DN242 PWMスイッチャにインタフェースするリチウム

PWMスイッチャにインタフェースするリチウムイオン充電終了IC
デザインノート 242
Fran Hoffart
多くのバッテリ動作製品に再充電可能なリチウムイオン・
バッテリの採用が急増しています。これらの製品には、
ノート・パソコン、PDA、ビデオ・カムコーダ、デジタ
ル・カメラ、セルラー電話、携帯試験装置などがありま
す。リチウムイオン・バッテリは、他の再充電可能な電源
に比べ、重量および体積に対するエネルギー密度が高く、
充電から次の充電までの動作時間が長くなっています。
リチウムイオン・バッテリの充電は、比較的単純なプロセ
スです。電流制限された(1 C レートで)定電圧(許容差
±1%)を約3時間印加してから、充電を停止します(Cは、
バッテリのアンペア時間容量を示すバッテリ用語です)
。完
全な充電サイクルにはバッテリ温度に対する予備充電の判
定、および深く放電されたバッテリに対する予備充電の判
定が含まれることもあります。
バッテリ・パック保護
リチウムイオン・セルは高いエネルギーを持ち、誤用に対
して敏感なため、多くのバッテリ製造業者は安全性および
性能上の理由から、バッテリ・パック内に保護デバイスを
設けることを要求しています。これらのデバイスは、ポリ
ヒューズ、温度ヒューズ、およびバイメタリック・ブレー
1, 4
L1
33µH
CTX33-2
2, 3
1
2
C2
0.22µF
3
D3
MMBD914
5
4
6
7
8
+
10mV
–
LT®1510バッテリ・チャージャIC
LT1510は、特にバッテリ充電アプリケーション向けに設
計された高効率スイッチング・レギュレータ電源ICです。
降圧電流モードの200kHzまたは500kHz PWMトポロジー
を使用しています。プログラム可能な電流および電圧制御
回路とともに、2Aスイッチが内蔵されています。LT1510
は、16ピンSOおよび小型MSOP表面実装パッケージで供
給され、多くの状況で最大1.5Aの充電電流を供給できま
す。LT1510は多くのチャージャ機能を提供しますが、タ
イマがなく、充電電圧をプログラムするための高精度抵抗
が必要です。このような場合は、LTC®1729を追加してく
ださい。
、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。
VIN
12V TO 20V
LT1510
D1
MBRS140L
カで構成されることが多く、バッテリを高温および過電流
状態から保護します。さらに、バッテリ・パックは充電時
または放電時に過電流状態が発生した場合、あるいは過電
圧または低電圧状態が存在する場合にバッテリを切り離す
バック・トゥ・バックMOSFETスイッチも内蔵することが
あります。リチウムイオン・バッテリは過充電および過放
電状態によって容易に損傷を受けるため、これらの予防措
置の多くが必要です。
GND
GND
SW
VCC
BOOST
VCC
GND
PROG
OVP
VC
SENSE
BAT
GND
GND
GND
GND
16
15
D2
MBRS140L
14
C1 10µF
( )
CHARGE CURRENT = 2.465 (2000)
R1
13
12
11
R2
300Ω
C3
1µF
R3
1k
C5
0.1µF
10
9
R1
4.3k PROGRAM
CHARGE
CURRENT
IBAT
R6
100Ω
C7
1µF
+
C6
0.1µF
LTC1729-8.4
1
2
3
4
OVP
VCC
BAT
VC
SENSE STATUS
GND
NTC
8
7
6
R4
4.7k
C4
22µF
D5
LED1
VBAT
8.4V
+
Li-Ion
BATTERY
THERMAL CONTACT
5
R5 10k
NTC THERMISTOR
DN242 F01
図1. 2セルのリチウムイオン・バッテリ用の完全な1.3Aバッテリ・チャージャ
10/00/242
完全な2セル・リチウムイオン・チャージャ
リチウムイオン2セルの完全な定電流/低電圧チャージャを
図1に示します。LT1510は充電電流を提供し、LTC1729
は充電終了機能を提供します。R1により、充電電流を簡単
にプログラムできます。
充電サイクル
図1の回路の標準的な充電サイクルは次のとおりです。入
力電圧が印加され、バッテリが接続されていない場合、
チャージャ出力はLT1510の内部200µA電流源によって引
き上げられ、LTC1729によって9Vでクランプされます。
放電した2 セル・バッテリをチャージャに接続すると、
チャージャ出力(BATピン)
がバッテリ電圧に低下し、充電
サイクルを開始します。温度条件に関しては、NTC(サー
ミスタ)ピンの電圧は温度が0℃∼50℃であることを示す
