オルカ-フラッシュ V2 R デジタルCMOSカメラ C11440-22CU 技術資料 《2015年 9月版》 1. はじめに 2. 科学計測用CMOSイメージセンサと ORCA-Flash4.0 V2の基本特性 2.1. 2.2. 2.3. 2.4. 2.5. 科学計測用CMOSイメージセンサの構造 量子効率 ARコート リニアリティ(直線性) 読み出しノイズ P3 6. 仕様 P3 6.1. 6.2. 6.3. 6.4. P12 カメラ性能 動作周囲温度・湿度 安全規格・適用規格 外形寸法図 P4 7. 科学計測用CMOSとEM-CCDのS/N P13 7.1. S/Nの計算式 P5 7.1.1. 入力信号 2.5.1. 読み出しノイズとは 7.1.2. ノイズ 2.5.2. 科学計測用CMOSイメージセンサにおける 7.1.3. S/N 7.1.4. EM-CCDのExcessノイズについて 読み出しノイズの低減手法 7.2. S/Nの比較 2.5.3. 読み出しノイズの測定法 2.5.4. ORCA-Flash4.0 V2の読み出しノイズ性能 7.2.1. 科学計測用CMOS VS EM-CCD 背景光がない場合 2.6. ダイナミックレンジ 2.7. 暗電流と冷却構造 2.8. 高画質(固定パターンノイズなし) 2.9. リアルタイム画素補正機能 2.10. 画素数・画素サイズ 2.11. ローリングシャッタ/グローバルシャッタ 2.12. フレームレート(読み出し速度) 2.13. 読み出しモード 7.2.2. 科学計測用CMOS VS EM-CCD 背景光がある場合 P14 7.2.3. 微弱光領域での科学計測用CMOS と EM-CCD の比較結果 P6 8. 各種タイミングチャート P15 8.1. タイミングチャートの説明 8.2. ノーマルエリアモード P7 8.2.1. 内部同期モード 8.2.1.1. ノーマル読み出しモード 8.2.1.2. 電子シャッタモード 3. ORCA-Flash4.0 V2のノーマルエリアモード P7 3.1. 読み出し方式 3.1.1. 読み出しノイズの発生原因 8.2.2.2. エッジトリガモード(グローバルリセット) 3.1.2. スロースキャン 8.2.2.3. レベルトリガモード(ノーマルリセット) 3.1.4. ビニング読み出し 8.2.2.4. レベルトリガモード(グローバルリセット) P8 3.2. 撮影モード 3.2.2.1. エッジトリガモード P9 8.3.3. スタートトリガモード 3.2.5. グローバルリセット 8.4.1. グローバル露光タイミング出力 3.2.6. 外部トリガ遅延機能 8.4.2. プログラマブルタイミング出力 P10 3.3.2. プログラマブルタイミング出力 3.3.2.1. Read End 3.3.2.2. Vsync 3.3.3. トリガレディ出力 P10 4.1. ライトシートモード読み出し方式 4.2. ライトシートモード撮像モード P11 4.2.2. ライトシートエッジトリガモード 4.2.3. ライトシートスタートトリガモード 4.3. ライトシートモード外部トリガ出力信号 4.3.1. プログラマブルタイミング出力 4.3.1.1. Read End 4.3.1.2. Vsync 4.3.1.3. Hsync 4.3.2. Pre-Hsync 5.1. 出力・制御インターフェース 5.1.1. Camera Link インターフェース 5.1.2. USB 3.0 インターフェース 5.2. アプリケーションソフトウエアとドライバソフトウエア 8.4.3. Pre-HSync 8.4.4. トリガレディ出力 3.3.1. グローバル露光タイミング出力 5. コンピュータとの接続 8.3.2. エッジトリガモード 8.4. トリガ出力 3.2.4. スタートトリガモード 4.2.1. ライトシート内部同期モード P18 8.3.1. 内部同期モード 3.2.3. 読み出し同期トリガモード 4. ORCA-Flash4.0 V2のライトシートモード P17 8.2.2.7. スロースキャンモード 8.3. ライトシートモード 3.2.2. 外部トリガモード 3.3. 外部トリガ出力信号 8.2.2.5. 読み出し同期トリガモード 8.2.2.6. スタートトリガモード 3.2.1. 内部同期モード 3.2.2.2. レベルトリガモード P16 8.2.2.1. エッジトリガモード(ノーマルリセット) 3.1.3. サブアレイ読み出し 2 8.2.2. 外部トリガモード P11 P18 1 はじめに デジタルカメラORCAシリーズは、高性能・高品質を特長に科 学計測用カメラとしてご好評をいただいております。科学計測用 CMOSイメージセンサを採用したデジタルカメラORCAFlash2.8は、高解像度でありながら、高速読み出しと低ノイズ を同時に実現し、従来の科学計測用カメラに比べ、より広範囲な 分野での測定が可能となりました。 その後、最新技術により開発された科学計測用CMOSイメー ジセンサを採用し、高感度、高解像度、高速読み出し、低ノイズ をより高い次元で同時に実現したORCA-Flash4.0を開発。さら に、2013年にはORCA-Flash4.0に新しい機能を追加してバー ジョンアップしたORCA-Flash4.0 V2の発売を開始しました。 科学計測用CMOSイメージセンサは、従来のCMOSイメージ センサの常識を覆す優れた画質・性能を持ち、明視野から微弱な 蛍光まで幅広い光領域でのイメージングや計測に対応します。 この技術資料は、ORCA-Flash4.0 V2の特長を説明するのみ にとどまらず、科学計測用CMOSイメージセンサの基本的な技 術も紹介することでセンサの特性もご理解いただき、カメラを正 しく効果的にお使いいただくことを目的に書かれたものです。 2 科学計測用CMOSイメージセンサと ORCA-Flash4.0 V2の基本特性 この章では、科学計測用CMOSイメージセンサおよびORCAFlash4.0 V2における撮影性能等の基本特性や、そこで採用さ れている技術を紹介します。 2.1 科学計測用CMOSイメージセンサの構造 ここでは、科学計測用に使われているCCDイメージセンサと 科学計測用CMOSイメージセンサと同じ構造であるCMOSイメ ージセンサの構造の比較を紹介します。 CCDイメージセンサの画素は、フォトダイオードと電荷を貯 める容器から構成されます。入射した光は電荷に変換され、容器 に蓄積されます。電荷はバケツリレー方式で運ばれ、最後に電圧 に変換されて出力されます。(図1-1 参照) これに対して、CMOSイメージセンサの画素は、フォトダイ オードと電荷を電圧に変換するアンプから構成されます。入射し た光は電荷に変換され、画素内で電圧に変換されます。各画素の 電圧は、スイッチを順次切り替えることにより出力されます(図 1-2 参照) 図1-1 CCDイメージセンサの構造 フォトダイオード 容器 図1-2 CMOSイメージセンサの構造 フォトダイオード アンプ 図1 CCDイメージセンサとCMOSイメージセンサの構造 加えて、高速化のために、オンチップカラムアンプ・A/Dを 採用し、1信号の並列同時読み出しを行えます。これにより、低 ノイズでかつ高速な信号読み出しが可能です。 さらに、素子が上下で2分割されており、それぞれにオンチッ プカラムアンプ・A/Dを配置しています。このため、水平2ライ ンの同時読み出しが可能となり、さらなる高速化を実現していま す。尚、画像読み出しは、中心部の2ラインからスタートし、上 部は上端に、下部は下端に向かって行われます。 3 100 データ出力 90 80 CDS A/D CDS A/D A/D CDS A/D CDS CDS A/D CDS ORCA-Flash4.0 V2 A/D CDS 量子効率 (%) A/D 70 60 50 40 ORCA-Flash2.8 30 20 アンプ 10 0 400 フォトダイオード 600 500 700 800 900 1000 波 長 (nm) 図4 分光感度表 CDS CDS CDS CDS CDS CDS CDS A/D A/D A/D A/D A/D A/D A/D データ出力 図2 科学計測用CMOSイメージセンサ 内読み出し回路 2.3. ARコート ORCA-Flash4.0 V2の入力窓は、シングルウインドウで両面 ARコートが施され、波長450 nm∼750 nmで99 %以上の透 過率を実現しています。 100 99 2.2. 量子効率 科学計測用CMOSイメージセンサは、各画素にて入射する光 を電荷に変換し、信号として検出します。感度を決める重要な要 素として、この光を電荷に変換する効率すなわち量子効率があり ます。1画素内に複数のアンプが配置されていますので、光 - 電 荷変換を行うセンサ部は、画素の一部に限られています。そこで、 各画素にオンチップマイクロレンズを設置することにより、光の 利用効率を上げ、感度向上を実現しました。