January 2009

LINEAR TECHNOLOGY
JANUARY 2009
本号の内容...
トップ記事
高電圧、高電流電源の設計を簡素化する
2フェーズ、非同期整流式昇圧コントローラ
...................................................................... 1
Muthu Subramanian and Tick Houk
リニアテクノロジーの最新ニュース............. 2
デザイン特集
製造時にトリミングされ、­40℃、25℃および
125℃でテストされる、
ドリフトが5ppm/℃の
信頼性の高い高精度電圧リファレンス
...................................................................... 7
Michael B. Anderson and Brendan Whelan
CISPR 22のクラスBに適合し、36VINまで
高効率を達成する、超低ノイズの
15mm 15mm 2.8mm μModule™
降圧レギュレータ....................................... 10
Judy Sun, Jian Yin, Sam Young and Henry
Zhang
AdvancedTCA、μTCAおよびAMCのアプリ
ケーションにデジタル・モニタをもたらすデュ
アルHot Swap™コントローラ .................... 15
Josh Simonson
フォールト保護を備えた、LCD、
CCDおよび
LED向け、3mm 3mm QFNの 32Vトリプル
出力電源..................................................... 20
Eko T Lisuwandi
25.5W分類機能と保護機能を備えた、
高さの低い4mm 3mm DFNに収められた
PoE+のPDインタフェース
.................................................................... 26
Kirk Su
デザイン・アイデア
.............................................................. 30–42
(詳細なリストは30ページ)
デザイン・ツール......................................... 43
セールスオフィス ........................................ 44
VOLUME XVIII NUMBER 4
高電圧、
高電流電源の設計を
簡素化する2フェーズ、
非同期整流式昇圧
コントローラ
by Muthu Subramanian and Tick Houk
はじめに
車載や産業用のアプリケーションで高
電力昇圧電源のニーズが増えているの
で、リニアテクノロジーはLTC3862ファ
ミリーの2フェーズ、シングル出力の非
同期整流式昇圧DC/DCコントローラを
最近発表しました。LTC3862は柔軟な高
性能昇圧コントローラで、便利な3種類
のパッケージ・オプション(GN24、露出
パッド付き5mm 5mm 24ピンQFNおよ
び露出パッド付き24ピンTSSOP)で供給
されます。LTC3862は5Vのゲート・ドラ
イブを必要とするMOSFET向けに最適
化されており、LTC3862-1は10Vゲート・
ドライブのMOSFET向けに設計されて
います。
LTC3862は、固定周波数、ピーク電流モー
ド制御トポロジーを使って、グランドを
基準にしたパワーMOSFETをドライブ
します。それぞれのMOSFETのソースに
電流センス抵抗を配置します。精密トラ
ンスコンダクタンス(g m )誤差アンプを
使っているので、ループ補償が簡単で、
マルチフェーズ・アプリケーションで複
数のICを簡単に並列接続することがで
きます。1個の抵抗を使って動作周波数
を75kHz∼500kHzにプログラムすること
ができ、フェーズロックループによって
LTC3862は様々な昇圧
DC/DCコンバータ・アプリケーション
向けに最適化された多用途制御IC
なので、電源の効率、サイズ
および重量の最適化と、部品コスト
および製造コストの低減が容易。
スイッチング周波数を50kHz∼650kHzの
範囲の外部クロックに同期させること
ができます。
カーオーディオ用24V/5A電源
最近のハイエンドのカーオーディオ・シ
ステムは、乗用車の室内の最大7個のス
ピーカをドライブするために大きな電
力を必要とします。トゥイータなどの高
周波数用スピーカは一般に効率が非常
に高いのですが、サブウーファなどの低
周波数用ドライバは大きな音量を実現
するには大きな電力を必要とします。高
電力に加えて、カーオーディオ・システ
ムはバッテリ電圧の変化に影響されな
いようにする必要があります。これらの
要件は、パワーアンプ用昇圧コンバータ
を使って満たすことができます。
3ページに続く
L、LT、LTC、LTM、Burst Mode、OPTI-LOOP、Over-The-TopおよびPolyPhaseはリニアテクノロジー社の登録商標です。
Adaptive Power、Bat-Track, BodeCAD、C-Load、DirectSense、Easy Drive、FilterCAD、Hot Swap、LinearView、μModule、Micropower
SwitcherCAD、Multimode Dimming、No Latency ΔΣ、No Latency Delta-Sigma、No R SENSE、Operational Filter、PanelProtect、
PowerPath、PowerSOT、SmartStart、SoftSpan、Stage Shedding、SwitcherCAD、ThinSOT、TimerBlox、True Color PWM、UltraFast
およびVLDOはリニアテクノロジー社の商標です。他の製品名はその製品を製造する会社の商標であることがあります。
L 最新ニュース
リニアテクノロジーの最新ニュース・
・
・
リニアテクノロジー、
ハイブリッド車/電気自動車向け
バッテリ・スタック・モニタを発表
リニアテクノロジーはハイブリッド車/電気自動車やバッテリ・バッ
クアップ・システムなどのアプリケーション向けのバッテリ・スタッ
ク・モニタに焦点を絞った革新的新製品を9月に発表しました。
同
社は、
ミュンヘンや北京、
さらにシリコンバレー、
ロンドン、パリ、
ス
トックホルム、
ソウル、東京を含む、北米、欧州およびアジアでの一
連の記者会見でこの製品を発表しました。
リニアテクノロジーに
は、既に広範囲のアプリケーション向けのこのデバイスに対するカ
スタマーからの強い感心が寄せられています。
LTC6802の最大測定誤差は0.25%未満なので、セルはそれらの充電
と放電のリミットまで完全に動作することができ、寿命と実効バッテリ
容量を最大にすることができます。LTC6802は各セルの低電圧状態と
過電圧状態をモニタし、1MHzのシリアル・インタフェースを介してホス
ト・コントローラと通信します。過充電状態に対処するため、LTC6802
の各入力は個別にセルを短時間で放電するためのMOSFETスイッチ
をサポートします。
LTC6802は、温度センサー入力、GPIOラインおよびピンでアクセス可
能な精密電圧リファレンスなど多数の機能を8mm 12mmの表面実
装パッケージに一体化しています。
LTC6802は­40℃∼85℃の動作に対して完全に仕様が規定されてお
り、診断機能およびフォールト検出を備えています。堅牢さ、並外れた
精度、および小型パッケージの組合せにより、高電力、高性能バッテ
リ・システムの厳しい要件を直接満たします。
EDN誌、Jim Williamsの寄稿記事のアーカイブを開始
EDNマガジン社は、How-to articles and Design Ideas from EDN s most
revered contributor, Jim Williams(EDNの最も尊敬されている寄稿家
ゼロ排気車への移行が期待される中で、実用的な高性能バッテ
リ・システムの開発が待たれます。
リチウムイオン・バッテリは高エ
ネルギー密度を約束しますが、
信頼性の向上、
寿命の延長、
さらに
コスト目標の達成には、洗練されたバッテリ・マネージメント・エレ
クトロニクスが必要です。
バッテリ・マネージメント・エレクトロニク
スは、
(高電力アプリケーションに必要とされるタイプの)長い高電
圧バッテリ・ストリングの個々のバッテリ・セルを精確にモニタして
バランスさせる必要があります。
これはエレクトロニクスの重要な
課題であり、
自動車の要求を、0Vから1000Vを超える同相電圧か
ら微小な差動電圧を抽出する課題と結合しています。
このニーズ
に応えるため、
リニアテクノロジーはLTC6802を開発しました。
1個のLTC6802マルチセル・バッテリ・モニタICは最大12個の直列
接続されたバッテリ・セルの電圧を精密に測定することができま
す。
もっと長いバッテリ・ストリングの場合、複数のLTC6802を直列
に配置して、多数のバッテリ・スタックをモニタすることができます。
LTC6802の斬新なスタッキング手法により、
オプトカプラやアイソ
レータを使わずに、複数のLTC6802を直列に配置することができ
ます。
スタック構成されたLTC6802は、
バッテリ・ストリングのサイズ
に関係なく、13ms以内に全てのバッテリ・セルの電圧を精密に測
定することができます。
2
Jim Williamsのハウツー記事と設計のヒント)というタイトルの寄稿
記事アーカイブを同社のウェブサイトで立ち上げました。今のところ、
EDN誌は現在から遡って1994年までの間のJim Williamsの詳細なアプ
リケーション記事(これまでのところ42の記事)を掲載しています。同
誌は引き続きアーカイブを増やし、最終的には1980年まで遡る記事を
掲載する予定です。
このアーカイブは、電子回路設計コミュニティーへのJim Williamsの
偉大な貢献と、
これらの技術記事を世界中の広範な読者が利用でき
るようにしたEDN誌のアナログ担当編集者Paul Rakoによる行き届いた
助力への賛辞です。誰でもwww.edn.com/jimwilliamsでこれらの記事
にアクセスして、拡大してゆくアーカイブを閲覧することができます。
IICの中国コンファレンスにおけるリニアテクノロジー
リニアテクノロジーはIICコンファレンスの3つの会場にブースを設けます。
2月26日∼27日は深圳、
3月2日∼3日は西安、
3月5日∼6日は北京です。
コンファレンスでは、
リニアテクノロジーは産業用および車載用製品の
市場に焦点を置きます。
リニアテクノロジーにとって、中国は以下のい
くつかの主要製品分野で引き続き重要な成長市場です。
q 産業用アプリケーション向けデータ・コンバータ
q 産業用アプリケーション向けパワー製品と信号調整製品
q パワーμModule™ DC/DCレギュレータ
q 以下のものを含む車載アプリケーション向け製品
-マルチセル・バッテリ・スタック・モニタ
-電流検出アンプ
-LEDドライバ L
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
LTC3862、1ページから続く
VIN
5V TO 24V
L1
4.2µH
CDEP145-4R2
1nF
3V8
DMAX
GATE1
Q1
Si7386DP
10Ω
SENSE1+
SLOPE
D1
MBRD835L
BLANK
0.007Ω
100µF
1W
35V
10nF
–
10nF
1nF
SS
LTC3862
26.7k
ITH
FB
100pF
130k
22µF 25V
22µF 25V
22µF 25V
VIN
100µF 10µF 50V
35V
4.7µF
INTVCC
6.98k
VOUT
84.5k
1µF
+
24.9k
RUN
FREQ
+
PHASEMODE SENSE1
45.3k
10Ω
PGND
SGND
CLKOUT
SYNC
PLLFLTR
0.007Ω
1W
Q2
Si7386DP
GATE2
SENSE2–
10nF
L2
4.2µH
CDEP145-4R2
SENSE2+
VOUT
24V
5A (MAX)
10µF 50V
10µF 50V
10µF 50V
D2
MBRD835L
図1.120W、2フェーズ、24V/5A出力のカーオーディオ電源
図1に示すのは自動車のバッテリで動作
する2フェーズ、24V/5A出力のオーディ
オ電源で、
図2に示すのはこのコンバータ
の効率曲線です。
動作周波数が300kHzの2フェーズ・デザ
インなので、1フェーズ・デザインに比べ
てかなり小さな出力コンデンサとイン
ダクタを使用することができます。出力
リップル電圧を60mAピーク・トゥ・ピー
クより下に保ってRMSリップル電流の
要求を満たすため、2個の100μF、35Vのア
ルミ電解コンデンサが10μF、50Vのセラ
ミック・コンデンサに並列に接続されて
います。スミダ電機のインダクタの中か
ら4.2μH、10.6Aのインダクタ(CDEP145-
100
95
90
POWER LOSS
1000
85
POWER LOSS (mW)
EFFICIENCY
EFFICIENCY (%)
2フェーズ・デザインにより、
1フェーズ・デザインに比べて
かなり小さな出力コンデンサと
インダクタの使用が可能。
また、このコンバータの出力電流は、
電力段とコントローラの追加により、
基本的な設計変更なしに、
簡単に増加可能。
ILOAD
5A/DIV
IL1
5A/DIV
IL2
5A/DIV
VOUT
500mV/DIV
80
1000
LOAD CURRENT (mA)
100
10000
図2.120Wカーオーディオ電源の効率
および電力損失と負荷電流
Linear Technology Magazine • January 2009
4R2)が、その高飽和電流定格と表面実装
パッケージのデザインのために選ばれて
います。
MOSFETはVishayのSi7386DPであり、
そ の 最 大 R D S ( O N ) は 、V G S = 1 0 V で は
7mΩ、V GS = 4.5Vでは9.5mΩです。On
Semiconductorの35V、8Aショットキー・ダ
イオード(MBRD835L)は小型の表面実
装タイプです。このようなコンバータの
出力電流は、電力段とコントローラを追
加することにより、基本的な設計を変更
することなく、簡単に増加できることに
注目してください。
バランスのとれた熱設計を確保する
チャネル間の優れた電流整合
10000
VIN = 12V
VOUT = 24V
75
100
動作周波数が300kHzの
VIN = 12V
VOUT = 24V
ILOAD = 2A TO 5A
500µs/DIV
図3.負荷分担チャネル間の正確な電流整合を
示す負荷ステップに対するインダクタ電流の
波形
チャネル間の最良のインダクタ電流整合
を実現するため、LTC3862は、誤差アンプ
(ITHピン)から電流コンパレータの入力
(SNSE+ピンとSENSE­ピン)への伝達関
数ができるだけ正確になるように設計さ
れています。最大電流検出スレッショル
ドの仕様は75mVで、チャネル間(VSENSE1
­V SENSE2 )の不整合の仕様は、­40℃∼
150℃の温度範囲で 10mVです。このす
ばらしい整合により、複数のレギュレー
タがデイジーチェーン接続されていて
も、バランスのとれたインダクタ電流と
熱的に安定した設計を確保できます。
3
L デザイン特集
SW1
50V/DIV
IL1
5A/DIV
SW2
50V/DIV
SW2
10V/DIV
IL1
2A/DIV
IL2
2A/DIV
IL1
1A/DIV
IL2
1A/DIV
VIN = 12V
VOUT = 48V
ILOAD = 100mA
VIN = 24V
2.5µs/DIV
VOUT = 48V, 1.5A
図4.重負荷、連続導通モード(CCM)での
インダクタ電流とスイッチ・ノード電圧の波形
GATE1
10V/DIV
GATE2
10V/DIV
固定周波数動作は入力と出力のフィルタ
の設計を簡単にし、電源が軽負荷で可聴
ノイズを発生するのを防ぎます。重負荷
では、インダクタ電流は図4に示されて
いるように一般に連続です(CCM)。軽負
荷では、インダクタ電流は図5に示されて
いるように不連続になります。コンバー
タの最小オン時間(約189ns)によってサ
ポート可能なレベルより下に負荷電流が
下がると、コントローラは、図6に示され
ているように、出力レギュレーションを
維持するためサイクルをスキップし始め
ます。
VIN = 12V
2µs/DIV
VOUT = 48V 1A
PHASEMODE = SGND
図7.フェーズロック・ループを使った、
外部クロックへのLTC3862の同期
これは通常の動作状態であり、ピーク・イ
ンダクタ電流が低い限り、システムにど
んな問題も引き起こしません。
一般に、パルス・スキップが開始される負
VIN
8.5V TO 28V
SLOPE
GATE1
L1
58µH
PA2050-583
0.020Ω
1W
10nF
–
RUN
FREQ
24.9k
0.1µF
150k
1.5nF
LTC3862-1
45.3k
FB
6.8µF 50V
VIN
ITH
100pF
INTVCC
10Ω
SGND
324k
CLKOUT
0.020Ω
1W
2.2µF
100V
×6
Q2
HAT2267H
10nF
SENSE2+
L2
58µH
PA2050-583
D2
B3100
図8.8.5V∼28V入力、72V/1.5A出力の低排気ディーゼル燃料噴射装置のアクチュエータ用電源
4
総合的回路を完成させる強力な
ゲート・ドライバと高電流内部LDO
高 出 力 電 圧 シ ス テ ム で は 、パ ワ ー
MOSFETのスイッチング損失が導通損失
を上回ることがあります。スイッチング
損失をできるだけ減らすため、LTC3862
は強力なゲート・ドライブを内蔵してい
ます。PMOSプルアップ・トランジスタの
RDS(ON)は標準2.1Ω、NMOSプルダウン・ト
ランジスタのRDS(ON)は標準0.7Ωです。ス
イッチング損失の低減に加えて、これら
の強力なゲート・ドライバにより、高電流
アプリケーションの各チャネルに2個の
パワーMOSFETを並列に接続することが
可能です。
VOUT
72V
VOUT
20V/DIV
PGND
GATE2
SENSE2–
SYNC
PLLFLTR
47µF
100V
4.7µF
5.62k
VOUT
6.8µF 50V
6.8µF 50V
1µF
SS
47µF
100V
+
PHASEMODE SENSE1
45.3k
D1
B3100
Q1
HAT2267H
10Ω
SENSE1+
BLANK
外部クロックに同期させる必要のあるシ
ステムのため、LTC3862はフェーズロッ
ク・ループ(PLL)を備えています。外部同
期信号がSYNCピンに与えられる場合の
スイッチング波形を図7に示します。
CLKOUT
10V/DIV
1nF
図6.軽負荷(パルス・スキップ)での
インダクタ電流とスイッチ・ノード電圧の波形
荷電流が低いほど、良いと言えます。この
スレッショルドまで、固定周波数動作が
保たれるからです。図6では、パルス・ス
キップは最大負荷電流の0.2%の比較的
低いレベルで開始されます。
SYNC
10V/DIV
広い負荷電流範囲にわたる
固定周波数動作
3V8
VIN = 17V
1µs/DIV
VOUT = 24V
LIGHT LOAD (10mA)
図5.軽負荷、不連続導通モード(DCM)での
インダクタ電流とスイッチ・ノード電圧の波形
図3は、負荷ステップの間、カーオーディ
オ電源のインダクタ電流がいかに良く整
合しているかを示しています。
DMAX
1µs/DIV
+
SW2
50V/DIV
IL2
5A/DIV
VOUT
100mV/DIV
AC COUPLED
SW1
10V/DIV
SW1
50V/DIV
IL
5A/DIV
VIN = 24V
VOUT = 72V
500µs/DIV
図9.ディーゼル燃料噴射装置の
アクチュエータ用電源の負荷ステップの波形
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
LTC3862は4V∼36Vの入力電圧範囲で
動作可能なので、多様な昇圧アプリケー
ションに適しています。
低排気ディーゼル燃料噴射装置:
8.5V∼28V入力、
72V/1.5A出力の昇圧
将来の低排気ディーゼル燃料噴射装置
は、ガソリンの場合に比べて燃料噴射装
置のもっと精密で高速な動作を必要と
します。アクチュエーションを高速化す
る簡単な方法は、コンデンサに保存され
るエネルギーはVC 2 /2なので、システム
の電圧を上げて、アクチュエータのdi/
VIN
4.5V TO 5.5V
1nF
3V8
DMAX
GATE1
BLANK
10nF
FREQ
LTC3862
3.83k
ITH
FB
330pF
165k
1µF
33µF 10V
33µF 10V
33µF 10V
VIN
220µF 15µF 25V
16V
4.7µF
INTVCC
18.7k
VOUT
0.005Ω
220µF
1W
16V
PGND
SGND
15µF 25V
SENSE2–
CLKOUT
SYNC
PLLFLTR
10nF
SENSE2+
L2
2.7µH
CDEP145-2R7
L1
2.7µH
CDEP145-2R7
1nF
3V8
GATE1
BLANK
D2
MBRB2515LT41
D1
MBRB2515LT41
Q1
HAT2165H
10Ω
SENSE1+
SLOPE
0.005Ω
220µF
1W
16V
10nF
–
330pF
PHASEMODE SENSE1
+
45.3k
RUN
FREQ
1µF
SS
LTC3862
ITH
FB
33µF 10V
33µF 10V
33µF 10V
VIN
INTVCC
10Ω
PGND
10k
CLKOUT
SYNC
PLLFLTR
0.005Ω
1W
Q3
HAT2165H
GATE2
10nF
220µF 15µF 25V
16V
4.7µF
SGND
15µF 25V
Q3
HAT2165H
GATE2
DMAX
15µF 25V
0.005Ω
1W
10Ω
15µF 25V
15µF 25V
15µF 25V
SENSE2–
10nF
SENSE2+
VOUT
12V
15A
+
10nF
SS
ON/OFF
CONTROL
–
RUN
10nF
Q1
HAT2165H
+
PHASEMODE SENSE1
45.3k
D1
MBRB2515LT41
10Ω
SENSE1+
SLOPE
L1
2.7µH
CDEP145-2R7
dtを上げることです。車載バッテリの電
圧を13Vから72Vに昇圧するとdi/dtが大
きく増加し、高速アクチュエーションを
実現することができます。噴射装置のア
クチュエーションにより、電源コンデン
サは一般に10V∼20Vだけ放電し、その
後、昇圧コンバータが出力コンデンサ
を72Vに再充電します。8.5V∼28V入力、
72V/1.5A出力のこの2フェーズ昇圧コン
バータを図8に示します。シミュレーショ
ンした噴射装置の負荷ステップを図9に
示します。
+
単一電源システムの動作を簡素化する
ため、LTC3862は最大50mAの出力電流
をサポートすることができる5Vの低損
失レギュレータ(LDO)を備えています。
PMOSの出力トランジスタが使われてい
るので、自動車のコールドクランキング
など、低電源状態でパワーMOSFETをド
ライブするのに全電源電圧を利用する
ことができます。低電圧ロックアウト回
路はLDOの出力電圧が3.3Vより下に下
がったことを、ゲート・ドライバをオフし
て、パワーMOSFETが低いV GS でスイッ
チングするのを防ぎます。
L2
2.7µH
CDEP145-2R7
D2
MBRB2515LT41
図10.5V入力で動作する、
4フェーズ、
12V/15Aの産業用電源
Linear Technology Magazine • January 2009
5
L デザイン特集
ILOAD
2.5A-5A
5A DIV
IL1 MASTER
5A/DIV
IL2 MASTER
5A/DIV
IL1 SLAVE
5A/DIV
IL2 SLAVE
5A/DIV
VIN
5V/DIV
IL1 MASTER
5A/DIV
IL2 MASTER
5A/DIV
IL1 SLAVE
5A/DIV
IL2 SLAVE
5A/DIV
VOUT
200mV/DIV
VOUT
10V/DIV
VIN = 5V
VOUT = 12V
RLOAD = 10Ω
VIN = 5V
VOUT = 12V
1ms/DIV
図11.4フェーズ、12V/15Aの産業用電源の起動波形
この電源は、スイッチング損失を減ら
すために300kHzのスイッチング周波
数で動作し、57.8μH、5Aのインダクタ
(PA2050-583)を使っています。72Vの出
力を超える十分なガードバンドを与える
ため、このアプリケーションにはRenesas
の80V HAT2267H MOSFETが選ばれまし
た。このMOSFETの最大R DS(ON) はV GS =
10Vで13mΩです。出力電流レベルが3Aな
ので、Diodes Incの表面実装型ダイオード
(B3100)が選ばれました。出力リップル
をピーク・トゥ・ピークで100mVより下に
下げてRMSリップル電流の要件を満た
すため、2個の47μF、100Vの電解コンデン
サと6個の2.2μF、100Vの低ESRセラミッ
ク・コンデンサの組合せが使われていま
す。
4フェーズ、
5V入力、
12V/15A出力の
産業用電源
5V入力を、最大15Aの負荷電流で12V出
力に変換する産業用電源を図10に示しま
す。4フェーズを使うので、パワー部品の
選択が非常に簡単になり、出力リップル
が大幅に減少します。このコンバータの
250µs/DIV
図12.4フェーズ、12V/15Aの産業用電源の
負荷ステップ波形
高出力電圧システムでは、
パワーMOSFETのスイッチング損失が
導通損失を上回ることがある。
スイッチング損失をできるだけ
減らすため、LTC3862は強力な
ゲート・ドライバを内蔵。
PMOSプルアップ・トランジスタの
と可能になります。PHASEMODEピン
はGATE1とCLKOUTの間の位相関係
を 制 御 し ま す 。マ ス タ・コ ン ト ロ ー ラ
のCLKOUTピンはスレーブのSYNC
ピンに接続されており、フェーズロッ
ク・ループが適切な同期を保証します。
PHASEMODEピンは、2、3、4、6および12
フェーズ動作をプログラムするのに使う
ことができます。
R DS(ON)は標準2.1Ω、NMOS
48V/5Aデモ用回路
DC1286Aデモ用回路基板は高電力ア
R DS(ON)は標準0.7Ω。
プリケーション用に設計されており、
LTC3862またはLTC3862-1のGN24パッ
スイッチング損失の低減に加え、
ケージ・オプションを使って48V/5A出
これらの強力なゲート・ドライバにより、
力 を 供 給 し ま す 。6 層 P C B デ ザ イ ン は
高電流アプリケーションには2個の
SENSEラインの適切な配線を保証し、
パワーMOSFETの並列接続が可能。
50%のデューティ・サイクルであっても
最小のジッタを示します。BLANK時間、
PHASE、最大デューティ・サイクルおよ
起動波形を図11に示します。負荷ステッ びSLOPE補償を簡単に変更するための
ジャンパー線が備わっています。ICに給
プの波形を図12に示します。
電するオプションの12V V IN電源が内蔵
マルチフェーズ動作は、PHASEMODE、 されており、部品のフットプリントによ
SYNCおよびCLKOUTの各ピンを使う り、様々なインダクタ、MOSFETおよびダ
イオードを柔軟に使用することができま
す。
プルダウン・トランジスタの
まとめ
LTC3862は様々な昇圧DC/DCコンバー
タ・アプリケーション向けに最適化され
た多用途制御ICです。柔軟性、高性能動
作、さらに便利な3つのパッケージ・オプ
ションを備えているので、総部品点数と
製造コストを低く保ったまま、電源の効
率、サイズおよび重量を最適化すること
ができます。L
図13.48V/5A出力の高電力デモ用回路
6
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
製造時にトリミングされ、
­40℃、
25℃および
125℃でテストされる、
ドリフトが5ppm/ ℃の
高信性高精度電圧リファレンス
by Michael B. Anderson and Brendan Whelan
製造時の較正は、信頼できる
高精度を意味する
LTC6652リファレンスは高精度低ドリフ
ト電圧リファレンスで、先進的曲率補償
回路を備えており、パッケージング後に
トリミングされています。信頼性の高い
性能を保証するため、これらのデバイス
は­40℃、25℃および125℃でテストされ
ており、全温度範囲にわたって仕様を満
たすことが検証されています。この包括
的なテストにより、LTC6652は要求の厳
しいアプリケーションに安心して使用す
ることができます。このテストの1つの結
果を図1に示します。無作為に選んだいく
つかのデバイスの出力電圧と温度は、デ
バイス間で一貫したドリフト特性を示し
ています。これは、動作状態と製造プロセ
スに追従する独自の曲率補償回路の成果
であり、一貫性のある結果が得られます。
図2は、無作為に選んだ製造時にテストさ
Linear Technology Magazine • January 2009
2.504
GUARANTEED
2.502
VOUT (V)
れたLTC6652の温度ドリフトの標準的分
布を示しており、設計とテストの方法が
適切であることを示しています。最後に、
図3に示されているように、初期精度分布
は厳密に管理されています。
実際の仕様の比較:温度範囲で
性能を維持するのか、それとも
単に機能するのか?
