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ISL80121-5
特長
ISL80121-5 は、電流制限値の設定機能を備えた、低ドロッ
プアウトのシングル出力 LDO です。入力電圧範囲は 5V か
ら 6V で、公称出力電圧は 5V です。5V 品以外は特注によ
り承ります。
• ライン変動、負荷変動、TJ = -40 ℃~ +125 ℃の温度範囲
に対して、精度 ±1.8%を保証
• VIN = 5.0V で 130mV の超低ドロップアウト電圧
• 最大 1.75A の高精度な電流制限設定機能
クラス最高のアナログ性能の実現と総合的な価値の向上を
図るために、本 LDO ファミリにはサブミクロン BiCMOS プ
ロセスを採用しました。電流制限値の設定機能はエンドア
プリケーション・システムの信頼性の向上を目的としてい
ます。ソフトスタートのランプ時間はソフトスタート・ピ
ンに接続する外付けコンデンサによって設定します。デバ
イスを自己消費電流の小さいシャットダウンモードに移行
させる ENABLE 機能を備えています。
• 高速な負荷変動応答
• 出力ノイズ 210µVRM
• パワーグッド出力
• ランプ時間を設定可能なソフトスタート
• 過熱保護機能
• 小型 10 Ld DFN パッケージ
本 BiCMOS LDO の自己消費電流は負荷の関数で、バイポー
ラ LDO に比べてきわめて小さいのが特長です。そのため、
パッケージの小型化と高い変換効率とを両立しています。た
だし、高速な負荷応答性能を実現するために、自己消費電流
性能をわずかに犠牲にしています。
ILIMIT
設定機能
ISL80101-ADJ
×
1.75A
可変
ISL80101
×
1.75A
1.8V, 2.5V,
3.3V, 5.0V
ISL80101A
○
1.62A
可変
ISL80121-5
○
0.75A
5.0V
• USB デバイス
• テレコム機器とネットワーク機器
• 医療用機器
表 1. 当製品ファミリにおける主な機能の違い
型番
アプリケーション
• 計装システム
ILIMIT
VOUT
( デフォルト ) 可変または固定
• ルータとスイッチ
• ゲーム機
アプリケーション回路例
5.4V ±10%
VIN
CIN
ISL80121-5
10
9
10µF
VIN
VOUT
VOUT
VIN
1
2
ISL80121-5
5.4V ±10%
VIN
5.0V ±1.8%
VOUT
10
CIN
COUT
9
10µF
10µF
8
8
ISET
SENSE
3
RPG
100k
VIN
VOUT
VIN
VOUT
SENSE
ISET
2
OFF
6
ENABLE
SS
PG
GND
CSS
LIMIT
= 0.75A
(default)
2012 年 6 月 22 日
FN7713.5
7
OFF
6
ENABLE
SS
CSS
5
I
4
1
COUT
10µF
RPG
100k
ON
7
RSENSE
10
3
RSET
10k
ON
5.0V ±1.8%
VOUT
1
PG
4
GND
5
I
LIMIT
2.9
= 0.75 + -----------------------------R SET  k 
注意:本データシート記載のデバイスは静電気に対して敏感です。適切な取り扱いを行ってください。
Copyright Intersil Americas Inc. 2012. All Rights Reserved
Intersil および Intersil ロゴは Intersil Corporation または子会社の登録商標です。
そのほかの企業名や製品名などの商標はそれぞれの権利所有者に帰属します。
ISL28127, ISL28227
電流制限設定機能付き
1A 出力、超低ドロップアウト・リニアレギュレータ
ISL80121-5
ブロック図
SS
THERMAL
SHUTDOWN
V IN
CURRENT
LIMITER
V OUT
I SET
VOLTAGE
REFERENCE
PGOOD
POWER
GOOD
SENSE
ENABLE
GND
注文情報
製品型番
(Note 1、
2、
3)
マーキング
ISL80121IR50Z
DZAD
ISL80121-5EVAL2Z
評価ボード
VOUT 電圧
(Note 3)
温度範囲
(℃)
5.0V
-40 ~ +125
パッケージ
( 鉛フリー)
10 Ld 3x3 DFN
パッケージの
外形図
L10.3x3
Note :
1. テープ&リールは製品型番の末尾に「-T*」を付加してください。リールの詳細仕様については、テクニカル・ブリーフ「Tape and Reel
Specification for Integrated Circuit (TB347)」を参照してください。
