NJW1933 J

NJW1933-T
600mA, 500kHz 小型 PKG 降圧スイッチングレギュレータ
■概 要
NJW1933 はパワーMOSFET を内蔵した降圧用スイッチング
レギュレータです。カレントモード制御方式を採用し、出力セラ
ミックコンデンサを容易に使用できます。位相補償回路を内蔵
し、最小限の外付け部品で降圧アプリケーションを実現します。
SOT-23-6-1 パッケージで供給され、
入力範囲が 4.5V から 40V
と広いこと、かつ動作周波数が高いので、小型で低コストのイン
ダクタやセラミックコンデンサを使用することができるため、安
定化されていない AC アダプタのトランス出力、産業用 24V 電
源、車載バッテリなど、多様な電源の安定化に適しています。
■外 形
NJW1933F1
■特 長
LT1933 及び LM2842 とピンコンパチかつ外付け部品削減可能
入力電圧最大定格
45V
広動作電圧範囲
4.5V to 40V
スイッチング電流
0.8A (min.)
発振周波数
500kHz fixed (A バージョン)
小型コンデンサ(MLCC)及びインダクタ使用可能
ソフトスタート機能
低シャットダウン電流 1 A
位相補償回路内蔵
低電圧誤動作防止回路内蔵
出力は 1.25V まで調整可能
過電流・熱遮断保護機能
外形
SOT-23-6-1
■端子配列
N.C. 1
6 SW
GND 2
5 VIN
FB 3
4 SHDN
NJW1933F1
Ver.2016-02-22
-1-
NJW1933-T
■ 端子説明
端子名称
端子番号
機能
N.C.
GND
1
2
FB
3
SHDN
4
VIN
5
SW
6
未使用端子
接地
出力電圧を検出する端子です。FB 端子電圧が基準電圧 1.245V (typ.)となるように出力
電圧を抵抗分割して入力します。
NJW1933 の動作・停止を制御する端子です。
High レベルで動作、Low レベルもしくは Open でスタンバイモードとなります。
IC への電源供給端子です。電源供給のインピーダンスを下げるため、IC の近傍に入力
コンデンサを接続してください。
パワーMOSFET のスイッチ出力端子です。
■ブロック図
VIN
CURRENT
SENSE
UVLO
∑
OSC
OCP
SHDN
S
Soft
Start
Q
Buffer
R
TSD
FB
SW
Vref
Error
AMP
PWM
1.245V
GND
-2-
Ver.2016-02-22
NJW1933-T
(Ta=25 C)
■絶対最大定格
項
目
入力電圧
入力-SW端子間電圧
SHDN端子電圧
フィードバック端子電圧
記 号
VIN
VV-SW
VSHDN
VFB
消費電力
PD
接合部温度範囲
動作温度範囲
保存温度範囲
Tj
Topr
Tstg
定
格
0.3 to 45
0.3 to 45
0.3 to 45
0.3 to 6
510 (*1)
710 (*2)
40 to 150
40 to 105
50 to 150
単 位
V
V
V
V
mW
C
C
C
(*1): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(2層 FR-4)でEIA/JEDEC 準拠による
(*2): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(4 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による (4 層基板内箔:74.2×74.2mm)
(Ta=25 C)
■推奨動作条件
項
入力電圧
Ver.2016-02-22
目
記 号
VIN
最 小
4.5
標 準
-
最 大
40
単 位
V
-3-
NJW1933-T
■電気的特性
(標準字体で記載された仕様は Ta=25 C の場合であり、太字で記載された上限または下限値は動作温度範囲が
Ta= 40 C to 105 C のときに適用されます。最小リミット値および最大リミット値は、試験により保証されています。
特記事項なき場合、VIN= VSHDN=12V, Ta=25 C)
項
目
低電圧誤動作防止回路部
ON スレッシホールド電圧
OFF スレッシホールド電圧
ヒステリシス幅
発振器部
発振周波数 1
発振周波数 2
誤差増幅器部
基準電圧
入力バイアス電流
PWM 比較器部
最大デューティーサイクル
最小 ON 時間
記 号
条
VT_ON
VT_OFF
VHYS
fOSC1
fOSC2
VB
IB
