新製品 蛍光相関分光ユニット C9413シリーズ ※パソコンは別売です。 蛍光相関分光法 概要 蛍光相関分光法は1分子分析法として1970年代に原理が 確立されていましたが、レーザやコンピュータの技術進歩 により90年代後半から実用化された比較的新しい計測手 法です。レーザ光を試料全体に当てるのでなく、対物レン ズでフェムトリットル以下の領域まで焦点を絞ります。あ らかじめ蛍光色素を取り付けておいた試料中の分子がレー ザの焦点領域を通過するとフォトンを発生します。これを 高感度光電子増倍管で検出します。溶液中の分子はブラウ ン運動をしていますが、蛍光標識された分子が他の分子と 結合すると、分子のサイズが大きくなるため溶液中を移動 する速度が遅くなります。この速度の違いと蛍光強度を自 己相関法で解析することで分子間相互作用が観測できます。 蛍光相関分光法は、プローブとなる分子を固相化させる必 要がなく、また他の生体分子計測のようなB/F分離が不要 です。 特長 ●高量子効率タイプの光電子増倍管を使用、 さらに冷却素子によりノイズを低減。 ●独自に開発した高速カウンティングボード を採用。 ●ソフトウエアにより自己相関を演算、計測 データを全て保存可能。 用途 ●DNA-DNA相互作用 ●DNA-DNA結合タンパク質相互作用 ●抗原抗体反応 装置構成 サンプル容器 (別売) 電源ケーブル 信号ケーブル コントロールケーブル デジタル相関器 パソコン(別売) 本体(検出ユニット) CD(付属ソフト) TPMOC0175JB 蛍光相関分光ユニット ーコンパクトFCSー ●本体(検出ユニット) 本体は、蛍光分子を励起するレーザ部、共焦点光学系、蛍光を検出する 光検出部で構成されています。レーザは、小型でノイズが少ないLD励起 固体レーザを採用しています。共焦点光学系はシンプルな構成にするこ とで光損失を抑え、光軸調整が簡単にできるよう設計されています。光 検出器は、高量子効率のGaAsP光電面を使った光電子増倍管を採用し、 高電圧電源と冷却素子並びにフォトンカウンティング回路を内蔵した専 用モジュールを使用しています。光検出部からの信号は、デジタル相関 器へ転送されます。 本体(検出ユニット)内部構成図 サンプル レンズ 対物レンズ レーザ (473 nmまたは532 nm) ダイクロイックミラー ピンホール 光検出器 デジタル 相関器へ TPMOC0176JB ●デジタル相関器:自己相関演算 デジタル相関器でカウントされた計測データは、PCIインターフェース を通してパソコンのメインメモリへ転送し記録します。そのデータを使 用しパソコンのCPUで自己相関関数を計算します。さらに、得られた自 己相関関数に分子モデルをフィッティングさせて、分子数や並進拡散時 間が求められます。フィッティングは、3成分並びにトリプレットまで 合わせることが可能です。例えば、結合した分子とフリーの分子は異な る拡散時間を持つため、2つの成分が複合したプロファイルとなります。 計測データはすべてパソコンのメモリに保存されますので、自分で作っ た演算アルゴリズムを使って解析することも可能です。 計測例 仕様 本体 (検出ユニット) デジタル相関器 項目 タイプ レーザ 波長 最大出力 量子効率(QE at 550 nm) カウントリニアティ A 検出部 ダークカウント(Max.) パルスペア分解能 タイプ 倍率 対物レンズ N.A. 作動距離 適応カバーガラス厚 入力電圧(AC) 入力周波数 消費電力 外形寸法図(W×H×D) 質量 チャンネル数 信号入力レベル 信号パルス幅(Min.) 最小サンプリング時間 入力インピーダンス 使用バス形態 入力電圧/電流 外形寸法 対応 コンピュータ 質量 コンピュータ機種 OS 動作環境 動作周囲温度 動作周囲湿度 C9413-01 C9413-02 LD 励起固体レーザ 473 532 1 40 1.5 × 106 45 70 UApo40X W/340 N.A.=1.15 水浸(OLYMPUS) 40 1.15 0.23 0.13 ∼ 0.18 100 ∼ 240 50 / 60 80 157 × 294 × 489 約 13 2(本システムでは1チャンネルのみ使用) TTL正論理 8 200 50 PCIバス インターフェース Rev 2.1に準拠 5 V, 1.5 A 以下(PCIバスより供給) 174.6 × 106.7 (但し、 プラケット及び突起物は除く) 約 150 DOS / V デスクトップ Windows® 2000 / XP PCIバスポートを搭載、CPU:Pentium® 4、 クロック2.0 GHz 以上、内蔵メモリ:256 Mバイト 以上 +5 ∼ +40 