2. これら鉛フリーのプラスチック・パッケージ製品には、専用の鉛フリー素材、モールド素材、ダイアタッチ素材を採用するとともに、
端子には亜鉛 100%の梨地メッキとアニーリングを実施しています (RoHS 指令に準拠するとともに SnPb ハンダ付け作業と鉛フリーハ
ンダ付け作業とも互換性のある e3 端子仕上げ )。インターシルの鉛フリー製品は鉛フリー・ピークリフロー温度で MSL 分類に対応し、
この仕様は IPC/JEDEC J STD-020 の鉛フリー要件と同等か上回るものです。
3. 湿度感受性レベル (MSL) については ISL80121-5 のデバイス情報ページを参照してください。MSL の詳細についてはテクニカル・ブリーフ
「Guidelines for Handling and Processing Moisture Sensitive Surface Mount Devices (TB363)」を参照してください。
2
FN7713.5
2012 年 6 月 22 日
ISL80121-5
ピン配置
ISL80121-5
(10 LD 3x3 DFN)
上面図
VOUT
1
10 VIN
VOUT
2
9 VIN
SENSE
3
PG
4
7 ENABLE
GND
5
6 SS
PAD
8 ISET
ピンの説明
ピン番号
ピン名称
説明
1, 2
VOUT
出力電圧です。動作の安定化のために、X5R/X7R 特性の 10µF 以上の出力コンデンサを接続してくださ
い。詳細は「機能の説明」の 8 ページにある「外付けコンデンサの要件」を参照してください。
3
SENSE
固定 VOUT 品のリモート電圧センス入力です。VOUT ピンと負荷の間に存在する抵抗成分によってわず
かな電圧降下が発生し、VOUT の精度を劣化させます。VOUT を正しくセンスしたい場合は、SENSE ピン
は VOUT ピンではなく負荷点に接続してください。
4
PG
VOUT がレギュレーション状態にあることを示す信号です。レギュレーション状態にないときは Low
が出力されます。使用しない場合は必ずグラウンドに接続してください。
5
GND
6
SS
7
ENABLE
8
ISET
電流制限値を設定する入力ピンです。このピンを開放のまま使用すると電流制限値は 0.75A に設定され
ます。RSET ピンをグラウンドに接続すると電流制限値は大きくなり、RSET を VIN に接続すると電流
制限値は小さくなります。詳しくは「機能の説明」の 7 ページにある「電流制限値の設定」を参照して
ください。ISET ピンをグラウンドに直接接続してはなりません。
9, 10
VIN
電源入力です。動作の安定化のために X5R/X7R 特性の 10µF 以上の入力コンデンサを接続してくださ
い。詳細は「機能の説明」の 8 ページにある「外付けコンデンサの要件」を参照してください。
-
EPAD
グラウンドです。
突入電流を設定する外付けコンデンサを接続します。
VIN とは独立したチップ・イネーブル入力です。TTL レベルと CMOS レベルと互換があります。
EPAD はグラウンド電位です。放熱性能を高めるためにグラウンド層に直接ハンダ付けしてください。
詳細は 9 ページの「電力損失と放熱」を参照してください。
3
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2012 年 6 月 22 日
ISL80121-5
絶対最大定格 (Note 6)
温度情報
VIN (GND 基準 ) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -0.3V ~ +6.5V
VOUT (GND 基準 ) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -0.3V ~ +6.5V
PG、ENABLE、SENSE、SS、ISET
(GND 基準 ) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -0.3V ~ +6.5V
ESD 定格
人体モデル (JESD22-A114 に従い試験 ) . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2.5kV
機械モデル (JESD22-A115 に従い試験 ) . . . . . . . . . . . . . . . . . . 250V
ラッチアップ (JESD78 に従い試験 ) . . . . . . . . . . . . . .±100mA @ 85 ℃
熱抵抗 ( 代表値 )
JA ( ℃ /W)
JC ( ℃ /W)
