AD8517/AD8527: オペアンプ、低電圧、レールtoレール、7MHz (Rev. A) PDF

7MHz、レール toレール
低電圧オペアンプ
AD8517/AD8527
特長
単電源動作:+1.8∼+6V
省スペースSOT-23、μSOICパッケージ
広帯域:7MHz@5V
低オフセット電圧:3.5mV Max
レールtoレール出力スイングおよびレールtoレール入力
スルーレート8V/μs
わずか900μAの消費電流(+1.8∼+5V)
ピン配置
5ピン SOT-23
(末尾RT)
OUT A 1
AD8517
5 V+
V– 2
+IN A
4 –IN A
3
アプリケーション
ポータブル通信機器
携帯電話
センサー・インターフェース
アクティブ・フィルタ
PCMCIAカード
ASIC入力ドライバ
ウェアラブル・コンピュータ
バッテリ駆動デバイス
新世代電話
PDA
8ピン SOIC
(末尾R)
OUT A
1
8
V+
–IN A
2
7
OUT B
+IN A
3
AD8527
V– 4
6
–IN B
5
+IN B
8ピン MSOP
(末尾RM)
概要
AD8517は、5ピンSOT-23パッケージの、1.8Vという低い単電
源の電圧から高精度・広帯域の動作が可能なオペアンプで
す。小型パッケージなのでセンサーに隣接して設置でき、外
OUT A
–IN A
+IN A
V–
1
8
AD8527
4
5
V+
OUT B
–IN B
+IN B
部 ノイズ の 拾 い 込 みを 低 減 できます。デュアル・アンプ の
AD8527は、省スペースのMSOPパッケージで供給されます。
AD8517/AD8527は、レールtoレール入/出力のバイポー
ラ・アンプであり、ゲイン帯域は7MHz、1.8V電源での電圧
オフセットは1.3mV(typ)です。消費電流が小さいので、
バッテリ駆動のアプリケーションに理想的です。8V/μsの
高速スルーレートのAD8517/AD8527は、ボイス・コーデッ
クなどのASIC入力のドライバに適しています。
AD8517/AD8527は、拡張工業温度範囲(−40∼+125℃)で
仕様規定されています。シングル・アンプAD8517は5ピン
SOT-23表面実装型パッケージ、デュアルのAD8527は8ピン
SOICおよびMSOPパッケージで供給されます。
アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、そ
の情報の利用または利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権利の侵害
に関して、当社はいっさいの責任を負いません。さらに、アナログ・デバイセズ社の特
許または特許の権利の使用を許諾するものでもありません。
REV.A
アナログ・デバイセズ株式会社
本 社/東京都港区海岸1-16-1 電話03
(5402)8400 〒105-6891
ニューピア竹芝サウスタワービル
大阪営業所/大阪市淀川区宮原3-5-36 電話06(6350)6868(代) 〒532-0003
新大阪第二森ビル
AD8517/AD8527−仕様
電気的特性(特に指定のない限り、VS=5.0V、V−=0V、VCM=2.5V、TA=25℃)
パラメータ
記号
条件
Min
Typ
Max
単位
1.3
3.5
mV
5
mV
3.5
mV
5
mV
450
nA
900
nA
±225
nA
±750
nA
5
V
入力特性
オフセット電圧
AD8517ART(5ピンSOT-23)
VOS
−40℃≦TA≦+125℃
1.3
VOS
−40℃≦TA≦+125℃
AD8527
入力バイアス電流
IB
−40℃≦TA≦+125℃
入力オフセット電流
IOS
−40℃≦TA≦+125℃
入力電圧範囲
VCM
コモン・モード除去比
CMRR
0
0V≦VCM≦5.0V,
−40℃≦TA≦+125℃
大信号電圧ゲイン
AVO
60
RL=2kΩ,0.5V<VOUT<4.5V
RL=10kΩ,0.5V<VOUT<4.5V
50
