si-80xxjdseries an jp

アプリケーション ノート
面実装チョッパ型スイッチングレギュレータIC
SI-8000JDシリーズ
第 2 版 2013 年 11 月
サンケン電気株式会社
SI-8000JD
---
目次
---
1.概要
1-1 特長
----------
3
1-2 主な用途
----------
3
1-3 種別
----------
3
2-1 外形図
----------
4
2-2 定格
----------
5
2-3 回路図
----------
7
3-1 PWM 出力電圧制御
----------
8
3-2 入出力電流とチョークコイル電流
----------
9
3-3 過電流・過熱保護
----------
10
4-1 位相余裕
----------
11
4-2 LCフィルタの位相特性
----------
13
----------
14
5-1 外付部品選定上の注意
----------
15
5-2 パターン設計上の注意
----------
19
5-3 動作波形の確認
----------
21
5-4 熱設計
----------
22
6-1 出力 ON・OFF 制御
----------
23
6-2 出力電圧可変
----------
23
6-3 スパイクノイズの低減
----------
25
6-4 逆バイアス保護
----------
25
----------
26
2.製品仕様
3.SI-8000JD の動作説明
4.電源の安定性
4-3 レギュレータICとLCフィルタの
位相特性の関係
5.使用に際しての注意事項
6.応用
7.用語解説
2
SI-8000JD
1.概要
SI-8000JD シリーズは、降圧スイッチングレギュレータに必要な各種の機能と保護機能を
備えたチョツパ型スイッチングレギュレータICです。僅か4点の外付け部品で高精度高
能率のスイッチングレギュレータを構成することが出来ます。
●1-1
特長
・小型大出力電流 1.5A
面実装 TO263-5 の外形で、出力電流が最大 1.5Aです。
・高効率82%(SI-8050JD Vin=20V/Io=0.5A)
高効率のため発熱が小さく、放熱器も小型にする事が出来ます。
・外付部品4点
入出力コンデンサ、ダイオード、コイルのみでレギュレータを構成できます。
・出力電圧、位相補正内部調整済
面倒な外付部品による出力電圧、位相補正の調整は不要です。
・タイミングコンデンサ内蔵型基準発振
発振周波数設定用の外付コンデンサは不要です。
・過電流、過熱保護内蔵
フの字型過電流保護および過熱保護回路を内蔵しています。(自動復帰型)
・出力 ON/OFF 機能(立ち上げディレイ時間設定可能)
出力の ON/OFF 制御も可能です。OFF 時の消費電流も尐なくなっております。また
外付コンデンサの追加で、起動時に出力電圧立ち上がり速度を遅らせることが出
来ます。
●1-2
主な用途
・オンボードローカル電源
・OA機器用電源
・レギュレータ2次側出力電圧安定化
・テレコム用電源
●1-3
種別
・種別:半導体集積回路(モノリシックIC)
・構造:樹脂封止型(トランスファーモールド)
3
1
2
5-0.80±0.10
φ 1.50 Dp : ±0.20
3
4
5
4-[1.70±0.25]
9.20±0.20
4.90±0.20
(15°)
(3°)
(3°)
2.00±0.10
15.30±0.30
(0.50)
(R0.30)
3-(R0.30)
4.50±0.20
0~6°
2.54
±0.30
(R0.30)
2.40±0.20
(3°)
+0.15
-0.10
+0.10
-0.05
0.10
1.30
15.30±0.30
(4.60)
(0.40)
4-[1.70±0.25]
(6.80)
注記
1) 寸法はモールドバリを含まない。
2) ( )内は参考寸法を示す。
3) [ ]内はリードフォーミング後寸法
4) 裏面段差:0.8mmMAX
5) 単位:mm
5-0.80±0.10
2x(R0.45)
(4.40)
(8.00)
●2-1
(0.75)
9.90±0.20
(1.75)
10.00±0.20
SI-8000JD
2.製品仕様
SI-8000JD(面実装:TO263-5)外形図
端子配列
1. Vin
2. SWOut
3. GND
4. Vos
5. ON/OFF
製品質量:約 1.48g
Products Weight:Approx.1.48g
4
4.90±0.20
9.20±0.20
SI-8000JD
●2-2
定格
ラインナップ
絶対最大定格
品名
Vout(V)
項目
記号
定格値
単位
SI-8033JD
3.3
入力電圧
Vin
43
V
