社長インタビュー: 中期経営計画の総仕上げに向けて

社長インタビュー: 中期経営計画の総仕上げに向けて
成 長 分 野のさらなる強 化と
プリンタ事 業の構 造 改 革を
着実に実行します。
2012年度の業績についてご説明ください。
すべてのセグメントで増収を達成し、利益に関しても大幅な増益となりました。
2012年度の市場環境は、年末に誕生した新政権への期
待から国内では景況感の改善が見られましたが、総じて景気
の先行きに不安が残る一年でした。このような厳しい事業環
境ではありましたが、OKIグループの2012年度は、すべて
5,000
4,000
313
3,000
億円、経常利益は為替差益の計上などにより同112億円増
2,000
益の203億円となりました。また当期純利益は、同120億円
1,000
176
327
390
1,150
2,930
2,672
170
187
1,114
1,074
EMS
情報通信
4,600
4,558
4,235
のセグメントで増収となり、売上高は前期比323億円増加の
4,558億円となりました。営業利益は、同15億円増益の135
その他
プリンタ
セグメント別売上高の推移
(億円)
2,890
増益の136億円と大幅に増加しました。
特に、業績のけん引役となったのは、情報通信システムの
0
2011年度
2012年度
2013年度(計画)
成長分野として注力している、
メカトロシステムの中国向け
ATMと、消防デジタル整備の本格化や復興需要による防災
案件が増加した社会システムでした。
また、
プリンタについて
も積極的に販売投資を行い、
カラーLEDおよびモノクロLED
の販売台数が増加しました。
このように、2012年度は成長に向けた施策が着実に成果
を収め、収益拡大につながる一年となりました。
その他
EMS
プリンタ
情報通信
本社費・消去
セグメント別営業利益の推移
(億円)
300
135
30
120
200
25
100
15
220
16
40
238
205
(88)
(65)
187
20
20
0
(43)
-100
(64)
(61)
-200
2011年度
2012年度
2013年度(計画)
アニュアルレポート 2013
5
社長インタビュー
中期経営計画の目標達成に向けて、今後も成長が見込める分野についてご説明ください。
ATMを中心とするメカトロシステムやEMS分野などでこれまで以上の収益を計画しています。
OKIは、中期経営計画の中で、最終年度の2013年度に営
など、着実に手を打ってきています。
業利益220億円を達成し、
そのうえで復配を果たすことを目
また、現金処理機や複数通貨を同時に扱うことができる外
標に掲げてきました。事業構造改革は着実な進展を見せてお
貨両替機も市場に投入していますが、金融機関をはじめとし
り、
この目標達成に向けて成長分野にリソースを投入し、事
て国内外の顧客からの引き合いが活発化しており、
こちらで
業拡大を進めています。
もさらなる成長を目指します。
現在、注力している成長分野の第一は、ATMを中心とする
成長が見込めるもうひとつの分野として、EMS事業にも期
メカトロシステム事業です。世界で初めてOKIが開発した紙幣
待しています。OKIのEMSは、自社商品の開発、製造によって
還流型ATMは、
日本の得意とする
「すり合わせ技術」
がベース
蓄積された技術やノウハウを活用して、高度な生産技術と品
でありなかなかマネのできるものではありません。
この日本の
質保証力を必要とするハイエンド型EMS事業を得意としてい
モノづくりの強みともいえる技術を武器に、
この商品を全世界
ますが、
この分野で成長していくにはプリント配線板事業の
的に展開させていくことで、
さらなる成長を目指しています。
増強が欠かせません。そこで、田中貴金属工業株式会社から
既に、順調に事業拡大している中国に続く、新たな市場の
事業譲渡を受けて、2012年10月にOKI田中サーキット株式
開拓に取り組んでおり、OKIは2012年度にロシアやインドネ
会社を設立しました。このような施策によって、ハイエンド製
シア市場へ参入しました。2013年度もブラジルのItautec社
品向けプリント配線板事業の国内シェアを拡大するなど、着
と提携し、中南米市場におけるATM事業の基盤を構築する
実にEMS事業の強化を図っています。
2013年5月、ATM事業に
中国深圳にあるATM
おけるブラジルITautec社
工 場 の 紙 幣カセット
との戦略提携を発表
組立ライン
プリンタ事業の今後の見通しについてご説明ください。
安定収益体質への構造改革を実行すると同時に、
新領域への参入や新事業分野の早期立ち上げを図ります。