MAXDUTY
tON-min
出力部
スイッチング電流制限
出力 ON 抵抗
SW リーク電流
ILIM
RON
ILEAK
SHDN 制御部
SHDN ON 制御電圧
SHDN OFF 制御電圧
SHDN バイアス電流 1
SHDN バイアス電流 2
VSHDN(ON)
VSHDN(OFF)
ISHDN_BIAS1
ISHDN_BIAS2
総合特性
消費電流 1
消費電流 2
シャットダウン時消費電流
-4-
IDD1
IDD2
IDD_SHDN
件
最小
標準
最大
単位
VIN = L → H
VIN = H → L
4.2
4.1
-
4.35
4.25
100
4.5
4.4
-
V
V
mV
VFB=1.1V
VFB=0V
400
-
500
80
600
-
kHz
kHz
VFB=1.3V
-1.6%
-
1.245
10
+1.6%
100
V
nA
88
-
94
100
-
160
%
ns
0.8
-
-
1.1
1
-
1.5
1.6
1
A
ISW=400mA
VSHDN=0V, VIN=45V, VSW=0V
VSHDN= L → H
VSHDN= H → L
VSHDN= 2.3V
VSHDN= 0V
2.3
0
-
-
-
-
5
0.01
VIN
0.3
10
0.1
V
V
A
A
RL=無負荷, VFB=1.3V
RL=無負荷, VFB=1.1V
VSHDN=0V
-
-
-
1.6
2.2
–
2.5
3.2
1
mA
mA
A
VFB=1.1V
A
Ver.2016-02-22
NJW1933-T
熱特性
項
目
記 号
値
単 位
245 (*3)
C/W
175 (*4)
70 (*3)
接合部-ケース表面間
jt
C/W
60 (*4)
(*3): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(2 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による
(*4): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(4 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による (4層基板内箔:74.2×74.2mm)
ja
接合部-周囲雰囲気間
消費電力-周囲温度特性例
NJW1933F1
Power Dissipation vs. Ambient Temperature
(Topr=-40 to +105ºC, Tj= ~150ºC)
800
*4) At on 4-layer PC Board
Power Dissipation PD [mW]
700
600
*3) At on 2-layer PC Board
500
400
300
200
100
0
-50
-25
0
25
50
75
100 125 150
Ambient Temperature Ta [ºC]
Ver.2016-02-22
-5-
NJW1933-T
■アプリケーション回路例
VIN
VIN
NJW1933
VSHDN
SHDN
L
SW
VOUT
FB
GND
R2
CIN
SBD
R1
COUT
効率 対 出力電流
100
VOUT=5V
90
80
VOUT=3.3V
効率 [%]
70
60
50
40
VIN=12V
Ta=25ºC
30
20
D1 = MBRM140
L1= CDRH6D28NP: 22uH/1.2A
10
0
0
100
200
300
400
500
600
出力電流 [mA]
-6-
Ver.2016-02-22
NJW1933-T
特性例
効率 対 出力電流
100
効率 対 出力電流
100
VIN=12V
VIN=12V
80
80
VIN=24V
60
効率 [%]
効率 [%]
VIN=24V
Ta=25ºC
VOUT=3.3V設定
40
60
40
Ta=25ºC
VOUT=5V設定
20
20
D1 = MBRM140
L1= CDRH6D28NP: 22uH/1.2A
D1 = MBRM140
L1= CDRH6D28NP: 22uH/1.2A
0
0
100
200
300
400
出力電流 [mA]
500
0
600
0
UVLO ON/OFFスレッシホールド電圧 対 周囲温度
発振周波数 [kHz]
UVLO ON/OFF
スレッシホールド電圧 [V]
4.3
4.2
VT_OFF
4.1
600
400
300
200
100
0
4.0
-50
0
50
100
150
0
0.5
