1008KB - Fujitsu

FUJITSU SEMICONDUCTOR
DATA SHEET
DS411-00003-1v1-J
ASSP
ISO/IEC 18000-6 Type-C 準拠
FRAM 搭載 UHF 帯 RFID LSI
TM
MB97R803A/B,MB97R804A/B
■ 概要
本書は , 国際規格 EPCglobal Class 1 Generation 2 -Ver.1.2.0- ( 以下 , EPC 規格と記す ) に基づき , パッシブ型 RFID タグ LSI
(FRAM 4 KB 搭載品 ) に関する LSI 仕様を記載します。
本書では , EPC 規格における質問器 (Interrogator) を , 通例に従って R/W( リーダ・ライタ ) と表記しています。タグ (Tag)
に関してはそのままタグと表記しています。
■ 特長
・ EPCglobal Class 1 Generation 2 (C1G2) Ver.1.2 .0 準拠
- 世界中の UHF 帯に対応 ( キャリア周波数 :860 MHz ~ 960 MHz)
- 高速データ送受信対応
R/W →タグ:26.7 kbps ~ 128 kbps ( データ 0 とデータ 1 の数が等しい場合 )
タグ→ R/W:40 kbps ~ 640 kbps
- DSB-ASK, SSB-ASK, PR-ASK 変調 (EPCglobal C1G2 に準拠 )
- アンチコリジョン機能対応
- 周波数ホッピング対応
- BlockPermalock 対応 : ユーザ・メモリは 1Block ( = 16 ビット ) 単位で書き込みロック可
- ReadLock( カスタムコマンド ): ユーザ・メモリは 1Area ( = 256 ビット ) 単位で読み出しロック可
・ シリアル・インタフェース (SPI) を搭載
- シリアル・インタフェースを通して , ユーザ・メモリを読み書き可能
- 非接触インタフェースとのアクセス制御 : 非接触インターフェース優先
- シリアル・インタフェース使用時の電源 : 2.3 V ~ 3.6 V ( 外部回路からの電源供給が必要 )
- 低消費電力 動作電流= 70 μA@2MHz (Typ), スタンバイ電流= 10 μA (Typ)
- パワーダウンモード搭載 パワーダウン電流= 10 nA (Typ)
-TSSOP16 ピンパッケージ (FPT-16P-M08)
・ 高速読出し / 高速書込みが可能な不揮発性メモリ (FRAM): 4 K バイト ( = 4,096 バイト ) を搭載
- ユーザ・メモリのサイズ:3,424 バイト
- システム領域 (EPC 規格の Reserved, EPC, TID を含む ) のサイズ : 672 バイト
- 書込み / 読出し耐性:1010 回
- データ保持特性:10 年 ( + 55 °C)
Copyright 2012-2015 FUJITSU SEMICONDUCTOR LIMITED
2015.8
MB97R803A/B,MB97R804A/B
■ ブロックダイヤグラム
アナログ RF インタフェース
デジタルコントロール
SPI インタフェース
FRAM
アンテナ 整流器
VDD
クロック発生器
電源電圧制御
クロック
R/W
データ出力
I/O
データ入力
変調器
復調器
I/O
アンチ
コリジョン
VDD
コマンド
クロック
4 K バイト
データ入力
データ出力 コマンド
FRAM アクセス
コンバータ
FRAM アクセス
R/W
データ入力
データ出力
データ入力
データ出力
■ 端子配列図
2
SCK
1
16
SI
SO
2
15
NC
VDD
3
14
PWRM
NC
4
13
NC
VSS
5
12
PWRP
NC
6
11
NC
SPI
7
10
XCS
XWP
8
9
BUSY
端子番号
端子名
インタフェース
機能説明
12
PWRP
非接触通信
アンテナ端子
14
PWRM
非接触通信
アンテナ端子
9
BUSY
シリアル
非接触インタフェースの状態信号端子
7
SPI
シリアル
SPI モードの切替端子
10
XCS
シリアル
チップセレクト端子
8
XWP
シリアル
ライトプロテクト端子
1
SCK
シリアル
シリアルクロック端子
16
SI
シリアル
シリアルデータ入力端子
2
SO
シリアル
シリアルデータ入力端子
3
VDD
シリアル
シリアル通信用電源電圧端子
5
VSS
シリアル
グランド端子
4, 6, 11, 13, 15
NC
⎯
ノーコネクション端子 ( 常に開放)
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MB97R803A/B,MB97R804A/B
■ 非接触通信インタフェース
非接触インタフェースは , EPCglobal C1G2 Ver.1.2.0 ( 主に 6.3.1 項 ) に準拠しています。
■ シリアル・ インタフェース
本 LSI は , SPI (Serial Peripheral Interface) 規格のシリアル・インタフェースを搭載しており , 外部回路からの電源供給によ
り , FRAM 内のユーザ・メモリにデータの書込みや読出しができます。
1. シリアル・インタフェース端子
下表に , シリアル・インタフェース端子と , その機能を示します。
・シリアル・インタフェース端子の機能説明
端子番号
端子名
機能説明
9
BUSY
非接触インタフェースの状態信号端子
非接触通信中に VDD 端子を ON にすると BUSY は “H” を出力します。
BUSY が , “H” のとき , チップは非接触通信を行っているため , 同時にシリアル通信を行っ
た場合 , シリアル通信は無視されます。BUSY が “L” の場合にのみ , シリアル通信モードへ
の移行が可能です。
7
SPI
SPI モード切替端子
チップをシリアル通信モードへ切り替えるための入力端子です。SPI を “H” にすることで ,
チップはシリアル通信モードに移行します。1 MΩ (Typ) プルダウン抵抗付き。
10
XCS
チップセレクト端子
チップを選択状態にするための入力端子です。XCS が “H” のとき , チップは内部が書込み
状態でない限り非選択 ( スタンバイ ) 状態となり , SO は High-Z になります。このとき ,
アンテナ端子以外の端子の入力は無視されます。XCS が “L” のとき , チップは選択 ( アク
ティブ ) 状態です。オペコード入力前に XCS を立ち下げる必要があります。
8
XWP
ライトプロテクト端子
WXP が “L” のときは , FRAM メモリへの書込みが実行されません。
1
SCK
シリアルクロック端子
シリアルデータの入出力のためのクロック入力端子です。SI は SCK の立上りエッジに同期
して取り込まれ , SO は SCK の立下りエッジに同期して出力されます。
16
SI
シリアルデータ入力端子
シリアルデータの入力端子です。オペコード , アドレス , 書込みデータを入力します。
2
SO
シリアルデータ出力端子
シリアルデータの出力端子です。FRAM メモリセルアレイの読出しデータが出力されます。
スタンバイ時は High-Z です。
3
VDD
シリアル通信用電源電圧端子:電圧 2.3 V ~ 3.6 V
5
VSS
グランド端子
DS411-00003-1v1-J
3
MB97R803A/B,MB97R804A/B
2. シリアル・インタフェースの接続方法
本 LSI のシリアル・インタフェースは SPI のスレーブとして動作します。下図に示すように , 本 LSI は SPI ポートを備え
たマイクロコントローラと接続できます。
外部に接続される SPI コントローラは , BUSY 信号をモニタし , BUSY 信号が “H” の時は , 本 LSI への電源を OFF, その
他信号を “L” としてください。
VDD
SPI
XCS
XWP
SCK
SI
SPI
XCS
XWP
SCK
MOSI
SO
BUSY
VSS
MISO
BUSY
VSS
MB97R804B
コントローラ ( 外部 SPI アクセス回路 )
3. SPI モード
本 LSI は , SPI モード 0 (CPOL = 0, CPHA = 0) と SPI モード 3 (CPOL = 1, CPHA = 1) に対応します。
XCS
SCK
SI
7
6
5
4
3
2
1
MSB
0
LSB
SPI モード 0
XCS
SCK
SI
7
6
5
4
MSB
3
2
1
0
LSB
SPI モード 3
4
DS411-00003-1v1-J
MB97R803A/B,MB97R804A/B
4. 非接触通信とシリアル通信の調停機能について
非接触通信とシリアル通信が同時に行われた場合には , 非接触通信が有効です。本 LSI では , 非接触通信中であることを
