技術資料:MT6M12879 プレスフィットタイプ Small-PIM の マウンティングインストラクション 改訂履歴 日付 バージョン 内容 Apr.-25th-2013 1.0 May-9th-2013 1.1 圧入の力の変更 June-5th-2014 1.2 ヒートシンクへのモジュール実装工程,モジュールおよびヒートシンクへの PCB - 取り付け工程 Jan.-27th-2016 1.3 サーマルペーストについての注意 CONTENTS Page 1 一般事項 2 2 PCB の仕様 3 3 PCB の実装と取り外し工程 4 4 PCB 圧入および押し出し用治具の例 5 5 PCB へのモジュールの実装工程の例; 圧入 6 6 PCB からのモジュールの取り外し工程の例; 押し出し 6 7 モジュールへの PCB の取り付け 7 8 ヒートシンクの仕様 7 9 サーマルペーストのアプリケーション 8 10 ヒートシンクへのモジュールの実装 8 11 ヒートシンクへの PCB の取り付け 9 12 保管および運搬条件 9 1 技術資料:MT6M12879 1 一般事項 このアプリケーションノートは、富士電機のプレスフィットタイプ Small-PIM の実装と取り外し工程のための PCB の推奨仕様とアドバイスを記載します。本書では Small-PressFIT といいます。 このアプリケーションノートは、全てのアプリケーションおよび条件をカバーすることはできません。従って、提 案にない実装工程で富士電機の Small-PressFIT を使用する場合、いかなる状況においても保証することはできま せん。実際のアプリケーションでの電気機械評価によって確認することを推奨します。 プレスフィット技術は、低抵抗かつ安定した接触と共に PCB への半田レス実装を提供します。図 1 に示すよう に、挿入前のプレスフィットピンは開いた形状です。圧入工程後(後の章に記載)、ピンは両サイドからの接触圧力 によって閉められます(図.2)。圧入工程中においてのピンと PCB の穴の側壁の材料の機械的変形は、冷間圧接接 合を形成します。それは低抵抗かつ安定した接触を有することが可能です。 PCB PCB PCB PCB 図 2 PCB への実装後の閉じたピンの形状 図.1 プレスフィットピン 2 技術資料:MT6M12879 2 PCB の仕様 Holes for screwing the module to a heat sink Through-holes for a M2.5 screw 図. 3 PCBの一例 この章は、Small-PIM 用 PCB の推奨仕様について記載します。 図3は、PCBの一例を示しています。 *これは測定用の仮のPCBで、インバータアプリケーションのための実際の PCBではありません。PCBはヒートシンクにモジュールをネジ止めするための穴が2つ必要です。2穴間の距離 は53.0±0.1mmです。PCBは、モジュールにPCBを取り付けるためのM2.5ネジ用のスルーホールが4つ必要 です。 Drill hole diameter 表 1. PCB の仕様 Drill hole diameter Cu thickness in hole End hole diameter min. typ. 1.12mm 1.15mm max. 25μm 50μm Metallization in hole End hole diameter Cu thickness of conductors Metallization of circuit board Metallization of pin PCB material Metallization in hole Cu thickness in hole Cu thickness of conductors PCB PCBPCB (Material:FR4) 15μm 0.95mm 35μm 1.09mm 70μm 400μm 105μm Tin (chemically) Tin (galvanic) FR4 図. 4 各寸法の説明 PCB は、表 1 中の基準内に設計されている必要があります。例えば、図に示されているように、適切に Sn/Cu めっきされた側壁の場合、エンドホール径は 0.95mm~1.09mm の範囲でなければなりません。もし径が小さいと、 おそらく圧入工程において機械的な問題が見つかり、逆に径が大きいと接触信頼性が懸念されます。 これらの結果は IEC60352-5 に基づき実験で得られました。PCB がこれらのパラメータ以外を有する場合、評 価は別途必要となります。 PCB は、特定の位置で圧入治具のガイドピン用の穴が必要です。圧入工程における機械的ストレスから PCB とその表面上に実装されたデバイスを保護するため、圧入の下側治具と上側治具は初めに接触して挿入の力を 吸収します。 3 技術資料:MT6M12879 PCB 表面上に実装された他部品の機械的ダメージのリスク回避のため、圧入および押し出し工程の間に高 いひずみをもつであろう特定の領域を確保することを推奨します。基本的に、プレスフィットピンの中央からの距離 5mm を確保することを推奨します。 