2.500
2.498
要求の厳しい環境で使用される電圧リ
ファレンスを比較するとき、極端な状況
で電圧リファレンスがどのように性能を
発揮するかを確実に知ることが重要で
す。リファレンスが過酷な環境で(単に耐
え抜くだけでなく)精度を維持するのが
重要な場合、LTC6655は競合している電
圧リファレンスの大半を背後に置き去り
にします。
たとえば、高精度リファレンスを必要と
する多くのアプリケーションは、産業用
温度範囲(­40℃∼85℃)で動作するよう
に設計されています。周囲温度が85℃に
達すると、筐体の内部とリファレンスの
温度はおそらく85℃を超えるでしょう。
2.496
–50
0
150
50
100
TEMPERATURE (°C)
図1.製造時にトリミングされ、テストされた
デバイスの標準的ドリフト特性
この場合、部品の発熱により回路の筐体
内部が100℃を超えるのは珍しいことで
はありません。さらに、13.2Vの入力電圧
で5mAの全負荷を与えられたどんな同
等の電圧リファレンスも自己発熱によ
り18℃が加わり、自己の内部接合部温度
を118℃に上昇させるでしょう。この温度
はほとんどの電圧リファレンスの有効
範囲から大きく外れています。ただし、
LTC6652はこれらの条件でも、極端な環
境にもかかわらず、並外れた性能を維持
します。
180
30
1004 UNITS
160
25
140
NUMBER OF UNITS
高精度の要件は、もはや風変わりで高価
な測定装置に限定されてはいません。産
業用モニタや車載モニタおよび制御回路
の設計者は、高精度回路を使って製品の
性能と連続動作時間を最大化していま
す。精度の改善により、周囲条件、装置の
位置、バッテリ状態、
部品の磨耗などの多
種のシステム・インジケータを測定する
センサーの出力の精確な評価が可能にな
ります。精密で安定した測定は、動作寿命
にわたってほとんど変化しないシステ
ム・エレメントを管理する鍵を握ってい
ます。これらのわずかな変化の検知によ
り、ランプ、モーターなどの部品の残りの
寿命の推定が可能になり、バッテリの充
放電の制御により動作寿命を最大化す
ることができます。これらのアプリケー
ションは、高い精度、低ドリフトおよび低
ノイズを必要とするだけでなく、広い動
作温度範囲と妥当なコストも要求しま
す。
NUMBER OF UNITS
はじめに
20
15
10
LTC6652A LIMITS
120
80
60
40
5
0
20
0
0.5
1.0 1.5 2.0 2.5
DRIFT (ppm/°C)
3.0
3.5
図2.ドリフトの分布(­40℃∼125℃)
0
2.4985
2.4995
2.5005
OUTPUT VOLTAGE (V)
2.5015
図3.LTC6652-2.5のVOUTの標準的分布
7
L デザイン特集
さらに、LTC6652は広い温度範囲に適応
するようにゼロから設計されています。
図1は全範囲にわたるその一貫した性能
を明らかに示しています。LTC6652をそ
の温度範囲の両端で使ってもシステムの
性能を疑問視したり、ディレーティング
したりする必要はありません。一貫した、
保証された性能のおかげで、高性能シス
テムの設計、仕様決定、および較正が簡単
になります。競合製品によってはそうは
なりません。
フィールドでの較正が不要
精密リファレンスがプリント回路基板に
半田付けされた後、熱ヒステリシスによ
り、出力が製造時にトリムされた値から
シフトする可能性があります。その後の
温度サイクルも、出力電圧のシフトに寄
与します。時間の経過に伴い、回路の老化
によっても、出力がわずかにドリフトす
る傾向があります。LTC6652の回路設計、
製造プロセスおよび機械的設計は、低い
熱ヒステリシスおよびすぐれた長期信頼
性のために最適化されており、フィール
ドでの較正の必要性が減ります。熱ヒス
テリシスは、デバイスが温度変化に曝さ
れるとき、パッケージに収められた半導
体デバイス内の素材の膨張率および収
縮率が異なることにより生じます。パッ
ケージ材と半導体のダイが異なった率で
膨張および収縮するとき、機械的力がデ
バイスのパラメータを(いかに微小であ
8
125°C TO 25°C
ションでは、出力は­260μVシフトするで
しょう。低温に曝して室温に戻ると、
室温
での直前の測定値が+260μVシフトする
でしょう。標準105ppmのヒステリシスは
0.0105%に相当し、初期精度の微小部分
にすぎません。
–40°C TO 25°C
30
25
20
15
10
5
0
–250
50
–150
–50
DISTRIBUTION (ppm)
150
図4.ヒステリシスのプロット(­40℃∼125℃)
れ)変化させ、出力電圧の変化を生じま
す。この変化はppmの単位で測定され、図
4に示されています。
LTC6652は全温度範囲で105ppmの熱ヒ
ステリシスの標準値を誇っています。つ
まり、デバイスが室温から125℃まで上昇
し、再度室温に戻ったとき、出力は標準
で105ppmシフトします。2.5Vの電圧オプ
LTC6652リファレンス・ファミリーは
ドリフトと精度の並外れた性能を
実現するように設計されており、
製造時にトリミングされてる。
ファミリー全体が­40℃、25℃
および125℃で保証され、
製造時にテストされ、
要求の厳しいアプリケーションで
信頼できる性能を保証。
熱ヒステリシスが低く、
長期ドリフトが小さいので、フィールド
での較正の必要性が減り、
または不要になる。
160
電圧リファレンスを選択するとき、熱ヒ
ステリシスの標準値を比較すると便利で
す。これらの数字が全てを語るわけでは
ないことに留意することが重要です。温
度サイクルによって生じる予測誤差を決
めるのに使う必要があるのは、予測され
るヒステリシスの分布です。図4を参照す
ると、あるデバイスはもっと良いヒステ
リシスを示し、あるデバイスはもっと悪
いヒステリシスを示しています。このグ
ラフは実際の誤差範囲を予測するのに役
立ちます。これは弊社の競合各社が常に
示しているとは限らないデータですが、
高精度システムの仕様を規定する際には
決定的に重要なものです。
時間の経過に伴い、リファレンスは一定
の温度に保たれていても、それ自体に
よってシフトする可能性があります。こ
れは、長期ドリフトとして知られていま
す。長期ドリフトはppm/√khrを単位にし
て測定され、ログ特性を有し、出力電圧の
変化は時間の経過に伴って減衰します。
LTC6652の長期ドリフトを図5に示しま
す。ドリフトの大部分は、PCBとパッケー
ジが安定化するまでの最初の1000時間な
いし2000時間の間に生じることに注意し
てください。それ以降、ドリフトは安定化
する傾向を示し、時間の経過とともに勾
配は√khrの関数として減少します。半田
付けされたデバイスの直接測定が、長期
ドリフトを決定する唯一の方法です。
LTC6652-2.5
120
LONG TERM DRIFT (ppm)
対 照 的 に 、全 て の LT C 6 6 5 2 は 、2 5 ℃ 、
­40℃、さらに125℃で、少数のサンプ
ルではなく、全デバイスが完全にテス
トされます。この広範なテストにより、
LTC6652は広い温度範囲全体にわたり一
貫して高い品質を与えます。
35
NUMBER OF UNITS
比較すると、85℃でだけ規定されている
リファレンスのドリフトはおそらくかな
りの追加誤差を示すか、または動作しな
い可能性すらあります。LTC6652に似た
性能があると主張する他のリファレンス
は多くの場合ただ「機能する」だけです。
つまり、動作しないわけではありません
が、85℃より上または0℃より下の温度で
は仕様を満たしません。これらの競合製
品はそれらの全規定温度範囲にわたって
テストされるのは稀です。産業用回路設
計の現実として、多くの場合、
「産業用」温
度範囲での部品の仕様は不適切です。
80
40
0
–40
–80
–120
–160
0
1000
2000
3000
TIME (HOURS)
4000
5000
6000
図5.長期ドリフトの例
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
図5に示されている3つの曲線は予測すべ
き長期ドリフトの大きさを一般的に示
しています。標準的仕様は60ppm/√khrで
す。これは150μVのドリフトに相当しま
す。標準的熱ヒステリシスとドリフトの
数値を組み合わせると165ppmになりま
す。これを視野に置くと、LTC6652の温度
係数は165℃の温度範囲にわたって標準
2ppm/℃です。このため、ドリフトだけで
330ppmとなります。熱ヒステリシスと長
期ドリフトを組み合わせたものは、この
値の半分です(つまり、ドリフトの最大規
定値のちょうど20%です。LTC6652のす
ぐれた熱ヒステリシスおよび長期ドリフ
トの性能は、製品寿命にわたって精度と
信頼性を保証し、実質的にフィールドで
の較正を不要にします。
2.5005
2.5000
LTC6652のレベルの性能は普通SOICの
ような大きなパッケージでだけ与えら
れます。ただし、LTC6652は小型の8ピン
MSOPで供給され、入力や出力にコンデ
ンサは不要です。これにより、必要な基板
スペースが最小に抑えられるので、小型
筐体のセンサー・アプリケーションなど
PCBの制約が厳しいアプリケーションの
設計が簡素化されます。コンデンサを使
用しない別の利点は、敏感な回路に接続
されたエネルギー保存デバイスの除去で
す。これは、エネルギーの保存を最少に抑
える必要がある安全性に厳しいシステム
25°C
2.4995
–40°C
2.4990
2.4985
2.4980
0
2
8
6
10
4
INPUT VOLTAGE (V)
12
14
図6.ライン・レギュレーション
LTC6652リファレンス・ファミリーは
7種類の出力電圧オプションを
備えているので、要求の厳しい様々な
最近のアプリケーションに適している。
これらのオプションは1.25V、2.048V、
では有用な特長です。ただし、低ノイズが
優先される場合、入力コンデンサを追加
して、電源ラインの高周波過渡を抑制す
ることができます。他方、出力コンデンサ
は広帯域ノイズを減らしてACのPSRRを
改善します。どちらでも、LTC6652は安定
して動作します。サイズが小さく、使え
る入力と出力のコンデンサの種類が多
いので、LTC6652は多くの異なるアプリ
ケーションの要件を満たすことができま
す。これには、小型で高密度の携帯アプリ
ケーションから、高精度で低ノイズの測
10
OUTPUT CURRENT (mA)
10
OUTPUT CURRENT (mA)
電流のソース
およびシンクが可能な出力
125°C
2.5V、3V、3.3V、4.096Vおよび5V。
小さなフットプリントと
オプションの出力コンデンサ
1
0.1
定アプリケーションに至るまで、何でも
含まれます。
2.5010
OUTPUT VOLTAGE (V)
加速試験は役に立ちません。基板をバー
ンインするユーザーもいますが、これは
この初期勾配を除去するのに役立ち、長
期ドリフトの影響をさらに減らします。
25°C
125°C, –40°C
0.01
0.1
1
1
INPUT-OUTPUT VOLTAGE (V)
a. ソース電流
0.1
0.001
25°C
–40°C
0.01
0.1
OUTPUT-INPUT VOLTAGE (V)
b. シンク電流
図7.損失電圧とソース電流およびシンク電流
Linear Technology Magazine • January 2009
シャント・リファレンスは2端子デバイ
スで、多かれ少なかれ電流をシンクす
ることにより出力電圧を維持します。
LTC6652はそのシンク能力によって同
様に動作しますが、もっと効率よく動作
することができます。実際、3V以上の電
圧オプションでは、V IN ピンは実際には
VOUTピンより下に下がることができ、そ
の間100μA以上の電流をシンクし、しか
も十分レギュレーションを維持します。
広い入力範囲、低ドロップアウト、
および7種類の電圧オプション
125°C
0.01
0.001
LTC6652は電流をソースすることができ
る直列電圧リファレンスとして機能しま
すが、シャント・リファレンスと同様に電
流をシンクすることもできます。直列電
圧リファレンスの中には出力電流をソー
スすることしかできず、帰還および少量
の電流をシンクするには抵抗分割器に依
存するものがあります。これらのタイプ
のデバイスは、特にスイッチト・キャパシ
タ回路から電荷がキックバックされて出
力電圧が上昇するとき、セトリング時間
が長くなることがあります。ソースのみ
のリファレンスのシンク(過電圧)セトリ
ング時間は、出力コンデンサと抵抗分割
器のRC時定数によって支配されます。た
とえば、2.2μFの出力コンデンサと125kΩ
の抵抗分割器の時定数は275msになり
ます。撹乱の大きさとシステムの精度に
よっては、ソースのみのリファレンスは
適切な時間内にセトリングしないことが
あります。LTC6652の電流シンク能力は
5mAで、動的に応答してセトリングを速
くします。
1
LTC6652リファレンス・ファミリーは選
択可能な7種類の出力電圧オプションを
備えていますので、要求の厳しい様々な
最近のアプリケーションに適していま
す。これらのオプションは1.25V、2.048V、
2.5V、3V、3.3V、4.096Vおよび5Vです。低
入力電圧の要件には、最低2.7Vの入力電
圧まで、1.25Vと2.048Vのオプションが使
えます。
14ページに続く
9
L デザイン特集
CISPR 22のクラスBに適合し、
36VINまで
高効率を達成する、
超低ノイズの15mm
15mm 2.8mm μModule降圧レギュレータ
by Judy Sun, Jian Yin, Sam Young and Henry Zhang
はじめに
電源の設計者は多くのトレードオフに直
面します。高い効率、大きな変換比、高電
力および優れた熱性能が必要ですか。で
は、スイッチング・レギュレータを選択し
てください。低ノイズが必要ですか。で
は、リニア・レギュレータを選択してくだ
さい。全てが必要ですか。では、妥協して
ください。1つの妥協策はリニア・レギュ
レータ付きのスイッチャにすることで
す。これは、スイッチャのみのソリュー
ションに比べて出力ノイズをクリーン
にしますが、たとえフェライト・ビーズ、
πフィルタ、およびLCフィルタを使用し
ても、導通EMIと放射EMIの大きな部分
が残ります。問題は常にスイッチャにま
で遡及します。スイッチャは高速dI/dtト
ランジェントと高いスイッチング周波数
これらのμModule降圧
レギュレータは、
高電力密度を達成すると共に、
EMC(電磁環境適合性)標準規格を
満たすように設計されている。
超低ノイズの特長を
備えているので、
両デバイスともCISPR 22の
クラスBの放射エミッションの
リミットに合格しており、
高いコストのかかる
EMI設計とラボでのテストを
省くことができる。
により高周波数のEMIを生じますが、ア
プリケーションによっては、特に変換比
が大きい場合は、スイッチャが必要です。
幸い、LTM4606とLTM4612のμModuleレ
ギュレータは多くの場合スイッチング・
レギュレータの利点を与えると共に、導
通ノイズと放射ノイズを超低レベルに
保ちます。これらのμModule降圧レギュ
レータは、高電力密度を達成すると共に、
EMC(電磁環境適合性)標準規格を満た
すように設計されています。超低ノイズ
の特長を備えているので、両方のデバイ
スともCISPR 22のクラスBの放射エミッ
ションのリミットに合格しており、高い
コストのかかるEMI設計とラボでのテス
トを省くことができます。
表1.超低ノイズμModuleレギュレータの特長の比較
特長
LTM4606
LTM4612
VIN
4.5V∼28V
5V∼36V
VOUT
0.6V∼5V
3.3V∼15V
IOUT
6A DC Typical, 8A Peak
5A DC Typical, 7A Peak
CISPR 22のクラスBに準拠
L
L
出力電圧トラッキングおよびマージニング
L
L
PLL周波数同期
L
L
1.5%の全DC誤差
L
L
パワーグッド出力
L
L
電流フォールドバック保護
L
L
並列接続/電流配分
L
L
低い入出力換算ノイズ
L
L
超高速過渡応答
L
L
電流モード制御
L
L
プログラム可能なソフトスタート
L
L
出力過電圧保護
L
L
パッケージ
10
15mm
15mm
2.8mm
15mm
15mm
2.8mm
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
>1.9V = ON
<1V = OFF
MAX = 5V
VOUT
RUN
PGOOD
5.1V
ZENER
COMP
1.5µF
INPUT
FILTER
+
VIN
4.5V TO 28V
CIN
60.4k
VD
INTERNAL
COMP
CD
POWER CONTROL
SGND
M1
VOUT
2.5V
AT 6A
MARG1
MARG0
VFB
RFB
19.1k
50k
NOISE
CANCELLATION
50k
fSET
M2
22µF
41.2k
+
COUT
PGND
FCB
10k
MPGM
TRACK/SS
CSS
PLLIN
50k
4.7µF
INTVCC
DRVCC
図1.LTM4606の簡略ブロック図(LTM4612も同様)。入力範囲の広い完全な
レギュレータを構成するのに、少数のコンデンサと抵抗だけが必要です。
これら2つのデバイスの特長の比較につ
いては表1を参照してください。
の入力コンデンサと出力コンデンサが必
要なだけです。
100
両方のμModuleレギュレータは、省ス
ペースで高さが低く熱特性が改善され
た15mm 15mm 2.8mm LGAパッケージ
で供給されるので、高精度のポイントオ
ブロード・レギュレーションのため、PC
ボード底面の他に使用されることのない
スペースに配置することができます。大
きな冷却システムを必要とするリニア・
レギュレータの場合、これは不可能です。
ほとんど全てのサポート部品はμModule
のパッケージ内部に一体化されているの
で、レイアウトは比較的簡単であり、少数
EFFICIENCY (%)
90
出力電力を増やすため、両方のデバイス
とも簡単に並列接続することができ、電
流モード制御構造により、出力電流は自
動的に分配されます。
80
70
1.2VOUT
1.5VOUT
2.5VOUT
3.3VOUT
5VOUT
60
50
0
1
2
3
4
LOAD CURRENT (A)
5
6
図2.12V入力のLTM4606の効率
超低ノイズμModuleレギュレータを
使った簡単な電源設計
外部の入力コンデンサと出力コンデンサ
を少数使って、LTM4612は4.5AのDC出力
電流を供給することができ、LTM4606は
6Aを供給することができます。
95
CLOCK SYNC
CIN
10µF x 2
50V
90
R4
100k
VIN
PLLIN
PGOOD
VOUT
ON/OFF
RUN LTM4612
VD
VFB
INTVCC
C1
10µF
DRVCC
FCB
50V
fSET
MARG0
MARG1
TRACK/SS
MPGM
COMP
C4
SGND PGND
0.01µF
C3
100pF
RSET
5.23k
COUT1
22µF
25V
VOUT
12V
4.5A
COUT2
180µF
16V
DCM
CCM
80
75
70
MARGIN
CONTROL
65
R1
392k
5% MARGIN
60
図3.少数のコンデンサと抵抗で完成する、18V∼36V入力、
12V/4.5A出力のデザイン。
Linear Technology Magazine • January 2009
85
EFFICIENCY (%)
VIN
18V
TO 36V
55
24VIN, 12VOUT
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5
LOAD CURRENT (A)
図4.図3の回路の効率
11
L デザイン特集
電 流 で 十 分 な 熱 性 能 を 与 え ま す 。2 4 V
入力、3.3V出力、6Aの負荷電流のときの
LTM4606のサーマルイメージを図5に示
します。20Wの出力電力で、最大ケース温
度はわずか73.5℃です。
LT4606 OR LTC4612
L1
VIN
VIN
図5.
