アレグロ製品 新製品変更推奨リスト Family 既存製品 定格 A3982SLB-T Bipolar Stepping Motor Driver A3983SLP-T A3984SLP-T A4983SET-T 35V/2A 代替推奨新製品 備考 A4984SLP-T A4984SES-T A4984SET-T OCP追加 A4984SLP-Tはピンコンパチ OCP追加 A4982SLP-T ピンコンパチ OCP追加 A4988SET-T ピンコンパチ OCP追加 ※ 赤字が本技術資料記載の製品です。 既存製品の終息情報はありません(2011年9月現在)。 代替推奨新製品は過電流保護機能を追加し、安全性を向上させております。 詳細な技術資料については、担当営業へご連絡お願い致します。 承 認 審 査 作 成 アプリケーション・ノート VER1.4HP 名 日 付 20 11 (平成2 3 )9 月 担 当 技 術 本 部 ・ P P D 事 業 部 モ ー タ 技 術 2 グ ル ー プ A4983SET−T 称 日 本資料は、アレグロマイクロシステムズ社製マイクロステッピング対応モータ ドライバ A4983SET-T に関する製品の特徴、ご使用方法等をまとめたものです。 本資料は、アレグロマイクロシステムズ社からの情報を日本語のアプリケーショ ンとして作成したものです。 最新の情報に関しては、弊社担当部門まで問い合わせ願います。 A4983SET-T の後継新製品としまして、ピンコンパチで OCP 機能が追加された A4988SET-T をリリースしております。併せてご検討下さい。 1. はじめに :P2 2. 特徴 :P3 3. 製品仕様 :P3 4. 外形図 :P5 5. 内部ブロック図&Pin配列 :P6 6. 応用回路例 :P8 7. 機能説明 :P10 8. アプリケーション情報 :P15 9. ステップシーケンス :P17 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 1/23 1. はじめに A4983SET-T は、ステッピングモータを駆動するシーケンサ機能付モータドライバです。 A4983SET-T は、バイポーラ駆動方式のステッピングモータドライバで、フルステップ(2 相励磁方式)・ハーフステップ(1−2 相励磁方式)・4 分割マイクロステップ(W1−2 相励磁 方式)・8 分割マイクロステップ(2W1−2 相励磁方式)・16 分割マイクロステップ(4W1−2 相励磁方式)に対応できます。 また、出力は 35V、±2.0A まで対応可能となっています。 A4983SET-T は、固定 OFF 時間方式の電流制御機能を有しています。 この電流制御機能は、SLOW DECAY(低速減衰モード)・MIXED DECAY(高速/低速混合 の減衰モード)対応となっております。 A4983SET-T は、シーケンサによって、動作設定が容易にできるようになっております。 STEP 端子にパルスを 1 つ入力するだけで、モータのステップ角が 1 つ進みます(励磁方式 は MS1、MS2、MS3 の論理によります)。 すなわち、A4983SET-T には励磁シーケンス・高周波制御線およびプログラムのための複雑 なインターフェースが必要ありません。 A4983SET-T は、複雑なマイクロプロセッサが使用不可もしくは過負荷になるようなアプリ ケーションに最適なインターフェースとなっています。 A4983SET-T ではチョッピング制御が自動的に行われます。すなわち、電流減衰モード (SLOW DECAY、MIXED DECAY)が自動的に選択されます。 STEP 信号が入力されたときに、モータの各相の電流において、STEP 信号が入力される前 の電流より STEP 信号が入力された後の電流の方が高いか低いかで電流減衰モードを選択しま す。 STEP 信号が入力される前の電流よりも STEP 信号が入力された後の電流のほうが高い場合、 電流減衰モードは「SLOW DECAY」に設定されます。 STEP 信号が入力される前の電流よりも STEP 信号が入力された後の電流のほうが低い場合、 電流減衰モードは「MIXED DECAY」になります。 A4983SET-T では、OFF 期間の最初の 31.25%が FAST DECAY、残りの 68.75%が SLOW DECAY に設定されます。 この電流減衰制御により、モータの振動を減らし、ステップ角の精度を上げ、損失の改善を 実現しています。 A4983SET-T は、内部の同期整流回路により PWM 動作における損失を改善しています。 A4983SET-T は、内部保護回路として、ヒステリシス付過熱保護回路・低電圧保護回路(UVLO 回路)・貫通電流防止回路を有しています。 また、電源立ち上げに際し特別な立ち上げシーケンスはありません。 A4983SET-T のパッケージは、裏面に放熱用シンク Tab を有した 28 ピン MLP/QFN パッケー ジ、高さは 1mm(max)です。 このパッケージは、鉛フリーで、100%スズメッキをしているリードフレームです。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 2/23 2. 特徴 ・ 低 ON 抵抗出力(source 側 0.45Ω、sink 側 0.37Ω) ・ 自動電流減衰モード選択/検知機能搭載 ・ 低損失同期整流内臓 ・ 電源電圧低下検出保護機能(UVLO)、過熱保護機能搭載(TSD) ・ 出力ドライバにおける貫通電流を防ぐデッドタイム機能搭載 3.