SI-8050JD
5
無限大放熱時許容損失
Pd1
16.6
W
SI-8090JD
9
放熱板未使用時許容損失
Pd2
1.5
W
SI-8120JD
12
接合部温度
Tj
125
゚C
保存温度
Tstg
-40~+125
゚C
推奨動作条件
項目
直流入力電圧
出力電流
記号
SI-8033JD
SI-8050JD SI-8090JD SI-8120JD 単位
Vin1
5.3~6.3
7~8
11~12
14~15
V
Io=0~1A
Vin2
6.3~40
8~40
12~40
15~40
V
Io=0~1.5A
0~1.5
A
Vin≧Vo+3V
-30~+125
℃
Io
動作時接合温度 Tjop
条件
電気的特性
(Ta=25 ゚ C)
SI-8033JD
項
目
記号
SI-8050JD
SI-8090JD
min typ max min typ max min typ max
SI-8120JD
min
typ
max
Vin
3.17 3.30 3.43 4.90 5.00 5.10 8.82 9.00 9.18 11.76 12.0 12.24
条件
Vin=15V/Io=0.5A Vin=20V/Io=0.5A Vin=21V/Io=0.5A
設定出力電圧
V
η
効
単位
77
82
Vin=24V/Io=0.5A
86
88
率
%
条件
Vin=15V/Io=0.5A Vin=20V/Io=0.5A Vin=21V/Io=0.5A
f
125
125
Vin=24V/Io=0.5A
125
125
動作周波数
kHz
条件
Vin=15V/Io=0.5A Vin=20V/Io=0.5A Vin=21V/Io=0.5A
80
40
100
50
Vin=24V/Io=0.5A
入力電圧対出力電圧
⊿VLi
25
120
60
130
(Iout=0.5A)
条件
Vin=8~30V
Vin=10~30V
Vin=15~30V
Vin=18~30V
出力電流対出力電圧
⊿VLo
10
10
10
10
(Iout=0.2~0.8A)
条件
Vin=15V
mV
30
40
40
40
mV
Is
1.6
Vin=20V
1.6
Vin=21V
1.6
Vin=24V
1.6
過電流保護開始電流
A
条件
Vin=15V
Vin=20V
Vin=21V
Vin=24V
5
SI-8000JD
SI-8033JD
項
目
出力電圧温度変動
記号
Kt
SI-8050JD
SI-8090JD
min typ max min typ max min typ max
±
0.5
± 0.5
±
SI-8120JD
min
typ
± 1.0
max
単位
mV/゚ C
1.0
6
SI-8000JD
●2-3
回路図
2-3-①
内部等価回路図
・SI-8033JD,SI-8050JD,SI-8090JD,SI-8120JD 内部等価回路
Vin
SW
OUT
Vin
1
L
2
Vout
Di
C1
PReg
過電流保護
ON/
OFF
5
C2
ラッチ &
ドライバ
リセット
ON/OFF
DelayStart
C3
発振器
Vos
過熱保護
コンパレータ
4
エラーアンプ
基準電圧
GND
3
2-3-②
標準接続図
・SI-8033JD,SI-8050JD,SI-8090JD,SI-8120JD 接続図
1
VIN
VIN
SWOUT
SI-8000JD
220uF
GND
ON/OFF GND
5
3
Vos
2
100uH
VOU
T
4
Di
470uF
GND
7
SI-8000JD
3.SI-8000JD の動作説明
●3-1
PWM 出力電圧制御
SI-8000JDシリーズは、PWM方式にて出力電圧を制御しており、PWMコン
パレータ、発振器、誤差増幅器、基準電圧、出力トランジスタドライブ回路、等を内蔵し
ております。
PWMコンパレータの入力には発振器からの三角波出力(≒125KHz)と誤差
増幅器の出力が与えられます。PWMコンパレータは発振器出力と誤差増幅器出力を比較
し、発振器出力に対し誤差増幅器出力が上回った時間にスイッチングトランジスタがON
になるよう制御しています。
PWM 制御チョッパ型レギュレータ基本構成
誤差増幅器出力と発振器出力を
PWM コンパレータで比較し方形
波のドライブ信号を発生させスイ
ッチングトランジスタをドライブ
する。
仮に出力電圧が上昇しようとした場合、誤差増幅器は反転型のため誤差増幅器の出力は
低下します。誤差増幅器出力が低下しますと発振器の三角波レベルを下回る時間が増加し
スイッチングトランジスタのON時間を短縮させることにより出力電圧を一定に保ちます。
PWM コンパレータ動作図
このようにスイッチングの周波数
は固定したままで、スイッチング