24V入力、
3.3V/6A出力のLTM4606の
サーマルイメージ
+
C1
150µF
VD
C2
10µF
×3
C3
10µF
図6.高周波数入力ノイズを減らす
入力のπフィルタ
10.6mVP–P
97mVP–P
VIN
50mV/DIV
VIN
5mV/DIV
VOUT
5mV/DIV
VOUT
2mV/DIV
導通EMIの削減
4.4mVP–P
13.8mVP–P
VIN = 5V
2µs/DIV
VOUT = 1.2V
ILOAD = 5A
CIN = 3×10µF/25V CERAMIC AND 1×150µF/25V ELECTROLITIC
COUT = 1×100µF/25V AND 3×22µF/25V CERAMIC
SCOPE BW = 300MHz
VIN = 5V
2µs/DIV
VOUT = 1.2V
ILOAD = 5A
CIN = 3×10µF/25V CERAMIC AND 1×150µF/25V ELECTROLITIC
COUT = 1×100µF/25V AND 3×22µF/25V CERAMIC
SCOPE BW = 300MHz
図7.低ノイズ設計ではない同レベルのμModule
レギュレータの入力ノイズと出力ノイズ
図8.LTM4606 μModuleレギュレータの
入力ノイズと出力ノイズは図7の
レギュレータよりはるかに低い。
80
SIGNAL AMPLITUDE (dBµV)
70
60
CIS25QP
両方とも、制御可能なソフトスタート、
RUNピンによる制御、出力電圧トラッキ
ングおよびマージニング、PGOODインジ
ケータ、周波数調整および外部クロック
への同期など多数の機能を内蔵していま
す。外部ゲート・ドライバ電圧をDRVCCピ
ンに与えることにより、
(特にV INの高い
アプリケーションで)効率をさらに改善
することができます。不連続モード動作
をイネーブルして、軽負荷での効率を上
げることができます。
VIN = 24V
VOUT = 12V
スイッチング・レギュレータの入力と出
力の導通ノイズ(つまり、リップル)は、レ
ギュレータが高周波数で動作するとき通
常問題になります。これはスペースの制
約が厳しいアプリケーションでは一般的
です。LTM4606とLTM4612は図6に示さ
れているように高周波数のインダクタを
積分することにより入力のピーク・トゥ・
ピーク・リップルを減らします。V D ピン
とV INピンの外部入力コンデンサは高周
波数入力のπフィルタを形成します。こ
れは、モジュールと主入力バスの間の導
通EMIの結合を実効的に減らします。
50
入力RMS電流のほとんどはV Dピンのコ
ンデンサC3に流れ込むので、C3はRMS電
30
流を扱うのに十分な容量のものにしま
20
す。10μFのセラミック・コンデンサを推
10
奨します。EMIを効果的に減衰させるに
0
は、C3をできるだけVDピンに近づけて配
0.15
1
10
30
FREQUENCY (MHz)
置します。セラミック・コンデンサC2に
よってリップル
・ノイズの減衰が主に決
図9.LTM4612の導通EMIテストはEMI標準規格CISPR 25のレベル5に合格。
まるので、コンデンサの値を変えて、異な
LTM4612のプログラム可能な出力は、 します。CCMモードで12V入力電圧で る入力リップル要件に合わせることがで
4.5V∼36Vの入力から3.3V∼15Vの範 の効率テストの曲線を図2に示します。 きます。長い誘導性のリードやトレース
囲 で 精 密 に 安 定 化 す る こ と が で き 、 900kHzのスイッチング周波数で動作す によって入力のソース・インピーダンス
LTM4606は4.5V∼28Vの入力から0.6V∼ るLTM4606では、全負荷で約92%の効率 が損なわれる場合にだけC1は必要です。
5Vを発生することができます。電流モー が達成されます。
これらのμModuleレギュレータは降圧回
ド制御と最適化された内部補償により、
大きな負荷過渡に対しても、両方とも安 LTM4612を使った、18V∼36VのV IN 、 路トポロジーで使われるので、出力のイ
定した出力を与えます。
12V/4.5AのVOUTの完全なデザインを図3 ンダクタLとコンデンサCOUTで形成され
るローパス・フィルタは、導通出力EMIを
に示します。効率を図4に示します。
4.5V∼28Vの入力で2.5V/6Aの出力の
同様に減らすことができます。
LTM4606の簡略ブロック図を図1に示 両方のデバイスとも、大きな出力負荷
12
40
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
LTM4606 µMODULE
REGULATOR
RESISTIVE LOAD
EMISSIONS LEVEL (dBµV/m)
90
DC POWER SUPPLY
図 9 は 、2 4 V の V I N 、1 2 V / 5 A の V O U T の
LTM4612の導通EMIテストの結果を示し
ており、EMI標準規格のCISPR 25のレベ
ル5に適合しています。
このテストの入力
容量は4個の10μF/50Vセラミック・コン
デンサおよび1個の150μF/50V電解コン
デンサで構成されています。
放射EMIをテストするため、図10に示さ
れている10メートルのシールドルームの
中でいくつかのセットアップがテストさ
れました。
Linear Technology Magazine • January 2009
30
10
0
100
200
300
400 500 600 700
FREQUENCY (MHz)
800
900 1000
90
70
50
CISPR22, CLASS B
30
VIN = 12V
VOUT = 2.5V
ILOAD = 6A
10
0
0
100
200
300
400 500 600 700
FREQUENCY (MHz)
800
900 1000
図12.低ノイズ機能のない標準的モジュールの放射エミッションのピーク・スキャン
90
70
50
CISPR22, CLASS B
30
VIN = 12V
VOUT = 2.5V
ILOAD = 6A
10
0
放射EMIの削減
0
100
200
300
400 500 600 700
FREQUENCY (MHz)
800
900 1000
図13.LTM4606の放射EMIテストはEMI標準規格CISPR 22のレベルBに合格。
90
EMISSIONS LEVEL (dBµV/m)
スイッチング・レギュレータは放射EMIも
発生します。
これは高効率レギュレータに
本質的な高いdI/dtの信号によって生じま
す。
入力πフィルタは、
モジュールの近接領
域のdI/dtの高いループによって生じる放
射EMIを制限するのに役立ちますが、
放射
EMIをさらに減衰させるため、
LTM4606と
LTM4612はMOSFETのための最適化され
たゲート・ドライバとノイズ・キャンセル・
ネットワークを備えています。
CISPR22, CLASS B
図11.ベースライン・ノイズの放射エミッションのスキャン
(スイッチング・レギュレータ・モジュールなし)
EMISSIONS LEVEL (dBµV/m)
これらのμModuleレギュレータの相対
ノイズ減衰を示すため、図7と図8に示さ
れているように、入力ノイズと出力ノイ
ズに関して、低ノイズ機能のない同等の
モジュールがLTM4606と比較されてい
ます。両方のモジュールとも抵抗負荷を
使って、入力が5V、出力が1.2V/5Aでテ
ストされています。この比較では、同じ
基板レイアウトとI/Oコンデンサが使わ
れています。その結果は、図7の同等のモ
ジュールに比べて、LTM4606の生じる入
力ノイズと出力ノイズははるかに低く、
ピーク・トゥ・ピークの入力ノイズは1/10
近くまで減少し、出力ノイズは1/3よりも
減少していることを示しています。
50
0
EMISSIONS LEVEL (dBµV/m)
図10.電磁放射スキャンの測定環境
70
70
50
CISPR22, CLASS B
30
VIN = 24V
VOUT = 12V
ILOAD = ??A
10
0
0
100
200
300
400 500 600 700
FREQUENCY (MHz)
800
900 1000
図14.LTM4612の放射EMIテストはEMI標準規格CISPR 22のレベルBに合格。
13
L デザイン特集
表2.図13に示されている放射エミッションの結果に対して十分なノイズマージン
周波数 アンテナの
(MHz)
分極
EUTの
方位角
(度)
アンテナ
プリアンプ
の高さ 未補正振幅
ACF
の利得
(cm)
(dB)
(dBµV)
(dB/m)
CBL
(dB)
DCF
(dB)
補正振幅 リミット マージン
(dBµV)
(dBµV)
(dB)
134.31
H
354
364
1.3
11.428
0
1.532
0
14.26
30
15.74
119.96
V
184
110
3.5
12.694
0
1.456
0
17.65
30
12.35
160.02
H
0
354
0.5
10.499
0
1.793
0
12.792
30
17.208
174.37
H
0
100
1.2
9.638
0
1.944
0
12.782
30
17.218
224.28
V
0
100
–1.87
10.586
0
2.044
0
10.76
30
19.24
263.63
H
0
371
–4.72
12.6
0
2.385
0
10.265
37
26.735
ベースラインの放射ノイズを低く抑え
るため、リニアDC電源が入力に使われ、
出力には抵抗性負荷が採用されました。
ベースラインのエミッション・スキャン
の結果を図11に示します。プロットには2
つのトレースがあります。一方は受信ア
ンテナの垂直方向のもの、他方は水平方
向のものです。
対 比 す る た め 、低 ノ イ ズ LT M 4 6 0 6 モ
ジュールのピーク・スキャン結果を図13
に示します。異なる動作条件のために十
分なマージンを疑似ピーク・リミットに
与えるため、図13の表に示されているよ
うに、疑似ピーク測定を使って、6つの最
高ノイズ・ポイントをチェックしました。
結果は、CISPR 22のクラスBの(疑似ピー
クの)放射エミッションのリミットより
下に12dBμV以上のマージンがあること
を示しています。
化された設計により、放射EMIの性能は
CISPR 22のクラスBのリミットを十分な
マージンで下回り、ノイズに敏感な環境
のアプリケーションが簡素化されます。
並外れた性能
25℃および125℃で保証され、製造時に
テストされ、要求の厳しいアプリケー
ションで信頼できる性能を保証します。
熱ヒステリシスが低く、長期ドリフトが
小さいので、フィールドでの較正の必要
性が減り、または不要になります。小型8
ピンMSOPパッケージであり、要求され
るコンデンサが少ないので、必要な基板
スペースが最小に抑えられます。2.7V∼
13.2Vの広い入力範囲と7種類の出力電圧
オプションにより、精密リファレンスの
ユーザーのほとんどのニーズが満たされ
ます。L
並外れた熱性能により、設計がさらに簡
素化されますので、高効率とコンパクト
なフォームファクタを実現することがで
きます。高さの低い15mm 15mm 2.8mm
(LTM4606やLTM4612とは異なる)低ノ
パッケージにほとんど全部のサポート部
イズ機能を内蔵していないμModule降圧
品が収められています(設計を完成する
レギュレータのピーク・スキャンの結果
には、少数の入力コンデンサと出力コン
を図12に示します。スキャンの結果は、 24VのVIN、
12V/5AのVOUTでCISPR 22のク デンサだけが必要です)。出力電力を増や
ベースラインのノイズ・レベルに比べ ラスBの放射エミッションのリミットを すには、複数のμModuleレギュレータを
て、350MHzより低いノイズがμModuleス 満たすLTM4612の結果を図14に示します。 簡単に並列動作させることができます。
イッチング・レギュレータによって生じ
ソフトスタート、RUNピンによる制御、
ることを示しています。この場合、放射 まとめ
出力電圧トラッキングおよびマージニン
EMIはCISPR 22のクラスB(疑似ピーク) LTM4606とLTM4612のμModuleレギュ グ、PGOODインジケータ、周波数調整お
放射エミッションのリミットを満たして レータは、スイッチング・レギュレータ よび外部クロックへの同期などのオプ
いません。
の高性能の利点の全てを与え、ノイズの ション機能によって、これらのデバイス
問題を生じません。超低ノイズに最適 の柔軟性は完全なものになります。L
LTC6652、9ページから続く
他の5つのオプションは最大負荷で入力
から出力にわずか300mVの空き高しか必
要としませんが、負荷が減ると、または
電流をシンクするとき、必要な空き高は
もっと小さくなります。3V電源で動作す
る2.5Vリファレンスや5V電源で動作す
る4.096Vリファレンスなどの一般的なア
プリケーションの要件に簡単に対応でき
ます。高い入力電圧の要件では、13.2Vま
で全ての電圧オプションが動作します。
入力電圧には関係なく、図6のライン・レ
ギュレーションのプロットに示されてい
るように、LTC6652はすばらしい精度を
保ちます。ソース電流とシンク電流の両
方の損失電圧のプロットをそれぞれ図7a
と図7bに示します。
14
多くのリファレンスがLTC6652の特長の
いくつかを共有していますが、同じレベ
ルの性能と信頼性で全ての特長を備えた
ものを見つけるのは困難です。追加の特
長には、低ノイズ、良好なAC PSRR、およ
び優れた負荷レギュレーション(ソース
電流とシンク電流の両方)が含まれます。
低消費電力とシャットダウン・モードを
加えると、特長のリストが完成します。
まとめ
LTC6652リファレンス・ファミリーはド
リフトと精度の並外れた性能を実現する
ように設計されており、製造時にトリミ
ングされます。ファミリー全体が­40℃、
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
μTCAおよびAMCの
AdvancedTCA、
アプリケーションにデジタル・モニタをもたら
すデュアルHot Swapコントローラ
by Josh Simonson
はじめに
最近承認されたプラグイン・カードのバ
ス標準規格(AdvancedTCA、μTCA、AMC
など)は、以前の標準規格(CompactPCIな
ど)に比べると、コネクタを介して配線
される電源の個数を減らしています。バ
ルク電力は比較的高い電圧の1個の電源
に制限されているので、効率の良い配電
チャネルの実現に役立ちます。たとえば、
配電された12V電源はローカルにもっと
低い電圧に変換され、分配電流とそれに
関連したコネクタや電力処理回路での損
失を最小に抑えます。カードによっては
低電圧(3.3V)の保持電源も備えており、
バルク電源がオフしているときでも、低
電流のハウスキーピング機能をカードに
提供します。
これらの新しいプラグイン標準規格は
明らかに簡素化をもたらすが、
それでもHot Swap、監視
および制御機能の電力、
熱放散および信頼性に関する
厳しい要件は残る。
LTC4222は、内蔵デュアルHot Swap
コントローラ、および内蔵ADCを
介した電圧と電流の統合モニタ機能に
よって、これらの要件を満たす。
これらの標準規格は明らかに簡素化をも
たらしますが、それでも電力、熱放散お
よび信頼性に関する厳しい要件は残り、
先進的なHot Swap、監視および制御機能
を要求します。LTC4222は、デュアルHot
S wapコントローラおよび内蔵ADCを介
した電圧と電流の統合モニタ機能によっ
て、これらの要件を満たします。
ホットスワップは最初に基板を絶縁する
ためにパワースイッチを必要とし、その
スイッチをゆっくりオンしてバックプ
レーンの撹乱を最小に抑えるためにコン
トローラを必要とします。
表1.LTC4222の多くの特長の中のいくつか
特長
広い入力電圧範囲:
2.9V∼29Vの入力で動作
(絶対最大定格は35V)
10ビットADC:
電流、
出力電圧
および外部ピン電圧をモニタ
I2C/SMBus:
2線シリアル・インタフェースを使った
読出し/書込みスレーブ・デバイスとして通信
オプションの連結されたフォールト:
構成設定ピンにより、
チャネルが独立して
機能できるようにするか、
またはフォールトを
連結して、
どちらかにフォールトが発生すると
両方のチャネルをシャットダウンする
短絡に対する高速応答:
短絡に対する高速(<1μs)電流制限応答
利点
❏ 3.3V、5V、12Vおよび24Vのシステムに適している
❏ デバイスは疑似安定化電源で動作するので設計が簡素化される
❏ 過電圧過渡範囲が大きいので、過渡保護の設計許容度が緩和される
❏
❏
❏
❏
❏
信頼性を高める
基板の電力情報により、基板の故障に対する早期警報を出力
基板が割り当てられた電力内に留まっていることを検証
冗長電源経路の完全性チェックが可能
シャーシ冷却の制約内での電力利用を安全に最大化すための
アクティブ・パワー・マネージメントが可能。
❏ ほとんどのシステムとの統合を改善。
インタフェースにより、
ホストは
デバイスを構成設定し、
どのフォールトが生じているか、
または生じたかを
判断し、ADCの測定値を読み出すことができる
❏ 異なるアーキテクチャに柔軟性を与える
❏ デバイスが2つの独立したソケットに給電すること、
または電力供給の
シーケンスを制御することを可能にする
❏ 1つのフォールトに対して両方のチャネルがシャットダウンして、
フォールトを生じた基板を絶縁することを可能にする
❏ コネクタを過電流から保護する
❏ 短絡による入力電源の撹乱を制限する
フォールト後にホストに対してアラートを出力: ❏ フォールトに即時対応するためのホストへの割込みにより、
システムへの損傷を限定する
I2Cを使って構成設定すると、
フォールトにより
ALERTピンのアクティブ・プルダウンが作動する ❏ ポーリングのために、
バスのトラフィックを減らす。
Linear Technology Magazine • January 2009
15
L デザイン特集
Hot Swapコントローラはカードの電圧と
電流をモニタするので、データ・コンバー
タを使ってもっと上のレベルのモニタリ
ングを統合するのに自然な場所です。こ
れは、電力経路の健康状態と、下流の回路
の電力消費に関する詳細な情報を与えま
す。このような情報を使って、長期にわ
たって性能をモニタし、故障や仕様外れ
に向かって進んでいる基板を識別するこ
とができます。
LTC4222は(35Vの過渡を含む)24Vのア
プリケーションから、動作入力電圧が
2.9Vまで下がる可能性のある3.3Vのア
プリケーションまで動作します。機能的
には、LTC4222は1対のLTC4215または
LTC4260に非常に似ています。LTC4222、
LTC4215およびLTC4260の特長の比較
を表2に示します。3つのデバイスは全て
12Vシステムに使えるので、表2を使っ
て、特定のアプリケーションに最適な特
長を備えたデバイスを選択することがで
きます。
AMCアプリケーション
LTC4222は堅牢なHot Swap回路をデー
タ・コンバータおよびI2Cインタフェース
と組み合わせているので、ホットプラグ
の機能とフォールトの分離に加えて、電
力モニタが可能です。標準的アプリケー
ションでは(図1を参照)、LTC4222は外
部Nチャネル・パス・トランジスタを使っ
て、ホットスワップされる基板を、それが
最初に挿入されるときバックプレーンか
ら絶縁します。デバウンス時間が経過し
た後、コントローラは基板に電力を供給
し始めるか、またはホスト・プロセッサか
らのターンオン・コマンドを待つことが
できます。電力は徐々にランプアップし
て、バックプレーンへの撹乱を最小に抑
えます。パワーアップ・プロセスが完了す
ると、LTC4222は電力経路のフォールト
のモニタを続けます。CONFIGピンは2つ
のチャネルが同時にスタートアップし、
ターンオフするか、または互いに独立に
そう するかを制御します。LTC4222の主
な特長のいくつかを表1に示します。
Nチャネル・パス・トランジスタ(Q1)は、
図1に示されているように、基板のVOUT1
への給電を制御します。直列センス抵抗
(R SENSE)により、LTC4222は電源経路の
電流をADCを使って測定することがで
16
表2.LTC4222、LTC4215およびLTC4260の特長の比較
特長
LTC4222
LTC4215
LTC4260
チャネル
2
1
1
VDD Abs Max
35V
24V
100V
VDD Min
2.9V
2.9V
8.5V
50mV
25mV
50mV
5%
10%
10%
電力制限/回路ブレーカ
回路ブレーカの精度
組込み過電圧スレッショルド
15.6V
オプションの連結されたフォールト
L
ADCの直接アドレス/アラート
L
ADCの分解能
10-bit
8-bit
8-bit
ADC SOURCE LSB
31.25mV
60mV
400mV
ADC VSENSE LSB
62.5μV
151μV
300μV
ADC ADIN LSB
1.25mV
4.85mV
10mV
内部で発生させたVCC
3.3V
3.1V
5.5V
パッケージ
5mm x 5mm
QFN
4mm x 5mm
QFN
5mm x 5mm
QFN
き、電流検出入力を電流制限と回路ブ レベルを設定して、Q1の安全動作領域
レーカに供給します。抵抗R5はQ1の自己 (SOA)の要件を大幅に改善します。コン
発振を抑止します。抵抗R1∼R3は低電圧 デンサC SSは突入電流の最大スルーレー
(UV)および過電圧(OV)のフォールト・ トを設定して、バックプレーンの過渡グ
スレッショルドを設定します。コンデン リッチを防ぎ、C TIMERはスタートアップ
サCFは電力信号をフィルタして、ノイズ のタイムリミットを設定するのに使わ
や過渡によるフォールトを防止します。 れ、システムが過度の負荷に対して起動
R7とR8はパワーグッド・スレッショル しようと試みると、Q1をオフしてQ1を保
ドを選択し、フォールドバック電流制限 護します。
RSENSE1
6mΩ
VIN1
12V
ON
SDA
SCL
ALERT
NC
C3
0.1µF
R32
3.4k
R22
1.02k
VIN2
3.3V
R51
10Ω
R21
1.02k
R31
3.4k
VOUT1
12V
7.4A
R71
10.2k
R11
34k
CF1
0.1µF
CF2
0.1µF
Q1
Si7336ADP
UV1 VDD1
OV1
ON
SDA
SCL
ALERT
CONFIG
ADR0
ADR1
ADR2
INTVCC
GND
OV2
UV2 VDD2
SENSE1– GATE1 SOURCE1
FB1
GPIO1
EN1
ADIN1
TIMER
R81
3.57k
R41
10k
12PGOOD
CTIMER
1µF
LTC4222
SS
ADIN2
EN2
CSS
68nF
AUXPGOOD
GPIO2
FB2
SENSE2– GATE2 SOURCE2
R52
10Ω
CG2
10nF
R12
6.65k
R82
3.57k
R42
10k
R72
4.99k
RSENSE2
300mΩ
Q2
Si1046R
BACKPLANE PLUG-IN
CARD
VOUT2
3.3V
150mA
図1.標準的AMCアプリケーション
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
C3は、INTV CCピンの内部3.3Vコア電圧を
バイパスし、LTC4222が入力電源グリッチに