製品仕様 3−1 絶対最大定格(Ta=25℃) 項 目 記 号 規 格 値 単位 主電源電圧 VBB 35 V ±2.0 A Continuous 出力電流(*1) Iout ±2.5 A Duty Cycle<20% ロジック入力電圧 VIN -0.3∼7.0 V 検 出 電 圧 VSENSE 0.5 V REF入力電圧 VREF 4 V パッケージパワー損失(*2) PD 3.91 W 動 作 周 囲 温 度 TA 150 ℃ ジャンクション温 度(*3) TJ −20∼85 ℃ 保 存 温 度 Tstg −55∼150 ℃ (*1) (*2) (*3) (*4) 備 考 (*4) 出力電流は周囲温度、放熱状態によって制限をうけることがあります。 いかなる使用条件下においても、決して、指定された定格電流および最大接合部 温度(TJ=+150℃)を越えないようにして下さい。 周囲温度(Ta)が+25℃以上の場合は、-31.25mW/℃((JEDEC 基準 4 層基板(High K) 使用時)にてディレーティングが必要となります。 ジャンクション温度(TJ)が+150℃を越すような異常条件下で使用した場合、デ バイス内のサーマルシャットダウン回路が動作しますが、このような条件下での 使用は、極力、避けて下さい。 JEDEC 基準 4 層基板(High K)にて測定。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 3/23 3−2 電気的特性(特に断りなき場合、Ta=25℃、VBB=35V) 出力部(Output Drivers) 特性項目 Characteristics 記号 Symbol 主電源電圧範囲 VBB Logic電源電圧範囲 VDD MOSFET ON抵抗 MAX 単位 Units 試験条件 Test Conditions 8 - 35 V 動作状態 0 - 35 V スリープモード - 5.5 V 0.35 0.45 Ω Source, Iout = -1.5A - 0.3 0.37 Ω Sink, Iout = 1.5A - - 1.2 V Source, Iout = -1.5A - - 1.2 V Sink, Iout = 1.5A - - 4 mA Fpwm < 50KHz - - 2 mA 動作状態、出力OFF時 - - 10 μA スリープモード - - 8 mA Fpwm < 50KHz - - 5 mA 出力OFF時 - - 10 μA スリープモード VIN(1) 0.7VDD - - V VIN(0) VIN(0) - - 0.3VDD V VIN(1) IIN(1) -20 <-1.0 20 μA VIN=0.7VDD VIN=0.3VDD IBB ロジック電源電流 TYP - VF 主電源電流 MIN 3 RDSON FETボディーDi順電圧 定格 Limits IDD 制御部(Control Logic) Logic入力電圧 Logic入力電流 IIN(0) -20 <1.0 20 μA マイクロステップセレクト2 MS2 - 100 - kΩ マイクロステップセレクト3 MS3 - 100 - kΩ Logic入力電圧ヒステリシス Vhys(IN) 150 300 500 mV ブランキング時間 tBLANK 700 1000 1300 ns 20 30 40 μs OSC > 3V 23 30 37 μs ROSC=25KΩ 4 V 固定OFF時間 tOFF REF入力電圧範囲 VREF 0 - REF端子入力電流 IREF -3 - 3 μA - - ±15.0 % VREF = 2V, %ITreipMAX=38.27% - - ±5.0 % VREF = 2V, %ITreipMAX=70.71% VREF = 2V, %ITreipMAX=100.00% 電流トリップレベルエラー (※3) errI - - ±5.0 % クロスオーバーデッドタイム TDT 100 475 800 ns 過熱保護動作温度 TJ - 165 - ℃ 過熱保護ヒステリシス TJHYS - 15 - ℃ 低電圧保護動作電圧 UVLO 2.35 2.7 3 V 低電圧保護ヒステリシス UVHYS 0.05 0.1 - V 保護機能(Protection) VDD電圧、立ち上がり時 ※1:表中の負電流は製品端子から流れ出る電流を示しております。 ※2:Typ データは設計情報として使用して下さい。 ※3:IProg=%ITreipMAX×ITreipMAX の時、errI=(ITrip-IProg)/IProg A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 4/23 4.外形図 4−1 28 ピン QFN/MLP パッケージ (28 ピ ン QFN/MLP) 外形図 単位:mm 参考ランド形状 リード間隔の許容誤差は累積とはなりません。 3,18 番端子は、裏面の放熱用ヒートシンクパッドとは絶縁されています。 端子部材質:銅 端子部メッキ処理:Sn100%(ただし、側面はメッキ処理されておりません) A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 5/23 5. 