技術紹介 1 タッチパネル用感触発生機構の基礎開発

技術紹介 1 タッチパネル用感触発生機構の基礎開発
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技術紹介
1 タッチパネル用感触発生機構の基礎開発
Development of Tactile-feedback Mechanism for Touch Panel
佐藤 光範
Mitsunori Sato
システム機器事業部技術部
瀧口 毅
Tsuyoshi Takiguchi
システム機器事業部技術部
岩尾 直樹
Naoki Iwao
システム機器事業部技術部 マネージャー
キーワード
Keywords
タッチパネル、 操作性、 感触の発生、リンク機構、 平行移動
touch panel, operability, tactile-feedback, link mechanism, parallel displacement
■ SUMMARY
■ 要旨
操作に感触が伴わないタッチパネルは、 操作が分か
りにくく、 状況によっては誤操作の可能性が高いこと
から、操作性に改善の余地があります。
今回の開発では、操作性を向上させるため、感触を
伴う形でタッチパネルの操作を行うことができる感触
発生機構を考案し試作を行いました。
感触発生機構の考案は従来から行われてきましたが、
端部を操作するときに発生するタッチパネルの傾きを補
正する手段がないことにより、 操作位置によって感触が
ばらつくため、低品位であり実用化には至っていません。
今回考案した感触発生機構は、タッチパネルの傾き
を補正できる機構であり、 本機構により操作位置によ
らない均一な感触が得られることを、 試作機評価によ
って確認することができました。感触の均一さは、 一
Touch panel without tactile-feedback is difficult to operate
and can induce miss operation, so further improvement is
needed. In order to improve operability, we have designed
and produced the tactile-feedback mechanism, which makes
us feel tactile feedback at touching the panel.
The tactile-feedback mechanism is not the new idea. But
since there is no means to correct tilt of touch panel when
touching the corner and, therefore, tactile-feedback varies
depending on touched position, the idea was not utilized
practically.
The tactile-feedback mechanism we designed can correct
tilt of the touch panel. We have confirmed by the trial model
that even tactile-feedback has been obtained regardless
of touched position. Furthermore, the evenness of
tactile-feedback is superior to common button switch, so the
mechanism is expected to enable substantial improvement
of operability with high quality.
般的な押しボタンスイッチを上回るものであり、 操作性
の向上を高品位の下で実現できる機構として、 本機構
は有効です。
写真 1 感触発生機構が組み込まれた試作機の外観、 及び表示画面
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1 はじめに
タッチパネルは、画面表示された情報を見ながら、同一画面上で機器を制御できるヒューマ
ン・マシン・インターフェースとして、製造装置、自動券売機、自動車等の分野で幅広く普及
しています。
タッチパネルの操作に注目すると、その操作は、 表示器によってタッチパネル上に形成され
た複数の操作領域から、 一つを選択して指で触るというものであり、 一般的なスイッチを操作
するときに発生する‘感触’
というものを伴わない操作といえます。
このような操作では、 利用者の意図が適切に機器に伝達されたかどうかが、 直感的に分か
りにくく、また常に振動環境下にある自動車での操作においては、意図とは違う操作領域に触
れることで、望まない制御が実行される誤操作が起こりえます。
従来から、この操作性の弱点克服を目的として、 タッチパネルの操作時にスイッチを操作し
ているような感触を発生させる機構の開発がなされてきましたが、その感触が、 操作領域の位
置によって異なるものであったため、これらは低品位の状況でした。
操作領域の位置によらない均一な感触を発生させ、 タッチパネルの操作性向上を高品位の
下で実現すべく開発、試作したものが、タッチパネル用感触発生機構です。
感触発生機構が組み込まれた試作機の外観、及びその表示画面を写真 1 に示します。
本稿では、試作機の特徴を解説した後、評価結果を示し、試作機が狙いどおりの性能を有
することを明らかにします。
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2 試作機の特徴
試作機の特徴は以下のとおりです。
(1)感触を伴う形でタッチパネルの操作が行えるため、高操作性が実現します。
(2)
(1)の感触は操作領域の位置によらず均一であるため、高品位が実現します。
普及型タッチパネル(※ 1)、従来型構造(※ 2)、試作機の特徴を比較したものを表 1 に示
します。
表 1 特徴比較表
感触
均一感触
操作性
品位
普及型タッチパネル
無し
−
×
−
従来型構造
有り
×
△
×
試作機
有り
○
○
○
本章では、 まず試作機の操作性に関する特徴(1)を解説するため、 試作機と普及型タッチ
パネルの比較を行います。
次に、試作機の品位に関する特徴
(2)を解説するため、試作機構造と従来型構造の比較を
行います。
最後に、試作機のその他の特徴を解説します。
(※ 1)普及型タッチパネルとは、現在普及している一般的なタッチパネルを指します。
(※ 2)従来型構造とは、タッチパネルへの操作時に感触を発生させるために、従来
から考案されてきた構造の代表例を指します。
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2.