10 Ld 3x3 DFN パッケージ (Note 4, 5) . . .
48
7
最大ジャンクション温度 ( プラスチック・パッケージ ) . . . .+150 ℃
保存温度範囲 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -65 ℃~ +150 ℃
鉛フリー・リフロープロファイル . . . . . . . . . . . . 以下の URL を参照
http://www.intersil.com/pbfree/Pb-FreeReflow.asp
推奨動作条件 (Note 7)
ジャンクション温度範囲 (TJ) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -40 ℃~ +125 ℃
VIN (GND 基準 ) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5V ~ 6V
ISET ( 通常動作時 ). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ≦ 500mV
SENSE ( 通常動作時 ) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . VOUT
PG シンク電流 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10mA
注意:過度に長い期間にわたって最大定格点または最大定格付近でモジュールを動作させないでください。そのような動作条件を課すと製品
の信頼性に影響が及ぶ恐れがあるとともに、保証の対象とはならない可能性があります。
Note:
4. JA はデバイスを放熱効率の高い試験基板に実装し、自由大気中で測定した値です。詳しくはテクニカル・ブリーフ「Thermal
Characterization of Packaged Semiconductor Devices (TB379)」を参照してください。
5. JC の測定における「ケース温度」位置は、パッケージ下面のエキスポーズド金属パッドの中心です。
6. 絶対最大電圧定格は、6V 超が印加される時間の生涯平均割り合いを 1%として定義しています。
7. エレクトロマイグレーションに関する仕様は、生涯平均ジャンクション温度を 110 ℃として定義しています。最大定格 DC 電流 = 生涯平均電流
です。
電気的特性
特記のない限り、すべてのパラメータは以下の条件で規定しています。VIN = VOUT + 0.4V、VOUT = 5.0V、CIN = COUT =
1000µF、TJ = +25 ℃、ILOAD = 0A。ワーストケースのジャンクション温度を決定するために、アプリケーションはパッケージの放熱ガイド
ラインに従わなければなりません。7 ページの「機能の説明」セクションとテクニカル・ブリーフ TB379 を参照してください。
太字のリミット値は動作温度範囲 -40 ℃から +125 ℃に対して適用されます。TJ = TA を維持するパルス負荷試験は ATE を用いて実施し、規定
リミット値を定義しています。
PARAMETER
SYMBOL
TEST CONDITIONS
MIN
(Note 8)
TYP
MAX
(Note 8)
UNITS
1.8
%
1
%
DC CHARACTERISTICS
DC Output Voltage Accuracy
VOUT
VOUT/VIN
DC Input Line Regulation
VOUT
DC Output Load Regulation
Ground Pin Current
IQ
Ground Pin Current in
Shutdown
ISHDN
VOUT + 0.4V < VIN < 6V; 0A < ILOAD < 1A
-1.8
VOUT + 0.4V < VIN < 6.0V, VOUT = 5.0V
0A < ILOAD < 1A
-1
%
ILOAD = 0A, 2.2V < VIN < 6V
3
5
mA
ILOAD = 1A, 2.2V < VIN < 6V
5
7
mA
ENABLE = 0.2V, VIN = 6V
0.2
12
µA
90
130
mV
0.75
0.84
A
Dropout Voltage (Note 9)
VDO
ILOAD = 1A, VIN = 5.0V, VSENSE = 0V
Output Current Limit
ILIMIT
VOUT = 4.75V, VOUT + 0.4V < VIN < 6V, ISET
is floating
0.66
VOUT = 4.75V, VOUT + 0.4V < VIN < 6V,
RSET = 19.33k
0.9
A
Thermal Shutdown
Temperature
TSD
VOUT + 0.4V < VIN < 6V
160
℃
Thermal Shutdown Hysteresis
(Rising Threshold)
TSDn
VOUT + 0.4V < VIN < 6V
30
℃
PSRR
f = 1kHz, ILOAD = 1A
40
dB
f = 1kHz, ILOAD = 100mA
40
dB
AC CHARACTERISTICS
Input Supply Ripple Rejection
4
