CCD カメラヘッドアンプ 高ゲイン、 低雑音アンプ搭載 CXA3796N CCD カメラヘッドアンプ 近年、監視カメラを用いた夜間での撮像のニーズが拡がりつつあります。 ソニーは今回、このような低照度撮像に適した C C D カメラヘッドアンプ“C X A 3 7 9 6 N ”を開発しました。 既存の C X A 2 0 9 6 N とピン互換性があり、外部からの最大ゲインやマイナスゲインを設定できるようにしました。 加えて C X A 2 0 9 6 N よりも低雑音としたことで、C X A 2 0 9 6 N のユーザをはじめ、 低照度撮像に関心のあるユーザにも最適なソリューションを提供することができます。 ■ 入力ダイナミックレンジを拡大 ■ 低雑音、高ゲインのAGC アンプ ■ AGC アンプの最大ゲイン、マイ ナスゲイン設定切り替えが可能 ■ ブランキング機能 ■ CDS クランプ機能 ■ サンプルホールド機能および 基準電圧出力機能 既存のCXA2096N とピン互換 CXA3796N は主に監視カメラなどの低照度 撮像に適したCCD カメラのヘッドアンプと して開発されたバイポーラIC です。CCD からの画素出力信号を相関二重サンプリン グ(CDS)による雑音除去を行った後、オー トゲインコントロールアンプ(AGC)による 増幅を行い、後段のDSP に内蔵されたA/D コンバータへ出力します。 ブロック図は、CDS 回路、CCD 出力信号用 AGC 回路、外部A/D コンバータ用カメラサ ンプルホールド(S/H)回路、A/Dコンバー タ用基準電圧出力回路、モニタ用 CCDLEVEL出力回路から構成されていま す(図-1) 。CXA3796Nは既存のCXA2096N とのピン互換性があり、そのまま置き換え ることができます。(MAXGAIN 端子、 GAINSHIFT 端子がそれぞれCXA2096N で はNC 端子、PS(Power Save)端子になっ ており、そのまま置き換えた場合には CXA2096N モードとして動作します。 ) 9 種類のゲインカーブ このMAXGAIN 端子およびGAINSHIFT 端 子の電圧設定により、9種類のゲインカー ブを選択することが可能です(表-1、図-2) 。 CXA3796N は特にマイナスゲインにも対応 していますので、従来から要望のあったカ ラーローリング現象に対し、有効なソリュ ーションを提供することができます。 4 ∼5dB の低雑音化を達成 このCXA3796Nでは低雑音化のためにAGC アンプの回路構成を見直しています。さら に、ブランキング時にCCDLEVEL 出力を 無効にするブランキング機能を搭載したこ とで、既存より低雑音化に寄与しました。 図-3 にゲインと出力雑音の比較を示します。 同じ 26dB のゲインで比較した場合、 CXA3796N では約4∼5dBの雑音低減効果 があります。 (注:この値はカメラセットに 依存します。 ) CDS クランプによる黒レベル設定 CCD の画素出力は温度、個体差など使用条 件によってDC レベルが大きく変わります が、CXA3796NではこのDC レベルを外部 からのCLPDM 信号により、常にある基準 電圧の黒レベルに合わせることができます。 これにより、使用条件が異なっても常に一 定の黒レベルを保つことができます。 このCXA3796Nの後段にはA/Dコンバータ が接続されます。このため、CXA3796N の 出力を1 画素毎にサンプルホールドする機 能を搭載しました。これにより、セトリン グ不足などによる信号劣化などの問題を低 減することができます。 低照度での撮像 写真-1 は撮像例です。雑音を低減している ため、低照度時でも良好な画像を得ること ができます。 設計者 中原 大作 本 IC は監視カメラ用の CCD カメラヘッド アンプです。監視カメラ用は、暗い場所や 時間帯でも明るく鮮明な映像を映し出せる ことが要求されます。そこで今回は、従来 の製品よりもさらに高ゲイン、低雑音とい う特性を実現しました。特に雑音設計では、 入力からAGC までの信号ラインで雑音を抑 えることが重要であり、S/H 回路、AGC 回 路の低雑音設計に開発メンバー一丸となっ て注力しました。ぜひご検討ください。 図- 1 ブロック図 CXA3796N CCDLEVEL Output Buffer Automatic Gain Control (AGC) PIN CCD VOUT DIN + Correlated Double Sampling (CDS) Camera S/H – DRVOUT VIN Output Buffer GAINSHIFT MAXGAIN AGCCONT VCC OPEN VCC GND GND OPEN CDS Clamp VRT VRT VRB VRB DSP EVR 図- 2 ゲインカーブ(G A I N S H I F T = V c c のとき) 図- 3 ゲインと出力雑音 5 40 GAINSHIFT = VCC (0dB) 30 4 Gain [dB] 25 20 15 10 3.5 3 2.5 2 1.5 5 1 0 0.5 –5 0.5 0 0.6 0.7 0.8 CXA3796N CXA2096N 4.5 MAXGAIN = VCC (34dB mode) MAXGAIN = GND (30dB mode) MAXGAIN = OPEN (26dB mode) Output Noise [mVrms] 35 A/D Converter 0.9 1 0 5 10 写真- 1 撮像例 15 20 30 35 表- 1 M A X G A I N および G A I N S H I F T の設定 MAXGAIN GAINSHIFT VCC VCC –3dB∼31dB GND –6dB∼28dB 0dB∼30dB OPEN –3dB∼27dB GND –6dB∼24dB VCC OPEN Gain 0dB∼34dB OPEN VCC GND CXA3796N (1000lx, F5.6, 1/60秒, 34dB mode) 25 Gain [dB] VAGCCONT / VCC 0dB∼26dB OPEN –3dB∼23dB GND –6dB∼20dB