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携帯電話用極細同軸ケーブルアセンブリの高速伝送特性と
次世代極細高速伝送ケーブル
電子電装開発センター
電 子 材 料 事 業 部
フジクラタイランド Ltd.
松 川 隆 司 1 ・伊 藤 雅 子 1 ・東 維 成 1
篠 原 知 幸 2
中 川 靖
Development of the Micro Coaxial Cable Assemble for High-speed
Transmission in Cellular Phone
T.Matsukawa,M.Ito,K.Higashi,T.Shinohara & Y.Nakagawa
近年,携帯電話に代表される電子機器の小型・軽量化,多機能化は急速に進展している.技術傾向とし
て,配線材にも小型化と高速伝送化が必要不可欠となってきた.そこで当社では高速伝送に対応した極細
同軸ケーブルを開発し,製品化を行った.本報では携帯電話用ケーブルとしての極細同軸ケーブルの高速
伝送特性と,次世代に向けたさらなる高速伝送用配線材を紹介する.
In recent years, the cellular phone and the other mobile electric devices have been miniaturized rapidly.
As a technical tendency, internal wiring materials also have to miniaturize and have high-speed-transmission
characteristic. Thus, we developed a micro coaxial cable of the high-speed transmission characteristic and
produced.
In this paper, we report the high-speed transmission characteristic of micro coaxital cable for cellular phones
and further wiring material for high-speed transmission towards the next generation.
1.ま え が き
2.携帯電話配線材の技術動向
2. 1
医療機器,一部の高性能ノートパソコン等の特殊用途に
携帯電話用配線材
使用されていた極細同軸ケーブルのアセンブル品が,近年
日本では折りたたみ式の携帯電話が一般的であり,さら
携帯電話の内部配線材料として脚光を浴びている.同軸
に海外市場でも急速に折りたたみ式が普及しつつある.折
ケーブルが持つ安定した伝送特性と,細径で柔軟な構造か
りたたみ式の電話機は本体とディスプレイ部を可動式のヒ
らくるアセンブリ形状の自由度の高さが,高機能・高性能
ンジで接続するため,接続用の配線材としては屈曲性のあ
化が進む携帯電話のニーズにマッチしたためである.さら
る Flexible Printed Circuit(FPC)が広く使用されてい
に,液晶パネルの高解像度化に伴ってデータ伝送速度が高
る.当社も携帯電話市場に FPCを供給している.
2. 2
速化する中,配線材料も高周波特性とノイズ対策が必要に
なりつつある.極細同軸ケーブルは他の配線材料に比べ,
高速伝送の必要性
急速に普及しつつある第 3 世代携帯電話では,ディスプ
これらの要求に対して有利な配線材料である.
レイが高解像度化・多色表示化する傾向にある(図 1)
.現
当社では,市場の要求を満足させるため極細同軸ケーブ
在は QVGA 対応の液晶パネルが主流であるが,上位クラ
ルとそのアッセンブル品の開発を行い,既に大量生産を手
スではHVGA,SVGA に対応したものまで開発が進められ
がけている.本報では市場に供給している極細同軸ケーブ
ている.高解像度の液晶パネルで動画の再生を行うために
ルの特性を紹介するとともに,今後必要になることが予想
駆動信号は数百 Mbpsの転送レートに達するため,伝送す
されるさらなる伝送速度の高速化に対応した極細ケーブル
る信号の高周波化に伴い配線材にもノイズ対策が必要と
を紹介する.
なっている.
折りたたみ部分の稼動部は筐体による完全なシールドが
難しいため,ノイズ対策からシールド付き FPC が採用さ
れている(図 2).極細同軸ケーブルは完全な同軸構造と
なっているため,シールドFPC と同等かそれ以上のシール
1 電子材料開発部
2 第一技術部
ド特性を有する.