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2012 年 6 月 22 日
ISL80121-5
電気的特性
特記のない限り、すべてのパラメータは以下の条件で規定しています。VIN = VOUT + 0.4V、VOUT = 5.0V、CIN = COUT =
1000µF、TJ = +25 ℃、ILOAD = 0A。ワーストケースのジャンクション温度を決定するために、アプリケーションはパッケージの放熱ガイド
ラインに従わなければなりません。7 ページの「機能の説明」セクションとテクニカル・ブリーフ TB379 を参照してください。
太字のリミット値は動作温度範囲 -40 ℃から +125 ℃に対して適用されます。TJ = TA を維持するパルス負荷試験は ATE を用いて実施し、規定
リミット値を定義しています。 ( 続き )
PARAMETER
SYMBOL
Output Noise Voltage
TEST CONDITIONS
MIN
(Note 8)
ILOAD = 10mA, BW = 10Hz < f < 100kHz
TYP
MAX
(Note 8)
210
UNITS
µVRMS
ENABLE PIN CHARACTERISTICS
Turn-on Threshold
VEN(HIGH)
2.2V < VIN < 6V
0.3
0.8
1.0
V
Hysteresis (Rising Threshold)
VEN(HYS)
2.2V < VIN < 6V
10
80
200
mV
ENABLE Pin Turn-on Delay
tEN
ENABLE Pin Leakage Current
COUT = 10µF, ILOAD = 1A
100
VIN = 6V, ENABLE = 3V
µs
1
µA
SOFT-START CHARACTERISTICS
Reset Pull-Down Current
IPD
Soft-Start Charge Current
ICHG
ENABLE = 0V, SS = 1V
0.5
1
1.3
mA
-3.3
-2
-0.8
µA
75
84
92
%VOUT
PG PIN CHARACTERISTICS
VOUT PG Flag Threshold
VOUT PG Flag Hysteresis
4
PG Flag Low Voltage
ISINK = 500µA
PG Flag Leakage Current
VIN = 6V, PG = 6V
%
47
100
mV
0.05
1
µA
Note:
8. 1 つまたは複数の方法によってデータシート記載のリミット値への準拠性が保証されています ( 量産試験、特性評価、または設計 )。
9. ドロップアウトは、VOUT が公称レギュレーションを下回っているときの、電源電圧 VIN と VOUT の差として定義されています。
5
FN7713.5
2012 年 6 月 22 日
ISL80121-5
代表的な性能特性
特記のない限り、VIN = 5.4V、VOUT = 5.0V、CIN = COUT = 10µF、TJ = +25 ℃、IL = 0A。
1.8
150
1.2
+125°C
90
0.6
DVOUT (%)
DROPOUT (mV)
120
+25°C
60
0
-0.6
-40°C
30
0
-1.2
0
0.2
0.4
0.6
LOAD CURRENT (A)
0.8
-1.8
-50
1.0
25
50
75
3.30
GROUND CURRENT (mA)
1.2
+25°C
0
-0.6
-40°C
+125°C
125
150
+25°C
3.25
0.6
100
図 2. 出力電圧 vs 温度
1.8
DVOUT (%)
0
JUNCTION TEMPERATURE (°C)
図 1. ドロップアウト電圧 vs 負荷
-1.2
-1.8
-25
+125°C
3.20
3.15
-40°C
3.10
3.05
3.00
2.95
2.90
0.25
0
0.50
0.75
1.00
2.85
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
LOAD CURRENT (A)
OUTPUT CURRENT (A)
図 3. 出力電圧 vs 出力電流
図 4. グラウンド電流 vs 負荷電流
5.0
GROUND CURRENT (µA)
4.5
4.0
ENABLE (2V/DIV)
3.5
3.0
VIN = 6V
2.5
SS (2V/DIV)
2.0
1.5
VOUT (5V/DIV)
1.0
0.5
0
-40
PG (5V/DIV)
-25
-10
5
20 35 50 65 80
TEMPERATURE (°C)
図 5. シャットダウン電流 vs 温度
6
95
110 125
図 6. イネーブル・スタートアップ
FN7713.5
2012 年 6 月 22 日
ISL80121-5
代表的な性能特性
特記のない限り、VIN = 5.4V、VOUT = 5.0V、CIN = COUT = 10µF、TJ = +25 ℃、IL = 0A。( 続き )
1.0
RSET = 20kΩ
0.9
CURRENT LIMIT (A)
0.8
RSET = OPEN
0.7
0.6
VOUT (50mV/DIV)
0.5
0.4
0.3
IOUT = 500mA
0.2
IOUT = 10mA
0.1