1
FB端子電圧 [V]
周囲温度 [ºC]
発振周波数 対 入力電圧
530
1.5
発振周波数 対 周囲温度
600
VIN=12V
VFB=1.1V
520
550
510
発振周波数 [kHz]
発振周波数 [kHz]
500
VIN=12V
Ta=25ºC
500
VT_ON
4.4
200
300
400
出力電流 [mA]
発振周波数 対 FB端子電圧
600
4.5
100
500
490
500
450
480
470
400
0
Ver.2016-02-22
10
20
入力電圧 [V]
30
40
-50
0
50
100
150
周囲温度 [ºC]
-7-
NJW1933-T
特性例
基準電圧 対 周囲温度
1.260
基準電圧 対 入力電圧
1.26
1.255
1.255
1.250
1.25
基準電圧 [V]
基準電圧 [V]
VIN=12V
1.245
1.245
1.240
1.24
1.235
1.235
1.23
1.230
-50
0
50
100
150
0
5
10
周囲温度 [ºC]
30
35
40
最小ON時間 対 周囲温度
最大デューティーサイクル 対 周囲温度
100
15
20 25
入力電圧 [V]
(VFB=1.1V)
160
VIN=4.5V
最大デューティーサイクル [%]
99
VIN=12V
VIN=40V
98
140
最小ON時間 [ns]
97
96
95
94
93
92
120
100
80
91
90
60
-50
0
50
100
150
-50
0
周囲温度 [ºC]
スイッチング電流制限 [mA]
スイッチング電流制限 [mA]
150
スイッチング電流制限 対 周囲温度
1200
VIN=12V
Ta=25ºC
1000
800
600
400
200
VIN=12V
VSHDN=2.3V
1000
800
600
400
200
0
0
0
-8-
100
周囲温度 [ºC]
スイッチング電流制限 vs.SHDN端子電圧
1200
50
1
2
SHDN端子電圧 [V]
3
-50
0
50
100
150
周囲温度 [ºC]
Ver.2016-02-22
NJW1933-T
特性例
出力ON抵抗 対 周囲温度
2.0
VIN=12V
1.8
出力ON抵抗 [Ω]
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
-50
0
50
100
150
周囲温度 [ºC]
SHDNバイアス電流 vs.SHDN端子電圧
250
SHDNバイアス電流 [μA]
VIN=12V
Ta=25ºC
200
150
100
50
0
0
10
40
消費電流1 対 入力電圧
3
消費電流2 対 入力電圧
3
VFB=1.1V
Ta=25ºC
VFB=1.3V
Ta=25ºC
2.5
消費電流2 [mA]
2.5
消費電流1 [mA]
20
30
SHDN端子電圧 [V]
2
1.5
1
0.5
2
1.5
1
0.5
0
0
0
Ver.2016-02-22
10
20
入力電圧 [V]
30
40
0
10
20
入力電圧 [V]
30
40
-9-
NJW1933
Application Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ 各ブロックの機能説明
1.スイッチングレギュレータ基本機能
● エラーアンプ部 (ER AMP)
エラーアンプ部の非反転入力は、1.245V±1.6%(Ta= 40 C to 105 C) の高精度基準電圧が接続されています。
アンプの反転入力(FB 端子)にコンバータの出力を入力することで、出力電圧 1.245V からのアプリケーション設計を
容易にできます。出力電圧を 1.245V 以上にする場合は、出力電圧を抵抗分割することで設定します。
アンプ部では、最適なフィードバックが内蔵されているため、最小限の外付け部品でアプリケーション回路を構成で
きます。
● PWM 比較器部 (PWM)、発振回路部 (OSC)
NJW1933 は、固定周波数のカレントモード制御方式で動作します。
発振回路は、500kHz (typ.)に設定されています(A バージョン)。
PWM 比較器部では、出力電圧とスロープ補償されたスイッチング電流のフィードバックにより、PWM 信号を出力
します。最大デューティー比は、94% (typ.)です。
表 1 NJW1933 の最小 ON 時間
NJW1933F1-AT
製品名
(fOSC =500kHz)
最小 ON 時間
100ns (typ.)