内部ブロック図&Pin 配列 5−1 内部ブロック図 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 6/23 5−2 Pin 配列 記号 Pin番号 1 OUT2B 2 ENABLE 3 GND 4 CP1 5 CP2 6 VCP 7 NC 8 VREG 9 MS1 10 MS2 11 MS3 12 RESET 13 ROSC 14 SLEEP 15 VDD 16 STEP 17 REF 18 GND DIR 19 NC 20 OUT1B 21 VBB1 22 SENSE1 23 OUT1A 24 NC 25 OUT2A 26 SENSE2 27 VBB2 28 機能 出力端子2B ENABLE/DISABLE切り替え入力端子 グランド端子 チャージポンプ汲み上げ用端子1 チャージポンプ汲み上げ用端子2 チャージポンプ電圧端子 ノンコネクション 内部レギュレータ出力端子 励磁方式設定端子1 励磁方式設定端子2 励磁方式設定端子3 リセット入力端子 固定OFF時間設定端子 スリープ入力端子 ロジック電源入力端子 励磁信号入力端子 電流検出基準電圧入力端子 グランド端子 回転方向入力端子 ノンコネクション 出力端子1B 主電源入力端子1 電流検出端子1 出力端子1A ノンコネクション 出力端子2A 電流検出端子2 主電源入力端子2 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 7/23 6. 応用回路例 LOGIC SUPPLY LOAD SUPPLY C4 VDD CP1 C3 CP2 VCP VBB1 R2 VBB2 C2 C1 REF C6 C7 OUT1A マイクロプロセッサ R3 M STEP DIR RESET MS1 MS2 MS3 SLEEP ENABLE OUT1B OUT2A OUT2B VREG SENSE1 ROSC Rosc SENSE2 P GND RS CS RS CS Rosc : 30kΩ Rs : 0.47Ω R2 : 22kΩ R3 : 15kΩ C5 Cs : 0.1μF C1 : 0.22μF C2 : 100μF/50V C3 : 0.1μF/50V C4 : 0.1μF/50V C5:0.22μF/25V C6 : 0.22μF C7 : 10μF/10V ☆特に VDD ラインのノイズに注意して下さい。 VDD ラインには必ず製品の直近に電解コンデンサ CA1 およびバイパスコンデ ンサ CA2 を挿入して下さい。 CA2 および CB2 は、PCB による配線インピーダンス(スルーホールなども 含む)をできるだけ避けるために、製品と同一面に挿入されることが望ましい です。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 8/23 ☆検出抵抗 RS 部には電流制御時に過大なスパイク電圧(電流)が発生するこ とがあります。 スパイク電圧が大きい場合、スパイク電圧除去用のコンデンサを付加して下さい。 このコンデンサは周波数特性の良いものをご使用ください。また製品に直近かつ製 品と同一面内に実装してください。容量値に関しましては、スパイク電圧を確認し たうえでご判断ください(目安としましては 0.1μF 程度です) ☆GND パターンの引き回しには十分に注意して下さい。 製品 GND 部から VDD 系 GND(S−GND)と VBB 系 GND(P−GND)を分ける(共 通インピーダンスを出来るだけ小さくする)とノイズ低減効果があります(詳 しくは P15 の参考パターン図を参照ください)。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 9/23 7. 機能説明 ① デバイス動作 A4983SET-T は、ステッピングモータを駆動するシーケンサ機能付マイクロステッピ ング対応モータドライバです。 このシーケンサにより、モータを少ない信号線で簡単に制御できます。 A4983SET-T は、バイポーラ駆動方式のステッピングモータドライバで、フルステッ プ(2 相励磁方式)・ハーフステップ(1−2 相励磁方式)・4 分割マイクロステップ(W1 −2 相励磁方式)・8 分割マイクロステップ(2W1−2 相励磁方式)・16 分割マイクロス テップ(4W1−2 相励磁方式)に対応できます。 A4983SET-T に搭載されている 2 つの H ブリッジ(全て N 型チャネル DMOSFET で構 成されています)のいずれも OFF 時間固定式の PWM 制御回路により電流制御されてい ます。 各ステップにおける H ブリッジに流れる電流は、外付けの電流検出抵抗(Rs)、リファ レンス電圧(VREF)およびシーケンサからの信号を受けた DAC(DA コンバータ)の出力電 圧によって決まります。 電源立ち上がり時もしくはリセット時において、シーケンサにより、各相の DAC 出力 と電流の方向は初期の Home State に設定されます。 また両相ともに、電流制御モードは Mixed Decay に設定されます。 STEP 端子に信号が 1 パルス入力されると、シーケンサにより自動的に DAC 出力電圧 が次の電圧レベルに移行します。 励磁モードは、下表に示されている MS1、MS2 および MS3 のロジック信号によって 設定されます。 DAC 出力電圧のレベルが 1 つ前の DAC 出力電圧のレベルよりも低い場合、H ブリッ ジの電流減衰モードは Mixed Decay に設定されます。 DAC 出力電圧のレベルが 1 つ前の DAC 出力電圧のレベルよりも高いかもしくは等し い場合、H ブリッジの電流減衰モードは Slow Decay に設定されます。 この自動電流減衰モード選択/検知機能により、モータの逆起電圧による電流波形の 歪を抑えることができ、マイクロステッピングの動作を正確なものにしています。 A4983SET-T の励磁方式 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 10/23 ② Reset Input(RESET) RESET 入力(Active Low)はシーケンサを Home Stateに設定します。また、出力 DMOSFET を全て OFF にします。 このとき、STEP 入力は RESET 端子に High が入力されるまで無視されます。 ③ Step Input(STEP) STEP 入力の立ち上がりエッジによって、シーケンサが動作し、モータを 1 ステップ先に進ませます。 シーケンサは、DAC への入力信号と各ブリッジに流れる電流の方向を制御します。 1 ステップの大きさは、①の表に示されている MS1、MS2、MS3 のロジック信号の結合 された状態で決定されます。 ④ Microstep Select(MS1/MS2/MS3) MS1、MS2 および MS3 の入力は、①の表に示されるような励磁方式の選択を行います。 MS2、MS3 は、100kΩでプルダウンされています。 入力論理の組み合わせの変更は、STEP 入力信号が入るまで無効です。 ⑤ Direction Input(DIR) DIRECTION の入力論理は、モータの回転方向を決めるものです。DIR 信号が L の時、 回転方向は CCW となります。一方 DIR 信号が H の時、回転方向は CW となります。 DIR 信号の変化は、STEP 入力信号が入るまで無効です。 ⑥ Internal PWM Current Control 各 H ブリッジは、固定 OFF 時間方式の PWM 電流制御回路で制御されます。 この固定 OFF 時間方式の PWM 電流制御回路は、モータへの負荷電流を設定された値 (ITRIP)に制限します。 最初に、対角に位置する SINK と SOURCE の DMOSFET が ON となり、電流がモータを 通って RS に流れます。 電流検出抵抗による電圧ドロップが DAC の出力電圧と等しくなった時、電流検出コン パレータにより PWM ラッチが RESET されます。 これにより、SLOW-DECAY モードの場合は、SOURCE ドライバが OFF となり、FAST もしくは MIXED-DECAY モードの場合は、SINK と SOURCE のドライバが OFF となりま す。 電流制限の最大値は RS と VREF 端子に入力された電圧と IC 内部に設定された分割比で決 定されます。 ITRIPMAX=VREF/8RS 電流検出コンパレータに対し、DAC 出力は VREF 出力を正確な間隔で減少させます。 (17 ページの表内のそれぞれの Step での %ItripMax を参照ください) ITRIP = (%ITRIPMAX/100)×ITRIPMAX SENSE 電圧の定格である 0.5V は超えないようにしてください。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 11/23 ⑦ Fixed Off-Time 内部 PWM 電流制御回路は、ワン・ショットを用いて出力の OFF を保持する時間を制御 しています。 このワン・ショットの時間(toff)は、外付け抵抗(R1)を直列に ROSC 端子-GND 間に接続す ることによって決定されます。 もし ROSC の端子に 3V 以上の電圧を入力する場合、Fixed Off-Time は 30μsec になります。 このような使い方をする場合、ROSC 端子は VDD 端子に接続することをお薦めします。 Fixed Off-Time は下記の式で表されます toff [μs] = ROSC/825 ⑧ Blanking この機能は、出力が内部電流制御回路によってスイッチングしている時に電流検出コン パレータをブランクします。 コンパレータをブランクすることによって、クランプダイオードのリカバリー電流やス イッチング過渡現象時の負荷容量成分によるコンパレータの誤検知を防ぐことができま す。 ブランキング時間(tBLANK)は、下記で与えられます。 tBLANK = 1μs ⑨ チャージポンプ(CP1 and CP2) チャージポンプは VBB よりも高い電圧を作るための回路です。 この電圧で出力ソース DMOSFET を駆動します。 0.1μF のセラミックコンデンサを CP1-CP2 間に装着してください。 また、同様に 0.1μF のセラミックコンデンサを VCP-VBB 間に装着してください。 このコンデンサは出力ソース DMOSFET を駆動するための電源として必要になります。 ⑩ VREG VREG は出力シンク DMOSFET を駆動するために使用されます。 VREG 端子は 0.22μF のコンデンサでグランドに対してデカップリングする必要があり ます。 VREG は内部で監視されており、異常状態(VREG が低い状態)の場合には出力の DMOSFET が DISABLE(出力 OFF 状態)になります。 ⑪ Enable Input(ENABLE) ENABLE の入力で、全ての FET の出力をオンもしくは、オフします。 HIGH を入力することにより、全ての出力はディスエーブルとなります。 LOW を入力することにより、全ての出力がイネーブルになります。 またこの時、シーケンサへの INPUT(STEP,DIR,MS1)は全てイネーブルのロジックとは 独立しています。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 12/23 ⑫ Shutdown 異常状態(過度のジャンクション温度もしくはチャージポンプ低電圧時)の場合、そ の異常状態が解除されるまで、デバイスの出力 DMOSFET が DISABLE(出力 OFF 状態)と なります。 電源立ち上げ時および VDD 低電圧時には、UVLO 回路により出力が DISABLE (出力 OFF 状態)となり、シーケンサは HOME にリセットします。 ⑬ SLEEP MODE(SLEEP) SLEEP モードは消費電力を低減させます。