同期によるシングルチャンネルドライバのノイズと干渉の低減

同期によるシングルチャンネルドライバのノイズと干渉の低減
ほとんどの場合、非同期動作でも問題は発生しません。
しかし、2つのチャンネルのスイッチングで干渉がおこり、モータから可聴ノイズや振動が発生することがありま
す。2つのチャンネルのスイッチングを同期することで、干渉とノイズを相殺することができます。
ドライバの同期
シングルチャンネルドライバ3717と3770Aは、図1の標準的な用途では同期されていません。すなわち
一方のチャンネルのPWMスイッチングは、他のチャンネルと完全に独立しています。デュアルチャンネルドライ
バ(3770以外の377xドライバー)は、内部回路ですべて同期されています。PWMスイッチングの基本動作に
ついては、各ICのデータシートをご覧ください。
同期による改善
電気的には、180°位相をずらすことで大きく特性改善ができます。2つのチャンネルが自走状態の場合、
ピーク電源電流は、図2で示すように、2つのチャンネルの電流の和になります。180°位相をずらして同期さ
れた場合は、2つのチャンネルが同時にオンすることはありません。したがって、電源電流のピーク値は、1つの
チャンネルのピーク値と等しくなります。高次高調波の振幅も著しく低減されます。これは、電源ラインフィルタ
の必要性を減じ、同じフィルタ用素子を使用してより優れたフィルタ効果を得られることを意味します。ピーク電
流や高次高調波の低減によって、隣接する回路への磁気結合ノイズも低減されます。
VMM
+5 V +5 V
6
11
Channel 1
{
Phase A
I 1A
I
8
7
9
0A
4, 5
12, 13
2
CT
3, 14
V
V
V
CC
MM M
Phase R
B
I1
NJM3770A
I0
M
A
T GND C
E
RT
820
pF
10
15
16
1 kΩ
820
pF
56
kΩ
Stepper
Motor
1
0.5 Ω
V
MM
V
MM
+5 V +5 V
11
Channel 2
{
Phase B
I1B
I 0B
8
7
9
820
pF
6
3, 14
V
VCC VMM
Phase R
M
B
I1
NJM3770A
I0
M
A
T GND C
E
2
CT
VMM
RT
4, 5
12, 13
10
1
15
16
1 kΩ
56
kΩ
820
pF
0.5 Ω
Diodes are
UF 4001 or
BYV27
t rr < 100ns
図1 NJM3770Aを使用した典型的なステッピングモータドライバ用途
Current
t
Channel 1 motor current
Channel 2 motor current
Supply current
図2 2チャンネル自走での典型的な電源電流
Current
t
Channel 1 motor current
Channel 2 motor current
Supply current
図3 同期動作中の2チャンネルのタイミング図
VT
1.2 V
0.6 V
If pulled low,
output will
turn on.
t
toff
Channel 2 motor curent
Timing pin voltage, VT
図4 モータ電流とVT電圧vs.時間
設計
図3は、同期動作中のタイミング図を示しています。チャンネル1はマスタ、チャンネル2はスレーブに指定さ
れています。同期がとられると、スレーブのオフタイムは内部単安定フリップフロップによって制御されず、マス
タのターンオフによって制御されます。タイミングコンデンサCT(およびスレーブのオフタイム)を大きくする
ことで、マスタは常に単安定FFより前にターンオントリガパルスを発生します。デューティサイクル(チャンネ
ル1と2のデューティサイクルの合計)が100%未満であれば、2つのチャンネルが同時にオンになることはあ
りません。
図4に単安定フリップフロップの動作を示します。モータ電流オン状態では、VT電圧はT(タイミング)ピン
で常に約1.2Vに保たれています。モータのピーク電流に達すると、単安定フリップフロップがトリガされ、
RTからCTが放電するにしたがってVTが低下します。VT=0.6Vになると、コンパレータは単安定フリップフ
ロップをリセットし、出力を再びオンにします。外部シンキング出力をTピンに接続すると、非常に短時間でCT
が放電され、速やかにターンオンが誘導されます。