(図3 参照) 透過率(%) 98 97 96 95 94 93 92 91 90 350 400 450 500 550 600 650 700 750 800 850 波長(nm) 図5 ARコートの透過率特性 入射光 オンチップマイクロレンズ 2.4. リニアリティ(直線性) 信号を忠実に検出するためには、入出力特性の直線性が重要で す。ORCA-Flash4.0 V2では、画素に入射した光量と出力され る信号との直線性が確保されています。これは、科学計測用 CMOSイメージセンサの入出力特性が良好な直線性であること、 および最適設計された回路により実現されています。 センサ センサ 70000 図3 オンチップマイクロレンズの構造図 また、素子構造の最適化により、光の利用効率を上げ、従来の CMOSイメージセンサ(ORCA-Flash 2.8)に比べ感度の向上 を実現しました。(図4参照) 出力カウント値 60000 50000 40000 30000 20000 10000 0 0 0.2 0.4 0.6 入射光量(相対値) ※Y軸の入射光量は、Darkを引いた輝度を用いています。 図6 入出力特性 4 0.8 1 2.5. 読み出しノイズ 2.6. ダイナミックレンジ イメージセンサの検出限界を決定する主要因は、センサの暗電 流と読み出しノイズであり、これらの値はカメラの性能を決める 重要なパラメータです。 この2つのうち、暗電流はセンサを冷却することにより低減可 能な為、読み出しノイズが最も重要なパラメータとなります。 科学計測用カメラでは、通常ダイナミックレンジを、(飽和電 荷量)/(読み出しノイズ)にて表現します。したがって、読み 出しノイズと同等の光量をそのカメラで取り扱いができる最小の 光量と考えれば、ダイナミックレンジは、そのカメラが取り扱い のできる最大光量(=飽和電荷量)と最小光量(=読み出しノイ ズと同等の光量)の比率を意味する事になります。 ORCA-Flash4.0 V2は、飽和電荷量が30 000 electronsに 対して、読み出しノイズが1.0 electrons(スタンダードスキャ ン)、0.8 electrons(スロースキャン)です。このため、ダイ ナミックレンジは、30 000 : 1(スタンダードスキャン)、 37 000:1(スロースキャン)と非常に大きな値となっており、 これは従来のカメラで最もダイナミックレンジが大きいスロース キャンタイプの冷却CCDカメラと同等の値です。 また、ここで定義するダイナミックレンジは、従来のアナログ 出力カメラにおいて、S/Nとして表記されているパラメータと 同等の概念です。このため、下記計算式により、デジタルカメラ のダイナミックレンジとアナログ出力カメラのS/Nは変換が可 能です。 アナログカメラでのS/NをSNRa、デジタルカメラでのダイ ナミックレンジをDとすれば、 SNRa (dB) = 20×log D 例えば、ORCA-Flash4.0 V2のダイナミックレンジ 37 000: 1の場合には、下記の計算となります。 20×log(37 000) = 91.4 dB 2.5.1. 読み出しノイズとは 電荷を読み出す際に電荷電圧変換アンプ内で発生するランダム なノイズになります。 2.5.2. 科学計測用CMOSイメージセンサにおける読み出し ノイズの低減手法 最新のCMOS技術を採用した科学計測用CMOSイメージセン サは、画素アンプの最適化、高ゲイン化に加え、画素ごとのアン プのばらつきを大幅に低減しています。さらにセンサ上にCDS 回路を搭載する事で、劇的な低ノイズ化を図っています。 2.5.3. 読み出しノイズの測定法 CCDイメージセンサでは、読み出しアンプは1センサに1個で す。このため、各画素で複数回の読み出しを行うことにより測定 した読み出しノイズと、1枚の画像の複数画素から測定した読み 出しノイズは、基本的に等価です。このため、1枚の画像から読 み出しノイズ評価を行うことができます。 科学計測用CMOSイメージセンサでは、画素ごとにアンプが あるため、画素ごとに読み出しノイズが異なります。このため、 まず画素ごとに読み出しノイズの測定を行います。 ノイズの低い画素から高い画素に並べた時の中央の値を Medianといいます。平均値に比べ、最大値と最小値の影響を受 けない代表的なノイズ値を表します。rmsノイズは、平均値に対 する正負両方の誤差から算出します。画素ごとのノイズのばらつ きを統計的に表します。 2.5.4. ORCA-Flash4.0 V2の読み出しノイズ性能 図7は、ORCA-Flash4.0 V2の各画素における読み出しノイ ズの度数分布です。読み出しノイズが1.0 electrons(median)、 1.6 electrons(rms) と非常に小さな値の画素が大半をしめてい ることがお分かりいただけると思います。 これは従来の冷却CCDイメージセンサに比べて低い読み出し ノイズを実現しています。またこの値は、CCDイメージセンサ では実現できない400万画素で100フレーム/秒という高速読 み出しにおける性能です。 また、ノイズを低減するスロースキャンモードでは、読み出し ノイズ0.8 electrons(median)、1.4 electrons(rms)を実現 しています。 ※スロースキャンモードについては、後述します。 1200000 CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサにおける暗電流 は、センサの素材であるシリコンの熱に起因して発生する電荷で、 カメラの検出限界を決める要素の1つになっています。暗電流は 温度依存性があり、CCDイメージセンサやCMOSイメージセン サの温度が7 ℃∼8 ℃下がると約1/2に下がることが知られて います。したがって、冷却は暗電流を抑える非常に有効な手段と なります。暗電流はCCDイメージセンサ、CMOSイメージセン サのタイプにより異なりますが、科学計測用CMOSイメージセ ンサは、CCDイメージセンサと同様な埋め込み型フォトダイオ ードを実現し、低暗電流を実現しており、−30 ℃(水冷時)の 冷却温度でも十分な性能を発揮することができます。 そして、冷却を行わない場合と比較して、暗電流値が安定する ため、データの再現性が向上します。 ORCA-Flash4.0 V2は、暗電流を抑えるため、ペルチェ素子 を使用してイメージセンサを冷却しており、イメージセンサ 温度が−30 ℃(最大水冷時)で0.006 electrons/pixel/s、 −20 ℃(水冷時)で0.02 electrons/pixel/sと低い暗電流に 抑えられています。 この時、イメージセンサが直接大気に触れると大気中の水分が 結露することがあります。これを避けるため、センサを大気と隔 離した構造とし、その内部を乾燥窒素で充填しています。 Median:1.0 electrons 1000000 頻度 (画素数) 2.7. 暗電流と冷却構造 Median:0.8 electroms 800000 スロースキャンモード 600000 冷却方式 冷却温度 暗電流 (typ.) 空冷 (周囲温度 +20 ℃) −10 ℃ 0.06 electrons/pixel/s 水冷 (水温 +20 ℃) −20 ℃ 0.02 electrons/pixel/s 最大水冷 (水温 +15 ℃) −30 ℃ 0.006 electrons/pixel/s スタンダードスキャンモード 400000 RMS:1.4 electroms 200000 0 RMS:1.6 electrons 0 1 2 3 4 表1 冷却温度と暗電流 5 6 読み出しノイズ (electrons) 図7 ORCA-Flash4.0 V2 の読み出しノイズ分布 5 2.8. 高画質(固定パターンノイズなし) 2.10. 画素数・画素サイズ ORCA-Flash4.0 V2は、従来のCMOSイメージセンサで画 質を低下させる大きな要因となっていた固定パターンノイズの極 めて少ない高品位な画像を提供することができ、科学計測用とし て十分な高画質を実現しています。(図8 参照) 科学計測用CMOSイメージセンサは、6.5 μm×6.5 μmと 従来から広く使用されている2/3型・130万画素CCDイメージ センサと同程度の画素サイズです。画素数は3倍以上あるため、 2/3型・130万画素CCDイメージセンサより3倍以上広い視野 を観察可能です。(図9参照) ▲CCDイメージセンサ (2/3型、1.3M pixel) 第1世代 sCMOS (200×200) Electrons 1900 ▲ORCA-Flash4.0 V2 (科学計測用CMOSイメージセンサ) 1800 ※ 対象物上の1画素サイズを等しくした場合 1700 図9 CCDイメージセンサとORCA-Flash4.0 V2の視野比較 2.11. ローリングシャッタ/グローバルシャッタ ORCA-Flash4.0 V2 (200×200) CMOSイメージセンサの露光、読み出し方式は、大きく2つに 分類されます。ローリングシャッタとグローバルシャッタです。 ローリングシャッタは、1画素または1ラインを1単位として 露光・読み出しを順次行います。このため、1画面中で露光タイ ミングが異なります。