示す BUSY 信号を用意しています。また , 本 LSI は電源切換え機能を搭載しているため , 非接触通信中に VDD を ON にし
ても影響されません。
コントローラは , シリアル通信モードへ移行する前に ,BUSY 信号を確認する必要があります。BUSY 信号が , “H” の場合 ,
本 LSI は非接触通信を行っているため , 同時にシリアル通信を行った場合 , シリアル通信は無視されます。
下図のように BUSY 端子は , 非接触通信中に VDD 端子を ON にすると “H” を出力します。
BUSY 信号が “L” の場合にのみ , シリアル通信モードへの移行が可能となり , VDD 電源端子 , SPI 端子を用いて , シリア
ル通信モードへ移行します。
・非接触通信とシリアル通信の調停機能
有効ポート
RF
SPI
SPI
RF
SPI
High-Z
L 固定
High-Z
チップ内 整流電源
VDD
BUSY
SPI
XCS
XWP/SI/SCK
L 固定
SO
DS411-00003-1v1-J
High-Z
High-Z
High-Z
5
MB97R803A/B,MB97R804A/B
5. シリアル通信モードにおける電源シーケンス
シリアル通信モードにおける電源シーケンスを下図に示します。
VDD を立ち上げ後 , BUSY が “L” で有ることを確認してから , SPI と XCS を同時に立ち上げてください。XCS 立上げ後
, 1ms 以上待ってから XCS を立下げ , シリアル通信を開始してください。電源シーケンスのタイミング規格を下表「・シリ
アル通信時のタイミング規格」に示します。シリアル通信のタイミング規格の詳細は「■ コマンド 3. シリアル通信のコマ
ンド」を参照してください。
・シリアル通信時の電源シーケンス
非接触通信
シリアル通信
チップ内 整流電源
BUSY
tSU
tPH
VDD
SPI
L 固定
tPU
XCS
SCK/SI/SO
tPD
L 固定
L 固定
( 詳細は「■ コマンド 3. シリアル通信の
コマンド」参照 )
・シリアル通信時のタイミング規格
記号
規格値 ( 最小値 )
単位
SPI 立上げ開始時間
tSU
0
μs
電源ホールド時間
tPH
0
μs
電源 ON 時の XCS レベル保持時間
tPU
1000
μs
電源 OFF 時の XCS レベル保持時間
tPD
0.06
μs
項目
6
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6. 電源投入・切断時の XCS レベル保持時間について
シリアル通信モードへの移行の際の , 電源投入・切断シーケンスを下図に , また電源投入・切断時の XCS レベル保持時間
を下表に示します。
・シリアル通信電源投入・切断シーケンス
tpd
tpi
tpu
trs
VDD
VDD
2.3 V
2.3 V
VIH (Min)
VIH (Min)
1.0 V
1.0 V
VIL (Max)
VIL (Max)
VSS
VSS
XCS > VDD - 0.2 V *
XCS
XCS : Don't care
XCS > VDD - 0.2 V *
XCS
*:XCS (Max) < VDD + 0.5 V
(注意事項)・ 中間レベルからの電源 ON は誤動作の原因となるため , 電源 ON 時は VDD を 0 V から立ち上げてく
ださい。
・ 規定されたリードサイクル , ライトサイクル , 電源投入・切断シーケンスを守らない動作が実行され
た場合 , 記憶データの保障はしていません。
・シリアル通信電源投入・切断時の XCS レベル保持時間
項目
記号
規格値
最小
最大
単位
電源 OFF 時の XCS レベル保持時間
tpd
0.06
⎯
μs
電源 ON 時の XCS レベル保持時間
tpu
1000
⎯
μs
電源 OFF 時間
tpi
10
⎯
ms
電源立上げ時間
trs
0.05
200
ms
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7
MB97R803A/B,MB97R804A/B
■ メモリ
1. メモリアドレス指定方法
(1) 非接触通信時のアドレス指定方法
非接触通信においては , メモリの論理アドレスを拡張可能なビットベクタ (EBV; Extensible bit vectors) により , 指定しま
す。EBV フォーマットについては , EPCglobal C1G2 Ver.1.2.0 (Annex A) に準拠しています。
(2) シリアル通信時のアドレス指定方法
シリアル通信においては , メモリの論理アドレスをそのまま指定します。
2. メモリマップ
(1) メモリ領域
本 LSI の不揮発性メモリ (FRAM) は , 以下の 5 つの領域に分けられています。
・5 つのメモリ領域
名称
User
メモリサイズ
1712w × 16b = 27,392bit
BANK
論理アドレス範囲
11
アクセス可能コマンド
非接触通信
シリアル通信
000H ~ 06AFH
R/W/S/BLW/BLE
R/W
TID
16w × 16b =
256bit
10
000H ~ 00FH
R/S
R
EPC
35w × 16b =
560bit
01
000H ~ 022H
R/W/S/BLW/BLE
R
4w × 16b =
64bit
00
000H ~ 003H
R/W
⎯
14w × 16b =
224bit
⎯
⎯
L/BPL
*
Reserved
System
*:ロック情報と SPI エラー情報のみ , 読出しができます。
(注意事項)コマンド種類凡例:
R:READ, W:WRITE, S:SELECT, L:Lock, BPL:BlockPermalock, BLW:BlockWrite, BLE:BlockErase
User, TID,EPC, Reserved の各領域は , EPC 規格 (6.3.2.1 項 ) で規定されたデータを格納します。このうち User 領域が 「ユー
,
ザ • メモリ」と前述していた領域です。以下でも , 便宜上 , ユーザ • メモリと記します。これらの 4 つの各領域は , EPC 規格
では “Memory Bank”, あるいは単に “Bank” とよばれます。各領域 (Bank) 内では , 0 から始まる論理アドレスが使用されま
す。論理アドレスには EBV-8 形式を用います。
System 領域は , ユーザ・メモリのロック情報やパスワードなどが格納されています。
次ページにメモリマップを示します (System 領域は非公開です )。ユーザ • メモリは , 16word×16 ビット ( = 256 ビット )
のデータを格納管理する単位 ( 以下 , Area と記します ) と , Area を複数個集めて格納管理する単位 ( 以下 , AreaGroup と記
します ) から成っています。ユーザ • メモリは , 全部で 7 個の AreaGroup, 107 個の Area から構成されています。最初の 6 個
の AreaGroup は 16 個の Area を含んでおり , 最後の 1 個の AreaGroup は 11 個の Area を含んでいます。
なお “Bank”, “Area”, “AreaGroup” の概念は , 非接触通信に限定されるものであるため , シリアル通信において考慮する
必要はありません。
8
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・メモリマップ
Logical Address
(RF communication)
Bank
(bit)
(word)
Logical
Address
(SPI)
00000H - 000FFH
0000H - 000FH
0000H - 000FH
00100H - 001FFH
0010H - 001FH
0010H - 001FH
00200H - 00EFFH
0020H - 00EFH
0020H - 00EFH
00F00H - 00FFFH
00F0H - 00FFH
01000H - 01FFFH
bank
USER
EPC
TID
Reserved
11
1
10
00
Data Description
Size Total
(word) (word)
Area00
16
Area01
16
Area02 - 14
208
00F0H - 00FFH
Area15
16
0100H - 01FFH
0100H - 01FFH AreaGroup01
Area00 - 15
256
02000H - 02FFFH
0200H - 02FFH
0200H - 02FFH AreaGroup02
Area00 - 15
256
03000H - 03FFFH
0300H - 03FFH
0300H - 03FFH AreaGroup03
Area00 - 15