トランジスタのON時間を変化さ
せることにより出力電圧を制御し
ています。
(Vin が高いほどスイッチングト
ランジスタのON時間は短く
なります。)
スイッチングトランジスタの方形波出力は、チョークコイルとコンデンサによるLCロー
パスフィルターにより平滑され、安定化された直流電圧として負荷へ供給されることにな
ります。
8
SI-8000JD
●3-2
入出力電流とチョークコイル電流
SI-8000JDのスイッチングトランジスタによって作られた方形波出力は、チョ
ークコイルと出力コンデンサで構成されるLCフィルタで平滑される事により、直流出力
電圧に変換されます。このLCフィルタの動作はチョッパ型レギュレータの安定動作に大
きく影響します。チョークコイルと電流の関係、電流と出力リップル電圧の関係等を以下
に示します。
チョークコイルに流れる電流 IL は、三角波の形状を示します。この三角波は2種類の電
流成分 Itr と Idi で構成されています。電流 Itr はトランジスタ ON 時に入力側よりトラン
ジスタを通して供給される電流であり、この平均値が入力電流 Iin となります。
また電流 Idi は、チョークコイルに蓄えられたエネルギーがトランジスタ OFF 時にフライ
ホイールダイオード Di を介して転流された電流です。
Itr と Idi の合計がチョークコイル電流 IL となります。さらに IL の重畳している三角波
成分は、コンデンサCの充放電作用により平滑されますので、IL の平均値が直流出力電流
Io となります。
9
SI-8000JD
●3-3
出力電圧
過電流・過熱保護
過電流時出力電圧特性
SI-8000JDは、フの字型過電流保
ここで周波数が低下
護回路を内蔵しています。過電流保護回路は
スイッチングトランジスタのピーク電流を検
出し、ピーク電流が設定値を超えると強制的
にトランジスタのON時間を短縮させて出力
出力電流
電圧を低下させ電流を制限しています。さら
に出力電圧が定格値の約 50%まで低下しますとスイッチング周波数を約 40KHz におとし低
出力電圧時の電流増加を防止しています。過電流状態を解除すると出力電圧は自動的に復
帰します。
過熱保護時出力電圧特性
過熱保護回路は、ICの半導体接合温度を
検出し、接合温度が設定値を超えると出力ト
ランジスタを停止させ、出力をOFFとしま
す。接合温度が過熱保護設定値より約15℃
低下しますと自動的に復帰します。
※(過熱保護特性)注意事項
瞬時短絡等の発熱に対しICを保護する回路であり、長時間短絡等、発熱が継続する状態
での信頼性を含めた動作を保証するものではありません。
10
SI-8000JD
4.電源の安定性
●4-1
位相余裕
PWM制御チョッパ型レギュレータの回路ブロック図を以下に示します。これよりPW
M制御チョッパ型レギュレータは、あらかじめ設定された基準電圧と、出力電圧を常時比
較して出力電圧を制御する負帰還増幅器である事が解ります。したがって出力電圧の変動
を誤差増幅器で検出して出力を制御する為の負帰還ループを有しています。
負帰還ループ内の位相は、出力電圧の変動を打ち消すため 180 ゚ずれていますが、さらに
増幅度(ゲイン)が1以上の状態において位相が 180 ゚遅れると、位相のずれは合計で 360 ゚
に達し、安定動作領域をはずれて異常発振をおこします。これをバルクハウゼンの発振条
件といいます。したがって実際の安定化電源ではこの発振条件が成立しないようにしなく
てはなりません。
バルクハウゼンの発振条件が成り立つかどうかは、負帰還ループの周波数-ゲイン・位
相特性により判定することが可能です。この周波数-ゲイン・位相特性をボード線図と呼
びます。
一段差動アンプ
ボード線図例
11
SI-8000JD
ここでボード線図上において
ゲインが1(0dB)になる周波数 :ゲイン交点
帰還ループの位相が-180 ゚になる周波数
:位相交点
と呼びます。ゲイン交点の周波数において位相が-180 ゚に達していなければ発振条件は成
立しないことになります。そこで
ゲイン交点における位相-(-180 ゚)=ゲイン交点における位相+180 ゚
を位相が-180 ゚までどれだけ余裕があるかを示す値として用い、これを位相余裕と呼び
ます。位相余裕が大きい程、入出力条件や温度等の周囲環境が変化しても異常発振を起こ
しにくくなります。したがって安定動作を保つためには十分な位相余裕を見込んでおく必
要があります。
ボード線図における安定判別
12
SI-8000JD
●4-2
LCフィルタの位相特性
チョッパ型レギュレータの位相余裕は、出力平滑用LCフィルタの位相特性に、大きく
左右されます。LCフィルタの位相特性は、理論上は二次遅れ要素の特性を示します。こ