RL=10kΩ,−40℃≦TA≦+125℃
30
70
dB
20
V/mV
100
V/mV
V/mV
オフセット電圧ドリフト
ΔVOS/ΔT
2
μV/℃
バイアス電流ドリフト
ΔIB/ΔT
500
pA/℃
出力特性
出力電圧スイング・ハイ
出力電圧スイング・ロー
VOH
VOL
IL=250μA,
−40℃≦TA≦+125℃
4.965
V
IL=5mA
4.70
V
IL=250μA,
−40℃≦TA≦+125℃
35
mV
IL=5mA
200
mV
ISC
グラウンドへ短絡、瞬時値
±10
mA
電源除去比
PSRR
VS=2.2∼6V
90
dB
電源電流/アンプ
ISY
短絡電流
電源
−40℃≦TA≦+125℃
65
VOUT=2.5V
900
−40℃≦TA≦+125℃
dB
1,200
μA
1,400
μA
ダイナミック性能
スルーレート
SR
GB積
GBP
セトリング・タイム
TS
位相マージン
φm
1V<VOUT<4V, RL=10kΩ
4Vステップ, 0.1%
8
V/μs
7
MHz
400
ns
50
度
ノイズ性能
電圧ノイズ
en p-p
0.1∼10Hz
0.5
μV p-p
電圧ノイズ密度
en
f=1kHz
15
nV/√Hz
電流ノイズ密度
in
f=1kHz
1.2
pA/√Hz
※仕様は予告なく変更されることがあります。
2
REV.A
AD8517/AD8527
電気的特性(特に指定のない限り、VS=2.2V、V−=0V、VCM=1.1V、TA=25℃)
パラメータ
記号
条件
Min
Typ
Max
単位
1.3
3.5
mV
5
mV
入力特性
オフセット電圧
AD8517ART(5ピンSOT-23)
VOS
−40℃≦TA≦+125℃
AD8527
VOS
1.3
−40℃≦TA≦+125℃
3.5
mV
5
mV
入力バイアス電流
IB
450
nA
入力オフセット電流
IOS
±225
nA
2.2
V
入力電圧範囲
VCM
コモン・モード除去比
CMRR
大信号電圧ゲイン
AVO
0
0V≦VCM≦2.2V,
−40℃≦TA≦+125℃
55
RL=2kΩ, 0.5V<VOUT<1.7V
70
dB
20
V/mV
50
V/mV
RL=10kΩ
20
IL=250μA
2.165
V
IL=2.5mA
1.9
V
出力特性
出力電圧スイング・ハイ
出力電圧スイング・ロー
VOH
VOL
IL=250μA
35
mV
IL=2.5mA
200
mV
1,100
μA
1,300
μA
電源
電源電流/アンプ
ISY
VOUT=1.1V
750
−40℃≦TA≦+125℃
ダイナミック性能
スルーレート
SR
GB積
位相マージン
RL=10kΩ
8
V/μs
GBP
7
MHz
φm
50
度
ノイズ性能
電圧ノイズ密度
en
f=1kHz
15
nV√Hz
電流ノイズ密度
in
f=1kHz
1.2
pA√Hz
※仕様は予告なく変更されることがあります。
REV.A
3
AD8517/AD8527−仕様
電気的特性(特に指定のない限り、VS=1.8V、V−=0V、VCM=0.9V、TA=25℃)
パラメータ
記号
条件
Min
Typ
Max
単位
1.3
3.5
mV
5
mV
3.5
mV
5
mV
入力特性
オフセット電圧
AD8517ART(5ピンSOT-23)
VOS
0℃≦TA≦+125℃
AD8527
VOS
1.3
0℃≦TA≦+125℃
入力バイアス電流
IB
450
nA
入力オフセット電流
IOS
±225
nA
1.8
V
入力電圧範囲
VCM
コモン・モード除去比
CMRR
大信号電圧ゲイン
AVO
0
0V≦VCM≦1.8V,
0℃≦TA≦+125℃
50
RL=2kΩ,0.5V<VOUT<1.3V
70
dB
20
V/mV
50
V/mV
RL=10kΩ
20
IL=250μA
1.765
V
IL=2.5mA
1.5
V
出力特性
出力電圧スイング・ハイ
出力電圧スイング・ロー
VOH
VOL
IL=250μA
35
mV
IL=2.5mA
200
mV
電源
電源除去比
PSRR