256
04000H - 04FFFH
0400H - 04FFH
0400H - 04FFH AreaGroup04
Area00 - 15
256
05000H - 05FFFH
0500H - 05FFH
0500H - 05FFH AreaGroup05
Area00 - 15
256
06000H - 06AFFH
0600H - 06AFH
0600H - 06AFH AreaGroup06
Area00 - 10
176
00000H - 0000FH
0000H - 0000H
06C0H - 06C0H StoredCRC16 (PC, EPC)
1
00010H - 0001FH
0001H - 0001H
06C1H - 06C1H StoredPC (Protocol Control)
1
00020H - 0020FH
0002H - 0020H
06C2H - 06E0H EPC
31
00210H - 0021FH
0021H - 0021H
06E1H - 06E1H XPC_W1
1
00220H - 0022FH
0022H - 0022H
06E2H - 06E2H XPC_W2
1
00000H - 000FFH
0000H - 000FH
06F0H - 06FFH TID
16
00000H - 0000FH
0000H - 0000H
076CH - 076CH KILL - Password[31:16]
1
00010H - 0001FH
0001H - 0001H
076DH - 076DH KILL - Password[15:0]
1
00020H - 0002FH
0002H - 0002H
076EH - 076EH ACCESS - Password[31:16]
1
00030H - 0003FH
0003H - 0003H
076FH - 076FH ACCESS - Password[15:0]
1
06E5H - 06E5H {LOCK[9:0], 5'h0, BPLI}
1
0778H - 0778H AreaGroup00
Area00 - 15
1
0779H - 0779H AreaGroup01
Area00 - 15
1
077AH - 077AH AreaGroup02
Area00 - 15
1
077BH - 077BH AreaGroup03
Area00 - 15
1
077CH - 077CH AreaGroup04
Area00 - 15
1
077DH - 077DH AreaGroup05
Area00 - 15
1
077EH - 077EH AreaGroup06
Area00 - 10
1
0780H - 0780H
Area00
1
Area01
1
Area02 - 14
13
078FH - 078FH
Area15
1
0790H - 079FH AreaGroup01
Area00- 15
16
07A0H - 07AFH AreaGroup02
Area00 - 15
16
07B0H - 07BFH AreaGroup03
Area00 - 15
16
07C0H - 07CFH AreaGroup04
Area00 - 15
16
07D0H - 07DFH AreaGroup05
Area00 - 15
16
07E0H - 07EAH AreaGroup06
Area00 - 10
11
Lock
Read
Lock
⎯
⎯
0781H - 0781H
0782H - 078EH
BPL
DS411-00003-1v1-J
⎯⎯
AreaGroup00
AreaGroup00
Total
(bit)
1,712
27,392
35
560
16
256
4
64
1
16
7
112
107
1,712
9
MB97R803A/B,MB97R804A/B
(2) TID
本 LSI は EPC 規格に準拠した 96 ビットの TID があります。
TID は以下の 4 項目から構成されています。
・ “E2H” と固定される EPC 規格を表す 8 ビットデータ (bit89 ~ bit96)
・ “010H” と固定される IC 製造者コードを表す 12 ビットデータ (bit77 ~ bit88)
・ 富士通セミコンダクターが付与する 60 ビットのユニークなシリアルナンバ (bit17 ~ bit76)
・ RFU16 ビット (bit1 ~ bit16)
本 LSI における富士通セミコンダクターが付与するユニークな 60 ビットのシリアルナンバのうち , bit69 ~ bit76 の 8
ビットは本 LSI を表すコード “03H” として使用します。また , bit17 ~ bit68 の 52 ビットはチップ情報として使用します。
・TID の構成
MSB
96
LSB
89 88
EPC 規格
コード
“E2H”
77 76
IC 製造者
コード
“010H”
69 68
“06H”
17 16
1
チップ情報
富士通セミコンダクターが付与する
ユニークなシリアルナンバ
RFU*
*:Reserved for Future Use
・TID に関する注意事項
TID は , 富士通セミコンダクターにおける出荷試験時に FRAM 内に書込みます。ただし , IR リフロー前に FRAM 内に書
込まれているデータが , IR リフロー後に保持される保証はありません。運用上問題となる場合には , IR リフロー後にお客
様において TID の書込みを行ってください。
10
DS411-00003-1v1-J
MB97R803A/B,MB97R804A/B
■ フラグと乱数発生器
インベントリフラグ , 選択フラグ , 乱数発生器については , EPCglobal C1G2 Ver.1.2.0 ( 主に , 6.3.2.2 項 , 6.3.2.3 項 , 6.3.2.5
項 ) に準拠しています。
■ タグの状態とスロットカウンタ
タグの状態とスロットカウンタについては , EPCglobal C1G2 Ver.1.2.0 ( 主に , 6.3.2.4 項 ) に準拠しています。
■ アンチコリジョン・アルゴリズム
アンチコリジョン・アルゴリズムについては , EPCglobal C1G2 Ver.1.2.0 ( 主に 6.3.2.6 項 , 6.3.2.7 項 , 6.3.2.8 項 , 6.3.2.9 項 )
に準拠しています。
■ コマンド
1. 非接触通信のコマンド
本 LSI は , 下表に示すように , EPC 規格の必須 (Mandatory) コマンドのすべてと , 任意 (Optional) コマンドのすべて , お
よび弊社独自のカスタム (Custom) コマン ドおよび製造者専用 (Proprietary) コマンドをサポートしています。必須
(Mandatory) コマンドと , 任意 (Optional) コマンドの仕様については , EPCglobal C1G2 Ver.1.2.0 ( 主に 6.3.2.11 項 ) に準拠し
ています。
ただし , 任意 (Optional) コマンドの BlockWrite コマンド , BlockErase コマンド , BlockPermalock コマンドについては , EPC
規格と一部異なる点がありますので , 以下の「(1) BlockWrite (Optional コマンド ; 一部対応 )」
「(2)
,
BlockErase (Optional コマ
ンド ; 一部対応 )」を参照してください。また , Custom コマンドの ChgAreaGroupPwd コマンドと ReadLock コマンドについ
ては , 以下の「(4) ChgAreaGroupPwd (Custom コマンド )」,「(5) Read Lock (Custom コマンド )」を参照してください。
Proprietary コマンドの Initialize コマンドについては ,「(6) Initialize (Proprietary コマンド )」を参照してください。
・非接触モードのコマンド
分類
Mandatory
Optional
Custom
Proprietary
コマンド名
コマンドコード
QueryRep
00
ACK
01
Query
1000
QueryAdjust
1001
Slect
1010
NAK
11000000
Req_RN
11000001
Read
11000010
Write
11000011
Kill
11000100
Lock
11000101
Access
11000110
BlockWrite
11000111
BlockErase
11001000
BlockPermalock
11001001
ChgAreaGroupPwd
1110000000000100
ReadLock
1110000000000111
Initialize
1110000100001111
DS411-00003-1v1-J