1 試作機と普及型タッチパネルの比較
2.
1.
1 タッチパネル動作の比較
試作機のタッチパネルを操作したときの、タッチパネル動作を図1に示します。
普及型タッチパネルは、タッチパネル上の操作領域に指で‘触る’
という操作に対して、タッ
チパネルは機構的には動作しません。
(※ 3)
一方試作機は、操作領域を指で‘押す’
という操作に対して、タッチパネル全体が操作方向
へ機構的に動作し、 操作領域から指を離し操作を終了させると、 逆方向へ動作することで初
期位置に復帰します。
(※ 3)抵抗膜式タッチパネルで発生する、接点どうしを接触させるためのタッチパネルの局
部的な弾性変形、及び全方式で発生する、通常使用状態における弾性変形等は、微
小であるため、本稿ではこれらを機構的な動作に含めないこととします。
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図 1 試作機のタッチパネル動作
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2.1.2 操作性の比較1 ─ 操作のわかりやすさの比較 ─
一般的なスイッチの荷重変位特性と電気的な挙動を図2に示します。
A 部では、荷重が右肩上がりから右肩下がりに変化し、 B 部では逆に変化しています。スイ
ッチを操作するときの感触は、 A 部および B 部において、 荷重の傾きが変化することで発生
します。特に B 部における傾きの変化は、スイッチの電気的 ON とほぼ同時に起きるため、電
気的 ON による制御の実行開始を感触によって直感的に知ることができます。
ここで、普及型タッチパネルを考えると、2.1.1 に示したとおり、操作に対してタッチパネル
が動作しないため、感触が発生しません。よって、普及型タッチパネルは、制御の実行開始を
感触で直感的に知ることができないため、 操作がわかりにくく、 操作性が優れているとはいえ
ません。
(※ 4)
一方、 試作機は、 図 2 の荷重変位特性を示すスイッチが構造内に配置されており、 操作に
対してタッチパネルが動作し、スイッチが押される仕組みとなっているため、感触が発生します。
よって、 一般的なスイッチのように、 制御の実行開始を直感的に知ることができるため、 普及
型タッチパネルに比べて優れた操作性を持ちます。
荷重
A部
B部
変位
図 2 一般的なスイッチの荷重変位特性と電気的挙動
(※ 4) 普及型タッチパネルでは、 制御の実行開始を知らせる方法として音を用いるのが一般
的です。しかし、タッチパネルがスイッチである以上、一般的なスイッチのように感触
によって実行開始を知らせる方が、より自然であり利用者にとってわかりやすい方法で
あるとわれわれは考えています。
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2.1.3 操作性の比較 2 ─ 誤操作しにくさの比較 ─
普及型タッチパネルを、 隣り合う操作領域の間隔が狭い状況や、 振動環境下で操作をしよ
うとすると、意図したものとは異なる操作領域を触ってしまうことがあります。
操作領域に触るだけで即座に制御が実行される普及型タッチパネルでは、 意図とは違う操
作領域に触ることで、望まない制御が実行されます。
これが誤操作と呼ばれるものであり、 誤操作をすると、それを修正するためにわざわざ再度
の操作が必要になることから、普及型タッチパネルは、2.1.2で指摘した点とあわせ、この点
においても、操作性が優れているとは言えません。
一方、試作機は、明らかな意図をもってタッチパネルを動作させなければ制御の実行が行わ
れないため、普及型タッチパネルと比べて誤操作する可能性が小さく、また再度の操作が必要
になることが少ないため、優れた操作性を持ちます。
(※ 5)
普及型タッチパネルにおける誤操作のイメージを図3に示します。
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ENTER ����
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ENTER
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図 3 普及型タッチパネルにおける誤操作イメージ
(※ 5)‘明確な変位’を伴う形でタッチパネルを動作させるのではなく、 タッチパネルを微振
動させ、 スイッチのような感触を‘擬似的’に発生させようとする試みもあります。し