降圧回路の ON 時間は、下記式によって決まります。
ton
VOUT
s
VIN fOSC
VIN は入力電圧、VOUT は出力電圧を表します。ON 時間が tON-min 以下となる場合は、出力電圧を安定状態に保つために
デューティーの変動やパルススキップ動作を行う可能性があります。
● パワーMOSFET
内蔵されたパワーMOSFET のスイッチ動作によって、インダクタへ電力を供給します。過電流保護機能によって、
パワーMOSFET に流せる電流は、ILIM =0.8A (min.)に制限されます。降圧回路では、パワーMOSFET の OFF 時にイ
ンダクタ電流が外付けの回生ダイオードに流れて、順方向バイアス電圧を発生します。SW 端子は、VIN-SW 端子
間電圧で 45V まで許容されますが、ショットキーダイオードの順方向飽和電圧が十分に低いものを使用してください。
● 電源、GND 端子 (VIN, GND)
スイッチング動作に伴い、周波数に応じた電流が IC に流れます。電源ラインのインピーダンスが高いと電源供給が
不安定になり、IC の性能を十分に引き出せません。VIN 端子-GND 端子間の近傍にバイパスコンデンサを挿入し、
高周波インピーダンスを下げてください。
- 10 -
Ver.2016-02-22
NJW1933 Application
Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ 各ブロックの機能説明
2.保護機能、付加機能
● 低電圧誤動作防止(UVLO)回路
電源電圧が低い場合、UVLO 回路によって動作を停止し、電源電圧 4.35V (typ.)以上で UVLO 回路が解除されて IC の
動作が開始します。電源電圧の立ち上がりと立ち下がりに 100mV (typ.)のヒステリシス電圧幅を持たせています。こ
れにより、UVLO の解除と動作のばたつきを防止し、NJW1933 を安定して動作させます。
● ソフトスタート機能
NJW1933 は SHDN 端子を使ってソフトスタート動作させることにより、起動時に発生する突入電流を低減すること
ができます。RC フィルタを SHDN 端子に接続することで、個々のアプリケーションごとにソフトスタート動作を調
整できます。SHDN 端子に印加される電圧に応じてスイッチング電流制限 ILIM が変調され、2.3V 印加時にスイッチン
グ電流制限 ILIM は最大値となります。(特性例:スイッチング電流制限 vs.SHDN 端子電圧特性を参照)
これによって、出力電圧の立ち上がり時間と起動時の突入電流を制御します。
SHDN 端子電圧が 2.3V に達したとき 20 A 以上を供給できるような RC フィルタの抵抗値を選択する必要がありま
す。
Ver.2016-02-22
- 11 -
NJW1933
Application Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ 各ブロックの機能説明(続き)
● 過電流保護機能 (OCP)
NJW1933 は過電流保護機能を内蔵しており、過負荷時の発熱を低減するとともに、過電流の異常状態から回復にと
もない、スイッチングレギュレータの出力電圧を自動的に復帰させることができます。
内蔵のパワーMOSFET に ILIM 以上の電流が流れると、過電流保護機能によってパワーMOSFET を OFF にし、次の周
期でスイッチング動作を復帰します。
FB 端子電圧が低下すると、NJW1933 の動作発振周波数が低下します。この周波数フォールドバック特性により最小
ON デューティーが低下し、過負荷時の出力電流を制御することができます。
FB pin
Voltage
1.245V
0V
ON
SW pin
OFF
Switching
Current
ILIM
0
パルス・バイ・パルス
定常状態
周波数フォールドバック
過負荷状態
定常状態
図 1 過電流保護動作時のタイミングチャート
● サーマルシャットダウン機能 (TSD)
サーマルシャットダウン機能は、NJW1933 のチップ温度が 175 C*を超えると機能して SW 動作を停止します。
チップ温度が 145 C *以下になると、ソフトスタートによる SW 動作が再始動されます。
なおサーマルシャットダウン機能は、高温時における IC の熱暴走を防止するための予備回路であり、不適切な熱設
計を補うためでは有りません。IC のジャンクション温度( +150 C)範囲内で動作させるように、十分な余裕を満た
すことをお奨めします。
(* 参考値)
● スタンバイ機能
SHDN 端子を 0.3V (max.)以下にすることで NJW1933 の機能を停止させスタンバイ状態にします。