VS=1.7∼2.2V,
0℃≦TA≦+125℃
電源電流/アンプ
ISY
VOUT=0.9V
50
65
650
0℃≦TA≦+125℃
dB
1,100
μA
1,300
μA
ダイナミック性能
スルーレート
SR
7
V/μs
GB積
GBP
RL=10kΩ
7
MHz
位相マージン
φm
50
度
ノイズ性能
電圧ノイズ密度
en
f=1kHz
15
nV/√Hz
電流ノイズ密度
in
f=1kHz
1.2
pA/√Hz
※仕様は予告なく変更されることがあります。
4
REV.A
AD8517/AD8527
注
絶対最大定格1
電源電圧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6V
1 上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えると、デバイスに永久的な損傷を与えることがあ
ります。この定格はストレス定格の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動作セクシ
ョンに記載する規定値以上でのデバイス動作を定めたものではありません。デバイスを長期間
絶対最大定格条件に置くと、デバイスの信頼度に影響を与えることがあります。
2 電源電圧が6Vを下回る場合には、入力電圧は電源電圧以下に制限されます。
2
入力電圧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ GND∼VS
差動入力電圧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ±0.6V
内部消費電力
SOT-23(RT)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 熱抵抗のチャート参照
パッケージ形式
θJA1
θJC
単位
SOIC(R)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 熱抵抗のチャート参照
5ピンSOT-23(RT)
230
146
℃/W
μSOIC(RM)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 熱抵抗のチャート参照
出力短絡期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ TA<+40℃において不定
保管温度範囲
8ピンSOIC(R)
158
43
℃/W
8ピンμSOIC(RM)
210
45
℃/W
注
R, RM, RTパッケージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ −65∼+150℃
θJAは最悪の条件についての仕様です。即ち、θJAは、SOT-23およびSOICパッケージが回路基板
動作温度範囲
上にハンダ付けされた場合の仕様です。
AD8517, AD8527・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ −40∼+125℃
接合温度範囲
R, RM, RTパッケージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ −65∼+150℃
ピン温度範囲(ハンダ付け、60秒)・・・・・・・・・・・・・・・・ 300℃
注意
ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、
検知されることなく放電されることがあります。本製品には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高エネル
ギーの静電放電を受けたデバイスには回復不可能な損傷が発生することがあります。このため、性能低下や機能喪
失を回避するために、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。
WARNING!
