spi-800xtwseries an jp

SPI-8000TW
アプリケーション ノート
2出力面実装型スイッチングレギュレータ IC
SPI-8000TW シリーズ
第3版
2013 年 11 月
サンケン電気株式会社
EI-00070
1/22
SPI-8000TW
--- 目次 ---
1.概要
1-1
特長
----------
3
1-2
主な用途
----------
3
1-3
種別
----------
3
2-1
外形図
----------
4
2-2
定格
----------
4
2-3
回路図
----------
8
3-1
PWM 出力電圧制御
----------
11
3-2
過電流・過熱保護
----------
12
2.製品仕様
3.動作説明
4.各端子の説明
4-1
端子記号、名称
----------
13
4-2
端子機能説明
----------
13
5.使用に際しての注意事項
5-1
外付部品選定上の注意
----------
15
5-2
パターン設計上の注意
----------
18
5-2
動作上の注意
----------
18
6-1
ソフトスタート
----------
19
6-2
出力 ON・OFF 制御
----------
19
6-3
出力電圧可変
----------
20
6-4
逆バイアス保護
----------
20
6-5
動作周波数範囲
----------
20
7.用語解説
----------
21
8.使用上の注意
----------
22
6.応用
EI-00070
2/22
SPI-8000TW
1.概要
SPI-8000TW シリーズ(SPI-8001TW、SPI-8002TW、SPI-8003TW)は、降圧スイッチングレギュレータに必
要な機能と過電流及び過熱に対する保護機能を持ったレギュレータ IC です。2 つの 1.5A 可変出力を面実
装パッケージに実装し、小型・高効率なスイッチングレギュレータが実現できます。
●1-1
特長
・小型パッケージ、高出力電流 1.5A
HSOP-16Pin 面実装パッケージで、出力電流は各出力最大 1.5Aです。
・高効率
・ 80% TYP(SPI-8001TW)、78%(SPI-8002TW)
・ 78%(SPI-8003TW)
* 条件:VIN=15V/IO=0.5A
* 条件:VIN=14V/IO=0.5A
・出力電圧可変
1~16V(SPI-8001TW)、1~24V(SPI-8002TW、SPI-8003TW)
・低電圧・高精度基準電圧
1V±1%と低電圧で高精度です。
・動作周波数
250kHz 固定(SPI-8001TW、SPI-8002TW)、200~400kHz 可変(SPI-8003TW)と高い動作周波数
でチョークコイルの小型化が可能です。
・低消費電流
出力オフ時、1μA 以下。待機時の低消費電力化が可能。
・保護機能内蔵
フの字型過電流保護機能、過熱保護機能
・制御機能内蔵
出力オン/オフ制御機能(チャンネル毎で可能)、ソフトスタート機能
●1-2
主な用途
・オンボードローカル電源
●1-3
・OA機器用電源
・2 次側出力電圧安定化
種別
・種別: 半導体集積回路(モノリシックIC)
・構造: 樹脂封止型(トランスファーモールド)
EI-00070
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SPI-8000TW
2.製品仕様
●2-1
外形図(HSOP-16Pin)
●2-2
定格
・絶対最大定格
*1
項目
記号
入力電圧 VIN
VIN
入力電圧 VCC
VCC
入力電圧 VC/E
VC/E
*2
Pd
許容損失
規格
21
単位
V
条件
(8001TW)
V
40
3.0
135
150
-40~135
-40~150
V
W
接合温度
Tj
保存温度
Tstg
熱抵抗(接合-ケース間)
θj-c
9.0
℃/W
熱抵抗(接合-周囲間)
θj-a
35.8
℃/W
℃
℃
(8002TW,8003TW)
ガラスエポキシ基板 70.0cm2
(銅箔エリア 30.8cm2)実装時
(8001TW,8002TW)
(8003TW)
(8001TW,8002TW)
(8003TW)
ガラスエポキシ基板 70.0cm2
(銅箔エリア 30.8cm2)実装時
ガラスエポキシ基板 70.0cm2
(銅箔エリア 30.8cm2)実装時
