(No.33, 2007年度)レーザ光強度分布制御によるサーマルリライタブル記録媒体の繰返し耐久性向上(8P/1,082KB)

レーザ光強度分布制御によるサーマルリライタブル記録媒体
の繰返し耐久性向上
Improvement of Repetition Durability by Controlling Intensity Distribution of the
Laser Beam for Laser Recording on Thermal Rewritable Media
川原 真哉*
石見 知三*
堀田 吉彦*
Shinya KAWAHARA
Tomomi ISHIMI
Yoshihiko HOTTA
要
旨
サーマルリライタブル記録媒体をレーザ光により加熱して記録するレーザ記録では,非接触で
あるために離れたところから記録が可能であり移動体への記録も可能となる事から,サーマルリ
ライタブル記録媒体の用途が広がる可能性がある.一般にレーザ光の強度分布は中央部が強いガ
ウス分布であるため,中央部に過剰のエネルギーが加わって高温になり,印字及び消去を繰り返
すと記録媒体の層破壊や材料の分解等が起こり,濃度低下や消え残りが発生する.この濃度低下
や消え残りを光強度分布を制御する事により改善できる事を見出した.さらに熱拡散シミュレー
ション計算の結果から,記録媒体が均一に加熱されている事が繰返し耐久性の向上に寄与してい
る事がわかった.
ABSTRACT
We are studying laser recording on thermal rewritable media. As an image is recorded by an irradiation
of laser beam out of contact between the energy source and the medium, the laser recording are expected
to find new markets, because the image can be recorded even if the energy source and the medium is
separated and the medium is moving. The decrease of the optical density of recorded image and the
increase of the optical density of erased image are occurred by repetition of image recording and erasing
by the irradiation of laser beam of Gaussian distribution, because the energy of the laser beam is too high.
We found that the repetition durability improves by controlling intensity distribution of the laser beam.
The calculated result by a thermal diffusion simulation shows that the repetition durability improves by
uniform heating of the medium.
* サーマルメディアカンパニー 開発センター
Research and Development Center, Thermal Media Company
Ricoh Technical Report No.33
57
DECEMBER, 2007
Fig.2に基本的な発色・消色プロセスを示す4).消色
1.背景と目的
状態のロイコ染料と長鎖型顕色剤からなる組成物(A)
リライタブル表示技術は,その利便性や環境負荷低
を溶融混合するまで加熱すると発色する(B).ここか
減の点から注目度の高い技術分野として各種方式が提
ら徐冷すると消色して元に戻るが,急冷すると発色状
案されている.それらの中で,熱を利用したリライタ
態は固定化され発色画像が形成できる(C).発色状態
1)
は,溶融温度より低い温度に加熱すると消色し(E),
ブル熱記録媒体はいち早く実用化に至っている .
これによって画像消去できる.
従来,リライタブル熱記録媒体にはサーマルヘッド
による加熱記録が用いられてきたが,レーザ光により
Coloring process
加熱して記録するレーザ記録についても検討されてお
Decoloring process
Solid colored
state
Optical density
り2),レーザ記録では従来のサーマルヘッド記録と異
なり非接触であるために,記録媒体から離れた位置か
らレーザ光を照射して記録が可能であり,移動体への
記録も容易となる事から,リライタブル熱記録媒体の
Quenchin
Qu
enching
g
C
D
Melted state
Crystallization
of developer
Decolored
state
用途が広がる可能性がある.
E
A
一般にレーザ光の強度分布は中央部が強いガウス分
T2
布であるため,中央部に過剰のエネルギーが加わって
B
Slow
Slow
cooling
ooling
T1
Temperature䋨㷄䋩
高温になり,印字及び消去を繰り返すと記録媒体の層
Fig.2 Coloring/decoloring process of leuco dye/longchain developer systems.
破壊等の劣化が起こり,画像濃度低下や消去温度に加
熱しても消去できないような劣化による消去不良が発
生する.本報告では,レーザ光の強度分布を制御する
2-2
事により,レーザ記録での繰返し耐久性が大きく向上
する事を見出したので報告する3).
実験装置
Fig.3に今回用いたレーザ実験装置の概略図を示す.
光源にはCO2レーザ(波長10.6μm,最大出力100W)
を用いた.光分布制御のためのレーザ光遮断マスクを
2.実験方法
2-1
設置可能にするためにミラーを用いて光路長を長くし
ている.レーザ光の走査はX,Y軸ガルバノスキャナ
記録媒体
ミラーを用いる事により行ない,fθレンズ(焦点距
離:184mm)により集光して印字及び消去を行なう.
