク・スイッチ
電流を処理する必要があります。Diodes 社の200V/0.6Aダイ
オード
(BAV21W)
を選択します。
3511fc
18
LT3511
アプリケーション情報
VOUT の温度係数を計算します。
∆VOUT VOUT(HOT) – VOUT(COLD)
=
∆Temp
THOT(°C) – TCOLD(°C)
例:
アプリケーションの最適な補償は次のようになります。
RC = 22.1k, CC = 4.7nF
例:
ステップ 15:最小負荷を確保します。
100mAおよび VIN = 48Vの条件で測定されたVOUT
最大入力電圧での最小負荷要件をチェックします。最小負荷
が生じるのは、出力で消費されるよりも大きなエネルギーをコ
ンバータが供給するのに伴って出力電圧が上昇し始める時
点です。
∆VOUT 15.70V – 15.37V
=
= 1.9mV/°C
∆Temp 125°C – ( –50°C)
ステップ 11:RTC の新しい値を計算します。
RTC(NEW) =
RFB 1.85mV / °C
•
∆VOUT
NPS
∆Temp
例:
RTC(NEW) =
237k 1.85
•
= 118k
2
1.9
ステップ 12:RTC に新しい値を設定してVOUT を測定し、RTC
の変更に応じてRFB を再調整します。
RFB(NEW) =
VOUT
VOUT(MEAS)
• RFB(OLD)
例:
RFB(NEW) =
例:
入力電圧が 72Vのときの最小負荷は、
7mAです。
ステップ 16:EN/UVLO 抵抗の値を求めます。
必要なヒステリシスの大きさを決定します。
電圧ヒステリシス = 2.6μA • R1
例:
2Vのヒステリシスを選択します。
R1=
2V
= 768k
2.6µA
UVLOのスレッショルドを決定します。
15V
• 237k = 237k
15V
ステップ 13:RFB および RTC の新しい値を全温度範囲で検証
します。
RTC を接続し、全温度範囲で出力電圧を測定します。
ステップ 14:補償を最適化します。
RFB および RTC の値が定まったので、補償を最適化します。補
償は、出力の負荷ステップの過渡応答に対して最適化してく
ださい。全負荷範囲で過渡応答をチェックします。
VIN(UVLO,FALLING) =
R2 =
1.2V • (R1+ R2)
R2
1.2V • R1
VIN(UVLO,FALLING) – 1.2V
UVLOの下降時スレッショルドを30Vに設定します。
1.2V • 768k
= 32.4k
30V – 1.2V
1.2V • (R1+ R2)
VIN(UVLO,FALLING) =
R2
1.2V • (768k + 32.4k )
=
= 30V
32.4k
VIN(UVLO,RISING) = VIN(UVLO,FALLING) +2.6μA • R1 = 30V
+2.6μA • 768k = 32V
R2 =
3511fc
19
LT3511
標準的応用例
48V から5V の絶縁型フライバック・コンバータ
VIN
36V TO 72V
4:1:1
C1
1µF
R1
1M
Z1
VIN
R2
43.2k
EN/UVLO
RFB
RREF
LT3511
TC
D3
R3
169k
T1
300µH
R5
69.8k
GND
VOUT–
C1: TAIYO YUDEN HMK316B7105KL-T
C3: TAIYO YUDEN EMK212B7475KG
C4: MURATA GRM32ER71C226KE18B
D1, D2: DIODES INC. SBR140S3
D3: DIODES INC. BAV21W
T1: WÜRTH 750311558
Z1: ON SEMI MMSZ5266BT1G
R4
10k
BIAS
D2
R6
16.9k
C2
3.3nF
VOUT+
5V
0.3A
C4
22µF
19µH
SW
VC
D1
L1C
19µH
C3
4.7µF
3511 TA02
オプションの
HV 動作用 3 次巻線
48V から15V の絶縁型フライバック・コンバータ
VIN
36V TO 72V
C1
1µF
D1
2:1
R1
1M
Z1
VIN
R2
43.2k
T1
350µH
EN/UVLO
RFB
RREF
LT3511
TC
R4
10k
SW
VC
R5
97.6k
R3
237k
GND
BIAS
R6
13k
C2
6.8nF
D2
88µH
VOUT+
15V
0.1A
C4
10µF
VOUT–
C1: TAIYO YUDEN HMK316B7105KL-T
C3: TAIYO YUDEN EMK212B7475KG
C4: MURATA GRM31CR71E106KA12
D1: DIODES INC. SBR0560S1
D2: DIODES INC. BAV21W
T1: WÜRTH 750311660
Z1: ON SEMI MMSZ5266BT1G
C3
4.7µF
3511 TA03
3511fc
20
LT3511
標準的応用例
48V から24V の絶縁型フライバック・コンバータ
VIN