れはコイルのインダクタンスLとコンデンサの容量Cの組み合わせにより特定の周波数で
共振を起こし、共振点より高い周波数では、位相が最大 180 ゚遅れることになります。
共振周波数fLC は
fLC 
1
2 LC
位相特性は
共振周波数fLC より低い周波数の位相特性は:0 ゚
共振周波数fLC より高い周波数の位相特性は:-180 ゚
となります。
したがって出力平滑用LCフィルタが理論通りの位相特性を示すとなると、このフィル
タの部分だけで位相遅れは-180 ゚に達し、レギュレータとしての位相余裕は 0 ゚になってし
まいます。
しかし現実のLCフィルタにおいてはコンデンサの等価直列抵抗(ESR)の影響により、L
Cフィルタの位相遅れは 180 ゚より尐なくなります。よって、この等価直列抵抗の位相補正
効果により、レギュレータとしての位相余裕を確保することが出来ます。ESRが大きい
場合、LCフィルタの位相遅れは小さくなりますが、LCフィルタの減衰率の低下による
ゲイン上昇のための位相余裕低下、出力リップル電圧増大による異常発振発生の可能性が
あるため注意が必要です。
一般的に、出力LCフィルタにタンタル・コンデンサや積層セラミック・コンデンサの
ような ESR の非常に小さいコンデンサを用いますと、フィルタ部分の位相遅れが大きくな
ります。よって位相余裕確保の面からは、出力フィルタには電解コンデンサの使用が適当
です。
13
SI-8000JD
●4-3
レギュレータICとLCフィルタの位相特性の関連
チョッパ型レギュレータの位相特性は、レギュレータICの位相と、LCフィルタの位
相特性で決まってしまいます。そこで両者の特性の関連が重要になります。
レギュレータICの位相遅れの要因としては、一般的に出力段や誤差増幅器の遅れとな
り、周波数が高いほど位相遅れは大きくなります。これに対し、LCフィルタの場合、L
Cフィルタの共振周波数 fLC 以上では、周波数が高いほど位相遅れは小さくなります。従
って、レギュレータICのゲイン低下開始周波数 fp と、LCフィルタの共振周波数fLC
が接近していると、両者の位相遅れが集中するためレギュレータの位相余裕が尐なくなっ
てしまいます。一般的に fLC が低い程、位相余裕が増える傾向があります。
fLC を下げるには、以下の式よりコイル容量もしくは、コンデンサ容量を上げることが必要です。
共振周波数 fLC は
fLC 
レギュレータ IC
1
2π LC
レギュレータ IC
各レギュレータICのアプリケーションに記載されているLCフィルタの定数において、
コイルのインダクタンスやコンデンサの容量を、推奨値より極端に小さくしますと、LCフ
ィルタの共振周波数fLC が上昇して位相余裕が減尐する危険があるので注意が必要です。
14
SI-8000JD
5.使用に際しての注意事項
●5-1
外付部品選定上の注意
5-1-①
チョークコイルL
チョークコイルLは、
スイッチングトランジスタ OFF 時に負荷側に電流を供給しており、
チョッパ型スイッチングレギュレータの中心的役割を果たしています。レギュレータの安
定動作維持のため、飽和状態での動作や、自己発熱による高温動作等の危険な状態は回避
しなくてはなりません。チョークコイル選定のポイントとしては以下の事項が挙げられま
す
a)スイッチングレギュレータ用であること
ノイズフィルタ用のコイルは、損失が大きく発熱が大となりますので使用をさけてくだ
さい。
b)インダクタンス値が適正であること
チョークコイルのインダクタンスは、大きいほどコイルを流れるリップル電流が減尐し
出力リップル電圧が小さくなりますが、コイルの外形は大形になります。逆に小さなイン
ダクタンスとすると、スイッチングトランジスタやダイオードを流れるピーク電流が増大
して損失が増加し、リップル電圧も大きくなり安定動作確保の上で好ましくありません。
インダクタンスが大きい程、リップル電流・電圧は
インダクタンスが小さい程、リップル電流・電圧が
小さくなる。ただし、コイルの外形は大型になる。
大きくなる。コイルの外形は小型になるが、動作が
不安定になりやすい。
仕様書に示すインダクタンス値は、安定動作に適した目安の値でありますが、また次式に
よって適当なインダクタンス値を求めることもできます。
ここで、ΔIL はチョークコイルのリップル電流値を示し、大略下記の目安に従って設定しま
す。
・使用出力電流が SI-8050JD の最大定格(1.5A)に近い場合:出力電流×0.2~0.3 倍
・使用出力電流が大略 0.5A 以下の場合:出力電流×0.5~0.6 倍
L
例えば
(Vin  Vout )  Vout
IL  Vin  f
Vin=25V.