今回用いた記録媒体の基本構成をFig.1に示す.
この時のレーザ光スポット径は最小で約0.2mmであり,
Protective layer
レーザ光スポット径を変えるための記録媒体までの照
Intermediate layer
Recording layer
射距離の調整はスライドステージを移動させる事に
よって行なう.
Base film
Fig.1
CO2レーザの場合は,記録媒体自体が波長10.6μm
Basic structure of thermal rewritable medium.
の光を吸収するために,レーザ光を吸収して発熱させ
るための添加剤が必要なく,サーマルヘッド記録で用
ベースフィルムは白色PETフィルム(125μm)を
いられる記録媒体がそのまま使用可能である.
用い,記録層(約12μm)はロイコ染料とフェノール
系長鎖型顕色剤を主成分としたものを用いた.記録層
上には紫外線遮蔽のための中間層(約1.5μm)及び媒
体表面を保護するための保護層(約3.5μm)を設けた.
Ricoh Technical Report No.33
58
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Beam Expander
Mirror
3-2-1
Mask
レーザ光強度分布
Mirror
Fig.5に実験1で用いたレーザ光の強度分布を示す.
fθlens
Galvano
Scanner
Mirror
結果と考察
3-2
CO 2 Laser
Slide Sta ge
中央部の光強度が強いガウス分布に近い分布である事
Sample
がわかる.
㪠㫅㫋㪼㫅㫊㫀㫋㫐㩿㪮㪆㫄㫄㪉 㪀
Fig.3 The schematic diagram of the experimental
laser recording and erasing system.
3.実験1
実験および評価方法
3-1
㪉㪇㪇
㪈㪏㪇
㪈㪍㪇
㪈㪋㪇
㪈㪉㪇
㪈㪇㪇
㪏㪇
㪍㪇
㪋㪇
㪉㪇
㪇
Fig.5 Intensity distribution of the laser beam of
experiment 1 (Laser power on medium :
20.1W).
Fig.3のレーザ実験装置を用い,適度な線幅(約
0.3mm)を得るために照射距離を焦点位置から6mm
遠い位置にずらして(照射距離190mm),Fig.4に示
3-2-2
す画像を印字して反射濃度を測定し,その後消去して
レーザ印字特性
Fig.6にレーザパワーを変えて印字した時の照射エネ
消去部の反射濃度の測定を行なった.この時,レーザ
2
光のスポット径(1/e )は約0.5mmであり,レーザ光
ルギーと印字濃度の関係を示す.飽和濃度を得るのに
走査速度は市場で要求される標準的な処理速度を想定
必要な記録媒体面上での照射エネルギーは約
して1800mm/secとした.この条件でFig.4の画像を約
20mJ/mm2である.照射エネルギーは以下の式を用い
50msecで印字可能であった.
て算出した.なお,Eは照射エネルギー(mJ/mm2),
Pはレーザパワー(W),tはレーザ照射時間(sec),
Sは印字面積(mm2)を表す.
4mm
Measuring area
E=P×t/S
Fig.4 Magnified view of recorded images.
1.4
1.2
で読み取り,反射濃度計と対応させた反射濃度に換算
1.0
O.D.
反射濃度の測定は,印字部及び消去部をスキャナー
した.
レーザ光の光強度分布の測定は,ビームプロファイ
0.8
0.6
0.4
ラーLPK-CO2-16(Spiricon社製)を用いた.
0.2
0.0
5
10
15
20
Recording Energy(mJ/mm2)
25
Fig.6 Relationship between recording energy and
optical density of recording.
Ricoh Technical Report No.33
59
DECEMBER, 2007
3-2-3
印字はFig.6の20.7mJ/mm2,消去はFig.7の22.0mJ/mm2
レーザ消去特性
の条件で行なった.
