FEJ 74 11 604 2001

富士時報
Vol.74 No.11 2001
新しい小型配線用遮断器・漏電遮断器
「α-TWIN シリーズ」
朝日 信夫(あさひ のぶお)
佐藤 一彦(さとう かずひこ)
川嶋 善明(かわしま よしあき)
まえがき
ンブレーカの最終発展型と考えている。新しい考え方を取
り入れたツインブレーカと位置づけて「α-TWIN」と命
富士電機では,1990年に配線用遮断器と漏電遮断器の外
形を統一した「ツインブレーカ」を発表し,大きな反響を
呼んだ。その後1992年に「スーパーツインブレーカ」
,引
名した。
本稿においては,α-TWIN の特長,仕様,構造などに
ついて,その概要を紹介する。
き続き1995年に「スーパー60シリーズ」と,外形寸法のモ
α-TWIN の狙いと特長
ジュール化を業界に先駆けて推進し,顧客から大きな支持
を得てきた。
一方,この10年間に,規制緩和に源を発する JIS 規格の
2.1 従来のツインブレーカ
IEC 整合化,商品の国際化,ISO14000 や「再生資源の利
表1は今回のモデルチェンジの対象とした従来の経済型
用の促進に関する法律」
(リサイクル法)の制定に代表さ
100 A フレーム以下のシリーズ構成で,電灯分電盤用シリー
れる環境保全活動の要請など,低圧電気機器を取り巻く環
ズと一般配線用シリーズの 2 種類である。これらのシリー
境も複雑に変化してきている。富士電機では,こうした社
ズでは,国内外の準拠規格の違いから,従来の JIS 規格品,
会や技術の動向を踏まえ,さらに長年の経験で蓄積した技
欧州の CE マーク表示品,米国の UL 認証品の 3 種類から
術を集大成し,新しい考え方による富士オートブレーカ
構成されており,顧客がその用途に応じて使い分けるのが
(以下,FAB と記す)
,および富士漏電遮断器(以下,ELB
通例となっている。
一方,FAB,ELB に装着される付属装置類については,
と記す)の新シリーズを開発した。
この新シリーズは 100 A フレーム経済型シリーズ以下の
その使い勝手から重要度がますます増大しており,装着率
全機種を対象にフルモデルチェンジしたものであり,ツイ
が拡大している。付属装置類の装着はすべて工場および指
表1 従来ブレーカのシリーズ構成
用 途
電灯分電盤用
一般配線用
FAB
EA30∼EA100F
EA50B∼100B,SA30B∼60B,60R
ELB
EG30F∼EG100F
EG30B∼100B,SG30B∼60B,60R
項 目
型 式
現行
JIS C 8370
JIS C 8371
準拠規格
定格電流
定格遮断容量
(AC200∼230 V)
外形寸法(3極)
IEC60947-2
CE..マーク表示
TUV 認証品
現行
JIS C 8370
JIS C 8371
3∼100 A
2.5 kA
5∼25 kA
標準品
備 考
工場取付け
受注品
受注品
外形寸法は JIS C 8370 電灯分電盤用協約寸法
朝日 信夫
UL508
認証品
縦130×横75×奥行60(mm)
工場取付け
区 分
IEC60947-2
CE..マーク表示
TUV 認証品
3∼100 A
縦96×横75×奥行60(mm)
付属装置
標準品
受注品
受注品
デプス 60 mm シリーズ
佐藤 一彦
川嶋 善明
配線用遮断器,漏電遮断器の開発
配線用遮断器,漏電遮断器の開発
低圧遮断器の開発設計に従事。現
に従事。現在,大田原工場設計部。
に従事。現在,大田原工場設計部
在,大田原工場設計部。
主任。
604(10)
UL508
認証品
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定の分工場で行われており,顧客における急な仕様変更な
100 A フレームまで,電灯分電盤用のサイズ一つに統合し
どに対しては,納期的に十分にこたえられていないのが現
た。よって,電灯分電盤用シリーズにおいても,一般配線
状である。
用シリーズと同様に付属装置のフル選択が可能となった。
最近の国際化の観点からは,これらの現状は顧客の機種
一般配線用の 100 A フレームにおいては,外形寸法が小
選定,盤の製作,変更を複雑にしており,これらの問題点
型化されているので配電盤設計,製作の管理工数を削減し
