参考回路:日本語版

日本語参考資料
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回路ノート
CN-0247
接続/参考にしたデバイス
Circuits from the Lab™ 実用回路は今日のアナログ・ミ
ックスド・シグナル、RF 回路の設計上の課題の解決
に役立つ迅速で容易なシステム統合を行うために作
製、テストされました。詳しい情報と支援については
www.analog.com/jp/CN0247 をご覧ください。
AD7091R
超低消費電力、12 ビット、1MSPS A/D
コンバータ
AD8031
2.7 V、800 µA、80 MHz レール to レー
ル I/O、シングル・アンプ
全消費電力 5 mW 以下の 12 ビット、1 MSPS SAR ADC+ドライバ
選択した部品は低消費電力で小型パッケージなのでこの組み
合わせは消費電力、価格、大きさが重要な要素の携帯用バッ
テリ駆動装置には業界最先端のソルーションとなります。
評価と設計支援
回路評価基板
AD7091R 回路評価用ボード(EVAL-AD7091RSDZ)
システム・デモ用プラットホーム(EVAL-SDP-CB1Z)
設計と統合ファイル
回路図、レイアウト・ファイル、部品表
AD7091R は 3V 電源で VDD 端子の電源電流はわずか 350 µA
(typ)要するだけで、今日市販されている他のどの競合
ADC よりもはるかに小さくなっております。これは標準消費
電力に換算すると~1 mW になります。
回路の機能とその利点
AD8031 の消費電流はわずか 800 µA なので、標準消費電力が
3 V 電源で 2.4 mW となり、システム全体の電力消費は 10 kHz
のアナログ入力信号を 1 MSPS でサンプリングした場合 5 mW
以下になります。
図 1 に示す回路は 12 ビット、1 MSPS SAR ADC の AD7091R
とオペアンプ・ドライバ AD8031 を使用した、単電源 3V で全
消費電力 5mW 以下の超低消費電力データ・アクイジショ
ン・システムです。
AD8031
SUPPLY
DECOUPLING
OPTIONAL
INPUT
PROTECTION
3V
3V
3V
10µF
WITH BUSY
INDICATION
VDRIVE
VDRIVE
10µF
100nF
100nF
100kΩ
100nF
VIN
VDD
1µF
+VS
AD8031
0V TO 2.5V
–VS
SDO
SCLK
AD7091R
3V
ANALOG
INPUT
VDRIVE
REGCAP
CS
SYSTEM
DEMONSTRATION
PLATFORM
(SDP)
CONVST
51Ω
VIN GND
4.7nF
REFIN/REFOUT
2.2µF
RC FILTER
10264-001
10µF
図 112 ビット、1 MSPS 低消費電力 ADC とドライバ(簡略化した回路:接続の全ては示されていません)
Rev. A
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せん。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示的または暗示的に許諾するもので
もありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、それぞれの
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CN-0247
回路ノート
回路の説明
最適の性能が得られるように、ほとんどの SAR ADC はアナ
ログ信号の為の適切な入力バッファを必要とします。バッフ
ァは内部のトラック&ホールド・スイッチがホールドからト
ラックに切り替わる時に ADC 入力で発生する過度信号から信
号源を絶縁します。ADC を駆動するバッファはこの過度状態
から回復し ADC のアクイジション時間以内に要求されている
精度に安定する必要があります。これは、信号源が高インピ
ーダンスで、低歪みと高 S/N 比が重要なアプリケーションに
おいては特に重要です。従って適切なバッファ・オペアンプ
を選択する事は、設計過程で重要な部分になります。
AD7091R は 2.5 V リファレンス内蔵、12 ビット、高速、超低
消費電力、単電源 ADC です。このデバイスは 2.7 V~5.25 V
の電源電圧で動作します。AD7091R は最大 1 MSPS のスルー
プット・レートが可能です。サンプリング・レート 1 MSPS
で、入力信号が 10kHz の時、AD7091R の全消費電力は約 2.3
mW です。
表 1 に示すように AD7091R の電力はスループットに比例す
るので、1 MSPS サンプリング周波数が必要でないアプリケー
ションではこの消費電力の値を小さくする事ができます。
システムの電力消費をさらに小さくするためには、コンバー
タのスループット・レートを低くしてください。表 1 は
AD7091R が通常モードで動作している時の 3V 電源での標準
的な消費電力対スループットを示します。
表 1 はパワーダウン・モードが駆動した時に実現可能な消費
電力の減少を示します。パワーダウン・モードは AD7091R を
より低いスループット・レートで動作させる時、電源条件を
大幅に下げる事ができる極めて有効な手段です。
AD7091R は超小型 3 mm × 2 mm 10 ピン LFCSP パッケージ又
は 3 mm × 5 mm 10 ピン MSOP パッケージを採用しています。
2 つのパッケージは競合品に対し大幅な省スペースになりま
す。
AD8031 はレール to レール入出力、低消費電力オペアンプで
AD7091R の駆動アンプとして最適です。AD8031 は 2.7 V ~
12 V の電源電圧で動作するので、2 つの IC を同じ電源電圧で
駆動する事ができます。AD8031 は小信号帯域幅 80 MHz、ス