*1絶対最大定格とは、破壊限界を示す定格であり瞬時動作及び定常動作において、
一項目たりとも規格値を超えないように配慮する必要があります。
*2但し、過熱保護により制限。
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SPI-8000TW
・推奨動作条件
*3
項目
記号
MIN
入力電圧範囲 VIN *4
VIN
VO+3
入力電圧範囲 VCC
VCC
4.5
入力電圧範囲 VC/E
VC/E
出力電圧範囲
Vo
出力電流範囲
IOUT
動作時接合温度範囲
Tjop
-30
動作温度範囲
Top
-30
規格
MAX
単位
20 (8001TW)
38 (8002/3TW)
V
V
V
1
16 (8001TW)
24 (8002/3TW)
1.5
V
A
135(8001/2TW)
125(8003TW)
135(8001/2TW)
85(8003TW)
℃
℃
*3推奨動作条件とは、電気的特性に示す正常な回路機能を維持するために必要とさ
れる動作条件を示すもので、実使用においては当条件内とする必要があります。
*4 入力電圧範囲の最大値は、下記グラフを参照願います。
入力電圧範囲
8002TW、8003TW
50
20
40
入力電圧 VIN [V]
入力電圧 VIN [V]
8001TW
25
15
10
5
38
30
4.75
20
10
8
0
0
1
2
3
出力電圧 Vo [V]
4
5
0
0
2
4
6
8
10
出力電圧 Vo [V]
・SPI-8001TW の出力電圧 2~16V においての入力電圧範囲は Vo+3~20V です。
・SPI-8002TW、SPI-8003TW の出力電圧 4.75~24V においての
入力電圧範囲は Vo+3~38V です。
・斜線領域の使用条件下においては、位相余裕の低下、ON 幅の減尐により発振が不安定と
なる場合がありますので、チョークコイル L、出力コンデンサ C2、C3 の容量を大きくし
てください。
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SPI-8000TW
・電気的特性(SPI-8001TW、SPI-8002TW)
*5
(Ta=25℃)
項目
設定基準電圧
基準電圧温度係数
記号
規格値
MIN
TYP MAX
VREF 0.996 1.006 1.016
⊿VREF/
±0.1
⊿T
効率 1 *6
Eff1
80/78
効率 2 *6
Eff2
83/81
動作周波数
fosc
250
ラインレギュレーション
VLine
30
60
ロードレギュレーション
VLoad
10
40
過電流保護開始電流
IS
静止時回路電流1
IIN
4
静止時回路電流 2
ICC
8.5
静止時回路電流 3
IIN(off)
静止時回路電流 4
ICC(off)
C/E 端子
SS 端子 *7
Hi レベル電圧
VC/EH
Low レベル電圧
VC/EL
Hi 時流入電流
IC/EH
Low レベル電圧
VSSL
Low 時流出電流
ISSL
1.6
測定条件
V VIN=10V, Vo=1V, IO=0.1A
mV/ VIN=10V, Vo=1V, IO=0.1A,
℃ Ta=-30~+135℃
% VIN=VCC=15V,VO=5V,Io=0.5A
VIN=15V, VO=5V, Io=0.5A,
%
VCC=5V
kHz VIN=VCC=15V,VO=5V,Io=0.5A
VIN=VCC=10~20V, Vo=5V,
mV IO=1A
VIN= VCC=15V, Vo=5V,
mV
IO=0.2~1.5A
A VIN= VCC=15V
VIN= 15V, VCC=5V, IO=0A,
mA
VO≦12V
mA
VCC=15V, IO=0A
1
μA
VIN=15V, VC/E=0V or Open
1
μA
VCC=15V, VC/E=0V or Open
2.0
0.8
95
V
VIN=VCC=15V
V
VIN=VCC=15V
μA
0.5
60
単位
80
V
VC/E=20V
VIN= VCC=15V
μA VSSL=0V, VIN= VCC=15V
*効率規格値欄内は、左側が SPI-8001TW、右側が SPI-8002TW となります。
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SPI-8000TW
・電気的特性(SPI-8003TW)
*5
(Ta=25℃)