SHDN 端子オープン時はスタンバイモードに移行します。
スタンバイ機能を使用しない場合は、SHDN 端子を VIN に接続してください。
- 12 -
Ver.2016-02-22
NJW1933 Application
Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ アプリケーション情報
● インダクタ
インダクタには大電流が流れるため、飽和しない電流能力を持たせる必要があります。NJW1933 では位相補償が内
蔵されており、最適な L 値は、入力電圧と出力電圧によって決まります。
L 値を大きくする場合は、出力コンデンサの容量を大きくし、アプリケーションの安定性を確保する必要があります。
L の最小値は、ON デューティーが 50%を超える場合、下記計算式より制限されます。
VIN
L
2 D ON
0 .4
1
[ H]
L 値が小さくなると、出力電流に対するピーク電流が大きくなり、変換効率が低下しやすくなります。
(図 2)
また過電流リミットに掛かりやすくなるため、出力電流が制限される点に注意しなければいけません。
ピーク電流は、下記式によって求められます。
IL
Ipk
VIN VOUT VOUT
[A]
L VIN f OSC
IOUT
IL
[A]
2
アプリケーションの仕様、部品等によって最適な値は異なりますので、最終的には実機で微調整を行ってください。
Current
Peak Current IPK
Indunctor
Ripple Current IL
Peak Current IPK
Output Current
IOUT
Indunctor
Ripple Current IL
0
tON
tOFF
L 値が小さいとき
tON
tOFF
L 値が大きいとき
図 2 インダクタ電流の状態(電流連続モード動作時)
Ver.2016-02-22
- 13 -
NJW1933
Application Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ アプリケーション情報(続き)
● 入力コンデンサ
スイッチングレギュレータの入力部には、周波数に応じた過渡的な電流が流れます。電源回路に供給される電源イン
ピーダンスが大きいと入力電圧の変動につながり、NJW1933 の性能を十分に引き出せません。よって入力コンデン
サは、できる限り IC の近くに挿入してください。
NJW1933 の入力コンデンサには、セラミックコンデンサが適しており、リップル電流を容易に満たすことが出来ま
す。入力実効電流は、下記計算式で表せます。
IRMS
IOUT
VOUT
VIN
VIN
VOUT
[ A]
上記計算式は、VIN=2×VOUT 時が最大になり、その時の結果は、IRMS=IOUT(MAX)÷2 です。
入力コンデンサの選定は、アプリケーションで評価の上、十分なマージンを持った物をご使用ください。
● 出力コンデンサ
出力コンデンサは、インダクタンスからの電力を蓄え、出力への供給電圧を安定させる役割をします。
NJW1933 は、低 ESR の出力コンデンサが使用できるように位相補償を設定しており、セラミックコンデンサが最適
です。表 2 に出力コンデンサの設定例を示します。
表 2 コンデンサの設定例
入力電圧
出力電圧
VIN
VOUT
3.3V
12V
5.0V
8.0V
3.3V
24V
5.0V
8.0V
インダクタ
L
22 H
22 H
22 H
22 H
33 H
47 H
コンデンサ
COUT
22 F 2 / 6.3V
47 F / 6.3V
22 F/ 25V
22 F 2 / 6.3V
47 F / 6.3V
22 F/ 25V
部品例
GRM31CB30J226ME18: Murata
GRM31CB30J476KE18: Murata
GRM32EB31E226KE15: Murata
GRM31CB30J226ME18: Murata
GRM31CB30J476KE18: Murata
GRM32EB31E226KE15: Murata
コンデンサの容量は、表 2 よりも大きな容量をご検討ください。
セラミックコンデンサは、DC 電圧印加や温度変化によって容量が低下するため、スペックシート等で特性を確認し
てください。
出力コンデンサの選定には、ESR(等価直列抵抗:Equivalent Series Resistance)の特性、リップル電流、耐圧を考慮
に入れる必要が有ります。
低 ESR タイプのコンデンサであれば、リップル電圧を下げることが出来ます。
出力リップル電圧は、下記計算式で表せます。
Vripple (p
p)
ESR
IL [ V ]