の解消は,顧客のニーズとして重要なこととなっている。
ながら配電盤の小型化に寄与できると考えている。
(2 ) 国際商品化
2.2 α-TWIN の特長
,IEC
FAB,ELB の標準品が新 JIS 規格(JIS C 8201-2)
図1に示すように,電灯分電盤用と一般配線用の 2 シリー
,UL 規格(UL508,UL1053)に適合
規格(IEC60947-2)
ズを,電灯分電盤用のサイズに小型化し,統一を図ったも
しており,主銘板に表示されている。この結果,世界中の
のである。α-TWIN の主な特長を以下に述べる。
ほとんどの地域で共通的に適用でき,顧客の標準化,在庫
(1) 電灯分電盤用と一般配線用の外形,付属装置の統一
圧縮に寄与できるものと考えている。
電灯分電盤用 30 A フレームから,一般配線用経済型
特に IEC 規格では,使用する材料の熱的・電気的特性
を詳細に要求しており,これを満足する必要がある。
図1 α-TWIN と従来シリーズの外形比較
IEC 規格(IEC60947-2)が材料に要求している特性例
を表2に示す。
(3) 安全性への配慮
FAB,ELB は IEC で要求するアイソレーション適合し
ている。すなわち,主接点が接触状態では,ハンドルはオ
フ表示しない,オフロックできない構造となっており,常
に主接点の状態を明確に表示する構造となっている。した
電灯分電盤用
α-TWIN
一般配線用
がって,EU 機械指令の基本安全規格 EN60204-1 の「給
電遮断装置」として適用できる。ハンドル,操作ボタンと
表2 IEC 規格(IEC60947-2)が材料に要求している特性例
ブレーカに使用する樹脂の耐熱性は
想定される条件により,グローワイヤ
(GW)960℃,850℃が要求される。
はα-TWIN の主要構成部品が主に該当するランクを示す。
絶縁物を使用している部分
先端温度
(℃)
導電部に接触・支持部分
導電部を支持しない部分
人の注意が行き届く状態で使用する機器
650
設置する際固定する付属品
グローワイヤ:しゃく熱線を押し
付けて,絶縁材料の発火性を評価
する試験
850
人の注意が行き届かない状態で使用,負荷が連続
人の注意が行き届かない状態で使用,負荷が連続と同時にかなり厳しい条件で使用するもの
960
建物の受電部付近で使用する電気装置
FH3
燃焼性
分類
ブレーカに使用する樹脂の材質は
分類される難燃性に応じて,
ホットワイヤイグニション(HWI),
大電流アーク着火(HAI)を
満足しなければならない。
IEC707
FV0
FV1
FV2
FH1
≦40 mm/min
相当する UL ランク
94 V-0
94 V-1
94 V-2
厚み部
指定なし
指定なし
指定なし
≦75 mm/min
94 HB
指定なし
<3
≧3
発火時間(s)
7
15
30
30
30
30
PLC 特性ランク
(4)
(3)
(2)
(2)
(2)
(2)
アーク数(回)
15
30
30
60
60
60
PLC 特性ランク
(3)
(2)
(2)
(1)
(1)
(1)
HWI
HAI
沿面距離(mm)
汚染度3
定格絶縁
電圧 U i
(V)
材 質
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲa
Ⅲb
CTI 比較トラッキング指数(V)
絶縁材の最小沿面距離は材質区分に
対応する比較トラッキング指数(CTI)
と定格絶縁電圧により決定される。
≧600
PLC 特性ランク(0)
≧400
(1)
320
4.0
4.5
5.0
400
5.0
5.6
6.3
500
6.3
7.1
8.0
630
8.0
9.0
10.0
≧175
(2,3)
≧100
(4)
605(11)
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いったインタフェース部は強化絶縁構造であり,内部の充
電部は,端子カバーと対地バリアとの組合せにより,感電
電部との間には,十分な絶縁距離を確保している。端子充
保護としてのフィンガプロテクションタイプ(IEC529IP20)
表3 α-TWIN の定格と仕様(3極品の場合)
フレーム
30
基本名称
極 数
定格電流(A)
E
タ
イ
プ
定格絶縁電圧
U i(V)
定格遮断容量