11
MB97R803A/B,MB97R804A/B
EPCglobal C1G2 Ver.1.2.0 との相違点について
・ CRC-16 について
R/W がタグの PC または EPC 全体 , あるいはその一部の書込みを行うと , ACK コマンドを受信して , トランケートされ
ない応答 (PC, EPC, CRC-16) を返信するまで , タグの EPC メモリ 00H から 0FH に記憶されている CRC-16 は有効になりま
せん。ACK に対する返信完了後に , 返信中に計算した正しい CRC-16 の値が EPC メモリ (00H ~ 0FH) にも書き込まれます。
CRC-16が有効になる前に, ACKコマンドに対するトランケートされた応答が要求された場合は, 有効になっていないEPC
メモリ中の CRC-16 の値がそのまま返信されます。
・ T4 時間 (R/W が送信するコマンド間の時間 ) について
RTcal の長さによって , T4 時間の最小値が , EPC 規格と異なります。
RTcal の長さ
44us ≦ RTcal
T4 時間の最小値
2.0RTcal (EPC 規格通り )
22us ≦ RTcal < 44us
4.0RTcal
RTcal < 22us
6.0RTcal
12
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(1) BlockWrite (Optional コマンド ; 一部対応 )
BlockWrite コマンドのフォーマットを下表に示します。本チップは , BlockWrite コマンドの仕様を制限してサポートしま
す。以下に , EPC 規格との違いを記します。
・ MemBank
:EPC と User バンクのみサポートします。Reserved と TID バンクを指定した場合 , タグは領域エラーの
エラーコードを返信します。
17(11H) 以上を指定すると , タグは領域
・ WordCount :指定可能な値は 16 (10H) 以下でかつ , 0 以外のみサポートします。
エラーのエラーコードを返信します。
書込み対象となるメモリ領域の一部でも BlockPermaLock による ロックがかかっていた場合 , タグはロック済みエラー
として , エラーコードを返信します。
・BlockWrite コマンド
Command
MemBank
WordPtr
WordCount
Data
RN
CRC-16
ビット数
16
2
EBV
8
WordCount ×16
16
16
内容
1100 0111
01:EPC
11:User
Starting
Address
Pointer
Number of
word to write
Data
to be written
Handle
(2) BlockErase (Optional コマンド ; 一部対応 )
BlockErase コマンドのフォーマットを下表に示します。本チップは , BlockErase コマンドの仕様を制限してサポートしま
す。以下に , EPC 規格との違いを記します。
・ MemBank
・ WordCount
:EPC と User バンクのみサポートします。Reserved と TID バンクを指定した場合 , タグは領域エラーの
エラーコードを返信します。
17(11H) 以上を指定すると , タグは領域
:指定可能な値は 16 (10H) 以下でかつ , 0 以外のみサポートします。
エラーのエラーコードを返信します。
消去対象となるメモリ領域の一部でも BlockPermaLock によるロックがかかっていた場合 , タグはロック済みエラーと
して , エラーコードを返信します。
・BlockErase コマンド
ビット数
内容
Command
MemBank
WordPtr
WordCount
RN
CRC-16
16
2
EBV
8
16
16
1100 1000
01:EPC
11:User
Starting
Address
Pointer
Number of
word to erase
Handle
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13
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(3) BlockPermaLock (Optional コマンド ; 一部対応 )
本チップでは , Block の単位を 16 ビットと定義します。つまり , 1 Word = 1 Block です。
BlockPermaLock コマンドのフォーマットを下表に示します。本チップは , BlockPermaLock コマンドの仕様を制限してサ
ポートします。以下に , EPC 規格との違いを記します。
・ MemBank
:User バンクのみサポートします。Reserved, EPC と TID バンクを指定した場合 , タグは領域エラーの
エラーコードを返信します。
・ BlockRange :17 (11H) 以上を指定すると , タグは領域エラーのエラーコードを返信します。
・BlockPermaLock コマンド
Command RFU Read / Lock
ビット数
内容
14
16
1100 1001
8
00H
1
0:Read
1:PermaLock
MemBank
BlockPtr
Block
Range
Mask
RN
CRC-16
2
EBV
8
Variable
16
16
11:User
Mask
starting
address,
specified
in units of
16 blocks
Mask
range,
specified
in units of
16 blocks
0:Retain current
permalock setting
Handle
1:Assert
permalock
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(4) ChgAreaGroupPwd (Custom コマンド )
ChgAreaGroupPwd コマンドのフォーマットを下表「・ChgAreaGroupPwd コマンド」に示します。ChgAreaGroupPwd により ,
R/W は各 AreaGroup のパスワードを変更できます。AreaGroup パスワードを書き換える場合 , R/W は現在設定されている
パスワードと新規に設定するパスワードを送信します。工場出荷時の初期パスワードは 0 です。
セキュア状態・オープン状態にあるタグのみが , ChgAreaGroupPwd コマンドを実行できます。
ChgAreaGroupPwd には , 以下のフィールドが用意されています。
・ AreaGroupPtr は , 対象となる AreaGroup の番号を指定します。AreaGroup は 0 ~ 3 までが存在するので , 2 ビットの値で
指定を行います。MSB の 3 ビットには 0 をパディング ( 補完 ) してください。
・ Data は , 新規に設定するパスワードです。
・ Passwd は , 現在設定されているパスワードです。
ChgAreaGroupPwd コマンドには , タグの Handle および CRC-16 も含まれています。
CRC-16 の計算は , 最初のコマンド
コードビットから最後の Handle ビットに対して行われます。
オープンまたはセキュア状態にあるタグは , 有効な CRC-16 と無効な Handle を持つ ChgAreaGroupPwd を受信した場合 ,
その ChgAreaGroupPwd を無視し , 現在の状態にとどまります。Passwd フィールドに設定されたパスワードがメモリに格納
された値と異なる場合 , パスワードの書き換えは行われず , 無応答となり , タグは調停状態へ戻ります。
ChgAreaGroupPwd には , フレーム同期を付加して実行してください。
R/W は , ChgAreaGroupPwd を発行すると , Treply と 20 ms を比較し , 短い方の間 , 連続波を伝送します。Treply とは ,
R/W による ChgAreaGroupPwd コマンドからタグの返信による応答までの時間を指します。R/W は , タグによる AreaGroup
パスワード変更オペレーションが実行されたかどうかによって , ChgAreaGroupPwd による結果をモニタできます。
・ ChgAreaGroupPwd 完了 :ChgAreaGroupPwd を完了すると , タグは下表の「・完了した ChgAreaGroupPwd コマンドへの
タグ応答」に示す応答を返信します。この応答には , ヘッダ (1 ビットの 0), タグの Handle,