(図10参照) 一方、グローバルシャッタは、全画素同時に露光、読み出しを 行うため、1画面中の露光タイミングは同時です。(図10参照) Electrons 2000 ローリングシャッタ 1900 1800 図8 ノイズの比較 2.9. リアルタイム画素補正機能 科学計測用CMOSイメージセンサでは、読み出しノイズが周 囲と比較して大きい画素がわずかながら存在します。このため、 ORCA-Flash4.0 V2は、読み出しノイズが大きな画素のデータ を周辺のデータにより置き換えを行うことにより、さらなる画質 向上を行うピクセルコレクション機能を備えています。この補正 は、カメラの出力速度に合わせてリアルタイムで実行され、補正 によりフレームレートを落とすことはありません。また、この機 能は、ON/OFF可能です。 ローリングシャッタ 露光時間:全ライン同じ(矢印長さ同じ) タイミング:順次時間差(矢印の位置異なる) グローバルシャッタ グローバルシャッタ 露光時間:全ライン同じ(矢印長さ同じ) タイミング:全ライン同じ(矢印の位置同じ) 図10 ローリングシャッタとグローバルシャッタの読み出しタイミング 6 3 ORCA-Flash4.0 V2のノーマルエリアモード ローリングシャッタとグローバルシャッタを比較した場合、 ローリングシャッタ使用時は、グローバルシャッタ使用時に比 べ読み出しノイズ、暗電流が低く抑えられています。顕微鏡下 の蛍光画像等光量が少ない暗い画像の取り込みを行う場合、読 み出しノイズ、暗電流特性に優れていることが重要なため、 ORCA-Flash4.0 V2では、ローリングシャッタを採用していま す。さらに、ローリングシャッタは、残像特性、スミア特性に も優れています。 また、ローリングシャッタでは、1画面中の露光タイミングが 異なりますが、対象物が動いていたとしても、多くの場合、実 測定にはほとんど影響がありません。(図11参照) この章では、ORCA-Flash4.0 V2のノーマルエリアモードを紹 介します。 3.1. 読み出し方式 ORCA-Flash4.0 V2にはさまざまな読み出し方式があります。 読み出しスピードをスタンダードスキャンとスロースキャンの2 種類から選択でき、それぞれのスキャンモードでサブアレイ読み 出しとビニング読み出しを組み合わせて使用することができます。 3.1.1. スタンダードスキャン ノーマルエリアモードでは、センサの真ん中から上部は上端に、 下部は下端に向かう方向で読み出しが行われ、イメージセンサか らの読み出しを、全画素対象に順次行います。 3.1.2. スロースキャン スロースキャンモードは、水平1ラインの読み出し時間を延ば してノイズを軽減することが出来ます。スピードを必要とせず、 ノイズを下げて使用する場合に有効なモードになります。コマン ドによりスタンダードスキャンモード(初期設定)からスロース キャンモードに切り替えることができます。 ▲グローバルシャッタ ▲ローリングシャッタ ・フレームレート 100フレーム/秒 ・被写体移動速度 30 %/s(移動方向 左→右) ・対象物 視野幅の50 %サイズの四角 ローリングシャッタの場合、1画面中で露光タイミングが異なります。 このため、移動物体を撮像する場合、取り込んだ画像が変形したよう に見える場合があります。ここでは、移動する物体を撮像した場合、 実際にどのような画像となるかをシミュレートしています。 移動している物体を撮像した場合、露光時間での移動が画素をまた がっていると画像ボケとなります。この例の条件では、2枚の画像の 差異は見られず、ローリングシャッタの影響は非常に小さく、測定に 影響を及ぼすことはありません。 図11 グローバルシャッタとローリングシャッタのボケ量 2.12. フレームレート(読み出し速度) フレームレート(読み出し速度)は、連続して画像を映し出す 時に1秒間あたりに映し出せる映像枚数のことをいい、通常フレ ーム/秒(またはfps)で表します。撮像の時間分解能や動く被 写体に対してブレなく撮像ができるかは、このフレームレートの 値で決まり、カメラの選択にあたっては重要な項目の一つです。 科学計測用CMOSイメージセンサでは、カラムA/Dによる2 ライン並列同時読み出しにより、1.0 electrons(median)、 1.6 electorons(rms)という低ノイズと100フレーム/秒の高 フレームレート(2048×2048画素時)を両立しています。 2.13. 読み出しモード ORCA-Flash4.0 V2の読み出しモードには、大きく分けてノ ーマルエリアモードとライトシートモードの2つがあります。各 モードの詳細については、後述します。 3.1.3. サブアレイ読み出し サブアレイ読み出しは、全有効画素の中から任意のエリアを選 択し、選択部分の信号のみを読み出す機能です。この機能を用い ることにより、1フレームの読み出し時間が短くでき、フレーム レートを上げることができます。CCDイメージセンサでは、選 択部分以外のエリアは電荷を順次転送して捨てる必要があり、高 速化には限界がありますが、科学計測用CMOSイメージセンサは、 必要なエリアのみを読みだすことが可能です。このため、画素数 の減少に反比例してフレームレートは向上します。 ORCA-Flash4.0 V2は、サブアレイ読み出し機能により、最 速25 600 フレーム/秒までの高速読み出しが可能です。サブア レイ読み出しでは、読み出し画素数は少なくなりますが、読み出 しノイズには悪影響を与えることなく、高速化が可能です。 (表2 参照) 設定可能エリアは、画面中央部を中心とした上下対称の2ヶ所 です。対象エリアが1ヶ所でよい場合には、画面中央部を設定す ることにより、最も高速に読み出しが可能です。 また、設定可能な位置・サイズは、4ライン単位です。 水平方向画素数 スタンダード 垂直方向画素数 スキャン スロー スキャン 2048 2048 1024 512 256 128 64 8 100 200 400 801 1603 3206 25 655 30 60 120 240 481 962 7696 USB 3.0 512 1024 / 1536 / 2048 100 200 400 801 1603 3206 25 655 30 60 120 240 481 968 7894 表2 読み出し方式と画素数・読み出し速度 7 3.1.4. ビニング読み出し 3.2.1. 内部同期モード ビニングは、隣り合う画素の信号を加算して、解像度と引き替 えに高感度を実現する方法です。ビニングを行うことにより、暗 い画像を撮像する際に、フレームレートを落とすことなくS/N を向上させることができます。 ORCA-Flash4.0 V2は、2×2または 4×4ビニングが可能 です。2×2ビニングを行った場合、1画素あたりの信号量は4 倍となり、出力画素数は1024×1024画素になります。 なお、ORCA-Flash4.0 V2では、カメラ内でデジタル処理(デ ジタルビニング)しています。ビニング機能を使用することによ り、S/Nを改善することができます。 2×2ビニング時には、S/Nが2倍に改善され、4×4ビニング時 には、S/Nを4倍にすることができます。 外部機器と連携しない場合、またはカメラが主体となり露光を 行う場合に使用します。内部同期モードでは、100 フレーム/ 秒(全画素読み出し時)とTV放送レートを上回るフレームレー トで動作可能で観察、視野調整、動画撮影に向いています。また、 対象物が暗い場合には、露光時間を長くして信号量を増やし、 S/Nを上げて撮像することも可能です。このモードでは、読み 出し速度は露光時間に依存し、読み出し速度=1/露光時間 と なります。なお、最大露光時間は10秒です。 垂直方向画素数 ビニング 2×2、4×4 Camera Link スタンダードスキャン スロースキャン 2048 1024 512 256 128 64 8 100 200 400 801 1603 3206 25 655 30 60 120 240 481 962 7696 USB 3.0 30 60 120 240 481 968 7894 ※ 読み出し速度は、画面中央部を測定した場合 (フレーム/秒) 3.2.2. 外部トリガモード 外部トリガモードは、外部機器からのトリガ信号に同期して、 露光を行いたい場合に使用します。また、エッジトリガモードと レベルトリガモードの2種類の方法で外部からの信号により、露 光のタイミングを制御できます。 3.2.2.1. エッジトリガモード エッジトリガモードは、外部からのトリガ信号の立ち上がり/ 立ち下りエッジ(コマンドによって立ち上がりと立下りの切り替 えができます。)に同期して、露光を開始したい場合に使用します。 露光時間はコマンドにてカメラに設定します。 《応用例:広視野撮像》 測定対象物全体が大きくかつ分解能が必要な場合、複数回の撮像が必要 となります。XYステージにて対象物を動かし、目的の場所でステージを 表3 ビニング読み出し方式の読み出し速度 止めたところでカメラにトリガを入力し、画像取り込みを行います。これ を繰り返すことにより、目的の対象物全体の画像を得ることが可能です。 3.2. 