0
-40
10
60
110
TIME (50µs/DIV)
TEMPERATURE (°C)
図 8. 負荷変動応答
図 7. 電流制限 vs 温度
60
100mA LOAD
1A LOAD
30
20
COUT = 47µF
40
30
20
COUT = 22µF
10
0
10
COUT = 100µF
50
MAGNITUDE (dB)
MAGNITUDE (dB)
40
LOAD = 100mA
10
100
1k
10k
FREQUENCY (Hz)
100k
1M
図 9. PSRR vs 負荷
0
10
COUT = 10µF
100
1k
10k
FREQUENCY (Hz)
100k
1M
図 10. PSRR vs COUT
ISET ピンを開放にしたとき、電流制限値はデフォルトの
0.75A に設定されます。
機能の説明
入力電圧の要件
ISL80121-5 は 5V 出力に最適化されていて、5V から 6V の範
囲の入力電圧で動作します。VIN から VOUT にアクティブ
フィルタ機能 (PSRR) を期待する場合、VIN は、LDO の性質
により、アプリケーションの最大定格電流でのドロップアウ
ト電圧を VOUT に加えた電圧に、さらにマージンを加えた電
圧以上でなければなりません。本 LDO ファミリはドロップ
アウト特性が優れているため、TO220/263 よりも小さいパッ
ケージでありながら、充分な効率が得られます。
電流制限値の設定
ISL80121-5 は出力短絡や出力過負荷状態で起こる過電流に
対して保護機能を備えています。過電流状態が発生すると
ISL80121-5 は定電流源として動作します。出力短絡あるいは
出力過負荷状態が解消されると、出力は通常の電圧レギュ
レーションに戻ります。
7
電流制限値を大きくするには、抵抗 RSET を介して ISET ピンを
グラウンドに接続します。電流制限値は抵抗 RSET で決まり、
式 1 に示します。
2.9
I LIMIT = 0.75 + ---------------------------R SET  k 
(式 1)
RSET を ISET ピンとグラウンドの間に接続したときの、RSET
の抵抗値と電流制限値の関係を図 11 に示します。なお、ISET
ピンはグラウンドに直接接続してはなりません。電流制限値
を 1.75A に設定してしまうとデバイスに損傷が及ぶ可能性が
あるためで、決してそのような接続はしないでください。
FN7713.5
2012 年 6 月 22 日
ISL80121-5
アップしてはなりません。出力電圧が公称出力電圧の 84% 以
下に低下したとき、電流制限フォルトが発生したとき、また
は、入力電圧が低すぎるときに、PG には Low が出力されま
す。PG はフォルト発生時も機能しますが、サーマルシャッ
トダウン中は機能しません。パワーグッド機能を利用しな
い場合は、PG ピンをグラウンドに接続してください。
CURRENT LIMIT (A)
1.7
1.5
1.3
ソフトスタート動作
1.1
0.9
0.7
2
20
RSET (kΩ)
200
図 11. ILIMIT を大きめに設定 (RSET をグラウンドに接続 )
電流制限値をデフォルトの 0.75A 以下に設定するには、抵抗
RSET を介して ISET ピンを VIN に接続します。RSET と VIN
で決まる電流制限値は式 2 のとおりです。
2.9   2  V IN – 1 
I LIMIT = 0.75 – ----------------------------------------------R SET  k 
(式 2)
VIN = 5.4V で、RSET を VIN に接続したときの RSET の抵抗
値と電流制限値の関係を図 12 に示します。
 C SS x0.5 
t start = ---------------------------2A
(式 3)
スタートアップ時の突入電流から CSS の容量を求めるには
式 4 を使います。VOUT は出力電圧、COUT は総出力容量、
IINRUSH は所望の突入電流値です。
 V OUT xC OUT x2A 
C SS = -------------------------------------------------------I INRUSH x0.5V
(式 4)
スタートアップまたはイネーブルの開始時点において、外付
けコンデンサはグラウンド電位に放電されています。
0.75
0.65
CURRENT LIMIT (A)
ソフトスタート回路は、パワーアップ時または LDO イネー
ブル時に、出力電圧がレギュレーション電圧に向けて上昇す
る速度を制御する役割を担います。スタートアップのランプ
時間は SS ピンとグラウンドの間に接続した外付けコンデン
サ CSS で設定します。CSS は内蔵の 2µA 電流源によって充電
され、帰還リファレンス電圧は CSS の両端電圧でクランプさ
れます。スタートアップ時間は式 3 で求めます。
外付けコンデンサの要件
0.55
適切な動作には外付けコンデンサが必要です。LDO 回路か
ら充分な性能を得るために、基板レイアウトと、コンデンサ
のタイプと容量の選択には、充分な注意を払ってください。
0.45
0.35
出力コンデンサ
0.25
0.15
0.05
-0.05
40
RSET (kΩ)
400
