Ⅲ コーポレート・ガバナンス

Ⅲ コーポレート・ガバナンス
Ⅲ コーポレート・ガバナンス
1. ガバナンス体制
(1) 基本的な考え方
日立金属は、経営の透明性および効率性を確保し、ステークホルダーの期待に応え、企業価値を増大さ
せることがコーポレート・ガバナンスの基本であり、経営の最重要課題の一つであると認識しています。
このために、経営の監督機能と業務執行機能が、各々有効に機能し、かつ両者のバランスのとれた組
織体制を構築することが必要であると考えています。また、タイムリーで質の高い情報開示を行うこと
がコーポレート・ガバナンスの充実に資するものと考え、決算内容にとどまらず、定期的に個別事業の
内容や中期経営計画の開示を行うこととしています。
コンプライアンスについては、コーポレート・ガバナンスの根幹であるとの認識のもと、単に法令や社内
ルールの遵守にとどまらず、社会倫理・道徳を尊び、社会の一員であることを自覚した企業行動をとっ
ていきます。日立金属は、この内容を反映させた「日立金属グループ企業行動指針」および「日立金属
グループ行動規範」を制定し、役員および従業員がとるべき行動の具体的基準としています。
(2) 経営の監督機能と業務執行機能
コーポレート・ガバナンス体制については、日立金属は委員会設置会社(2015 年 5 月 1 日の会社法改
正後は「指名委員会等設置会社」)の機関構成をとっており、経営の「執行」と「監督」の両機能を明確
に分離しています。
取締役会から執行役に業務の決定・執行の権限を大幅に委譲して意思決定の迅速化を図る一方、取
締役会は、経営の基本方針等の決定と監督に徹し、指名・監査・報酬の各委員および取締役会におい
て社外取締役の客観的な意見を反映し、監督機能を強化することで、経営の透明性および効率性の
向上を図っています。また、取締役会の議長を務める取締役会長は、執行役を兼務していません。併
せて、日立金属の取締役には、上場取引所の定めに基づき独立役員として指定する社外取締役 2 名
が就任しており、第三者的な見地からの多様な意見を取り込むことにより、取締役会における意思決
定プロセスの客観性および独立性を高める体制を整えています。
指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案の内容を決定する権限
等を有する機関です。同委員会において取締役候補者を定めるにあたり、親会社から独立した立場の
社外取締役候補者を少なくとも 1 名定めることを方針としています。
監査委員会は、取締役および執行役の職務の執行の監督並びに株主総会に提出する会計監査人の
選任および解任等に関する議案の内容を決定する権限等を有しています。
報酬委員会は、取締役および執行役の報酬の内容の決定に関する方針およびそれに基づく個人別の
報酬の内容を決定する権限等を有しています。報酬の内容の決定に関する方針を 14 ページに記載の
とおり定めています。
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日立金属グループ CSR 活動報告 2015[詳細活動報告]
Ⅲ コーポレート・ガバナンス
(3) 支配株主等との関係
株式会社日立製作所およびそのグループ会社(以下、「日立グループ」という)は、日立金属の総株主
の議決権の 54.0%(2015 年 3 月末日現在)を所有しています。日立金属は、日立グループの一員とし
て、同社との関係においては、事業運営および取引では自律性を維持しつつ、研究開発協力等を通じ
て同グループ各社と緊密な協力関係を保ち、その経営資源を有効に活用して、高品質の製品および
サービスの提供を図っています。
株式会社日立製作所との人的関係については、同社の執行役 2 名が日立金属の社外取締役を兼務
しています。同社は、日立金属の取締役会における意見の表明および議決への参加を通じて、日立金
属の経営方針の決定等について影響を及ぼし得る状況にありますが、上場取引所の定めに基づき独
立役員として指定する社外取締役 2 名が就任しており、取締役会における審議にあたり、より多様な意
見が反映されうることから、日立金属は独自の経営判断を行うことができる状況にあると認識していま
す。日立金属の業務執行を行う執行役 9 名は、いずれも同社の役員を兼務していません。株式会社日
立製作所との取引関係については、同社との間に日立グループ・プーリング制度による金銭消費貸借
その他の取引関係がありますが、日立金属の事業活動は同社との取引に大きく依存する状況にはあ
りません。取引条件は市場金利、市場価格等を参考に双方協議の上、合理的に決定されています。
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日立金属グループ CSR 活動報告 2015[詳細活動報告]
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各委員会の委員構成および議長の属性
全委員
常勤委員
社内取締役
社外取締役
委員長
(名)
(名)
(名)
(名)
(議長)
指名委員会
3
0
1
2
社内取締役
報酬委員会
3
0
1
2
社内取締役
監査委員会
4
1
1
3
社内取締役
日立金属のコーポレート・ガバナンスについて、さらに詳しい情報はコーポレート・ガバナンスに関する報告書に記載しています。
同報告書は、日立金属および東京証券取引所のホームページに掲載しています。