コンデンサに流れるリップル電流の実効値(Irms)は、下記計算式で表せます。
Irms
- 14 -
IL
2 3
[ Arms ]
Ver.2016-02-22
NJW1933 Application
Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ アプリケーション情報(続き)
● キャッチ・ダイオード
パワーMOSFET が OFF サイクルの時は、インダクタに蓄えられた電力がキャッチ・ダイオードを経由して出力コン
デンサに流れます。そのためダイオードにはサイクル毎に、負荷電流に応じた電流が流れます。ダイオードの順方向
飽和電圧と電流の積が電力損失となるため、順方向飽和電圧の低い SBD (Schottky Barrier Diode)が最適です。
また SBD は、逆回復時間が短い特徴を併せて持っています。逆回復時間が長くなると、スイッチングトランジスタ
が OFF から ON サイクルに移行した時、貫通電流が流れてしまいます。この電流によって効率の低下、ノイズの発
生等に影響を及ぼす可能性が有ります。
● 出力電圧設定抵抗、補償用コンデンサ
出力電圧 VOUT は、R1, R2 の抵抗比で決まります。R1, R2 に流れる電流は、Error AMP に流れるバイアス電流を無視
できるような値とします。
R2
1
R1
VOUT
VB [ V ]
R2 と並列に CFB を追加することで、ゼロ点(fZ1)が形成され、スイッチングレギュレータの位相余裕不足を改善するこ
とができます。
ゼロ点は、下記計算式で表せます。
f Z1
2
1
[Hz]
R2 C FB
fZ1 は、40k~70kHz 程度を目安に設定してください。
ただし、ESR の大きな電解コンデンサを使用する場合は注意が必要です。この ESR と COUT により形成されるゼロ
点が fZ1 と同様の働きをもつため、この場合、fZ1 を新たに追加する必要はありません。
Ver.2016-02-22
- 15 -
NJW1933
Application Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ アプリケーション情報(続き)
● 基板レイアウト
スイッチングレギュレータは、インダクタの充放電によって出力へ電力供給を行います。発振周波数に応じて電流が
流れるため、基板のレイアウトは重要な項目です。大電流の流れるラインは太く、短くし、ループ面積を最小限にし
てください。図 3 に降圧回路における電流ループを示します。
特にスイッチングにおける高速な電流変化を伴う CIN-SW-SBD 間は、最優先でループを構成します。
寄生インダクタによって発生するスパイクノイズを低減するのに効果的です。
NJW1933
内蔵 SW
V IN
CIN
NJW1933
内蔵 SW
L
SBD
COUT
V IN
CIN
(a) 降圧回路 SW ON 状態
L
SBD
COUT
(b) 降圧回路 SW OFF 状態
図 3 降圧回路における電流ループ
GND ラインは、パワー系と信号系を分離した上で1点アースをとるのが望ましい接続です。
また電圧検出のフィードバックラインは、できるだけインダクタンスから離します。本ラインはインピーダンスが高
いため、インダクタンスからの漏れ磁束でノイズの影響を避けるように配線します。
図 4 に降圧回路での配線例、図 5 にレイアウト例を示します。
L
VIN
VIN
VOUT
SW
CIN
SBD
COUT
RL(負荷)
(バイパス用)
NJW1933
CFB
FB
R2
GND
信号系のGNDを
パワー系と分離する。
R1
負荷近傍で電圧を検出し、
電圧降下が負荷へ影響を与え
ないように配慮する。
ICのインピーダンスが高いため、
電圧検出抵抗 R1,R2はできるだけ
ICの近くに配置する。
図 4 降圧回路での配線例
- 16 -
Ver.2016-02-22
NJW1933 Application
Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ アプリケーション情報(続き)
裏面にてパワー系 GND と信号系 GND を接続
図 5 レイアウト例(上面パターン)
Ver.2016-02-22
- 17 -
NJW1933
Application Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ 損失の計算
降圧回路の損失の多くは、スイッチ動作を行う NJW1933 のパワーMOSFET によって発生します。そのため下記式を
目安に NJW1933 の損失として考えます。
入力電力
:PIN = VIN IIN [W]
出力電力
:POUT = VOUT IOUT [W]
