第4章 パワー端子の詳細 内容 ページ 1. バス電圧入力端子と下アームIGBTエミッタの接続 …………………………….. 4-2 2. 過電流保護用 外部シャント抵抗の設定方法 …………………………………… 4-3 Fuji Electric Co., Ltd. MT6M10528 Rev.1.3 Jun.-2014 4-1 第4章 パワー端子の詳細 1. バス電圧入力端子と下アームIGBT エミッタの接続 この章では、シャント抵抗値の決め方などパワー端子の回路設計におけるガイドラインと注意点について説明し ます。 (1) パワー端子の説明 表4-1 にパワー端子の詳細を示します。 表 4-1 電源端子の詳細説明 端子名 説明 P 主電源(+)入力端子です。 この端子は、IPM内部で上アームIGBTのコレクタに接続しています。 配線やプリント基板パターンのインダクタンスにより発生するサージ電圧を抑制するため、 この端子の近くにスナバコンデンサを接続します。 (一般的には、フィルムコンデンサが使われます) U,V,W インバータの出力端子です。 モーター負荷に接続します。 N(U),N(V),N(W) 主電源(-)入力端子です。 これらの端子は、各相の下アームIGBTのエミッタに接続しています。 各相の電流を観測するために、これらの端子とパワーGND間にシャント抵抗が接続さ れます。 (2) シャント抵抗とスナバコンデンサの推奨配線 過電流(OC)状態や相電流を検出する為に、外部シャント抵抗を使用します。シャント抵抗とIPM間の配線 シャント抵抗とIPM間の配線パターンが長い場合、発生するサージによって内部制御ICと過電流検出用の部 品にダメージを与える可能性がありますので、配線のインダクタンスを低減するために、シャント抵抗とIPM間 の配線は可能な限り短くして下さい。 図.4-1に示すように、スナバコンデンサはサージ電圧を効果的に抑制する為に、正しく接続しなければなりま せん。一般的に0.1~0.22uFを推奨いたします。スナバコンデンサを図.4-1の”A” 箇所に接続すると配線のイ ンダクタンスが無視できないため、サージ電圧を効果的に抑制することができません。 スナバコンデンサを”B”箇所に接続すると、スナ バコンデンサに流れる充放電電流はシャント抵抗 にも流れます。これは、電流検出信号に影響を与 えるため、過電流保護レベルが設計値よりも低く なります。”B”箇所のサージ電圧抑制効果 は、”A”又は”C”箇所より優れていますが、電流 検出精度を考慮すると”C”箇所の方が優れてい るため、一般的に”C”箇所に接続します。 inductance of wire(or pattern of PCB) DC Bus Positive P B C A + Bluk Capacitor N(U) N(V) COM N(W) DC Bus Negative Shunt resister 図.4-1 シャント抵抗とスナバコンデンサの推奨配線 Fuji Electric Co., Ltd. MT6M10528 Rev.1.3 Jun.-2014 4-2 第4章 パワー端子の詳細 2. 過電流保護用 外部シャント抵抗の設定方法 (1) シャント抵抗の選定について シャント抵抗値は、次式のように求められます: RSh = VIS ( ref ) (4.1) I OC VIS(ref)は、IPMの過電流保護 入力検出電圧、Iocは過電流保護の電流検出レベルです。VIS(ref)は、 0.43V(min.)、0.48V(typ.)、0.53V(max) の範囲で規定されます。そして、Rshはシャント抵抗値となります。 最大過電流検出レベルは、シャント抵抗のばらつきを考慮し、本IPMデータシートの繰り返しピークコレクタ電 流より低く設定して下さい。 例えば、過電流検出レベルを60Aに設定する場合、推奨のシャント抵抗値は次式で求められます。 RSh (min) = VIS ( ref )(max) I OC = 0.53 = 8.8 [mΩ] 60 (4.2) Rsh(min)は、シャント抵抗の最小値であり、上記に基づき、シャント抵抗の最小値は導き出されます。 実機にて要求される過電流レベルを考慮して、適切なシャント抵抗値の選定及び確認することが必要です。 (2) 過電流保護の遅延時間の設定について ノイズによる過電流保護回路の誤動作を防ぐ為に、外部にRCフィルタが必要となります。RC時定数は、ノイ ズの印加時間とIGBTの短絡耐量により決定されます。おおよそ1.5usに設定することを推奨いたします。 シャント抵抗の電圧が過電流レベルを超える時に、IS端子への入力電圧が過電流レベルまで上昇する遅延 時間(tdelay)は、RCフィルタの時定数で決まり、次式のようになります。 t( delay ) = −τ ⋅ ln(1 − VIS ( ref )(max) RSh ⋅ I P ) (4.3) τはRC時定数で、IPはシャント抵抗に流れるピーク電流です。 更に、過電流の遮断伝達遅延時間がある為、過電流状態が検出されてからIGBTが遮断するまでのトータル 遅延時間ttotalは、 ttotal = t delay + t d ( IS ) (4.4) トータル遅延時間ttotalは、必ずIGBTの短絡耐量を考慮しなければなりません。 適切な遅延時間は、実機にて確認の上設定願います。 Fuji Electric Co., Ltd. MT6M10528 Rev.1.3 Jun.-2014 4-3