放熱設計 - シチズン電子

放熱設計
CL - L330 Series
LEDの性能を最大限に発揮させる上で、必須要件となっているのが放熱設計です。
適切な放熱設計をしていただくために、本書では製品の詳細な放熱構造と照明機器などの
熱設計時に必要と思われる資料を参考として提供します。
CONTENTS
1. はじめに
P.2
2. パッケージ構造と熱抵抗
P.2
3. パッケージ外の熱設計
P.3
4. シミュレーション
P.4
シチズン電子株式会社
〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1
TEL 0555-23-4121 http://ce.citizen.co.jp
Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved.
Ref.CE-P1101 04/11
放熱設計
CL-L330 Series
LEDが発した熱を効率的に伝導できる、
放熱構造となっています。
1.
はじめに
放熱構造の重要性について
LEDの発光素子は投入電力に応じた光と熱を発します。し
郭部の特定部位の温度(ケース温度)
:Tc[℃]を測定し、
ジャン
かしLEDパッケージでの表面積は非常に小さく、パッケージレ
クションとケース間の熱抵抗:Rj-c[℃/W]及び、発熱量㲈投入
ベルでの大気中への熱放射はほとんど期待できません。その
電力:Pd[W]を用いてTj[℃]を計算します。 ため、ヒートシンクなどの外部放熱器が必要となり、その放熱
CL-L330シリーズのパッケージは、熱抵抗:Rj-cを最小限
器との接続部位までは、主に熱伝導を利用した放熱構造とな
に抑える構造により、発光素子で発生した熱を効率的に外部
ります。
放熱器まで伝導させることが可能です。
LEDパッケージでは、発光素子のジャンクション温度:Tjの
本書では、CL-L330シリーズの詳細な放熱構造を示すとと
管理が大変重要で、いかなる条件下においても仕様書の絶対
もに、照明機器などの熱設計時に必要な資料を提供する事で
最大定格値以下にする必要があります。
しかしながら、Tjを直
LEDの持つ性能を最大限に活かしていただく事を目的として
接的に測定することは困難であるため、通常はパッケージ外
います。
2.
パッケージ構造と熱抵抗
ジャンクション温度把握のために
CL-L330シリーズのパッケージを外部ヒートシンクに接続
クに伝わります。
ここで、発光素子のジャンクション部からパッ
した場合の断面構造例を図1(a)に示します。パッケージは、ア
ケージ外郭部のアルミニウム基板面までの熱抵抗がRj-cとな
ルミニウム基板と絶縁層ならびに通電用銅箔パターンの積層
り、パッケージ固有の熱抵抗値となります。
構造になっています。
従って、以下の式が成り立ちます。
ここで特徴的なのは、発光素子は熱伝導率の低い絶縁層上
Tj = Rj-c・Pd + Tc
ではなく熱伝導率の高いアルミニウム基板に直接マウントされ
ていることです。
これにより、発光素子で発生した熱を効率よく
さらにパッケ ージ 外 部 のグリース( 接 着 剤 )の 熱 抵 抗 は
パッケージ外部へ伝導することが可能となります。
Rb[℃/W]、ヒートシンクの熱抵抗はRh[℃/W]、周囲環境温
パッケージ外郭部のアルミニウム基板面は、放熱性のグリー
度はTa[℃]となります。
ス(または接着剤)を介してヒートシンクに熱的に接続されま
図1(b)は図1(a)の断面図に沿っ
す。前述したように、発光素子のジャンクション部で発生する
た等価熱抵抗を示しています。
このよ
熱は主に熱伝導を利用し、発光素子→素子マウント用接着剤
うに、ジャンクション温度:Tjと周囲
→アルミニウム基板→グリース(接着剤)を介して、ヒートシン
環 境 温 度:Taの間に、熱 抵 抗 R j - c 、
Tj
■図1(a)Cross Section
Cross-section diagram
LED die
Aluminum
Bond
Tj
Rj-c
Rb、Rhが直列に接続されることとな
Rj-c
Tc
抗であるRbとRhをまとめて熱抵抗
Rb
Rj-c
Tc
Rc-a
Rh
つまり、以下の式も成り立ちます。
Rb
Ta
Heat Sink
Tj
ります。ここで、パッケージ外の熱抵
Rc-aとすることもできます。
Tc
■図1(b)Thermal Resistance
Connection
Rh
Ta
Tj = ( Rj-c + Rc-a )・Pd + Ta
Ta
2
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CL-L330 Series
パッケージ外熱抵抗と周囲環境温度の相関を
外部放熱機構を設計する上での参考としてお役立て下さい。
3.