ルーレート 30 V/μs、0.1%までのセトリング・タイム 125 ns
です。
AD8031 の出力は単電源動作時に負側レールの 20 mV 以内ま
で振れます。
入力 0 V までの直線性が必要な場合、AD8031 に追加の負電源
が必要です(チュートリアル MT-035 を参照)。
図 1 は、回路の簡略化した図です。100 nF と 10 µF のセラミ
ック・コンデンサを使用して IC 電源ピンをグラウンドに対し
て十分にデカップリングしてください。これらのコンデンサ
を両方の IC の電源ピンにできるだけ近く配置してください。
ADC に加わるアナログ入力信号が電源レールを 300 mV 以上
超えないように注意してください。もし信号がこのレベルを
超えると、内蔵 ESD 保護ダイオードが順方向バイアスとなり
サブストレートに電流が流れ始めます。ダイオードが破損す
る事なしに導通可能な最大電流は 10 mA です。これはチュー
トリアル MT-036 に説明されているように AD7091R の VIN と
電源レールとの間にペアのショットキー・ダイオードを接続す
る事により避けられます。
AD7091R は 2.5 V リファレンスを内蔵しています。規定の性
能を達成するために REFIN/REFOUT ピンを適切なデカップリン
グしてください。REFIN/REFOUT コンデンサの標準的な値は 2.2
µF です。内蔵リファレンス電圧は外部からオーバードライブ
できます。
外部リファレンス電圧を使用する場合は、2.7 V ~ VDD の範囲
を REFIN/REFOUT ピンに接続する必要があります。レギュレー
タ・バイパス(REGCAP)デカップリング・コンデンサの標
準的な値は 1 µF です。
VDRIVE 入力に印加される電圧によって、シリアル・インター
フェースのロジック・レベル電圧が制御されます。このピン
を AD7091R のデジタル出力に接続されているロジック・ファ
ミリーの電源電圧に接続してください。VDRIVE は 1.8 V ~VDD
の範囲で設定できます。VDRIVE デカップリング・コンデンサ
の標準的な値は 10 µF と 100 nF の並列です。
ビジー表示機能が必要な場合、VDRIVE と SDO ピンの間に 100
kΩ のプルアップ抵抗を接続してください。
AD7091R のアナログ入力バッファとして使用される AD8031
はユニティゲイン・バッファの構成とします。帯域外ノイズ
を減らすためにオペアンプの出力段の後に 1 極 RC フィルタ
を接続します。RC フィルタのカットオフ周波数を 660 kHz に
設定します。しかしシステムのスループット・レート仕様に
より、このパラメータは変わります。AD7091R が最大のスル
ープット・レートで動作しないシステムではフィルタ・カッ
トオフ周波数を低くできます。アナログ信号入力の振幅とオ
フセットの大きさによっては、オペアンプ AD8031 で増幅、
減衰、レベルシフトの回路を組み、入力信号振幅を ADC のア
ナログ入力範囲に整合させる事ができます。
表 1.AD7091R が通常モードで動作している時の 3V での標準的な消費電力対スループット
Mode
IDD
IDRIVE
IAMP (µA)
Total Current (µA)
Total Power (mW)
Power Down
550 nA
36 nA
766
767
2.3
Static (Power On, Input Grounded, No Clock)
21 µA
81 nA
766
787
2.4
Operating (Power On, 10 kHz Input, 1 MSPS Sampling)
368 µA
406 µA
766
1540
4.6
Operating (Power On, Input Grounded, 1 MSPS Sampling)
344 µA
35 µA
766
1145
3.4
Operating (Power On, Input Grounded, 1 kSPS Sampling)
57.8 µA
18.9 µA
766
843
2.5
サンプリング時、変換開始パルス幅= 20ns です、VDD = VDRIVE = 3 V。
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CN-0247
回路ノート
図 4 は周波数 10 kHz のアナログ信号を入力し 1 MSPS のレー
トで取り込んだ 8192 サンプルについて計算した FFT データ
です。SNR は 70.44dBFS です。
0.5
0
0.4
–20
0.3
–40
0.2
–60
0.1
0
–100
–120
–0.2
–140
1000
2000
3000
4000
–160
10264-002
0
ADC CODE
0
図 2 サンプリング・レート 1 MSPS の場合の INL
500
この回路は、大きな面積のグランドプレーンを持った多層 PC
ボード(PCB)に構築する必要があります。最適な性能を得
るには適切なレイアウト、接地、デカップリング技術を使用
する必要があります(チュートリアル MT-031、チュートリア
ル MT-101 と CN-0247 設計支援パッケージに示されている
AD7091R 評価用ボード・レイアウトを参照)。
0.2
0.1
0
AD7091R と AD8031 の周辺部品の値はアプリケーションとセ
ンサーの特定条件を満足するように変更する事ができます。
たとえば、バッファはゲインやオフセットを与える回路に構
成でき、RC フィルタのカットオフ周波数はサンプリング周波
数と入力周波数に応じて変更可能です。
–0.1
1
1001
2001
ADC CODE
3001
4001
図 3 サンプルイング・レート 1 MSPS の場合の DNL
10264-003
–0.2
–0.3
250
FREQUENCY (kHz)