かし、感触は伴うものの、意図しない操作領域に触るだけで望まない制御が実行さ
れるのは、 普及型タッチパネルと同じです。明らかな意図がある操作に対してのみ制
御が実行される試作機は、 誤操作の面で優れると考えます。また、 スイッチが本来
持つ感触は‘明確な変位’を伴う感触であり、この感触を発生させることができる試
作機は、操作のわかりやすさの面でも優れると考えます。
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2.2 試作機構造と従来型構造の比較
2.2.1 従来型構造の特徴 (1) 機構部概要 従来型構造の部品構成を図 4 に示します。
化粧パネル
タッチパネル
スライダ
レール
表示器
スイッチ
基板
リアケース
レール溝
図 4 従来型構造の部品構成図
従来型構造は、スライダと一体になるよう組み込まれたタッチパネルが、 表示器、スイッチ、
基板と共にリアケースに収納され、内部構造を覆うための化粧パネルが組み込まれる構造です。
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(2)ブロック図概要
ブロック図概要を図 5 に示します。
(※ 6)
タッチパネルを操作する際、タッチパネルを指で触ると、どの操作領域が選択されたか
が仮検出され、操作領域情報がタッチパネルから CPU に伝達されます。この時点では、
CPU から装置に対して制御命令は伝達されません。さらにタッチパネルを押すと、 スイッ
チが押され感触の発生と共にスイッチが ON となり、操作領域が確定します。
操作領域の確定後、 CPU から装置に対して制御命令が伝達されます。
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図 5 ブロック図概要
(※ 6)本ブロック図概要は、従来型構造と試作機の両方に当てはまります。
(3)従来型構造の問題点
従来型構造において、タッチパネル中央部を操作したときの挙動、およびタッチパネル
端部を操作したときの挙動をそれぞれ図 6、図 7 に示します。
本構造において、タッチパネルの中央部に位置する操作領域を操作した場合、図 6 の
とおり、荷重が 2 つのスイッチに均等に作用し、タッチパネルは初期状態に対して平行を
保ちながら操作方向に動作します。
一方、タッチパネルの端部に位置する操作領域を操作した場合、図 7 のとおり、タッチ
パネルは初期状態に対して傾きながら操作方向に動作し、 荷重が 2 つのスイッチに不均
一に作用します。
(※ 7)
このように、操作位置によって、2 つのスイッチに作用する荷重が変化し、また、操
作位置によって、タッチパネルの傾きが変化することにより、操作時に感じる感触が異な
ることになります。以上より、従来型構造は低品位であるといえます。 (※ 7)スライダのレール、リアケースのレール溝により、 一定以上の傾きは‘規制’され
ますが、表示器のサイズが大きくなるにつれ、微小な傾きによっても、荷重は2つ
のスイッチに不均一に作用します。
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図 6 タッチパネル中央部を操作したときの挙動 (※ 8)
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図 7 タッチパネル端部を操作したときの挙動 (※ 8)
(※ 8)図 6、図 7 ではリアケースを省略してあります。
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2.2.2 試作機構造の特徴
従来型構造において感触が異なる原因は、 タッチパネルの傾きを‘補正’できないにもかか
わらず、タッチパネルで直接スイッチが押されるという構造にあります。
今回の開発では、この原因に着目し、感触発生機構として、タッチパネルの動作と連動する
リンク機構によってスイッチが押される構造を考案し、本試作機に適用しました。
タッチパネルの 4 隅と本機構は接続されており、タッチパネルのどの操作領域を操作しても
リンク機構は同一な動作をします。スイッチは、この動作により押されるため、その押され方は、
どの操作領域を操作しても同一になります。
また、どの操作領域を操作してもリンク機構の動作が同一であり、かつリンク機構とタッチ
パネルが接続されているため、タッチパネル全体が初期状態と平行を保って動作します。