Vout=5V.
---(1)
ΔIL=0.3A.
周波数=125KHz
とすると
(25  5)  5
L
≒106uH
0.3  25  125  103
となりますのでインダクタンスが約 100uH のコイルを選択すればよいことになります。
15
SI-8000JD
c)定格電流を満足すること
チョークコイルの定格電流は、使用する最大負荷電流より大きくなくてはなりません。
負荷電流がコイルの定格電流を越えると、インダクタンスが激減し、ついには飽和状態と
なります。この状態では、高周波インピーダンスが低下し、過大な電流が流れますのでご
注意ください。
d)直流重畳特性が良いこと
チョークコイルを流れる電流波形は、三角波に
負荷電流に等しい直流電流が重なっています。コイ
ルのインダクタンスは、この重畳している電流の増
大にしたがって低下する傾向にあります。インダク
タンスが定格値の50%ダウンするまでは使用可
能ですので、コイル選択の目安にして下さい。
e)ノイズが尐ないこと
ドラム型のような開磁路型コアは、磁束がコイルの外側を通過するため周辺回路へノイ
ズによる障害を与えることがあります。なるべくトロイダル型や EI 型、EE 型のような閉磁
路型コアのコイルをご使用下さい。
5-1-②
入力コンデンサC1
入力コンデンサは、入力回路のバイパスコンデンサとして動作し、スイッチング時の急
峻な電流をレギュレータに供給しており、入力側の電圧降下を補償しています。従って極
力レギュレータICの近くに取り付ける必要があります。また、AC 整流回路の平滑コンデ
ンサが入力回路にある場合には、入力コンデンサは平滑コンデンサと兼用とすることがで
きますが、同様の配慮が必要です。
C1選定のポイントとして次のことが挙げられます。
a)耐圧を満足すること。
b)許容リップル電流値を満足すること。
C1の電流の流れ
16
SI-8000JD
これら耐圧や許容リップル電流値を、オーバーしたりディレーティング無しで使用した場
合、コンデンサ自身の寿命が低下(パンク、容量の減尐、等価インピーダンス増大、等)
するばかりでなく、レギュレータの異常発振を誘発する危険があります。従って、十分な
マージンをとった選択が必要です。なお入力コンデンサに流れるリップル電流実効値 Irms
は下記の式で求められます。
Irms  1.2 
例えば
Vo
 I o u t--(2)
V i n
Iout=1.5A.
I r m s1.2 
Vin=20V.
Vo=5V.