項目
記号
VREF
設定基準電圧
規格値
MIN
TYP
MAX
0.996 1.006
1.016
単位
V
⊿VREF/
⊿T
±0.1
効率 1 *6
Eff1
78
%
効率 2 *6
Eff2
81
%
動作周波数範囲
Fosc
ラインレギュレーション
VLine
30
60
ロードレギュレーション
VLoad
10
40
基準電圧温度係数
200
測定条件
VIN=14V, IO=0.1A
mV/ VIN=14V, IO=0.1A,
℃ Ta=-30~+125℃
400
kHz VIN=14V,IO=0.1A,Cosc=100pF
VIN=VCC=9~18V, Vo=5V,
mV
IO=1A
VIN= VCC=14V, Vo=5V,
mV
IO=0.2~1.5A
過電流保護開始電流
IS
静止時回路電流 1
IIN
4
mA
静止時回路電流 2
ICC
8.5
mA
VCC=14V, IO=0A
静止時回路電流 3
IIN(off)
1
μA
VIN=14V, VC/E:Low or Open
静止時回路電流 4
ICC(off)
1
μA
VCC=14V, VC/E:Low or Open
静止時回路電流 5
IIN(SS0V)
4
mA
VIN= 14V, VCC=5V, IO=0A,
SS1=SS2=0V
静止時回路電流 6
ICC(SS0V)
8.5
mA
VCC=14V, IO=0A, SS1=SS2=0V
C/E 端子
SS 端子 *7
Hi レベル電圧
VC/EH
Low レベル電圧
VC/EL
Hi 時流入電流
IC/EH
Low レベル電圧
VSSL
Low 時流出電流
ISSL
1.6
VIN=VCC=14V,VO=5V,Io=0.5A。
VIN=14V,VO=5V,Io=0.5A,
VCC=5V
A
2.0
0.8
95
60
80
VO≦12V
V
VIN=VCC=14V
V
VIN=VCC=14V
μA
0.5
VIN= VCC=14V
VIN= 14V, VCC=5V, IO=0A,
V
VC/E=20V
VIN= VCC=14V
μA VSSL=0V, VIN= VCC=14V
*5 電気的特性とは、上表各項目に示してある測定条件でICを動作させた場合に保証される特
性値規格であります。
*6 効率は次式により算出されます。
VO・IO
η(%)= VIN・IIN ×100
*7 6番、11 番端子は、SS 端子で、コンデンサを接続することによりソフトスタートさせ
ることが出来ます。また、SS 端子を用い、出力を ON/OFF することが可能です。SS
端子電圧を VSSL 以下にすることで出力は停止します。SS 端子の電位切り替えは、トラ
ンジスタのオープンコレクタ駆動等で行うことが出来ます。尚、ソフトスタートと、
ON/OFF を併用した場合、ON/OFF 用トランジスタにはC4、C5のディスチャージ電
流が流れるため、コンデンサ容量が大きい場合は、電流制限等の保護を行って下さい。
また、SS 端子はIC内部電源にプルアップされていますので、外部からの電圧印加出
来ません。
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SPI-8000TW
●2-3
回路図
・ブロックダイアグラム(SPI-8001TW、SPI-8002TW)
VIN
3
VCC
VC/E
C1
SPI-8000TW
C6
3V
14
Start
C/E
VREF
PReg
OSC
fdown
TSD
UVLO
RESET
1V
f down
cut
6
SS1
7
VREF1
PWM
Logic
f down
cut
SWout1
4
Drive
PWM
Amp
Bufferr-Amp
2
OCP
3V
R5
C4
VIN1
AGND
DGND1
5
VIN2
15
L1
Di1
C2
C7
R1
OCP
3V
VO1
R2
R6
11
SS2
10
VREF2
PWM
Logic
C5
SWout2
13
PWM
Amp
Bufferr-Amp
Drive
VO2
Di2
DGND2
AGND
L2
C3
12
AGND
1、9
R3
R4
・応用回路例
VIN
3
VCC
2
6
C/E
VIN1
SWout1
5
4
Ch1
SS1
VREF1
R5
7
L1
VO1
Di1
R1
C2
IREF1
DGND1
C4
C6
VC/E
14
C7
R2
SPI-8000TW
15
C1
VIN2
SWout2
13
VO2