ESD SENSITIVE DEVICE
オーダー・ガイド
モデル
温度範囲
パッケージ
パッケージ・
オプション
ブランド情報
AD8517ART-REEL
−40∼+125℃
5ピンSOT-23
RT-5
ADA
AD8527AR
−40∼+125℃
8ピンSOIC
SO-8
AD8527ARM-REEL
−40∼+125℃
8ピンμSOIC
RM-8
120
90
AFA
950
VS = 5V
VCM = 2.5V
TA = 25℃
COUNT = 935 OP AMPS
900
消費電源 –μA
アンプ数
850
60
800
750
700
30
650
0
−4
−3
図1
REV.A
−2
−1
0
1
入力オフセット電圧−mV
2
3
600
4
入力オフセット電圧の分布
1
2
図2
5
3
4
電源電圧 – V
5
アンプあたりの電源電流 対 電源電圧
6
AD8517/AD8527−代表的な性能特性
1,200
60
オープン・ループ・ゲイン – dB
1,100
1,000
消費電流 –μA
VS = 5V
TA = 25℃
50
900
800
700
40
ゲイン
30
20
90
位相
10
45
0
0
−10
− 45
−20
− 90
位相シフト―度
VS = 5V
−30
600
−50
0
−25
図3
25
50
温度 – ℃
75
100
125
−40
100k
150
1M
10M
図6
アンプ当たりの消費電流 対 温度
600
オープン・ループ・ゲイン 対 周波数
60
VS = 5V
TA = 25℃
CL ≦ 10pF
VS = ±2.5V
TA = 25 ℃
クローズド・ループ・ゲイン – dB
400
入力バイアス電圧 – nA
100M
周波数 – Hz
200
0
−200
40
20
0
−20
−400
−600
−3
図4
−2
0
−1
1
コモンモード電圧 – V
2
− 40
3
100
10
図7
入力バイアス電流 対 コモン・モード電圧
140
10k
100k
周波数 – Hz
1k
1M
10M
100M
クローズド・ループ・ゲイン 対 周波数
0
VS = ± 2.5V
TA = 25℃
120
20
シンク −
CMRR – dB
出力電圧 – mV
100
80
60
ソース+
40
60
40
80
20
0
10
1k
100
100
10k
10
100
1k
負荷電流 – μA
図5
図8
電源レールへの出力電圧 対 負荷電流
6
10k
周波数 – Hz
100k
1M
10M
CMRR 対 周波数
REV.A
AD8517/AD8527
0
100
VS = ± 2.5V
TA = 25℃
80
出力インピーダンス – Ω
− PSRR
40
PSRR – dB
VS = 5V
TA = 25℃
90
20
60
+ PSRR
80
70
60
50
40
30
AV CC = 1
20
100
10
120
10
1k
100
図9
10k
周波数 – Hz
100k
1M
0
10M
10
100
1k
図12
PSRR 対 周波数
10k
100k
周波数 – Hz
1M
10M
100M
出力インピーダンス 対 周波数
50
60
VS = 5V
TA = 25℃
VS = 5V
VCM = 2.5V
RL = 10kΩ
TA = 25 ℃
VIN = ± 50mV
40
Hz
40
電圧ノイズ密度 – nV/
50
オーバーシュート – %
AV CC = 10
−OS
30
20
+OS
30
20
10
10
0
10
100
容量 – pF
図10
0
10
1k
10k
1k
周波数 – Hz
図13
オーバーシュート 対 容量負荷
電圧ノイズ密度 対 周波数
12
6
VS = 5V
AV CC = 1
RL = 10kΩ
TA = 25℃
CL = 15pF
5
VS = 5V
TA = 25℃
Hz
歪み = 3%
4
電圧ノイズ密度 – pA/
最大出力振幅 – V p-p
100
3
2
8
4
1
0
10k
1M
100k
0
10
10M
100
図11
REV.A
1k
周波数 – Hz
周波数 – Hz
