1-1 リチウム電池の概要と種類 第 1 章 リチウム電池の概要 当社は、 1971年世界に先駆けて、民生用リチウム電池の開発・量産を開始して以来、円筒形・コイン形・ピン形 といった各種形状、サイズのリチウム電池、 さらには、充電可能なコイン形リチウム二次電池を商品化してまい りました。 そして、現在のリチウム電池は35mmカメラをはじめとする強放電分野から、電子ウォッチなどの超微弱放電分 野へ、 さらには長期にわたる信頼性が要求されるICメモリーバックアップ用電源の分野まで、従来の電池では 不可能であった新たな分野を次々と開拓し、多様化するエレクトロニクス分野のニーズにお応えしております。 当社は、 リチウム電池には欠かすことのできない各種安全性・耐環境諸特性についての綿密な試験を繰り返 し行い、短期間の加速試験ではつかみきれない経年変化を各種実証データで証明しております。 その結果、ア メリカの安全規格ULにも承認され、その高信頼性・安全性は広く世界で認識されています。 リ チ ウ ム 電 池 全 般 リチウム電池の種類 フッ化黒鉛リチウム電池(BR系) 円筒形 二酸化マンガンリチウム電池 (CR系) リチウム一次電池 (充電不可能) フッ化黒鉛リチウム電池(BR系) コイン形 二酸化マンガンリチウム電池 (CR系) ピン形 リチウム電池 フッ化黒鉛リチウム電池(BR系) バナジウムリチウム二次電池 (VL系) リチウム二次電池 (充電式) マンガンリチウム二次電池 (ML系) コイン形 ニオブリチウム二次電池(NBL系) チタンリチウム二次電池(MT系) 2 1-2 リチウム電池の全般的な特長 第 1 章 ■高電圧 エネルギー密度が高く、約3V(一部、例外あり) と高電圧の リチウム電池は、小型化傾向にある各種機器に最適です。 従来2個または3個以上必要であった電池数を、 1個の電池 で置きかえることが可能です。右図は、C-MOS ICのデー タ保持電圧に必要な各電池系のセル数を示します。 3.0 C-MOS ICの データ保持に 必要な電圧 2.0 電 圧 ︵ V 1.0 ︶ 3V 0 1.55V リチウム 銀 1.5V マンガン リ チ ウ ム 電 池 全 般 1.2V ニカド ■自己劣化率が低く優れた貯蔵性 正極活物質に化学的に非常に安定した物質 (BR系…フッ 化黒鉛、CR系…二酸化マンガン) を使用していますので、 貯蔵条件によっては10年間貯蔵後も90%以上の残存容量 を確保しています。 貯蔵温度: 室温 BR-C (円筒形) 100 容 量 残 存 率 ︵ % ︶ BR2325 (コイン形) 90 80 0 5 10 貯蔵年数(年) ■長期間放電 BR2325 低負荷放電において、各温度とも長期間放電が確認され ています。 3.5 負荷: 2.2M 45˚C 3.0 2.5 20˚C 電 2.0 圧 1.5 ︵ V 1.0 ︶ (1.3µA) -10˚C 0.5 0 0 0 500 1 1000 2 1500 2500 2000 4 3 5 6 7 3000 (日) 8 (年) 持続時間 BR-C 45˚C 20˚C 負荷: 30K 0˚C ( 97µA) 3.0 電 2.5 圧 ︵ 2.0 V ︶ 1.5 1.0 0 500 1 2 1000 3 1500 4 持続時間 2000 5 6 2500 (日) 7 (年) <お願いと注意事項> 本書類に記載の数値は保証値ではありません。 3 第 1 章 リ チ ウ ム 電 池 全 般 ■優れた耐漏液性 試 耐漏液性の評価項目 クリーピング性の小さい有機電解液を使用していますの で、水溶液系の電解液を使用している他の電池系に比べ、 環境変化に対しても格段にすぐれた耐漏液性を有し、高 温・多湿 (45℃・90%RH、60℃・90%RH) はもちろん、 もっと も過酷とされる熱衝撃においても安定した特性が得られま す。 験 条 件 高温貯蔵 60°C 高温多湿 貯 蔵 45°C・90%RH 60°C・90%RH 60˚C 温 度 サイクル 1h 1h 1h -10˚C 1h 60˚C 熱衝撃 (ヒートショック) -10˚C 1h 1h 各種耐漏液性の試験結果 条件 試 料 貯蔵 60℃ 1ヵ月 3ヵ月 BR2325 BR-2/3A ○ ○ ○ ○ 45℃・90% 1ヵ月 3ヵ月 ○ ○ 60℃・90% 1ヵ月 3ヵ月 ○ ○ ○ ○ 温度サイクル 60サイクル ○ ○ 熱衝撃 120サイクル ○ ○ ○ ○ BR2325 高抵抗放電における作動電圧 ■広い使用温度範囲 ○有機電解液を使用していますので、水溶液系の電解液 を使用している他の電池系に比べて凝固点が非常に低く、 低温領域から高温領域まで作動可能です。 ○耐高温BR系は、ガスケット、セパレータの材料を従来の ポリオレフィン系樹脂から特殊エンジニアリングプラス チックへ変更したのに加え、高沸点電解液の採用により使 用温度範囲が大幅に広がりました。 負荷: 2.2M 80˚C (1.3µA) 3.0 電 2.5 圧 2.0 ︵ 1.5 V ︶ -30˚C -10˚C 45˚C 20˚C 0˚C 60˚C 1.0 ~ ~ 0 1000 2000 3000 4000 5000 持続時間(h) BR-2/3A 放電電流と作動電圧 ■高い安全性 活物質に安定した材料を使用しており、 また構造上も安全 設計となっており、各種安全性テストを繰り返し実施した結 果からも高い安全性が確認されています。 その結果、当社リ チウム電池はUL (Underwriters Laboratories Inc) の安全 規格(UL1642)認定を受けています。 3.2 60 2.8 作 動 電 圧 ︵ V ︶ 放電持続時間 50%の 時点における電圧 85 3.0 45 2.6 2.4 20 2.2 0 2.0 -20 1.8 1.6 10 A 100 A 1mA -40 10mA 100mA 放電電流 ショート時の電池表面温度 BR2325 耐充電特性 (10V定電圧充電) 200 12 電池電圧 電 流 ︵ mA ︶ 10 150 電 圧 ︵ V ︶ BR-2/3A 電 池 温 度 100 ︵ ℃ ︶ 8 6 温 度 ︵ ℃ ︶ 300 40 電池温度 4 200 30 100 20 2 電流 0 50 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 0 時 間(h) BR2325 0 0 2 4 6 8 10 ショート時間 (min) <お願いと注意事項> 本書類に記載の数値は保証値ではありません。 4