また、SLEEP 状態においては、DMOSFET 出力、内部レギュレータ、チャージポンプを含め、内部回路の多くが DISABLE となりま す。SLEEP 端子に LOW を入力することで、SLEEP モードになります。 HIGH を入力することで、通常動作を行い、HOME ポジションからデバイスがスタート します。 HIGH を入力することでスリープモードが解除になります。スリープモード解除後は STEP 信号入力を 1msec 待つ必要があります。この 1msec という時間はチャージポンプが安 定動作に入るまでの時間となっています。 ⑭ Mixed Decay Operation H ブリッジはシーケンサに従って自動的に MIXED DECAY で動作します。 MIXED DECAY で動作する場合において、出力電流がトリップポイント(Itrip)に達した 後、FAST DECAY に移行し、Fixed Off Time の 31.25%の期間 FAST DECAY を維持します。 FAST DECAY が終了すると、残りの Fixed Off Time(Fixed Off Time の 68.75%)で SLOW DECAY を維持します。 ⑮ 同期整流(Synchronous Rectification) ドライバが内部 PWM チョッピングによって Off 時間設定されているとき、負荷電流 はシーケンサによって設定されている電流回生モード(Slow, Mixed Decay Mode)で電流回 生を行います。 同期整流の特徴は、電流回生期間に適切な DMOSFET を ON させることです。 すなわち、DMOSFET のボディダイオードに電流を流す代わりに、低 Rdson である DMOSFET 自身に電流を流します。 これにより、ドライバの損失を低減させ、外付けショットキーダイオードを削減する ことができます。 出力電流が 0 になることを検知して同期整流を OFF にすることで、出力電流が逆方 向に流れることを防いでいます。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 13/23 ⑯ Timing Requirements (Ta=+25℃、VDD=5V、論理レベルは VDD と GND です) ⑰ 真理値表 Direction Enable X X X H H L L L ※X=Don't Care Sleep L H H H OUTA Hi-Z Hi-Z H L OUTB Hi-Z Hi-Z L H Function スリープモード ディスエーブルモード CW(Forward) CCW(Reverse) A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 14/23 8.アプリケーション情報 ① Layout プリント基板の配線は GND 領域を強化するようにして下さい。 電気的および熱的な動作を最適にするために、デバイスはプリント基板の上に直 接はんだ付けしてください。 電源供給端子(VBB 端子)は電解コンデンサ(47μF 以上のものが望ましい)でデ カップリングしてください。またその電解コンデンサはなるべくデバイスの近くに装 着してください。 高い dv/dt スイッチング時における容量性結合による問題を避けるために、H ブリ ッジの出力ラインと敏感なロジック入力ラインは離すように配線してください。通常、 LOGIC 入力はノイズを回避するために、低いインピーダンスでドライブして下さい。 A4983SET-T の参考パターン図を下図に示します。 A4983SET-T 参考パターン図 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 15/23 ② Grounding デバイスの GND に 1 点 GND 配線になるようにして下さい。 28 ピン QFN/MLP については、GND 端子(3,18 番ピン)が放熱用ヒートシンクパッ ドと絶縁されていますので、パッケージの外部(PCB 上)で接続するようにしてくだ さい。 ③ Current Sensing 出力電流レベルの検出における、GND 配線での電圧降下による誤差を最小限にす るために、電流検出抵抗はデバイスの 1 点 GND に独立で接続してください。 また、配線はなるべく短くしてください。検出抵抗値が低いものに関しては、プリ ント基板配線抵抗による電圧降下が大きな割合を占めるため、プリント基板上での配 線引き回しを考慮する必要があります。 ソケットの使用は、その接触抵抗により検出抵抗のバラツキの原因ともなりますの で避けてください。 電流検出抵抗の値としまして、下記の式を満たす値を推奨します。 RS=0.5/ITRIPmax ④ Thermal Protection ジャンクション温度が 165℃(Typical)に達すると、保護回路により、全てのドライ バが OFF になります。これは、接合部温度の超過からドライバを保護するためのもの で、出力回路のショートは保護できません。過熱保護回路はおよそ 15℃のヒステリシ スを持っております。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 16/23 9.ステップシーケンス A4983SET-T DIR=H HOME POSITION→ A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 17/23 ① Full Step Operation ※ 出力電流のベクトル合成値はいずれのステップにおいても 100%となります。 ※ OUTA→OUTB に電流が流れている時をプラスとしています。