48
携帯電話用極細同軸ケーブルアセンブリの高速伝送特性と次世代極細高速伝送ケーブル
Data rate
QVGA (Quarter VGA) 240 X 320 ドット
200 Mbps
WQVGA (Wide Quarter VGA) 400×240 ドット
400 Mbps
HVGA (Half VGA) 320 x 480 ドット
VGA(Video Graphics Array) 640 X 480 ドット
SVGA (Supper VGA) 800 X 600 ドット
900 Mbps
図3 携帯電話に使用される極細同軸ケーブル端末加工品
Fig. 3. Micro coaxial cable assembly for cellular phones.
図1 携帯電話用液晶パネルの高解像度化
Fig. 1. The tendency of LCD panel for mobile phone.
PFA
銀メッキ銅合金線
髪の毛
φ0.29mm
錫メッキ銅合金線
中心導体
図4 極細同軸ケーブルの構造
Fig. 4. The structure of micro coaxial cable.
図2 携帯電話にて用いられるFPC
Fig. 2. FPC for cellular phones.
2. 3
表1 極細同軸ケーブル(AWG42)構造
Table 1. The structure of micro coaxial cable
(AWG42).
携帯電話デザインの高機能化
項 目
携帯電話のデザインは商品差別化の重要な要素であり,
中心導体
折りたたみや回転などのヒンジ部の複雑な機構を持つもの
が増える傾向にある.携帯電話の小型化,軽量化の傾向に
対して,可動部にあたるヒンジ部もさらなる小型化が必要
絶縁体
となる.しかしシールドFPCは屈曲性を確保するために必
要な曲げ半径を確保する必要があり,コンパクト化をはか
外部導体
りにくい.また,FPC はひねり方向に自由度がないため,
折りたたみと回転が組み合わされた機構には対応できな
シース
い.このような携帯電話デザインの高機能化に対応するた
め,屈曲性と曲げの自由度に富む極細同軸ケーブルを採用
構 造・材 質
材 質
銀メッキ銅合金線
構 成
7/0.025mm
外 径
0.075mm
材 質
フッ素系樹脂(PFA)
比誘電率
2.15
外 径
0.165mm
材 質
錫メッキ銅合金線
構 成
0.03mm 横巻き
外 径
0.225mm
材 質
フッ素系樹脂(PFA)
比誘電率
2.15
外 径
0.29mm
する必要が発生している(図 3)
.
2. 4
新しい伝送路
3.極細同軸ケーブルの概要
急激な伝送データ増加と,内部の配線本数の増加に伴
3. 1
い,ノイズも増大する傾向にある.ノイズ対策は筐体デザ
極細同軸ケーブルの構造
インの自由度の阻害要因となるだけでなく,システム全体
当社で開発した極細同軸ケーブル(図 4)は,AWG#42
の信頼性にも影響を与えている.これまで述べてきたよう
相当の中心導体(導体径 25 μ m7 本撚り)に,横巻きシー
に高機能・高性能化が進む携帯電話用として,高速伝送に
ルドを外部導体とした同軸構造を持つ.日本人の髪の毛の
向き,省スペース配線が可能で,かつ屈曲特性に優れる配
太さは約 80 μ m から120 μ m と言われており,髪の毛より
線材料としては,極細同軸ケーブルが約 40 心から 50 心の
はるかに細い導体を使用している.またケーブル外径は
ハーネスとして使用されている.
0.29mm で,シャープペンシルの心より細い.このような
今後の小型化要求に対応するためには,さらなるケーブ
極細の導体を製造するためには,高精度でワイヤテンショ
ルの細経化や,シリアル伝送による配線本数の減少が求め
ンを制御する必要があるが,当社では光ファイバ製造で
られている.シリアル伝送によるさらなる高速伝送を実現
培った数々の技術を応用し,製品を供給している.
絶縁体と外被覆には,フッ素系樹脂を採用している.
するためには,SN 比の改善を狙った差動伝送方式の採用
フッ素系樹脂は誘電率が低く(表 1),高周波の伝送に適
も見込まれる.