撮影モード ORCA-Flash4.0 V2は、幅広い用途で最適イメージングを実 現するために周辺機器とカメラとの撮像タイミングを管理する各 種の外部同期機能やタイミング出力を備えています。撮影モード として、カメラ単体で動作する内部同期モードと外部トリガによ り露光タイミングを決める外部トリガモードを備えています。 詳細なタイミングについては、後述の「タイミングチャート」 の項を参照ください。 ノーマルエリアモード カメラヘッド サンプル 内部同期モード XYステージ 外部トリガモード エッジトリガモード ノーマルリセット グローバルリセット スタートトリガモード レベルトリガモード ノーマルリセット 読み出し同期モード グローバルリセット 図12 撮像モード体系図 8 図13 XYステージを使用した広視野撮像 3.2.2.2. レベルトリガモード レベルトリガモードは、外部からのトリガ信号のHighの期間 /Lowの期間(コマンドによってHighとLowの切り替えができます。)、 露光を行います。外部からのトリガ信号の立ち上がり/立ち下り エッジから露光を開始しますので、露光の開始タイミングと露光 時間を外部から制御することができます。 読み出し同期トリガ 光源 レンズ カメラ 《応用例:高速多波長フィルタ読み出し》 回転型フィルタを用いて多波長の画像取り込みを行う場合、レベルトリ ガモードとトリガレディ出力(トリガレディ出力は後述します。)を使用す ピンホール ディスク ミラー ることにより、露光時間を制御しながら高速に取り組みが可能です。下図 露光 は4つのフィルタを使用し、かつ各フィルタの露光時間をPC(電気信号 制御用ボード)で制御する場合の例です。 ピンホールディスクからの 1フレーム相当のタイミング信号 対物レンズ フィルタF1の準備が整ったところで、カメラにレベルトリガを入力し ます。図は立ち上がりで露光開始の場合を示しています。立ち下がりまで の時間が露光時間となります。露光が終了するとカメラからはトリガレデ ィ信号が出力されます。それに合わせ、フィルタを回転し、フィルタF2 サンプル をセットします。ここまでがフィルタ1枚を切り替えるタイミングです。 図15 コンフォーカル顕微鏡の読み出し 3.2.4. スタートトリガモード ㈪ カメラ F4 F3 F2 F1 ㈰ PC フィルタディスク この間にフィルタ回転 顕微鏡 ㈰ F1 F2 F3 露光 スタートトリガモードは、外部からのトリガ信号の立ち上がり /立ち下りエッジ(コマンドによって立ち上がりと立下りの切り替 えができます。)に同期して、露光を開始して、内部同期モード に切り替えます。 画像取り込み開始のタイミングを外部から制御したい場合に使用 します。特に、フレームレートを出来るだけ確保し、かつ感度を 得たい場合に有効です。例えば、刺激があった場合に反応を開始 する現象を撮像したい場合、刺激を加えるタイミングに同期して、 連続画像取り込みを開始することが可能です。また、内部同期で 動作するため最速フレームレートでの動作が可能となり、カメラ に入力されたトリガ信号のエッジでカメラの露光を開始すると同 時に、カメラを内部同期に切り替えます。 ㈪ トリガレディ出力 《応用例:高速蛍光イメージング》 蛍光イメージングにおいては、Q-DOTなどの蛍光色素を除き、蛍光の 退色が必ず測定に影響します。蛍光は励起光を当てた瞬間から光り始めま 図14 回転型フィルタを用いた多波長画像の取り込み すが、徐々にその蛍光強度が弱くなっていき、それを退色と読んでいます。 一般に蛍光イメージングでは励起光の光路にシャッタを入れ、カメラの撮 像期間以外にはサンプルに励起光が当たらないようにして退色を押さえて 3.2.3. 読み出し同期トリガモード 読み出し同期トリガモードは、外部からのトリガ信号の立ち上 がり/立ち下りエッジ(コマンドによって立ち上がりと立下りの切 り替えができます。)に同期して、読出しを開始し、読出し終了後、 次の露光を開始します。外部トリガの信号のエッジからエッジま でが露光の期間になります。主として、ピンフォールディスクタ イプのコンフォーカル(共焦点)顕微鏡にて使用します。 《応用例:コンフォーカル顕微鏡読み出し》 ピンホールディスクを用いたコンフォーカル顕微鏡の読み出しを行う場 合、読み出し同期トリガを使用することにより、容易に高画質撮像が可能 です。ピンホールディスクの回転タイミングに合わせてデータ取り込みを 行うことにより、回転速度のゆらぎに起因する輝度むらを避けることが可 能です。 います。スタートトリガモードを使用し、シャッタの開放と同時に画像取 得を開始することで、退色の影響を最低限にすることができます。また、 スタートトリガモードではトリガ受付け後は内部同期モードとなりますの で、最速フレームレートでの画像取得が可能です。 3.2.5. グローバルリセット 通常のモードでは、水平1ライン毎に読出し終了後、電荷をリ セットし、露光を開始しています。その一連の動作が終了後、次 の水平ラインに移ります。そのため、露光の開始は、1水平ライ ン毎に1水平ラインの読み出し時間分の遅延が発生します。 グローバルリセット機能は、全てのラインのリセットを同時に行 います。この機能を使用することにより、露光の開始を揃えるこ とができます。グローバルリセットは、エッジトリガモードとレ ベルトリガモード時のみ使用できます。 この例では、ピンホールディスクの回転タイミングを光や磁気等で検出 し、カメラに入力します。トリガ入力のタイミングで、カメラは露光終了 とデータ読み出し、そして次の露光を開始します。ピンホールディスクか 3.2.6. 外部トリガ遅延機能 らの信号が1フレームに1回であればノーマル読み出し同期トリガモード 例えばパルスレーザの発振後、一定時間を経過した後、露光を 開始したい場合、従来はレーザとカメラの間にディレイユニット を接続し、トリガ信号の制御を行っています。 ORCA-Flash4.0 V2は、各外部トリガモードにて、カメラに 入力したトリガ信号に対して、コマンドにより遅延時間を設定す ることが可能です。このため、ディレイユニットが無くても、さ まざまなトリガ信号に対応可能です。 を使用します。(多数回のトリガで1フレームを構築する場合でも対応可 能です。) 9 4 ORCA-Flash4.0 V2のライトシートモード 3.3. 外部トリガ出力信号 4.1. ライトシートモード読み出し方式 ORCA-Flash4.0 V2のノーマルエリアモードでは、露光が行 われているタイミング等を外部にトリガ信号として出力する事が 出来ます。この出力を外部機器のトリガ入力として使用すれば、 カメラの露光時間のタイミングに合わせて、外部機器と同期動作 することが可能です。 ノーマルエリアモードでは、センサ中央の水平2ラインから同 時に読み出しを開始し、上下にそれぞれ1ラインずつ読み出しを 行います。(図16)ライトシートモードでは、センサの最上位 ラインより順番に下方に読み出しをしていきます。(図17) 3.3.1グローバル露光タイミング出力 すべての水平ラインが露光状態の期間にHigh/Low(コマンド によってHighとLowの切り替えができます。)の信号を出力しま す。 3.3.2 プログラマブルタイミング出力 プログラマブルタイミング出力は、ユーザが設定した出力タイ ミングからユーザが設定したパルス幅の信号を出力させることが できます。出力タイミングは、Read End、Vsyncのどちらか の基準を選択できます。また、その選択した基準に対して遅延時 間も設定することができます。 3.3.2.1 Read End センサの読み出し終了を基準とします。 図16 ノーマルエリアモード 図17 ライトシートモード また、センサの最上部の水平1ラインからセンサの下方向に向 かって読み出すフォワード読み出しとセンサ最下部の水平ライン から上方に向かって読み出すバックワード読み出しの2つのモー ドがあり、切り替えることができます。 3.3.2.2 Vsync フレームバリッド信号の立ち上がりを基準とします。 フレームバリッド信号は、1フレームの読み出し期間Highにな ります。 3.3.3トリガレディ出力 トリガレディ出力は、カメラの露光後読み出しが終了し、次の 外部トリガを入力可能となった時点でHigh/Low(コマンドによ ってHighとLowの切り替えができます。)の信号を出力します。 図18 フォワード読み出し 図19 バックワード読み出し 4.2. ライトシートモード撮像モード ライトシートモードでは、ノーマルエリアモードと同様に、カ メラ単体で動作する内部同期モードと外部トリガにより露光タイ ミングを決める外部トリガモードを備えています。 詳細なタイミングについては、後述の「タイミングチャート」 の項を参照ください。 ライトシートモードは、カメラリンク出力のみ対応しています。 ライトシートモード 内部同期モード 外部トリガモード エッジトリガモード スタートトリガモード 図20 ライトシートモード撮像モード 各撮像モードについては、3.2撮像モードを参照して下さい。 10 5 コンピュータとの接続 4.2.1. ライトシート内部同期モード 5.1. 