ALPS REPORT NO.136 - Alps Electric Co., Ltd.

■ 会社の概要
社 名
英文社名
本 社 (2009年8月31日現在)
アルプス電気株式会社
ALPS ELECTRIC CO., LTD.
〒145-8501
東京都大田区雪谷大塚町1番7号
TEL. (03) 3726-1211
(大代表)
(03) 5499-8026(IR部門直通)
1948年11月1日
23,623,571,711円
181,559,956 株
設 立
資本金
発行済株式総数
■ 株主メモ
事業年度
基準日
毎年4月1日から翌年3月31日
定時株主総会権利行使確定日
毎年3月31日
期末配当金支払株主確定日 毎年3月31日
中間配当金支払株主確定日 毎年9月30日
その他あらかじめ公告して定めた日
毎年6月下旬
電子公告により、
当社ホームページ
(http://www.alps.com/j/ir/index.html)
に
掲載します。
なお、
やむを得ない事由により、
電子公告ができない場合は、
日本経済新聞に
掲載します。
東京(第一部) 証券コード
6770
100株
定時株主総会
公告掲載
上場証券取引所
1単元の株式数
株主名簿管理人および
特別口座の口座管理機関
三菱UFJ信託銀行株式会社
同連絡先
三菱UFJ信託銀行株式会社 証券代行部
〒137-8081 東京都江東区東砂七丁目10番11号
ALPS R E POR T N O. 13 6
第 77 期 第 1 四半期報告書
アルプス電気株式会社 2009年 9月18 日発行
美
し
い
電
子
部
品
を
究
め
ま
す
ホームページ
http://www.tr.mufg.jp/daikou/
三菱UFJ信託銀行証券代行部
検索
【ご注意】
従来の株主名簿管理人取次所は株券電子化の実施をもっ
て廃止いたしました。
今後、株式に関するお手続き用紙のご請求は、下記フリー
ダイヤルでは特別口座に記録された株式のみのお取扱いとな
ります。通常の株式お手続き用紙のご請求は、お取引のある
証券会社にお問い合わせください。
■ 株式事務に関するお問い合わせ
お問い合わせ
0120-232-711
( 受 付 時 間:土・日・祝 祭日を除く平日 9:00 ∼ 17:00)
住所変更等諸届用紙ご請求
0120-244-479( 24時間受付)
製品写真:
「電界通信モジュール」
Message
株主の皆様へ
朝夕は過ごしやすくなり、日を追うごとに秋の深まりが感じら
路線、長大な橋梁の建設などにも巨額の資金が投じられてお
れるようになりましたが、株主の皆様におかれましては、ますま
り、既に相応の実質的な内需効果を上げ始めています。当社グ
すご健勝のこととお慶び申し上げます。この夏は、地震や集中
ループでは、このような中国経済の活性化の波に乗り遅れるこ
豪雨が全国各地で相次ぎましたが、普段からの心構えと備え
となく、地場企業への販路を拡大していかなければならないと
が必要だと、改めて認識した次第です。
考えております。
さて、昨年のリーマンショック以降、各国が経済危機に直面
最後に、去る6月末に行われました株主総会では、昨年下期
する中、欧米諸国における自動車購入補助政策や日本における
に売上が大幅に減少して大きな損失を計上し、通期でも赤字を
エコポイント制度など、さまざまな景気刺激策が主要国を中心
計上せざるを得なかったことを報告いたしました。それらの結
に打ち出され、市場環境は徐々に好転しております。しかしなが
果、株価の下落や、期末の無配に至ったことなどに対し、ご出席
ら、これら施策の効果は一時的なものに過ぎず、継続的に売上
された株主の皆様から、厳しいご意見やご質問を頂きました。
を確保していくためには予断を許さない状況が続くものと認識
2010 年度には利益が計上できる体質を目指し、現在進めてお
しております。
ります構造改革を不退転の覚悟でやり遂げていくことが不可欠
当エレクトロニクス業界におきましても、昨年後半から低迷を
であると考えております。
続けていた受注動向が最悪期を脱しつつも、需要の回復には
上半期も残りわずかとなりましたが、営業と技術が一体とな
いまだばらつきがあり、
依然として厳しい状況が続いております。
った新しい事業本部による拡販活動を推進し、業績を回復させ
当第1四半期につきましては、携帯機器用タッチパネルの増産