ヘッダおよび Handle に対して計算された CRC-16 が含まれています。R/W がこの応答を 20 ms
以内に見つけると , ChgAreaGroupPwd が完了します。
・ タグによるエラー発見 : 連続波周期において , タグが , 下表の「・完了したChgAreaGroupPwd コマンドへのタグ応答」に
示す応答ではなく , エラーコードを返信します ( エラーコードの定義と応答形式については
「■ コマンド 4. シリアル通信時のエラー処理」を参照してください )。
・ ChgAreaGroupPwd 失敗 : R/W が 20 ms 以内に応答を見つけないと , ChgAreaGroupPwd は実行されません。R/W は , ( タグ
の Handle を含む ) Req_RN コマンドを発行し , タグがまだ R/W のフィールド内にあることを
確認した上で , ChgAreaGroupPwd コマンドを再発行できます。
有効な ChgAreaGroupPwd コマンドを受信すると , タグは命令を受けた Data で AreaGroup パスワードを書き換え , その
直後から新パスワードが有効です。完了した ChgAreaGroupPwd へのタグの応答には , 拡張プリアンブルが用いられます (
すなわち , そのラウンドを開始した Query の TRext 値に関係なく , TRext = 1 としてタグが応答します )。
・ChgAreaGroupPwd コマンド
Command
AreaGroupPtr
Data
Password
RN
CRC-16
ビット数
16
5
32
32
16
16
内容
1110 0000
0000 0100
AreaGroupPtr
NewPasswd
CurrentPasswd
Handle
・完了した ChgAreaGroupPwd コマンドへのタグ応答
Header
RN
CRC-16
ビット数
1
16
16
内容
0
Handle
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(5) ReadLock (Custom コマンド )
本 LSI は Area 単位での ReadLock 機能を有しています。
ReadLock コマンドのフォーマットを下表の「・ReadLock コマンド」に示します。ReadLock コマンドは Area (256 ビット )
単位で ReadLock フラグ ( 読み出しロック ) 設定を行います。
セキュア状態またはオープン状態にあるタグのみが , ReadLock コマンドを実行できます。
ReadLock には , 以下のフィールドが用意されています。
・ AreaGroupPtr は , 変更対象となる AreaGroup の番号を指定します。AreaGroup は 0 ~ 6 までが存在するので , 3 ビットの
値で指定を行います。MSB の 2 ビットには 0 をパディング ( 補完 ) してください。
- Payload は , 32 ビットの値であり , タグはビット値を以下のように規定します。
MASK0-15 0:該当する Action フィールドを無視し , 現在の設定のままとします。
1:該当する Action フィールドの値を現在の ReadLock 設定値に上書きします。
Action0-15 Area00 から Area15 の ReadLock 値 (1: 読出しロック , 0: 未ロック ) をそれぞれ設定します。
・ Password は , ReadLock フラグを変更しようとしているデータの含まれる AreaGroup のパスワードを指定します。有効な
値のパスワードであれば , ReadLock を行うことができます。
ReadLock により , メモリの ReadLock 状態の変更を行おうとする際 , パスワードが異なる場合 , ReadLock 状態の変更は
できません。
AreaGroup6 には , Area11 ~ Area15 が存在しないので , この Area に対する設定は無視されます。
ReadLock コマンドには , タグの Handle および CRC-16 も含まれています。CRC-16 の計算は , 最初のコマンドコードビッ
トから最後の Handle ビットに対して行われます。
オープンまたはセキュア状態にあるタグは , 有効な CRC-16 と無効な Handle を持つ ReadLock を受信した場合 , その
ReadLock を無視し , 現在の状態にとどまります。
ReadLock には , フレーム同期を付加して実行してください。
R/W は , ReadLock を発行すると , Treply と 20 ms を比較し , 短い方の間 , 連続波を伝送します。Treply とは , R/W による
ReadLock コマンドからタグの返信による応答までの時間を指します。
R/W は , タグによるメモリロックオペレーションが
実行されたかどうかによって , ReadLock による結果をモニタできます。
・ ReadLock 完了
:ReadLock を完了すると , タグは下表の「完了した ReadLock コマンドへのタグ応答」に示す
応答を返信します。この応答には , ヘッダ (1 ビットの 0), タグの Handle, ヘッダおよび Handle に
対して計算された CRC-16 が含まれています。R/W がこの応答を 20 ms 以内に見つけると ,
ReadLock が完了します。
・ タグによるエラー発見 :連続波周期において , タグが , 下表の「完了した ReadLock コマンドへのタグ応答」に示す応答
ではなく , エラーコードを返信します ( エラーコードの定義と応答形式については「■ コマン
ド 4. シリアル通信時のエラー処理」を参照してください )。
・ ReadLock 失敗
:R/W が 20 ms 以内に応答を見つけないと , ReadLock は実行されません。R/W は , ( タグの Handle
を含む )Req_RN コマンドを発行し , タグがまだ R/W のフィールド内にあることを確認した上
で , ReadLock コマンドを再発行できます。
有効な ReadLock コマンドを受信すると , タグは命令を受けたロックビットをメモリへ書込みます。完了した ReadLock
へのタグの応答には , 拡張プリアンブルが用いられます (すなわち , そのラウンドを開始したQuery のTRext 値に関係なく,
TRext = 1 としてタグが応答します )。
・ReadLock コマンド
Command
AreaGroupPtr
Payload
Password
RN
CRC-16
ビット数
16
5
32
32
16
16
内容
1110 0000
0000 0111
AreaGroupPtr
Mask/Action
32 bit
password
Handle
( 下表を参照 )
・ReadLock コマンド Payload
Payload
MASK
0
16
1
2 3
4
5
6
7
8
Action
9
10 11 12 13 14 15 0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15
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・完了した ReadLock コマンドへのタグ応答
Header
RN
CRC-16
ビット数
1
16
16
内容
0
Handle
(6) Initialize (custom コマンド )
Initialize コマンドのフォーマットを下表に示します。
Initialize コマンドは , タグ組立て後 (IR リフロー後 ), TID 領域と
System 領域の一部を除く FRAM の領域を初期化します。初期化は , Lock 情報およびデータ領域にデータ 0 を書き込み , 最
後に Initialize を再実行できないためのシステムロックを行います。
システムロックされると , System 領域内にある
SYSLOCK が NORMAL 状態になります。
R/W は , Initialize にフレーム同期をプリベンドします。タグ応答は , 事前に発行された Query コマンドにより , T → R 応
答リンク周波数を決定します。
Initialize コマンドは , キル状態以外のすべての状態から処理可能とするため , インベントリシーケンスによる個体識別
(RN によるハンドシェーク ) ができません。そのため R/W の通信可能エリアに複数個のタグが存在する場合の Initialize コ
マンドの発行は不可とします。
Initialize コマンドを受信したタグは , System 領域を読み出し , SYSLOCK が , NORMAL, KILL でない場合 , TID 領域と