図 12. ILIMIT を小さめに設定 (RSET を VIN に接続 )
イネーブル動作
ENABLE ピンのターンオン・スレッショルドは代表値で
800mV で、スレッショルドは 80mV です。プルアップ抵抗ま
たはプルダウン抵抗の内蔵化によってこの値を変更する特
注仕様を承っています。イネーブル機能を使用しない場合
は、EN ピンを開放にせず、VIN に接続してください。
ENABLE
ピンをオープンコレクタ出力またはオープンドレイン出力
で制御する場合は、1kΩ から 10kΩ の範囲のプルアップ抵抗
を外付けしてください。LDO の出力を常時オンにしておきた
い場合は、
ENABLE ピンを VIN に直接接続してかまいません。
パワーグッド動作
PG ピンは、VOUT、電流制限トリップ、VIN のそれぞれの状
態を示すロジック出力です。PG フラグはオープンドレイン
NMOS 出力で、フォルト状態のときは最大 10mA のシンクが
可能です。一般に PG ピンと VOUT ピンとの間にプルアップ
抵抗が必要です。ただし、PG ピンを VIN 以上の電圧でプル
8
ISL80121-5 は最新の内部補償回路を採用しているため、出力
コンデンサの選択に制約はほとんどありません。VOUT の局
所バイパスに使う出力コンデンサは、X5R/X7R 特性の 10µF
以上であれば、コンデンサの種類や容量は問わず、温度範
囲、VIN 範囲、VOUT 範囲、負荷変動に対して安定動作が確保
されます。出力コンデンサは LDO の VOUT ピンと GND ピン
の間に接続し、プリント基板のトレースは 0.5cm 以下でルー
ティングしてください。
最近では、高速な負荷変動に応答できるとともに、他から重
畳した高周波ノイズをバイパスできることから、超低 ESR の
積層セラミック・コンデンサ (MLCC) の採用が増えています。
ただし MLCC の実効容量は、印加電圧、経年、温度によって
低下します。LDO の動作定格温度と動作定格電圧を考慮した
とき、公称電圧での容量を ±20% の範囲で一般に維持できる
X7R 誘電体または X5R 誘電体を使ったセラミック・コンデン
サを強く推奨します。
セラミック、POSCAP、アルミ電解 / タンタルなどコンデン
サを容量にかかわらず並列に接続すると、高周波領域での
PSRR 性能と、負荷応答時の出力電圧の AC 性能の向上が図
れます。
入力コンデンサ
動作の安定化のために X5R/X7R 特性の 10µF 以上の入力コン
デンサを接続してください。入力セラミック・コンデンサは
LDO の VIN ピンと GND ピン間に接続し、プリント基板の
トレースは 0.5cm 以下でルーティングしてください。
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2012 年 6 月 22 日
ISL80121-5
電力損失と放熱
過熱フォルト保護
ジャンクション温度が 4 ページに記載された「推奨動作条件
(Note 7)」で規定される温度範囲を超えないようにしてくだ
さい。電力損失は式 5 を使って求められます。
電力損失とパッケージ熱抵抗 (DFN では +48 ℃ /W) から、
ジャンクション温度がサーマルシャットダウン温度を超え
るかどうかが分かります。ダイ温度がおよそ +160 ℃を超え
ると、ダイ温度がおよそ +130 ℃を下回るまで、LDO 出力は
シャットダウンします。
(式 5)
P D =  V IN – V OUT   I OUT + V IN  I GND
最大許容ジャンクション温度 TJ(MAX) と、最大見込み周囲温
度 TA(MAX) から、式 6 に示すように、最大許容電力損失が決
まります。
(式 6)
P D  MAX  =  T J  MAX  – T A    JA
JA はジャンクション周囲熱抵抗です。
動作の安全性を確保するために、式 5 で求めた電力損失 PD
は、最大許容電力損失 PD(MAX) よりも小さくなければなり
ません。
DFN パッケージはプリント基板上の銅箔をヒートシンクと
して利用します。 パッケージの EPAD は銅箔パターン ( グ
ラウンド層 ) にハンダ付けしてください。 銅箔パターンの
面積を横軸に、 DFN パッケージの JA 特性を図 13 に示し
ます。
サーマルパッドの一般的な設計指針
図 14 は IC の放熱に効果をもたらすサーマルパッド上のビア
の推奨例です。この配置例では各ビアの中心同士がビアの半
径の 3 倍の間隔で並んでいます。ハンダリフローが困難にな
らない範囲で、ビアサイズはできるだけ小さく設計してくだ
さい。
すべてのビアは、効率的に熱を拡散するために、低熱抵抗で
パッド電位に接続してください。すべての層にメッキスルー
ホールで接続することが重要です。ビアの接続に 「サーマ
ルリリーフ」パターンは推奨されません。
46
JA (°C/W)
44
42
40
図 14. プリント基板のビアパターン
38
36
34
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
EPAD-MOUNT COPPER LAND AREA ON PCB, mm2
図 13. サーマルビアを備えた 4 層基板上の 3mm × 3mm
10LD DFN の JA と、EPAD を実装する銅箔パターン
の面積との関係