Fig.7にレーザパワーを変えて消去した時の照射エネ
印字において,1回目は画像濃度で約1.2の線画像が
ルギーと消去濃度の関係を示す.レーザでの消去は媒
得られるが,3回,10回と繰返し印字を行なうと線中
体全面を光走査して消去するために印字と比較して時
央部の画像濃度が低下していった.消去においては,
間がかかる事から,レーザ光走査速度を速くしている
1回目から劣化による消去不良がわずかにみられ,3回
(2000mm/sec).光走査方法としては,照射距離を
及び10回繰返し後には劣化による消去不良が目立つよ
焦点位置から遠い位置に40mmずらして,媒体面上で
うになった.画像濃度が低下した部分の媒体断面を
2
のレーザ光のスポット径(1/e )を約3mmと拡大し,
SEMで観察すると塗工層がなくなっている事がわかっ
かつ0.6mm間隔でずらしながらレーザ光が重複するよ
た.これは,レーザ光の強度分布がFig.5に示すように
うに光走査し,記録媒体を均一に消去温度に加熱して
中央部が強い強度分布である事から,線中央部に発色
消去を行なった.上記走査速度は,市販のCO2レーザ
に必要なエネルギーよりも極端に高いエネルギーが加
マーカーは出力30Wが一般的である事から,上記の光
わって高温になったためと考えられる.また,劣化に
走査で,かつ30Wで消去可能となる最大の走査速度と
よる消去不良は,印字時に加わった過剰のエネルギー
した.
により高温となり,記録層中の顕色剤が熱分解し,非
Fig.7に示すように,消去が可能となる照射エネル
可逆性の発色状態を形成するためと考えられる.なお,
2
ギーの範囲は約16~26mJ/mm であり,この条件で
Fig.7の消去濃度は1回目の線周辺部の消去が良好な部
Fig.4の画像は約0.4secで消去可能であった.消去の照
分を測定した.
射エネルギーが印字の照射エネルギーと同程度になっ
ているのは,レーザ光を重複させて光照射しているた
Once
3 times
10 times
めに消去に時間がかかり,熱拡散によるエネルギー損
失が大きくなっているためと考えられる.
Recording
0.3mm
1.4
1.2
Erasing
O.D.
1.0
0.8
0.6
Fig.8 Recorded images and erased images by
repetition.
0.4
0.2
0.0
0
5
この結果から,レーザ記録での繰返し耐久性を向上
10 15 20 25 30 35 40
Erasing Energy(mJ/mm2)
させるためには,記録媒体を均一に加熱し,かつ照射
エネルギーを発色に必要なエネルギー以上の余分なエ
Fig.7 Relationship between erasing energy and
optical density of erasing.
ネルギーを加えないようにする事が重要であると考え
られる.そのためには,レーザ光の強度分布をガウス
3-2-4
分布と比較して中央部の強度が弱い強度分布に制御す
繰返し耐久性評価
る事が必要であると考えられる.
Fig.5に示す強度分布を有するレーザ光を用いて繰返
この考え方を検証するために,レーザ光強度分布制
し印字を行なった時の印字部及び消去部をFig.8に示す.
Ricoh Technical Report No.33
60
御実験を行なった.
DECEMBER, 2007
4.実験2
4-1
4-1-1
4-2
実験方法
結果と考察
レーザ光強度分布
4-2-1
Fig.10に強度分布を制御した時のレーザ光強度分布
レーザ光強度分布調整方法
を示す.
強度分布の調整は,レーザ光の外周部あるいは中央
部を遮断するFig.9に示すようなステンレス製の光遮断
(a)
(a)
(b)
Intensity
distribution 1
㪠㫅㫋㪼㫅㫊㫀㫋㫐㩿㪮㪆㫄㫄㪉㪀
マスクをFig.3に示す位置に設置して行なった.
(c)
度が周辺部より弱い強度分布を得ようとするとマスク
によるレーザ光の回折によりスポット径が大きくなり
(c)
印字線幅が約0.5mmとなる事から,いずれの強度分布
Intensity
distribution 3
においても印字線幅を約0.5mmに揃えて評価を行なっ
た(スポット径は約0.8~1.0mm).
4-1-2
(d)
繰返し耐久性評価方法
Intensity
distribution 4
㪠㫅㫋㪼㫅㫊㫀㫋㫐㩿㪮㪆㫄㫄㪉㪀
distribution 2
㪈㪇㪇
㪏㪇
㪍㪇
㪋㪇
㪉㪇
㪇
㪠㫅㫋㪼㫅㫊㫀㫋㫐㩿㪮㪆㫄㫄㪉㪀
Fig.9(b)およびFig.9(c)のマスクを用いて中央部の強
Intensity
㪈㪇㪇
㪏㪇
㪍㪇
㪋㪇
㪉㪇
㪇
㪠㫅㫋㪼㫅㫊㫀㫋㫐㩿㪮㪆㫄㫄㪉㪀
(b)
㪈㪇㪇
㪏㪇
㪍㪇
㪋㪇
㪉㪇
㪇
㪠㫅㫋㪼㫅㫊㫀㫋㫐㩿㪮㪆㫄㫄㪉㪀
Fig.9 The figures of masks for cutting the laser
beam.