System 領域の一部を除く FRAM 領域 ( ブロックロック含む ) をデータ 0 に書き換え , 最後に Initialize を再実行できないた
めのシステムロックを行います。
1. R/W が Query を発行。DR 値と M 値により応答の T → R 応答リンク周波数を決定します。
2. R/W が Initialize を発行します。
3. タグは CRC-16 を監視し , 無効な CRC-16 を受信した場合 , Initialize を無視します。
4. System 領域を読み出し , SYSLOCK が NORMAL, KILL の場合 , Initialize を無視します。
5. TID 領域と System 領域の一部を除く FRAM 領域の初期化 (all 0 を書き込み ) を行います。
6. SYSLOCK に NORMAL 値を書き込みます。
7. Initialize 動作を完了し , タグが下表に示す応答を返します。
Data は , 00H を指定してください。
・ Initialize コマンド
Command
Data
CRC-16
ビット数
16
8
16
内容
1110 0001 0000 1111
00H
・ 完了した Initialize コマンドへのタグ応答
Header
CRC-16
ビット数
1
16
内容
0
2. 非接触通信のエラーコード
タグのエラーコードについては , EPCglobal C1G2 Ver.1.2.0 (Annex I) に準拠しています。
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MB97R803A/B,MB97R804A/B
3. シリアル通信のコマンド
本 LSI のシリアル・インタフェースは , オペコードで指定される 2 種のコマンドを受け付けます。オペコードは下表に示
す 8 ビットからなるコードです。これ以外の無効なコードが入力された場合は無視されます。オペコード入力中に XCS を
立上げるとコマンドは実行されません。
・本 LSI のシリアル・インタフェースのオペコード
コード名
機能
オペコード
READ
ユーザメモリ領域から 16 ビット単位で読み出す。
0000 0011
WRITE
ユーザメモリ領域に 16 ビット単位で書き込む。
0000 0010
(1) READ
READ コマンドは , FRAM メモリのデータを 16 ビット単位 , つまり Word 単位で読出します。アドレスの指定は ,
「■ メモリ 2. メモリマップ ・メモリマップ」の WORD 表記のアドレスと同じです。下図に READ コマンドのシーケンスを
示します。
まず , SI に READ のオペコードと 16 ビットのアドレスを SCK の立上りエッジに同期して入力します。アドレスの上位
5 ビットは無効です。SO は SCK の立下りエッジに同期して出力されます。この読み出し中 , SI の値は無効です。ただし ,
XCS 立上げ前に引続き SCK に 16 サイクルずつクロックを送り続けることで , アドレスを自動インクリメントして読出し
を続けることが可能です。最上位アドレスに達するとロールオーバーして 0 番地に戻り , 読出しサイクルは際限なく続け
られます。XCS を立ち上げると READ コマンドは終了します。
読出し可能な領域は , User 領域 , そして TID,EPC, ロックステータスの領域です。指定した Area が読出しロック状態の場
合 , 読出しできないため , データの代わりに , 16 ビットの “0” が出力されます ( 詳細は「■ コマンド 4. シリアル通信時の
エラー処理」を参照してください )。
また , チップが Kill 状態の場合は , データの出力はありません。
・READ コマンドのシーケンス
XCS
0
1
2
3
0
0
0
0
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13
18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39
SCK
オペコード
SI
0
0
1
SO
16 ビットアドレス
1 X X X X X 10 9 . . .
MSB
High-Z
4
3
2
1 0
LSB MSB
Invalid
LSB
Data Out
15 14 13 12 11 10 9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
Invalid
(2) WRITE
WRITE コマンドは FRAM メモリに 16 ビット単位 , つまり Word 単位でデータを書き込みます。アドレスの指定は ,
「■ メモリ 2. メモリマップ・メモリマップ」の WORD 表記のアドレスと同じです。下図に WRITE コマンドのシーケンスを
示します。
SI に WRITE のオペコードと 16 ビットのアドレスおよび 16 ビットの書込みデータを SCK の立上りエッジに同期して
入力します。アドレスの上位 5 ビットは無効です。XCS 立上げ前に引続き書込みデータを 16 ビットずつ送り続けることで
, アドレスを自動インクリメントして書込みを続けることが可能です。最上位アドレスに達するとロールオーバーして0番
地に戻り , 書込みサイクルは際限なく続けられます。XCS を立ち上げると , WRITE コマンドは終了します。
書込み可能な領域は , User 領域のみですが , 指定した Area がロック状態の場合 , 書き込みできず , SPI エラーインフォ
メーションレジスタにエラー情報を書き込みます ( 詳細は「 ■ コマンド 4. シリアル通信時のエラー処理」を参照してくだ
さい )。また , チップが Kill 状態の場合も , 書込みは不可能ですが , この場合 , チップからの出力はありません。
・WRITE コマンドのシーケンス
XCS
0
1
2
0
0
0
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13
1
0 X X X X X 10 9 . . .
MSB
High-Z
18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39
SCK
16 ビットアドレス
オペコード
SI
SO
18
0
0
0
4
Data In
3
2
1
0 15 14 13 12 11 10 9
LSB MSB
8
7 6