出力・制御インターフェース 外部機器と連携しない場合、またはカメラが主体となり露光を 行う場合に使用します。 ORCA-Flash4.0 V2は画像出力・制御インターフェースとし てCamera LinkインターフェースとUSB 3.0インターフェース を搭載しています。なお、カメラに接続したインターフェースが 自動的に有効となる為、切り替えを意識する必要はありません。 4.2.2. ライトシートエッジトリガモード ライトシートエッジトリガモードは、外部からのトリガ信号に 同期して、露光を行いたい場合に使用します。露光時間はコマン ドにて設定します。 4.2.3. ライトシートスタートトリガモード スタートトリガモードは、動画取り込み開始のタイミングを外 部から制御したい場合に使用します。特に、フレームレートを出 来るだけ確保し、かつ感度を得たい場合に有効です。例えば、刺 激があった場合に反応を開始する現象を撮像したい場合、刺激を 加えるタイミングに同期して、連続画像取り込みを開始すること が可能です。また、内部同期で動作するため最速フレームレート での動作が可能となり、カメラに入力されたトリガ信号のエッジ でカメラの露光を開始すると同時に、カメラを内部同期に切り替 えます。 4.3. ライトシートモード外部トリガ出力信号 ライトシートモードでは、ノーマルエリアモードと同様にグロ ーバル露光タイミング出力、プログラマブルタイミング出力、ト リガレディ出力を外部に出力することができます。グローバル露 光タイミング出力とトリガレディ出力は、ノーマルエリアモード の3.3.1、3.3.3をそれぞれ参照して下さい。 4.3.1. プログラマブルタイミング出力 プログラマブルタイミング出力は、ユーザが設定した出力タイミ ングからユーザが設定したパルス幅の信号を出力させることがで きます。出力タイミングは、Read End、Vsync、Hsyncのい ずれかの基準を選択できます。また、その選択した基準に対して 遅延時間も設定することができます。 5.1.1. Camera Link インターフェース Camera Linkインターフェースで接続を行う場合、400万画 素、各16 bitの画像を100 フレーム/秒でパーソナルコンピュ ータへ転送可能です(フルフレーム使用時)。 画像全体の読み出しは、水平1024ライン目から始まり、 1025ライン目、1023ライン目というように、中心部から上 下端に向かって行います。 規格 Camera Link 80 bit configuration 相当 画素クロック 85 MHz 画素出力 16 bit×5 画素/クロック 5.1.2. USB 3.0 インターフェース USB 3.0インターフェースは、最高速500 MB/秒の汎用イ ンターフェースです。多くのパーソナルコンピュータにおいて、 標準搭載されており、またノート型パーソナルコンピュータにも 搭載されています。 5.2. アプリケーションソフトウエアとドライバソフトウエア ORCA-Flash4.0 V2は、弊社がドライバソフトウエアとして提 供するDCAM-APIがサポートしています。DCAM-APIは ORCA-Flash4.0 V2の他、弊社が提供する科学計測用デジタル カメラの多くをサポートしており、それらの特性の違いを吸収し、 共通の呼び出し方法で制御できるように設計されています。 対応OS、I/Fカードならびにアプリケーションソフトウエアな ど詳細な情報は担当営業までお問い合わせください。 なお、OSに64 bit版を推奨しているのと同様にアプリケーシ ョンソフトウエアについても64 bit対応版を推奨します。 4.3.1.1 Read End センサの読み出し終了を基準とします。 4.3.1.2 Vsync フレームバリッド信号の立ち上がりを基準とします。 フレームバリッド信号は、1フレームの読み出し期間Highにな ります。 4.3.1.3 Hsync ラインバリッド信号の立ち上がりを基準とします。 ラインバリッド信号は、1水平ラインの読み出し期間Highにな ります。 4.3.2. Pre-Hsync プログラマブルタイミング出力の基準信号をHsyncに設定し ている時、プログラマブルタイミング出力を出力する前にユーザ が設定した数だけパルスを出力させることができ、これをPreHsyncと呼びます。プログラマブルタイミング出力を遅延させ た時にその遅延時間の期間に設定した数のPre-Hsyncを出力し ます。Pre-Hsyncは、設定しているプログラマブルタイミング 出力と同じパルス幅と遅延時間の波形になります。設定できる Pre-Hsyncの数の上限は、プログラマブルタイミング出力のパ ルス幅と遅延時間の関係で決まります。 11 6 仕様 6.1. カメラ性能 C11440-22CU 科学計測用CMOSイメージセンサ 2048 (H) × 2048 (V) 6.5 μm (H) × 6.5 μm (V) 13.312 mm (H) × 13.312 mm (V) スタンダードスキャンモード スロースキャンモード 10 ms 33 ms 1.0 electrons(median) 0.8 electrons(median) 1.6 electrons(rms) 1.4 electrons(rms) Camera Link USB 3.0 読み出し速度 Camera Link/USB 3.0 全画素読み出し 100 フレーム/秒 30 フレーム/秒 30 フレーム/秒 ① 2048×1024 200 フレーム/秒 60 フレーム/秒 60 フレーム/秒 2048×8 ① 25 655 フレーム/秒 7894 フレーム/秒 7696 フレーム/秒 ビニング ② 2×2、4×4 可能 ① サブアレイ 飽和電荷量(typ.) 30 000 electrons ダイナミックレンジ ③ 37 000 : 1 91 dB S/N 暗電流(typ.) センサ温度 冷却方式(ペルチェ冷却) 空冷 0.06 electrons/pixel/s −10 ˚C (室温 : +20 ˚C) 冷却温度/暗電流 水冷 0.02 electrons/pixel/s (typ.) −20 ˚C (水温 : +20 ˚C) 最大水冷 −30 ˚C (水温 : +15 ˚C) 0.006 electrons/pixel/s A/D出力 16 bit 直線性 γ=1±0.03 露光時間 内部同期モード 1 ms∼ 10 s(全画素読み出し時)④ 内部同期サブアレイ時 38.96 μs ∼ 10 s 外部トリガ/サブアレイ時 1 ms∼ 10 s 外部トリガモード エッジトリガ(ノーマル、グローバルリセット)、 レベルトリガ(ノーマル、グローバルリセット)、 読み出し同期トリガ、スタートトリガ トリガ遅延機能 0 μs ∼ 10 s(10 μsステップ) トリガ出力 グローバル露光タイミング出力 プログラマブルタイミング出力×3 トリガレディ出力 Cマウント レンズマウント Camera Link 80 bit configuration 相当 ⑤/ インターフェース USB 3.0 Camera Link出力クロック 85 MHz コネクタ仕様 Mini-Camera Link トリガコネクタ仕様 SMA 電源 AC 100 V∼ AC 240 V、50 Hz/60 Hz 消費電力 約 70 VA 保存周囲温度 − 10 ˚C ∼ + 50 ˚C 動作周囲温度 0 ˚C ∼ + 40 ˚C 動作周囲湿度 70 % 以下 (ただし結露しないこと) 型名 撮像素子 有効画素数 画素サイズ 有効素子サイズ 読み出しモード 読み出し時間 読み出しノイズ(typ.) 最速のフレームレートを達成するための設定エリアは、画面中央部を中心とした上下対称のエリアです。 水平方向並びに画面中央部以外のエリアはDCAMと組み合わせて実現されます。 カメラ内でデジタル処理(デジタルビニング)しています。 飽和電荷量/読み出しノイズ(スロースキャンモード、median時)の計算結果です。 内部同期モードでサブアレイ読み出しモードを使用する場合は、 サブアレイサイズ、 位置により最小露光時間が変わります。 Camera Link 80 bit configuration をベースとしたオリジナル出力です。 電気機器または電気装置において動作環境温度は非常に重要です。 この温度範囲以外で使用した場合には、カメラの性能が保証さ れないばかりか、カメラの故障にもつながる可能性があるからで す。特に冷却CCD・CMOSカメラ、その中でも空冷方式の場合 には動作環境温度の高さがカメラの冷却温度に影響を与え、それ が暗電流ノイズの増加につながる場合がありますので、より重要 になります。一般的に高感度カメラの使用において、カメラヘッ ドは光を遮断するために暗幕などで覆われた部屋や暗箱内部に置 かれることが多く、空気の流れが悪く温度も高くなることが多く なります。コントローラも同様に部屋の隅の空気の流れの悪い場 所に置かれることが多く、そのような場所の温度は室温よりも高 くなることがあります。ORCAR-Flash4.0 V2の動作環境温度 は 0 ℃ ∼ +40 ℃と、通常の室温と考えられる+20 ℃ ∼ +30 ℃に対し動作周囲温度範囲が広く設定されていますので、 安心してご使用いただけます。 