36V TO 72V
C1
1µF
Z1
VIN
R2
43.2k
T1
300µH
EN/UVLO
R3
187k
RFB
RREF
LT3511
TC
R5
200k
GND
C4
4.7µF
VOUT–
C1: TAIYO YUDEN HMK316B7105KL-T
C3: TAIYO YUDEN EMK212B7475KG
C4: MURATA GRM32ER71H475KA88B
D1: DIODES INC. SBR1U150SA
D2: DIODES INC. BAV21W
T1: WÜRTH 750311659
Z1: ON SEMI MMSZ5266BT1G
R4
10k
BIAS
R6
33.2k
C2
3.3nF
300µH
D2
SW
VC
VOUT+
24V
65mA
D1
1:1
R1
1M
C3
4.7µF
3511 TA04
24V から5V の絶縁型フライバック・コンバータ
VIN
20V TO 30V
C1
4.7µF
D1
6:1
R1
1M
Z1
VIN
R2
80.6k
EN/UVLO
LT3511
RFB
RREF
SW
TC
VC
R5
73.2k
GND
BIAS
R6
9.31k
C2
15nF
R3
249k
R4
10k
D2
T1
300µH
8µH
VOUT+
5V
0.25A
C4
22µF
VOUT–
C1: MURATA GRM31CR71H475KA12B
C3: TAIYO YUDEN EMK212B7475KG
C4: MURATA GRM32ER71C226KE18B
D1: DIODES INC. SBR2A30P1
D2: DIODES INC. BAV20W
T1: SUMIDA 10396-T026
Z1: ON SEMI MMSZ5270BT1G
C3
4.7µF
3511 TA05
3511fc
21
LT3511
標準的応用例
24V から15V の絶縁型フライバック・コンバータ
VIN
20V TO 30V
C1
4.7µF
R1
1M
Z1
VIN
EN/UVLO
R2
80.6k
R3
237k
RFB
RREF
LT3511
D2
T1
350µH
VC
R5
133k
GND
BIAS
R6
20k
C2
4.7nF
C4
10µF
88µH
VOUT–
C1: MURATA GRM31CR71H475KA12B
C3: TAIYO YUDEN EMK212B7475KG
C4: MURATA GRM31CR71E106KA12B
D1: DIODES INC. SBR140S3
D2: DIODES INC. BAV20W
T1: WÜRTH 750311660
Z1: ON SEMI MMSZ5270BT1G
R4
10k
SW
TC
VOUT+
15V
0.09A
D1
2:1
C3
4.7µF
3511 TA06
12V から15V の絶縁型フライバック・コンバータ
VIN
8V TO 20V
C1
4.7µF
2:1
R1
1M
R2
562k
Z1
VIN
EN/UVLO
LT3511
RFB
RREF
SW
TC
VC
R5
133k
GND
BIAS
R6
26.1k
C2
4.7nF
C3
4.7µF
R3
237k
R4
10k
D2
T1
350µH
VOUT+
15V
40mA
D1
88µH
C4
4.7µF
Z2
VOUT–
OPTIONAL
MINIMUM LOAD
C1: MURATA GRM31CR71H475KA12B
C3: TAIYO YUDEN EMK212B7475KG
C4: MURATA GRM31CR71H475KA12
D1: DIODES INC. SBR130S3
D2: DIODES INC. BAV20W
T1: WÜRTH 750311660
Z1: ON SEMI MMSZ5270BT1G
3511 TA08
3511fc
22
LT3511
標準的応用例
12V から 70V の絶縁型フライバック・コンバータ
VIN
8V TO 20V
1:5:5
C1
2.2µF
R1
1M
VIN
Z1
EN/UVLO
R2
562k
LT3511
D3
R3
105k
RFB
RREF
D1
T1
80µH
C4
0.47µF
D2
R4
10k
VC
R5
191k
GND
BIAS
R6
90.9k
C2
6.8nF
VOUT1–
VOUT2+
4mA
C5
0.47µF
VOUT2–
–70V
SW
TC
VOUT1+
70V
4mA
C1: MURATA GRM21BR71E225KA73B
C3: TAIYO YUDEN EMK212B7475KG
C4, C5: NIPPON CHEMI-CON KTS251B474M43N0T00
D1, D2: CENTRAL SEMI CRM1U-06M
D3: DIODES INC. BAV20W
T1: WÜRTH 750311692
Z1: NXP BZX100A
C3
4.7µF
3511 TA07
48V から3.3V の非絶縁型フライバック・コンバータ
VIN
36V TO 72V
C1
1µF
D1
6:1
R1
1M
Z1
VIN
RFB
EN/UVLO