49
2006 年 10月
フ ジ ク ラ 技 報
第 111 号
している.ノートパソコン等にて使用される極細同軸ケー
年分の寿命に相当する.図 5 に20万回の屈曲試験前と試験
ブルは,薄い PET テープを巻きつける構造が一般的であ
後の減衰量の比較を示す.特性に変化は見られず,十分な
るが,ケーブル自身の柔軟性の向上をはかるため,外被覆
耐久性があると考えられる.
にも樹脂を採用している.薄い樹脂皮膜を成形するために
3. 4
は特殊な押出成型機が必要となる.当社では管理された環
当社では携帯電話のヒンジ部に使用する部材として必要
境で導体製造,絶縁,シールド,被覆を一貫生産すること
なアセンブル品を提供している.一般的な中心導体
により,高い品質と市場競争力を確保している.
AWG#42 同軸線での束ね径は 40心でφ 2.5mm の細さとな
3. 2
極細同軸ケーブルの電気特性
るため,省スペース配線に適している(図 6)
.
0.3mm,0.4mm ピッチに配列されたフラットケーブル加
表 2 に極細同軸ケーブルの一般的な電気特性を示す.
3. 3
極細同軸ケーブルアセンブリ
極細同軸ケーブルの屈曲特性
工(表 3)をはじめ,端末部の口出し加工技術,コネクタ
一般的な携帯電話の耐屈曲要求は約 10 万回から 20 万回
や基板へのはんだ付け結線技術,複雑な束ね部ハーネス加
である.20 万回は毎日 50 回開閉を繰り返したとしても 10
工技術を独自開発し,様々なアセンブリ形状に対応でき
る.当社では,短期間に大量生産が必要な携帯電話市場の
ニーズに対応するため,海外工場でケーブル製造と端末加
表2 極細同軸ケーブル(AWG42)電気特性
Table 2. Electrical property of micro coaxial cable
(AWG42).
項 目
試験方法
工の一貫生産を行う量産体制を整えており,端末加工品と
して月産数百万 Pcsの生産能力を有している.
性 能
導体抵抗
JIS C3102
Max. 7.5Ω/m
絶縁抵抗
D.C 250V 1min.
Min. 100MΩ/km
耐電圧
A.C 250V 1min.
No break down
特性インピーダンス
TDR
減衰量
−
4.伝 送 特 性
4. 1
Nom. 45Ω
Nom. 8.0dB/m
(at 1GHz)
極細同軸ケーブルの高速伝送特性
伝送特性は伝送速度と伝送距離に影響される.長さの異
屈曲試験:減衰量比較
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
(GHz)
0.00
−2.00
極細同軸ケーブル
試験前
−4.00
200K 屈曲試験後
−6.00
−8.00
−10.00
−12.00
−14.00
マンドレル径 4mm
(dB)
図5 極細同軸ケーブル(AWG42)耐屈曲特性
Fig. 5. Bending performance of micro coaxial cable(AWG42).
表3 加工ピッチと使用ケーブル外径
Table 3. Available cable alignment pitch and cable diameter.
40心
2.5mm
加工ピッチ
ケーブル
0.25mm
AWG #46
0.24 mm
AWG #46
0.24 mm
AWG #42
0.29 mm
AWG #46
0.24 mm
0.3mm
0.4mm
同軸ケーブル 3C-2V
0.5mm
図6 極細同軸ケーブル端末加工品(AWG42 40心)
Fig. 6. The size of micro coaxial cable assembly
(AWG42 40 wires)
.
50
ケーブル外径
AWG #42
0.29 mm
AWG #42
0.325 mm
AWG #46
0.24 mm
AWG #42
0.29 mm
AWG #42
0.325 mm
携帯電話用極細同軸ケーブルアセンブリの高速伝送特性と次世代極細高速伝送ケーブル
測定結果より,ケーブル長 500mm 程度までであれば
なる極細同軸ケーブルの高速伝送特性を図 7 に示す.
AWG42 ケーブル単体では伝送速度 3Gbps まで良好な伝送
1. AWG#42,ケーブル長 0.5m においては,伝送速度
特性が得られる.
3Gbps でもジッタが 0.1UI 程度であり,良好な伝送特
4. 2
性が得られている.