パッケージ外の熱設計
外部放熱機構のポイントについて
放熱用グリース
(接着剤)
とヒートシンクを合わせたパッケー
絶対最大定格値である120℃に想定した場合の、周囲環境温
ジ外熱抵抗:Rc-a[℃/W]は、投入電力:Pd[W]、および周囲
度:Taとパッケージ外熱抵抗:Rc-aの関係を駆動電流別に表
環境温度:Ta[℃]、ならびにパッケージ熱抵抗:Rj-c[℃/W]で
したグラフです。
制限されます。 周囲環境温度:Taが高くなるほど、そして駆動電流値が大き
つまり、
くなるほど許容されるパッケージ外熱抵抗:Rc-a=Rb+Rhが
小さくなっていきます。
Tj = ( Rj-c + Rc-a )・Pd + Ta Rc-a = ( Tj - Ta ) / Pd - Rj-c
つまりTjを仕様書上の絶対最大定格値である120℃に抑え
るためには、周囲環境温度が高くなるほど、そして駆動電流値
これをTjの関数にすると、
が大きくなるほど、
より熱抵抗の小さい㲈放熱性能の高いグリー
Rc-a = -Ta / Pd + Tj / Pd - Rj-c
ス(接着剤)およびヒートシンクが必要になることを示していま
となり、
傾き-1/ Pdで切片がTj / Pd - Rj-cの直線になります。
す。
よって、外部放熱部材選定の際には図2をひとつの目安とし
図2はCL-L330-C26パッケージにおいて、Tjを仕様書上の
ていただき、最終的には実機による熱検証をお願い致します。
■図2 Ta-Rc-a
Rc-a
(Ŋ/W)
Rj-c=2.4(Ŋ/W)
18
16
350mA
14
480mA
12
720mA
840mA
10
8
6
4
2
0
0
20
40
60
Ta
3
80
100
( Ŋ)
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4. シミュレーション
Structure figure of analytical model
有効な熱設計のために
Tc point ( Cathode )
CL-L330-C26
熱設計を行う際には、シミュレーションも有効な手段のひと
つになります。参考のため、下記条件のもと、CL-L330-C26
Thermal conductive grease
パッケージを熱伝導性シートでヒートシンクに接続した時の、
シミュレーション結果を図3(a)、
( b)に示します。
境界条件
L
W
周囲環境温度
: Ta=25℃
熱伝導率
: 5W/m・K
( Variable )
ヒートシンクの放熱係数 : 0.2
接触抵抗
: 考慮しない
H
モデル条件
熱伝導性シートの熱伝導率 : 4.5W/m・K
熱伝導性シート : t=0.12mm
ヒートシンクの材質
外形 : W : 64mm
: アルミ
(フィン数=6)
H : 40mm
L : (変化させる)mm
■図3(a)Characteristic of heat sink surface area - junction temperature Tj
■図3(b)Characteristic of input power - junction temperature Tj
(Ŋ)150
(Ŋ)140
130
130
Junction Temperature Tj
Junction Temperature Tj
140
Input Power : 26.8W(Rated input)
120
110
100
90
80
70
120
110
100
90
80
70
S = 124273mm2
60
50
0
50000
100000
150000
Surface area of the heatsink
200000
40
250000
0
10
20
Pd
2
(mm )
30
40
(W)
※上記データはシミュレーション値であり、実際の測定値を保障したものではありません。
実際に使用する条件で、評価、検証を行って下さい。
4
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