薄膜コモンモードフィルタTCM0403R 実装面積が半減する超小型サイズを実現 HDDヘッドに代表されるTDK独自の薄膜工法の応用により、コモンモードフィルタの大幅な小型化を実現。モバイル機 器に要求される省スペース実装に最適なノイズ対策部品です。 TDKでは既存の薄膜コモンモードフィルタと比べて大幅な小型化を実現した新製品TCM0403R(0.45mm×0.3mm× 0.23mm)を開発しました。スマートフォンなどのモバイル機器の回路基板の省スペース化に大きく貢献します。 回路基板の省スペース化と 設計自由度の向上をもたらすノイズ対策部品 TDKでは薄膜工法の改善や内部構造の最適設計により、 既存製 スマートフォンやタブレットなどの電子機器の高機能化が加 以下(41.5%)という業界最小クラスの超小型薄膜コモンモー 速度的に進んでいます。このため、機器に使用される部品点数 ドフィルタTCM0403Rを製品化しました。 が増加し、コモンモードフィル タなどのノイズ対策部品の使用 品 (TCM0605シリーズ) の特性を維持しつつ、 製品面積が1/2 図1 既存製品(TCM0605シリーズ)と新製品 数にも増加傾向がみられます。 また、これらの機器は高機能化 だけではなく小型・薄型化も進 TCM0605G TCM0403R-900 んでおり、部品の実装密度の増 大が予測されます。さらには、機 器設計の自由度向上のために も、電子部品の小型化要求は、今 0.23 0.30 0.50 0.65 面積 41.5% 0.45 0.30 後ますます高くなってくると考 えられます。 20150605 1 表1 TDKの薄膜コモンモードフィルタの製品サイズと導体形状の推移(TCM0403R)とのサイズ比較 2004年 2006年 2010年 2014年 Aspect ratio TCM0605G 製品サイズ 0.30 Line幅 Aspect比 0.50 1.0x1.25mm 1.0x0.5mm 1 0.67 面積 1.0 41.5% 0.45 1.2 0.23 0.65x0.5mm 0.45x0.3mm 0.56 0.28 1.0 2.8 0.30 t(thickness) Aspect ratio=t/w *1 Line幅は1.0x1.25㎜品を1 とした比率で記載 *2 Aspect比 超小型化を実現したTDKの技術と取り組み 薄膜コモンモードフィルタTCMシリーズなどの薄膜電子部品 既存製品と比べて製品面積が1/2以下という超小型形状の実 は、 ウエハ上で端子を形成するプロセス・構造を取り入れてい 現のためには、製品設計と工法の最適化が必要不可欠でした。 ます。 コモンモードフィルタは端子が最低でも4端子となるた この工法とTDKの取り組みについて紹介します。 め、 チップ状態での端子形成は、 小型化するほど精度の点で課 ①コイル導体のファインパターン化 題が多くなります。 これに対して、 TCMシリーズではウエハ上 製品面積1/2という技術領域で既存製品と同等の特性を確保 で端子形成を行う工法を導入しているため、 薄膜工法ならでは するためには、既存製品の2倍以上の導体のファイン化と導体 の高精度な端子形成が可能となり、 既存製品と比べて製品面積 アスペクト比*2が必要となります。TDKの薄膜コモンモード 1/2以下という超小型化が実現できました。 バンプめっき TCM0605G TCM0403R-900 フィルタの過去の製品サイズと導体形状の推移を以下の表に 0.23 0.30 示します。この導体のファインパターン化は、HDDヘッド製造 このようにTDKでは、 先進の薄膜技術の応用により、 他社に先 0.30 における薄膜技術をベースとしつつ、電子部品に対応したフォ 面積 行した電子部品の小型化を進めてきました。 今後もこうした小 0.45 0.50 41.5% 0.65 トリソグラフィー技術の導入,電気めっき技術の改善などによ 型化への取り組みを継続・深化させつつ、 機器の小型・薄型・軽 り実現しました。 量化や高機能化に貢献するとともに、 環境負荷軽減にも積極的 ②ウエハ上で端子電極形成 に対応してまいります。 一般的な受動部品はチップ状態での端子形成が主流ですが、 図2 薄膜コモンモードフィルタTCM0403Rの特性例 バンプめっき ウエハ上にバンプ めっきを形成 バンプめっきはチップ化 時に端子電極となる 0 0 0 –5 –5 Insertion loss (dB) –10 Insertion loss (dB) 0.65 w(width) TCM0403R-900 –15 –20 –25 –15 –20 –30 –35 –40 –10 TCM0605G-900-2P TCM0403R-900-2P 1 10 100 Frequency (MHz) TCM0605G-900-2P TCM0403R-900-2P –25 1000 10000 –30 1 10 100 Frequency (MHz) 1000 10000 既存製品TCM0605G-900と比較して、製品面積は1/2以下という小型化を実現しつつ、 コモンモード特性、 ディファレンシャルモード特性ともに同等の特性を確保している。 20150605 2 Aspect rat w(w 主な特長・用途・仕様・電気的特性 《主な特長》 ● 業薄膜工法による業界最小クラスのコモンモードフィルタ ● 既存製品TCM0605Gと比較して同等の特性を実現 《主な用途》 スマートフォン、タブレットなどのモバイル機器のノイズ対策 《主な電気的特性》 Part No. TCM0403R-900-2P Common mode Cutoff DC resistance Rated Rated Insulation attenuation frequency [1 line] current voltage resistance [Scc21] (GHz)typ. (Ω) (mA)max. (V)max. (MΩ)min. 27.5dB typ.@850MHz 5.0 3.5±30% 35 5 10 Operating temperature range: –25 to +85°C 《周波数特性》 10000 Common mode Impedance (Ω) 1000 100 Differential mode 10 1 1 10 100 Frequency (MHz) 1000 10000 20150605 3