(VR)型レゾルバの開発

技術紹介 13 可変リラクタンス(VR)型レゾルバの開発
技術紹介
13 可変リラクタンス(VR)型レゾルバの開発
Development of Variable Reluctance (VR) Resolver
中原 隆
Takashi Nakahara
航機事業部 第二技術部
肥後 正
Tadashi Higo
航機事業部 第二技術部 主任
キーワード: 回転角、角度、センサ、磁気、レゾルバ、回転子、固定子
Keywords : rotation angle, angle, sensor, magnetism, resolver, rotor, stator
要 旨
SUMMARY
自動車分野では燃費性能の向上を目指し、機能の
電気/電子化、動力のハイブリッド化が進んでいます。
この燃費向上の一例としては、ハイブリッドに代表さ
In the automobile industry, shift to electric/electronic
control and hybrid of power is in progress in order to
increase fuel efficiency. As one of the fuel efficiency
improvements, high-efficiency of power motor, as
represented by hybrid cars, is focused. Accordingly,
demand for rotation angle sensors is increasing to
meet the requirement.
Based on the JAE's accumulated wire winding and
magnetic circuit design technologies, we developed a
variable reluctance (VR) resolver, a sensor to detect
rotation angle using alternating magnetic field.
The resolver features high environmental durability
compared to conventional optical encoder or magnetic
encoder using magnetoresistance effect (MR)
element and attains angular error of under ±0.5°fully
enough to use for the said applications.
れる動力モータの高効率化が挙げられ、その実現のた
めの回転角センサの需要が増加しています。
そこで航空電子の保有する巻線技術、磁気回路設
計技術を活かし、交流磁界を使用して回転角を検出
するセンサである可変リラクタンス (VR) 型レゾルバ
を開発しました。
本センサは従来型の光学式エンコーダや磁気抵
抗効果 (MR) 素子を使った磁気式エンコーダに比べ高
い耐環境性を特 徴とし、前記の用途に対し十 分な精
度である角度誤差 ±0.5°
以下を達成しています。
Copyright c 2006, Japan Aviation Electronics Industry, Ltd.
航空電子技報 No.29(2006.3)
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1 まえがき
近年自動車市場では自動車の環境性能向上に対する要求が強くなってきています。この
ため各自動車メーカでは燃費性能の追求を進めています。このような動きにより電子制御
機器、モータ、制御用回転角センサの需要が増加してきました。
この中で制御用回転角センサは動力系のモータ/ジェネレータ、EPS(電動パワース
テアリング)などに使われています。このような用途での回転角センサは高い耐環境性が
要求されます。
従来回転角センサとして使われてきた光学式エンコーダ、磁気式エンコーダは温度、磁
場/電場ノイズの影響を受けるため耐環境性があまり高くありません。
レゾルバは耐環境性に有利な構造であり、自動車での厳しい環境条件でも使用すること
ができます。そこで、これまで航空電子が技術開発の中で培ってきた磁気回路設計技術、
巻線技術を活かし、高い耐環境性を持った VR 型レゾルバを開発しました。
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2 可変リラクタンス (VR) 型レゾルバ
2.1 レゾルバ原理
従来型のレゾルバは回転する励磁コイル(回転子)と固定された 2 組の検出コイル(固
定子)から構成され、回転角に対して正弦波状に振幅が変化する 2 相の 90°ずれた信
号が出力されます(図 1、図 2)
。この出力信号のアークタンジェントを取ると回転角が
分かります。この変換を行う専用 IC が RD(Resolver-Degital)コンバータです。
レゾルバは鉄心とコイルのみで構成されているため、他のセンサに比較して構造的に高
い耐環境性を持っていることが特徴です。
しかし従来型のレゾルバは回転子、固定子の両方に巻線をする必要があり、また回転す
る励磁コイルに電源を供給するためのブラシまたは回転トランスが必要であることから、
構造が複雑になりコストが高いことが問題でした。
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図 1 レゾルバ原理
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図 2 レゾルバ入出力波形
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2.2 可変リラクタンス(VR)型レゾルバ原理
可変リラクタンス(VR)型レゾルバは、磁路中に設けたギャップの変動によりトラン
スの効率が変化することを利用したレゾルバです(図 3)。
ギャップが回転角に対して周期的に変化するようにロータ形状を設定することにより、
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回転子側の巻線無しで角度出力を検出することができます。
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図 3 VR 型レゾルバ原理
この方式では回転子にコイルを必要としないため巻線が固定子側のみで済み、電源供給
用のブラシまたは回転トランスが要らなくなるため従来型レゾルバに比べ構造が簡単にな
ります。そのため、より低コストでレゾルバを供給することが可能です。
しかしながら、構造が簡単であるが故に角度精度を達成するためにはいくつかのポイン
トをクリアする必要がありました。 その代表的な例を以下に述べます。
(1)回転子/固定子形状:実運用での機械的装着誤差等による角度精度劣化を
極小とする形状設計
(2)不要漏洩磁束の低減:3 次元磁場解析による最適形状化
(3)精密コイル巻線:端数誤差の生じない巻線方法の採用
このような技術課題を解決し、角度精度 ± 0.5°以下を達成する VR 型レゾルバを開発
しました。
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3 試作品の性能
試作した VR 型レゾルバは、1 回転で 2 周期分の角度出力が出る 2X タイプと 1 回転
で 3 周期分の角度出力が出る 3X タイプの 2 種類です。
角度誤差は 2X タイプで 15′
、3X タイプで 8′と目標の ± 0.5°
(= 30′)以下を達
成しました。また回転子、固定子に偏芯(50 μ m)が生じた場合においても、角度誤差
は± 0.5°
であり、一般的な取付方法でも十分な精度を確保できます。
試作品の外観を図 4、性能、耐環境性を表 1、2 に示します。
図 4 試作品外観(3X タイプ)
表 1 試作品性能
タイプ
2X
3X
サイズ
φ 50
φ 50
変圧比
0.480
0.405
角度誤差
± 15′
± 8′
角度誤差
(偏芯 50 μ m)
± 30′
± 10′
表 2 耐環境性
使用温度範囲
− 40 ∼ +155℃
湿度
90% RH
振動
196 m/sec2(20G)
衝撃
980 m/sec2(100G)
許容回転数
15,000rpm 以上
EMI
100V/m, ∼ 400MHz
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4 むすび
今回、可変リラクタンス型レゾルバを開発し、性能評価を行い、当初目標とした機能・
性能を得ることができました。
今後は角度精度の向上、更に高い耐環境性の実現を目指し開発を進めて行きます。
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