よってリセットするのを防ぐのに使われます。
INTVCCピンは、I2Cバス・バッファのような外
部負荷に最大10mA供給するのにも使うこと
ができます。
チャネル2の振舞いはチャネル1
と全く同じです。
コネクタのピンは一般に千鳥になっている
ので、最初に最長ピンによって主電力が供
給され、次いで中間長のピンによって通信ラ
インが接続され、最後に、UVピン、OVピン、
またはENピンの電源などHot Swapの制御
ラインが接続されます。
どのコネクタ信号の
バウンスも起動前に収束することができるよ
うに、UV、OV、
およびENの各ピンが100ms
の間正しい状態に留まってから、Q1をオン
する必要があります。
この時点でONピンが
L であれば、直ちにデバイスをオンします。
I2Cバスを介して制御レジスタ内のONビット
に書き込むことにより、ONピンをオーバーラ
イドしてQ1をオンまたはオフすることができ
ます。
CONFIGピンが L だと、
両方のチャネルがス
タートアップを開始するにはこれらの条件が
満たされる必要があり、
図2に示されているよ
うに、
両方のチャネルが同時にスタートアップ
します。CONFIGピンが L のときどちらかに
フォールトがあると、図3に示されているよう
に、両方のチャネルがオフし、
その時点で、制
VDD1/2
10V/DIV
VOUT1
10V/DIV
VOUT2
10V/DIV
GPIO2
PGOOD
10V/DIV
50ms/DIV
図2.連結されたターンオンによる
起動波形
御レジスタの構成設定に従って、
両方一緒に
ラッチオフするか、
または自動リトライを行い
ます。
これにより、
フォールトの生じた基板を
完全に切断することができます。
CONFIGピンが H に接続されていると、
2つ
のチャネルは、両方のV DD 電圧がそれらの
UVLOレベルを超えている限り、
独立にスター
トアップすることができます。一方のチャネル
の100msのデバウンス時間の間に他方のチャ
ネルがイネーブルされると、
100msのデバウン
スが始めからやり直され、両方のチャネルが
一緒に起動します。
ただし、
一方のチャネルが 内蔵ADCを使った基板電力の測定
起動中に、
または過電流のクールダウン・サイ 電源の電圧と電流のモニタは電力経路の
クル中に、
他方のチャネルがイネーブルされる 健康状態のトラッキングに便利な方法です。
と、
スタートを試みているチャネルは他のチャ 同一カードの過去のデータ履歴と新しい
ネルが完了するまで待つ必要があり、
その後 データを比較して、
カードの振舞いが異常
スタートが可能になります
であることを示す可能性のある電力消費の
変化を検出することができます。異常なカー
CONFIGが H に接続されていると、一方の ドはシャットダウンして、
おそらくもっと重度
チャネルのGPIOピンのパワーグッド出力を のフォールトやシステムの誤動作が発生す
他方のチャネルのUVピンに接続することに る前に、保守の必要があることを知らせる
より、
2つのチャネルのシーケンスを簡単に制 ことができます。LTC4222は10ビットのデー
御することができます。
GPIOピンはUVピンを タ・コンバータを備えており、6つの電圧、2
および
引き下げ、
最初のチャネルがスタートアップし つのADINピン、2つのSOURCEピン、
+
­
てFBピンがパワーグッドを検出するまで他の SENSE ピンとSENSE ピンの間の2つの電
チャネルをオフに保ちます。
パワーグッドが検 流検出電圧を連続的にモニタします。ADIN
出された時点でGPIOピンがUVピンをリリー ピンは用途未定のADC入力で、それらを
スし、
図4に示されているように2番目のチャネ 使ってユーザーは利用可能などの電圧でも
ルがスタートアップします。
モニタすることができます。ADINピンはフル
スケール1.28Vでモニタされ、信号のスケー
リングなしに直接データ・コンバータの入力
に接続されています。SOURCEピンは入力
VDD1/2
に1:24の分圧器を使い、32Vのフルスケール
10V/DIV
VOUT1
を与えます。SENSE電圧アンプの電圧利得
10V/DIV
は20なので、64mVのフルスケールとなりま
VOUT2
す。
コンバータはオーバーサンプリングとオ
10V/DIV
フセット・キャンセルの方法を使います。
オフ
GPIO2
セット・キャンセルにより、SENSEチャネルに
PGOOD
10V/DIV
完全な10ビットのダイナミックレンジを保ち
50ms/DIV
ます。
図3.連結されたフォールトによる
フォールト・オフ波形
VSENSE1
150mV/DIV
VSENSE1
150mV/DIV
VOUT1
10V/DIV
VOUT1
10V/DIV
VOUT2
10V/DIV
VOUT2
10V/DIV
ALERT
5V/DIV
ALERT
5V/DIV
10µs/DIV
図4.シーケンス制御された起動波形
Linear Technology Magazine • January 2009
CONFIGピンが H に接続されているとき一
方のチャネルにフォールトが生じると、図5に
示されているように、他方のチャネルはオン
に留まります。
これにより、LTC4222は、図6
に示されているような2つのμTCAスロットの
12Vのペイロードに給電している場合のよう
に、隣接するスロットが故障しても故障して
いないスロットがオン状態に留まることが想
定されている、バックプレーンをベースにし
たアプリケーションの2つのスロットに給電
することが可能になります。
10µs/DIV
図5.独立したフォールトによる
フォールト・オフ波形
データ・コンバータが、外部スイッチがオフ
状態でVDD­SENSEチャネルに2mV以上を
読み出すと、LTC4222はFET-SHORTフォー
ルトを発生して、
スイッチがおそらく損なわれ
ていることを示します。
この状態の存在は、
発生元のチャネルのSTATUSレジスタのビッ
トC5に示され、FAULTレジスタのビットD5
にログされます。LTC4222はこの条件で、
(も
しそのように構成設定されていれば)
フォー
ルトをログしてアラートを発生する以外、
ど
んなアクションもとりません。
17
L デザイン特集
各変換の結果は12個のADCレジスタに
保存されます。データ・コンバータのデ
フォルトの振舞いは自走モードで、この
モードでは6チャネル全てを連続的に順
に測定し、出力レジスタを毎秒15回更
新します。データ・コンバータはADC_
CONTROLレジスタのビット0(HALT)を
セットすることにより停止することが
できます。引き続きHALTビットがセッ
トされた状態でADC_CONTROLレジス
タに書き込むと、ADC_CONTROLレジス
タのビット1∼ビット3によって選択さ
れたデータ・コンバータ・チャネルの1回
の変換を開始します。ADC_CONTROLレ
ジスタのビット4をセットすることによ
り、オプションのアラートをALERTピン
に発生して、変換が終了したことを示す
ことができます。または代わりに、ADC_
BUSYビット(ADC_CONTROLのビット
5)がデータ・コンバータの変換完了を示
すまで、このビットをポーリングするこ
とができます。データ・コンバータが自走
モードのとき、ADC_BUSYビットは常に
セットされていることに注意してくださ
い。データ・コンバータが停止していると
き、ソフトウェアによるテストのために
データ・コンバータのレジスタに対して
読み書きすることができます。
り下に設定することができます。両方の
チャネルが同時にスタートアップすると
き、電流検出電圧は両方とも2つのFBピ
ンとSSピンによって支配される最低値
に制御されます。
スタートアップ期間の終わりに電流制限
回路がチェックされます。電流制限がま
だ電流を制御していると、LTC4222は出
力が立ち上らなかったと判断して過電
流フォールトを発生します。電流制限回
路がアクティブでなければ、電流制限ス
レッショルドが150mVに移動し、GPIOピ
ンへのパワーグッド信号がイネーブルさ
れ、50mV回路ブレーカが有効になりま
す。
を停止します。最低FBピンの電圧が上昇
してフォールドバック電流リミットを増
加させる間、引き続きランプすることが
許容されますが、それでも勾配が制限さ
れ、フォールドバックによって大きさも
制限されます。他方のチャネルがスター
トアップ中、オンまた はオフ状態のチャ
ネルのFBピンは無視され、スタートアッ
プ電流制限には影響を与えません。
突入電流をフォールドバック・レベルよ
り低い値にマニュアルで設定するため
RCネットワークがCATEピンに接続され
ると、電流制限回路は、SSピンとFBピン
によって指令されたV DD­SENSE電圧を
達成できないとき、制御を離れてスルー
し始めます。その間にスタートアップ・
SSピンはスタートアップ時の電流のス タイマの時間が経過しても、電流制限が
ルーレートのリミットを設定します。こ アクティブではないので、過電流フォー
のピンはグランドからスタートし、それ ルトは発生しません。GPIOピンのパワー
はセンス抵抗の負電圧に対応するので、 グッド出力はFBピンの状態を伝達し、回
MOSFETはオフします。ソフトスタート・ 路ブレーカが有効になります。FBピン
コンデンサへ流れ込む電流はランプを発 がその1.235Vのスレッショルドを超え
生し、このランプは増加するV DD­SENSE ると、出力電圧が上昇を終了してパワー
または、電流が
電圧に対応します。どちらかのチャネル グッドをアサートするか、
の電流制限回路がゲートをリリースす 回路ブレーカのスレッショルドまで増加
ると(支配的V DD ­SENSE電圧が正にな してデバイスが過電流フォールトを発生
ると)、SSピンからの電流が停止し、その するかどちらかです。
GATEピンが上昇してMOSFETをオンす
スタートアップ後に過電流状態が発生
るのを待ちます。
柔軟性に富む突入電流制御
すると、電流制限回路がV DD­SENSE電圧
上述のように、LTC4222は、チャネルの
入力がUVとOVのスレッショルドを満 電流制限回路がV DD­SENSE電圧の制御 を150mVに制限し、回路ブレーカは20μs
たし、100msの内部デバウンス・タイマの を開始すると、SSピンからの電流が再度 のタイムアウトの間待ってから過電流
時間が経過するまで待ってから、各チャ 流れ始め、フォールドバック・レベルに達 フォールトを発生します。過電流フォー
ネルの外部スイッチをオンします。ス するまでランプし続けます。GATEピン ルト後、デバイスはスタートアップ時間
タートアップ時間は、TIMERピンのコン がスルーする間SSピンがランプアップ の50倍のクールダウン時間の間待ってか
デンサによって決定されるか、または、 を停止することが重要です。なぜなら、 ら、自動再トライによって、または、ENピ
TIMERピンがINTV CCに接続されている もし停止しなければ、ランプが継続し、 ン、UVピンまたはOVピンをサイクルさ
と100msになります。この時間の間、回 MOSFETスレッショルドに達したとき制 せることによって、どちらのチャネルも
路ブレーカはディスエーブルされ、過電 御されない電流ステップが生じるからで スタートまたは再スタートすることを許
流フォールトが生じるのを防ぎます。対 す。制御されないステップは突入電流の します。ONピンまたは制御レジスタ内の
応するGPIOピンからのパワーグッド信 規定値に違反して、バックプレーンに電 ONビットをサイクルさせて、クールダウ
号もディスエーブルされ、SS(ソフトス 源グリッチを生じる可能性があります。 ン時間を迂回することができます。
タート)ピンとFB(フォールドバック)ピ 両方のチャネルが同じスタートアップ・
ンを介して電流制限が最大値に達する前 サイクルでオンするとき、電流制限回路 制御されたターンオフ
に負荷をオンするのを防ぎます。突入電 の間のオフセットの差により、ゲートが フォールトまたはI 2Cトランザクション
流のスルーレート(dI/dt)はSSピンを介 スルーするとき、ソフトスタートのラン によってLTC4215がオフすると、GATEピ
して制限されます。突入電流はFBピンを プが異なった時点で2回停止する可能性 ンが1mAの電流源によって引き下げられ
介して50mVから17mVにフォールドバッ があります。
ます。GATEピンがSOURCEピンより下に
クされます。外部MOSFETゲートのオプ
下がると、SOURCEからGATEへのダイ
ションのRCネットワークを使って、出力 ソフトスタートのランプがフォールド オードがオンして、SOURCEピンの電圧
電圧の最大勾配を設定することにより、 バック電流制限リミット・レベルの1つに が同じ1mA電流源によって放電します。
突入電流をフォールドバック・レベルよ 達すると、ソフトスタート回路はランプ 短絡が発生して検出電圧が150mVを超え
18
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
ワップの回路ブレーカの公称スレッショ
ルドは12.5Aでなければなりません。ス
レッショルドは15Aまで高くなる可能性
があるので、電源は15Aを供給できる必
要があります。5%のスレッショルドの場
合、公称スレッショルドは10.5Aであり、
可能性のある最大電流は11Aです。20%
VDD(SENSE+)と上流のバルク容量(たと の回路ブレーカを備えたデバイスの代わ
えばコネクタ両端の容量)の間に大きな りに5%の回路ブレーカを備えたデバイ
インダクタンスがある場合、非常に高速 スを使うと、4Aを他のところに回すか、
の放電時間で出力に短絡が発生すると、 または30%小さく、もっと安価な電源を
V DD 入力電圧が低落し、このインダクタ 使うことができます。
ンスを流れる電流がスルーする可能性
があります。この場合、2μs後、VDD低電圧 12Vアプリケーション向け高電圧定格
ロックアウト回路がオンして、GATEピ LTC4222の最大入力電圧定格は35Vな
ンを450mAプルダウンでSOURCEピンに
放電し、短時間でスイッチをオフします。
LTC4222は2個以上のホットスワップ
可能な電源を備えた基板向けの
高精度50mA回路ブレーカによる
スマート電力ゲートウェイである。
電源の保護
フォールトを切断し、電源経路の
回路ブレーカの精度がわずか20%しかな
健康状態を詳細にモニタし、
いシステムでは、設計者は、高い方にずれ
突入電流のプロファイルを制御する
た場合は、カードが実際に消費する電力
多様な手段を与える。フォールトを
より50%大きな電力を安全に与えて、ア
ログし、リアルタイムで状態情報を
プリケーションが熱や電源の制限によっ
与え、必要ならホストに割込みを
て損なわれないことを保証するか、また
かけることができる。
は、低い方にずれた場合は、正常動作中に
その間、内部10ビットADCは基板の
フォールトを発生することができなけれ
電流と電圧を引き続きモニタする。
ばなりません。たとえば、10Aを必要とす
るシステムでは、20%の精度のホットス
ると、GATEからSOURCEへの450mAのプ
ルダウン電流がスイッチのゲート電荷
を取り去ります。検出電圧が150mVまで
下がると、電流制限は20μsの間そこで制
御を行ってから、1mAの電流源を使って
ゲートをオフします。
6mΩ
12V
12V
10Ω
12.1k
UV1 VDD1
OV1
NC
0.1µF
10.2k
FB1
GPIO1
EN1
ADIN1
TIMER
LTC4222
SS
ADIN2
EN2
GPIO2
GND
OV2
100k
µTCA
PLUG-IN
CARD 1
SENSE1– GATE1 SOURCE1
ON
SDA
SCL
ALERT
CONFIG
ADR0
ADR1
ADR2
INTVCC
UV2 VDD2
FB2
SENSE2– GATE2 SOURCE2
2k
10Ω
0.1µF
LTC4222は2個以上のホットスワップ可
能な電源を備えた基板向けのスマート電
力ゲートウェイです。フォールトを切断
し、電源経路の健康状態を詳細にモニタ
し、突入電流のプロファイルを制御する
多様な手段を与えます。フォールトをロ
グし、リアルタイムで状態情報を与え、必
要ならホストに割込みをかけることがで
きます。その間、内部10ビットADCは基
板の電流と電圧を引き続きモニタしま
す。これらの特長により、LTC4222は高可
用性を要求されるシステム向けの理想的
な電力ゲートウェイになります。L
93.1k
2k
10.2k
まとめ
Si7336ADP
93.1k
0.1µF
ので、ほとんどの12Vのアプリケーショ
ンの外部MOSFETのブレークダウン電
圧よりも高く、24Vのアプリケーション
でもLTC4222を使うことができます。
外部MOSFETのブレークダウン電圧が
LTC4222の絶対最大定格35Vより低い
と、電圧サージは安全にMOSFETによっ
て吸収されるので、カードに組み込まれ
たアプリケーションの入力にトランゾー
ブは不要です。それでもトランゾーブが
必要な場合、LTC4222の電圧定格が高い
ので、アプリケーションの動作範囲を超
え、デバイスの35Vの最大定格を超えな
いトランゾーブを選択するのが間単にな
ります。
93.1k
PWR GOOD 1
LOAD
1
1µF
68nF
PWR GOOD 2
12.1k
µTCA
PLUG-IN
CARD 2
100k
LOAD
2
93.1k
12V
6mΩ
Si7336ADP
12V
BACKPLANE
図6.2つのμTCAスロットに12Vペイロードの電力を供給するμTCAアプリケーション
Linear Technology Magazine • January 2009
19
L デザイン特集
フォールト保護を備えた、
LCD、
CCD
およびLED向け、
3mm 3mm QFNの 32V
トリプル出力電源
by Eko T. Lisuwandi
はじめに
複数の高電圧電源を備えたバッテリ駆動シ ので、小型で効率的なソリューションを実現
ステムの設計は並大抵ではありません。
この します。標準的アプリケーションには、CCD
ようなシステムでは、基板スペースは貴重な センサー、LEDバックライト、LCDディスプレ
資源であり、バッテリ寿命を延ばすために イ、OLEDディスプレイなどの高電圧ペリフェ
デジタル・スチールカメラやビ
高い効率が要求されます。
スタートアップと ラルを備えた、
シャットダウン時には電源のシーケンスを デオカメラ、高性能ポータブル・スキャナー、
制御する必要があり、複数の電源は電源間 ディスプレイ・システム、FDA、携帯電話、ハ
の相互作用なしにレギュレーションを維持 ンドヘルド・コンピュータなどがあります。
できなければなりません。
ト・ピン
(FLT)
も備わっており、
フォールト表
示(出力)
または緊急シャットダウン
(入力)
に使うことができます。
LT3587は正チャネル(チャネル1とチャネル
2)で最大32V、インバータ
(チャネル2)で
­32Vの広い出力範囲を与えます。
チャネル
3は電圧レギュレータと電流レギュレータの
どちらにも構成設定することができます。電
流レギュレータとして構成設定されていると
特長
チャネル3は、電流検出ラインまたは高電
LT3587は1チップ・ソリューションで3個のス 部品点数を少なく抑えるため、LT3587は最 き、
イッチング・レギュレータと3個の内部高電 大32Vで0.5A、1Aおよび1.1Aをスイッチング 流グランド・リターン・ラインを必要としない
圧スイッチを組み合わせて、2個の高電圧昇 可能な3個の高電圧パワースイッチを、3mm 1線出力を使うので、基板のレイアウトが簡
3mm QFNパッケージに内蔵しています。各 単になります。1個の抵抗が3つのチャネルの
圧コンバータと1個の高電圧インバータを
構成しています。LT3587は2.5V∼6Vの範囲 正チャネルには出力切断機能が備わってお 各出力電圧レベルやチャネル3の出力電流
スイッチがディスエーブルされているとき レベルをプログラムします。
の入力で動作するように設計されているの り、
で、バッテリ駆動システムに最適です。パッ 入力から出力への直接のDC経路が生じな
ケージ・サイズが小さく、部品点数が少ない いようにします。LT3587には双方向フォール インテリジェント・ソフトスタートにより、1個
のコンデンサを使ってチャネル1とそれに続
LED DRIVER
20mA UP TO 24V
くインバータの負出力をシーケンシャルにソ
フトスタートさせることができます。
内部シー
RVFB3
ケンシング回路はチャネル1の出力がその最
C4
VVIN
1.65M
2.2µF
2.5V TO 6V
L4
L1
(OPTIONAL)
終値の87%に達するまでインバータをディス
C6
DS3
10µH
15µH
1µF
エーブルします。
RIFB3
8.06k
VFB3 VOUT3 CAP3
SW3
VIN
SW1
IFB3
EN/SS1
FB1
EN/SS3
SW2
VVIN
2.5V TO 6V
トリプル出力電源
CFB1
2.7pF
FLT
C5
100nF
CCDイメージャやLEDバックライトの
CAP1
LT3587
C3
100nF
DS1 C1
10µF
L2
15µH
C2
2.2µF
GND
L3
15µH
DS2
C1: MURATA GRM21BR61C106KE15L
C2: MURATA GRM188R61C225KE15D
C3, C5: MURATA GRM033R60J104KE19D
C4: MURATA GRM21BR71E225KA73L
C6: MURATA GRM155R61A105KE15D
C7: TAIYO YUDEN LMK212BJ226MG-T
FB2
RFB1
1M
VOUT1
RFB2
1M
CFB2
6.8pF
C7
22µF
CCD POSITIVE
15V
50mA
CCD NEGATIVE
–8V
100mA
CFB1: MURATA GRM1555C1H2R7BZ01D
CFB2: MURATA GRM1555C1H6R8BZ01D
L1, L2, L3: SUMIDA CDRH2D18/HP-150N
L4: TOKO 1071AS-100M
DS1, DS2, DS3: IR IR05H40CSPTR
図1. CCDイメージャと5LEDバックライトのLEDドライバをバイアスする正負の
電源を備えた、リチウムイオン・バッテリ駆動のカメラのソリューション
20
CCDイメージャの正負の電圧バイアスやLED
バックライトの20mA電流バイアスを供給す
る標準的アプリケーションを図1に示します。
LT3587の3つのチャネルは全て固定周波数の
電流モード制御方式を使って、
出力の電圧や
電流のレギュレーションを実現します。
正電圧CCDバイアスは簡単な非同期整流
式昇圧コンバータとして構成設定されてい
ます。
その出力電圧は帰還抵抗R FB1を介し
て15Vに設定されます。15μHインダクタ
(L1)
は50mAの最大負荷に対して大きさが決め
られています。負電圧CCDバイアスは非同
期整流式Cukコンバータとして構成設定さ
れています。
その出力電圧は帰還抵抗R FB2
を介して­8Vに設定されます。
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
VEN/SS1
2V/DIV
IVIN
500mA/DIV
VVOUT1
10V/DIV
VNEG
10V/DIV
が、チャネル2のスタートアップの振舞い
を制御します。
VEN/SS1
2V/DIV
0V
IVIN
500mA/DIV
0mA
0V
VVOUT1
10V/DIV
0V
VNEG
10V/DIV
0mA
0V
0V
400µs/DIV
4ms/DIV
図2.