図5に回路図を示します。4093(CMOSシュミットトリガNANDゲート)と周辺部品で同期パルスを発
生するエッジ検出器を構成しています。ゲート#1はチャンネル1のオフ状態を検出します。R1とR2を含む分
圧抵抗によって、入力電圧の振動は4093の電源と等しくなるまで低下させています。VMMが15V未満の場合
は、VMMによって4093に電源を供給するので、分圧抵抗は省略できます。
オフ状態では、MA1とMB1の両方がHレベル(=VMM)になると、ゲート#1の出力がLレベルになります。
ゲート#2は信号を反転させ、その信号をハイパスフィルタを通して送り、ポジティブエッジ検出器として働きま
す。ゲート#2の正のトランジェント(チャンネル1のターンオフ時に発生)それぞれに対して、ゲート#3の出
力で短い負のパルスが発生します。ゲート#3のもう一方の入力(Sync)は、ディセーブル(禁止)入力とし
て使用できます。ゲート#3の出力は、ダイオードによってシンクのみになっています。ゲート#3出力の負パル
スにおいて、1.5nFのCTが放電し、それに従ってドライバの出力がオンになります。
VMM
+5V
11
Channel 1
{
Phase A
I 1A
I 0A
8
7
9
Phase
VMM
VCC
Stepper
Motor
1
MB
NJM
3770A
I0
MA
C
GND
4, 5
12, 13
2
820 pF
VR
I1
T
CT
3, 14
6
15
E
10
16
1 kΩ
RT
820 pF
56 kΩ
0.5 Ω
4093
#2
R1
R2
#1
10 kΩ
6
11
820 pF
Channel 2
{
Phase B
I1B
I0B
8
7
9
Phase
I1
#3
1N4148
VR
3, 14
VMM
VCC
M
1
B
NJM3770A
I0
M
A
GND
T
1N4148
1 kΩ
VMM
+5V
10 kΩ
2
4, 5
12, 13
15
E
10
16
1 kΩ
RT
CT
1.5 nF
C
0.5 Ω
820 pF
56 kΩ
Diodes are
UF 4001 or
BYV27
t rr < 100ns
Sync
図5 マスタ/スレーブ構成を使用した2つのNJM3770Aの同期動作
Vcc
R2
RT
C2
R4
RC
T1
Sync
C1
C3
T2
CT
T3
R1
R3
R7
R5
R6
GND
図6 同期回路例1
VRC
(a)
1/ fosc
t
VSync
(b)
VRC-Sync
(c)
1/ fsync
t
(a) 同期パルス無入力時のRC入力波形 (b)同期パルス (c)同期パルス入力時のRC入力波形
図7 RC入力と同期パルスの信号波形
RC 発振器の同期方法(
NJM3771
∼3777
に適用)
発振器の同期方法(NJM3771
NJM3771∼
3777に適用)
方法1
外部入力信号と内蔵のRC発振器を同期させるためには、トランジスタ、抵抗、コンデンサによる外付け回路が
必要になります。図6は、2つのRC発振器を同期させる、あるいはRC発振器を外部同期パルスと同期させる回
路例です。
このRC自走発振周波数は、外部同期パルスの周波数よりも低く設定する必要があります。以下に外付け定数を
示します
T1,T3 BC548B
T2 BC558B
R1,R5 1kΩ R2,R3,R4 10kΩ R6 470kΩ R7 24Ω RT、CT 同期周波数によって調整
Vcc
RT
RC
C1
D2
CT
Sync
R1
D1
GND
図8 同期回路例2
この同期回路が適正に動作するには、自走発振周波数が外部同期パルスの周波数にできるだけ近いことが必要で
す。また、RC信号の立下りスロープ(図7参照)は、ドライバIC内部のRSフリップフロップの動作を確定す
るため、最低1usが必要です。
概略の自走発振周波数FOSCは、以下の式で求めることができます。
FOSC=1/(0.77×RT×CT)
tが1μs以下と短い場合(図7を参照)には、CTを大きく、RTを小さくすることで周波数を変えずにtを大き
くすることができます。この回路は2つのRC発振器を同期させるときにも活用できます。この場合、一方をマス
ター、もう一方をスレーブとし、マスター側の発振周波数をスレーブより高く設定します。この場合も同期回路は
図6を使用します。
方法2
図8はコンデンサとダイオードを使い、外部方形波入力信号とRC発振器を同期させる回路例です。
C1 10nF
D1,D2 1N4148
R1 24Ω