極細同軸ケーブル端末加工品の高速伝送特性
2. 長さが 1m になると,伝送速度 3Gbps 程度で,ジッタ
極細同軸ケーブルを使用するためには,端末加工が必要
が0.25UIに達している.アイパターンの崩れも大きい
となる.端末加工として市販の極細同軸用コネクタを用い
ため,ケーブル単品での限界点と考える.
た高速伝送特性を図 8 に示す.測定結果より下記のことが
ジッタ
(UI)
AWG42
AWG42 L=0.5m and L=1m
0.50
L=500 mm
0.45
L=1000 mm
AWG42
0.40
L=1m
0.35
0.30
0.25
AWG42
0.20
L=0.5m
500Mbps
0.15
0.10
0.05
0.00
0
500
1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 (Mbps)
2.5Gbps
アイハイト
(mV)
100
AWG42 L=0.5m and L=1m
80
AWG42
60
L=0.5m
40
AWG42
L=1m
3.125Gbps
20
0
0
500
1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 (Mbps)
図7 極細同軸ケーブル(AWG42)アイパターン
Fig. 7. Eye pattern of micro coaxial cable
(AWG42).
(UI)
0.50
ジッタ : 端末加工品比較
AWG42
A社コネクタ
L=500mm
L=300mm
0.45
B社コネクタ
L=500mm
L=300mm
0.40
極細同軸
コネクタ A社
L=300mm
L=500mm
極細同軸
コネクタ B社
L=300mm
L=500mm
0.35
0.30
0.25
0.20
0.15
500Mbps
0.10
0.05
0.00
0
(Mbps)
500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
2.5Gbps
(mV)
100
アイハイト:端末加工品比較
AWG42
90
3.125Gbps
80
B社コネクタ
L=500mm
L=300mm
70
60
Condition: Input 100mV, PRBS: 2^23-1
A社コネクタ
L=500mm
L=300mm
50
40
30
20
10
(Mbps)
0
0
500
1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
図8 端末加工品(市販極細同軸用コネクタ使用)の高速伝送特性
Fig. 8. Eye pattern of micro coaxial cable assembly with connector.
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2006 年 10月
フ ジ ク ラ 技 報
第 111 号
な伝送速度は 250MHz から 500MHz で,使用ケーブル長は
わかる.
およそ 100mm 程度であり,市販されているコネクタを用
1. ケーブル単品に比べ,端末加工品は同じ長さにおいて
いた極細同軸ケーブルアッセンブル品は携帯電話用途とし
伝送特性が劣化する.
て十分な性能があると考えられる.
2. 市販の極細同軸用コネクタ間で構造に起因すると思わ
4. 3
れる影響により伝送特性に若干の違いがある.高速伝
さらなる高速伝送化への取り組み
今後ヒンジ部の小型化にて配線本数の減少が考えられ,
送を行う際はコネクタの構造設計も重要なパラメータ
その解決策として,高速なシリアル伝送が想定される.
となる.図 9 にコネクタ嵌合部のインピーダンスを示
今までの考察はケーブルの伝送特性だけに着目してきた
す.
3. ケーブル長 300mm,伝送速度 3Gbps においても良好
が,高速シリアル伝送を行うためには SN 比を考慮する必
な伝送特性が得られたが,ケーブル長が 500mm にな
要がある.一般的に高速のシリアル転送には SN 比の改善
ると,ジッタが0.25UIに達している.アイパターンの
を狙い差動伝送が用いられる.当社では,今後のさらなる
崩れも大きいため,端末加工品での限界点と考える.
高速化に対応すべく,作動伝送用に極細シールドペア線
現在,携帯電話において極細同軸品に使用される一般的
(Twinax)を開発している.表 4 に極細 Twinax のケーブ
信号立ち上がり時間 50ps
(Ω)
コネクタ部
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
34.8
TEST
Fixture
TDR
35.3
A社 50ps
ケーブル部
35.8
B社 50ps
36.3 (ns)
TDR:Time Domain Reflectometer
(時間領域測定器)
図9 端末加工インピーダンス特性
Fig. 9. Impedance of micro coaxial cable assembly with
connector.
