ホット・ソケットおよびパワー・オン・リセット

4. ホット・ソケットおよび
パワー・オン・リセット
この資料は英語版を翻訳したもので、内容に相違が生じる場合には原文を優先します。こちらの日本語版は参考
用としてご利用ください。設計の際には、最新の英語版で内容をご確認ください。
CII51004-2.0
はじめに
Cyclone™ II デバイスは、外部デバイスを使用せずに、ホット・プラグ
イン、ホット・インサートまたはホット・スワップとしても知られるホッ
ト・ソケット(活線挿抜)およびパワー・シーケンスをサポートします。
ユーザは、システムの動作中にボードや動作中のシステム・バスに影響
を与えることなく、Cyclone II ボードを取り付けたり、取り外すことが
できます。
3.3 V、2.5 V、1.8 V、および 1.5 V デバイスが混在して実装されたプリン
ト基板(PCB)上で Cyclone II デバイスを使用すると、ホット・ソケッ
ト機能によってボード・デザインが簡素化されます。Cyclone II のホッ
ト・ソケット機能により、ユーザはボード上の各デバイスのために適切
なパワーアップ・シーケンスを確保する必要がなくなります。
Cyclone II のホット・ソケット機能の特長は、以下のとおりです。
■
外部コンポーネントやボードを操作せずに、ボードまたはデバイス
の挿抜が可能
■ パワーアップ・シーケンスのサポート
■ ホット・インサート中のシステム・バスへの影響がない I/O バッファ
この章では、Cyclone II デバイスのパワー・オン・リセット(POR)回
路についても説明します。POR 回路は VCC が動作範囲内になるまで、デ
バイスをリセット状態に維持します。
Cyclone II の
ホット・
ソケット仕様
Cyclone II デバイスは、外部コンポーネントや特別なデザイン要件なしで
上記の 3 つの特長をすべて満たすホット・ソケット機能を提供します。
Cyclone II デバイスのホット・ソケット機能により、以下が実現されます。
■
デバイスを損傷させることなく、パワーアップ前にドライブ可能。
I/O ピンはパワーアップ時にトライ・ステートを維持。デバイスはパ
ワーアップ前またはパワーアップ時にトライブ・アウトしないため、
動作中の他のバスに影響しません。
■ I/OピンからVCCIOまたはVCCINT電源への内部電流経路はありません。
I/O ピンでドライブ・インされた信号は、VCCIOまたはVCCINT パワー・
バスに給電しません。
■
Altera Corporation
2005 年 7 月
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Cyclone II のホット・ソケット仕様
デバイスはパワーアップ前にドライブ可能
パワーアップまたはパワーダウン前またはその間に、デバイスに損傷を
与えることなく、Cyclone II デバイスの I/O ピン、専用入力ピン、およ
び専用クロック・ピンに信号をドライブできます。Cyclone II デバイス
は、任意のパワーアップ・シーケンスまたはパワーダウン・シーケンス
(VCCIO および VCCINT)をサポートし、システム・レベルのデザインを簡
素化します。
I/O ピンはパワーアップ時にトライ・ステートを維持
ホット・ソケットをサポートしないデバイスは、パワーアップ前または
パワーアップ時にドライブ・アウトすることにより、システム動作を中
断したり衝突を引き起こす可能性があります。ホット・ソケットの状態
では、Cyclone II デバイスの出力バッファは、システムのパワーアップ
またはパワーダウン時にオフになります。また、Cyclone II デバイスは、
コンフィギュレーションされて適切な動作条件になるまでドライブ・ア
ウトしません。
信号ピンにはVCCIOまたはVCCINT電源への内部電流経路がない
ホット・ソケットをサポートしないデバイスでは、デバイスの信号ピン
を通じてパワーアップされるときに電源が短絡する可能性があります。
この不適切なパワーアップによって、ドライブするデバイスとドライブ
されるデバイスの両方が損傷し、カードのパワーアップが妨害される場
合があります。
Cyclone II デバイスには、パワーアップ前またはパワーアップ時に、I/O
ピン、専用入力ピン、または専用クロック・ピンから VCCIO ピンまたは
VCCINT ピンへの電流経路はありません。Cyclone II デバイスは、システ
ム・ボードの動作を中断または妨害することなく、パワーアップ後のシ
ステム・ボードに取り付ける(またはシステム・ボードから取り外す)
ことができます。Cyclone II デバイスは、ホット・ソケット時にバック
プレーンのシグナル・インテグリティに最小限の影響しか与えません。
VCCIO ピンと VCCINT ピンは、任意のシーケンスでパワーアップまた