I cu /I cs(kA)
JIS C 8201-2
IEC60204-1
F
A
B
AC
DC
AC600
AC500
AC440
AC400
AC230
DC250
V
V
V
V
V
V
基本名称
極 数
定格電流(A)
S
タ
イ
プ
定格絶縁電圧
U i(V)
定格遮断容量
I cu /I cs(kA)
JIS C 8201-2
IEC60204-1
AC
DC
AC600
AC500
AC440
AC400
AC230
DC250
V
V
V
V
V
V
基本名称
定格絶縁電圧
U i(V)
EA50AC
EA50C
EA60C
EA100AC
EA100C
3
3
3
3
3
3
3,5,10,
15,20,
30
5,10,15,
20,30,
40,50
5,10,15,
20,30,
40,50
60
60,75,
100
60,75,
100
500
500
ー
690
250
690
250
500
ー
690
250
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
1.5/1
1.5/1
2.5/2
1.5/1
1.5/1
2.5/2
1.5/1
2.5/2
2.5/2
5/3
2.5/2
E
L
B
ー
ー
SA30C
SA50C
SA50RC
SA60C
SA60RC
3
3
3
3
3
3,5,10,
15,20,
30
5,10,15,
20,30,
40,50
5,10,15,
20,30,
40,50
60
60
690
250
690
250
690
250
690
250
690
250
ー
2.5/2
5/3
7.5/4
7.5/4
10/5
5/3
5/3
7.5/4
10/5
10/5
25/13
5/3
2.5/2
5/3
7.5/4
7.5/4
10/5
5/3
5/3
7.5/4
10/5
10/5
25/13
5/3
EG50AC
EG50C
EG60C
1.5/1
2.5/2
2.5/2
5/3
2.5/2
EG30C
3
3
3
3
3
5,10,15,
20,30,
40,50
5,10,15,
20,30,
40,50
60
60,75,
100
60,75,
100
AC
230
440
230
440
440
230
440
高速型
15,30,
100
15,30,
100
15,30,
100
15,30,
100/200
切換
15,30,
100/200
切換
30,
100/200
切換
30,
100/200/
500 切換
時延型
ー
ー
ー
ー
ー
ー
100/200/
500 切換
AC440 V
AC230 V
AC100 V
ー
2.5/2
2.5/2
1.5/1
5/3
5/3
2.5/2
2.5/2
2.5/2
5/3
5/3
2.5/2
5/3
5/3
SG30C
SG50C
SG50RC
SG60C
SG60RC
3
3
3
3
3
3,5,10,
15,20,
30
5,10,15,
20,30,
40,50
5,10,15,
20,30,
40,50
60
60
AC
DC
690
250
690
250
690
250
690
250
690
250
高速型
30,
100/200/
500 切換
30,
100/200/
500 切換
30,
100/200/
500 切換
30,
100/200/
500 切換
30,
100/200/
500 切換
時延型
ー
ー
ー
ー
ー
定格感度電流
(mA)
AC440 V
AC230 V
AC100 V
2.5/2
5/3
5/3
〈注〉外形寸法はすべて,幅75×高さ100×深さ60(mm)
606(12)
EG100C
3
定格電流(A)
定格遮断容量
I cu /I cs(kA)
JIS C 8201-2
IEC60204-1
EG100AC
ー
1.5/1
5/3
5,10,15,
20,30
極 数
定格絶縁電圧
U i(V)
ー
5/3
7.5/4
10/5
10/5
25/13
5/3
3
基本名称
S
タ
イ
プ
ー
1.5/1
2.5/2
2.5/2
5/3
2.5/2
定格感度電流
(mA)
定格遮断容量
I cu /I cs(kA)
JIS C 8201-2
IEC60204-1
100
3,5,10,
15,20,
30
定格電流(A)
E
タ
イ