とすると
5
 1.5  0.45 A
20
となりますので許容リップル電流が、0.45A より大きいコンデンサを選ぶ必要があります。
5-1-③
出力コンデンサC2
出力コンデンサC2は、チョークコイルLと共にLCローパスフィルターを構成して、
スイッチング出力の平滑コンデンサとして機能しています。出力コンデンサにはチョーク
コイル電流の脈流部ΔIL と等しい電流が充放電されています。従ってC2選定のパラメータと
しては入力コンデンサと同様に、耐圧及び許容リップル電流値に十分なマージンをとった
上で満足する必要があります。また、その他のポイントとして、直流等価抵抗(ESR)、
容量となります。以下に選定の注意点を示します。
C2 の電流の流れ
◇許容リップル電流
出力コンデンサのリップル電流実効値は、下記の式で求められます。
Irms 
IL
2 3
---(3)
例えばΔIL を 0.5A としますと
Irms 
0.5
≒ 014
. A
2 3
となり許容リップル電流が 0.14A 以上のコンデンサが必要になります。
17
SI-8000JD
◇直流等価抵抗(ESR)
安定動作のため ESR は適切な値を選ぶことが必要です。ESR が過大な場合には、出力
リップル電圧増大による異常発振、一方、過尐な場合は位相余裕の不足となります。出力リップ
ル電圧は、チョークコイル電流の脈流部ΔIL(=C2充放電電流)と ESR の積で決まり、
出力リップル電圧としては、出力電圧の 0.5~1%程度(例:Vout=5V で 0.5%の場合:25mV)
にて良好な動作となり、出力電圧リップルの求め方は(4)(5)を参照願います。ESR は
温度で変化し、特に高温時には ESR が低下することから注意が必要です。
Vrip 
Vin  Vout Vout ESR - -(4)
L  Vin  f
Vrip  IL  ESR - -(5)
-
また、ESR が極端に小さい場合(約10~20mΩ以下)位相遅れが大きくなり、異常発振
となる可能性があります。このため、出力コンデンサにタンタルコンデンサや積層セラミ
ックコンデンサを単体で用いることは適当ではありません。但し低温(<0 ゚ C)で使用され
る場合には、電解コンデンサと並列にタンタルコンデンサや積層セラミックコンデンサを
接続すると出力リップル電圧の低減に有効です。更に、一層出力リップル電圧を小さくす
るには、下図に示すように、LCフィルタを一段追加しπ型フィルターを構成するのが効果
的です。
SI-8000JD
L2 : 20uH
Co2 : 200uF
このように、出力コンデンサC2においては、耐圧及び許容リップル電流が満足されれば、
容量より ESR の方が動作安定度に与える影響が大きい事にご注意ください。出力コンデンサのレイアウト
については、IC より離れた場所に配置した場合、配線抵抗等で擬似的に ESR の上昇と等価とな
るため、IC 近傍の配置を推奨します。
18
SI-8000JD
5-1-④
LC フィルタ定数選定例
上記内容を踏まえた、
チョーククコイルのインダクタンス、出力コンデンサの容量、ESR の算出方法について、
以下に示します。以下の値は目安となり、多くの場合、インダクタンス、出力コンデンサ容量大のほう
が、安定動作となります。
サンプル:SI-8050JD、条件:入力電圧 Vin:24V、出力電圧 Vo:5V、出力電流 Io:0.5A
①チョークコイルのインダクタンス L
チョークコイルリップル電流ΔIL=Io×0.5~0.6⇒0.3A とする。
L
Vin  Vo Vo 
IL  Vin  f
24  55
0.3  25  125000
 101H L : 100Hとする。
②出力コンデンサ ESR
出力リップル電圧 Vrip=5V×0.5%=25mV とする。
Vrip  IL  ESR ESR 
5-1-⑤
Vrip
 83.3m IL
フライホイールダイオード・Di
ダイオード Di は、スイッチングオフ時にチョークコイルに貯えられたエネルギーを放出
させるための物です。フライホイールダイオードには必ずショットキーバリアダイオード
を使用して下さい。一般の整流用ダイオードやファーストリカバリダイオード等を使用し
た場合、リカバリ及びオン電圧による逆電圧印可によりICを破壊する恐れがあります。
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SI-8000JD
●5-2
パターン設計上の注意
5-2-①
大電流ライン
接続図中の太線部分には大電流が流れますので、出来る限り太く短かいパターンとして
ください。
SI-8000JD
5-2-②
入出力コンデンサ
入力コンデンサC1と、出力コンデンサC2は、出来る限りICに近づけてください。入力側に
AC 整流回路の平滑コンデンサがある場合には、入力コンデンサと兼用にする事が可能ですが、距離
が離れている場合には、平滑用とは別に入力コンデンサを接続する事が必要です。また入出力コン
デンサのリード線には、大電流が高速で充放電されるので、リード線の長さは最短としてください。