また、湿度も重要です。周囲湿度が高いほど結露は発生しやす くなります。特にカメラに冷却機能があり、環境温度に対し温度 が低くなるような部分がある場合には環境湿度も重要になります。 ORCA-Flash4.0 V2は環境湿度70 %以下で、かつ結露しな い環境でお使いいただくことを推奨いたします。 6.3. 安全規格・適用規格 CEマーキング EMC指令 適用規格 EN61326-1:2013 Class A 6.4. 外形寸法図 単位:m m ■カメラ(約2.0 kg) C-Mount 13.5 85.5 ① ② ③ ④ ⑤ 6.2. 動作周囲温度・湿度 85 12 125 7 科学計測用CMOSとEM-CCDのS/N この章では、カメラにより科学計測を行う場合、非常に重要な 要素であるS/Nについて科学計測用CMOSと従来微弱光計測に 使われてきた電子増倍型CCD(EM-CCD)を比較します。 7.1.3. S/N 7.1. S/Nの計算式 S/N= 科学計測用CMOSとEM-CCDのS/Nを考える上で、重要な要 素として、入力信号にかかわる入力光量、量子効率、EMゲイン と、ノイズにかかわる光ショットノイズ、ノイズ係数、読み出し ノイズ等があります。 7.1.1. 入力信号 a)入力光量(P) 科学計測用CMOSとEM-CCDは、画素サイズが異なります。 しかし、S/Nについて本質的議論をするため、画素面積につい ては考慮しません。入射光量は、1画素に入射するフォトン量(光 の粒子数)にて検討を行います。なお、測定を行う場合に2つの カメラで光学倍率を変更することにより、1画素に入射するフォ トン数を等しくすることが可能です。 b)量子効率(QE) 光を電荷に変換する効率です。 C)EMゲイン(M) EM-CCDにおける電荷の増倍度を表します。EM-CCDの最大 ゲインは、1200、科学計測用CMOSは、1 です。 これにより、1画素で検出される入力信号は、下記となります。 3.1.1 入力信号、3.1.2 ノイズの結果から、S/Nを算出する と下記の式となります。 = P×QE×M (F2×M2×P×QE+Nr2+F2 ×M2×Id+F2×M2×Ib×QE) P×QE (F2×(QE(P+Ib)+Id)+(Nr/M)2) 7.1.4. EM-CCDのExcessノイズについて S/Nの理論式において、EM-CCDでは、EMゲインが十分に大 きい場合、(Nr/M)2 項は、無視できます。また、背景光なし、 露光時間が短時間であると仮定すれば、S/Nは下記のように記 述できます。 P×QE S/N(EM-CCD)= (F 2×QE×P) = (QE/2×P) また、科学計測用CMOSにて、光量が十分に入射し読み出し ノイズが無視できるような状況において、S/Nは下記のように なります。 P×QE S/N(CMOS)= 2×QE×P) (F S=P×QE×M = (QE×P) 7.1.2. ノイズ d)光ショットノイズ 入射光が電荷変換される際の揺らぎに起因するノイズです。 (入力光量×量子効率)となります。 EM-CCDと科学計測用CMOSのS/N式を比較すると、EMCCDでは量子効率に係数1/2が乗算されています。これは、 EM-CCDでは、光が十分にある状況において、Excessノイズの 影響により、量子効率が半分であることと同等であることを意味 します。 e)ノイズ係数(Fn) EM-CCDでは、素子内部に備える増倍レジスタにより、電荷 増倍を行います。この電荷増倍の影響によるノイズをExcessノ イズと呼びます。Excessノイズによる係数は、統計学的に計算 され、 2 となります。なお、科学計測用CMOSでは、電荷 増倍がないため、係数は 1 です。 f)読み出しノイズ(Nr) 科学計測用CMOS、EM-CCD上の電荷―電圧変換アンプ上で のリセットに起因するノイズです。 g)背景光(Ib) 背景光があり、その上に目的とする対象光が重なる状況を想定 し、背景光に起因するノイズについても考慮します。 h)暗電流(Id) 科学計測用CMOS、EM-CCDでは、光を入射しない場合でも 発生する信号すなわち、暗電流が存在します。 これにより、ノイズの総和は下記のようになります。 N= (光ショットノイズ)2 + (読み出しノイズ)2 + ( 暗電流 )2 + ( 背景光ノイズ )2 13 7.2.1. 科学計測用CMOS VS EM-CCD 背景光がない場合 科学計測用CMOSとEM-CCDにおいて、入射光量が変化した 場合のS/Nを表したのが、図21です。なお、ここでのS/Nは、 量子効率100 %、ノイズが0の理想的なデバイスを基準とした 相対値です。 対象とするカメラは、ORCA-Flash4.0 V2(科学計測用CMOS)、 ImagEM (EM-CCD)です。設定条件は、EM-CCDのEMゲイ ン×1200、露光時間30 ms、画素あたりの光量を同一として います。この場合、光量が4フォトン/画素(スロースキャン使 用時)を超えると、ORCA-Flash4.0 V2がImagEMのS/Nを 上回ります。 この状況においては、すべての光量において、ORCAFlash4.0 V2がEM-CCDのS/Nを上回ります。 また、入射光量が5フォトンにおいて、背景光量が変化した場 合、S/Nがどのように変わるのかを表したのが図23です。 1.8 1.6 ORCA-Flash4.0 V2(スロースキャン) 1.4 ORCA-Flash4.0 V2(スタンダードスキャン) 1.2 S/N 7.2. S/Nの比較 ImagEM 1 0.8 1.1 0.6 S/N(相対値) 1 0.4 0 ORCA-Flash4.0 V2(スロースキャン) 0.9 5 10 15 20 背景光(フォトン/画素) 0.8 ORCA-Flash4.0 V2(スタンダードスキャン) 図23 背景光の変化とS/N(入射光量 5フォトン) 0.7 ImagEM 0.6 図23より、背景光の有無によらずORCA-Flash4.0 V2の S/NがEM-CCDを上回るのが分かります。 0.5 0.4 1 10 100 1000 10000 入射光量(フォトン/画素) 7.2.3. 微弱光領域での科学計測用CMOS と EM-CCD の 比較結果 図21 入射光量とS/N(背景光がない場合) 7.2.2. 科学計測用CMOS VS EM-CCD 背景光がある場合 撮影を行う場合、対象光のみが存在する場合と、背景光があり、 それに重なって目的光が存在する場合があります。細胞の蛍光イ メージングでは多くの場合、背景光が存在します。この背景光が 存在する場合についても、S/Nを考えてみます。 背景光が10フォトン/画素の場合に、入射光量に対し、S/Nが どう変化するかを示したのが、図22です。 1.1 1.05 S/N(相対値) 1 0.95 ORCA-Flash4.0 V2(スロースキャン) 0.9 0.85 ORCA-Flash4.0 V2(スタンダードスキャン) 0.8 0.75 ImagEM 0.7 0.65 0.6 1 10 100 1000 入射光量(フォトン/画素) 図22 入射光量とS/N(背景光がある場合) 14 10000 ORCA-Flash4.0 V2は、高い量子効率と少ない読み出しノイ ズを持ち、ノイズ係数が1であるため、EM-CCDに匹敵する感 度を持ちます。特に、微弱光領域(>2∼3フォトン/画素)にお いて、EM-CCDよりS/Nが良いことに加え、広い視野での撮像 が可能です。また、早いフレームレートでの読み出しが可能です。 従来、蛍光イメージング等微弱光撮像では、CCDまたはEMCCDが使用されてきました。しかし、多くの蛍光イメージング では、2∼3フォトン/画素以上の光量があります。このため、多 くの微弱光撮像においてORCA-Flash4.0 V2にて置き換えが可 能です。 EM-CCDは、背景光がなく、かつ非常に暗い光量(<2∼3フ ォトン/画素)においては、最も良いS/Nを得ることができます。 8 各種タイミングチャート 8.1. タイミングチャートの説明 8章では、各撮像モードについてタイミングチャートを用いて 説明します。まず、そのタイミングチャートの見方について下に 記載します。 図24の横軸は、時間の経過を表しています。黄色で着色され た部分が、CMOSセンサの露光状態を表します。図上部が、 CMOSセンサの画面上部を、図下部がCMOSセンサの画面下部 を表します。CMOSセンサは、横一ライン単位で露光を制御し ているため、CMOSセンサの横方向のタイミングは図では省略 します。この図は、外部トリガ入力時のものになります。 外部トリガ入力(①)後、センサ読み出し(前フレームのデー タを読み出します。)を開始し(②)、同時に画面の中央(1023H、 1024H)のラインが露光開始します。また、センサ読み出しの 開始とともに、カメラデータ出力が開始します。(③) 時間経過と共に、ライン単位で順次前フレームの読み出し、次 フレームの露光が開始されます。 全ラインともに露光している期間(図中赤の四角部分)では、 グローバル露光出力(④)が出力されます。