0.405V∼2.79Vでなければなりません。そうでない場合、
温度がこの範囲に入るまで、充電サイクルはホールドされ
ます。電圧が5.2V以下で深く放電したバッテリの場合、
16mAの前処理トリクル充電が開始され、バッテリ電圧が
5.2Vを超えるまで継続されます。
判定および前処理が完了すると、充電サイクルの定電流部
分を開始します(図2の曲線を参照)。バッテリが充電を受
け入れると、バッテリ電圧が上昇し、8.4Vのプログラム値
に近づき、プログラム値になると充電サイクルの定電圧部
分が開始します。バッテリ電圧が一定に保持されると、充
電電流が指数関数的に低下し、最終的に3時間タイマが切
れる前に数十mAに達し、充電サイクルが終了します。
ボード・レイアウトおよびテスト
LT1510は1Aを超える充電電流を供給できますが、PC
ボードの良好な熱レイアウトが必要です。グランド・ピン
の広い銅トレース、フィードスルー・ビアス、およびボー
ド両面に設けた多量の銅はすべて、ICの温度上昇を抑える
のに必要です。
チャージャをテストするときは、バッテリまたはバッテリ・
シミュレータを負荷として使用してください
(従来の電子負荷
は、バッテリとは異なり、高インピーダンスです)
。単純な
バッテリ・シミュレータは、実験用可変電源と出力間の負荷
抵抗で構成されます。定格充電電流の約2倍の電流が流れるよ
うな抵抗を選択してください。これで、バッテリの代わりに
この電源を使用してテストすることができます。電源電圧を
変化させることによって、完全に放電したバッテリから完全
に充電されたバッテリへのシミュレーションが可能です。
詳細については、LT1510およびLTC1729のデータシート
を参照してください。
TRICKLE
CHARGE
CONSTANT CURRENT
CHARGE
CHARGE CYCLE
COMPLETE
1.5
CHARGE CURRENT (A)
この8ピンICは、LT1510(またはLT1511、LT1769、
LT1505、LT1512、LT1513など、他のLTCチャージャ製
品)
にインタフェースして、完全なリチウムイオン・チャー
ジャ・ソリューションを提供します。LTC1729は、充電電
圧をプログラムするための高精度分圧器を内蔵し、深く放
電されたセル用の前処理トリクル充電機能を備えていま
す。バッテリ温度はサーミスタを使用してモニタされ、3
時間タイマにより充電サイクルが終了します。また、充電
電流がプログラム可能なスレッショルド・レベル以下に低
下して、フル充電状態に近いことを示す信号を提供するス
テータス出力ピンも備えています。この信号を使用して、
LEDをドライブしたり、他の回路に充電表示を行ったり、
あるいは充電電流がスレッショルド・レベル以下に低下し
たときに充電を終了させることができます。
バッテリが取り付けられていて充電電流が100mAを超える
と、オープン・ドレインSTATUSピンが“L”になります。
このピンは、充電電流が100mA以下に低下すると50µA電
流源によって
“L”
に引き下げられ、3時間タイマがタイムア
ウトするとオープン回路になります。100mAのスレッショ
ルド・レベルは、R6を変更することによってプログラム可
能です。
CONSTANT VOLTAGE
CHARGE
1.3A
1.0
0.5
100mA
16mA
0
9
8.4V
8
BATTERY VOLTAGE (V)
LTC1729リチウムイオン充電終了IC
STATUS PIN
(WEAK PULL-DOWN)
7
STATUS PIN
(PULLED LOW)
6
STATUS PIN GOES HIGH
(TIMER STOPS CHARGE CYCLE)
5.2V
5
BATTERY
INSTALLED
4
0
データシートのダウンロード
http://www.linear-tech.co.jp/ds/j1510_6.html
http://www.linear-tech.co.jp/ds/j1729i.html
1
2
TIME (HOURS)
3
DN242 F02
図2. 標準的な充電サイクルでの充電電流および
バッテリ電圧
お問い合わせは当社または下記代理店まで(50 音順)
東京エレクトロンデバイス株式会社
株式会社トーメンエレクトロニクス
株式会社マクニカ
〒 224-0045 横浜市都築区東方町 1
TEL(045)474-5114 FAX(045)474-5624
〒 108-8510 東京都港区港南 1-8-27
TEL(03)5462-9615 FAX(03)5462-9695
〒 226-8505 横浜市緑区白山 1-22-2
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