WEB http://www.jpx.co.jp/listing/cg-search/index.html
親会社情報
項目
内容
名称
(株)日立製作所
所在地
東京都千代田区
資本金
458,791 百万円
主要な事業内容
電気機器の製造及び販売
議決権等の被所有割合
直接 53.5%
間接 0.5%
役員の兼務等
兼任 2
資金の援助
なし
営業上の取引
当社製品の販売先及び当社の仕入先
設備の賃貸借
なし
関連当事者取引(単位
百万円)
種類
名称
親会社
(株)日立製作所
取引の内容
日立グループ・プーリン
グ制度による預入(注)1、2
関連会社
(株)SH カッパ―プロダクツ
材料等の代理購買他
取引金額
引出 24,625
未決済金額
24,571
(注)3
41,400
16,068
24,798
14,006
(注)4
関連会社
住電日立ケーブル(株)
製品の販売(注)4
(注) 1 資金の集中管理を目的とした日立グループ・プーリング制度に加入しており、期末残高はその時点での預け金を表してい
ます。
(注) 2 資金の融通の利率については、市場金利を勘案して合理的に決定しています。
(注) 3 資金の融通は日々行われており、取引金額は前連結会計年度末との差引き金額を表しています。
(注) 4 製品の販売及び仕入、材料等の代理購買については、市場価格を勘案して一般的取引条件と同様に決定しています。
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日立金属グループ CSR 活動報告 2015[詳細活動報告]
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2. 内部統制システム
(1) 内部統制システムの整備状況の概要
日立金属における内部統制システムの整備状況の概要は、以下の通りです。
①内部統制組織
i) 執行役の職務の執行が法令および定款に適合し、かつ、効率的に行われることを確保するため
に、執行役全員で構成する経営会議を組織し、全社的に影響を及ぼす一定の重要な経営事項に
ついては、同会議で審議した上で、権限を有する執行役が決定することとしています。
ii)コンプライアンス担当部門を所管し、全社的なコンプライアンス体制を整備することを職務とする
コンプライアンス統括責任者を置いています。
iii)CSR 推進部を設置して、コンプライアンスおよび社会貢献等、企業の社会的責任に関する取組み
の全社的な推進を図っています。
iv)内部監査部門として監査室を設置して、業務の効率性並びに法令および社内規則の遵守状況
等について、日立金属各部門および各グループ会社に対して内部監査を実施しています。内部
監査の結果については執行役社長および監査委員会に報告するとともに、指摘事項の是正状況
の確認を行っています。
②内部統制のフレームワーク
金融商品取引法に基づき標準的なフレームワーク(COSO フレームワーク)により財務情報に関する
内部統制システムの整備を進めており、財務報告に反映されるべき事項全般につき文書化された
業務プロセスの実行と検証を行っています。
③コンプライアンス・ホットライン
2005 年 4 月に「日立金属コンプライアンス・ホットライン規則」を制定し、日立金属およびグループ会
社における違法、または不適切な行為を防止し、早期に是正するための内部通報制度をスタートさ
せました。これは、日立金属およびグループ会社で働く全ての従業員が電子メールや封書で職場の
問題を相談できる仕組みです。上司に相談できない、あるいは相談しても聞いてもらえない場合に
直接、当制度を利用して問題解決を図ることができます。匿名での通報や、コンプライアンス・ホット
ライン専用窓口だけでなく、監査役会へ直接通報等も行うことが可能です。全社コンプライアンス研
修時にも、必ずコンプライアンス・ホットライン制度について説明を行い、全ての従業員に制度の存
在を浸透させています。
④反社会的勢力に対する方針
日立金属は、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対して、毅然とした態度で臨
み、一切の関係を遮断することを方針としています。この方針の実効性を確保するため、以下の体
制を整備しています。
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日立金属グループ CSR 活動報告 2015[詳細活動報告]
Ⅲ コーポレート・ガバナンス
i) 反社会的勢力に係るリスクについては、リスク対策担当部門を所管部門とし、各事業所にリスク
対策責任者および担当者を置き、リスク情報の集約および提供並びにリスク事案への対応要領
の説明を行っています。
ii)警視庁、管轄警察署をはじめ、警視庁管内特殊暴力防止対策連合会、暴力団追放運動推進都
民センター、弁護士会等外部専門機関等との緊密な連携を確保するため、適宜、訪問連絡等を
行い、反社会的勢力に関する情報を蓄積するとともに、反社会的勢力による被害の可能性が生じ
た場合には、速やかにこれらの機関への通報・相談等を行い、連携して対応することとしていま
す。
iii)反社会的勢力との取引を遮断するため、反社会的勢力との取引の防止に関する規則を定め、各
部門が新たな相手方と取引を行うときにリスク対策担当部門が審査を行う制度を設けるとともに、
契約書や取引約款への暴力団排除条項の導入に努めています。また、リスク対策担当部門が内