3 PCB の実装および取り外し工程 図. 5 PCB 実装および取り外し装置 PCB の実装工程の手順は、この章で記載します。Small-PressFIT は、特定範囲内の圧入速度と力で挿入さ れる必要があります。圧入の力がその制限以下の場合、モジュールは低抵抗かつ安定した接触に問題を持つ可 能性があります。逆に、圧入の力が強すぎると、PCB とその表面に実装された他の部品への機械的ダメージが予 想されます。 圧入時、正確な力制御をするために図 5 に示すような装置の使用を推奨します。また後の章で提供される、 特定の圧入および押し出し治具の使用も推奨します。低く安定した接触を持ち、モジュールおよび PCB 破壊を避 けるための一般的な圧入速度は 25mm/min.です。一般的な圧入の力は、ご使用になる PCB のエンド穴径に応じ て変化します。 1 モジュールあたりの推奨圧入の力は、下記のように計算されます。; Press-in force/1 module = 60 ~ 100 N x pin number * Press-in force/1 module は、モジュールおよび PCB 破壊を避けるため、4kN を超えることは出来ません。 4 技術資料:MT6M12879 4 PCB の圧入および押し出し用治具の例 図 6(a)-(e)は、圧入および押し出し治具の例です。治具の詳細または図面の CAD データを取得される場合は 我々にご連絡ください。 Upper tool Upper tool Lower tool Lower tool 図6(a) Type1用圧入治具セット 図6(b) Type1用押し出し治具セット Upper tool Upper tool Lower tool Lower tool 図6(d) Type2押し出し治具セット 図6(c) Type2用圧入治具セット 図6(e) 上側治具の裏側 5 技術資料:MT6M12879 5 PCB へのモジュールの実装工程の例; 圧入 図.7(a) 図.7(b) 図.7(c) 図.7(d) 図.7 圧入工程の例 図 7(a)-(d)は PCB へのモジュールの実装工程の例です。:圧入工程 (a):機械に上側治具と下側治具をセット してください,(b):下側治具に PCB をセットしてください,(c):PCB にモジュールをセットしてください,(d): PCB にモジ ュールを圧入するための上側治具でモジュールの裏側をプレスしてください 6 PCB からのモジュールの取り外し工程の例; 押し出し Fig.8(a) Fig.8(b) Fig.8(c) Fig.8(d) 図.8 押し出し工程の例 図 8(a)-(d)は押し出し工程の例です。(a):機械に上側治具と下側治具をセットしてください,(b):下側治具にモジ ュールと PCB をセットしてください,(c): PCB からモジュールを押し出すための上側治具でモジュールのプレスフィ ットピンを押してください,(d): モジュールは PCB から取り外され、下側治具に落下します 6 技術資料:MT6M12879 7 モジュールへの PCB の取り付け Guide holes Screw (M2.5) Module for a screw PCB 4mm-8mm Cramp 図9(a)Fix 9(a) ネジによるモジュールへの の取り付け Fig. a PCB to the module by PCB screws Guide holes for a screw Fig. holes for a screw (1B) 図 9(b)Guide 9(b) ネジ用ガイド穴(1B) Fig. 9(d)Cross of a guide hole 図 9(d) section ガイド穴の断面 Fig. 9(c)Guide holes for a screw (2B) 図 9(c) ネジ用ガイド穴(2B) プレスフィットの接触信頼性のため、PCB 実装工程後にネジでモジュールに PCB を取り付けることを推奨します。 図 9(a)は取り付け工程の一例を示しています。M2.5 ネジが適当です。PCB の厚さを除くネジの有効長さは、 4.0-8.0mm でなければなりません。ネジ回し速度 n は 300rpm 未満でなければなりません。(推奨締め付けトルク 0.4Nm±10%) 8 ヒートシンクの仕様 PCB Thermal paste Module Screw Clamp Heat sink Heat sink 図 10(b) ヒートシンクの平坦度 Fig. 10(b) Flatness of a heat sink 10(a) Roughness ヒートシンクの粗さ Fig.図10(a) of a heat sink モジュール組立用のヒートシンクは下記の表面条件を満たさなければなりません。 (1) ヒートシンクの粗さは 10μm 未満であること。 (2) 100mm に基づくヒートシンクの平坦度は 50μm 未満であること。 *2 つのネジクランプを含むモジュール実装エリア内において、平坦度は上記の値未満でなければなりません。 7 技術資料:MT6M12879 9 サーマルペーストのアプリケーション Set the module Metal mask Dedicated tool Print with a metal squeegee 図 114ステンシルプリント工程 Fig. Stencil printing process サーマルペーストの厚さは、モジュールとヒートシンク間の熱抵抗に強く影響します。