はパワーダウンできます。電源ランプ・レートの範囲は、100 µs ∼
100 ms です。両方の VCC 電源は、I/O ピンのドライブ・アウトを
避けるために、互いに 100 ms 以内にパワーダウンする必要があり
ます。ホット・ソケット中には、I/O ピンのキャパシタンスは 15 pF
未満、クロック・ピンのキャパシタンスは 20 pF 未満です。Cyclone II
デバイスは、次のホット・ソケット仕様に適合します。
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Cyclone II デバイス・ハンドブック Volume 1
Altera Corporation
2005 年 7 月
ホット・ソケットおよびパワー・オン・リセット
ホット・ソケット DC 仕様:| IIOPIN | < 300 µA
ホット・ソケット AC 仕様:| IIOPIN | < 8 mA、
10 ns 以下の場合は| IIOPIN | > 8 mA
IIOPIN は、デバイスの任意のユーザ I/O ピンの電流です。AC 仕様には 2
つの要件があります。パワーアップまたはパワーダウン時のピーク電流
は、8 mA 未満である必要があります。10 ns 以下の場合は、ピーク電流
が 8 mA を超えても構いません。
半導体デバイスのホット・ソケットに関する一般的な問題として、ラッ
チ・アップの危険性があります。電気的なサブシステムがアクティブ・
システムにホット・ソケットされると、ラッチ・アップが発生する可能
性があります。ホット・ソケット時に、電源からデバイスの VCC プレー
ンとグランド・プレーンに給電される前に、信号ピンがアクティブ・シ
ステムによって接続されドライブされることがあります。これにより、
ラッチ・アップが発生し、VCC からデバイス内のグランドへの低インピー
ダンス・パスが生じる可能性があります。その結果、デバイスに大きな
電流が流れ、電気的損傷を引き起こす可能性があります。
アルテラは、I/O バッファとホット・ソケット回路のデザインによって、
ホット・ソケット中に Cyclone II デバイスがラッチ・アップを起こさな
いようにしています。
Cyclone II
デバイスへの
ホット・
ソケット機能
の実装
ホット・ソケット機能は、パワーアップ(VCCINT 電源または VCCIO 電源
のいずれか)またはパワーダウン時に出力バッファをオフにします。ホッ
ト・ソケット回路は、VCCINT または VCCIO のいずれかがスレッショルド
電圧より低い場合に、内部 HOTSCKT 信号を生成します。デザインでは、
HOTSCKT 信号を他の目的で使用することはできません。HOTSCKT 信号
は、出力バッファをカット・オフし、DC 電流(ウィーク・プルアップ・
リーク電流を除く)がピンを通してリークしないようにします。VCC が
ゆっくり上昇する場合、内部 POR 信号(カスタマ・デザインで使用され
る FPGA ファブリックでは使用できない)がリリースされてコンフィ
ギュレーションが終了した後も、VCC は比較的低いままです。この低い
VCC 電圧では、ホット・ソケット回路が I/O ピンをトライ・ステートに
維持するので、出力バッファをドライブ・アウトできず、CONF_DONE
ピン、nCEO ピン、および nSTATUS ピンは応答しません。そのため、こ
れらのコンフィギュレーション出力ピンまたは双方向ピンがコンフィ
ギュレーション中に動作できるように、これらのピンからホット・ソケッ
ト回路は除去されています。これらのピンは、パワーアップおよびパワー
ダウン・シーケンス中にドライブ・アウトする必要があります。
各 I/O ピンには、図 4-1 に示す回路があります。
Altera Corporation
2005 年 7 月
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Cyclone II デバイス・ハンドブック Volume 1
Cyclone II デバイスへのホット・ソケット機能の実装
図 4-1. Cyclone II デバイスのホット・ソケット回路のブロック図
パワー・オン・
リセット・
モニタ
出力
ウィーク・
プルアップ
抵抗
R
出力イネーブル
PAD
電圧トレランス・
コントロール
ホット・ソケット
出力
プリ・ドライバ
入力バッファから
ロジック・アレイ
POR 回路は、VCCINT 電圧レベルをモニタし、デバイスがユーザ・モー
ドになるまで I/O ピンをトライ・ステートに維持します。I/O ピンから
VCCIO へのウィーク・プルアップ抵抗(R)によって、I/O ピンがフロー
ト状態にならないようにしています。電圧トレランス・コントロール回
路によって、VCCIO または VCCINT(あるいはその両方)に給電される前
に、I/O ピンが 3.3 V でドライブされ、デバイスがユーザ・モードでな
い場合に I/O ピンのドライブ・アウトを防止します。ホットソケット回