コンデンサ部分のパターン
引き回しにも同様の配慮が
必要です。
5-2-③
センシング端子
出力電圧センシング端子Vosは出来る限り出力コンデンサC2に近い所に接続してく
ださい。(Vos端子流入電流は 0.5mA程度です。)遠い場合、レギュレーションの低下、
スイッチングリップルの増大により異常発振の原因となる事がありますので御注意くださ
い。
推奨パターン
推奨ランドパターン
11±0.2
9±0.2
6.8±0.1
9±0.1
3.7±0.05
4±0.1
1±0.05
TopView・部品面
1.7±0.1
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SI-8000JD
●5-3
動作波形の確認
スイッチング動作が正常であるかどうかはSI-8000JDの2-3端子間波形
(SwOut 波形)にて確認できます。以下に正常動作時及び異常発振時における波形例を示しま
す。
連続領域は、チョークコイルを流れる電流に、三角波に直流成分が重畳している領域で
あり、不連続領域は、チョークコイル電流が尐ないためチョークコイルを流れる電流が断
続的になる(ゼロになる期間が発生する)領域です。したがって負荷電流が多い場合は連
続領域に、尐ない場合は不連続領域になります。連続領域ではスイッチング波形は通常の
方形波の形状となり(波形1)、不連続領域ではスイッチング波形に減衰振動が発生しま
すが(波形2)、これは正常な動作であり問題はありません。
ICと C1,C2 が離れていると、上の波形(3,4)にみられるように、スイッチングの
ON・OFF 時間が乱れるジッタが発生します。前述のとおり、C1,C2 はICの近くに接続する
ことが必要です。
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SI-8000JD
●5-4
熱設計
面実装タイプの SI-8000JD の場合、実装基板に残された銅箔へ放熱する事になりますので、銅箔面
積や基板の素材、銅箔層数などに大きく左右されます。
SI-8000JD の裏面ステム部分は 3 番ピン(GND)とインナーフレームでつながっており、裏面ステム部
分に直接つながっている GND パタンを大きく取る事で放熱性が向上します。
ジャンクション温度を確認する場合は、図に示すステム部分の温度を測定し以下の式で算出する事
で確認ができます。
Tj=Tc+Pd×3℃/W
*Tc:実測ステム温度
温度測定箇所
ジャンクションとの熱抵抗は
3℃/W です
参考データ(片面銅箔基板での銅箔面積 vs 熱抵抗データ
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SI-8000JD
6.応用
●6-1
出力の ON・OFF 制御
5番端子を用いて、出力 ON・OFF 制御が可能です。オープンコレクタ等のスイッチによ
り、5番端子を Lo レベルとすると出力は停止します。また立ち上がりディレー時間設定と
の併用も可能です。ON・OFF 端子はIC内部でプルアップ済みですので外部からは電圧を印
加しないで下さい。
SI-8000JD
ON/OFF
SI-8000JD
ON/OFF
●6-2 SI-8033JD,SI-8050JD,SI-8090JD,SI-8120JD 出力電圧可変
4番・Vos 端子に抵抗を追加することにより出力電圧を上昇させる事が出来ます。
(降下は不可)
●6-2-①
外付抵抗1本による出力電圧可変
出力電圧調整抵抗 Rex は、次式により求まります。
SI-8000JD
Ivos
Re x 
Vout'Vos
IVos
---(1)
Vos :製品設定出力電圧
Vout‘ :可変後出力電圧
Ivos :Vos 端子流入電流≒527μA
※ Rex は、温度補償されませんので、出力電圧温度特性は低下します。また Ivos はIC
の製品によって最大±20%のバラツキがあります。従って出力電圧のバラツキ範囲が拡がり
ますので、精確な出力電圧の合わせ込みには半固定抵抗が必要です。
以下に Rex、Ivos、Vos のバラツキを考慮した、出力電圧バラツキ範囲を示します。
ⅰ最大出力電圧(Vout’MAX)
Vout' MAX=VosMAX+RexMAX  IvosMAX
VosMAX:設定出力電圧の最大値。仕様書の電気的特性に示す、設定出力電圧の MAX 値を
入れてください。
RexMAX:Rex の最大値。抵抗の許容差より求めてください。
IvosMAX :Vos 端子の最大流入電流。658μA
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SI-8000JD
ⅱ最小出力電圧(Vout’MIN)
Vout' MIN=VosMIN+RexMIN  IvosMIN
VosMIN
:設定出力電圧の最小値。仕様書の電気的特性に示す、設定出力電圧の MIN 値
を入れてください。
RexMIN:Rex の最小値。抵抗の許容差より求めてください。