表4 Twinax(AWG42)構造
Table 4. The structure of twinax cable.
項 目
中心導体
絶縁体
外部導体
シース
構 造・材 質
材 質
銀メッキ銅合金線
構 成
7/0.025mm
外 径
0.075mm
材 質
フッ素系樹脂(PFA)
比誘電率
2.15
外 径
0.165mm
材 質
錫メッキ銅合金線
構 成
0.03mm 編組
外 径
0.305mm×0.47mm
材 質
フッ素系樹脂(PFA)
比誘電率
2.15
外 径
0.37mm×0.54mm
表5 Twinax ケーブル(AWG42)電気特性
Table 5. Electrical property of twinax cable(AWG42).
項 目
試験方法
性 能
導体抵抗
JIS C3102
Max. 7.5Ω/m
絶縁抵抗
D.C 250V 1min.
Min. 100MΩ/km
耐電圧
A.C 250V 1min.
No break down
特性インピーダンス
TDR
Nom. 100Ω
(Differential)
減衰量
−
Nom. 8.0dB/m
(at 1GHz)
52
携帯電話用極細同軸ケーブルアセンブリの高速伝送特性と次世代極細高速伝送ケーブル
(UI)
0.50
0.45
0.40
0.35
0.30
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
0
0
(mmV)
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
0
ジッタ
Micro coaxialケーブル対Twinaxケーブル
AWG42 L=500 mm
ノイズ環境比較
Twinax:ノイズ
Twinax:ノイズ
Micro coaxial:ノイズ
Micro coaxial:ノイズ
極細同軸ケーブル
ノイズ無し
Size
無し
有り
無し
有り
AWG 42
L=500 mm
L=500 mm
500Mbps
Size
AWG 42
L=500 mm
L=500 mm
500Mbps
(Mbps)
2Gbps
500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
アイハイト
Micro coaxialケーブル対Twinaxケーブル
AWG42 L=500 mm
ノイズ環境比較
Twinax:ノイズ 無し
Twinax:ノイズ 有り
Micro coaxial:ノイズ 無し
Micro coaxial:ノイズ 有り
Twinax ケーブル
ノイズ無し
ノイズ有り
ノイズ有り
2Gbps
3.125Gbps
3.125Gbps
(Mbps)
500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
図 10 ノイズ環境下における極細同軸ケーブルと Twinax ケーブルの伝送特性
Fig. 10. Comparison of a transmission characteristic under noise environment(Micro coaxial cable and Twinax cable).
る.現在極細 Twinax 用のコネクタは開発途上でありアッ
ル仕様を表 5 にその一般的な電気特性を示す.
ケーブルの高速伝送特性とノイズ環境下における特性
センブル品としての伝送特性,対ノイズ評価はできていな
(図 10)を示す.明らかにノイズ環境下においてはTwinax
い.今後コネクタを含むアッセンブル品の開発を進め,伝
送特性の評価を進めてゆく.
ケーブルの伝送特性は,極細同軸ケーブルより優れている.
4. 4
伝送特性のまとめ
現在,携帯電話に使用される極細同軸ケーブルの通信速
5.む す び
度(約 500Mbps),配線長(約 100mm)において,極細
同軸ケーブル端末加工品の伝送特性は十分である.
今回当社で開発した極細同軸ケーブルおよびそのアセン
しかし,今後携帯電話の小型化や複雑な配線を考慮する
ブル品は,高周波域の高速伝送を実現し,形状面において
と,ケーブルの細径化やシリアル伝送化による配線本数の
高い自由度を持ち省スペース配線の要求に十分応じること
減少が想定される.これにより,高速化にともなうノイズ
ができる.また,今後増大するノイズ環境においては,極
対策等で,ノイズ環境下に強い差動伝送方式と極細
細 Twinax ケーブル加工品が非常に有用なものになると思
Twinax ケーブルを使用した端末加工品の採用が見込まれ
われる.
53