図14
出力スイング 対 周波数
7
電流ノイズ密度 対 周波数
10k
AD8517/AD8527
0
VS = ± 2.5V
AV CC = 1
TA = 25 ℃
CL = 100pF
RL = 10kΩ
電圧− 20mV/Div
電圧− 20mV/Div
VS = ± 2.5V
A V = 120k
0
時間−1s/Div
図15
時間−500ns/Div
0.1∼10Hzにおけるノイズ
図17
小信号過渡応答
VS = ± 2.5V
AV CC = 1
TA = 25℃
CL = 100pF
RL = 10kΩ
電圧ー 1V/Div
電圧− 500mV/Div
VS = ± 2.5V
AV = 1
VIN = 6V p-p
時間− 500ns/Div
時間− 200μs/Div
図16
位相反転なし
図18
大信号過渡応答
動作理論
AD85x7は、1.8Vの低電圧から動作可能な、レールtoレール
スタへ電流を供給します。
のオペアンプです。このファミリーは、アナログ・デバイ
ているため、出力段でも負荷抵抗に従ったゲインが与えら
セズの高速コンプリメンタリ・バイポーラ・プロセス
れます。各レールにおける250μAのシンクまたはソースに
出力トランジスタでは共通のエミッタを用いる構造となっ
よる出力の振幅はレールから35mVです。
(XFCB)を用いて製造されています。このプロセスによる
トレンチは、各トランジスタを絶縁して寄生容量を最小化
入力バイアス電流の特性は、コモン・モード電圧に依存し
することにより、高速動作を可能としています。図19に
ます。図10をご覧ください。入力電圧がVCCの約1V下に達す
AD85x7ファミリーの概略図を示します。
ると、PNPペア(Q3とQ4)がオフとなります。
入力段は、2つの並列コンプリメンタリ差動ペアであるNPN
1kΩの入力抵抗R1、R2は、ダイオードD7、D8とともにア
ペア(Q1とQ2)およびPNPペア(Q3とQ4)により構成され
バランシェによる損傷から入力ペアを保護します。
ています。レールtoレール動作のため、R7、R8、R9、R10
AD85x7ファミリーは、入力信号が電源を0.6V以上超えた場
における電圧降下は低く抑えられています。オペアンプの
合でも、位相の反転が生じません。過剰な電流はESDを介
主要な増幅段は、トランジスタ(Q5、Q6、Q8、Q9)によ
して入力ピンから流出されます。
り構成されるダブル・フォールドのカスコードです。出力
段もレールtoレールで動作し、Q14によってドライブされま
低電圧動作
す。トランジスタQ13、Q10はレベル・シフタとして動作し、
1.8V動作でも電圧的な余裕を与えます。
バッテリ電圧放電
AD8517は、1.8Vの低電源電圧で動作します。一般的なバッ
Q13のベースにおける電圧が増加すると、Q18のVBEが増加
テリのほとんどで、放電電圧の最終値での動作が可能であ
して、電流を減少させ始めます。Q20へのソースでは反対の
るため、バッテリ駆動のアプリケーションに理想的なアン
現象が発生し、Q13のベースにおける電圧が減少し、電流ソ
プです。表Iに、いくつかの代表的なバッテリの放電電圧の
ースI8がQ16、Q17、Q19、R13、R14を介して出力トランジ
公称値と最終値を示します。
8
REV.A
AD8517/AD8527
VCC
VCC
R8
R7
D2
R14
R3
Q19
Q6
I1
ESD
Q7
Q5
R4
Q20
I8
I7
D3
ESD
C4
D9
I3
Q1
Q3
R1
−IN
Q2
Q4
R2
+IN
Q14
D7
Q11
VOUT
R5
D8
Q10
R6
Q13
C1
D4
ESD
D2
Q8
Q9
C3
C2
Q18
ESD
Q17
R11
I2
I4
R9
I5
D16
D6
R13
VEE
Q15
I6
R10
R12
VEE
図19
表I
簡略化された概略図
入力バイアスにおける考慮点
入力バイアス電流(IB)は、理想値ではない現実のパラメー
代表的なバッテリの全寿命における電圧範囲
バッテリ
公称電圧(V)
鉛蓄電池
リチウム
NiMH
NiCd
炭素/亜鉛
2
2.6∼3.6
1.2
1.2