L2
11
R6
C5
12
SS2
Ch2
VREF2
10
Di2
C3
IREF2
DGND2
R3
C8
R4
AGND
1、9
GND
GND
・主要部品一覧表
部品番号
C1
C2, C3
C4, C5
C6, C7, C8
L1, L2
D1, D2
R1, R3
R2, R4
220μF/50V
470μF/25V
1μF/10V
0.1μF/50V
47μH
2A/60V
4kΩ(VO=5V 設定)
1kΩ
定格
電解コンデンサー
電解コンデンサー
セラミックコンデンサー
セラミックコンデンサー
インダクター
ショットキバリアダイオード
推奨部品
UUD1H221MNR1GS (nichicon)
UUD1E471MNR1GS (nichicon)
GRM21BR11A105MA01B (村田製作所)
GRM21BR11H104MA01B (村田製作所)
SLF12575T-470M2R7 (TDK)
SFPB-66 (サンケン電気)
-
-
EI-00070
8/22
C8
SPI-8000TW
・ブロックダイアグラム(SPI-8003TW)
VIN
3
VCC
15 C/E
VC/E
SPI-8003TW
3V
Start
VREF
OSC
RESET
PReg
C4
C1
TSD
fdown
UVL
O
1V
10 Rosc
VIN1
8
R7
Cosc
6
R5
f down
cut
C9
7
OCP
3V
PWM
Logic
SS1
f down
cut
VIN2
OCP
PWM
Logic
AGND
C2
16
R1
R2
Drive
VO2
L2
SWout2 14
PWM
Amp
C7
Di1
3V
BufferrAmp
VO1
DGND1 5
11 VREF2
C6
L1
SWout1 4
Amp PWM
BufferrAmp
AGND
12 SS2
R6
Drive
VREF1
C5
2
Di2
C3
DGND2 13
AGND
1、9
C8
R3
R4
・応用回路例
VIN
VCC
2
6
R5
5
C1
R6
C6
Ch1
VREF1
VIN2
1
2
SS2
DGND
2
AGN
D
1?
9
Di1
1
Ch2
SWout2
1
4
VREF2
1
1
L
2
Di2
IREF
2
COSC
8
C9
GN
D
7
L
1
IREF
SPI8003TW
1
6
1
3
SWout1
4
DGND
1
C5
C4
C/E
VIN1
SS1
VC/E
1
5
3
VO1
R1
R2
C
2
C
7
VO2
R3
R4
C
3
C
8
ROSC
10
R7
R8
Q1
GN
D
EI-00070
9/22
SPI-8000TW
・主要部品一覧表
部品番号
C1
C2, C3
C5, C6
C4, C7, C8
C9
L1, L2
D1, D2
R1, R3
R2, R4
R7
R8
220μF/50V
470μF/25V
1μF/10V
0.1μF/50V
100pF/10V
47μH
2A/60V
4kΩ(VO=5V 設定)
1kΩ
30kΩ
9.1kΩ
定格
電解コンデンサー
電解コンデンサー
セラミックコンデンサー
セラミックコンデンサー
セラミックコンデンサー
インダクター
ショットキバリアダイオード
推奨部品
UUD1H221MNR1GS (nichicon)
UUD1E471MNR1GS (nichicon)
GRM21BR11A105MA01B (村田製作所)
GRM21BR11H104MA01B (村田製作所)
GRM21BR11H101MA01B (村田製作所)
SLF12575T-470M2R7 (TDK)
SFPB-66 (サンケン電気)
-
-
-
-
動作周波数は、Cosc-GND 間に付加するコンデンサ及び Rosc-GND 間に付加する抵抗で設定す
る事が可能です。又、上記応用回路のように Q1 を付加して ON/OFF させる事で、動作周
波数を変更させる事が可能です。
上記の例では、
Q1 ON の場合:R7(30kΩ)のみとなりますので、動作周波数は約 300kHz となります。
Q1 OFF の場合:R7(30kΩ)と R8(9.1kΩ)の合成抵抗になりますので、動作周波数は
約 250kHz となります。
スイッチングノイズによる影響を受けやすい、AM ラジオや通信機器、TV、音響機器等のアプリケーションにお奨めです。
EI-00070
10/22
SPI-8000TW
3.動作説明
●3-1
PWM出力電圧制御