R2
43.2k
LT3511
D2
8.66k
RREF
VOUT
R4
5.11k
VC
GND
BIAS
R6
8.06k
C2
4.7nF
11µH
C4
47µF
VOUT–
SW
TC
R5
1M
R3
1M
T1
400µH
VOUT
3.3V
0.4A
C1: TAIYO YUDEN HMK316B7105KL-T
C3: TAIYO YUDEN EMK212B7475KG
C4: TAIYO YUDEN LMK325B7476MM-TR
D1: DIODES INC. SBR2A30P1
D2: DIODES INC. BAV21W
T1: WÜRTH 750311019
Z1: ON SEMI MMSZ5266BT1G
C3
4.7µF
3511 TA09
48V から12V の絶縁型フライバック・コンバータ
VIN
36V TO 72V
C1
1µF
D1
2:1
R1
1M
Z1
VIN
R2
43.2k
EN/UVLO
LT3511
RFB
RREF
GND
BIAS
TC
R4
10k
SW
VC
R5
143k
R3
191k
R6
15k
C2
6.8nF
D2
T1
300µH
75µH
VOUT+
12V
0.1A
C4
4.7µF
VOUT–
C1: TAIYO YUDEN HMK316B7105KL-T
C3: TAIYO YUDEN EMK212B7475KG
C4: MURATA GRM31CR71H475KA12
D1: DIODES INC. SBR0560S1
D2: DIODES INC. BAV21W
T1: SUMIDA 10396-T022
Z1: ON SEMI MMSZ5266BT1G
C3
4.7µF
3511 TA10
3511fc
23
LT3511
パッケージ寸法
最新のパッケージ図面については、http://www.linear-tech.co.jp/designtools/packaging/をご覧ください。
MS パッケージ
バリエーション:MS16(12)
16ピン・プラスチックMSOP(4 本のピンを除去)
(Reference LTC DWG # 05-08-1847 Rev A)
1.0
(.0394)
BSC
0.889 ± 0.127
(.035 ± .005)
5.23
(.206)
MIN
3.20 – 3.45
(.126 – .136)
4.039 ± 0.102
(.159 ± .004)
(NOTE 3)
16 14 121110 9
0.50
(.0197)
BSC
0.305 ± 0.038
(.0120 ± .0015)
TYP
推奨半田パッド・レイアウト
0.254
(.010)
0.280 ± 0.076
(.011 ± .003)
REF
3.00 ± 0.102
(.118 ± .004)
(NOTE 4)
4.90 ± 0.152
(.193 ± .006)
DETAIL “A”
0° – 6° TYP
1
ゲージ・プレーン
0.53 ± 0.152
(.021 ± .006)
DETAIL “A”
0.18
(.007)
シーティング・
プレーン
1.10
(.043)
MAX
0.17 – 0.27
(.007 – .011)
TYP
0.50
(.0197)
BSC
3 567 8
1.0
(.0394)
BSC
NOTE:
1. 寸法はミリメートル(インチ)
/
2. 図は実寸とは異なる
3. 寸法にはモールドのバリ、突出部、ゲートのバリを含まない
モールドのバリ、突出部、
ゲートのバリは、各サイドで 0.152mm
(0.006")
を超えないこと
リード間のバリまたは突出部を含まない
4. 寸法には、
を超えないこと
リード間のバリまたは突出部は各サイドで 0.152mm(0.006")
5. リードの平坦度(成形後のリードの底面)は最大 0.102mm(0.004")であること
0.86
(.034)
REF
0.1016 ± 0.0508
(.004 ± .002)
MSOP (MS12) 0510 REV A
3511fc
24
LT3511
改訂履歴
REV
日付
概要
ページ番号
A
4/11
B
6/11 「巻数比」のセクションから文章を削除し、
「アプリケーション情報」の「1 次側インダクタンスの要件」に文章を追加。
「アプリケーション情報」の「漏れインダクタンスとクランプ回路」のセクションで文章を微細なレベルで編集し、表 3を改訂
「アプリケーション情報」の「設計手順 / 設計例」のセクションでステップ3を置き換え
「アプリケーション情報」の「設計手順 / 設計例」のセクションのステップ6で式を改訂し、文章を微細なレベルで編集
すべての「標準的応用例」で「D2: Diodes」の製品番号を更新
「関連製品」のセクションにLT3512を追加
C
12/11
MPグレードを追加。
「ピン機能」のセクションでRFB ピンの説明を改訂。
「アプリケーション情報」のセクションで効率の式と表 1を更新。
「標準的応用例」の図を改訂。
絶対最大定格とHグレードの温度範囲を改訂
標準的応用例の図 TA07とTA08の抵抗値を修正
2, 3