サーマルペースト厚をコントロ ールするためステンシルプリント工程を推奨します。図 11 はステンシルプリント工程の一例を示しています。サー マルペースト厚は 80μm を推奨します。 10 ヒートシンクへのモジュールの実装 ヒートシンク上に実装する場合は、熱伝導性を確保するためにサーマルペーストを使用します。サーマルペース トの量が十分でない、または塗布方法が適切でないと十分に広がらず、熱伝導性が悪くなり熱暴走破壊が発生す る可能性があります。サーマルペーストが広がる条件を確認してください。不適切なサーマルペーストが使用され た場合、おそらく高温動作でのサーマルペーストの劣化または枯渇によってパワーサイクル耐量は下がります。適 切なサーマルペーストの選定に細心の注意を払ってください。 (サーマルペーストの広がり状態は、実装後のモジュールを取り外すことによって確認できます。) Hole for screwing PCB PCB Module Module Screw Thermal paste 1 Clamp Heat sink 図 12(a) Fig. 5(a)ヒートシンクへのモジュールの実装 Mount the module to a heat sink 8 3 2 Clamp Heat sink 1; Pre-screwing by torque 0.5Nm 2; Screwing by torque 1.3-1.7Nm 3; Screwing by torque 1.3-1.7Nm Fig. 5(b) Recommended sequence of screwing (1B, 2B) 図 12(b) ネジ止めの推奨順序(1B, 2B) 技術資料:MT6M12879 図 12 はネジ止めによる実装工程の一例を示しています。半田付け後に実装工程が適用される場合、PCB はネ ジ止め用の 2 つの穴が必要です。M4 のネジとφ9mm のワッシャーを推奨します。推奨の締め付けトルクとネジ止 め順序を図 12(b)に示しています。ネジ止め工程において、モジュールが傾かないように適切な位置に保持しなけ ればなりません。. Thermal paste X Lift up; NG Slide horizontally; Recommended Thermal paste Module Thin plate Module Heat sink Heat sink Fig. 6(b) 図 13(b) Fig. 6(a) 図 13(a) 図. 13 ネジ止め後の取り外し工程の一例 図.13(a); モジュールをヒートシンクの外側に慎重に水平に滑らせてください。持ち上げないでください。 図.13(b); モジュールとヒートシンクの間に薄い板を慎重に挿入してください。 モジュールがサーマルペースト上にセットされた後、モジュールがヒートシンクにネジ止めされる前であれば、モジ ュールはヒートシンクから取り外すことが可能です。 ネジ止めの後はヒートシンクからモジュールを取り外すことは推奨しません。なぜならモジュール構造の変形から モジュールの故障を引き起こすからです。 ヒートシンクからモジュールを取り外す場合、上記の方法の下で行ってください。モジュールの破壊や故障を避け るために取り外し工程には特別な注意が必要です。取り外し工程後のモジュールの絶縁チェックを推奨します。 9 技術資料:MT6M12879 11 ヒートシンクへの PCB の取り付け 振動に対する接合信頼性を確保するために、スペーサーとネジでヒートシンクに PCB を取り付けることが望ましい です。図 14 は取り付け工程の一例を示しています。 スペーサーの配置は、半田接合の過剰ストレスを避けるために制限されています。取り付け工程が半田付けの後 の場合、モジュール外縁とスペーサー中心線間の距離は、5.0cm 以上でなければなりません。取り付け工程が半 田付けの前の場合、その距離は 5.0cm 未満が許容されます。 Thermal paste Module Screw PCB Clamp Screw Spacer; h = 12±0.3mm Heat sink Fig. 7 Fix a PCB to a heat sink 図 14 ヒートシンクへの PCB の取り付け Distance; x >= 5.0cm *In case fixing process is after soldering. 12 保管および運搬条件 (1) モジュールは 5~35℃の標準温度かつ 45~75%の湿度で保管しなければなりません。 上記の保管条件下で、モジュールが製造日から 1 年以上経過している場合、端子の半田濡れ性に注意してくださ い。 (2) モジュール表面の結露を避けるために、温度変化がほとんどない場所でモジュールを保管してください。 (3) 腐食性ガスや埃への露出を避けてください。 (4) モジュールに過度な外力がかからないようにしてください。 (5) モジュールの端子は未処理の状態で保管してください。 (6) 運搬の際にモジュールを落下させたり、衝撃を与えないでください。 10