るための諸施策を加速させ、社員一同引き続き、売上と利益の
や緊急収益改善施策による固定費削減の推進などにより、業績
向上に取り組んでまいる所存です。
は底を打ち、回復の兆しを見せ始めているものの、売上・利益と
株主の皆様には、今後ともより一層のご支援とご鞭撻を賜り
もに前年同期実績には及んでおりません。下期以降の見通しに
ますよう、よろしくお願い申し上げます。
つきましても、慎重に見極めていく必要があると考えております。
世界経済の先行きは不透明なものの、中国では少し様子が
異なっております。家電下郷 (かきょう)といわれる家電購入者
2009 年9月
代表取締役社長
への補助金政策をはじめ、内需振興に向けた政府による積極
的な予算発動が経済活性化を後押しし、新幹線や一般鉄道
1
2
第1四半期連結財務ハイライト
第77期 第1四半期連結業績
■ 連結業績の概況
売上高
営業損益・営業損益率
(億円)
(億円)
2,000
(%)
120
1,682 1,703
9
107
1,779
1,597
1,500
80
6.4
6
73
62
3.5
40
3
8
500
0
0
-120
0.5
0
△8.5
05 / 6 06 / 6 07 / 6 08 / 6 09 / 6
四半期純損益
△91
-15
05 / 6 06 / 6 07 / 6 08 / 6 09 / 6
1 株当たり四半期純損益
(億円)
(円)
50
30
45
25.24
40
34
■ 電子部品事業
当エレクトロニクス業界においては、受注動向が最悪期
を脱しつつも、需要の回復にはばらつきがあり、依然厳し
い状況が続いています。緊急収益改善施策や構造改革の
実施によるコスト構造の見直しを行っており、業績は底を
打って回復の兆しを見せ始めていますが、売上・利益とも
に前年同期実績には及びませんでした。当事業の売上高
は 604 億円( 前年同期比 27. 3%減 )、営業損失は 51 億円
(前年同期における営業損失は 9 億円)となりました。
売上高(億円)
19.18
20
28
30
当第 1 四半期の売上高は、1,083 億円
(前年同期比 32.2%
減 )、営業損失 91 億円( 前年同期における営業利益は 8 億
円)、経常損失 94 億円
(前年同期における経常利益は 42 億
円)、四半期純損失は 84 億円( 前年同期における純利益は
6 億円)となりました。
4.3
1,083
1,000
2009 年 4月1日から6月30日まで
第76期
16.08
832
第1四半期
第77期
20
第1四半期
10
0
3.40
10
0
0
△84
△47.02
-60
05 / 6 06 / 6 07 / 6 08 / 6 09 / 6
総資産
05 / 6 06 / 6 07 / 6 08 / 6 09 / 6
純資産・自己資本比率
(億円)
(億円)
6,000
5,173
34.9
5,084
4,500
2,495
3,000
2,000
1,500
1,000
40
36.3 37.6
2,839 3,029 2,847
3,000
3,905
(%)
38.9
4,000
5,497 5,579
200
600
400
800
30
26.9
1,768
20
10
顧客先である自動車メー
カーの生産調整にようやく
緩和の兆しが見られるよう
になってきたものの、好調
な車 種が限定されるなど
全体の回復には結びつい
更なる拡販を目指す車載電装製品
ていません。そのため、当
事業本部では、今後の中核となりうる中・小型車種の採用
に向けた拡販活動を展開しています。
当事業本部の売上高は 237 億円となりました。
売上高(億円)
第77期
237
第1四半期
0
0
05 / 6 06 / 6 07 / 6 08 / 6 09 / 6
3
1,000
AUTO事業本部
(Automotive)
6
-100
604
0
05 / 6 06 / 6 07 / 6 08 / 6 09 / 6
0
50
100
150
200
250
300
4
Financial Section
第77期 第1四半期連結業績
HMI事業本部
(Home, Mobile & Industry)
■ 音響製品事業 携 帯電 話やノートP C、
液 晶 T V などの主要 機 器
における景況感は、底打ち
から回復基調にあり、当事
業本部では、携帯機器用タ
ッチパネルや液晶 T V 用デ