以上より、操作位置によってスイッチに作用する荷重が変化することは無く、かつタッチパネ
ルの傾きが変化することも無いため、操作位置によらず感触が一定であり、これにより、高品
位が実現します。
なお、試作機で使用した、タッチパネル、リンク機構、およびその他構成部品は、7 インチ
ワイド液晶(170mm * 104mm * 21mm)に対応する形状および構造であり、これらの組付性
は、量産を視野に入れたものとなっています。
2.3 試作機のその他の特徴 2.3.1 異物による復帰不良対策
タッチパネルが動作することにより発生する問題点を図8に示します。
(※ 9)
タッチパネルは、 操作によって操作方向に動作することから、化粧パネルとタッチパネルには
かならず隙間が生じます。この現象は、 従来型構造を操作する場合でも、 試作機を操作する場
合でも同様に発生する現象です。仮に、この隙間にごみ等の異物が挟まると、操作を終了させて
もタッチパネルは初期位置に復帰しなくなるため、品質上問題となります。
そこで試作機では、化粧パネルとタッチパネルにできる隙間と外部を遮断するリブ状の部品
をタッチパネル上に設けました。
これにより、異物の侵入を防ぐことができ、品質が向上します。
(※ 9)図 8 では従来型構造を用いて問題点を説明しています。
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2.3.2 自重による復帰不良対策、振動による誤動作対策
従来型構造では、 タッチパネルやスライダは2つのスイッチによって支えられています。これ
らの自重が小さい場合、 操作方向に動作したタッチパネルは、 操作を終了させるとスイッチの
復元力により初期位置に復帰します。一方自重が大きく、自重がスイッチの復元力を超えると、
初期位置に復帰しなくなります。
表示器が大きくなると、タッチパネルやスライダのサイズも大きくなり、自重も増えます。よっ
て、 表示器が大きくなると、 タッチパネルが初期位置に復帰しなくなる可能性が高くなり、 品
質上問題となります。
また振動環境下においては、 操作方向に加速度が加わることが考えられます。自重が大き
い場合、加速度により発生する力が無視できず、これによりスイッチが押され、操作していない
にもかかわらずタッチパネルが動作する可能性があります。この現象も品質上問題となります。
試作機においても、タッチパネルがスイッチによって支えられているのは従来型構造と同様で
あるため、復帰不良、誤動作が起こりえます。
そこで、試作機では、タッチパネルと接続されているリンクの一端とは、回転軸をはさんで反
対側のリンク部分に、錘を取り付ける構造としました。このようにすれば、タッチパネルの自重
を実質 0 にすることができるため、自重による復帰不良や振動による誤動作を回避でき、品質
が向上します。
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図 8 タッチパネルが動作することによる問題点
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3 試作機評価
本章では、試作機が持つ感触特性をデータで示し、さらにその特性を一般的な押しボタンス
イッチの特性と比較することで、 試作機が操作位置によらない均一な感触を発生させることを
示します。
3.1 感触特性の定義
一般的に、スイッチの感触特性は、ピーク荷重、ストローク、クリック率(※ 10)の 3 指標
で定義されます。これらの意味を表2に示し、荷重変位特性上における位置付けを図 9 に示し
ます。
表 2 感触特性3指標の意味
①
ピーク荷重
荷重の傾きが正から負に変化するときの荷重
②
ボトム荷重
荷重の傾きが負から正に変化するときの荷重
③
ストローク
荷重の傾きが負から正に変化するときの変位
④
クリック率
(ピーク荷重ーボトム荷重) /ピーク荷重
�
荷重
�
�
変位
図 9 荷重変位特性上での感触特性 3 指標の位置付け
(※ 10)クリック率は、ピーク荷重とボトム荷重から計算によって導かれる値です。
3.2 感触特性測定方法
タッチパネル上 25 点(縦*横:5 点* 5 点)を測定ポイントに設定し、 各測定ポイントに
おける試作機の感触特性を引張圧縮試験機により測定しました。 Copyright
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3.3 感触特性測定結果