プ
60
EA30AC
EG30AC
極 数
50
ー
7.5/4
10/5
10/5
10/5
25/13
25/13
7.5/4
10/5
10/5
ー
5/3
5/3
10/5
25/13
25/13
10/5
25/13
25/13
富士時報
新しい小型配線用遮断器・漏電遮断器「α-TWIN シリーズ」
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とすることができる。
ユニット開発,③リード線レス漏電引外しユニットの開発,
(4 ) 豊富なオプション類とユーザー取付けに対応
付属装置のユーザー取付け可能範囲を大幅に拡大した。
④漏電検出用零相変流器(ZCT)導体の一体成形ユニッ
ト開発,が基盤となっている。
現場での多様な仕様変更にスピーディーに対応することが
できる。しかも電圧引外し装置や不足電圧引外し装置の付
属ができなかった ELB でも,付属できるようにした。
3.1 全体の構成
図3に現行一般配線用とα-TWIN の構造断面図を示す。
可動接触子を縦に配置し,電磁コイルを現行品に対し逆
転した配置として,漏電引外しユニットのスペースを十分
2.3 定格と仕様
表3にα-TWIN の基本型式について定格と仕様を示す。
に確保した。漏電引外しユニットを表面側に配置した理由
は,漏電引外し機能を表面側に集中配置し,リード線によ
α-TWIN の構造と性能
るつなぎ構造を一掃することにある。漏電引外しユニット
を取り外すと,ELB が FAB になる。付属装置の補助スイッ
α-TWIN の基本構造の決定にあたっては,200 V 級 25
kA の消弧スペース,付属装置の収容スペースを確保する
ため,各機能要素の小型化と最適な配置を追求するととも
チ,警報スイッチの収容スペースは電源側端子上に,IEC
レール用の取付けスペースは底面に確保した。
このように,各機能要素を最適に配置することにより,
に,地球環境に配慮した商品とするための要素技術を開発
α-TWIN
した。
スペースを確保しているのが分かる。
の遮断スペースは,現行の一般配線用と同等の
(1) 各機能要素配置の最適化
図2は従来シリーズとの機能要素配置を比較したもので
3.2 開閉機構部
α-TWIN では小型化と,新 JIS,IEC 規格で要求され
ある。
α-TWIN では,電磁コイル姿勢の逆転によるスペース
の有効な活用と,メカニズムの小型化により,大きな消弧
室スペースを確保したことに特徴がある。
る安全性,絶縁性の両方を満足させるため新しい発想によ
る開閉機構を開発した。
図4は 3 極品の開閉機構部を示すものである。3 極一体
の樹脂成形品によるハンドルとラッチ,各極に配置された
(2 ) 各機能要素のユニット化
付属装置類も含め,FAB,ELB の各構成要素を完全に
可動接触子により構成される。ハンドルで直接可動接触子
ユニット化して,注文仕様により組み合わせれば最終商品
を操作する構造から,ダイレクトドライブメカニズム
となる設計とした。特に電磁コイルを使用した過電流引外
しユニットは,引外し機構とともに一体のユニットケース
(DD メカニズム)と名付けた。
3 極を一体に支持するハンドル,ラッチの樹脂成形品は,
に集約し,ユニット単体で引外し動作特性を保証できる構
開閉機構のエネルギーと,外部操作時の過大な操作力に耐
造である。
える設計が必要である。α-TWIN では外形もコンパクト
化されているため,過大な外部操作力に耐える形状,長期
(3) 新材料や新技術の導入
よりコンパクト,さらに環境負荷の少ない商品を目指し
て,積極的に新材料や新技術の開発を進めた。
特に,①リサイクルを可能とするオール熱可塑性樹脂化
のための構造開発,②はんだレス電磁コイル過電流引外し
の過酷な使用に耐える形状を詳細に検討した。
図5はラッチに加わる応力解析の例を示すもので,これ
により,各部位の応力の定量的な評価を実施するとともに,
実験型を用いた長期信頼性試験を実施し,コンパクトで十
図2 各機能要素の配置比較
充電メカニズム
むだ空間
小さな消弧室
漏電引外し部(分散)
過電流引外しユニット
(a)現行電灯分電盤用シリーズ
遮断容量:AC220 V/2.5 kA
絶縁メカニズム
付属品カセット
大きな消弧室
漏電引外し部(集約)
過電流引外しユニット