9
FN7713.5
2012 年 6 月 22 日
ISL80121-5
改訂履歴
この改訂履歴は参考情報として掲載するものであり、正確を期すように努めていますが、内容を保証するものではありません。
最新のデータシートについてはインターシルのウェブサイトをご覧ください。
日付
レビジョン
変更点
2012/6/6
FN7713.5
1. 12 ページの L10.3X3 のパッケージ寸法図をレビジョン 6 から最新のレビジョン 7 に変更。パッケー
ジ寸法図の変更内容は以下のとおりです。
推奨ランドパターン上で、PACKAGE OUTLINE を削除し、ランド同士の中心間距離を記載。
Note 4「リード幅は金属端子に適用され、端子先端から 0.18mm ~ 0.30mm の範囲で計測した値です。
」
がこのパッケージには該当しないので削除。それに応じて備考番号を変更。
2012/5/29
1. 7 ページの「入力電圧の要件」で、入力電圧を「2.2V」から「5V」に変更。
2012/5/23
1. 1 ページ: 3 段落目の 1 番目の文で「CMOS」を「BiCMOS」に変更。
2. 1 ページ: 1 段落目の文、「入力電圧範囲は 2.2V から 6V で、公称出力電圧は 5V です。
」を「入力電
圧範囲は 5V から 6V で、公称出力電圧は 5V です。」に変更。
3. 2 ページ: 注文情報の備考、
「1.5V 出力品、3.3V 出力品、5V 出力品を将来製品化する予定です。詳細
はインターシルまでお問い合わせください。」を削除。
4. 4 ページ: 推奨動作条件の「VIN (GND 基準 )」を 2.2V ~ 6V から 5V ~ 6V に変更。
5. 4 ページ: 推奨動作条件の「VOUT 範囲 800mV ~ 5V」を削除。
2011/9/19
FN7713.4
1 ページ目の表 1 を更新し、1A LDO ファミリの詳細情報を掲載。
2011/4/22
FN7713.3
7 ページの図 8 で、波形のラベルを「VOUT (50V/DIV)」から 「VOUT (50mV/DIV)」に訂正。
4 ページの「DC Output Voltage Accuracy」パラメータの MAX 値を -1.8 から +1.8 に訂正。
2011/2/1
FN7713.2
1. 1 ページの 2 段落目、
「電流制限値の設定機能はアプリケーションシステムの信頼性の向上を目的と
しています。」を「電流制限値の設定機能はエンドアプリケーションシステムの信頼性の向上を目的
としています。
」に変更。
2. 1 ページの「特長」、「ランプ時間を設定可能なソフトスタート動作」を「ランプ時間を設定可能な
ソフトスタート」に変更。
3. データシート全体の記述を統一。
4. 3 ページの EPAD の説明、「グラウンド層への直接接続は任意です。」を「放熱性能を高めるために、
グラウンド層に直接はんだ付けしてください。詳細は 9 ページの「電力損失と放熱」を参照してくだ
さい。」に変更。
5. 5 ページの電気的特性の備考から、「動作の安定化には X5R/X7R 特性の 10µF 以上のコンデンサが
VIN と VOUT に必要です。」と、
「突入電流の上限値がアプリケーションで許容できる場合、この機能
は使わないでください。VOUT に大容量のバルクコンデンサを必要とするアプリケーションでのみ使
用してください。」を削除。
6. 5 ページの電気的特性の PG PIN CHARACTERISTICS 欄で、Vout PG Flag Threshold パラメータの
代表値を「85」%Vout から「84」%Vout に変更。
7. 9 ページに「PowerPAD の一般的な設計指針」セクションを図 14 とともに追加。
8. PGOOD をすべて PG に変更。
2011/1/28
Ja の値を 51 ℃ /W から 48 ℃ /W に変更。
2011/1/25
1. 1 ページの「特長」
a. 「出力ノイズ 200µVRMS」を
「出力ノイズ 210µVRMS」に変更。
2. 1 ページのアプリケーション回路例、右側の図
a. 「VOUT」(2 ピン ) と「SENSE」(3 ピン ) の文字サイズを変更。
3. 8 ページの式 4
a. 余分なカッコ「)」を削除。
2011/1/21
1 ページ の「特長」の前に「ファミリの主な仕様一覧」を追加。
2 ページのブロック図から出力電圧設定可能品に対応した ADJ ピンを削除、SENSE 回路は記載継続。
3 ページ の 8 ピンの説明、2 番目の文「... 電流制限値は 0.75mA...」を「... 電流制限値は 0.75A...」に
変更。
4 ページ の「電気的特性」、「AC CHARACTERISTICS」の「Input Supply Ripple Rejection」パラメータ
の TYP 値に対する TEST CONDITION 欄を、
「f = 1kHz, ILOAD = 1A」と「f = 120Hz, ILOAD = 1A」から、
「f = 1kHz, ILOAD = 1A」と「f = 1kHz, ILOAD = 100mA」に変更。6 ページの図 3、X 軸を「OUTPUT
CURRENT (mA)」から 「OUTPUT CURRENT (A)」に変更。
8 ページの図 12、図タイトルの「VIN」の「IN」を下付き文字に修正。
2010/12/6
FN7713.1
1.