㪊㪍㪇
㪊㪋㪇
㪊㪉㪇
㪊㪇㪇
㪉㪏㪇
㪉㪍㪇
㪉㪋㪇
㪉㪉㪇
㪉㪇㪇
㪈㪏㪇
㪈㪍㪇
㪈㪋㪇
㪈㪉㪇
㪈㪇㪇
㪏㪇
㪍㪇
㪋㪇
㪉㪇
㪇
㪈㪇㪇
㪏㪇
㪍㪇
㪋㪇
㪉㪇
㪇
光遮断マスクを設置した場合,印字時だけでなく消
去時においても光強度分布が変わり,印字の強度分布
(e)
制御の効果が判断しにくくなるため,印字のみを繰返
した後,前述の消去条件でレーザ照射を行ない,消去
部の反射濃度を測定し,さらにもう一度印字して印字
Intensity
distribution 5
Fig.10 Intensity distributions of the laser beam
(Laser power on each medium : (a)33.4W,
(b)21.0W, (c)21.0W, (d)18.1W, (e)20.6W).
画像の反射濃度を測定した.この時の印字条件は,
Fig.9(c)のような中央部の遮断領域が大きいマスクの
場合,エネルギーロスが大きいため,レーザ光走査速
Fig.10(a)はFig.5のレーザパワーを約1.7倍にして印
度を遅くした(1100mm/sec).それぞれのレーザパ
ワーについては,Fig.10に示す.
字線幅を約0.5mmとなるようにしたために中央部の光
強度がかなり強い強度分布であった.Fig.10(b)は照射
距 離 を 焦 点 位 置 か ら 17mm 遠 い 位 置 ( 照 射 距 離
201mm)にずらした時の強度分布であり,Fig.10(a)
と比較して中央部の強度が弱い強度分布であった.
Fig.10(c)はFig.9(a)のマスクを用いた場合であり,中
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央部の強度が周辺部より若干強い強度分布であった.
わったためと考えられる.また,Fig.11(b)では,繰返
Fig.10(d)はFig.9(b)のマスクを用いた場合であり,中
し100回で劣化による消去不良がみられ,繰返し200回
央部の強度が周辺部より若干弱い強度分布,Fig.10(e)
で大きな画像濃度低下及び劣化による消去不良がみら
はFig.9(c)のマスクを用いた場合であり,中央部の強
れた.これは光強度分布2でもまだ中央部の強度が強
度がさらに弱い強度分布であった.
いために線中央部に過剰のエネルギーが加わったため
4-2-2
と考えられる.
レーザ光強度分布と繰返し耐久性の関係
Fig.10に示す強度分布を有するレーザ光を用いて繰
返し印字を行なった時の印字部及び消去部をFig.11に
O.D.
示す.また,その時の画像濃度変化及び消去濃度変化
をFig.12に示す.
Once
100
times
200
times
300
times
500
times
Intensity
distribution 1
Erasing
Recording
Erasing
0
Recording
(a)
٨ ‫ ޚ‬Intensity distribution 1
‫ غ ع‬Intensity distribution 2
ً ٌ Intensity distribution 3
ٟ ٠ Intensity distribution 4
٨ ‫ ޚ‬Intensity distribution 5
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
100
200
300
400
Number of repetition
500
Fig.12 Repetition durability of controlling intensity
distribution of the laser beam.
0.5mm
Recording
(b)
Fig.11(c)及び(d)では,繰返し300回では画像濃度低
Intensity
distribution 2
下及び劣化による消去不良がなく,500回でわずかに
Erasing
劣化による消去不良がみられた.これは中央部の強度
と周辺部の強度の差が小さい強度分布とする事により,
Recording
(c)
記録媒体上において中央部とその周辺部の温度差が小
Intensity
distribution 3
さくなり,均一に加熱されているためであると考えら
Erasing
れる.
一方,Fig.11(e)では,線の中央部ではなく線のエッ
Recording
(d)
ジ部に繰返し300回で劣化による消去不良がみられた.
