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SI-3000KS シリーズ
アプリケーション ノート
低飽和面実装シリーズレギュレータIC
SI-3000KS シリーズ
第 2 版 2013 年 11 月
サンケン電気株式会社
SI-3000KS
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目次
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1.概要
1-1 特長
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3
1-2 主な用途
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3
1-3 種別
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3
2-1 外形図
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4
2-2 定格
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5
2-3 回路図
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6
3-1 電圧制御
----------
7
3-2 過電流保護
----------
7
3-3 過熱保護
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7
4-1 外付部品選定上の注意
----------
8
4-2 パターン設計上の注意
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10
5-1 出力 ON・OFF 制御
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10
5-2 熱設計
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11
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13
2.製品仕様
3.SI-3000KS の動作説明
4.使用に際しての注意事項
5.応用
6.代表特性例(SI-3012KS,SI-3033KS)
2
SI-3000KS
1.概要
SI-3000KS は、パワー部に低飽和PNPバイポーラトランジスタを使用したシリーズ
レギュレータICであり、低入出力電圧差で使用することが可能です。ActiveHi で動作
するオンオフ端子を有しておりオフ時の回路消費電流はゼロになります。
17v 耐圧で出力コンデンサにセラミックコンデンサなどの低 ESR コンデンサを使用する
レギュレータです。
●1-1
特長
・出力電流1A
SOP8 の外形で、出力電流が最大1Aです。
・低飽和(Vdif=0.6vmax/IO=1A)
低入出力電圧差で設計可能です。
・オンオフ機能
TLL ロジック信号で直接制御可能なオンオフ端子を設けています。
・低消費電流
オフ時の回路消費電流はゼロです。
無負荷時暗電流は
350uAmax です。
・過電流、過熱保護内蔵
垂下型過電流保護及び過熱保護回路を内蔵しています。
(自動復帰型)
●1-2
主な用途
・オンボードローカル電源
・OA機器用電源
・レギュレータ2次側出力電圧安定化
・テレコム用電源
●1-3
種別
・種別:半導体集積回路(モノリシックIC)
・ 構造:樹脂封止型(トランスファーモールド)
3
SI-3000KS
2.製品仕様
単位:㎜
●2-1
SI-3000KS(面実装:SOP8)外形図
4
SI-3000KS
●2-2
定格
●2-2-1:絶対最大定格
Ta=25℃
●2-2-2:推奨動作条件
項目
記号
規格値
単位
SI-3025KS
SI-3033KS
*2
入力電圧
VIN
*2
~6 *1
~6 *1
V
*2
出力電流
Io
0~1.0
A
動作周囲温度
Top
-30~+85
℃
動作時接合温度
Tj
-20~+100
℃
*1:Pd=(Vin-Vo)×Io の関係が有り、使用条件によっては Vin(max),Io(max)が制限されます。各々の値については銅箔面積―
許容損失のデータを参照し、算出して下さい。
SI-3012KS
2.4 ~6.0 *1
*2
*1
*2:Vo+入出力電圧差として下さい。
●2-2-3 電気的特性
●2-3
Ta=25℃
回路図
5
SI-3000KS
2-3-①ブロック図
(SI-3012KS)
2-3-②
(SI-3025KS、SI-3033KS)
標準接続図
(SI-3012KS)
(SI-3025KS、SI-3033KS)
SI-3000KS は出力コンデンサにセラミックコンデンサなどの低 ESR コンデンサを使用する回路構
成としています。電解コンデンサを使用した場合、低温で ESR 増大により発振する場合がありま
すので推奨できません。
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SI-3000KS
3.SI-3000KS の動作説明
●3-1
電圧制御
SI-3000KS シリーズは、エラーアンプにて基準電圧と ADJ 端子(固定出力品は出力電
圧を Vo 検出抵抗で分圧された電圧)を比較し、ドライブ回路を制御する事で、メイン
の PNP パワーTr のエミッタ-コレクタ間の電圧を変化させ出力電圧を安定化させていま
す。
この時のエミッタ-コレクタ間の電圧と出力電流の積は熱として消費されます。
3-2
過電流保護特性
SI-3000KS シリーズは垂下型の過電流保護を内蔵しております。
シリーズレギュレータの場合、過電流保護で出力電圧が低下しますと入出力電圧差が増
し大きな発熱を伴います。特に垂下型過電流保護の場合、大きな電流を流し続ける為、
特に注意が必要です。
<垂下型過電流保護特性
●3-3
例>
過熱保護特性
本 IC は、IC の半導体接合温度を検出し、接合温度が設定値(約 150℃)を超えるとド
ライブ電流を制限する過熱保護回路を内蔵しています。過熱保護回路の動作電圧は最小
130℃で動作する為、Tj<125℃で熱設計する必要があります。
又、過熱保護にはヒステリシスはなく過負荷状態が解除され、Tj が設定温度以下に下が
ると即、自動復帰します。
過負荷状態で過熱保護が動作しますと、出力電圧が低下しますが、出力電圧の低下と共
に出力電流も低下し、短時間で過熱保護動作⇔自動復帰を繰り返す為、出力電圧が発振
しているような出力電圧波形になる事になります。
出力電圧
<過熱保護特性
例>
ジャンクション温度
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SI-3000KS
※(過熱保護特性)注意事項
