用 語 解 説 1.オペアンプの最大定格 + 1-1.電源電圧:V /V ,VDD オペアンプの正電源電圧端子と負電源電圧端子間に印加できる最大電圧を規定します。単電源動作の場合は単に印加電圧を規定し,両電源 動作の場合には正電源と負電源の差となります。 1-2.差動入力電圧:VID 反転入力端子と非反転入力端子間に印加できる最大入力電圧を規定します。どちらの入力端子を基準にとるかによって極性が正反対になる ため,プラス,マイナスで規定します。 この電圧を超える入力電圧が印加されると,初段のトランジスタが破損したり,特性が劣化をすることがあります。 1-3.同相入力電圧:VIC 反転入力端子と非反転入力端子に同時に同じ電圧が印加される場合の許容限界を規定します。一般に電源電圧範囲内まで許容されます。 但し,動作限界については,電気的特性の中で同相入力電圧範囲 VICM として規定されます。 1-4.消費電力:PD IC が自己の消費電流を含んで消費可能な最大消費電力を規定するもので,パッケージの熱抵抗と最大接合部温度によって制限されます。従 って消費可能な電力は, + PD-ICC(V -V ) となります。ICC の大きい NJM2114,NJM5532 やクォッドオペアンプで,同時に出力電流をとる場合には電源電圧を下げて使用するなどの 注意が必要です。特に DMP-8 の場合はパッケージ単体の PD が 300mW と小さいので注意が必要です。 2.オペアンプの規格の定義 2-1.入力オフセット電圧:VIO オペアンプの出力端子電圧を0ボルトにするために必要な入力2端子間の差電圧。 2-2.入力オフセット電流:IIO オペアンプの出力端子電圧が0ボルトのとき,2つの入力端子に流入又は流出する入力電流の差 + II0=|IB -IB | 2-3.入力バイアス電流:IB 2つの入力端子に流入または流出する入力電流の平均値 + IB=(IB +IB )/2 2-4.同相入力電圧範囲:VICM オペアンプが機能する入力電圧の最大値。正,負各々定義する。 2-5.同相信号除去比:CMR 同相入力電圧範囲内の同相入力電圧を印加したときに変動する入力オフセット電圧と印加電圧との比。 2-6.電源電圧除去比:SVR 電源電圧を変化させたときに変動する入力オフセット電圧と電源電圧変化量との比。 2-7.最大出力電圧:VOM 出力が飽和しないで変化することのできる出力電圧。VOM は正負各々で定義し,VOPP は最大電圧振幅をピーク・ツー・ピークで定義する。 2-8.消費電流:ICC,IDD 無負荷状態で出力電圧が0ボトルのときに電源端子に流れる電流。 2-9.電圧利得:Av 直流における大振幅出力時の差動電圧利得。 ■電源投入時の注意 IC は,常に GND(V-)ピンに電位を与えて使用する必要があります。 従って,両電源で使用する場合には以下のような注意が必要です。 ①電源投入時において,必ず V-電源は,V+電源よりも先か,または同時に投入して下さい。 ②V-,V+電源を同時に投入する場合,上図のように V-電源が V+電源よりも時間的に,常に先に立ち上がる関係にあることが理想的です。 ③同様の考え方より,電源停止時には,先に V+電源が立ち下がるようにして下さい。 Ver.2003-07-18 -1- 用語解説 ■J-FET 入力オペアンプに特有な注意事項 1.入力バイアス電流の温度特性 J-FET 入力オペアンプの入力バイアス電流は,ゲート,チャネルとゲート,サブストレートの PN 接合の逆方向リーク電流であるため,この 温度依存性は一般の PN 接合と同じく温度上昇によって指数関数的に増加します。 高入力インピーダンス回路に用いる事の多い J-FET 入力オペアンプですが,常温で例えば 30pA 位のものが 80℃になると約1nA に増加す るため,温度上昇に伴う IB 増加を充分に考慮におく必要があります。 ■J-FET 入力オペアンプとバイポーラオペアンプとの比較 型 名 NJM072B(BIFET) NJM082B(BIFET) NJM4558(BIPOLAR) NJM2043(BIPOLAR) NJM2904(BIPOLAR) 入力バイアス電流 最大(pA) スルーレート 標準(V/µS) オフセット電圧 最大(mV) 利得帯域幅 標準(MHz) 200 400 500,000 1,000,000 250,000 13 13 1 6 0.5 10 15 6 3 7 3 3 3 14 0.6 2.同相入力電圧範囲 + 代表的な FET 入力オペアンプの場合,正側の最大電圧 VIC は, + + VIC =V -I0RI-VSAT+VGS となり,VGS>I0RI+VSAT であるため, + VIC+ ≈ V +0.6 となり,正電源電圧より 広いことが解かります。 一方負側の最大入力電圧 VIC は VIC =V +IR+VBE1+VBE2+VDS+VGS となり, VIC ≈ V +2.3Vとなります。 -2- Ver.2003-07-18 用語解説 3.入力容量 バイポーラトランジスタ入力のオペアンプでは,例えば 741 のように NPN トランジスタ入力の場合,入力容量は1~2pF,4558 系のラテ ラル PNP トランジスタ入力の場合3~4pF ですが,082 シリーズの入力容量は約 10pF ありますので,ボルテージフォロワの場合この Ci と Rf でポールを作ってしまいます。 fP= 1 2πCiRf Ci=10pF Rf=10kΩ とすると, fP=1.6MHz となって,fT (≈ 3MHz)の中にポールができてしまい 位相余裕が低下します。 Cf≫Ci なる Cf を追加して安定度を増す事ができます。 反転アンプの場合 Cf= R1 Ci Rf なる Cf を追加すれば入力容量の影響を除去できます。 4.その他 イ)単電源オペアンプの比較 品 クロスオーバ歪 の 有 無 有 有 無 無 無 消 費 電 流 (Icc) 小 小 大 大 大 名 NJM2902 NJM2904 NJM3403A NJM3404A NJM3414A 最大出力電流 20mA 20 20 20 70 ロ)オペアンプ特性比較 入 力 オ フ セ ッ ト 電 圧 〔mV〕 入 力 バ イ ア ス 電 流 〔nA〕 NJM4558 NJM4559 NJM4560 NJM4562 NJM4556A NJM2041 NJM2043 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.3 0.3 50 50 40 220 180 200 400 0.55 0.45 0.29 0.5 0.21 0.16 入力換算雑音 電圧〔µVrms〕 RIAA+IHF A,Rg=10Ω 0.55 FLAT+IHF A,Rg=300Ω 1.2 1.2 0.8 0.63 1.0 0.48 0.4 ス ル レ 1 2 4 7 3 3 6 利 得 〔MHz〕 4 5.5 10 15 8 7 14 〔mA〕 13 13 25 13 70 13 25 最 ー 帯 大 Ver.2003-07-18 出 域 力 ー 〔 V/µs〕 ト 幅 電 積 流 -3- 用語解説 ■特性例について 特性例は、各製品の特性を代表するものでありますが、技術データであり、特性の保証及び使用条件の保証をするものではありません。 特にパワーに関する特性例は、最大定格内であることを検討の上、活用して下さい。 ■雑音電圧測定回路 雑音電圧(RIAA)測定回路 雑音電圧(FLAT+JISA)測定回路 -4- Ver.2003-07-18