参考回路:日本語版

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回路ノート
CN-0009
使用したリファレンス・デバイス
テスト済み回路設計集“Circuits from the Lab™ ”は共
通の設計課題を対象とし、迅速で容易なシステム
統合のために製作されました。さらに詳しい情報
又は支援は http://www.analog.com/jp/CN0009 をご覧
ください。
AD5662
16 ビット nanoDAC®コンバータ
AD8627
非常に低ノイズの高精度オペアンプ
ADR02
高精度 5.0V 電圧リファレンス
D/A コンバータ AD5662 を用いた 4mA~20mA プロセス制御ループ
回路の機能と利点
多くのプロセス制御アプリケーションでは、ノイズの多い環
境でアナログ信号を伝送するために 2 線式電流トランスミッ
タがよく使用されます。このような電流トランスミッタでは、
ゼロスケールの信号で 4mA、フルスケールの信号で 20 mA
の電流が使用され、これは 4mA~20mA 変換を意味します。
このドキュメントで説明する回路は、16 ビットの分解能と単
調増加性を備えた低消費電力の電流トランスミッタを実現し
ます。この回路の電源は 4mA~20mA の制御ループ電源から直
接供給され、消費電流は 4 mA 以下です。消費電流が 4 mA
以上になるようなトランスミッタはループ電源から直接給電
できないので、この場合は追加の電源が必要です。
ループ電流は、RS での降下電圧 VOUT を測定することで検出
されます。D/A コンバータの出力が 0 V の場合、R2 と R3 を流
れる電流は次式のようになります。
5V
VREF
=
= 5 µA
R2 1 MΩ
(1)
この場合、PCB のグランドは、RS の負荷側で測定される電圧
より 349 mV 高い電圧になります。これは次式のループ電流
に相当します。
VOUT 349 mV
=
= 3.49 mA
RS
100 Ω
(2)
DAC 出力がフルスケールの 5V の場合、R2 を流れる電流は次
式のようになります。
回路説明
この回路は、nanoDAC コンバータ AD5662 をコントローラと
して用いて、プログラム可能な 4 mA ~20 mA の出力電流を供
給します。
5V
VREF
=
= 5 µA
R2 1 MΩ
(3)
EXTERNAL
LOOP SUPPLY
7V TO 36V
+
SYNC
SCLK
DIN
PCB GROUND
VOUT
LOOP SUPPLY
GROUND
08195-001
69.8kΩ
図 1. プログラム可能な 4mA~20mA プロセス制御回路(簡略化された回路図)
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Rev. A
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CN-0009
回路ノート
R1 を流れる電流は次式のようになります。
5V
VREF
=
= 25 µA
R1 200 kΩ
(4)
したがって、R3 を流れる電流は次のようになります。
VREF VREF
+
= 5 µA + 25 µA = 30 µA
R2
R1
(5)
これにより、RS 両端の電圧 VOUT は次式と等しくなります。
30 µA × 69.8 kΩ = 2.09 V
(6)
AD8627 周辺の帰還ループは、非反転入力の電圧が PCB のグ
ランド電圧に等しくなるように働きます。したがって、出力
電流はデジタル・コードに正比例します。AD8627 は、非反
転ノードでの電流合算値を満足 するように DAC 出力電流を
調整します。出力電流は次式によって計算されます。
I OUT =
R3  
R3 
1 
 +  VREF ×

 VDAC ×
RS 
R1  
R2 
許容できるループ電源の制限値は ADR02 の最小入力電圧(7V)
と最大入力電圧(36 V) によって設定されます。2N3904 の最大
許容消費電力は 25°C で 625 mW であるため、ループ電源電圧
が 30V を超える場合は、より大電力のトランジスタを使う必
要があります。2N3904 内の消費電力は、電圧を降下させるた
めの適切な抵抗をコレクタに直列に接続することで低減する
ことができます。
バリエーション回路
(7)
図 1 に示された値の場合は次にようになります。
I OUT = (0.266 µA × D ) + 3.49 mA
このコントローラのバイアスは高精度 5V リファレンス
ADR02 によって供給されています。ADR02 の初期出力電圧
精度が高く、AD8627 と AD5662 がいずれも低電源電流である
ため、この回路には外部トリミングが不要です。
この基本回路は柔軟性が高く、数多くの異なるリファレンス
や出力電圧の DAC およびオペアンプに対応することができま
す。要検討項目は、リファレンス精度、DAC の分解能、アン
プのオフセット電圧です。何より必要なことは、回路全体が
ループ電源電圧で動作しなければならないことで、静止電流
を 4 mA 以下(DAC コードが 0x0000 の場合)に抑えなければな
りません。
(8)
ここで、D の値は 0 ≤ D ≤ 65,535 です。この回路では、
AD5662 のデジタル・コードが 0xFFFF に等しいときにフルス
ケールの出力電流は 20.9 mA となります。同様に、AD5662 の
デジタル・コードが 0x0000 のときの出力電流は 3.49 mA とな
ります。電流範囲(3.49 mA to 20.9 mA)の拡張により、ユーザ
ーがソフトウェアと AD5662 の 16 ビットの分解能を使って
4mA ~ 20mA の範囲を較正することができます。この回路で
は、ループ電源のパワーオン・トランジェントによって
AD8627 の非反転入力が反転入力より 300mV 以上低くならな
いようにするため、ショットキ―・ダイオードが必要です。
このショットキ―・ダイオードは少なくともフル・ループ負
荷である 20 mA を処理できるものでなければなりません。
さらに詳しい資料
Voltage Reference Wizard Design Tool
データシート
AD5662 データシート
AD8627 データシート
ADR02 データシート
改訂履歴
5/09—Rev. 0 to Rev. A
Updated Format .......................................................................Universal
10/08—Revision 0: 初版
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