3.3.1 ピーク荷重
各測定ポイントにおけるピーク荷重の測定データをグラフ 1 に示します。
��
��
��
測定ポイント
��
��
��
�
�
�
���
�
���
�
荷重(N)
最小
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平均
最大
グラフ 1 ピーク荷重測定データ
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3.3.2 ストローク
各測定ポイントにおけるストロークの測定データをグラフ 2 に示します。
��
��
��
測定ポイント
��
��
��
�
�
�
���
���
���
���
���
�
ストローク(mm)
最小
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平均
最大
グラフ 2 ストローク測定データ
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3.3.3 クリック率
各測定ポイントにおけるクリック率の測定データをグラフ 3 に示します。
��
��
��
測定ポイント
��
��
��
�
�
�
��
��
��
��
��
��
��
クリック率(%)
最小
平均
最大
グラフ 3 クリック率測定データ
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3.3.4 感触特性結果まとめ 測定ポイントによる感触特性のばらつき度合い(※ 11)を表 3 に示します。
表3 感触特性のばらつき度合い
最大値のずれ率
最小値のずれ率
ピーク荷重
5.1%
− 6.1%
ストローク
4.1%
− 3.8%
クリック率
4.6%
− 3.8%
(※ 11)感触特性のばらつき度合いは、 25 ポイントの平均値から、最大値または最小
値がどれだけずれているかで表します。
(ずれ率)
ずれ率(%)=(最大値 or 最小値− 25 ポイント平均値)/ 25 ポイント平均値* 100 3.4 感触特性の比較
試作機の感触特性のばらつき度合いを、 一般的な押しボタンスイッチ(※ 12)と比較した結果
をグラフ 4 に示します。
�ピーク荷重
����
ストローク
� クリック率
ずれ率 ︵%︶
����
���
���
����
�����
�����
試作機
一般的な押しボタンスイッチ
グラフ 4 感触特性の比較
(※ 12)一般的な押しボタンスイッチとして、高級自動車向けナビゲーション操作パネル
に使用されている押しボタンスイッチを選択しました。構造は従来型構造と原理
的にはほぼ同一です。
なお、測定ポイントは、操作ノブ(外形 40mm * 20mm)上の 5 点(中央部、
4 隅部)です。3指標の測定データは省略しました。
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3.5 試作機評価結果まとめ 試作機のタッチパネルは、 押しボタンスイッチよりも外形で約 20 倍大きいにもかかわらず、
操作位置による感触特性のばらつきが小さくなっています。
従来型構造は、 表示器を組み込む必要があり、 押しボタンスイッチより構造が大きくなるた
め、感触特性のばらつきは押しボタンスイッチより大きくなります。
よって、試作機の感触特性のばらつきは、従来型構造よりはるかに小さくなります。
両者の構造的な違いはリンク機構の有無であり、 タッチパネルの傾きを補正できるリンク機
構により感触特性のばらつきが抑えられることが分かります。
以上より、試作機は従来型構造に比べ、操作性の向上を高品位の下で実現できる構造であ
ることが証明されたといえます。
4 むすび
タッチパネルは、表示を切り替えることによって、無限個のスイッチとして機能するため、押
しボタンスイッチを数多く並べるのと比較して省スペース化が図れる等の利点がある一方、操作
性に改善の余地があるという弱点があります。
今後タッチパネルがさらに普及していくことが予想される中で、 利用者に直接影響する操作
性の問題は、解決しなければならない問題です。
タッチパネルの操作性向上を高品位の下で実現できるタッチパネル用感触発生機構は、 こ
の問題を解決できる技術であり、 本技術を確立させることで使いやすいタッチパネルの普及に
貢献していきたいと考えます。
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