また、1フレームの 読み出しが終了すれば、次の外部トリガ受付が可能となるため、 トリガレディ出力(⑤)が出力され、同時に読み出しされたデー タがUSB 3.0が接続されている場合、出力されます(⑥)。 8.2.1.1. ノーマル読み出しモード ノーマル読み出しモードは、設定した露光時間が1フレームの 読み出し時間と同じか、より露光時間が長いモードです。露光時 間を1フレームの読み出し時間と同じか、長く設定すると、露光 が始まり、全画素において露光が行われている期間は、グローバ ル露光タイミング出力信号が出力されます。露光が終わりセンサ の読み出しが開始されると、センサ読み出し開始信号が出力され ると同時に、カメラデータが出力されます。 内部露光時間設定 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 露光 センサ読み出し Camera Link データ出力 USB 3.0 データ出力 グローバル露光 タイミング出力 図25 ノーマル読み出しモード ① 外部トリガ ②センサ読み出し 開始信号 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 露光 ③カメラデータ出力 ④グローバル露光 タイミング出力 8.2.1.2. 電子シャッタモード 電子シャッタモードは、ノーマル読み出しモードでは光量が多 く出力信号がオーバーフローする場合に、適切な信号量で撮像す るために使用します。露光時間は1フレームより短くなっていま すが、フレームレートは100 フレーム/秒(全画素読み出し時) となります。基本的なタイミングは、ノーマル読み出しモードと 同じですが、露光時間が短いため、グローバル露光タイミング出 力は出力されません。 内部露光時間設定 ⑤トリガレディ出力 ⑥USB 3.0 データ出力 図24 撮影モード 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 露光 8.2. ノーマルエリアモード センサ読み出し 8.2.1. 内部同期モード ORCA-Flash4.0 V2は、露光時間を外部からコマンドにて設 定することが可能で、カメラ単体にて動作する内部同期モードを 備えています。内部同期モードは、ノーマル読み出しモード(露 光時間が1フレーム読み出し時間より長い場合)と電子シャッタ モード(露光時間が1フレーム読み出し時間より短い場合)を備 えていますが、これらのモードは露光時間設定により、自動的に 切り替わります。 Camera Link データ出力 グローバル露光 タイミング出力 図26 電子シャッタモード 内部露光時間設定 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 露光 センサ読み出し USB 3.0 データ出力 グローバル露光 タイミング出力 図27 電子シャッタモード(USB 3.0) 15 8.2.2. 外部トリガモード ORCA-Flash4.0 V2は、外部機器と同期して画像取り込みを 行うために外部機器がマスタとなり、カメラがスレーブとなる様々 な外部トリガモードを備えています。 8.2.2.1. エッジトリガモード(ノーマルリセット) エッジトリガモードは、外部からのトリガ信号に同期して、露 光を行いたい場合に使用します。 露光時間は、外部からコマンドにて設定します。エッジトリガ モードでは、カメラに入力されたトリガ信号のエッジ(立上がり /立下がりエッジ)タイミングで中央のライン(下図中 1023H、 1024H)の露光を開始します。そして、1ラインの読み出し時 間経過後、次のライン(1022H、1025H)の露光を開始し、 その後各ラインは順次露光を開始します。図28に立ち上がりエ ッジ例のタイミングチャートを示します。 8.2.2.3. レベルトリガモード(ノーマルリセット) レベルトリガモードは、外部からのトリガ信号に同期して、露 光を行い、かつ露光時間も外部からトリガ信号で制御したい場合 に使用します。 レベルトリガモードは、入力されるトリガ信号がLowから High(もしくはHighからLow)へ切り替わったタイミングで露 光を開始し、High(もしくはLow)の期間が終了するまで露光 を続けるモードです。トリガレベルHighの場合の例を以下に示 します。トリガ信号がHighになった時、中央ライン(1023H、 1024H)の露光を開始し、1ラインの読み出し時間経過後、次の ラインの露光を開始し、その後各ラインは順次露光を開始します。 信号レベルがLowになった瞬間に1ライン目の露光を中止し、信 号の読み出しを開始します。各ラインの露光時間は、トリガレベ ルがHighになったときからLowになるまで時間となります。 外部トリガ 外部トリガ 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H * 露光 * 露光 センサ読み出し センサ読み出し Camera Link データ出力 Camera Link データ出力 USB 3.0データ出力 USB 3.0データ出力 グローバル露光 タイミング出力 グローバル露光 タイミング出力 トリガレディ出力 (Camera Link) トリガレディ出力 (Camera Link) トリガレディ出力 トリガレディ出力 (USB 3.0) *ディレイ87.7 μs ジッタ9.74 μs *ディレイ292.33 μs ジッタ32.48 μs(スロースキャンモード) (USB 3.0) *ディレイ87.7 μs ジッタ9.74 μs *ディレイ292.33 μs ジッタ32.48 μs(スロースキャンモード) 図30 レベルトリガモード(ノーマルリセット) 図28 エッジトリガモード(ノーマルリセット) 8.2.2.2. エッジトリガモード(グローバルリセット) グローバルリセットにおけるエッジトリガモードでは、カメラ に入力されたトリガ信号のエッジ(立上がり/立下がりエッジ)で、 グローバルリセットを行います。それと同時にグローバル露光が 始まり、読み出しはノーマル読み出しによって読み出されます。 リセット以外のタイミングは、エッジトリガモード(ノーマルリ セット)と共通となります。 外部トリガ 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H * 8.2.2.4. レベルトリガモード(グローバルリセット) グローバルリセットにおけるレベルトリガモードでは、入力さ れるトリガ信号がLowからHigh(もしくはHighからLow)へ切 り替わったタイミングで、グローバルリセットが行われ、同時露 光を開始し、High(もしくはLow)の期間が終了するまで露光 を続けるモードです。読み出し方はエッジトリガモードと同様に、 ノーマル読み出しによって読み出されます。リセット以外のタイ ミングは、レベルトリガモード(ノーマルリセット)と共通となり ます。 外部トリガ 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 露光 * 露光 センサ読み出し Camera Link データ出力 センサ読み出し USB 3.0データ出力 Camera Link データ出力 グローバル露光 タイミング出力 USB 3.0データ出力 トリガレディ出力 グローバル露光 タイミング出力 (Camera Link) トリガレディ出力 トリガレディ出力 (USB 3.0) *ディレイ165.58 μs ジッタ1 μs *ディレイ292.33 μs ジッタ32.48 μs(スロースキャンモード) (Camera Link) トリガレディ出力 (USB 3.0) 図29 エッジモード(グローバルリセット) *ディレイ165.58 μs ジッタ1 μs *ディレイ292.33 μs ジッタ32.48 μs(スロースキャンモード) 図31 レベルトリガモード(グローバルリセット) 16 8.2.2.5. 読み出し同期トリガモード 読み出し同期トリガモードは、カメラに入力されたトリガ信号 のエッジ(立上がり/立下がりエッジ)でカメラの露光を終了し て読み出しを開始、同時に次の露光を開始します。すなわち、外 部トリガのエッジからエッジの間隔が露光時間になります。 外部トリガ 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 8.2.2.6. スタートトリガモード スタートトリガモードは、1回の外部トリガパルスで連続画像 を取り込むモードで、内部同期で動作するため最速フレームレー トでの動作が可能です。 スタートトリガモードは、カメラに入力されたトリガ信号のエ ッジ(立ち上がり/立ち下がりエッジ)でカメラの露光を開始す ると同時に、カメラを内部同期に切り替えます。 * 外部トリガ 内部露光時間設定 露光 センサ読み出し Camera Link データ出力 USB 3.0データ出力 * 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 露光 センサ読み出し グローバル露光 タイミング出力 Camera Link データ出力 トリガレディ出力 USB 3.0データ出力 (Camera Link) グローバル露光 タイミング出力 トリガレディ出力 (USB 3.0) *ディレイ165.58 μs ジッタ9.74 μs *ディレイ552.18 μs ジッタ32.48 μs(スロースキャンモード) トリガレディ出力 (Camera Link) トリガレディ出力 図32 読み出し同期トリガモード(立上がりエッジ) また、読み出し同期トリガモードでは、コマンド設定により、 任意の入力トリガ数に1回の読み出しを行う間引き読み出しが可 能です。下図は、3回の入力トリガに対して、1回の読み出しを 行っている例です。 外部トリガ 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H * 露光 (USB 3.0) *100 ms未満:読み出しが1フレーム無効になります。 *100 ms以上:100 ms(ディレイ) 図34 スタートトリガモード(立上がりエッジ) 8.2.2.7. スロースキャンモード スロースキャンモードでは、読み出しスロープが、10 msから 30 msに変更になり、最速フレームレートは、30 フレーム/秒 になります。読み出しスロープ以外の各トリガ入出力の関係は、 変更ありませんので、スタンダードスキャンの図25∼図34の タイミング図を参照して下さい。 内部露光時間設定 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H センサ読み出し Camera Link データ出力 USB 3.0データ出力 露光 読み出し時間 グローバル露光 タイミング出力 センサ読み出し トリガレディ出力 Camera Link データ出力 (Camera Link) トリガレディ出力 USB 3.0データ出力 (USB 3.0) *ディレイ165.58 μs ジッタ9.74 μs *ディレイ552.18 μs ジッタ32.48 μs(スロースキャンモード) 図33 読み出し同期トリガモード(間引き時) グローバル露光 タイミング出力 図35 スロースキャンモード 内部同期モード 17 8.3. ライトシートモード 8.3.3. スタートトリガモード 8.3.1. 内部同期モード スタートトリガモードでは、ノーマルエリアモードと同様に動 画取り込み開始のタイミングを外部から制御したい場合に使用し ます。スタートトリガモードは、カメラに入力されたトリガ信号 のエッジ(立ち上がり/立ち下がりエッジ)でカメラの露光を開 始すると同時に、カメラを内部同期に切り替えます。 ノーマルエリアモードと同様に、露光時間を外部からコマンド にて設定することが可能で、カメラ単体にて動作する内部同期モ ードを備えています。内部同期モードでは、外部コマンドで露光 時間と読み出し方向を設定する事が出来ます。フォワード読み出 し時には、センサ上部の0Hのラインから1Hごとに2047Hま で露光が行われていきます。露光が終わりますと0Hラインから 順次読み出されていきます。 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 内部露光時間設定 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 外部トリガ 露光 * 露光 センサ読み出し 1Hの長さの 変更が可能 Camera Link データ出力 トリガレディ出力 (Camera Link) センサ読み出し *ディレイ1H 9(1Hの設定により長さが変わる。)ジッタ1H Camera Link データ出力 図38 スタートトリガモード(フォワード読み出し) 図36 内部同期モード(フォワード読み出し) 8.3.2. エッジトリガモード エッジトリガモードでは、カメラに入力されたトリガ信号のエ ッジ(立上がり/立下がりエッジ)で、0Hから順次露光を行い ます。露光が終了すると、水平1ラインずつ読み出していきます。 外部トリガ 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H * 露光 1Hの長さの 変更が可能 センサ読み出し Camera Link データ出力 トリガレディ出力 (Camera Link) *ディレイ1H 9(1Hの設定により長さが変わる。)ジッタ1H 図37 エッジトリガモード(フォワード読み出し) 18 8.4. トリガ出力 8.4.3. Pre-Hsync ORCA-Flash4.0 V2では、カメラを外部機器と同期させるため にカメラがマスタとなり外部機器がスレーブとなる様々なトリガ 出力信号を備えています。 プログラマブルタイミング出力の基準信号をHsyncに設定し ている時に信号を設定数だけ出力できます。基準Hsyncの信号 をディレイさせて、そのディレイの間に設定したPre-Hsyncの 数パルスを出力します。出力する信号は、プログラマブルタイミ ング出力で設定しているパルス幅とディレイと同じ波形になりま す。この出力はライトシートモードのみとなります。 8.4.1. グローバル露光タイミング出力 すべてのラインが同時に露光している状態にある期間を出力し ます。ローリングシャッタの場合、各ラインで露光のタイミング が異なるため、現象が2フレームに分かれて観測されることがあ りますが、長時間露光等ですべてのラインが同時に露光している タイミングを活用することで、この期間に起こる現象に対してグ ローバル露光が可能となります。詳細タイミングについては、図 25∼図35を参照してください。なお、ライトシートモードでは、 グローバル露光タイミング出力は、出力されません。 8.4.2. プログラマブルタイミング出力 プログラマブルタイミング出力は、センサの読み出し終了、 Vsync(垂直同期信号)、Hsync(水平同期信号)のいずれか を基準として、コマンドにより設定される遅延時間とパルス幅を もったパルスが出力されます。 プログラマブルタイミング出力を使用することにより、簡易に 外部機器との同期が可能となり簡易なディレイユニット、パルス 発生器の代わりとなります。 設定範囲は遅延時間が0 μs ∼ 10 s、パルス幅が10 μs ∼ 10 sです。 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 露光 Hsync ディレイ パルス幅 図41 Pre-Hsync 出力(ライトシートモード、エッジトリガ) 8.4.4. トリガレディ出力 外部トリガモードで動作している時、1回の露光と次の露光の 間隔を短くしたい場合、トリガレディ出力を使用すれば可能です。 外部トリガモードにてカメラが動作している時、例えばエッジ トリガの場合、露光時間が終了して初めて、次の露光を開始する ことができます。このため、露光中は次の露光開始のトリガを受 け付けることができません。カメラが露光開始可能な状態である ことを外部に出力し、そのタイミングに合わせてトリガをカメラ に入力すれば、無駄な時間を極力減らすことが可能となります。 このように、カメラがトリガ受付可能な状態であることを出力す るのがトリガレディ出力です。 外部トリガ 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 外部トリガ 露光 センサ読み出し Read End ディレイ パルス幅 Vsync ディレイ パルス幅 図39 プログラマブルタイミング出力(ノーマルエリアモード、エッジトリガ) 外部トリガ 0H 1H ・ ・ 1023H 1024H ・ ・ 2046H 2047H 露光 センサ読み出し Read End ディレイ パルス幅 Vsync ディレイ パルス幅 図40 プログラマブルタイミング出力(ライトシートモード、エッジトリガ) 19 ★ORCA、ImagEMは、浜松ホトニクス(株)の登録商標です。 その他記載商品名、 ソフト名等は該当商品製造会社の商標または登録商標です。 ※カタログに記載の分光感度特性グラフは代表例を示すもので、保証するものではありません。 ※本カタログの記載内容は2015年9月現在のものです。本内容は改良のため予告なく変更する場合があります。 www.hamamatsu.com □ システム営業推進部 〒431-3196 浜松市東区常光町812 TEL (053)431-0150 FAX (053)433-8031 E-Mail [email protected] □ □ □ □ □ □ 仙台営業所 筑波営業所 東京営業所 中部営業所 大阪営業所 西日本営業所 TEL TEL TEL TEL TEL TEL (022)267-0121 (029)848-5080 (03)3436-0491 (053)459-1112 (06)6271-0441 (092)482-0390 FAX FAX FAX FAX FAX FAX (022)267-0135 (029)855-1135 (03)3433-6997 (053)459-1114 (06)6271-0450 (092)482-0550 Cat. No. SCAS0080J04 SEP/2015 HPK