a.
2.
a.
2010/12/2
FN7713.0
初版
10
2 ページの「ブロック図」
出力電圧設定可能品に対応した ADJ ピンを追加、SENSE ピンに「出力電圧固定品」と追記
4 ページの「Ground Pin Current」パラメータ、「TEST CONDITIONS」欄
両方の行ともに「VOUT+ 0.4V」を「2.2V」に変更
FN7713.5
2012 年 6 月 22 日
ISL80121-5
製品
インターシルは、高性能アナログ、ミクストシグナルおよびパワーマネジメント半導体の設計、製造で世界をリードする企業
です。インターシルの製品は、通信、コンピューティング、コンシューマ、産業用機器の分野で特に急速な成長を遂げている
市場向けに開発されています。製品ファミリの詳細は、www.intersil.com/product_tree/ をご覧ください。
ISL80121-5 に関するアプリケーション情報、関連ドキュメント、関連部品は、www.intersil.com 内の ISL80121-5 のページを参照
してください。
本データシートに関するご意見は www.intersil.com/askourstaff へお寄せください。
信頼性に関するデータは rel.intersil.com/reports/search.php を参照してください。
そのほかの製品については www.intersil.com/product_tree/ を参照してください。
インターシルは、www.intersil.com/design/quality/ に記載の品質保証のとおり、
ISO9000 品質システムに基づいて、製品の製造、組み立て、試験を行っています。
インターシルの製品は製品に関する情報のみを提供して販売されます。インターシルは、予告インターシルは、製品を販売するにあたって、製品情報
のみを提供します。インターシルは、いかなる時点においても、予告なしに、回路設計、ソフトウェア、仕様を変更する権利を有します。製品を購入
されるお客様は、必ず、データシートが最新であることをご確認くださいますようお願いいたします。インターシルは正確かつ信頼に足る情報を提供
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FN7713.5
2012 年 6 月 22 日
ISL80121-5
パッケージ寸法図
L10.3x3
10 LEAD DUAL FLAT PACKAGE (DFN)
Rev 6, 09/09
3.00
5
PIN #1 INDEX AREA
A
B
1
5
PIN 1
INDEX AREA
(4X)
3.00
2.00
8x 0.50
2
10 x 0.23
0.10
1.60
上面図
10x 0.35
底面図
(4X)
0.10 M C A B
0.415
(10 x 0.55)
0.200
0.23
0.35
SEE DETAIL "X"
(10x 0.23)
1.00
MAX
0.10 C
BASE PLANE
2.00
0.20
C
SEATING PLANE
0.08 C
側面図
(8x 0.50)
C
0.20 REF
4
1.60
0.05
2.85 TYP
"X" の詳細
推奨ランドパターンの例
NOTE:
1. 寸法の単位は mm です。
( ) 内の寸法は参考値です。
2. 寸法と公差は ASME Y14.5m-1994 に従っています。
3. 特記のない限り、公差は DECIMAL ±0.05 です。
4. タイバー ( 示されている場合 ) は非機能性です。
5. 1 ピンの識別子はオプションですが、表示されているゾーン内
に配置されます。1 ピンの識別子はモールドまたはマーキング
で示されます。
12
FN7713.5
2012 年 6 月 22 日