MAX V デバイスのホット・ソケットおよびパワー・オン・リセット

4.MAX V デバイスのホット・ソケット
およびパワー・オン・リセット
December 2010
MV51004-1.0
この資料は英語版を翻訳したもので、内容に相違が生じる場合には原文を優先します。こちらの日本語版は参考用としてご利用ください。設計の際
には、最新の英語版で内容をご確認ください。
MV51004-1.0
この章では、MAX V デバイスのホット・ソケット仕様、パワー・オン・リセット
(POR) 要件、および実装について説明しています。
MAX V デバイスは、ホット・プラグインまたはホット・スワップとしても知られる
ホット・ソケット(活線挿抜)およびパワー・シーケンスをサポートします。設計者
は、動作中のシステム・バスに影響を与えることなく、システム動作中に MAX V デ
バイスを取り付けたり、取り外すことができます。ホット・ソケット機能によって、
3.3 V、2.5 V、1.8 V、および 1.5 V デバイスが混在するプリント基板(PCB)上で
MAX V デバイスを使用する際の複雑さが低減されます。
以下に、MAX V のホット・ソケット機能の特長を示します。
■
ボードまたはデバイスの挿抜
■
任意のパワーアップ・シーケンスのサポート
■
ホット・インサート中のシステム・バスへの影響がない I/O バッファ
この章は、以下の項で構成されています。
■
4-1 ページの「MAX V のホット・ソケット仕様」
■
4-3 ページの「MAX V デバイスのホット・ソケット機能」
■
4-5 ページの「パワー・オン・リセット回路」
MAX V のホット・ソケット仕様
MAX V デバイスは、外付け部品や特別なデザイン要件なしでホット・ソケット機能
を提供しています。MAX V デバイスのホット・ソケット・サポートにより、以下が
実現されます。
1
■
デバイスを損傷させることなく、パワーアップ前(パワーアップ時)またはパ
ワーダウン前(パワーダウン時)にデバイスをドライブできます。
■
I/O ピンはパワーアップ時にトライ・ステートを維持します。デバイスはパワー
アップ前またはパワーアップ時にドライブ・アウトしないため、動作中の他のバ
スに影響しません。
■
信号ピンは VCCIO または VCCINT 電源をドライブしません。
デバイスの I/O ピンへの外
部入力信号は、デバイスの内部パスを通じて、VCCIO または VCCINT 電源に供給され
ません。これは、VCCINT および VCCIO 電源が GND に維持された場合にあてはまり
ます。
アルテラは、GND をホット・ソケットおよび I/O バッファ・デザインの参照として使
用します。デバイスの信頼性およびデバイスがホット・ソケット仕様に準拠してい
ることを確保するためには、VCCINT および VCCIO 電源を接続する前にボード間の GND
を接続する必要があります。
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MAX V デバイス・ハンドブック
2010 年 12 月
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MAX V デバイスのホット・ソケットおよびパワー・オン・リセット
MAX V のホット・ソケット仕様
4–2
デバイスはパワーアップ前にドライブ可能
パワーアップまたはパワーダウン前、またはその間に、デバイスに損傷を与えるこ
となく、MAX V デバイスの I/O ピンまたは GCLK[3..0] ピンに信号を入力することが
できます。MAX V デバイスは、任意のパワーアップ・シーケンスまたはパワーダウ
ン・シーケンス(VCCIO1、VCCIO2、VCCIO3、VCCIO4、および VCCINT) をサポートし、シ
ステム・レベルのデザインを簡素化します。
I/O ピンはパワーアップ時にトライ・ステートを維持
ホット・ソケットをサポートしないデバイスは、パワーアップ前またはパワーアッ
プ時にドライブ・アウトして、システム動作に割り込んだり、競合を引き起こす可
能性があります。ホット・ソケットの状態では、MAX V デバイスの出力バッファ
は、システムのパワーアップ時にオフになります。また、MAX V デバイスは、デバ
イスが完全にコンフィギュレーションされて適切な動作状態になるまではドライブ・
アウトしません。ターンオン電圧について詳しくは、4-5 ページの「パワー・オン・
リセット回路」を参照してください。
信号ピンは VCCIO または VCCINT 電源をドライブしません。
MAX V デバイスには、パワーアップ前またはパワーアップ時に、I/O ピン、
GCLK[3..0]ピンから VCCIO または VCCINT 電源への電流経路はありません。MAX V デバ
イスは、システム・ボードの動作を中断または妨害することなく、パワーアップさ
れたシステム・ボードに取り付ける(またはシステム・ボードから取り外す)こと
ができます。MAX V デバイスは、ホット・ソケット時にバックプレーンのシグナ
ル・インテグリティに最小限の影響しか与えません。
AC および DC 仕様
VCCIO と VCCINT は、任意のシーケンスでパワーアップまたはパワーダウンできます。
ホット・ソケット中、I/O ピンのキャパシタンスは 8pF 未満です。MAX V デバイス
は、次のホット・ソケット仕様に適合しています。
1
■
DC 仕様: | IIOPIN | < 300 A
■
AC 仕様:| IIOPIN | < 8 mA (10ns 以下の場合)
MAX V デバイスは、ホット・ソケット時にラッチ・アップの影響は受けません。TCK