ソフトスタート・コンデンサなしのスタートアップ波形と10nFソフトスタート・コンデンサ付きの
スタートアップ波形
LEDバックライト・ドライバは出力電流
を安定化する昇圧コンバータとして構成
設定されています。その出力電流は電流
プログラミング抵抗RIFB3を使って20mA
に設定されます。10μHインダクタ(L4)は
最大24Vで20mAの標準負荷に対して大き
さが決められています。LEDドライバの
オプションの電圧帰還抵抗
(RVFB3)
に注意
してください。この抵抗はLEDドライバ
の出力の電圧クランプとして機能するの
で、
LEDの1つがオープンすると、
そのLED
ドライバの出力電圧は24Vにクランプさ
れます。
ソフトスタート
全てのチャネルがソフトスタート(ゼロ
からレギュレーションまでの低速電圧ラ
ンプ)を備えており、損傷を与えるおそれ
のある起動時突入電流を防ぎます。ソフ
トスタートは2つの別個のソフトスター
ト制御ピン
(EN/SS1とEN/SS3)
を介して実
現されます。
EN/SS1ピンはチャネル1とイ
ンバータのソフトスタートを制御し、
EN/
SS3ピンはチャネル3のソフトスタートを
制御します。これら両方のソフトスター
ト・ピンは1μAの内部電流源によって引き
上げられます。
EN/SS1ピンからグランド(図1のC3)に接
続されたコンデンサが、チャネル1とチャ
ネル2(インバータ)のスタートアップ・ラ
ンプをプログラムします。
1μAの電流源が
コンデンサを充電するにつれてEN/SS1ピ
ンの電圧が200mVを超えると、チャネル
1とチャネル2のレギュレーション・ルー
プがイネーブルされます。起動時、チャネ
ル1のピーク・スイッチ電流が、EN/SS1ピ
ンのソフトスタート電圧のランプに比例
して増加します。インバータのスイッチ
電流もEN/SS1ピンの電圧に従いますが、
そのスイッチ電流のランプはEN/SS1ピ
Linear Technology Magazine • January 2009
ンの電圧が少なくとも600mVに達するま
でスタートしません。これにより、チャネ
ル1の後にチャネル2が起動することが保
証されます。チャネル1とチャネル2のレ
ギュレーション・ループは、
EN/SS1ピンの
電圧が2.5Vを超えると最大インダクタ電
流で自走状態になります。
ソフトスタート・コンデンサがないか、ま
たは非常に小さい場合、正出力がその最
終値の87%に達すると、
負チャネルが直ち
に最大インダクタ電流で起動します。大
きなソフトスタート・コンデンサが使わ
れる場合、正チャネルが安定化ポイント
を過ぎると、
EN/SS1の電圧がインバータ・
チャネルを制御します。ソフトスタート・
コンデンサなしの起動シーケンシングと
10nFソフトスタート・コンデンサ付きの
起動シーケンシングを図2に示します。
出力切断機能
両方の正チャネル(チャネル1とチャネル
3)はそれぞれのCAPピンとV OUT ピンの
間に出力切断機能を備えています。この
切断機能により、スイッチングがディス
同様に、EN/SS3ピンからグランドに接続 エーブルされているときインダクタを介
したコンデンサ
(図1のC5)
はチャネル3の して、V INとVOUTの間にDC経路が形成さ
(図1)
。
ソフトスタートのランプを設定します。 れるのを防ぎます
EN/SS3ピンの電圧が200mVを超えると、
チャネル3のレギュレーションがイネーブ チャネル1の場合、図3の部分的ブロック
ルされます。EN/SS3の電圧が2Vを超える 図に示されているように、この出力切断
(M1)
を使って実現されてい
と、
チャネル3のレギュレーション・ループ 機能はPMOS
ます。M1はオンすると、通常CAP1ピン
は最大インダクタ電流で自走します。
とVOUTピンの間で出力電流を供給するた
めの低抵抗で低電力損失の経路を与えま
スタートアップのシーケンシング
CAP1とVINの間の電圧差が2.5Vより大
LT3587は内部にシーケンス制御回路も備 す。
えており、チャネル1の(FB1ピンの)帰還 きい限り、M1はオンしています。これに
正バイアスはできるだけ長く H に
電圧が約1.1V(最終電圧の約87%)に達す より、
るまでチャネル2が動作するのを禁じま 留まることができ、負バイアスはオフの
す。ソフトスタート・コンデンサのサイズ 間放電することができます。
LT3587
OVERVOLTAGE
PROTECTION
CAP1
C1
M1
M2
CAP3
C4
M3
VOUT3
VOUT1
DISCONNECT
CONTROL
SHDN1
TO INTERNAL
CIRCUIT
DISCONNECT
CONTROL
SHDN3
IFB3
RIFB3
図3.チャネル1とチャネル3の切断用PMOSを示しているLT3587の部分的ブロック図。
21
L デザイン特集
IVOUT1
500mA/DIV
IVOUT3
500mA/DIV
0mA
IL1
500mA/DIV
VCAP1
10V/DIV
VVOUT1
10V/DIV
IVOUT3
500mA/DIV
0mA
IL4
500mA/DIV
VCAP3
10V/DIV
15V
15V
VVIN = 3.6V
C1 = 4.7µF
VCAP3
10V/DIV
24V
VVOUT3
10V/DIV
40µs/DIV
VFLT
5V/DIV
PART RESET
ENSS1/ENSS3
5V/DIV
VNEG
10V/DIV
VVIN = 3.6V
C4 = 1µF
FLT FORCED LOW
PART RESET
ENSS1/ENSS3
5V/DIV
VVOUT1
10V/DIV
SHORT
AT VOUT1
VNEG
10V/DIV
VVOUT3
20V/DIV
VVOUT3
20V/DIV
100ms/DIV
100ms/DIV
図6.短絡発生時の
フォールト検出
切断用トランジスタM1は電流制限され
ており、155mAの最大出力電流を供給し
ます。M1の保護回路もあり、CAP1から
V OUT1の電圧降下を約10Vに制限します。
出力の過負荷時やグランドへの短絡時な
どCAP1の電圧が10Vより大きいと、電流
制限なしにM1が完全にオン状態にされ、
CAP1の電圧はできるだけ短時間に放電
することができます。CAP1とVOUT1の間
の電圧が10Vより下に減少すると、出力
電流は再度155mAに制限されます。VCAP1
が最初15Vで過負荷が生じている間の出
力の電圧と電流を図4に示します。
チャネル3の出力切断機能はM3を使って
同様に実現されます(図3)。ただし、この
場合、EN/SS3ピンの電圧が200mVより低
く、チャネル3のレギュレーション・ルー
プがディスエーブルされているときだけ
M3がオフします。
切断用トランジスタM3も電流制限され
ており、V OUT3 で100mAの最大出力電流
を供給します。M3もM1の場合と同様な
保護回路を備えており、CAP3からV OUT3
の電圧降下を約10Vに制限します。VCAP3
が最初24Vで過負荷が生じている間の出
力の電圧と電流を図5に示します。
22
40µs/DIV
図5.電流制限なし、および20mA電流制限付きのチャネル3の短絡状態
VFLT
5V/DIV
VVOUT1
10V/DIV
24V
VVOUT3
10V/DIV
40µs/DIV
図4.チャネル1の短絡
0mA
IL4
500mA/DIV
図7.FLTピンが外部から L に
強制されたときの波形
LT3587は多用途の、
高度に集積化されたデバイスであり、
カメラ、ハンドヘルド・コンピュータ、
複数の高電圧電源を必要とする
端末などの機器にコンパクトな
ソリューションを提供する。
部品点数が少なく、3mm 3mmの
パッケージなので、ソリューションの
サイズを小さくできる。
高効率変換により、バッテリ駆動の
アプリケーションに最適。
出力電圧は調節可能であり、
少なくとも1つのチャネルがソフトス
タート過程を完了し、最大インダクタ電
流で自走しているときだけイネーブルさ
れます。フォールト検出がイネーブルさ
れた後、イネーブルされたチャネルの帰
還電圧(V FB1、VFB2またはVVFB3とVIFB3の
大きい方)がそのレギュレーション値よ
り下に16ms以上下がると、FLTピンが L
になります。
特に重要な場合は、どの出力でも過負荷
または短絡状態です。この場合、
対応する
ループが16ms以内に出力をレギュレー
ション状態に引き戻すことができない
と、フォールトが検出され、FLTピンが
L になります。
フォールト状態はラッチされることに注
意してください(ラッチされると3つの
最大32V、インバータは­32Vなので、
チャネル全てがディスエーブルされま
す)
。チャネルのどれかをイネーブルする
高電圧を必要とするシステムに柔軟な
には、デバイスをシャットダウンしてか
ソリューションを提供する。
ら(EN/SS1ピンと EN/SS3ピンの両方を
200mVより下に強制)、再度オンしてデ
バイスをリセットする必要があります。
チャネル1に短絡状態が16ms以上発生
フォールト検出とインジケータ
LT3587は全ての出力のフォールト検出 し、その後デバイスがリセットするとき
とフォールト・インジケータ・ピン(FLT) の波形を図6に示します。
を備えています。フォールト検出回路は
出力範囲が広く、正電圧昇圧は
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デザイン特集 L
VVIN
2.5V TO 5V
10µH
VVIN
2.5V TO 5V
10µH
VIN
1µF
SW3
VIN
SW3
LT3587
IFB3
DAC
LTC2630
VDAC-OUT
1µF
CAP3
CAP3
VOUT3
LT3587
LED DRIVER
IFB3
EN/SS3
RIFB3
8.06k
VOUT3
LED DRIVER
EN/SS3
RIFB3
8.06k
2.5V
PWM
FREQ
MN1
Si1304BDL
0V
図8.DACと抵抗を使ったアナログ調光
フォールト出力インジケータとして機能
するのに加えて、FLTピンは入力ピンで
もあります。このピンを外部から400mV
より下に強制すると、LT3587はフォール
トが発生したかのように振舞い、全ての
チャネルがオフします。デバイスを再度
オンするには、このピンを L に強制し
ている外部電圧を取り去って、デバイス
をリセットします。FLTピンが外部から
L に強制され、それに続いてデバイス
がリセットされたときの波形を図7に示
します。
電流が安定化されるLEDドライバと
してのチャネル3の調光制御
図1に示されているように、チャネル3の
最も一般的なアプリケーションの1つは
バックライトLEDドライバ用電流レギュ
レータです。LEDバックライトを必要と
するハイエンド・ディスプレイ・アプリ
ケーションの多くでは、ディスプレイの
輝度を調光する能力は、省電力モードを
実現したり、周囲の照明が異なる状態で
コントラストを保つために不可欠です。
LEDストリングの調光制御を実現するに
は2つの方法があります。LED電流はD/A
コンバータ(DAC)とRIFB3を使うか、また
はPWM信号を使って調節することがで
きます。
DACと抵抗を使ったアナログ調光
アプリケーションによっては、望ましい
輝度調節方法はDACと抵抗の使用です。
この方法は一般にはアナログ調光として
Linear Technology Magazine • January 2009
図9.PWM調光付き6個のLED用ドライバ
知られています。この方法を図8に示しま
す。
プログラムされたV OUT3 電流はR IFB3 を
流れる電流に比例するので、LED電流は
DACの出力電圧を変えて調整すること
ができます。DACの出力電圧レベルを高
くするとLED電流が下がるので、全体の
輝度が下がります。精確な調光制御には、
DACの出力インピーダンスを十分低く
保って、望みの最大LED電流の約1/200を
シンクします。可能な最大出力電流は出
力切断電流リミットによって100mAに制
限されることに注意してください。
PWM調光
上述のようなアナログ調光の1つの問題
は、LEDを流れる順方向電流を変えると、
LEDの輝度が変化するだけでなく色まで
変化することです。LEDの色度のどんな
シフトも許容できないアプリケーション
ではこれは問題です。
IVOUT3
13mA/DIV
0mA
IL4
200mA/DIV
0mA
ENSS3
5V/DIV
6個の白色LED用LEDドライバを図9に示
します。LEDがオンしているときCAP3ピ
ンの電圧が10Vより高いと、直接PWM調
光方法には外部NMOSが必要です。この
外部NMOSはストリング内の最下位の
LEDのカソードとグランドの間に接続し
ます。
出力切断機能と外部NMOSにより、出力
コンデンサを放電することなく、LEDが
即座にオフすることが保証されます。こ
れは、LEDが高速でオンすることを可能
にします。図9の回路のPWM調光波形を
図10に示します。
LED電流がプログラムされた値に達する
のに要する時間により、与えられたPWM
周波数で実現可能な調光範囲が設定され
ます。非常に低いデューティ・サイクルで
は、平均LED電流とPWMデューティ・サ
イクルの間のリニアな関係はもはや維持
されません。
0V
VVIN = 3.6V
6 LEDs
PWM信号によるLEDの輝度の直接制御
では、LEDの色を変化させずに調光が可
能です。約80Hz以上のPWM周波数では
可視的フリッカは生じないことが保証さ
れます。PWM信号のオン時間はLEDの輝
度に比例します。この方式ではLED電流
はゼロまたは一定値なので、LEDの色は
変化しません(IVOUT3 = 160V/RIFB3)。
2ms/DIV
図10.PWM調光の波形
23
L デザイン特集
最小オン時間は、平均LED電流にどれだ
けの直線性が必要かに基づいて選択しま
す。たとえば、図9の回路では、低いデュー
ティ・サイクルでの直線性からの偏りを
約10%に抑えたければ、LED電流の最小
オン時間は3.6Vの入力電圧および100Hz
のPWM周波数で約320μs(3.2%のデュー
ティ・サイクル)になります。したがって、
このアプリケーションの達成可能な調光
範囲は30対1(最小デューティ・サイクル
のほぼ逆数)です。
調光範囲は、PWM調光とアナログ調光
を組み合わせることにより、大きく広げ
ることができます。DACの出力電圧に
従ってLEDの順方向電流が変化するの
で、LEDの色はもはや一定に保たれませ
ん。上述の6個のLEDのアプリケーショ
ンでは、最初にDACの出力が0Vの状態で
PWM信号のデューティ・サイクルを変え
てLEDを調光することができます。最小
デューティ・サイクルに達したら、DAC
の出力電圧の値を上げてさらにLEDを調
光することができます。両方の手法を一
緒に使うと、6個のLEDのアプリケーショ
ンで平均LED電流を20mAから1μA以下
まで変化させることができます(20000:1
の調光比)。
チャネル3の過電圧と
過電流に対する保護
チャネル3は電圧を安定化する昇圧コン
バータと電流を安定化する昇圧コンバー
タのどちらにも構成設定可能です。チャ
ネル3のレギュレーション・ループは、
VFB3とIFB3の2つの電圧の大きい方を帰還
信号として使ってパワースイッチのピー
ク電流を設定します。このアーキテク
チャは、電圧レギュレーションではプロ
グラム可能な電流制限を可能にし、電流
レギュレーションでは電圧制限を可能に
します。
昇圧電圧レギュレータとして構成設定
されていると、出力ピンV OUT3 からV FB3
ピンに接続した帰還抵抗が、V OUT3 の電
圧を固定されたレベルに設定します。こ
の場合、電流制限を望まないならI FB3 ピ
ンを接地することができ、また、抵抗を
使ってグランドに接続して出力電流制限
値(ILIMIT)を設定することもできます。前
で簡単に述べたように、I FB3 ピンのプル
アップ電流はVOUT3ピンの出力負荷電流
24
チャネル3は電圧を安定化する
昇圧コンバータと電流を安定化する
昇圧コンバータのどちらにも
構成設定可能。
チャネル3のレギュレーション・
ループは、VFB3とIFB3の2つの電圧の
大きい方を帰還信号として使ってパワー
スイッチのピーク電流を設定する。
このアーキテクチャは、
電圧レギュレーションでは
プログラム可能な電流制限を可能にし、
電流レギュレーションでは
電圧制限を可能にする。
の場合の過渡応答の比較を図11に示しま
す。
チャネル3のCAP3ピンには過電圧保護
が備わっています。CAP3の電圧が29Vよ
り上にドライブされると、チャネル3の
ループがディスエーブルされ、SW3ピン
はスイッチングを停止します。昇圧電流
レギュレータとして構成設定されている
と、I FB3 ピンからグランドに接続した帰
還抵抗が、V OUT3 の出力電流を固定され
たレベルに設定します。この場合、VFB3ピ
ンが接地されると、過電圧保護は既定の
29Vになります。
他方、V OUT3 ピンからV FB3 ピンに抵抗を
接続して、29Vより低い出力電圧クラン
の標準1/200になるように制御されます。 プ(V CLAMP )レベルを設定することがで
この場合、負荷電流がI LIMIT より小さい きます。この場合、電圧レベルがV CLAMP
と、チャネル3はVFB3ピンの電圧を0.8Vに より小さいと、チャネル3のループはIFB3
制御します。負荷電流がILIMITを超えて増 ピンの電圧を0.8Vに制御します。他方、
加すると、VFB3の電圧が低下し始め、IFB3 出力負荷がオープンしたり、切断される
の電圧が0.8Vより上に上昇します。次い と、I FB3の電圧が低下し、出力電流の低下
で、チャネル3のループがIFB3ピンの電圧 を反映し、VFB3の電圧が上昇し始めます。
を0.8Vに安定化し、V OUT3 の出力電流を VOUT3の電圧がVCLAMPを超えて上昇する
ILIMITに制限します。電流過負荷が発生し と、V FB3ピンの電圧が0.8Vより上になり
たときの、電流制限なしと電流制限付き ます。
15V
VVOUT3
5V/DIV
IVOUT3
13mA/DIV
20mA
15V
VVOUT3
5V/DIV
IVOUT3
13mA/DIV
LOAD STEP
20mA
LOAD STEP
IL4
200mA/DIV
IL4
200mA/DIV
200µs/DIV
VVIN = 3.6V
WITHOUT CURRENT LIMIT: IFB3
CONNECTED TO GND
VOUT3 STAYS AT 15V, OUTPUT CURRENT
INCREASES FROM 20mA TO 40mA
200µs/DIV
VVIN = 3.6V
WITH 20mA CURRENT LIMIT: RIFB3 = 8.06k
OUTPUT CURRENT STAYS AT 20mA,
VOUT3 DROPS FROM 15V TO 7.5V
図11.出力電流の過負荷時の、電流制限無しと電流制限付きのチャネル3
VVOUT3
10V/DIV
20V
OUTPUT LOAD
DISCONNECTED
IL4
200mA/DIV
VVOUT3
10V/DIV
20V
OUTPUT LOAD
DISCONNECTED
IL4
200mA/DIV
200µs/DIV
VVIN = 3.6V
WITHOUT PROGRAMMED OUTPUT VOLTAGE
CLAMP: VFB3 CONNECTED TO GND
200µs/DIV
VVIN = 3.6V
WITH PROGRAMMED OUTPUT
VOLTAGE CLAMP AT 24V
図12.出力がオープン状態の、プログラムされた
出力電圧クランプ付きと無しのチャネル3
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
次いで、チャネル3のループがV FB3 ピン
の電圧を0.8Vに安定化し、V OUT3 の電圧
レベルをVCLAMPに制限します。出力負荷
が切断されたときの、プログラムされた
V CLAMP 付きと無しの場合の過渡応答の
比較を図12に示します。
低入力電圧
LT3587のVIN電源電圧範囲は2.5V∼6.0V
ですが、インダクタはもっと低い電圧で
動作可能です。ほとんどの携帯機器やシ
ステムは別の3.3Vロジック電源電圧を備
えており、それをLT3587に給電するのに
使用できます。このため、2個のアルカリ・
セルなどもっと低い電圧の電力源から出
力に直接給電することが可能になりま
す。この構成設定では効率が高くなりま
す。このように給電される標準的なデジ
タル・スチールカメラのアプリケーショ
ンを図13に示します。これは正負のCCD
電源とLEDバックライト電源を備えてい
ます。
LED DRIVER
20mA UP TO 12V
RIFB3
8.06k
まとめ
LT3587は多用途の、高度に集積化され
たデバイスであり、カメラ、ハンドヘル
ド・コンピュータ、複数の高電圧電源を
必要とする端末などの機器に簡単なソ
リューションを提供します。部品点数が
少なく、3mm 3mmのパッケージなので、
ソリューションのサイズを小さくできま
す。高効率変換により、バッテリ駆動のア
プリケーションに最適です。
Linear Technology Magazine • January 2009
ソフトスタート、電源シーケンシング、出
力切断、フォールト処理などの追加機能
もこのデバイスの柔軟性を高め、電源の
設計をさらに簡素化します。L
C4
1µF
DS3
RVFB3
787k
(OPTIONAL)
VFB3 VOUT3 CAP3
L4
10µH
2AA CELLS
2V TO 3.2V
L1
15µH
SW3
DS1 C1
4.7µF
SW1
IFB3
CAP1
CFB1
3.3pF
FLT
LT3587
EN/SS1
EN/SS3
RFB1
787k
FB1
VIN
3.3V
2AA CELLS
2V TO 3.2V
フットプリントを小さくするため
インダクタをショットキー・
ダイオードで置換
もっと大きな電流リップルをインバータ
(チャネル2)の出力で許容できれば、図14
に示されているように、インダクタL3を
ショットキー・ダイオードD3で置き換え
ます。ショットキー・ダイオードのフット
プリントはインダクタのフットプリント
より通常小さいので、スペースが制約さ
れるアプリケーションにはこの代替ト
ポロジーを推奨します。このトポロジー
はインバータの出力の絶対値がV INより
大きい場合だけ使えます。このショット
キー・ダイオードは、図14に示されている
ようにインバータの出力にアノードを接
続し、
フライング・コンデンサC2の出力端
にカソードを接続して構成設定します。
揃っている」電源という地位をLT3587に
与えます。
出力電圧は調節可能であり、出力範囲が
広く、正電圧昇圧は最大32V、インバータ
は­32Vなので、高電圧を必要とするシス
テムに柔軟なソリューションを提供しま
す。電圧レギュレータとして、または真の
1線式電流レギュレータとして動作する
チャネル3の能力は、真の「全てが1つに
SW2
C6
1µF
L2
15µH
GND
C2
2.2µF
DS2
C1: MURATA GRM21BR61E475KA12L
C2: MURATA GRM188R61C225KE15D
C4: MURATA GRM188R61E105KA12B
C6: MURATA GRM155R61A105KE15D
C7: MURATA GRM21BR71A106KE51L
CFB2
6.8pF
RFB2
1M
L3
15µH
CCD POSITIVE
15V
10mA
VOUT1
FB2
CCD NEGATIVE
–8V
20mA
C7
10µF
CFB1: MURATA GRM1555C1H3R3BZ01D
CFB2: MURATA GRM1555C1H6R3BZ01D
L1, L2, L3: SUMIDA CDRH2D18/HP-150N
L4: TOKO 1071AS-100M
DS1, DS2, DS3: NXP PMEG2005EB
図13.2個のAAセルからCCDの正電源と負電源
および3LEDバックライト用ドライバを発生
OLED DRIVER
16V
20mA
C4
1µF
RVFB3
1.07M
RIFB3
7.15k
(OPTIONAL)
VOUT3
VFB3
L4
10µH
DS3
CAP3
SW3
L1
15µH
VIN
C6
1µF
C1
DS1 4.7µF
SW1
CAP1
IFB3
CFB1
2.7pF
LT3587
FLT
EN/SS1
EN/SS3
C3
100nF
C5
100nF
VVIN
2.5V TO 6V
VVIN
2.5V TO 6V
L2
15µH
FB1
GND
SW2
C2
2.2µF
DS2
C1: TAIYO YUDEN TMK212BJ475KG-T
C2: TAIYO YUDEN EMK107BJ225KA-T
C3, C5: TAIYO YUDEN JMK063BJ104KP-F
C4: TAIYO YUDEN GMK107BJ105KA-T
C6: TAIYO YUDEN LMK105BJ105KV-F
VOUT1
FB2
D3
RFB1
1M
RFB2
1M
CFB2
6.8pF
C7
22µF
CCD POSITIVE
15V
50mA
CCD NEGATIVE
–8V
100mA
C7: TAIYO YUDEN LMK212BJ226MG-T
CFB1: TAIYO YUDEN EMK105SK2R7JW-F
CFB2: TAIYO YUDEN EMK105SH6R8JW-F
L1, L2: SUMIDA CDRH2D18/HP-150N
L4: TOKO 1071AS-100M
DS1, DS2, DS3, D3: NXP PMEG2005EB
図14.インバータの出力のインダクタをショットキー・ダイオードで
置き換えた、OLEDパネルとCCDイメージャ用リチウムイオン・ドライバ
25
L デザイン特集
25.5W分類機能と保護機能を備えた、
高さの低い4mm 3mm DFNに収められた
PoE+のPDインタフェース
by Kirk Su
はじめに
LTC4265はPoE PD
インタフェースであり、
2イベント分類(囲い記事を参照)
スな起動時遷移、およびどんな給電装置
(PSE)とであってもそれとのPD動作を保
証するので、LTC4265をプログラムする
のに追加の外部部品は不要です。これに
プロトコルを認識することができ、
50
IEEE 802.3at準拠のPDの動作に
さらに、LTC4265は、
シャットダウン機能
LTC4265はPoE PDインタフェースであ
やシグネチャ無効化機能の助けにより、
り 、2 イ ベ ン ト 分 類( 囲 い 記 事 を 参 照 )
多様な補助電源オプション向けに
プロトコルを認識することができ、
構成設定することができる。
IEEE 802.3at準拠のPDの動作に必要な
アクティブ信号を出力します。さらに、
LTC4265は、シャットダウン機能やシグ
ネチャ無効化機能の助けにより、多様な いやすく、分類プログラミング抵抗を1個
補助電源オプション向けに構成設定する しか必要としません。全ての機能(シグ
ネチャ抵抗、UVLO、OVLO、突入電流制
ことができます。
御、および熱保護)はLTC4265に内蔵され
LTC4265は高度に集積化されており、使 ており、プログラムされており、スムー
40
GND (V)
必要なアクティブ信号を出力する。
1st CLASS
2nd CLASS
30
DETECTION V1
DETECTION V2
26
LOAD, ILOAD
40mA
TIME
DETECTION V1
DETECTION V2
GND – VOUT (V)
1st MARK 2nd MARK
dV = INRUSH
dt
C1
40
30
UVLO
ON
UVLO
20
τ = RLOAD C1
10
TIME
TIME
–10
–20
–30
–40
TRACKS
VIN
–50
新しい標準規格では、
PSEとPDは、
それらがIEEE 802.3afの電力レベルに準拠していると
タイプ1として区別され、
それらがIEEE 802.3atの電力レベルに準拠しているとタイプ2とし
て区別されます。
タイプ2のPDが利用可能な最大電力は25.5Wです。
IEEE 802.3at標準規格は、既存のPoEシステムとの互換性を維持しながら、
タイプ2の装
置が相互に互いを識別する新しい方法も規定しています。
タイプ2のPSEは、2イベント分
類を行うことにより
(レイヤ1)、
またはデータ・ラインを使ってPDと通信することにより
(レ
イヤ2)、高電力の存在を宣言するオプションを備えています。他方、
タイプ2のPDは両方
のレイヤの通信を認識し、25.5W動作を開始する前に、
タイプ2のPSEを識別する必要が
あります。L
1st MARK 2nd MARK
INRUSH
GND – T2PSE (V)
Power over Ethernet(PoE)標準規格は1個のRJ45コネクタを通してどのように高速デー
タと共にDC電力を分配できるかを規定しています。第2世代の標準規格(IEEE802.3af)
は、受電装置(PD)
が給電装置(PSE)
から12.95Wを引き出すことを許します。
この規格
の普及により、PD装置メーカーは12.95Wの電力リミットに突き当たっています。
もっと大
きな電力の要望に応えるため、新しいIEEE 802.3at標準規格(PoE+とも呼ばれる)
によ
り、既存のIEEE 802.3afシステムとの互換性を維持しながら、
もっと高い電力割当てが
規定されています。
UVLO
1st CLASS
2nd CLASS
50
第3世代Power over Ethernetシステム
(PoE+)
の概要
ON
20
10
PD CURRENT
第3世代のPower over Ethernet標準規格は
PDで利用可能な電力を25.5Wに増やしま
した(囲み記事を参照)
。新しい規格では、
タイプ2( 高電力)のPDはタイプ2の給電
装置(PSE)とハンドシェークを介して通
信し、PSEが高電力を供給可能であるか
判断する必要があります。タイプ2のPSE
は古い標準規格に対して後方互換です。
INRUSH = 100mA
ILOAD =
RCLASS = 30.9Ω
VIN
RLOAD
GND
LTC4265
IIN
PSE
RCLASS GND
RCLASS
RLOAD
C1
VOUT
T2PSE
VIN
VOUT
図1.2イベント分類の波形の例
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
より、追加の部品コストと、スレッショル
ド、シグネチャ抵抗、および電流リミット
を設定するために他の電力インタフェー
ス製品で必要とされる面倒な計算を取り
除きます。LTC4265は、高さの低い、熱特
性の改善された4mm 3mm DFNパッケー
ジで供給されます。
ク・イベントを合図します。マーク電圧
範囲内のPDは0.25mA∼4mAの負荷電流
を与えます。タイプ2のPSEはこのシーケ
ンスを繰り返し、2番目の分類と2番目の
マーク・イベントの発生を知らせます。
次いで、タイプ2のPSEはPDに電力を与
え、LTC4265は制御された突入電流で蓄
電コンデンサC1を充電します。
ACTIVE-HIGH ENABLE
2イベント分類とは何か?