1.5
放電後の電圧(V)
タであり、すべてのオペアンプに影響を与えます。IBは、無
1.8
1.7∼2.4
1
1
1.1
視できない大きさのオフセット電圧を発生させることがあ
ります。このオフセット電圧は、IBが負帰還の抵抗RFを流れ
るときに生成されます。IBが500nA(最悪値)でRFが100kΩ
の場合には、これに対応して生成されるオフセット電圧は
レールtoレール入/出力
AD8517は、1.8Vという低い電源電圧ながら、レールtoレール
50mV(VOS=IB×RF)となります。
R Fの値が小さいほど、生成される電圧のオフセットが小さ
入/出力という際立った特性を持っています。アンプの電源
くなることは明らかです。図21に示すように補償抵抗RBを
電圧範囲を1.8Vに設定するとコモン・モード電圧は1.8Vp-pに
用いることによって、その影響を完全に抑えることができ
設定でき、出力はクリップせずに2つのレールの間を振幅でき
ます。入力バイアス電流をキャンセルしても、わずかなオ
ます。図20に、周波数1kHz、VS=1.8V、VIN=1.8Vp-pにおけ
フセット誤差を生じさせる入力オフセット電流(IOS)に留
るユニティ・ゲインの入/出力のオシロスコープ出力を示しま
意する必要があります。図21に、IBが起こすオフセット誤差
す。AD8517のレールtoレールの特性は、仕様が規定されてい
を打ち消すための3つの構成を示します。
る1.8∼5Vの電源電圧の全範囲にわたって発揮されます。
RF
RI
VI
VS = ± 0.9V
VIN = 1.8 V p-p
AD8517
VOUT
反転構成
RF
RB = RI RF
VIN
RI
AD8517
VOUT
VI
RB = R I RF
RF
AD8517
時間 – 200ms/Div
図20
REV.A
VOUT
非反転構成
VI
VOUT
ユニティ・ゲイン・バッファ
RB = RF
レールtoレール入/出力
図21
9
入力バイアス・キャンセル回路
AD8517/AD8527
容量性負荷の駆動
ゲイン対容量性負荷
容量性負荷を駆動するためには出力段で多くの電流が必要
F = 250kHz
ゲイン = 1
C = 680pF
となるため、ほとんどのアンプで困難とされます。出力に
電圧 – 200mV/Div
大きな容量が接続されると、アンプのステップ応答におけ
るオーバーシュートとリンギングが増大して、デバイスの
安定性にまで影響を与えることもあります。アンプが発振
せずに駆動できる容量の大きさは、ゲイン、電源電圧、入
力信号、温度、周波数その他の要素に影響されます。ユニ
ティ・ゲインは、容量性の負荷をドライブする上で最も困
難な構成です。しかし、AD8517は、比較的良好な容量性負
荷のドライブ能力を備えています。表IIに、AD8517が安定
性を損なうことなく容量性の負荷をドライブできる能力を
時間 – 1μs/Div
ゲイン別に示します。この表は、すべてのVSYについて当て
図23
リンギングを生じた矩形波
はまります。
表II
ゲイン 対 容量性負荷
直列のR-Cをデバイスの出力からグラウンドに接続して、い
ゲイン
最大容量値
わゆる「スナバー」ネットワークを構成することにより、
1
2
2.5
3
400pF
1.5nF
8nF
無条件に安定
リンギングとオーバーシュートを大きく減少させることが
できます。図24に、ネットワークの設定を、図25に、「スナ
バー」ネットワークにより改善された出力応答を示します。
容量性負荷を駆動するためのループ内補償テクニック
ユニティの構成で容量性負荷を駆動する場合には、図22に
5V
示すような、発振を防止するためのループ内における補償
テクニックを推奨します。
AD8517
VIN
VIN
RF
図24
容量性負荷に対するスナバー・ネットワーク補償
RX
AD8517
VOUT
F = 250kHz
ゲイン = 1
C = 680pF
RF
ここで、RO=オープン・ループ出力抵抗
CF =
図22
電圧 – 200mV/Div
CL
RO RG
CL
CX
RG
CF
RX =
VOUT
RX
1+
1
RF + RG
A CL