JTAG 入力ピンが、ホット・ソケット中に High にドライブされると、そのピンの電
流が上記の仕様を超える可能性があります。
IIOPIN は、デバイス上の任意のユーザ I/O ピンの電流です。AC 仕様は、デバイスの
パワーアップまたはパワーダウン時に適用されます。この仕様では、ピンのキャパシ
タンスは考慮されていますが、ボード・トレースおよび外部負荷キャパシタンスは
考慮されていません。トレース、コネクタ、および負荷に関する追加または個別の
キャパシタンスを考慮しなければなりません。パワーアップ・トランジェントによる
ピーク電流の期間は、10ns 以下です。
DC 仕様は、パワーアップまたはパワーダウン状態でデバイスへのすべての VCC 電源
が安定している場合に適用されます。
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4–3
MAX V デバイスのホット・ソケット機能
ホット・ソケット機能により、出力バッファはパワーアップ時(VCCINT または VCCIO
電源のいずれか)またはパワーダウン時にトライ・ステートになります。ホット・ソ
ケット回路は、VCCINT または VCCIO のいずれかがスレッショルド電圧より低くなると、
内部 HOTSCKT 信号を生成します。HOTSCKT 信号によって出力バッファが遮断され
るため、ピンを通して DC 電流がリークすることはありません(ウィーク・プル
アップ・リーク電流を除く)VCC が非常にゆっくり上昇する場合、POR 信号がリ
リースされて、デバイスのコンフィギュレーションが完了した後も、VCC は依然とし
て比較的低い電圧のままです。
1
コンフィギュレーションが完了した場合でも、VCCINT は推奨動作範囲内であることを
確認します。
図 4-1 に、各 I/O ピンおよびクロック・ピンの回路を示します。
図 4-1. MAX V デバイスのホット・ソケット回路
Power On
Reset
Monitor
VCCIO
Weak
Pull-Up
Resistor
PAD
Output Enable
Voltage
Tolerance
Control
Hot Socket
Input Buffer
to Logic Array
POR 回路は、VCCINT および VCCIO 電圧レベルをモニタし、デバイスが SRAM ロジッ
クのフラッシュ・メモリ・コンフィギュレーションを完了するまで I/O ピンをトラ
イ・ステートに維持します。I/O ピンから VCCIO へのウィーク・プルアップ抵抗(R)
は、ダウンロード中に I/O ピンがフローティング状態にならないようにイネーブル
されます。3.3 V トレランス・コントロール回路は、VCCIO または VCCINT(あるいは
その両方)に給電される前に I/O ピンを 3.3 V でドライブすることができ、デバイス
が完全に給電されていない場合や動作状態でない場合に I/O ピンのドライブ・アウ
トを防止します。ホット・ソケット回路は、デバイスに給電される前に外部信号に
よって I/O ピンがドライブされた場合に、I/O ピンから内部で VCCIO と VCCINT に給電
されるのを防止します。
f 5.0 V トレランスについては、「Using MAX V Devices in Multi-Voltage Systems」の
章を参照してください。
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MAX V デバイスのホット・ソケット機能
4–4
図 4-2 に、MAX V デバイス I/O バッファのトランジスタ・レベルの断面図を示しま
す。このデザインでは、VCCIO に VCCINT より先に給電された場合、または I/O パッド
電圧が VCCIO より高い場合には、出力バッファはドライブしません。これはホット・
ソケット中の突発的な電圧スパイクにも適用されます。VPAD リーク電流によって、
3.3 V トレラント回路のキャパシタンスが充電されます。
図 4-2. MAX V デバイスのトランジスタ・レベルの I/O バッファ
VPAD
IOE Signal or the
Larger of VCCIO or VPAD
IOE Signal
The Larger of
VCCIO or VPAD
Ensures 3.3-V
Tolerance and
Hot-Socket
Protection
VCCIO
p+
n+
n+
n+
p+
n - well
p - well
p - substrate
I/O ピンの CMOS 出力ドライバは、本質的に静電気放電(ESD)保護されています。
ESD 電圧ストライクに対しては、正電圧ザップおよび負電圧ザップの 2 つのケース
について検討する必要があります。
正の ESD 電圧ザップは、ESD の充電イベントによって I/O ピンに正電圧が存在する
場合に発生します。この正の ESD 電圧ザップは、N チャネル・ドレインの N+(ド
レイン)/P 基板接合部の破壊を引き起こす可能性があり、N+(ドレイン)/P 基板
/N+(ソース)真性バイポーラ・トランジスタが導通して、I/O ピンから GND に
ESD 電流が放電されます。破線(図 4-3 を参照)は、正の ESD ザップ時の ESD 電
流放電経路を示しています。
図 4-3. 正電圧ザップ時の ESD 保護
I/O
Source
PMOS
Gate
N+
D
Drain
G
P-Substrate
I/O
Drain
NMOS
Gate
N+
S
Source
GND
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GND