IEEE 802.3atはタイプ2のPSEの存在を知
らせる2つの方法を規定しています。レイ
ヤ1の手法ではPSEが2イベント分類を行
う必要があり、分類プロービングが2回行
われます。レイヤ2の手法ではPSEが高速
データ・ラインを使って通信する必要が
あります。タイプ2のPDはどちらの通信
レイヤを使ってもタイプ2のPSEを認識
する必要があります。高速データ・ライ
ンへアクセスできないPSE/パワーイン
ジェクタの便宜のため、2イベント分類を
使ったレイヤ1の通信がIEEE 802.3at標準
規格に含まれています。
GND
PD
LOAD
LTC4265
TO
PSE
PWRGD
–54V
VIN
RUN
VOUT
ACTIVE-LOW ENABLE
GND
LTC4265
TO
PSE
PWRGD
–54V
レイヤ2の通信はPSEとLTC4265の負荷
の間で直接行われるので、LTC4265は2イ
ベント分類の認識にだけ携わります。2イ
ベント分類の例を図1に示します。最初の
分類イベントは、PSEが14.5V∼20.5Vの
入力電圧を与え、LTC4265がクラス4の負
荷電流を与えるとき発生します。次いで、
タイプ2のPSEは入力電圧を6.9V∼10Vの
マーク電圧範囲に下げて、1番目のマー
VIN
VOUT
R9
100k
RS
10k
D9
5.1V
MMBZ5231B
PD
LOAD
SHDN
ACTIVE-LOW ENABLE
GND
LTC4265
TO
PSE
PWRGD
R10
100k
RS
10k
D9
MMBD4148
–54V
VIN
V+
PD
LOAD
Q1
FMMT2222
VOUT
4265 F08
図3.相補パワーグッド・ピンを介した、PD負荷のイネーブル/ディスエーブルの例
GND
TO
PSE
V+
LTC4265
–54V
VIN
RJ45
1
RP
TO PD
LOAD
T2PSE
オプション1:アクティブ L 低インピーダンス
出力のための直列構成
4
VIN
+
TX–
RX+
TO PHY
7
RP
VOUT
オプション2:アクティブ H /オープン・コレクタ
出力のためのシャント構成
図2.T2PSEピンを介した、タイプ2の
PSEとのインタフェース
Linear Technology Magazine • January 2009
TVS
0.1µF
100V
BR1
8
TO PD
LOAD
C1
–
RX–
SPARE+
+
5
T2PSE
–54V
T1
100k
GND
LTC4265
3
6
V+
TO
PSE
2
TX+
BR2
SPARE–
36V
GND
LTC4265
10k
SHDN
10k
–
ISOLATED
WALL
ADAPTER
PD
LOAD
VIN
VOUT
+
–
D1
T1 = COILCRAFT ETHI-230LD
BR1, BR2 = DF1501S
図4.補助電源。補助電源は(SHDNピンを使って)PoE電源より
優先される。
27
28
3.65k
VCC
1.2k
PS2801-1-L
T2P (TO MICROCONTROLLER)
TLV431A
10nF
4.7nF
2.2nF
2kV
FDS8880
2k
5.1Ω FDS8880
1nF
1nF
5.1Ω
図5.PoEをベースにした自己ドライブ型同期整流式順方向電源
PS22801-1-L
20k
51k
5V
332k
100pF
158k
158k
GND BLANK
10.0k
PGND
SD_VSEC
82k
ROSC
SS_MAXDC
DELAY
FB
VREF
LT1952
SOUT
VIN
VOUT
T2PSE
VIN
SHDN
RCLASS
5
42V
50V
57V
70
75
80
85
90
95
0.5
1
–54V
FROM
SPARE
PAIR
1.5
0.1µF
100V
2 2.5 3 3.5 4
LOAD CURRENT (A)
4.5
LTC4265
GND
SMAJ58A
30.9Ω
65
BAS516
237k
10µF
16V
VCC
33k
2.2µF
100V
10µF
100V
+
10µH
GND
0.22µF
22.1k
22k
33k
COMP
ISENSE
OC
OUT
10k
133Ω
0.1µF
BAS516
IRF6217
1.5k
4.7nF
250V
BAS516
18V
PDZ18B
0.1µF
BC857BF
50mΩ
FDS2582
•
•
PA2431NL
•
–54V
FROM
DATA
PAIR
アクティブ H のPWRGDピンはVOUTを基準
にしたオープン・コレクタ出力を備えており、
DC/DCコンバータの実行/イネーブル・ピンと
B1100 × 8 PLCS
LTC4265のパワーグッド・ピンを、
( 通常は
DC/DCコンバータの実行/イネーブル/シャッ
トダウンの各ピンを介して)PD負荷にインタ
フェースするオプションを図3に示します。
GND
T2PSEピンとオプトアイソレータを使った2つ
のインタフェース・オプションを図2に示しま
す。
T2PSEピンはアクティブ L であり、
オプト
アイソレータに接続して絶縁バリヤを越えて
通信します。
プルアップ抵抗RPの大きさは、
オ
プトアイソレータの動作電流、T2PSEピンの
プルダウン能力、
およびV+の選択の要件に
従って決めます。V+はPoEの電源レール
(そ
れにLTC4265のGNDが接続されます)
、
また
はDC/DCコンバータに電力を供給する電源
から取ることができます。
前者は、
T2PSEがア
クティブであると宣言されない限り、電力を
消費しないという利点があります。
BAS516
タイプ2のPSEが2イベント分類シーケンスを
完了すると、LTC4265はこのシーケンスを認
識して、
インジケータ・ビットを与え、
タイプ2
のPSEの存在を宣言します。
オープン・ドレイ
ン出力は、
この信号を使ってPD負荷と通信
することができます。
1mH
DO1608C-105
LTC4265へのインタフェース
LTC4265は3つの出力信号を備えており、
PD内の他のブロックとインタフェースします。
タイプ2 PSEインジケータ・ビット
(T2PSE)
は、新しいIEEE 802.3atで規定されている
最大25.5Wを全て消費できることをPD負荷
に知らせます。2つの相補パワーグッド・ピン
(PWRGDとPWRGD)
は、PDが完全に給電
された状態になった後DC/DCコンバータを
イネーブルするのに一般に使われます。
5.1Ω
+
6.8µH
PG0702.682
要するに、
タイプ2のPSEは、
PSEがPDを分類
し、
クラス4の負荷電流を検出するとタイプ2
のPDを認識します。
タイプ2のPDは、PSEが2
回分類を行うとタイプ2のPSEを認識します。
EFFICIENCY (%)
C1が完全に充電され、LTC4265のパワー
グッドが宣言されると、T2PSE出力はアク
ティブ L の信号を出力するか、
またはVINを
基準にした低インピーダンス出力を与えて、
タイプ2のPSEが存在し、25.5Wのアプリケー
ションを動作させることができることをPD負
荷に知らせます。
11.3k
5V
5A
220µF
6.3V
PSLVOJ227M(12)
L デザイン特集
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン特集 L
T2P
(TO MICROCONTROLLER)
47µF
16V
+
10k
PE-68386
4
5
•
LTV357TA
1
•
8
1nF
51k
GND
10k
33pF
図6.高効率の12V絶縁型電源
0.1µF
38.3k
2.2k
100k
3.01k
12k
ENDLY
PGDLY
tON SYNC RCMP
VIN
VCC
29.4k
20Ω
BAS21
BAT54
15Ω
4.7nF
VC
GND
OSC SFST CCMP
SENSE–
UVLO
SHDN
SG
SG
LT3825
PG
SENSE+
FDS2582
15µF
16V
39k
77
0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0
LOAD CURRENT (A)
79
81
83
85
87
91
93
89
42V
48V 57V
EXCLUDING BRIDGES
T2PSE
VOUT
–54V FROM
SPARE PAIR
–54V FROM
DATA PAIR
30.9Ω
RCLASS
LTC4265
GND
0.1µF
100V
14k
383k
10µF
100V
SMAJ58A
+
10µH
2.2µF
100V
FB
Linear Technology Magazine • January 2009
B1100 × 8 PLCS
この構成設定は補助電源が支配的な構成
設定です。つまり、PoEの電力が既に存在
していても補助電源が電力を供給しま
す。補助電力が与えられると、PoEチャネ
ルは受電を停止します。
PSEはこの時点で
PDが電流を引き出さないことを認識し、
PDへの給電を停止することができます。
この構成設定は、補助電力が与えられた
ときのPoEから補助電源へのシームレス
な移行も実現します。
34ページに続く
GND
図4は最も一般的な補助電源の方法を示
しており、補助電力はPDのインタフェー
スとDC/DCコンバータの間に注入され
ます。この例では、
補助ポートがダイオー
ドD1を介して48Vをラインに注入しま
す。SHDNピンの周囲の部品は、補助電源
が36Vに達するとLTC4265が出力への電
力を切断するように選択されます。
1µF
100Ω
33mΩ
47pF
SG
2.2nF
2kV
•
•
150Ω
多くのアプリケーションでは、PDはPoE
ポ ー ト や 、A C ア ダ プ タ な ど の 補 助 電
源によって動作することができます。
LTC4265の入力で、LTC4265の出力で、ま
たはDC/DCコンバータの出力でさえ、補
助電力をLTC4265をベースにしたPDに
注入することができます。PDアプリケー
ションによっては、補助電源またはPoE
電源を優先させることがあり、PoEと補
助電源の間のシームレスな移行が必要な
ことがあります。
2.2nF
15Ω
470pF
2kV
FDS3572
MMBT3906 MMBT3904
1µF
16V
20k
10µF
16V
0.33µH
•
PA2467NL
補助電源へのPDの構成設定
EFFICIENCY (%)
アクティブ L のPWRGDピンはV IN を
基準にした内部のオープン・ドレイン
MOSFETに接続されており、DC/DCコン
バータのシャットダウン・ピンに直接イ
ンタフェースすることができます。PDが
PSEによって起動するとき、PWRGDピン
はV INを基準にして低インピーダンスに
なります。
12V
2A
直接インタフェースすることができます。PD
がPSEによって起動するとき、
PWRGDピンは
VOUTを基準にして高インピーダンスになりま
す。14Vの内部クランプがDC/DCコンバータ
を過電圧から保護します。
PWRGDピンは、
補
助電源アプリケーションでSHDNピンが作動
するときも高インピーダンスになるように設計
されています。
これは、
補助電源が使われると
きPWRGDピンがコンバータの動作に干渉す
るのを防ぎます。
29
L デザイン・アイデア
絶縁型フライバック・コンバータの
設計を簡素化する1次側検出
by Tiger Zhou
はじめに
フライバック・コンバータは絶縁型DC/
DCアプリケーションに広く使われてい
ますが、必ずしも設計者の1番目の選択で
はありません。電源設計者は電子式絶縁
の必要性に迫られてやむなくフライバッ
クを選択するのであり、それらが設計し
やすいから選択するのではありません。
フライバック・コンバータは、トランスの
設計に長時間費やす必要があり、その作
業は、常備品のトランスの選択が制限さ
れているため、またカスタム磁気部品の
必要性により、さらに複雑になります。さ
らに、フライバック・コンバータには、制
御ループのよく知られた右半平面(RHP)
のゼロによる安定性の問題があり、オプ
トカプラの伝播遅延によって問題はさら
に複雑になります。
LT3573絶縁型モノリシック・フライバッ
ク・コンバータは、フライバック・スイッ
チング・ノードの波形を介して出力電圧
デザイン・アイデア
絶縁型フライバック・コンバータの設計を
簡素化する1次側検出 ............................... 30
Tiger Zhou
使いやすい車載用電源:3.6V∼36Vから
最低0.8Vのデュアル出力を発生する、
60Vのトランジェントに耐える
小型レギュレータ....................................... 32
Peter J. Andrews
クールなFETでホットなダイオードを
置き換える高電力2フェーズ同期整流式
昇圧コンバータ − ヒートシンクは不要
.................................................................... 35
Narayan Raja, Tuan Nguyen
and Theo Phillips
ほとんどどんな入力からでも高電力LED
ストリングをドライブする3mm 3mm QFN
またはMSEの100Vコントローラ............... 37
Keith Szolusha
高さが2.8mm以下のアプリケーションに
高電流を供給する並列昇降圧μModule
レギュレータ............................................... 40
Judy Sun, Sam Young and Henry Zhang
30
T1
1:1
VIN
5V TO 15V
4.7µF
0.22µF
VIN
200k
2k
D1
T1
SHDN/UVLO
D2
90.9k
RFB
LT3573
VOUT+
5V, 0.2A
47µF
VOUT–
27.4k
RREF
6.04k
TC
RILIM
SS
VC
20k
GND
SW
BIAS
24.9k
10k
0.01µF
2.2nF
VIN
T1: BH ELECTRONICS, L10-1022
D1: B240A
D2: 1N4148W
図1.LT3573の1次側検出方式の利点を利用した非常に簡単なフライバック・コンバータ。
オプトカプラが存在しないことに注意。多くの磁気部品メーカーから入手可能な
小型カップリング・インダクタにも注意。
を検出することができる1次側検出方式
を使って、フライバック・コンバータに一
般に関連した設計上の困難な課題の多く
を解決します。スイッチ・オフ時間の間、
ダイオードが出力に電流を供給するの
で、出力電圧はフライバック・トランスの
1次側(つまり、スイッチ・ノード)に反射
されます。スイッチ・ノードの電圧の大き
さは、入力電圧と反射された出力電圧の
和になります。フライバック・コンバータ
は、オフ時間の間のスイッチング・ノード
の電圧の測定から出力電圧を再構成する
ことができます。この方式はリニアテク
ノロジーのフォトフラッシュ・コンデン
サ・チャージャICのファミリーにより性
能が確かめられています。トランスの1次
側と2次側の間に電気的絶縁を維持しな
がらオプトカプラを除去することにより
設計が簡素化されます。
LT3573によるバウンダリ・モード動作の
利用により、コンバータのサイズがさら
に小さくなり、システム設計が簡素化さ
れます。フライバック・コンバータは、2次
側ダイオード電流がゼロまで 減少した
直後、1.25A、60Vの内部スイッチをオン
し、スイッチ電流が予め定められた電流
リミットに達するとオフします。こうし
て、連続導通モード(CCM)と不連続導通
モード(DCM)の移行時に常に動作し、バ
ウンダリ(境界)モードと呼ばれます。バ
ウンダリ・モード動作はすぐれた負荷レ
ギュレーションも与えます。
ソフトスタート、調整可能な電流制限、低
電圧ロックアウト、
温度補償などの他の機
能が、
フライバック・コンバータの設計を
さらに助けます。
LT3573を使った簡単なフ
ライバック・コンバータを図1に示します。
オプトカプラを必要としない
1次側検出
オプトカプラは従来のフライバック・コ
ンバータには不可欠です。これは、絶縁バ
リヤを維持しながら、出力電圧の帰還信
号をオプティカル・リンクを通して伝え
ます。ただし、オプトカプラの電流伝達
比(CTR)は多くの場合温度によって変化
し、精度を下げます。また、オプトカプラ
は伝播遅延を生じ、制御ループの動的応
答に影響を与えます。
LT3573は1次側で出力電圧を検出するこ
とにより、オプトカプラを不要にします。
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン・アイデア L
SW VOLTAGE
LT3573は、フライバック・スイッチング
・
ノードの波形によって出力電圧を
SW CURRENT
検出する1次側検出方式を使って、
DIODE CURRENT
フライバック・コンバータの設計を
図2.バウンダリ・モードの
LT3573フライバック・コンバータ
簡素化する。
出力電圧はオフ時間の間に1次側スイッ
チング・ノードの波形で精確に測定され
ます。このデザインの明らかな簡素化と
コスト節減に加えて、この方式は負荷過
渡時の動的性能を改善して、制御ループ
の設計をさらに簡素化します。
バウンダリ・モード動作による
コンバータ・サイズの減少と
システム設計の簡素化
モードのLT3573フライバック・コンバータ
の電圧と電流の波形を図2に示します。
1:1
のトランスを使うと仮定すると、
制御から
出力への伝達関数は次のようになります。 すぐれた負荷レギュレーションの
G VC
フライバック・コンバータはバウンダリ・
モードで動作するので、スイッチはゼロ
電流で常にオンしており、ダイオードの
逆回復損失がありません。電力損失を減
らすとフライバック・コンバータは相対
的に高いスイッチング周波数で動作可能
になるので、低い周波数の動作に比べて
トランスのサイズが小さくなります。1次
側インダクタンスが19μHの小型カップ
リング・インダクタを使った絶縁型フラ
イバックを図1に示します。
ためのバウンダリ・モード動作

1 
R  RC +
s • C 

1− D
=
•
1
2
R + RC +
s•C
ここで、Rは負荷抵抗、Cは出力コンデ
ンサ、R C は出力コンデンサのESR、Dは
デューティ・サイクルです。これから、負
荷のポールは次のところに見られます。
sp =
1
RC
ESRのゼロは次のところに見られます。
sz =
1
RCC
この次数を下げた伝達関数は外部VC
バウンダリ・モード動作の別の利点は簡 ネットワークによって簡単に補償するこ
素化された制御ループです。バウンダリ・ とができます。
T1
3:1:1
VIN
9V TO 30V
4.7µF
0.22µF
VIN
357k
SHDN/UVLO
51.1k
2k
D2
LT3573
D1
VOUT
5V, 1A
47µF
COM
84.5k
RFB
RREF
TC
6.04k
RILIM
SW
SS
VC
GND TEST BIAS
D3
20k
10k
0.01µF
24.9k
2.2nF
制御ループ・ネットワークが簡素化され
ると、トランスの設計も簡単になります。
制御から出力への伝達関数にはインダク
タンスの項がありませんが、それはフラ
イバック・コンバータがトランスのばら
つきを容易に許容できることを意味して
います。トランスのインダクタンスはコ
ンバータのスイッチング周波数にだけ影
響します。コンバータの出力能力や安定
性には影響しません。データシートには
詳細な設計例が含まれており、コンバー
タ設計のガイドラインを概説していま
す。
1µF
D1: B340A
D2: 1N4148W
D3: CMDSH-3
T1: PULSE PA2454NL
反射された出力電圧にはダイオードの
電圧降下が含まれるので、それがCCMで
動作する1次側検出フライバック・コン
バータの負荷レギュレーションに影響す
ることがあります。理由は、ダイオード
のI-V特性は非線形だからです。厳しい負
荷レギュレーションが必要ならば、負荷
レギュレーションの補償など他の方法
を使う必要があります。ただし、負荷レ
ギュレーションはバウンダリ・モード動
作では大きく改善されます。反射された
出力電圧は常にダイオード電流のゼロク
ロッシングでサンプルされるからです。
LT3573フライバック・コンバータの負荷
レギュレーションは標準1%です。
9V∼30Vの入力を受け入れる5V/1Aのフ
ライバック・コンバータを図3に示しま
す。システム効率を改善するため、BIAS
巻線が使われています。T C抵抗は全ての
温度で出力電圧を補償し、UVLO抵抗は
意図する入力範囲を設定し、電流制限抵
抗は出力電流をプログラムします。
まとめ
LT3573は、1次側検出方式とバウンダリ・
モード動作によって、絶縁型フライバッ
ク・コンバータの設計を簡素化します。入
力範囲が3V∼40Vと広く、7Wの出力電力
を供給可能なので、産業用、車載用および
医療用アプリケーションに適していま
す。また、低電圧ロックアウト、ソフトス
タート、温度補償、調節可能な出力制限お
よび外部補償を備えています。L
図3.システム効率を最大化するBIAS巻線を使った9V∼30V
入力の5V/1Aフライバック・コンバータ
Linear Technology Magazine • January 2009
31
L デザイン・アイデア
使いやすい車載用電源:3.6V∼36Vから
最低0.8Vのデュアル出力を発生する、
60Vの
トランジェントに耐える小型レギュレータ
by Peter J. Andrews
はじめに
VIN
6V TO 16V
(TRANSIENT TO 60V)
VOUT
3.3V
LT3509デュアル・チャネル降圧レギュ
レータは3.6Vから36Vを超える非常に広
い電源範囲で動作しますが、真に際立っ
た特長は、自己と下流の部品の両方を最
大60Vまでのトランジェント入力電圧か
ら容易に保護する能力です。このデバイ
スは、自動車の電気システムで発生する
負荷ダンプなど、電源が38Vを超えると、
安全なシャットダウン・モードに入るこ
とにより、これを実現します。
車載電気システムでは、
重負荷が切り替え
られるとき過電圧トランジェントが発生
することがあります。これは、配線のイン
ダクタンスを流れる電流の急激な変化が
高電圧を発生するためです。
これらのトラ
ンジェントの持続時間は通常短かく、
数マ
イクロ秒から数ミリ秒です。
バッテリが切
断され、
整流器とその調整装置が応答して
ローター内のエネルギー蓄積フィールド
を減少させる必要があるとき、
持続時間の
長い電圧サージが発生することがありま
す。これは数百ミリ秒持続することがあ
り、
電子部品とサブシステムに損傷を与え
るのに十分な時間です。
6V TO 36V
(TRANSIENT TO 60V)
C4
2200µF
R1
24.9k
+
R5
100k
図1.LT3509のRUN/SSからFAULTへの信号のインタフェース
LT3509は、トランジェント過電圧の持続
している間シャットダウンすることによ
り、自己と下流のシステムをトランジェ
ント過電圧から保護します。クリティカ
ルではないシステムでは、比較的短時間
で電源が回復する限り、それが必要な保
護の全てです。トランジェントが持続し
ている間完全な機能を必要とするクリ
ティカルなシステムでは、スーパーキャ
パシタ停電時運転継続回路でホールド
アップ電力を供給し続けることができま
す(リニアテクノロジーの「デザインノー
VIN
BD
BOOST1
BOOST2
SW1
L2
C3
0.1µF 6.8µH
SW2
LT3509
D1
D2
DA1
DA2
ト450」または「 LTマガジン」の2008年9月
号のトップ記事を参照)。この記事は、受
電システムが、リセットする必要なしに、
トランジェントの間運転を継続できるよ
うにする回路を解説しています。
LT3509に関する説明
LT3509は広い範囲のアプリケーション
向けに一般的な高電圧機能を小型のデュ
アル電源ソリューションに集積化してい
ます。
FB1
FB2
C6
2.2nF
SYNC
RT
GND
R3
61.9k
D1, D2 = DFLS160
Q1, Q2 = BC847B/C
R4
1M
VOUT2
3.3V
700mA
R5
931k
RUN/SS1 RUN/SS2
R2
20k
Q2
BC847B/C
R4
210k
R3
499k
R2
931k
C2
0.1µF
C5
10µF
FAULT
Q1
BC847B/C