RF
CL RO
容量性負荷を駆動するためのループ内補償テクニック
容量性負荷を駆動するためのスナバー・ネットワーク補償
負荷容量が増加すると、オーバーシュートとセトリング・
時間 – 1μs/Div
タイムが増加し、デバイスのユニティ・ゲイン帯域幅が減
少します。図23に、AD8517をユニティ・ゲインの構成とし、
図25
スナバー・ネットワーク補償による矩形波
10kΩの抵抗と680pFのコンデンサを並列に接続し、周波数
250kHzでユニティ・ゲインに設定された矩形波を入力した
このネットワークは負荷のコンデンサC Lと並列に動作し、
場合の例を示します。
付加された位相遅延を補償します。ネットワークの抵抗と
コンデンサの実際の値は、経験的に決定する必要がありま
す。表IIIに大きな容量性負荷についてのスナバー・ネット
ワークの値を示します。
REV.A
10
AD8517/AD8527
マイクロフォン・プリアンプ
AD8517は、マイクロフォンのプリアンプとして理想的です。
表III 大きな容量性負荷についてのスナバー・ネットワークの値
CLOAD
Rx
Cx
680pF
1nF
10nF
300Ω
100Ω
400Ω
3nF
10nF
30nF
図28に構成例を示します。
R3
100kΩ
VCC
全高調波歪み+ノイズ
AD85x7ファミリーは、全高調波歪みが低く、オーディオ・アプ
VCC
R1
2.2kΩ
リケーションに理想的です。図26はTHD+Nのグラフを示しま
C1
0.1μF
R2
10kΩ
す。ゲイン1の非反転構成においてVS>3VではTHD+Nは約
VOUT
AD8517
0.001%、VS≧1.8Vにおいては約0.03%となっています。
電子マイク
VREF
1
図28
0.1
マイクロフォンのプリアンプ
アンプのゲインはR3/R2に設定されます。R1は電子マイク
VS = 1.8V
THD + N – %
ロフォンをバイアスするために用いられ、C1はアンプから
のDC電圧を阻止します。
0.01
電話回線インターフェースへの直接アクセス配置
図28に、600Ω伝送システムに対する1.8V送/受信電話回線イ
VS > 3∼5V
0.001
ンターフェースを示します。この回線で、差動構成のトランス
結合600Ω回線において全二重の信号伝送が可能です。アン
0.0001
10
100
10k 20k
1k
プA1は、モデム出力ドライブの要求に応じてゲインを調整でき
周波数 – Hz
図26
ます。A1とA2の双方は、単電源で可能な最大の信号をトラン
THD+N 対 周波数のグラフ
スに加えます。アンプA3は、次の2つの理由から差動アンプと
なっています。
(1)送信信号が受信信号の妨害となることを防
マイクロパワー・リファレンス電圧生成器
多くの単電源回路は、回路に電源電圧の半分のバイアスをか
止する。
(2)伝送回線から受信信号を抽出してA4により増幅す
る。A4のゲインはA1と同様に調整でき、モデムの入力信号へ
ける形で構成されています。これらの場合では、アンプでバッ
の 要 求 に 応 えられ ます。標 準 的 な 抵 抗 の 値 によって S I P
ファされた分圧器を用いて偽のグラウンド・リファレンスを生成
(Single In-line Package)
フォーマットの抵抗アレイが使用可能で
できます。図27に、このような回路の概略図を示します。
す。この構成にAD8517/AD8527の5ピンSOT-23、8ピンMSOP、
2つの1MΩの抵抗は、1.8Vの電源からわずか 0.9μAの電流
8ピンSOICパッケージと組み合わせることにより、コンパクトな
を引き出してリファレンス電圧を生成します。オペアンプ
回路が実現できます。
の反転端子から出力に接続されたコンデンサは、バイパ
ス・コンデンサをリファレンス出力に接続できるように補
P1
Txゲイン調整
償します。このバイパス・コンデンサは、リファレンス出力に
ついてのACグラウンドを確立するために役立ちます。
1.8 ∼ 5V
1
A1
C1
R1
10kΩ 0.1μF
+1.8V DC
R6
10kΩ
6
7
A2
R7
10kΩ
5
R8
10kΩ