(b)α-TWIN
遮断容量:AC230 V/25 kA
607(13)
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図3 現行一般配線用とα-TWIN の構造断面図
漏電引外しユニット
付属装置収容スペース
可動接触子
遮断スペース
遮断スペース
IECレール取付スペース
(b)α-TWIN
(a)現行一般配線用
図4 3 極品の開閉機構部
電磁コイル
図5 ラッチの応力解析例
ハンドル
ラッチ
可動接触子
図6 α-TWIN の遮断部
可動接触子
分な強度を持つ開閉機構が実現できた。
3.3 遮断部
α-TWIN ではコンパクト設計を目標としたので,確保
した遮断スペースの中で,最高レベルの遮断性能が得られ
る構造を追求した。
フラットターン
接触子
低圧遮断器の遮断原理は,一般に遮断器接点に発生した
ブローアウト
マグネット,消弧室
短絡電流アークを急激に冷却し,アーク抵抗を増大させて
短絡電流自体を絞り込んで遮断するものである。α-TWIN
ではその効果を上げるために短絡発生時点から,冷却可能
なアークに移行する時間を短縮することが最も有効との観
図7 ZCT 部比較
点から,これを実現する構造開発に注力した。
図6に α-TWIN の遮断部の斜視図を示す。固定接触子
させることにより,可動接触子に反発力を生じさせ,接点
を急速に開離させるものである。接点間に発生したアーク
20
側にスリットを設け,短絡電流を強制的に迂回(うかい)
は,消弧室側の U 字状のコアにより消弧室内に誘導され,
消弧が完了する。この結果現行品に対して,遮断時の電流
ピークで約 25 %の低減が図れた。
608(14)
(a)現行品
(b)α-TWIN
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収納部を電源側端子上に配置し,本体の付属カバーを開け
ることによって,ユーザーで後取付けができる構造とした。
3.4 ELB の漏電検出部
α-TWIN
では,漏電検出部についても現行品に対し小
これらは IEC60947- 5- 1 にも適合している。 表 4 に α-
型化する必要があった。この課題を解決するため,漏電検
TWIN の補助スイッチ,警報スイッチの定格仕様を示す。
出部とトリップコイルを表面側に配置して,接続空間を極
4.1.2 電圧引外し装置
小化するとともに ZCT と貫通導体の省スペース構造を追
FAB を遠方から電気的に引き外す装置では, 図9 に構
造を示すようにソレノイドと,FAB の遮断動作と連動し
求した。
図7は ZCT およびその貫通導体の構造を説明したもの
て自動的に励磁電流を切るコイル焼損防止用のスイッチと
である。板状と丸棒状の導体を組み合わせて薄型化すると
を一体化した構造が特長である。FAB の付属カバーを開
ともに,ZCT と貫通導体を一体の絶縁樹脂で成形し,省
けることにより,後取付けが可能である。同様に,ELB
スペースと絶縁信頼性の両立を実現した。
にも外付けの電圧引外し装置を準備した。
4.1.3 付属品リード線引出し方式の改善
付属装置の構造と特長
分電盤においても,内部付属装置の要求が多くなってい
るが,リードの配線スペースを必要とするため密着取付け
FAB と ELB に取り付ける付属装置は,遮断器に収納さ
ができなかった。そのため,配線処理スペースの確保や,
れる内部付属装置と外部に取り付ける外部付属装置とに大
取付けピッチの調整など付加作業を必要とし,かつ分電盤
別される。図8にα-TWIN に取り付けられる付属装置の
の外観上からも不都合が生じていた。 α- TWIN の 200
V/5 kA 級以下のシリーズでは,図10に示すようにリード
種類を示す。
線式で密着取付け可能な溝をモールドケースに形成した構
造としている。
4.1 内部付属装置
最近の SCM(Supply Chain Management)などの普及
による短納期化への要求から,仕様変更に対するフレキシ
ブルな対応が望まれている。内部付属装置ではこのような
4.2 外部付属装置
FAB,ELB の外部取付け付属装置は,電線の各種接続
ニーズに対応するため,付属装置を小型化,カセット化し,
式へ対応するものおよび操作方法の多様化に対応するもの,