豊富なバラエティー
ジタルチューナ、ゲーム用
モジュール製品などの受注が堅調に推移しています。
当事業本部の売上高は 367 億円となりました。
売上高(億円)
第77期
367
第1四半期
0
100
200
300
400
MMP事業本部(Mechatronics, Materials & Process)
カーオーディオなど自動車
メーカー向け純正品について
は、装着率の高い高級車や大
型車から中・小型車へ新車需
要がシフトしたことにより、厳
リアビジョンナビX08シリーズ
しい状況で推移しました。一
方、市販市場向けには北米での CD プレーヤーの販売が増
加し、スピーカー、アンプなど車室内の音質を向上させるシス
テム商品が堅調に推移しました。しかし、世界的な市場低迷
と価格競争激化により、収益的には厳しい結果となりました。
国内では、新ナビゲーション製品の「 X08」などが高い評価を
得、好調な売れ行きを示しました。
以上の結果、当事業の売上高は 354 億円( 前年同期比
43.2%減 )、営業損失は 48 億円( 前年同期における営業利
益は 3 億円)となりました。
売上高(億円)
第76期
623
第1四半期
全製品の生産を担う新
しい体制でスタートした当
事 業 本部では、徹 底した
原価低減に向け、古川工場
( 宮城県大崎市 )を主軸と
する国内工場の整 備をほ
古川工場生産ライン
ぼ完了しました。
現在、受注が好調な携帯機器用タッチパネルの生産に
ついては、規模の拡大に向けた準備を進めています。ま
た、材料費の低減や諸経費の削減などにより、損益分岐
点を引き下げると同時に、収益拡大に向けた施策を着実
に進めています。
なお、当事業本部における外部売上高はありません。
本年4月に開始した構造改革により電子部品事業の部門は、AUTO・HMI・
MMPの3事業本部制へ改めています。
第77期
354
第1四半期
0
200
400
600
800
■ 物流・その他事業
主要顧客の電子部品業界
が最悪期を脱し、徐々に生産
回復が見られたものの、前年
同期と比べ取扱貨物量が大
幅に減少しました。
新サービスに取り組む
(株)アルプス物流
こうした中、売上の拡大、利
益の創出のために、事業体質強化やネットワークの拡充、新
サービスの創出に取り組みましたが、需要停滞による売上減
少の影響が大きく、減益となりました。
以上の結果、売上高は124 億円( 前年同期比 12.1%減 )
、
営業利益 7 億円
(同 47.4%減)となりました。
売上高(億円)
第76期
141
第1四半期
第77期
124
第1四半期
0
5
50
100
150
6
Financial Section
第77期 第1四半期連結業績
連結財務諸表
(要約)
連結貸借対照表
連結損益計算書
(2009年6月30日現在)
(単位:億円)
科 目
金 額
科 目
(単位:億円)
金 額
固
定
資
資
産
2,261
産
1,644
有形固定資産
1,116
流
動
負
債
1,549
固
定
負
債
588
負
債
合
計
2,137
(純 資 産 の 部)
株
無形固定資産
投 資その 他の資 産
資
産
合
計
(’08.4.1 ∼
’08.6.30)
(’09.4.1 ∼
’09.6.30)
前期比
増減
高
1,597
1,083
△513
科 目
売
動
当期
(負 債 の 部)
(資 産 の 部)
流
前期
137
391
3,905
主
資
上
売
価
1,379
985
△394
益
217
98
△119
販 売 費・一 般 管 理 費
209
190
△19
益
8
△91
△99
売
上
上
営
原
総
利
業
損
営
業
外
収
益
39
6
△33
営
業
外
費
用
5
9
3
益
42
△94
△137
利
益
2
4
2
損
失
41
9
△31
税 金 等 調 整 前 四半 期 純 損 益
3
△100
△103
本
1,171
評 価・換 算 差 額 等
△121
少 数 株 主 持 分
717
特
別
純 資 産 合 計
1,768
特
別
負 債・ 純 資 産 合 計
3,905
経
常
損
法 人 税・住 民 税・事 業 税
法
【流動資産】
売上の増加などにより、受取手形及び売掛金が増加しました
(前期末比134億円増)
。
【固定資産】
投資有価証券、建設仮勘定が増加しました
(前期末比18億円増)