図 4 システムの FFT、入力=10 kHz、
サンプリング周波数=1 MSPS
0.3
DNL ERROR (LSB)
–80
–0.1
–0.3
INPUT = 10kHz
SAMPLING RATE = 1MSPS
SNR = 70.44dBFS
10264-004
AMPLITUDE (dB)
INL ERROR (LSB)
図 2 と図 3 はそれぞれ回路の積分非直線性(INL)と微分非直
線性(DNL)のグラフです。INL と DNL が±1 LSB 以下にな
っている事に注目してください。
回路、ボード・レイアウト、部品表(BOM)など完全な技術
文書パッケージが http://www.analog.com/CN0247DesignSupport に載っております。
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CN-0247
回路ノート
回路評価とテスト
セットアップ
EVAL-AD7091RSDZ 評価用ボードはデバイスAD7091Rをこの
回路ノートに記述されている回路で評価し、テストするため
に開発されました。回路の詳細とユーザー・インストラクシ
ョンはEVAL-AD7091RSDZの技術文書に載っております。図5
にテスト・セットアップの機能ブロック図を示します。
任意のハードウェアを接続する前に、EVAL-AD7091RSDZ 評
価用ボードのリンクが次の位置になっている事を確認してく
ださい:
必要な装置
•
•
回路をテストするために、下記の装置が必要です。
•
•
9V DC
POWER
SUPPLY
−
GND
リンクを確認した後は評価用ボードの説明書に従ってハード
ウェアを接続、ソフトウェアをインストールしてください。
テスト
この回路ノートに含まれている各種テストを行う方法に関す
る詳しい説明は評価用ボードの説明書を参照してください。
3V DC
POWER
SUPPLY
+
−
PC
+
USB
+9VIN
J2-2
J2-1
VDD
J1
J3-2
J3-1
VDRIVE
J5
VIN
SIGNAL
GENERATOR
120
EVAL-AD7091RSDZ
J4
10264-005
•
•
EVAL-SDP-CB1Z
•
•
EVAL-AD7091RSDZ 評価用ボード(ソフトウェアと 9 V
DC 用 AC アダプタ電源を含む)
EVAL-SDP-CB1Z システム・デモ用プラットフォーム・
ボード
低歪み信号発生器(アジデント 81150A あるいは Audio
Precision の System Two 2322 のような信号発生器)
USB2.0 ポート付き Windows® XP 又は Windows Vista 又は
Windows 7(32 ビット又は 64 ビット)対応の PC
電源:9 V DC 用 AC アダプタ(評価用ボードに含まれて
いる、50mA の外部 3VDC 電源)
CON A
•
LK1:ポジション A(入力バッファとして AD8031 を選
択する)
LK2:ポジション A(J5 で入力を入力バッファに接続す
る)
LK5:ポジション A(外付け VDRIVE 源をイネーブルにす
る)
LK6:ポジション B(外付け VDD 源をイネーブルにす
る)
図 5 テスト・セットアップの機能ブロック図
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CN-0247
回路ノート
さらに詳しくは
データシードと評価用ボード
CN-0247 Design Support Package:
http://www.analog.com/CN0247-DesignSupport
AD7091R データシート/評価用ボード
MT-031 Tutorial : Grounding Data Converters and Solving the
Mystery of “AGND” and “DGND”
AD8031 データシート
システム・デモ用プラットホーム(EVAL-SDP-CB1Z)
MT-035 Tutorial : Op Amp Inputs, Outputs, Single-Supply, and
Rail-to-Rail Issues
改訂履歴
MT-036 Tutorial : Op Amp Output Phase-Reversal and Input OverVoltage Protection
MT-101 Tutorial : Decoupling Techniques
10/12—Rev.0 to Rev.A
Deleted Common Variations Section..................................................3
4/12—Revision 0:初版
「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客さ
まは製品設計で「Circuits from the Lab/実用回路集 」を使用することはできますが、その回路例を利用もしくは適用したことにより、特許権またはその他の知的所有権のも
とでの暗示的許可、またはその他の方法でのライセンスを許諾するものではありません。アナログ・デバイセズ社の提供する情報は正確でかつ信頼できるものであることを
期しています。しかし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかな
る種類の明示的、暗示的、法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはそ
の他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。アナログ・デバイセズ社はいつでも予告なく「Circuits from the Lab/実用回路集 」を変更する権利を留保しますが、そ
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