瞬時短絡等の発熱に対しICを保護する回路であり、長時間短絡等、発熱が継続する
状態での信頼性を含めた動作を保証するものではありません。
4.使用に際しての注意事項
●4-1
外付部品選定上の注意
4-1-①
入力コンデンサ CIN
入力コンデンサは入力ノイズの除去、安定化目的で必要となり 0.47uF~22uF を推奨
します。
入力コンデンサはセラミックコンデンサと電解コンデンサのどちらでもご使用頂けま
す。
4-1-②
出力コンデンサCo
出力コンデンサCo は、位相補正の為、推奨値以上の容量が必要になります。
又、コンデンサの直列等価抵抗値(ESR)の値に制限があり、推奨できるコンデンサの
種類が限定されます。
●SI-3012KS,SI-3025KS,SI-3033KS
推奨値:ESR<0.2Ω
セラミックコンデンサや機能性高分子コンデンサ、OS コン、などの使用を推奨します、
ESR が大きい電解コンデサを使用しますと位相余裕度が低下し出力電圧が発振する可能
性があります。
室温で発振しない場合でも低温にて ESR が増大し発振する場合がある為、
電解コンデンサは推奨できません。
4-1-③
逆バイアス保護用ダイオードD1
入力電圧を立ち下げた場合などで、入出力間が逆バイアスになる場合、保護用ダイオ
ード D1 の挿入を推奨します。
但し、Vout<3.3v 設定以下の場合、逆バイアスになる場合を含み D1 は不要です。
D1 の選定方法としては Cout に蓄えられたエネルギーを放出しの瞬時の放電に対し十
分な順方向電流耐量があるものを選定する必要が有ります。
Di の単位時間あたりの順方向電流の許容値標記は IFSM(A)で規定されており、弊社 Di
の場合は 50Hz 半波(10ms)で規定しておりますが、各社規定時間が異なる場合があり
ますので注意ください。
この規定時間を実際の放電時間に換算した IFSM(A)を満たす物で選定を行ってくださ
8
SI-3000KS
い。
Co の放電時間は通常1ms以下ですが、マージンをみて1msで換算する事をお進めし
ます。
IFSM 換算式は
式(1)
(2)より算出
2
 I FSM 

  t1  X ・・・・・・・(1) IFSM は各社カタログを参照 t1:カタログ規定時間
 2 
2 X
換算後 IFSM=
・・・・(2)
t2:換算後時間(Co の放電時間)
t2
<図1>
Idis A
5v 充電時
Co vs Idis(放電電流)
参考データ
120
100
80
60
40
20
0
1
10
100
1000
Co uF
Cout=470uF を想定しますと約 90A 以上(1ms 間時)の IFSM が必要になり弊社 Di 規定の IFSM は
10ms で規定している為、30A の物であれば 94.8A(1ms 時)まで耐量があることになり使用可能と
判断できる事になります。
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SI-3000KS
●4-2
パターン設計上の注意
4-2-①
入出力コンデンサ
入力コンデンサC1と、出力コンデンサC2は、出来る限りICに近づけて下さい。入力側に
AC 整流回路の平滑コンデンサがある場合には、入力コンデンサと兼用にする事が可能ですが、距
離が離れている場合には、平滑用とは別に入力コンデンサを接続する事が必要です。
4-2-②
ADJ 端子(可変タイプ SI-3012KS の出力電圧設定について)
ADJ 端子は出力電圧を制御する為のフィードバック検出端子です。
R1 及び R2 を接続する事で出力電圧の設定が可能です。
SI-3012KS:IADJ が約 50uAになるように設定ください。
R1、R2、出力電圧は次式で求められます。
IADJ=VADJ/R2
R1=(Vo-VADJ)/IADJ
*VADJ=1.28v±3%(SI-3012KS)推奨 R2=24kΩ
R2=VADJ/IADJ
Vout=R1×(VADJ/R2)+VADJ
5.応用
●5-1
出力の ON・OFF 制御
1番・Vc 端子に直接電圧印加を行い、出力 ON・OFF 制御が可能です。Vc 端子オープ
ン時はオフになります
Vc 端子は 0.8v 以下でオフ、2v 以上でオンとなります。
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SI-3000KS
●5-2熱設計
放熱の計算
一般に面実装 IC の発熱は、実装されますプリント基板サイズと材質、及び銅箔面積によって
左右されます。放熱には細心の注意を払い、熱設計には十分余裕を設けて下さい。
モノリシック IC がマウントされていますインナーフレームステージは、GND 端子(5~
8 ピン)に直結されています。
よって、GND 端子につながる銅箔面積を大きくすることで、
放熱効果が上がります。
図1の様に広く取った GND パターンに 5,6,7,8pin のソルダーパタン部のみ絶縁膜を開口し設計する事
をお奨めいたします。
接合部温度 Tj(MAX)は製品固有の値であり、
GND pattern
厳守する必要があります。この為には、Pd(MAX),
b2
TaMAXに応じた放熱器設計(基板熱抵抗)が
8
7
6
5
必要になります。これらをわかりやすくグラフ化
l2
した物が熱減定格であります。放熱設計は以下の手順で行いま
e1
す。
1
2
3
4
1)セット内最大周囲温度TaMAXを求める。
2)入出力条件を変化させ最大損失PdMAXを求める
e
e
e
図1
Pd=(VIN-Vout)×Iout
3)下図の銅箔面積 vs 許容損失のグラフより銅箔面積の大きさ
を決定する。
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SI-3000KS
参考資料としまして、片面銅箔基板 FR-4 での
銅箔面積 - 接合部-周囲温度間熱抵抗θj-a
2)
銅箔面積 - 許容損失のデータを下に示します。
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SI-3000KS
6-1.代表特性例
SI-3012KS
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6-1.代表特性例
SI-3012KS
SI-3000KS
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SI-3000KS
6-2.代表特性例
SI-3033KS
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SI-3000KS
6-2.代表特性例
SI-3033KS
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SI-3000KS
!注意
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