RUN/SS1,2
C1
4.7µF
L1
3.3µH
VOUT1
1.8V
700mA
R1
1M
C7
2.2nF
Q1 R6
210k
R7
499k
+
R9
69.8k
R8
100k
C9
1000µF
FAULT
Q2
R10
22.1k
C8
10µF
fSW = 700kHz
図2.ホールドアップ・コンデンサとFAULTインジケータ付き、12V車載バッテリから3.3Vおよび1.8Vの電源
32
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン・アイデア L
2つのチャネルのそれぞれが最低0.8Vか
ら入力電源の0.5V以内までの出力電圧で
最大0.7Aを供給することができます。昇
圧ダイオードと内部補償を内蔵してお
り、部品点数と必要基板面積を最小に抑
えます。キャッチ・ダイオードの電流検
出を使った堅牢な短絡保護も備わって
います。停電時運転継続機能は、300kHz
∼2.2MHの広い動作周波数や外部基準ク
ロックへの同期機能と同様に、車載アプ
リケーションで特に有用です。スイッチ
ング周波数は厳しいEMI要件を満たすよ
うに選択するか、または外部からドライ
ブすることができます。
電源過渡時の運転継続
停電時運転継続のためのエネルギー蓄積
要件を緩和する1つの方法は、FAULT信
号を受電システムに与えて、それらのシ
ステムがフォールトが持続している間低
電力状態に入ることができるようにする
ことです。たとえば、マイクロコントロー
ラはHALT状態に入り、デジタル回路は
クロックを停止するかまたはクロック周
波数を下げ、ディスプレイはブランクに
し、オーディオ回路は消音にすることが
できます。これにより、電力消費が最小に
抑えられるので、比較的小さな電解コン
デンサで出力電圧を維持することができ
ます。
LT3509自体は過電圧が発生したことを
示す専用のロジック信号は与えません
が、RUN/SSピンをモニタすることによ
り、その発生を検出することができます。
これらのピンは過電圧状態が存在すると
きはいつも内部デバイスによって L に
引き下げられますが、それらはロジック
を直接ドライブすることは意図されてい
ないので、図1に示されているような小さ
IL
0.5A/DIV
VOUT
5V/DIV
TIME 1ms/DIV
図3.ソフトスタートの波形
なインタフェース回路が必要です。RUN/
SSピンは通常動作では内部1μAのプル
アップによって約3.0Vに引き上げられ、
フォールト状態では約0.6Vになります。
この回路のスイッチング・スレッショル
ドは約1.4Vで、入力電流はほとんど流れ
ません。回路は非常に低い電流で動作し、
トランジスタは注意深く選択されていま
す(汎用タイプは満足できる性能を与え
ない可能性があります)。Q1のコレクタ
には図示されているように抵抗を使って
V IN から給電する必要があります。V OUT
に接続すると、コレクタ-ベース接合部が
起動時に順方向にバイアスされるので、
LT3509の起動が妨げられます。抵抗分割
器はQ1のコレクタ-エミッタ電圧をその
ブレークダウン電圧より下に保ちます。
停電時運転継続機能を備えた車載
アクセサリ用3.3Vおよび1.8V電源
図2の回路は、ラジオやサテライト・ナビ
ゲーション・システムなど3.3Vと1.8Vの
電源を必要とするデュアル電源システム
用の標準的アプリケーションを示してい
ます。目標は、
「はじめに」のところで述べ
た停電時運転継続能力のサポートを維持
することであり、この場合、給電される回
路が低電流状態に入るのにちょうど十分
14.2V NOMINAL
(TRANSIENT TO 60V)
60V
14.2V
VSW
20V/DIV
TRANSIENT
OVERVOLTAGE
GENERATOR
CONTROL
PULSE
VOUT, 3.3V
LT3509
FIGURE 2
APPLICATION
CIRCUIT
FAULT
SIGNAL
CONTROLLABLE
LOAD CIRCUIT
OFF
図4.テストおよびデモンストレーションのセットアップ
Linear Technology Magazine • January 2009
な時間出力電圧が維持されます。主要な
特長は、図1のフォールト表示回路を備え
ており、標準的10μFセラミック出力コン
デンサC5とC8が1000μFの電解コンデン
サC4とC9によって増強されていること
です。セラミック・コンデンサを省くこと
はできません。セラミック・コンデンサの
ESRは電解コンデンサに比べてはるかに
小さいので、高周波数リップルを制御す
るために使います。
動作周波数を低く抑えて、1.8Vのチャネ
ルが通常の動作電圧で固定周波数モード
で動作することを保証します。出力コン
デンサは、過電圧による停電時運転継続
によってレギュレータがオフしている
間、出力電圧をサポートする必要があり
ます。それらは、過電圧の発生時点から負
荷がパワーダウン状態に入るまでに要
する時間の間、最大負荷電流を供給する
ことも必要です。過電圧状態の発生から
フォールト信号がアサートされるまでの
遅延時間は、RUN/SSピンのコンデンサ
の値に依存します。回路例の部品の値の
場合、これは約40μsです。これに、給電さ
れる回路がシャットダウンするのに要す
る時間を加算する必要があります。この
時間の間の電圧垂下はΔV = 1 • t/Cによっ
て計算することができます。したがって、
700mA、40μsおよび1000μFの場合、ΔV =
0.7A • 40μs /1000μF = 28mVとなります。
給電される回路がシャットダウンした
後、垂下の大きさは残留電流とトラン
ジェント状態の持続時間に依存します。
理想的な場合、システムの電力は数μAに
減少し、この場合、支配的電流は帰還分圧
器から流れ、この回路例では約37μAにな
ります。同じ式を使って、400msの場合、
トランジェントの間の垂下はΔV = 40μA
• 0.4s /1000μF = 18mVになります。明らか
に、最大の垂下は最初に電力が失われる
間に生じます。
考慮すべき最後の事項は、トランジェン
トが終わって通常動作が再開されるとき
何が起きるかということです。FAULT信
号は、RUN/SSピンがスレッショルドを超
えて上昇すると直ちにアサートが解除さ
れますが、レギュレータはRUN/SSピンが
約2Vに達するまで最大電流を供給する
ことはできません。
33
L デザイン・アイデア
VIN
20V/DIV
VIN
20V/DIV
VIN
20V/DIV
VOUT
1V/DIV
VOUT
1V/DIV
VOUT
1V/DIV
RUN/SS2
2V/DIV
RUN/SS2
2V/DIV
RUN/SS2
2V/DIV
FAULT
2V/DIV
FAULT
2V/DIV
FAULT
2V/DIV
TIME 100µs/DIV
図5.停電時運転継続モードへの移行
FAULTが解消してから最大電流が要求
されるまで(おそらくソフトウェアに
よって)小さな遅延を与える必要がある
かもしれません。
図6.停電時運転継続の全体の様子
デモンストレーションとテスト結果
図1のアプリケーションの停電時運転継
続性能は図4に示されているセットアッ
プを使ってテストされました。スイッチ
で制御される電源が通常の入力または過
LT3509は電流制限ソフトスタート機能 電圧トランジェントのどちらかを発生
を使って起動時の突入電流を防ぐので、 します。出力はアクティブ負荷回路に接
利用可能な出力電流をゆっくりランプさ 続されており、オン/オフはFAULT信号に
せることができます。ピーク電流制限と よって制御されます。図5は、レギュレー
谷電流制限(キャッチ・ダイオードによっ タがオフするとき(ただし、負荷が減少す
て検出される電流)の両方がRUN/SSピン る前)に生じるステップを示すため、高速
の電圧によって制御されるので、C6とC7 時間ベースで過電圧の始まりを示してい
が充電するにつれ、出力電圧は通常の最 ます。図6は、400msのトランジェント全
大値までゆっくり増加します。ソフトス 体と、出力がなく、負荷もほとんどないと
きに生じる垂下を示しています。図7はイ
タートの特性の一例を図3に示します。
LTC4265、29ページから続く
つまり、DC/DCコンバータは電力の移行
を通して動作を継続します。ただし、PSE
は電力を供給する前にPDを再度検出す
る必要があるので、
(補助電源が取り去ら
れるときの)補助電力からPoE電力への
移行はシームレスではありません。
LTC4265とDC/DCコンバータのペアの
TIME 2ms/DIV
TIME 100ms/DIV
PoEの電力レベルが増加するにつれ、一般
に2次巻線の出力に置かれるショットキー・
ダイオードは出力電流の増加に伴ってもっ
と多くの電力を浪費するので、効率を下げ
る原因になります。
さらに、熱を取り去るた
め、出力ダイオードはかなり大きなヒートシ
ンクと基板面積を必要とします。
図7.停電時運転継続の終了
ベントの最後を拡大した時間スケールで
示しています。
まとめ
過電圧トランジェントは自動車や産業用
電力システムでは日常的に発生します。
LT3509は、小型の低価格コンデンサと組
み合わせて、部品を過電圧から保護する
のにも、下流のシステムが
(完全にリセッ
トする必要なしに)過電圧を乗り切るこ
とができるようにするのにも使うことが
できます。短時間のサービスの中断を許
容できるのであれば、数100ミリ秒の過電
圧トランジェントでさえ乗り切ることが
できます。L
これらは、LTC4265と連携して動作する唯一
のDC/DCコンバータ・ソリューションではあ
りません。LTC4265は既にDC/DCコンバー
タを備えているアプリケーションに簡単に応
用することができます。
まとめ
LTC4265 PDインタフェースは、最少の部品
これらの理由により、大きな電力を食うPDに 点数で、IEEE 802.3at標準規格に準拠して
形成のガイドライン
LTC4265はほとんどどんなDC/DCコン は同期整流式DC/DCトポロジーの方が役 動作するPDインタフェースに必要な機能
この場合、
コントローラの動作に を与えます。全ての機能(シグネチャ抵抗、
バータともペアを組むことができます 立ちます。
が、LT3825フライバック・コントローラ 同期したアクティブ・スイッチで出力ダイオー UVLO、OVLO、突入電流制御、熱保護)が
完全なPoEタイプ2の
とLT1952フォワード・コントローラの2 ドが置き換えられます。LT3825とLT1952は 内蔵されていますので、
アク インタフェースを構築するのに、
このデバイ
つが特にタイプ2のPower over Ethernet 両方とも同期ドライバを内蔵しており、
スの高さの低い4mm 3mm DFNパッケージ
アプリケーションに適しています。フォ ティブ・スイッチを使うことができます。
の周囲にはほとんど何も要りません。
ワード・コンバータとフライバック・コ
タイプ
ンバータは、IEEE 802.3afおよびIEEE 自己ドライブ同期整流式フォワード電源構 2ピンとパワーグッド・インジケータ・ピンを
802.3atが規定する電子的絶縁要件を満 成で、LT1952とペアを形成したLTC4265を 接続して、
単にそれをPoE対応のDC/DCコン
たします。トポロジーの要件に加えて、 図5に示します。LT3825とペアを形成した バータとペアに組めば、高電力PDが完成し
これに補助電力を扱う能力を追加す
これはオプトア ます。
LT3825とLT1952の両コントローラは、 LTC4265を図6に示します。
(36Vから57Vまで変化する)広いPoEラ イソレータの帰還なしの同期整流式フライ れば、LTC4265は多用途PoE+ツールとなり
イン電圧範囲に耐える能力に基づいて選 バック電源構成です。LT3825はフォワード・ ます。L
トポロジーにも構成設定することができま
択されました。
す。
34
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン・アイデア L
クールなFETでホットなダイオードを
置き換える高電力2フェーズ同期整流式
昇圧コンバータ − ヒートシンクは不要
by Narayan Raja, Tuan Nguyen and Theo Phillips
はじめに
低電力デザインでは、同期整流式ではな
い昇圧コンバータが簡単なソリューショ
ンを提供します。ただし、電力レベルが増
加すると、昇圧ダイオードで発生する熱
が設計上の大きな問題になります。この
ような場合、順方向電圧降下がもっと低
いスイッチでダイオードを置き換えた、
同期整流式昇圧コンバータは、効率を大
幅に改善し、サーマル・レイアウトに伴う
多くの問題を緩和します。トポロジーは
もっと複雑ですが、リニアテクノロジー
は高電力同期整流式昇圧アプリケーショ
5V
ンの設計を簡素化するコントローラICを
提供しています。たとえば、LTC3782A昇
圧コントローラは外部の同期スイッチ・
ドライバ用のプリドライブ出力を備えて
います。
PD3S160
Q1
VCC
1µF
GND
LTC4440-5
IN
4.7µF
VIN
10V TO 14V
+
680µF
DFLS160
L1
8.3µH
BG1
SGATE2
BGATE1
BG1
SGATE1
SGATE1
BGATE2
BG2
+
SENSE1
LT3782A
0.008Ω
RUN
L2
8.3µH
DELAY
GBIAS1
DCL
GBIAS2
5V
Q4
4.7µF
SLOPE
VEE2
RSET
GND
VCC
1µF
GND
LTC4440-5
IN
BST
DFLS160
1µF
TG
TS
SGATE2
SENSE2–
SENSE2+
FB
BG2
220pF
60.4k
BG2
0.008Ω
0.01µF
0.1µF
Q5
Q6
SENSE2+
VC
SS
0.008Ω
SENSE2–
15k
6.8nF
51.1k
0.008Ω
PD3S160
VEE1
30.9k
680µF
SENSE1–
GBIAS
SENSE1–
SENSE2–
2.2nF
+
53.6k
1%
Q3
SENSE1+
2.2nF
SENSE1–
22pF
BG1
Q2
VOUT
24V AT 8A
SENSE1+
SGATE2
SYNC
10µF
×4
475k
1%
825k
VCC1
10Ω
1µF
TG
TS
SGATE1
10µF
×4
BST
316k
10Ω
SENSE2+
Q1–Q6 = HAT2266
図1.10V∼15V入力から24V/8A出力を供給する小型高電力昇圧アプリケーション
Linear Technology Magazine • January 2009
35
L デザイン・アイデア
100
97
VIN = 12V
VIN = 24V
VIN = 12V
EFFICIENCY (%)
95
94
VIN = 24V
92
VIN = 12V
図2.図1の回路のレイアウト。この比較的小さな回路によって発生する
高電力レベルでさえ、ヒートシンクが不要であることに注意。
こ れ は 、ゲ ー ト 電 荷 が 高 い 高 電 圧
MOSFET用の強力なボトム・スイッチ・
ドライバを内蔵しており、固定周波数
のピーク電流モード・アーキテクチャを
使って、6V∼40Vの入力から高出力電圧
を発生します。その2フェーズ・アーキテ
クチャは、外部部品の個数を少なく、高さ
を低く保ちます。
同期動作
高電流レベルでは、昇圧ダイオードは大
きな電力を消費しますが、同期スイッチ
ははるかに小さな電力しか消費しませ
ん。これは全て順方向電圧降下に帰着し
ます。昇圧ダイオードで消費される電
力はI IN • V D ですが、同期スイッチで消
費される電力はI2IN • RDS(ON)(つまりIIN •
VDS(ON))です。10Aで動作している標準的
な10mΩ以下のMOSFETは1Wを消費しま
a. 同期FETを使って作製した図2の基板のサーマルイメージ
90
1
2
POWER LOSS
5
3
4
LOAD CURRENT (A)
6
7
1
図3.同期FETを非同期昇圧ダイオードで
置き換えたときの回路の効率と比較した、
図1の回路の効率と電力損失
すが、電圧降下が0.5Vの標準的ショット
キー・ダイオードは5Wも消費します。同
期MOSFETの順方向電圧降下はそこを流
れる電流に比例するので、複数のFETを
並列接続して電流を分担することによ
り、電力損失を大幅に減らすことができ
ます。他方、ダイオードの順方向電圧降下
は比較的一定に保たれるので、昇圧ダイ
オードの並列接続は電力損失の削減に
ほとんど役立ちません。非同期昇圧ダイ
オード・トポロジーは同期ソリューショ
ンに比べて単に効率が悪いだけではあり
ません。昇圧ダイオードで発生する余分
の熱は取り除く必要があり、フットプリ
ントがもっと大きなパッケージとヒー
トシンクが必要になります。高い電流レ
ベルでは、非同期整流式昇圧アプリケー
ションは同期整流式ソリューションに比
べてサイズが大きくなり、コストが高く
COOL FETs
POWER LOSS
91
VIN = 24V
10
VIN = 12V
93
POWER LOSS (W)
96
EFFICIENCY
VIN = 24V
EFFICIENCY
なります。
アプリケーションのサイズを
小さくするマルチフェーズ動作
同等のシングルフェーズのソリューショ
ンよりも、マルチフェーズ/マルチチャネ
ルのDC/DCコンバータを選択するいく
つかの十分な理由(EMIの減少、熱性能の
改善など)がありますが、最大の利点はア
プリケーションのサイズの大幅な減少で
す。2フェーズ・ソリューションの方が多
くの部品を必要としますが(1個ではな
く2個のインダクタと2個のMOSFET)、正
味のスペースとコストが減少します。こ
れは、インダクタとMOSFETが、シングル
フェーズ・ソリューションで必要なもの
に比べて小さくなるからです。
39ページに続く
HOT DIODES HEAT UP
THE WHOLE BOARD
b. 昇圧ダイオードを使って作製した図2の基板のサーマルイメージ
図4.図2の基板は比較的クールに動作するが(a)、同期FETを昇圧ダイオードで置き換えると、ダイオードがFETよりもかなり熱くなって動作し、
基板全体がかなり熱くなる(b)。
(VIN = 12V、ILOAD = 6A、起動2分後)
36
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン・アイデア L
ほとんどどんな入力からでも高電力LED
ストリングをドライブする3mm 3mm QFN
またはMSEパッケージの100Vコントローラ
by Keith Szolusha
はじめに
高電力半導体LEDストリングは、高品質の
光出力、並外れた耐久性、相対的に低い寿
命コスト、色の変化しない調光およびエネ
ルギー効率を特長とするので、大面積で高
ルーメンの光源の分野で従来の照明技術
に置き換わりつつあります。
アプリケーショ
ンのリストは毎日のように増えており、LCD
テレビのバックライトやプロジェクション・シ
ステムのバルブ、産業用や建物の照明システ
ム、
自動車のヘッドランプ、
テールランプおよ
び表示灯、
コンピュータのモニタ、街路灯、
広告塔や競技場のライトまで含まれます。
アプリケーションの種類が拡大するにつれ、
LEDドライバの入力要件も複雑になります。
LEDドライバは、車載バッテリによる過酷な
過渡電圧環境、
リチウムイオン・セルやACア
ダプタの広い電圧範囲など、広い範囲で変
化する入力を扱えなければなりません。
それ
ぞれのアプリケーションに異なったLEDド
ライバを使うということは、LED照明のメー
カーと設計者にとって、多種類のLEDコント
ローラを在庫し、
テストし、
それらを使って設
計することを意味します。
これでは、多大の
経費と時間がかかることになりかねません。
多くのソリューションに対応可能なコント
ローラを使う方がずっと得策でしょう。
L1A, B
22µH 2×
VIN = PVIN
40V TO 60V
(LED CURRENT
REDUCED WHEN
VIN < 40V)
2.2µF
100V
×2
499k
VIN
SHDN/UVLO
1M
23.2k
ISP
0.068Ω
Q1A, B
GATE
SENSE
OPENLED
0.018Ω
100k
INTVCC
0.1µF
10k
42.2k
250kHz
1%
PWM
SS
RT
VC
ILED
1.5A
ISN
30.9k
83V
LED
STRING
PWMOUT
GND INTVCC
Si7322DN
10k
4.7µF
4700pF
L1 = 2× SERIES SLF12575T-220M4R0
Q1 = 2× PARALLEL Si7322DN
図1.競技場の照明用の125W、83V/1.5A、97%効率の昇圧LEDドライバ
多数の機能がLEDと周辺の部品を保護しま
す。
シャットダウンと低電圧ロックアウトは、
入力から得られるアナログ調光と組み合わ
されるとき、
バッテリ電圧が許容できない低
いレベルに低下すると、減少したLED電流と
ともに標準的オン/オフ機能を与えます。
アナ
ログ調光は精確であり、非常に広い範囲の
輝度制御のために、
PWM調光と組み合わせ
ることができます。
また、
ソフトスタート機能
は、起動時のスパイク状の突入電流を低減
また
LT3756高電圧LEDドライバはトポロジー します。OPENLEDピンはオープンした、
に対するユニークな柔軟性を備えているの は欠落したLEDについて知らせ、SYNCピン
で、昇圧モード、昇降圧モード、降圧モード、 (LT3756-1)はスイッチングを外部クロック
SEPIC、
フライバックなどのトポロジーで使う に同期させるのに使うことができます。
ことができます。電力能力が高いので、非常
に広い電圧範囲で潜在的に数100ワットの この16ピンのICは小型QFN(3mm 3mm)
半導体LEDの電力を供給します。
その100V パッケージおよびMSEパッケージで供給さ
のフローティングLED電流検出入力によっ れ、両方とも熱的に改善されています。入力
て、
この記事の昇圧モードと昇降圧モードの 電圧要件がもっと低いアプリケーションに
40VIN、
75VOUTのLT3755 LEDコントロー
トポロジーに示されているように、LEDストリ は、
ングをグランドより上にフロートさせることが ラがLT3756に似たオプションとなります。
できます。優れたPWM調光アーキテクチャ
これは一般にはLEDドライバとして使われま
は、最大3000:1の高い調光比を与えます。
すが、LT3756の電圧FBピンは、定電流検出
Linear Technology Magazine • January 2009
24.3k
LT3756
CTRL
2.2µF
100V
×5
1.8M
OVP = 95V
FB
VREF
PDS5100
電圧を使わないなら、十分安定化された出
力電圧を与えます。
これはLT3756の過電圧
保護機能の副産物で、
オープンLEDストリ
ングの場合に電流制御ループよりFB電圧
ループが優先されて、電流を維持しようとし
てコントローラが際限なく電圧を上昇させ
るのを防ぎます。
競技場の照明や広告塔の
125W昇圧LEDドライバ
競技場、
スポットライト、広告塔などの照明
システムは高電力で動作する巨大なLEDス
トリングを必要とします。LT3756コントロー
ラはフロートさせたセンス抵抗入力ISPと
ISNを使って最大100VのLEDストリングをド
ライブすることができます。図1の125W LED
ドライバは、高電力トランスの出力から取ら
れた40V∼60Vの広い入力範囲を受け入れ
ます。
LT3756の高電力GATEドライバは2個の
100V MOSFETを250kHzでスイッチングしま
す。
37
L デザイン・アイデア
2.2µF
100V
×2
196k
9.1k
6.2V
VREF
120k
0.1Ω
ISN
FB
CTRL
51k
LT3756
PWMOUT
1N4448HWT
0.1µF
PWM
1 OR 2 LEDs
3.5V–7V
0A–1A
M3
12.4k
OPTIONAL
L1
33µH
D1
M1
GATE
RT
VC
SENSE
GND INTVCC
VLED = 7V
80
70
VLED = 3.5V
60
50
40
30
20
10
OPENLED
SS
90
4.7k
Q1
M2
1k
PWM
ILED
1A
100
10µF
16V
147k
ISP
SHDN/UVLO
30.9k
0V–12V FOR
0A–1A ILED
VIN
EFFICIENCY (%)
VIN
10V TO
80V
0
0