IvosMIN :Vos 端子の最小流入電流。439μA
●6-2-②
外付抵抗2本による出力電圧可変
出力電圧調整抵抗 Rex1、2 は、次式により求まります。
Vout'Vos
S  IVos
Vos
Re x2 
(S  1)  IVos
Re x1 
Ivos
SI-8000JD
S
---(3)
---(4)
:安定係数
Rex2 に電流をバイパスさせる事により、①の方法よりも温度特性及び出力電圧バラツキ
範囲は改善されます。安定係数 S は、Vos 端子流入電流 Ivos に対する IRex2 の比を示して
おり S を大きくする程、温度特性と出力電圧バラツキは改善されます。(通常 5~10 位)
以下に Rex1、Rex2、Ivos、Vos のバラツキを考慮した、出力電圧バラツキ範囲を示します。
ⅰ最大出力電圧(Vout’MAX)
Vout' MAX =VosMAX +Rex1MAX(
VosMAX
VosMAX
+IvosMAX )
Rex2MIN
:設定出力電圧の最大値。仕様書の電気的特性に示す、設定出力電圧の MAX 値
を入れてください。
Rex1MAX:Rex1 の最大値。抵抗の許容差より求めてください。
Rex2MIN:Rex2 の最小値。抵抗の許容差より求めてください。
IvosMAX :Vos 端子の最大流入電流。658μA
ⅱ最小出力電圧(Vout’MIN)
Vout' MIN=VosMIN+Rex1MIN(
VosMIN
VosMIN
+IvosMIN )
Rex2MAX
:設定出力電圧の最小値。仕様書の電気的特性に示す、設定出力電圧の MIN 値
を入れてください。
Rex1MIN:Rex1 の最小値。抵抗の許容差より求めてください。
Rex2MAX :Rex2 の最大値。抵抗の許容差より求めてください。
IvosMIN :Vos 端子の最小流入電流。439μA
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SI-8000JD
●6-2-③ 出力電圧可変時の注意事項
出力電圧を可変させた場合の懸念点としましては、レギュレーションの悪化、出力電圧温度係数の
増加が想定されます。また大幅に可変させた場合は、コイル電流増大による、過電流保護電流
低下が想定されることから、コイル容量値上昇が必要となる場合があります。以上の点から、
出力電圧の可変上限としましては、設定出力電圧+5V 以内でのご使用を推奨致します。尚、
出力電圧の可変下限としましては、設定出力電圧の MAX 値となります。
●6-3
スパイクノイズの低減
スパイクノイズを低減させるには、SI-8000JD の出力波形及び、ダイオードのリカバリー
タイムを、コンデンサで補正する方法がありますが、共に効率が弱冠低下しますので注意
して下さい。
0~ 20Ω
1.VIN
100~ 3000pF
2.SWOUT
SI-8000JD
0~ 20Ω
3.GND
100~ 4000pF
※オシロスコープにてスパイクノイズを観測される際には、プローブの GND リード線が
長いとリード線がアンテナの作用をしてスパイクノイズが異常に大きく観測されることが
あります。スパイクノイズの観測に当たってはプローブのリード線を最短にして出力コン
デンサの根本に接続して下さい。
●6-4
逆バイアス保護
バッテリーチャージ等、入力端子より出力の電圧が高くなるような場合には、入出力間
に逆バイアス保護用のダイオードが必要となります。
SI-8000JD
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SI-8000JD
7.用語解説
・ジッタ
異常スイッチング動作の一種で、入出力条件が一定にも関わらずスイッチングパルス
幅が変動する現象であります。ジッタが発生すると、出力のリップル電圧ピーク幅が
増加します。
・推奨動作条件
正常な回路機能を維持するために必要とされる動作条件を示すもので、実使用におい
ては当条件内とする必要があります。
・絶対最大定格
破壊限界を示す定格であり、瞬時動作及び定常動作において、一項目かつ一瞬たりと
も規格値を超えないように配慮する必要があります。
・電気的特性
各項目に示している条件で動作させた場合の特性値規格であります。動作条件が異な
る場合には、規格値から外れる可能性があります。
・PWM (Pulse width modulation)
パルス変調方式の一種で、変調信号波(チョッパ型スイッチングレギュレータの場合、
出力電圧)の変化に応じて、パルスの幅を変えて変調する方式であります。
・ESR (Equivalent series resistance)
コンデンサの等価直列抵抗値を示します。コンデンサに直列に接続された抵抗と同等
の作用を示します。
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SI-8000JF
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