5
4
3
2
1
0
LSB
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MB97R803A/B,MB97R804A/B
4. シリアル通信時のエラー処理
シリアル通信時 , リード , およびライトサイクルが正常に行えなかった場合 , エラー情報は SPI エラーインフォメーショ
ンレジスタに格納されます。リード時にエラーが発生した場合 , 対象領域のデータの代わりに , 16 ビットの “0” が出力さ
れます。
・SPI エラーインフォメーションレジスタ
シリアル通信時のエラー情報は , 下表に示すフォーマットで , SPI エラーインフォメーションレジスタ (SPI_ERR_Info:
( ■ メモリ 2. メモリマップ・メモリマップ」を参照してください )。この情報は , READ コ
address = 8000H) に格納されます 「
マンドにより確認することが可能です。エラー発生後 , 次のコマンドのアドレスの先頭ビットが “0” の場合にエラーイン
フォメーションレジスタはクリアされます。
エラー発生後 , 次のコマンドのアドレスの先頭ビットが “0” の場合にエラーインフォメーションレジスタはクリアされ
ます。
・SPI エラーインフォメーションレジスタのフォーマット
ビット
機能
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
2
1
0
ERROR*
*: ERROR
b1000 :低電圧検出
b0100 :Write NG
b0010 :Read NG
b0001 :RF 発生による NG
b0000 :正常終了
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MB97R803A/B,MB97R804A/B
■ 電気的特性
1. 絶対最大定格
項目
記号
定格値
単位
条件 / 備考
最小
標準
最大
Vmax
⎯
⎯
3.0
V
電源電圧
VDD
- 0.5
⎯
+ 4.0
V
入力電圧
VIN
- 0.5
⎯
VDD + 0.5
V
出力電圧
VOUT
- 0.5
⎯
VDD + 0.5
V
VESD
-2
⎯
+2
kV
Human Body Model
VESD
- 100
⎯
+ 100
V
Machine Model
Tstg
- 40
⎯
+ 85
°C
FRAM データの
リテンション保証を除く
最大入力電圧
静電耐圧
保存温度
PWRP-PWRM 間
<注意事項> 絶対最大定格を超えるストレス ( 電圧 , 電流 , 温度など ) の印加は , 半導体デバイスを破壊する可能性があ
ります。したがって , 定格を一項目でも超えることのないようご注意ください。
2. 推奨動作条件
項目
単位
標準
最大
Tj
- 20
⎯
+ 85
°C
Trtn1
- 20
⎯
+ 55
°C
Fclk
860
⎯
960
(A-B)/A
80
90
100
%
F_fwd
26.7
⎯
128
kbps
受信波形立上り時間
Tr
1
⎯
500
μs
受信波形安定時間
Ts
⎯
⎯
1500
μs
受信波形立下り時間
Tf
1
⎯
500
μs
電源電圧
VDD
2.3
3.3
3.6
V
“H” レベル入力電圧
VIH
VDD - 0.2
⎯
VDD + 0.3
V
“L” レベル入力電圧
VIL
- 0.3
⎯
+ 0.4
V
リテンション保証温度
アンテナ入力周波数
受信変調度
シリアル通信
規格値
最小
動作時接合温度
非接触通信
記号
受信時通信速度
条件 / 備考
リテンション保証期間:
10 年
MHz 電波法に基づく
PIE 符:マーク率=
1/2 の場合
<注意事項> 推奨動作条件は , 半導体デバイスの正常な動作を確保するための条件です。電気的特性の規格値は , すべて
この条件の範囲内で保証されます。
常に推奨動作条件下で使用してください。この条件を超えて使用すると ,
信頼性に悪影響を及ぼすことがあります。
データシートに記載されていない項目 , 使用条件 , 論理の組合せでの使用は , 保証していません。
記載されて
いる以外の条件での使用をお考えの場合は , 必ず事前に営業部門までご相談ください。
20
DS411-00003-1v1-J
MB97R803A/B,MB97R804A/B
3. 非接触通信特性
項目
記号
規格値
最小
標準
最大
リード時最小動作電力
PR_MIN
⎯
-6
⎯
dBm
ライト時最小動作電力
PW_MIN
⎯
-6
⎯
dBm
最大動作電力
18
PMAX
条件 / 備考
単位
TSSOP16 PKG で測定
Tari = 25 μs, RTcal = 3Tari,
TRcal = 2.6RTcal,
DR = 8, FM0, BLF = 41kbps,
DSB-ASK, 変調度= 90% *
dBm
等価入力容量
CP
⎯
0.47
⎯
pF
入力電力=- 6dBm, 並列モデル
953 MHz
等価入力抵抗
RP
⎯
2
⎯
KΩ
入力電力=- 6dBm, 並列モデル
953 MHz
等価入力容量
CP
⎯
0.69
⎯
pF
入力電力=- 6dBm, 並列モデル
953 MHz
等価入力抵抗
RP
⎯
1.7
⎯
KΩ
入力電力=- 6dBm, 並列モデル
953 MHz
F_rtrn
40
640
kbps
返信時通信速度の誤差
Ftolerance
±5
±22
%
返信中の通信速度変動
Fvariation
- 21
+ 14
%
MB97R803A
( ウェーハ )
MB97R804B
(TSSOP)
返信時通信速度
EPC 規格と異なります。
*:本特性は , 本 LSI 単独での値であり , 本 LSI にマイクロコンピュータなど , ほかの回路を接続した場合の値は規定し
ません。
4. シリアル通信 直流特性
項目
記号
規格値
最小
標準
最大
単位
条件
入力リーク電流
ILI
⎯
⎯
±5
μA
VIN = 0 V ~ VDD
出力リーク電流
ILO
⎯
⎯
±5
μA
VOUT = 0 V ~ VDD, 出力端子 Hi-Z 時
動作時
ICC
⎯
70
200
μA
SCK = 2 MHz, Vdd = 3.0 V
パワーダウン時 1
IPD1
⎯
0.01
5
μA
SPI = 0 V またはオープン
XCS, XWP, SCK, SI = 0V または VDD
RF 受信なし
パワーダウン時 2
IPD2
⎯
3
5
μA
SPI = 0 V またはオープン
XCS, XWP, SCK, SI = 0 V または VDD
RF 受信中