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当社のプリンタは、LEDという技術優位性を持ち、お客様
分野の立ち上げを図る取り組みを進めています。
にソリューションを提供する際のヒューマンインタフェースと
構造改革に関しては、具体的には、2012年度の売上水準
して重要な役割を果たしています。また、世界中の優良顧客
でも黒字化可能な体制を構築するために、海外子会社におけ
との長年にわたる良好な関係も構築しており、グループの成
る固定費の削減や、設計・調達改革による効率化などを実施
長戦略を実行するうえで重要な主力事業の一つと位置付け
し、収益性を重視した販売商品や販売戦略の見直しを行って
ています。
このプリンタ事業において、現在、安定収益体質へ
いきます。2012年度は営業赤字でしたが、その損失の大部
の構造改革を実行すると同時に、新領域への参入や新事業
分は一時的費用によるものです。今回の構造改革を実行する
アニュアルレポート 2013
社長インタビュー
ことで、今後は安定収益を出せる体質になると考えています。
一方、今後の成長のために、当社の強みを活かした新領域
プリンタ事業成長シナリオ
収益モデル
プロフェッショナル
市場
への参入を図ろうとしています。具体的には、
これまでOKIが
主戦場としてきた領域よりも上位カテゴリーにある、
オフィス
ソリューション市場やプロフェッショナル市場などへの進出を
高速・産業用途機
(オフセット印刷)
オフィスソリューション
市場
(コピア)
果たします。例えば、
オフィスソリューション市場では、
コピア
複合機に対抗し、
セルフメンテナンスやプリンタをベースにし
た安価なハードウエアなどにより、印刷に関するトータルコス
FY13 戦略商品
2機種 Open-API
ト削減をセールスポイントとして、売り込みを図っていきます。
FY13 戦略商品
特色・特殊媒体対応
また、プロフェッショナル市場では、LED方式の特長を活かし
た高付加価値プリンタで、
これまで市場を占有してきた高額
成長事業領域
な専用機の置き換えを狙っていきます。
同時に、
オフィスプリント市場でも既存優良チャネルを重視
FY14 戦略商品
共通プラットフォーム
し、
さらには、B2Beコマースのチャネルを活用するなどして、
高付加価値製品の比率向上とMIF
(市場稼働台数)
の拡大に
既存事業領域
FY15 戦略商品
幅狭プリンタ
幅広プリンタ
オフィスプリント
市場
(プリンタ)
事業ドメイン方向
よって、
こちらでも収益拡大を図っていきます。
ガバナンスの強化についてはどうお考えですか。
自らが陣頭指揮をとり、着実に諸施策を実行していきます。
中期経営計画で掲げている海外展開の拡大にあたって
です。経営による
「OKIのコンプライアンス宣言」
の制定や、
は、特にグローバルにガバナンスを強化することが重要だと
OKIグループ役員・従業員を対象としたコンプライアンス教
考えています。2012年8月に公表した海外連結子会社にお
育の徹底、
「OKIグループ行動規範」
の改訂など、経営の率先
ける不適切な会計処理に関しましては、
ステークホルダーの
垂範のもと、
コンプライアンスの徹底に、
グループをあげて取
みなさまには多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたが、
り組んでいます。
現在、ガバナンス強化に向けて諸施策を実行しているところ
最後に、2013年度の計画と復配の見通しについてご説明ください。
中期経営計画で目標とした営業利益を必達し早期復配そして安定継続配当を目指します。
2013年度については、OKIグループが一丸となって収益
ことで、売上高については前期比42億円増収の4,600億円
向上に向けて取り組み、中期経営計画の総仕上げの年にし
を、営業利益については、同85億円増益の220億円を目指
たいと考えています。
します。また、当期純利益はプリンタ事業の構造改革費用を
成長が見込める分野での種まきを収穫に繋げていくと同
計上し、同21億円減益の115億円を計画しています。
時に、社会インフラシステムである金融機関向けシステム、
2013年度には中期経営計画で目標に掲げた営業利益
通信関連システム、社会システムなど、ベースとなる事業に
220億円を必達目標とし、
そのうえで復配を成し遂げていき
おける安定収益の確保に努めます。これらの施策を実行する
たいと考えています。
アニュアルレポート 2013
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