Application Note 11 フルカラーLEDの白色発光について 1.概要 日亜化学工業では、フルカラーLEDをラインナップしています。 フルカラーLEDは、赤(Red) ・緑(Green) ・青(Blue)の3素子を搭載しており、これらRG Bの素子を同時に点灯させることによって様々な色を発光させることができます。 本書では、日亜化学工業製フルカラーLEDを用いて白色を発光させる方法を説明します。 CIE 1931 Chromaticity Diagram 2.色再現性 0.9 NTSC 0.8 LED ダでのビデオ信号方式です。 三角で囲まれている部分が色再現域となります。 0.7 したがって、この領域が広いほど、豊かな色再現 が可能となります。 0.6 カラーテレビ y coordinate Light Emitting Diode 図1はカラーテレビの色再現とLEDの色再現を 表したものです。NTSCとは日本・米国・カナ 0.5 カラーテレビよりもLEDによる表現の方がより NTSCに近く、ビデオ信号の能力を十分に引き 0.4 出せるといえます。 0.3 0.2 3.ホワイトバランス フルカラーLEDで白色発光を得ようとするとき、 0.1 それぞれの色の発光量によって、赤っぽい白にな ったり青っぽい白になったりします。そこで、R 0 0 GB各色の発光具合を調節して白色に近づける必 要があります。これをホワイトバランスといいま 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 x coordinate 0.6 0.7 図1 カラーテレビ(NTSC方式)とLEDの色再現域 す。RGBそれぞれの色度にもよりますが、 (x=0.33、y=0.33)付近の白を得る にはR:G:Bの光度比を、おおむね3:7:1にすればよいと言われています。 4.フルカラーLEDの白色発光 図2はNECM325Cの初期電気/光学特性を示したものです。 項目 記号 条件 Blue Green Red 単位 最小 標準 最大 最小 標準 最大 最小 標準 最大 順電圧 VF 逆電流 IR 光度 IV B,G IF=10[mA] R IF=20[mA] VR=5[V] B,G IF=10[mA] R IF=20[mA] 0.8 - 3.6 4.0 - 3.5 4.0 - 1.9 2.4 V - - 50 - - 50 - - 50 μA 52 72 144 215 300 600 92 125 260 mcd 図2 NECM325Cの初期電気/光学特性 仮にRの光度を125mcdとすると、R:G:B=3:7:1にするためには、 G=125×7/3=291.6[mcd] Information in this document is tentative and subject to change without notice for improvement. 1/2 (STS-KSE4255) April 15, 2004 Application Note 22 B=125×1/3=41.6[mcd] としなければなりません。 3.5 したがって、このLEDを白色に発光させようとすると き、RGBの光度をそれぞれ、125mcd、 Redが125mcdのときの電流値は図2の特性表よ り20mAです。 Gleenについて、300mcdを1とすると 2.5 2.0 1.5 Blue 1.0 Gleen 0.5 291mcdは、 291÷300=0.97[倍] Red 0.0 よって300mcdを1としたときの相対光度は 0.97倍。これを図3のグラフで見ると、このときの 電流値はおよそ9.8mAとなります。 同じようにBlueの電流値を求めると、 0 10 20 30 If (mA) 40 50 60 図3 NECM325Cの順電流-相対光度 特性 およそ4.8mAとなります。 70 60 フルカラーLEDを使用するにあたっては、トータルの 損失を許容損失内におさめなければなりません。 図4はNECM325Cの周囲温度と許容損失を示した ものです。 消費電力PD[mW]はIF[mA]×VFで求められま す。 許容損失 (mW) Light Emitting Diode 3.0 相対光度 (a.u.) 291mcd、41mcdにすればよいということがわ かります。 50 40 30 20 10 0 0 20 40 60 周囲温度 (℃) 80 100 図4 NECM325Cの周囲温度−許容損失特性 よって、先ほどの例の場合では、 PD[mW]=20[mA]×1.9[V]+9.8[mA]×3.5[V]+4.8[mA]×3.6[V] =89.58[mW] となり、これを図4で確認すると、各温度で許容損失を超えていることがわかります。 したがって、このままでは使用することができず、各素子に流す電流値をもっと下げる必要があることがわか ります。 仮にRの光度を60mcdとして、G、Bの必要光度を計算すると、G=140mcd、B=20mcdです。 このときの各素子に流れる電流値は図3より、およそ、Rが11mA、Gが3.5mA、Bが1.8mAとな ります。 このときの許容損失は、 PD[mW]=11[mA]×1.9[V]+3.5[mA]×3.5[V]+1.8[mA]×3.6[V] =39.63[mW] となり、これを図4で確認すると、周囲温度65℃くらいまでならば使用可能であることがわかります。 また、この計算は光度及び電圧をTyp.として考えたので、必要に応じてマージンをとり、各色の電流を若 干少なめに設定することをお奨めします。 Information in this document is tentative and subject to change without notice for improvement. 2/2 (STS-KSE4255) April 15, 2004