部監査を実施し、遵守状況の確認を行っています。
iv)反社会的勢力への対応に関する従業員の自覚を高めるため、「反社会的勢力及び団体からの
接触や要求を断固として拒否する」旨の宣言を記したガイドブック等を配付し、その周知に努めて
います。
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日立金属グループ CSR 活動報告 2015[詳細活動報告]
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3. 役員報酬制度
(1) 取締役及び執行役の報酬等の内容の決定に関する方針
①方針の決定の方法
日立金属は、委員会設置会社に関する会社法の規定により、報酬委員会が取締役および執行役の
個人別の報酬等の内容の決定に関する方針を定めています。
②方針の概要
i) 当社経営を担う取締役及び執行役が、長期的視点で経営方針を決定し、中期経営計画及び年
度事業予算を立案・実行することにより、当社の企業価値を増大させ、株主等利害関係者に資す
る経営を行うことに対して報酬を支払う。
ii)取締役及び執行役が経営に対してそれぞれの経営能力あるいは経営ノウハウ・スキルを活かし、
十分な成果を生み出せるよう動機付けするために、短期および中長期的な会社の業績を反映し
た報酬体系とし、顕著な成果に対しては相応の報酬を支払うことで報いる。
iii)当社が支払う報酬は基本報酬及び期末賞与とする。
(a)基本報酬:取締役及び執行役としての経営に対する責任の大きさ、及びこれまでに培った豊富
な経験、知見、洞察力、経営専門力等を活用した職務遂行への対価として個別に決定する。ま
た、取締役及び執行役の人材確保のため、他社報酬レベルと比較して遜色のない水準とする。
(b)期末賞与:業績に連動するものとする。
(2) 取締役及び執行役の報酬等の総額
区分
人数(名)
取締役
(うち社外取締役)
執行役
合計
報酬等の総額(百万円)
8
103
(4)
(44)
5
311
13
414
(注)1. 執行役を兼任する取締役に対しては、執行役としての報酬等を支給しており、取締役としての報酬等を支給していません。
(注)2. 当期中に前期に係る期末賞与を次の通り支給しました。
取締役 5 名 10 百万円(うち社外取締役 3 名 6 百万円)
執行役 8 名 112 百万円
なお、前期の事業報告における「取締役及び執行役の報酬等の総額」には、当該期末賞与に係る引当金の繰入額(取
締役分 17 百万円(うち社外取締役分 6 百万円)、および執行役分 95 百万円)を含めて表示していました。
(注)3. 上表のほか、2014 年 6 月 25 日開催の第 77 回定時株主総会終結の時をもって任期満了により退任した取締役 2 名に
対し、退職慰労金として 42 百万円を支給しました。これは退職慰労金の廃止に伴う打切り日までの在任期間に対応する
ものです。
(注)4. 日立金属の親会社またはその子会社の役員を兼任する社外取締役が、当期中の社外取締役であった期間において親
会社またはその子会社(日立金属を除きます)から受け取った役員としての報酬等の総額は 117 百万円です。
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日立金属グループ CSR 活動報告 2015[詳細活動報告]
Ⅲ コーポレート・ガバナンス
4. リスク管理
日立金属では、コンプライアンス統括責任者をリスク対応の統括責任者とするリスク管理体制を整え、
本社への網羅的な情報集約による不正の未然防止や不正対応のノウハウ蓄積、並びに不正対応プロ
セスの明確化による、発生拠点に左右されない均質な手続の速やかな実施を図っています。
また、BCP(事業継続計画)については、国内拠点では大規模地震並びに新型インフルエンザを想定リ
スクとした BCP を装備しており、海外拠点ではそれぞれの拠点において最も懸念されるリスクを想定リ
スクとした BCP を装備しています。また、定期的な BCP 訓練と BCP 点検・更新の実施により、常に BCP
の実効性を高めています。
なお、日立金属グループでは、リスク管理体制の整備等により、リスク発生の回避および発生した場合
の影響の軽減に努めていますが、完全に回避または軽減することができず、経営成績および財政状
態等が影響を受ける可能性があります。
日立金属グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性がある主なリスクは以下の通
りです。
・製品需要に関連する市場の経済状況に係るリスク
・原材料価格の変動に係るリスク
・資金調達に係るリスク
・為替レートの変動に係るリスク
・有価証券の価値変動に係るリスク
・海外への事業展開に係るリスク
・競争優位性および新技術・新製品の開発・事業化に係るリスク
・知的所有権に係るリスク
・環境規制等に係るリスク
・製造物の欠陥に係るリスク
・法令・公的規制に係るリスク
・地震、その他自然災害等に係るリスク
・情報セキュリティに係るリスク
・退職給付債務に係るリスク
・親会社との関係に係るリスク
・M&A に係るリスク
・中期経営計画に係るリスク
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日立金属グループ CSR 活動報告 2015[詳細活動報告]