ユーザー取付けを可能な構造とした。
絶縁などを含めた保護に対応するものに大別できる。
これらの外部取付け付属装置はいずれもユーザーの使い
4.1.1 補助スイッチ,警報スイッチ
FAB,ELB のオンオフ状態を電気的に表示する補助ス
勝手や盤への取付けの容易さに直結するものなので,その
イッチ,トリップ状態を電気的に表示する警報スイッチの
表4 補助スイッチ,警報スイッチの定格仕様
図8 付属装置のバリエーション
(IEC60947-5-1)
項目
AC(AC15 級)
DC(DC15 級)
内部付属装置
負荷
補助スイッチ
警報スイッチ
電圧引外し装置
(FABタイプ)
不足電圧引外し装置
電圧引外し装置
(ELBタイプ)
微小
負荷用
ELB
FAB
標準
負荷用
最小負荷
電 圧
(V)
開閉電流
(A)
電 圧
(V)
開閉電流
(A)
125
250
5
5
30
125
250
3
0.6
0.3
DC5 V 160 mA
DC30 V 30 mA
30
(DC13 級)
0.1
DC5 V 1 mA
DC30 V 1 mA
共通
外部付属装置
図9 FAB への電圧引外し装置の装着例
取付け接続部品
取付け接続部品
端子カバー
裏面型
挿入型
埋込型
アダプタ アダプタ アダプタ
結線用端子
外部操作
ハンドル
リード線 N形外部 V形外部
端子台
操作
操作
ハンドル ハンドル
絶縁バリア
ショート ロング 相間
対地
鉄箱
タイプ タイプ バリア バリア ケース
機械的インタ
ロック装置
ハンドル
メカニカル
キーロック
インタ
ハンドル
ロック
ロックカバー
電気操作
装置
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富士時報
Vol.74 No.11 2001
図10 付属品リード線の配線例
新しい小型配線用遮断器・漏電遮断器「α-TWIN シリーズ」
図12 端子カバーと対地バリアの組合せ例
図11 埋込型の外観
図13 電気操作装置の外観
改良は盤設計・製作の合理化や保守性の向上に寄与できる
ものでなければならない。
α-TWIN
の外部取付け付属装置では,特に充電部の保
4.2.3 電気操作装置
本体の小型化にあわせて電気操作装置の小型化を図った。
護を中心とした安全性の向上,部品の標準化による種類の
駆動力として従来の電動機を使用する方式に対して,リニ
削減,電気操作装置の改善を重点的に進めた。
アモータの原理を応用した駆動機構を新たに採用した。こ
4.2.1 裏面型,埋込型,挿入型
れにより従来品の減速機構と内蔵の変圧器を廃止できたこ
取付けの形態によって 3 種類のものが用意されている。
図11に埋込型の外観を示す。
とと,手動操作機構の簡略化により,従来体積比 70 %の
小型化を実現した。外観を図13に示す。
各外部端子は 30 ∼ 100 A フレームまで共通の設計になっ
ている。特に挿入型においては,下部接触子側のみを盤に
あとがき
取り付けて配線を完了させておいても,本体側の定格設定
は最後まで 30 ∼ 100 A フレームの間で自由に選定できる
α-TWIN の構造,特長について紹介した。究極のモ
利点が生まれる。
ジュール化を追求した本体と,付属装置の効果的な組合せ
4.2.2 絶縁システム
によって,顧客のニーズにこたえ,海外規格対応とも相
従来のシリーズでは,端子バリアの標準装備(50 A フ
レーム以上)や,種々の配線方式にマッチした端子カバー,
まって,コストパフォーマンスの向上に十分寄与できるも
のと考えている。
バリア類を準備し,絶縁の信頼性向上を図ってきた。α-
また,環境改善を目的とした本商品の取組みは,今後の
TWIN では端子カバーと対地バリアを組み合わせること
富士電機低圧器具の取組みのスタートと位置づけている。
により,簡単に IP20 のフィンガプロテクション構造を実
今後とも顧客各位のご批判を仰ぎ,より一層の充実を図っ
現できる構造とし,端子充電部の安全性をさらに充実した。
ていく所存である。
外観を図12に示す。
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*本誌に記載されている会社名および製品名は,それぞれの会社が所有する
商標または登録商標である場合があります。