10μF
2
1MΩ
AD8517
3
4
6
100Ω
1μF
VREF
0.9∼2.5V
1μF
REV.A
2
R11
10kΩ
1MΩ
図27
R10
10kΩ
R9
10kΩ
7
A1, A2 = 1/2 AD8517
A3, A4 = 1/2 AD8527
図28
マイクロパワー・リファレンス電圧生成器
11
送信
TxA
3
6.2V
T1
MIDCOM
671-8005
0.022μF
2
R5
10kΩ
6.2V
ZO
600Ω
10kΩ
2kΩ
R3
360Ω
電話回線へ
1:1
R2
9.09kΩ
3
R12
10kΩ
A3
1
R13
R14
10kΩ 14.3kΩ
2kΩ
6
5
P2
Rx ゲイン
調整
A4
7
マイクロフォンのプリアンプ
C2
0.1μF
受信
RxA
AD8517/AD8527
SPICEモデル
AD8517アンプのSPICEモデルは、アナログ・デバイセズの
出力電流は、マクロ・モデルとAD8517の実際の動作で同じ
Webサイト http://www.analog.com からダウンロードでき
ます。このマクロ・モデルはAD8517のオフセット電圧、入
ン、入力電圧ノイズ、CMRRとPSRR対周波数、過渡応答な
力コモン・モード、およびレールtoレール出力スイングな
モデルの高い精度によって、AD8517のマクロ・モデルはあ
ど、多くのパラメータを正確にシミュレートしたものです。
らゆるアンプ用モデルの中でも、最も信頼性が高く現実に
レールtoレールのアンプでは重要な特性である出力電圧対
近いものとなっています。
になっています。また、このモデルは、GB積、位相マージ
TDS4/2000/2000
どの多くのAC効率を正確にシミュレートしています。この
外形寸法
サイズはインチと(mm)で示します。
8ピン狭体SOIC
8ピンMSOP
(SO-8)
(RM-8)
0.1968 (5.00)
0.1890 (4.80)
0.1574 (4.00)
0.1497 (3.80)
8
5
1
4
ピン1
0.0098 (0.25)
0.0040 (0.10)
0.122 (3.10)
0.114 (2.90)
0.2440 (6.20)
0.2284 (5.80)
8
5
0.122 (3.10)
0.114 (2.90)
0.199 (5.05)
0.187 (4.75)
1
0.0688 (1.75)
0.0532 (1.35)
0.0196 (0.50)
× 458
0.0099 (0.25)
0.0500 0.0192 (0.49)
実装面 (1.27)
0.0098 (0.25)
0.0138 (0.35)
0.0075 (0.19)
BSC
4
ピン1
0.0256 (0.65) BSC
0.120 (3.05)
0.112 (2.84)
8°
0°
0.0500 (1.27)
0.006 (0.15)
0.002 (0.05)
0.0160 (0.41)
0.120 (3.05)
0.112 (2.84)
0.043 (1.09)
0.037 (0.94)
0.018 (0.46)
実装面 0.008 (0.20)
0.011 (0.28)
0.003 (0.08)
33°
27°
0.028 (0.71)
0.016 (0.41)
5ピンSOT-23
(RT-5)
0.1181 (3.00)
0.1102 (2.80)
0.0669 (1.70)
0.0590 (1.50)
5
1
4
2
0.1181 (3.00)
0.1024 (2.60)
3
ピン1
0.0374 (0.95) BSC
0.0748 (1.90)
BSC
0.0059 (0.15)
0.0019 (0.05)
0.0079 (0.20)
0.0031 (0.08)
0.0571 (1.45)
0.0374 (0.95)
0.0197 (0.50)
0.0138 (0.35)
このデータシートはエコマーク認定の再生紙を使用しています。
12
実装面
10°
0°
0.0217 (0.55)
0.0138 (0.35)
PRINTED IN JAPAN
0.0512 (1.30)
0.0354 (0.90)
REV.A