路は、デバイスに給電される前に外部信号によって I/O ピンがドライブ
された場合に、I/O ピンから内部で VCCIO と VCCINT に給電されるのを防
止します。
内部ウィーク・プルアップ抵抗値について詳しくは、
「Cyclone II デバイ
ス・ハンドブック」の「DC &タイミング特性」の章を参照してください。
図 4-2 に、Cyclone II デバイス I/O バッファのトランジスタ・レベルの断
面図を示します。このデザインでは、VCCIO に VCCINT より先に給電された
場合、または I/O パッド電圧が VCCIO より高い場合には、出力バッファは
ドライブしません。これはホット・ソケット中の突発的な電圧スパイクの
場合にも当てはまります。ホット・ソケット中には、信号 I/O ピンから
VCCINT または VCCIO への電流経路はありません。VPAD リーク電流は、電圧
トレランス・コントロール回路のキャパシタンスを充電します。
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Cyclone II デバイス・ハンドブック Volume 1
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ホット・ソケットおよびパワー・オン・リセット
図 4-2. FPGA デバイス I/O バッファのトランジスタ・レベル図
VPAD
ロジック・
アレイ信号
(1)
(2)
VCCIO
n+
n+
pウェル
p+
p+
n+
nウェル
p基板
図 4-2 の注:
(1) これは、ロジック・アレイ信号、あるいは VCCIO または VPAD のいずれか大き
い方の信号です。
(2) これは、VCCIO または VPAD のいずれか大きい方の信号です。
パワー・オン・
リセット回路
Cyclone II デバイスには、パワーアップ中に電源電圧レベルが安定する
までデバイス・システム全体をリセット状態に維持する POR 回路があ
ります。POR 回路は、VCCINT および VCCIO 電圧レベルをモニタし、VCC
が上昇して通常のユーザ・レベルに達するまで、すべてのユーザ I/O ピ
ンをトライ・ステートにします。また、POR 回路はコンフィギュレー
ションがトリガされる前に、コンフィギュレーション・ピンを含む 2 つ
の I/O バンク(EP2C5 と EP2C8 の場合は I/O バンク 1 および 3、EP2C20、
EP2C35、EP2C50、および EP2C70 の場合は I/O バンク 2 および 6)の
VCCIO レベルおよびロジック・アレイの VCCINT 電圧が確実に受け入れ可
能なレベルに到達するようにします。POR 回路は、Cyclone II デバイス
がユーザ・モードになった後も VCCINT 電圧レベルを継続してモニタする
ため、ユーザ・モード中のブラウン・アウト状態を検出できます。ユー
ザ・モード中に、VCCINT 電圧がおよそ 600 ∼ 700 mV の POR トリップ・
ポイント以下に低下すると、POR 回路がデバイスをリセットします。
ユーザ・モード中に VCCIO 電圧が低下した場合、POR 回路はデバイスを
リセットしません。
Cyclone II デバイスに給電されたとき、VCC が(最大 VCC 立ち上がり時
間として指定された)所定の時間内に推奨動作範囲に達した場合、POR
イベントが発生します。Cyclone II デバイスの最大 VCC 立ち上がり時間
は 100 ms、最小 POR 時間は 100 ms です。ただし、ユーザは外部コン
ポーネントを使用して nSTATUS ピンをアサートすることによって、初
期化時間を延長できます。
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2005 年 7 月
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Cyclone II デバイス・ハンドブック Volume 1
まとめ
まとめ
Cyclone II デバイスはホット・ソケットが可能であり、I/O ピンのドラ
イブ・アウトを防止するために VCCIO と VCCINT が互いに 100 ms 以内で
パワーアップおよびパワーダウンされるという要件を満たす限り、すべ
てのパワーアップ・シーケンスおよびパワーダウン・シーケンスをサポー
トします。Cyclone II デバイスは、ホット・ソケットおよびパワー・シー
ケンス用の外部デバイスを必要としません。
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Cyclone II デバイス・ハンドブック Volume 1
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2005 年 7 月