ダイオードの損失
:PDIODE = VF IL(avg) OFF duty [W]
NJW1933 の消費電力 :PLOSS = PIN POUT PDIODE [W]
ただし、
VIN
VOUT
VF
OFF duty
:コンバータの入力電圧
:コンバータの出力電圧
:ダイオードの順方向飽和電圧
:スイッチ OFF 時間
IIN
IOUT
IL(avg)
:コンバータの入力電流
:コンバータの出力電流
:インダクタ平均電流
変換効率 は、下記式によって求められます。
= (POUT PIN) 100 [%]
求めた消費電力 PD に対して温度ディレーティングを考慮します。
「Power Dissipation vs. Ambient Temperature」特性例を参考に、定格内に収まるか確認してください。
- 18 -
Ver.2016-02-22
NJW1933 Application
Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ アプリケーション設計例
● 降圧アプリケーション仕様
IC
:NJW1933F1-AT
入力電圧
:VIN=12V
出力電圧
:VOUT=3.3V
出力電流
:IOUT=0.6A
発振周波数
:fosc=500kHz
VIN
VIN
NJW1933
VSHDN
SHDN
L
SW
VOUT
FB
GND
R2
CIN
記号
IC
L
SBD
CIN1
COUT
R1
R2
Ver.2016-02-22
数量
1
1
1
1
1
1
1
部品番号
NJW1933F1-AT
CDRH6D28NP-220NC
MBRM140T3G
GRM31CB31H225KA87
GRM32EB31C476ME15
3.3k
5.6k
R1
SBD
COUT
概要
0.6A MOSFET 内蔵 SW.REG. IC
Inductor 22 H, 1.2A
Schottky Diode 40V, 1A
Ceramic Capacitor 3216 2.2 F, 50V, B
Ceramic Capacitor 3225 47 F, 16V, B
Resistor 1608 3.3k , 1%, 0.1W
Resistor 1608 5.6k , 1%, 0.1W
メーカー
New JRC
Sumida
ON Semiconductor
Murata
Murata
Std.
Std.
- 19 -
NJW1933
Application Manual
NJW1933-T
技 術 資 料
■ アプリケーション設計例
● 降圧アプリケーション仕様
IC
:NJW1933F1-AT
入力電圧
:VIN=12V
出力電圧
:VOUT=5V
出力電流
:IOUT=0.6A
発振周波数
:fosc=500kHz
VIN
VIN
NJW1933
VSHDN
SHDN
L
SW
VOUT
FB
GND
R2
CIN
記号
IC
L
数量
1
1
SBD
R1
COUT
部品番号
NJW1933F1-AT
CDRH6D28NP-220NC
概要
0.6A MOSFET 内蔵 SW.REG. IC
Inductor 22 H, 1.2A
SBD
1
MBRM140T3G
Schottky Diode 40V, 1A
CIN1
COUT
R1
R2
1
1
1
1
GRM31CB31H225KA87
GRM32EB31C476ME15
3.9k
12k
Ceramic Capacitor 3216 2.2 F, 50V, B
Ceramic Capacitor 3225 47 F, 16V, B
Resistor 1608 3.9k , 1%, 0.1W
Resistor 1608 12k , 1%, 0.1W
- 20 -
メーカー
New JRC
Sumida
ON
Semiconductor
Murata
Murata
Std.
Std.
Ver.2016-02-22
NJW1933-T
PACKAGE OUT LINE
SOT-23-6-1
NOTES
All linear dimensions are in millimeters.
This drawing is subject to change without notice.
<注意事項>
このデータシートの掲載内容の正確さには
万全を期しておりますが、掲載内容について
何らかの法的な保証を行うものではありませ
ん。とくに応用回路については、製品の代表
的な応用例を説明するためのものです。また、
工業所有権その他の権利の実施権の許諾を伴
うものではなく、第三者の権利を侵害しない
ことを保証するものでもありません。
本データシートに記載されている商標は、各社
に帰属します
Ver.2016-02-22
- 21 -