。
人
税
等
調
整
5
10
5
額
△15
3
19
少
数
株
主
損
益
6
△30
△37
四
半
期
純
損
益
6
△84
△90
【営業損益】
為替相場が円高で推移した影響で、23億円の減益要因となりました。
また、これ以外では、電子部品事業における主力のスイッチやボリューム
【流動負債】
売上の増加に伴う仕入れの増加などにより、支払手形及び買掛金が
増加しました
(前期末比8億円増)
。
などのコンポーネント製品、音響製品事業におけるカーエレクトロニクス
製品の低迷などにより76億円の減益要因となりました。
【固定負債】
営業損益が赤字であることなどにより、長期借入金が増加しました
(前期末比224億円増)
。
7
8
第77期 第1四半期連結業績
最近のトピックス
Topics
2009年
連結キャッシュ・フロー計算書
6月
●
(単位:億円)
科 目
前期
当期
(’08.4.1 ∼
’08.6.30)
(’09.4.1 ∼
’09.6.30)
前期比
増減
当社社員が技能検定功労者として
職業能力開発協会より表彰
●
全社で“CO2 削減/ライトダウンキャンペーン”に
参加
(7月にも実施)
営業活動によるキャッシュ・フロー
△24
△45
△20
投資活動によるキャッシュ・フロー
△129
△78
50
財務活動によるキャッシュ・フロー
65
152
87
現金・現金同等物に係る換算差額
15
6
△8
当社社員が技能検定功労者として
職業能力開発協会より表彰
現 金・現 金 同 等 物 の 増 減 額
△73
35
108
6月11日、岩手県花巻市で開催された第 42 回東北職業能
現 金・現 金 同 等 物 の 期 首 残 高
791
683
△108
力開発促進大会にて、当社ものづくり研修所の社員が、職業
現金・現金同等物の四半期末残高
718
718
△0
●
第 7 6 回定時株主総会を開催
(注)下線のトピックスを以下に詳しくご報告しています。
能力開発協会より技能検定功労者として表彰されました。
これは、職業訓練・技能検定などを通じて、同協会事業の
発展に多大な貢献があった個人に贈られるもので、今回は東
北 6 県よりそれぞれ 6 名ずつ、36 名が表彰されました。
【営業活動によるキャッシュ・フロー】
営業活動による資金の減少は45億円となりました。主な要因は、売
上債権の増加112億円と仕入債務の増加81億円です。
受賞した社員が所属する、ものづくり研修所( 宮城県大崎
市)は、1988 年に社内の技能伝承と学習の場として開設され
ました。現在、国内外の社員はもとより、地域の協力会社社
員にも門戸を開放して、次世代のものづくりを担う人材育成に
【投資活動によるキャッシュ・フロー】
投資活動による資金の減少は78億円となりました。主な要因は、有
形及び無形固定資産の取得による支出82億円です。
【財務活動によるキャッシュ・フロー】
財務活動による資金の増加は152億円となりました。主な要因は、
長期借り入れによる収入266億円と短期借入金の純減少額105億円
です。
も尽力しています。
■ホームページ改訂のお知らせ
当社では、7月1日、2009 年度の
企業情報及びCSR活動、IR情報な
どを反映した改訂を実施しました。
各コンテンツのタイトルや階層の
見直しを行い、新たなコンテンツを
加えています。当社の事業内容や企
業文化をより深く理 解していただ
き、かつ各情報へ容易にアクセスし
ていただける構成を目指しています。
ホームページアドレス http://www.alps.com/j/
IR・財務情報 http://www.alps.com/j/ir/index.html
9
10
C SR
CSR
本社社員が多摩川河川敷美化活動に参加
環境月間にあたる 6 月
に、当社本社が所在する
東京都大田区では、自然
保護と美化を目的とした
多摩川河川敷美化活動を
推進しています。その一環
回収したゴミを「可燃」
「不燃」
「ビン・缶」に分別
として、毎年多摩川河川
敷 清掃が行われており、
今年は 6月14日(日) に実施されました。
当日は 40 を超える団体から約 1,300 名が集まり、当社本
社からは社員とその家族を含む 41 名が参加しました。午前
10 時から多摩川大橋にて開始宣言が行われ、約1時間かけ
て、多摩川大橋の大田区側からガス橋に向かって歩きなが