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 18/23 ② Half Step Operation IOUT2A ※ OUTA→OUTB に電流が流れている時をプラスとしています。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 19/23 ③ Quarter Step Operation IOUT2A ※ OUTA→OUTB に電流が流れている時をプラスとしています。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 20/23 ④ Eighth Step Operation IOUT2A ※ OUTA→OUTB に電流が流れている時をプラスとしています。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 21/23 ⑤ Sixteenth Step Operation IOUT2A ※ OUTA→OUTB に電流が流れている時をプラスとしています。 A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 22/23 * 使用上の注意 CAUTION/WARNING 本書に記載されている動作例及び回路例は、使用上の参考として示したもので、これらに起因する弊社もしくは第 三者の工業所有権、知的所有権、その他の権利の侵害問題について弊社は一切責任を負いません。 Application and operation examples described in this document are quoted for the sole purpose of reference for the use of the products herein and Sanken can assume no responsibility for any infringement of industrial property rights, intellectual property rights or any other rights of Sanken or any third party which may result from its use. 弊社は品質、信頼性の向上に努めていますが、半導体製品では、ある確率での欠陥、故障の発生は避けられません。 部品の故障により結果として、人身事故、火災事故、社会的な損害等を発生させないよう、使用者の責任に於いて、 装置やシステム上で十分な安全設計及び確認を行ってください。 Although Sanken undertakes to enhance the quality and reliability of its products, the occurrence of failure and defect of semiconductor products at a certain rate is inevitable. Users of Sanken products are requested to take, at their own risk, preventative measures including safety design of the equipment or systems against any possible injury, death, fires or damages to the society due to device failure or malfunction. 本書に記載されている製品は、一般電子機器(家電製品、事務機器、通信端末機器、計測機器など)に使用されること を意図しております。ご使用の際は、納入仕様書に署名または押印の上ご返却をお願いいたします。 高い信頼性が要求される装置(輸送機器とその制御装置、交通信号制御装置、防災・防犯装置、各種安全装置など)へ の使用をご検討の際には、必ず弊社販売窓口へご相談及び納入仕様書に署名または押印の上、ご返却をお願いいた します。 極めて高い信頼性が要求される装置(航空宇宙機器、原子力制御、生命維持のための医療機器など)には弊社の文書に よる合意が無い限り使用しないでください。 Sanken products listed in this document are designed and intended for the use as components in general purpose electronic equipment or apparatus (home appliances, office equipment, telecommunication equipment, measuring equipment, etc.). Please return to us this document with your signature(s) or seal(s) prior to the use of the products herein. When considering the use of Sanken products in the applications where higher reliability is required (transportation equipment and its control systems, traffic signal control systems or equipment, fire/crime alarm systems, various safety devices, etc.), please contact your nearest Sanken sales representative to discuss, and then return to us this document with your signature(s) or seal(s) prior to the use of the products herein. The use of Sanken products without the written consent of Sanken in the applications where extremely high reliability is required (aerospace equipment, nuclear power control systems, life support systems, etc.) is strictly prohibited. 