85以下(結露なきこと) 単位 ― nm mW % s-1 s-1 ns ― 倍 ― mm mm V Hz VA mm kg ― ― ns ns Ω ― ― mm g ― ― ― ℃ % RH NOTE: Aランダムパルス、カウント損失10 %時 外形寸法図 (単位: mm) 本体(検出ユニット) サンプルボックス 294±2 フィルタボックス 光軸調整部 157±1 489±2 デジタル相関器 106.7 電源ケーブル:1.5 m 174.6 信号ケーブル:1.5 m コントロールケーブル:1.5 m TPMOA0029JA 用途例 異なる長さの2本鎖のDNAを測定 長さの異なる 2 本鎖の DNA を計測した例です。蛍光色素 TOTO は DNA の長さに比例して定量的に入り込む性質を 持ちます。DNA をあるベースペアになるよう増幅しておき TOTO を後から染色します。それぞれの DNA の拡散時間 を蛍光相関分光法で計測しました。DNA の構造は棒のよう に 1 次元であるため、拡散時間は DNA の長さに比例して 増えています。 DIFFUSION TIME (ms) 3.5 3.0 2.5 Fluorescence: TOTO Buffer: DW Laser: 532 nm 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 0 1000 500 1500 2000 2500 BASE (bp) TPMOB0172JA NUMBER OF MOLECULES 蛍光色素ローダミン6Gの濃度を測定 異なる濃度の蛍光色素ローダミン 6G を、FCS で計測した 例です。対物レンズで約1フェムトリットルの領域にレー ザを絞ります。その領域内に存在する分子の数が濃度によ って異なることが分かります。ローダミン 6G が 10 -10 mol/l ∼ 10-7 mol/l の濃度範囲において、計測された分子 数とよく合致しています。 100 10 Fluorescence: Rodamine 6G Buffer: DW Laser: 532 nm Diffusion time 0.0317 1 0.1 10-10 10-9 10-8 10-7 10-6 CONCENTRATION (mol/l) TPMOB0173JA RATIO (%) 抗原抗体反応を解析 100 Anti-AngiotensinⅡ 90 Gly-CysAngiotensinⅡ 80 TAMRIA 70 60 [1632 Da] [57k Da] 50 40 30 20 10 0 0.1 1 10 抗原抗体反応を蛍光相関分光法で解析した例です。抗原の アンジオテンシンⅡに蛍光色素 TAMRIA を標識します。濃 度 10-9mol/l のアンジオテンシンⅡに対して、濃度 10-10 mol/l ∼ 2×10-7 mol/l の抗アンジオテンシンⅡの抗体を混 合させていきます。付加させた抗体のモル比に対して、結 合した抗原の率をプロットします。このプロットから解離 定数が算出できます。 Fluorescence: TAMRIA Buffer: PBS Laser: 532 nm 100 1000 MOL RATIO TPMOB0174JA 本製品は北海道大学電子科学研究所 田村・金城研究室との共同により開発されました。 参考:金城政孝:シリーズ蛋白質・核酸・酵素の1分子測定と操作法 蛍光相関分光法による1分子検出【蛋白質核酸酵素Vol.44 No.9 (1999),p.1434-1436】 記載商品名・ソフト名は該当商品製造会社の商標および登録商標であることを明記し、カタログ上での記載は省略させて頂きました。 ※この資料の内容は、平成16年9月現在のものです。仕様・性能は改良のため予告なく変更することがあります。 ご注文の際には、最新の内容をご確認ください。 WEB SITE http://www.hpk.co.jp 電子管営業部 東 京 支 店 大阪営業所 仙台営業所 □ 〒438-0193 □ 〒105-0001 □ 〒541-0052 □ 〒980-0011 静岡県磐田郡豊岡村下神増314-5 1(0539)62-5245 ファックス(0539)62-2205 東京都港区虎ノ門3-8-21(虎ノ門33森ビル)1(03)3436-0491 ファックス(03)3433-6997 大阪市中央区安土町2-3-13(大阪国際ビル)1(06)6271-0441 ファックス(06)6271-0450 仙台市青葉区上杉1-6-11(日本生命仙台勾当台ビル) 1(022)267-0121 ファックス(022)267-0135 TPMO1029J04 SEPT. 2004 IP