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パワー・オン・リセット回路
4–5
I/O ピンが -0.7 V(0.7 V はダイオード両端の電圧降下)より低い電圧のピンで負の
ESD ザップを受け取ると、真性 P 基板 /N+ ドレイン・ダイオードが順バイアスされ
ます。したがって、放電 ESD 電流経路は、図 4-4 に示すとおり、GND から I/O ピ
ンになります。
図 4-4. 負電圧ザップ時の ESD 保護
I/O
Source
PMOS
Gate
N+
D
Drain
P-Substrate
I/O
G
Drain
NMOS
Gate
N+
S
Source
GND
GND
パワー・オン・リセット回路
MAX V デバイスは、パワーアップ時の VCCINT および VCCIO 電圧レベルに対する
POR 回路を備えています。POR 回路は、これらの電圧をモニタし、不揮発性コン
フィギュレーション・フラッシュ・メモリ(CFM)ブロックから SRAM ロジックへ
のダウンロードをトリガし、このプロセスの実行前および実行中に I/O ピンを
(ウィーク・プルアップ抵抗をイネーブルして)トライ・ステートに維持します。
MAX V デバイスがユーザー・モードに入ると、POR 回路は I/O ピンをユーザ機能に
解放します。MAX V デバイスの POR 回路は、デバイスがユーザー・モードに入っ
た後 VCCINT 電圧レベルをモニタしません。
パワーアップ特性
MAX V デバイスに電源が投入されると、POR 回路が VCCINT をモニタし、1.55 V
で SRAM ダウンロードを開始します。この電圧を基準にすると、SRAM ダウンロー
ドおよびユーザー・モードへの移行には、デバイス集積度に応じて 200µs ~ 450µs
(最大)の時間が必要です。この期間は、「DC and Switching Characteristics for
MAX V Devices」の章のパワーアップ・タイミングの項で tCONFIG として規定されて
います。
ユーザー・モードへの移行は、すべての VCCIO バンクに十分な動作電圧が供給され
ているかどうかでゲートされます。VCCINT および VCCIO が同時に給電された場合、デ
バイスは tCONFIG 仕様以内にユーザー・モードに入ります。VCCINT から tCONFIG 以上の時
間が経過した後に VCCIO に給電された場合、デバイスはすべての VCCIO バンクに給電
されてから 2 µs 経過するまでは、ユーザー・モードに入りません。
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改訂履歴
4–6
MAX V デバイスでは、POR 回路は、デバイスがユーザー・モードに入った後 VCCINT
および VCCIO 電圧レベルをモニタしません。ユーザー・モード中に VCCINT 電圧が 1.4V
以下に低下した場合、デバイスの機能は保証されず、VCCINT および VCCIO が給電され
る前にユーザは VCCINT を 250mV に最低 10µs パワーダウンしなくてはなりません。
VCCINT が 250mV から再びおよそ 1.55V まで上昇すると、SRAM ダウンロードが再開
され、tCONFIG 時間が経過した後、デバイスは動作を開始します。
図 4-5 に、パワーアップからユーザー・モードに遷移する間、およびユーザー・
モードからパワーダウンまたは電圧降下状態に変化する間の MAX V デバイスの
POR を示します。
1
ユーザー・モードに入る前には、すべてのバンクのあらゆる VCCINT と VCCIO 電源をパ
ワーアップする必要があります。
図 4-5. MAX V デバイスのパワーアップ特性 ( 注 1), (2)
MAX V Device
VCCINT
3.3 V
Approximate Voltage
for SRAM Download Start
VCCINT must be powered down
to 250 mV if the VCCINT
dips below this level
1.8 V
1.55 V
1.4 V
minimum 10 µs
tCONFIG
250 mV
User Mode
Operation
Tri-State
tCONFIG
Tri-State
User Mode
Operation
図 4-5 の注:
(1) 時間スケールは相対的に表されています。
(2) この図では、すべての VCCIO バンクは、ここに示す VCCINT プロファイルと同時に給電されます。同時に給電されない場合
は、すべての VCCIO バンクに給電されるまで、tCONFIG が延長されます。
1
SRAM のコンフィギュレーション後に、デバイス内のすべてのレジスタはクリアさ
れ、I/O のトライ・ステートが解放される前にユーザー機能に解放されます。トラ
イ・ステートが解放された後にクリアを解放するには、DEV_CLRn ピン・オプション
を使用します。パワーアップ・コンフィギュレーション時間を超えてトライ・ス
テートを維持するには、DEV_OE ピン・オプションを使用します。
改訂履歴
表 4-1 に、本資料の改訂履歴を示します。
表 4-1. 改訂履歴
日付
2010 年 12 月
バージョン
1.0
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変更内容
初版
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