Intensity
distribution 4
これは,中央部の強度に対して周辺部の強度が強くな
Erasing
り過ぎ,線のエッジ部に過剰のエネルギーが加わった
ためと考えられる.
Recording
(e)
Intensity
distribution 5
4-2-3
熱拡散シミュレーション計算による考察
Erasing
Fig.10に示す異なる光強度分布を有するレーザ光を
走査させた時の記録媒体上での温度分布を求めるため,
Fig.11 Recorded images and erased images by
repetition.
記録媒体上の温度分布をMSC社製Marc Mentatを用い
て有限要素シミュレーションで計算した.この時,実
Fig.11(a)では,1回目で線中央部の濃度低下および
験2のFig.10(b)~(e)に近い強度分布モデルを設定した
(Fig.13(a)~(d)).
劣化による消去不良が発生した.これは中央部の強度
が強過ぎるために線中央部に過剰のエネルギーが加
Ricoh Technical Report No.33
62
DECEMBER, 2007
なお,今回のシミュレーション計算は以下の(1),
(2)を前提として行なった.
250
Temperature( 㷄 )
(1)
PET基材上に記録層を設け,記録層は均一な材
料で構成され,熱拡散が層内で均一に起こり,
レーザ光は記録層のみに吸収され発熱する.ま
た,記録層の上側は空気層と設定した.
(2)
Intensity(a.u.)
150
100
50
-0.6
させ,0.1msec毎にエネルギーを加える.
Intensity
distribution 6
䃂 (d)Intensity distribution 9
200
0
レーザ光を走査速度1100mm/secで直線状に走査
(a)
䂹 (a)Intensity distribution 6
䂓 (b)Intensity distribution 7
䂥 (c)Intensity distribution 8
300
-0.4
-0.2
0
0.2
Radius (m m )
0.4
Fig.14 Simulation results for each
distributions of the laser beam.
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
0.6
intensity
Fig.13(c)の中央部の強度が周辺部より若干弱い強度
1mm
分布で,Fig.14(c)のように記録媒体上の温度分布が均
1mm
Intensity
(b)
distribution 7
Intensity(a.u.)
一となっているのは,レーザ光を走査している事から
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
線中央部にも周辺部の強い強度のレーザ光が照射され,
かつ熱拡散が起こるためと考えられる.
上記の結果から,Fig.11(b)での線中央部の画像濃度
1mm
低下及び劣化による消去不良の発生については,
(c)
Intensity
distribution 8
Intensity(a.u.)
1mm
Fig.14(a)のように中央部が高温となっているためと考
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
えられる.Fig.11(c)及び(d)で繰返し耐久性が向上し
ている事については,Fig.14(b)及び(c)のように中央
1mm
部と周辺部の温度差が小さく,記録媒体が均一に加熱
Intensity
(d)
distribution 9
Intensity(a.u.)
1mm
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
されているためと考えられる.
以上の事から,レーザ光強度分布をFig.10(c)及び
(d)のような中央部と周辺部の強度の差が小さい強度
分布にして記録媒体が均一に加熱する事が繰返し耐久
1mm
性の向上に大きく寄与する事がわかり,レーザ光強度
1mm
分布制御の考え方の検証ができた.
Fig.13 Intensity distributions of the laser beam for a
thermal diffusion simulation.
5.まとめと今後の展開
Fig.14に,各光強度分布に対するシミュレーション
計算によって得られた走査方向に対して直交面の媒体
リライタブル熱記録媒体へのレーザ記録において,
上の温度分布を示す.
光分布制御技術が確立でき,繰返し耐久性向上には
レーザ光の強度分布を中央部の強度と周辺部の強度の
差を小さくして記録媒体を均一に加熱する事が重要で
ある事がわかった.また,光強度分布制御技術により,
リライタブルレーザ記録の価値が高まり,リライタブ
ル熱記録媒体の用途が広がる可能性が高まった.
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63
DECEMBER, 2007
今後は,光遮断マスクではエネルギーロスがある事
から,エネルギーロスが少なく,中央部の強度と周辺
部の強度の差が小さいレーザ光強度分布となるような
非球面レンズ等の光学系の検討を進めていく.さらに,
次の段階として,小型化が可能で使用用途の拡大が期
待できる半導体レーザを用いたリライタブル記録プロ
セス/装置の開発および半導体レーザ光を吸収してリ
ライタブル記録が可能となる媒体の開発を進めていく.
参考文献
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Ricoh Technical Report No.33
64
DECEMBER, 2007