10
20
30
40 50
VIN (V)
60
70
80
図3.図2のコンバータの降圧モードの効率
0.05Ω
スタ)は、最大許容出力コンデンサ電圧を
LEDストリングのそれをちょうど超えるレベ
100k
ルに安定化するのに役立ちます。FBに接続
された、
レベルシフトされたOVPネットワー
クがない場合、LEDストリングがオープン状
図2.1個または2個のLEDのPWM調光付き80VIN降圧モードLEDドライバ
態になると、
出力コンデンサが入力電圧まで
充電されます。降圧モードの部品はこの条
このスイッチング周波数は、
ディスクリート部 タとして同様に適切に動作可能です。
たとえ 件を耐えるとしても、LEDは入力電圧に等し
品のサイズを最少に抑えながら、97%の高 ば、車載バッテリの電圧は垂下電圧から突 い電位に再度装着されるとき耐えられない
つまり、1個の3.5V LED
い効率を維持するので、
ディスクリート部品 出した高電圧スパイクまで激しく変動するこ 可能性があります。
の温度上昇は50℃以下になります。
これは とがあります。図2の降圧モードLEDドライ は直接80Vに接続されると延命できないお
83V/1.5AのLEDストリングによって生じる可 バはこのような過酷な環境に最適です。
これ それがあります。
能性のある熱に比べるとはるかに容易に扱 は10V∼80Vの広い入力範囲で動作し、1個
えます。
または2個の3.5V LED(7V)
を1Aでドライブ 1個のインダクタを使った
します。
この場合、VINピンおよびISPとISN 昇降圧モードLEDドライバ
PWM調光が不要であっても、PWMOUTの の電流検出入力の両方が最大80Vまで上 ますます一般化しているLEDドライバの要
調光MOSFETはシャットダウン時のLEDの 昇することができます。
件の1つは、LEDストリングの電圧範囲と入
切断に役立ちます。
これは、電流がグランド
力電圧範囲の両方が広く、重なり合ってい
接続されたLEDストリングを通って流れるの 図 2に示されているように、P W M 調 光は ることです。実際、設計者によっては、
いくつ
を
(これは入力状態によっては可能です)防 PWMOUTピンからハイサイドLEDストリン かの異なるバッテリ電源やいくつかの異な
ぎます。
グまでレベルシフトが必要です。最大PWM るLEDストリングの種類に対して、同じLED
このよ
調光比は、
スイッチング周波数が高く、PWM ドライバ回路を使うことを好みます。
LEDがオープンするか、
またはLEDストリン 調光周波数が低く、入力電圧が高く、LED うな多用途向け構成設定は、効率、部品コ
グが高電力ドライバから取り外されると、FB 電力が低いほど増加します。
この場合、
100:1 スト、および基板スペースを、設計のシンプ
この
低電圧ループが制御を引き継いで、適切な の調光比は、100Hzの調光周波数、48Vの入 ルさのためにいくらか妥協させますが、
ストリングがLED+とLED ­の間に装着され 力、1Aで3.5Vまたは7VのLED、150kHzのス ような妥協は、本質的には常備品の多用途
るまで出力を90Vに制御します。過電圧保護 イッチング周波数で可能です。
LT3756を使っ LEDドライバを作製することによる、市場へ
がないと、LED検出抵抗を流れるLED電流 てもっと高いスイッチング周波数も可能です 出すまでの時間の大幅な短縮によって通常
はゼロになり、
制御ループはその出力を増加 が、
結局はデューティ・サイクルにそれ自体の 緩和されます。
させようとフル活動するでしょう。結局、
出力 限界があります。大きめの最小オン時間と最
コンデンサの電圧は100Vを超えて上昇し、 小オフ時間の制約があるので、
その周波数範 図4に示されている昇降圧モードのトポロ
いくつかの部品の最大定格を超えてしまう 囲の下端の周波数
(150kHz)
が、
この特定の ジーは、1個のインダクタを使って、入力電
でしょう。OVPの間、OPENLED状態フラグ コンバータの、
過酷な高VINから低VLEDの要 圧をLEDストリング電圧に昇圧することも、
は L になります。
件
(80VINから1個の3.5V VLED)
および低VIN 降圧することもできます。6V∼36Vの入力を
ドロップアウトの要件
(10VINから7VLED)
を満 受け入れて、最大400mAで、10V∼50Vの
LEDストリングをドライブします。PWM調光
PWM調光比の高い高電圧降圧モード たすために必要です。
とOVPは、
これらの機能の最適性能のため
LEDドライバ
入力電圧がLEDストリング電圧より高いと 降圧モードLEDドライバの過電圧保護はレ に、降圧モードと似た方法でレベルシフトさ
き、LT3756は定電流降圧モード・コンバー ベルシフトも備えています。Q1(npnトランジ れます。
10k
38
69.8k
150kHz
0.01µF
4.7µF
D1: DIODES INC B2100
L1: SUMIDA CDRH8D38-330
M1: VISHAY SILICONIX Si4484EY
M2: VISHAY SILICONIX Si2307BDS
M3: VISHAY SILICONIX Si2328DS
Q1: MMBT5401
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン・アイデア L
10V–50V
L1
22µH
VIN
9V TO 36V
(6V UVLO)
LED+
ILED
400mA
D1
2.2µF
50V
×2
110k
0.025Ω
3906
4.7k
499k
VIN
GATE SENSE
FB
SHDN/UVLO
1M
VIN
2.49k
70
60
50
40
30
20
10
0
LT3756
PWMOUT
140k
4.7µF
ISP
ISN
OPENLED
VC
SS
GND
RT
28.7k
400kHz
15
20
VIN (V)
25
30
デンサ、
キャッチ・ダイオード、およびパワー
MOSFETには、
このデザインでは最高90Vの
電圧が加わることがあります。
VREF
100k
10
図5.図4の昇降圧モード・コンバータの効率
PWM
INTVCC
VLED = 10V
80
130k
CTRL
VLED = 50V
90
0.25Ω
COUT
2.2µF
100V
×2
M1
100
EFFICIENCY (%)
LED–
M1: VISHAY SILICONIX Si7454DP
D1: DIODES INC. PDS3100
L1: SUMIDA CDRH127-220
まとめ
100V LT3756コントローラは見かけは高電
力LEDドライバですが、
アーキテクチャが非
10k
4700pF
常に多用途向きなので、多様な高電圧入力
アプリケーションに使うことができます。
もち
図4.広い範囲にわたるVINおよびVLED向けの昇降圧モードLEDドライバ
ろん、高電力LEDの大小のストリングに必要
インダクタ電流は入力電流とLEDストリン バッテリ電圧が下がりすぎた場合、9V入力 な全ての機能を備えています。昇圧モード、
グ電流の和です。つまり、
ピーク・インダクタ より下では、CTRLアナログ調光入力ピンを 昇降圧モード、降圧モード、SEPICおよびフ
インダクタ電流を ライバックのどのトポロジーでも使うことが
電流はピーク・スイッチング電流にも等しく 使ってLED電流を減らし、
なります
(同等の仕様の降圧モードや昇圧 制御された状態に保ちます。入力が6Vより できます。LT3756は、高電圧定格、最適化さ
トポロジーのLEDドライバよりも、接続回路 下に下がると低電圧ロックアウトによりLED れたLEDドライバ・アーキテクチャ、高性能
の性質により高くなります)。4Aのピーク・ス はオフし、入力が7Vを超えて上昇するまで PWM調光、多数の保護機能および高精度
ちらつきを防ぎま ハイサイド電流検出を備えているので、
イッチ電流とインダクタの定格は、9V入力か は再びオンすることはなく、
シン
ら400mAで50VのLEDストリングのワースト す。昇降圧モードでは、出力電圧は入力電 グルICとして様々な高電圧入力の高電力照
圧とLEDストリング電圧の和です。
出力コン 明システムに最適です。L
ケースを反映しています。
0.1µF
LT3782A、36ページから続く
さらに、スイッチング信号は相互に位相
が反転しているので、それらの出力リッ
プルは相互にキャンセルし合って合計出
力リップルを50%だけ減らし、出力容量
の要件を緩和します。入力電流リップル
も半減するので、必要な入力容量が減少
し、EMIが減少します。最後に、熱として
消費される電力が2フェーズにわたって
広がるので、ヒートシンクのサイズが小
さくなるか、または全く不要になります。
5.1k
ています。250kHzスイッチング周波数は
効率と部品のサイズ/基板面積を最適化
します。レイアウトを図2に示します。検
出ピンの適切な配線とフィルタリング、
グランドと電源プレーンを使った電力
部品の配置と絶縁により、50%のデュー
ティ・サイクルであっても、ほとんどジッ
タのない動作が保証されます。
同期MOSFETを使った図1の回路の効率
(8Aまで測定)と、昇圧ダイオードを使っ
た同等の非同期回路の効率(6Aまで測
10V∼15Vの入力から24V/8A
10V∼15V入力から24V/8A出力を供給 定)を図3に示します。ピーク効率の1%の
する高電力昇圧アプリケーションを図1 改善は大きくは見えませんが、図4に示さ
に示します。SGATE信号をレベルシフト れている熱放散の差を見てください。こ
し、同期MOSFETをドライブするのに、 れは、同等の動作条件での両方の回路の
LTC4440ハイサイド・ドライバが使われ サーマルイメージを示しています。同期
Linear Technology Magazine • January 2009
スイッチを使用する熱的利点は明らかで
す。
まとめ
LT3782Aを使って実現できる2フェーズ
同期整流式昇圧トポロジーには、非同期
整流式またはシングルフェーズ昇圧トポ
ロジーに比べていくつかの利点がありま
す。このデバイスは、高効率、小さなフッ
トプリント、ヒートシンク不要の熱特性
および低い入力/出力容量の諸特長の組
合せにより、車載および産業用アプリ
ケーションに簡単に使えます。L
39
L デザイン・アイデア
高さが2.8mm以下のアプリケーションに
高電流を供給する並列昇降圧
μModuleレギュレータ
by Judy Sun, Sam Young and Henry Zhang
はじめに
入力電圧範囲の中に入る出力電圧を安
定化するのにDC/DCコンバータを必要
とするアプリケーションの場合、回路
設計者は、複雑さや、SEPIC、フライバッ
ク、フォワード・コンバータなどの利用
できるコンバータ・トポロジーの低効率
によって常に悩まされます。代わりのも
のとして、リニアテクノロジーは多数の
4スイッチ同期整流式昇降圧レギュレー
タ/コントローラICを提供しており、他の
昇降圧トポロジーに比べて、
( 設計を簡
素化し、電力密度を上げるときでさえ)
効率を大きく改善し、スペースを節約し
ます。リニアテクノロジーのμModuleは
ほとんどのディスクリート部品を1個の
パッケージに一体化しており、設計をさ
らに簡素化します。たとえば、LTM4605
とLTM4607の昇降圧μModuleは必要なほ
とんどの部品を15mm 15mm 2.8mmの
表面実装型パッケージに組み込んでお
り、必要なのは、外部インダクタ、電流セ
ンス抵抗、電圧設定抵抗を各1個、および
入力と出力のいくつかのコンデンサだけ
です。μModuleソリューションは並外れ
た熱性能も与え、既にシンプルなレイア
ウトをさらにシンプルにします。
μModuleレギュレータの
大きな利点は、それらを簡単に
並列接続して出力電力能力を
増やすことができることである。
電流モード制御方式は、降圧、
昇圧、昇降圧の各モードのどれで
動作しているかにかかわりなく、
定常状態と過渡状態の両方で、
並列接続されたμModule
μModuleレギュレータのもう1つの大き
な利点は、それらを簡単に並列接続して
出力電力能力を増やすことができること
です。
レギュレータの間のバランスのとれた
電流分担を保証する。
VIN
5V TO 20V
CLOCK SYNC 0° PHASE
10µF
35V
R5
100k
PGOOD VIN
PLLIN V
OUT
RUN
FCB
LTM4605
COMP
C1
0.1µF
R4
324k
5.1V
OUT1
EXTVCC
GND
OUT2
SS
SET
MOD
RSENSE
SENSE+
R2
7mΩ
STBYMD
C3
0.1µF
SGND
180µF
16V
×2
SW2
PLLFLTR
V+
22µF
×2
VOUT
12V
10A
SW1
INTVCC
LTC6908-1
L1
3.3µH
+
SENSE–
PGND
VFB
RFB
3.57k
2-PHASE OSCILLATOR
CLOCK SYNC 180° PHASE
10µF
35V
PGOOD VIN
PLLIN V
OUT
FCB
RUN
LTM4605
COMP
L2
3.3µH
+
180µF
16V
×2
SW1
INTVCC
SW2
PLLFLTR
RSENSE
SENSE+
EXTVCC
STBYMD
SS
SGND
22µF
x2
SENSE–
PGND
R3
7mΩ
VFB
図1.高出力電流のための2個のLTM4605の並列接続
40
Linear Technology Magazine • January 2009
デザイン・アイデア L
μModule昇降圧レギュレータの並列接
続は簡単です。図1に示されているよう
に、単にそれらのV IN 、V OUT、COMP、V FB
およびSSの各ピンを一緒に接続します。
LTC6908-1発振器は、2個の並列接続され
たモジュールが180 の位相差で動作する
ように、それらを同期させます。電力の出
力をこのように相互に挟み込むと実効的
に入力と出力のリップルがキャンセルさ
れ、必要な入力と出力の容量を最小に抑
えます。
図1のこの回路は5V∼20Vの入力を受け
入れ、12Vの出力を発生します。定格出力
電流は昇圧モードでは10A、降圧モード
では20Aです。300kHzのスイッチング周
95
90
65
6
4
2
10
15
LOAD CURRENT (A)
VIN = 18V
0
2
4
6 8 10 12 14 16 18 20
LOAD CURRENT (A)
20
波数での効率曲線を図2に示します。
並列
接続されたモジュールは、広い負荷範囲
にわたり、昇圧モードで約95%の効率、昇
降圧および降圧モードでは97%を超える
効率を達成します。
インダクタ電流は同じCOMPピン電圧に
よって検出されて制御されるので、電流
分担は並列接続されたμModuleの間で自
然に保証されます。システムが降圧モー
ド、昇降圧モードまたは昇圧モードのど
高効率と良くバランスのとれた出力電流
のおかげで、
熱ストレスは2個のLTM4605
と2個のインダクタの間で均一に分布し、
システムの高い信頼性を保証します。図
4は2個の並列接続されたLTM4605のサー
マルイメージを示しており、インダクタ
はLTM4605 μModuleの上方に実装されて
います。2個のLTM4605と2個のインダク
タの温度上昇は、
VINが18V、
12Vおよび6V
の3つの場合の全てで非常に似ています。
強制エアフローなしでさえ、最大温度上
昇はわずか45℃です。
昇圧モードで12V/20A、降圧モードで
40Aの並列接続された4個
2個のLTM4605が扱えるよりも大きな出
力電流が必要ですか。その場合は、単に
もっと多くのμModuleレギュレータを並
列接続します。
12
12
10
10
IL1
8
IL2
6
4
2
0
0
–2
5
0
図2.図1の並列接続されたLTM4605で得られる
高い効率(CCMモード)
INDUCTOR CURRENT (A)
INDUCTOR CURRENT (A)
IL1
VIN = 18V
VIN = 12V
VIN = 6V
70
10
8
80
75
12
IL2
85
–2
INDUCTOR CURRENT (A)
昇圧モードで12V/10A、降圧モードで
20Aの並列接続された2個のLTM4605
μModuleレギュレータ
れで動作中であるかには関係なく、DC電
流分担は全体を通して優れています。2個
の並列接続されたLTM4605の、3つの動
作モードの、バランスの良くとれたイン
ダクタ電流を図3に示します。
100
EFFICIENCY (%)
電流モード制御方式は、降圧、昇圧、昇降
圧の各モードのどれで動作しているかに
かかわりなく、定常状態と過渡状態の両
方で、並列接続されたμModuleの間のバ
ランスのとれた電流分担を保証します。
8
6
4
IL2
2
IL1
0
VIN = 12V
0
2
4
6 8 10 12 14 16 18 20
LOAD CURRENT (A)
–2
VIN = 6V
0
2
4
6 8 10 12 14 16 18 20
LOAD CURRENT (A)
図3.2個の並列接続されたLTM4605の、異なった動作モードの、バランスの良くとれたインダクタ電流
VIN = 12V
IOUT = 10A
VIN = 18V
IOUT = 20A
VIN = 6V
IOUT = 10A
図4.図1の回路の2個のLTM4605と2個のインダクタの間で熱ストレスは均一に分布している
(ここでは、エアフローなし、ヒートシンクなしで示されている)。
Linear Technology Magazine • January 2009
41
L デザイン・アイデア
100
95
EFFICIENCY (%)
90
85
80
75
VIN = 18V
VIN = 12V
VIN = 6V
70
65
0
10
20
30
LOAD CURRENT (A)
40
図6.図5の並列接続された4個の
LTM4605のテストされた効率
(CCMモード)
図5.並列接続された4個のLTM4605 μModuleレギュレータのシンプルなレイアウト;
基板の表側と裏側(入力と出力の追加のバルク・コンデンサが表側と裏側に配置されている)
たとえば、昇圧モードで20A、降圧モー
ドでさらに大きな電流を供給するには、
単に並列に配置した4個のLTM4605の
VIN、VOUT、COMP、VFB、RUN およびSSの
各ピンを接続します。LTM4605または
LTM4607のμModuleは内部で補償されて
いますので、どんな並列システムでも安
定します。
並列接続された4個のLTM4605のレイア
ウトを図5に示します。この簡単なデザ
インは高さが低く、240Wの出力電力を高
い電力密度で供給します。入力範囲は5V
∼20Vで、12Vの出力を発生します。昇圧
モードで20Aの負荷、降圧モードでは最
大40Aの負荷をサポートする能力があり
ます。4フェーズ発振器は90 の位相差で
これらのμModuleレギュレータを同期さ
VIN = 18V
IOUT = 40A
出力電圧が入力電圧範囲にある
アプリケーションに理想的な
たがって電力損失)は4個のインダクタの
間で等しく分担されています。高効率と
よくバランスのとれた電流により、熱性
能が優れているので、この240Wシステム
は狭いスペースに収めることができま
す。
まとめ
LTM4605とLTM4607の昇降圧μModule
レギュレータは、出力電圧が入力電圧
μModuleレギュレータ。
範囲にあるアプリケーションには理想
的です。さらに、これらの集積化された
μModuleは簡単に並列接続して電力供給
せます。これにより、入力と出力のリップ を増やすことができます。μModuleが降
ルを実効的にキャンセルします。図6は、 圧、昇降圧、昇圧のどのモードで動作して
広い出力電流範囲にわたって効率が昇圧 いても、内部電流モード制御方式により、
モードでは95%より良く、降圧モードで 並外れた電流分担能力が保証されます。
は最大97%であることを示しています。 回路とPCBレイアウトの最小の設計作業
で、並列接続されたLTM4605とLTM4607
図7は、3つの異なった入力電圧で最大負 のμModuleは、高出力電力、高効率、およ
荷で動作している4個の並列接続された び高信頼性を非常に小さなフォームファ
LTM4605の熱性能を示しています。内部 クタで提供します。L
電流モード制御方式なので、負荷電流(し
LTM4605とLTM4607の昇降圧
VIN = 12V
IOUT = 20A
VIN = 6V
IOUT = 20A
図7.図5の並列接続された4個のLTM4605の熱性能(240W、エアフローもヒートシンクもなし)
42
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ウントを作成すると以下のことができます。
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www.linear-tech.co.jpに一覧されており、ダウンロ
ードすることができます。情報には以下のものがあ
ります。
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クエストする度に住所を再入力する必要がなく
なります。
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ョン分野のソリューション、理論および設計のヒン
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質宣言、
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̶ リニアテクノロジ ーのQ u a l i t y, R e l i a b i l i t y &
Service( QRS)
プログラムの根本理念は、最良の品
質、オンタイム・デリバリおよびサービスで、最も技
術的に進んだ製品を製造することにより、100%の
顧客満足度を達成することです。品質保証と信頼
性のページを開いて、
リニアテクノロジーの全製品
とプロセスの完全な信頼性データをご覧下さい。
組立と製造のフローチャート、品質と環境の証明、
テストの標準規格および文書一式および不具合調
査の方針と手順に関する完全な文書一式も用意さ
れています。
• お気に入りのパラメータ・テーブルを保存します。 LTクロニクル ̶ 特定の最終市場向けLTC製品の月
列、
フィルタおよび並べ替えの条件を編集してテ 間製品紹介
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製品プレスリリース ̶ 新製品が常時発表されま
保存します。
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ソリューション小冊子 ̶ オートモーティブ・エレクト
テクノロジーの鉛(Pb)
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波形ビューア
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アプリケーション、
ソリューション ̶ 多様な車載、 • LTCの高性能リニア・レギュレータ、
オペアンプ、
コン
通信、産業および軍用アプリケーションのブロック
パレータ、
フィルタなどの多くのモデルとともに、
リニ
図をご覧下さい。機能ブロックをクリックすると、
そ
アテクノロジーのスイッチング・レギュレータのほと
の機能に関連するリニアテクノロジーの品揃えの
んどのマクロモデル
完全なリストが表示されます。
• リニアテクノロジーの最も人気の高い100を超える
製品のすぐ使えるデモ用回路
FilterCAD ̶ FilterCAD 3.0はリニアテクノロジーのフ
ィルタICを使ってフィルタを設計するためのCADプ
ログラムです。
Noise Program ̶ このプログラムにより、
ユーザーは
LTCのオペアンプを使った回路のノイズを計算し、
低
ノイズ・アプリケーションに最適のLTCのオペアンプ
を決定することができます。
SPICEマクロモデル・ライブラリ ̶ ライブラリには、
どんなSPICEシミュレーション・パッケージでも使
えるLTCオペアンプのSPICEマクロモデルが含まれ
ています。
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Linear Technology Magazine • January 2009