スタンバイ時
ISB
⎯
10
50
μA
SPI = V--DD
XCS, XWP, SCK, SI = 0 V または VDD
“H” レベル出力電圧
VOH
VDD×0.8
⎯
VDD
V
IOH =- 1mA
“L” レベル出力電圧
VOL
0
⎯
0.4
V
IOL = 2 mA
SPI 端子のプルダウン抵抗
RIN
0.8
1
1.2
MΩ
VIN = VDD
電源電流
DS411-00003-1v1-J
21
MB97R803A/B,MB97R804A/B
5. シリアル通信 交流特性
項目
規格値
記号
最小
最大
単位
SCK クロック周波数
fCK
⎯
2
MHz
クロックハイ時間
tCH
200
⎯
ns
クロックロー時間
tCL
30
⎯
ns
チップセレクトセットアップ時間
tCSU
10
⎯
ns
チップセレクトホールド時間
tCSH
10
⎯
ns
出力ディセーブル時間
tOD
⎯
20
ns
出力データ確定時間
tODV
⎯
35
ns
出力ホールド時間
tOH
0
⎯
ns
非選択時間
tD
200
⎯
ns
データ立上り時間
tR
⎯
50
ns
データ立下り時間
tF
⎯
50
ns
データセットアップ時間
tSU
10
⎯
ns
データホールド時間
tH
10
⎯
ns
・シリアルデータタイミング
tD
tR
tF
XCS
tCSH
tCSU
tCH
SCK
tSU
SI
tCL
tH
Valid in
tODV
SO
High-Z
tOH
tOD
High-Z
: don’t care
22
DS411-00003-1v1-J
MB97R803A/B,MB97R804A/B
■ オーダ型格
オーダ型格
MB97R803A-DIAP15
MB97R804BPFT-G-JNEFE1
MB97R804BPFT-G-JNERE1
インタフェース
出荷形態
ウェーハ厚
RF
ウェーハ
(ダイシング済 )
150 μm±25.4 μm
RF + SPI
TSSOP16
(Tape & Reel)
⎯
備考
EF タイプ *
ER タイプ *
*:IC の方向
࡮EF ࠲ࠗࡊ
㧔࡝࡯࡞஥㧕
࡮ER ࠲ࠗࡊ
Index mark 㧔ᒁ಴஥㧕
Index mark
㧔ᒁ಴஥㧕
㧔࡝࡯࡞஥㧕
DS411-00003-1v1-J
㧔ᒁ಴஥㧕
23
MB97R803A/B,MB97R804A/B
■ パッケージ・ 外形寸法図
ࡊ࡜ࠬ࠴࠶ࠢ࡮TSSOP, 16ࡇࡦ
࡝࡯࠼ࡇ࠶࠴
0.65 mm
ࡄ࠶ࠤ࡯ࠫ᏷˜
ࡄ࠶ࠤ࡯ࠫ㐳ߐ
4.40 mm ˜ 4.96 mm
࡝࡯࠼ᒻ⁁
ࠟ࡞࠙ࠖࡦࠣ
ኽᱛᣇᴺ
ࡊ࡜ࠬ࠴࠶ࠢࡕ࡯࡞࠼
ขઃߌ㜞ߐ
1.20 mmMax
㊀ߐ
0.06 g
(FPT-16P-M08)
ࡊ࡜ࠬ࠴࠶ࠢ࡮TSSOP, 16ࡇࡦ
㧔FPT-16P-M08㧕
ᵈ1㧕┵ሶ᏷߅ࠃ߮┵ሶෘߐߪࡔ࠶ࠠෘࠍ฽߻‫ޕ‬
ᵈ2㧕┵ሶ᏷ߪ࠲ࠗࡃಾᢿᱷࠅࠍ฽߹ߕ‫ޕ‬
ᵈ3㧕*ኸᴺߪ࡟ࠫࡦᱷࠅࠍ฽߹ߕ‫ޕ‬
*4.96±0.10(.195±.004)
16
0.145±0.045
(.0057±.0018)
9
*4.40±0.10 6.40±0.20
(.173±.004) (.252±.008)
INDEX
Details of "A" part
+0.10
1.10 –0.15
(Mounting height)
+0.04
.043 –0.06
LEAD No.
1
8
0.65(.026)
"A"
0.24±0.08
(.009±.003)
0.13(.005)
M
0~8°
0.60±0.15
(.024±.006)
0.10±0.05
(.004±.002)
(Stand off)
0.10(.004)
C
24
2007-2010 FUJITSU SEMICONDUCTOR LIMITED F16021S-c-1-5
න૏㧦mm㧔inches㧕
ᵈᗧ㧦᜝ᒐౝߩ୯ߪෳ⠨୯ߢߔ‫ޕ‬
DS411-00003-1v1-J
MB97R803A/B,MB97R804A/B
MEMO
DS411-00003-1v1-J
25
MB97R803A/B,MB97R804A/B
MEMO
26
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MB97R803A/B,MB97R804A/B
MEMO
DS411-00003-1v1-J
27
MB97R803A/B,MB97R804A/B
富士通セミコンダクター株式会社
〒 222-0033
神奈川県横浜市港北区新横浜 2-100-45 新横浜中央ビル
http://jp.fujitsu.com/fsl/
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との保証を行うものではありません。したがって , これらの使用に起因する第三者の知的財産権やその他の権利の侵害などについて , 当社はその責任
を負いません。
本資料に記載された製品は , 通常の産業用 , 一般事務用 , パーソナル用 , 家庭用などの一般的用途に使用されることを意図して設計・製造されてい
ます。極めて高度な安全性が要求され , 仮に当該安全性が確保されない場合 , 直接生命・身体に対する重大な危険性を伴う用途(原子力施設における
核反応制御 , 航空機自動飛行制御 , 航空交通管制 , 大量輸送システムにおける運行制御 , 生命維持のための医療機器 , 兵器システムにおけるミサイル発
射制御など), または極めて高い信頼性が要求される用途(海底中継器 , 宇宙衛星など)に使用されるよう設計・製造されたものではありません。し
たがって , これらの用途へのご使用をお考えのお客様は , 必ず事前に当社営業窓口までご相談ください。ご相談なく使用されたことにより発生した損
害などについては , 当社は責任を負いません。
半導体デバイスには , ある確率で故障や誤動作が発生します。本資料に記載の製品を含め当社半導体デバイスをご使用いただく場合は , 当社半導体
デバイスに故障や誤動作が発生した場合も , 結果的に人身事故 , 火災事故 , 社会的な損害などを生じさせないよう , お客様の責任において , 装置の冗長
設計 , 延焼対策設計 , 過電流防止対策設計 , 誤動作防止設計などの安全設計をお願いします。
本資料に記載された製品および技術情報を輸出または非居住者に提供する場合は , 外国為替及び外国貿易法および米国輸出管理関連法規などの規制
をご確認の上 , 必要な手続きをおとりください。
本資料に記載されている社名および製品名などの固有名詞は , 各社の商標または登録商標です。
編集 システムメモリ事業部