ら、ゴミや空き缶などを回収しました。
今後も地域に根差した活動を継続的に行い、環境に関す
明を使用しているかを実感することで、地球温暖 化問題
について考えることが目的とされています。
当社でも、これを機に省エネ意識を再認識するきっか
けとなるよう、本年のキャンペーン実施日である 6 月 21 日
( 日)と 7 月 7 日( 火 )の 2 日間、屋外サイン照明と屋内職
場内照明など、非常灯を除いたすべての照明を消灯しま
した。この結果、ライトダウンによる全社的な照明電 力
量の削減 効果は、約 4 6 0 kW h を実現しました。
「 チーム・マイナス 6%」に登録している当社は、1 人 1 日
1 k g C O 2 削減を目標にしており、今後も社員一人ひとり
が地 球 温 暖 化防止に向けて積極的に取り組めるように
支援していきます。
※「 チーム・マイナス 6 %」:京都 議 定 書に定められた、温 室 効 果
ガス排出量削 減目標「 19 9 0 年 時と比 較して 6 % 削 減 」を達 成
するための国民的プロジェクト。チーム員として参加した個人・
団体は節水や温度設定などあらかじめ定められた6 つのアクション
プランに基づき行動する。
る意識を高める取り組みを展開していきます。
全社で“CO 2 削減 /ライトダウンキャンペーン”に参加
環 境省などが 推進する国民
1994年に、
社内公募で選ばれた当社の環境シン
運動「チーム・マイナス 6 % 」で
ボルマークです。
「大気」
「水」
「土壌」
という環
は、2 0 03 年から地 球 温 暖 化
境の重要な3要素を表現しています。
防止のため、 C O 2 削減 / ライ
トダウンキャンペーン を展開
しています。
このイベントは、夏至の日を
中心に夜 8 時から 10 時までの
2 時間、全 国のライトアップ 施
設、ネオン、各家庭の明かりを
当社の取り組みは今年で4回目
一 斉に消灯し、普段いかに照
11
12
Cover Story
アルプスの注力する技術・製品
∼表紙の写真から∼
期待が高まる電界通信のアプリケーション
電界通信モジュール
電界通信による
ホームセキュリティ
13
電界通信による
音楽再生
当社では数年前より、人体に電界信号を与えて通信を行う
一方、電界方式は、誘電体である人体に電界信号を与えて通
電界通信の研究開発を始めており、その実用化に向けたモジ
信する方法であり、通信可能な電界の広がりは体の表面から
ュール製品の開発を進めています。
数センチメートルの範囲であることから、靴や服などの上から
電界通信は人体通信ともいわれ、人体を通信媒体として利
でも通信が可能です。このため、現在は電界方式を中心に人
用する通信方式のことを指します。人体通信はケーブルが不
体通信の実用化が始まろうとしています。
要になるという大きなメリットがあり、例えば脈拍や血圧など
当社では、電界方式による通信の具体例として、ポータブ
の生体情報を扱う医療現場で大きな期待が持たれています。
ルプレーヤーの音楽を、人体を通じてスピーカーで再生すると
また、従来の無線通信では、たとえ微弱な電波であっても通
いうシステムを顧客を中心にご紹介しました。これは、ポータ
信データが傍受される恐れがありましたが、人体通信は人体
ブルプレーヤーの音声データを送信機モジュールから送信
の近辺の範囲で通信を行うので、他の無線に比べてデータが
し、人体を介して受信機モジュールで受信した信号を処理し
漏えいしにくいのです。そのため、セキュリティ強化の観点か
て、スピーカーから再生するというものです。
らも注目されており、さらに他の無線に比べて消費電力が少
当社では今後、この技術を用いてノートPC や携帯電話、
ないため、省エネにも貢献します。
ホームセキュリティ、自動車などの個人認証への応用展開を
これまで開発されてきた人体通信には電流方式と電界方
考えています。
式がありますが、電流方式は体に微弱な電流を流して通信す
なお、10 月 6 日より千 葉・幕 張 メッセにて開 催され る
る方法で、データ信号の送信機と受信機を直接肌に密着させ
「 CEATEC JAPAN 2009 」では、当社ブースにおいて電界
る必要があったり、汗などの影響で通信が不安定になったり
通信モジュール製品を参考出品し、新しいデモンストレーショ
するという問題があり、なかなか実用化が進んでいません。
ンを行う予定です。
14