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Application Note
Light Emitting Diode
COB
筐体との密着性と放熱効果
目次
1.
2.
3.
4.
5.
概要
ホルダの締め付けトルクと放熱の関係
放熱グリスの塗布量と放熱の関係
まとめ
補足
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(SE-AP00019A)
Dec. 17, 2014
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1. 概要
近年、COB の採用検討が行なわれ始めており、製品化が進んでいます。
その中で、COB による器具設計をする際に重要な要素として、「放熱」が挙げられます。
COB は単独で高い出力を有しており、更に LED ダイスが密集していることによって、狭範囲で熱が集中しやすい
構造です。熱の上昇による性能低下(温度特性による光束低下)や、信頼性(寿命)悪化を避ける為にも放熱に
対する十分な配慮が必要です。
本書では筐体(ヒートシンク)との密着性に着目し、放熱への影響について評価結果を交えて解説していきます。
2. ホルダの締め付けトルクと放熱の関係
COB は筐体(ヒートシンク等)に固定する場合、専用ホルダの使用を推奨しています。COB は筐体との密着性を高
Light Emitting Diode
めることでより良い放熱効果が得られます。一般的にホルダはねじで固定する仕様であり、締め付けトルクが密着性
へ大きく影響すると考えられます。
よって後述する方法により、締め付けトルクと放熱性の関係を評価しました。
(1) 評価方法
ヒートシンクにホルダを用いて COB を固定します。固定する際のねじの締め付けトルクに着目し、締め付けト
ルクと Tj の関係を評価します。(図1参照)
COB は NSCWL036A(5.8W)と NSCWJ216A(34.8W)にて評価しました。
評価①
評価②
締め付けトルクを
変化させ、固定する。
締め付けトルクを
変化させ、固定する。
COB
取り付け状態
COBタイプ
NSCWL036A
NSCWJ216A
駆動電力
5.8W (定格)
34.8W (定格)
Tyco Electronics Corporation製 [TypeN 213446-1]
ホルダ
M2.6 (なべねじ・ワッシャなし)
ねじ仕様
ヒートシンク仕様 17mm×98mm×L100mm (熱抵抗:3.0℃/W)
放熱シート
60mm×110mm×L100mm (熱抵抗:1.3℃/W)
t=0.25mm 熱伝導率:1.0W/mK
図 1. 評価方法
図 1 で示したようにヒートシンクに固定し、それぞれを定格電力で駆動させます。点灯後、熱が飽和状態となる
30 分後の Tj を測定し、締め付けトルク別に Tj を比較します。
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(2) 評価結果
評価結果を図 2 に示します。
締め付けトルクとTjの関係
160
140
TjMax: 130℃
120
Tj [℃]
100
80
60
ホルダを取り付けていない状態を示す。
(ヒートシンク上に置いただけの状態)
40
Light Emitting Diode
20
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
締め付けトルク [N・m]
図 2. 締め付けトルクと Tj の関係
評価結果より、締め付けトルクを高めること、つまり密着性を高めることが放熱に大きく影響することがわか
ります。より良い放熱性を得る為に、ホルダ取り付け工程での締め付けトルク管理を推奨します。
3. 放熱グリスの塗布量と放熱の関係
均一な放熱性を得る為に COB と筐体(ヒートシンク)の間に熱伝導材を挟む方法があります。
放熱グリス(ゲル)を使った場合、グリス(ゲル)の広がり具合-つまりは筐体との密着性によっては、放熱性能に
悪影響を与えることが懸念されます。
よって、後述する方法により、グリス(ゲル)の広がり具合と放熱の関係を評価しました。
(1) 評価方法
グリスの塗布量を 3 パターン準備し(図 3 参照)、塗布量の違いと Tj の関係を評価します。
30%狙い
50%狙い
100%
塗布量
図 3. 評価用グリス塗布量違いサンプル
なお、本評価は以下条件で評価しました。
COBタイプ
NSCWJ216A (34.8W 定格駆動)
ホルダ
Tyco Electronics Corporation製 [TypeN 213446-1]
ねじ仕様
M2.6 (なべねじ・ワッシャなし)、締め付けトルク:0.9N・m
ヒートシンク仕様
60mm×110mm×L100mm (熱抵抗:1.3℃/W)
放熱グリス仕様
熱伝導率:1.5W/mK
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(2) 評価結果
ヒートシンクに固定し、定格電力で駆動させます。点灯後、熱が飽和状態となる 30 分後の Tj を測定し、
グリスの塗布量違い別に Tj を測定します。
評価結果を図 4 に示します。
グリス塗布量とTjの関係
250
グリスなし
Light Emitting Diode
Tj [℃]
200
150
TjMax: 130℃
100
50
0
0
10
20
30
40
50
60
70
グリス塗布量 [総面積比:%]
80
90
100
図 4. グリス塗布量と Tj の関係(NSCWJ216A)
評価結果より、塗布量が 100%に近いほど放熱の効果は高いことがわかります。
熱伝導材にグリスを使う場合には塗布量と広がり具合を予め確認し、全面が接触するように工程管理頂くこと
を推奨します。
4.まとめ
COB と筐体との密着性は放熱に大きく寄与していることから、製品設計の中で放熱が十分確保できているこ
とを検証頂くことで、製品品質の向上に繋がると考えます。
なお、COB の品種やお客様の使用条件・使用環境によっては本資料中の値が異なる可能性があります。
本書は参考資料としてお取り扱い願います。
5.補足
COB・・・Chip on Board の略。ダイスを基板上に直接実装した構造。図 5 に当社の一般的な COB の構成図を
示します。
図 5. 日亜 COB の構成図
SMD・・・Surface Mount Device の略。プリント基板等に実装する表面実装用の部品を指します。
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