弊社のデバイスをご使用、またはこれを使用した各種装置を設計する場合、定格値に対するディレーティングをど の程度行うかにより、信頼性に大きく影響いたします。 ディレーティングとは信頼性を確保または向上するため、各定格値から負荷を軽減した動作範囲を設定したり、サ ージやノイズなどについて考慮することを言います。ディレーティングを行う要素には、一般的には電圧、電流、 電力などの電気的ストレス、周囲温度、湿度などの環境ストレス、半導体デバイスの自己発熱による熱ストレスが あります。これらのストレスは、瞬間的数値あるいは最大値、最小値についても考慮する必要があります。 なおパワーデバイスやパワーデバイス内蔵 IC は、自己発熱が大きく接合部温度(Tj)のディレーティングの程度が、 信頼性を大きく変える要素となりますので充分にご配慮ください。 In the case that you use our semiconductor devices or design your products by using our semiconductor devices, the reliability largely depends on the degree of derating to be made to the rated values. Derating may be interpreted as a case that an operation range is set by derating the load from each rated value or surge voltage or noise is considered for derating in order to assure or improve the reliability. In general, derating factors include electric stresses such as electric voltage, electric current, electric power etc., environmental stresses such as ambient temperature, humidity etc. and thermal stress caused due to self-heating of semiconductor devices. For these stresses, instantaneous values, maximum values and minimum values must be taken into consideration. In addition, it should be noted that since power devices or IC’s including power devices have large self-heating value, the degree of derating of junction temperature (Tj) affects the reliability significantly. 本書に記載されている製品のご使用にあたって、これらの製品に他の製品・部材を組み合わせる場合、或いは、こ れらの製品に物理的、化学的その他何らかの加工・処理を施す場合には、使用者の責任に於いてそのリスクをご検 討の上行ってください。 When using the products specified herein by either (i) combining other products or materials therewith or (ii) physically, chemically or otherwise processing or treating the products, please duly consider all possible risks that may result from all such uses in advance and proceed therewith at your own responsibility. 本書に記載された製品は耐放射線設計をしておりません。 Anti radioactive ray design is not considered for the products listed herein. 弊社物流網外での輸送、製品落下等によるトラブルについて弊社は一切責任を負いません。 Sanken assumes no responsibility for any troubles, such as dropping products caused during transportation out of Sanken’s distribution network. A4983SET-T 技 術 資 料 サンケン電気株式会社 23/23