5
9, 10
20, 21
11
12-13
16
18
20-23, 26
26
2
23
3511fc
リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責務は
一切負いません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料は
あくまでも参考資料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。
25
LT3511
標準的応用例
48V から 15V の絶縁型フライバック・コンバータ
VIN
36V TO 72V
2:1:1
C1
1µF
R1
1M
Z1
VIN
R2
43.2k
EN/UVLO
LT3511
RFB
VC
D3
R3
237k
RREF
TC
R5
154k
D1
T1
350µH
88µH
C4
4.7µF
VOUT1–
D2
R4
10k
88µH
VOUT2+
50mA
C5
4.7µF
SW
GND
BIAS
R6
20k
C2
6.8nF
C3
4.7µF
3511 TA11
VOUT1+
15V
50mA
C1: TAIYO YUDEN HMK316B7105KL-T
C3: TAIYO YUDEN EMK212B7475KG
C4, C5: MURATA GRM31CR71H475KA12
D1, D2: DIODES INC. SBR0560S1
D3: DIODES INC. BAV21W
T1: WÜRTH 750311838
Z1: CENTRAL SEMI CMHZ5266B
VOUT2–
–15V
関連製品
製品番号
LT3512
LT3748
説明
モノリシック、高電圧、絶縁型フライバック・コン
バータ、オプトカプラ不要
高入力電圧の昇圧、フライバック、SEPICおよび
反転コンバータ
100V 絶縁型フライバック・コントローラ
LT3957
昇圧、フライバック、SEPICおよび反転コンバータ
LT3956
定電流 / 定電圧の昇圧、降圧、昇降圧、SEPICまた
はフライバック・コンバータ
LT3575
LT3757
60V/2.5Aスイッチを内蔵した絶縁型フライバック・
スイッチング・レギュレータ
60V/1.25Aスイッチを内蔵した絶縁型フライバック・
スイッチング・レギュレータ
60V/0.65Aスイッチを内蔵した絶縁型フライバック・
スイッチング・レギュレータ
昇圧、フライバック、SEPICおよび反転コントローラ
LT3758
昇圧、フライバック、SEPICおよび反転コントローラ
LT3958
LT3573
LT3574
LTC1871/LTC1871-1/ No RSENSE ™、低消費電流のフライバック、
LTC1871-7
昇圧および SEPICコントローラ
注釈
4.5V ≤ VIN ≤ 100V、420mA/150Vのパワー ・スイッチを内蔵、
高電圧ピン間にスペースを設けたMSOP-16(12) パッケージ
5V ≤ VIN ≤ 80V、3.3A/84V パワー・スイッチを内蔵、
高電圧ピン間にスペースを設けた5mm 6mm QFN-36 パッケージ
5V ≤ VIN ≤ 100V、オプトアイソレータや3 次巻線が不要、ゲート・ドラ
イバ内蔵、高電圧ピン間にスペースを設けたMSOP-16 パッケージ
3V ≤ VIN ≤ 40V、5A/40V パワー・スイッチを内蔵、高電圧ピン間に
スペースを設けた5mm 6mm QFN-36 パッケージ
4.5V ≤ VIN ≤ 80V、3.3A/84V パワー・スイッチを内蔵、
True Color PWM 調光、高電圧ピン間にスペースを設けた
5mm 6mm QFN-36 パッケージ
3V ≤ VIN ≤ 40V、オプトアイソレータや3 次巻線が不要、
出力電力:最大 14W、TSSOP-16E パッケージ
3V ≤ VIN ≤ 40V、オプトアイソレータや3 次巻線が不要、
出力電力:最大 7W、MSOP-16E パッケージ
3V ≤ VIN ≤ 40V、オプトアイソレータや3 次巻線が不要、
出力電力:最大 3W、MSOP-16 パッケージ
2.9V ≤ VIN ≤ 40V、設定可能な動作周波数:100kHz ∼ 1MHz、
3mm 3mm DFN-10および MSOP-10E パッケージ
5.5V ≤ VIN ≤ 100V、設定可能な動作周波数:100kHz ∼ 1MHz、
3mm 3mm DFN-10および MSOP-10E パッケージ
2.5V ≤ VIN ≤ 36V、Burst Mode® 動作
3511fc
26
リニアテクノロジー株式会社
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6紀尾井町パークビル8F
TEL 03- 5226-7291 ● FAX 03-5226-0268 ● www.linear-tech.co.jp
LT 1211 REV C • PRINTED IN JAPAN
 LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2010