SPI-8000TW シリーズは、PWM方式にて出力電圧を制御しており、PWMコンパレータ、発
振器、誤差増幅器、基準電圧、出力トランジスタドライブ回路、等を内蔵しております。
PWMコンパレータの入力には発振器からの三角波出力(250KHz:SPI-8001/2TW,
200~400kHz:SPI-8003TW)と誤差増幅器の出力が与えられます。PWMコンパレータは発振器
出力と誤差増幅器出力を比較し、発振器出力に対し誤差増幅器出力が上回った時間にスイッチ
ングトランジスタがONになるよう制御しています。
PWM制御チョッパ型レギュレータ基本構成
L3
スイッチングトランジスタ
VIN
D1
PWMコンパレータ
VOUT
誤差増幅器出力と発振器出力を
C2
PWMコンパレータで比較し、
ドライブ回路
方形波のドライブ信号をさせて
スイッチングトランジスタを
誤差増幅器
発振器
ドライブする。
基準電圧
仮に出力電圧が上昇しようとした場合、誤差増幅器は反転型のため誤差増幅器の出力は低下
します。誤差増幅器出力が低下しますと発振器の三角波レベルを下回る時間が増加しスイッチ
ングトランジスタのON時間を短縮させる事により出力電圧を一定に保ちます。このようにス
イッチングの周波数は固定したままで、スイッチングトランジスタのON時間を変化させる事
により出力電圧を制御しています。
(Vin が高い程スイッチングトランジスタのON時間は短くなります。)
PWMコンパレータ動作図
発振器出力
誤差増幅器出力
ON
OFF
スイッチングトランジスタ出力
スイッチングトランジスタの方形波出力は、チョークコイルとコンデンサによるLCローパス
フィルターにより平滑され、安定化された直流電圧として負荷へ供給される事になります。
EI-00070
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SPI-8000TW
●3-2
過電流・過熱保護
過電流時出力電圧特性
出力
電圧
ここで周波数が低下
出力電流
SPI-8000TW シリーズは、負荷短絡時の電流を抑えるため、フの字型過電流保護回路を内蔵し
ています。過電流保護回路はスイッチングトランジスタのピーク電流を検出し、ピーク電流が
設定値を超えると強制的にトランジスタのON時間を短縮させて出力電圧を低下させ電流を
制限しています。更に出力電圧が定格値の約 50%まで低下しますとスイッチング周波数を約
70KHz に落とし低出力電圧時の電流増加を防止しています。過電流状態を解除すると出力電圧
は自動的に復帰します。
過熱保護時出力電圧特性
出力電圧
復帰設定温度
保護設定温度
接合温度
過熱保護回路は、ICの半導体接合温度を検出し、接合温度が設定値を超えると出力トラン
ジスタを停止させ、出力をOFFとします。接合温度が過熱保護設定値より約 15℃程度低下し
ますと自動的に復帰します。
※(過熱保護特性)注意事項
瞬時短絡等の発熱に対しICを保護する回路であり、長時間短絡等、発熱が継続する状態で
の信頼性を含めた動作を保証するものではありません。
EI-00070
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SPI-8000TW
4.各端子の説明
●4-1
端子記号、名称
端子番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
●4-2
SPI-8001TW / SPI-8002TW
記号
名称
AGND
グランド端子
VIN1
パワー部入力端子(ch1)
VCC
制御部入力端子
SWout1
スイッチング出力端子(ch1)
DGND1
ドライブ部グランド端子(ch1)
SS1
ソフトスタート, ON/OFF 端子(ch1)
VREF1
基準電圧端子(ch1)
N/C
無接続端子
AGND
グランド端子
VREF2
基準電圧端子(ch2)
SS2
ソフトスタート, ON/OFF 端子(ch2)
DGND2
ドライブ部グランド端子(ch2)
SWout2
スイッチング出力端子(ch2)
C/E
チップイネーブル端子
VIN2
パワー部入力端子(ch2)
N/C
無接続端子
記号
AGND
VIN1
VCC
SWout1
DGND1
SS1
VREF1
Cosc
AGND
Rosc
VREF2
SS2
DGND2
SWout2
C/E
VIN2
SPI-8003TW
名称
グランド端子
パワー部入力端子(ch1)
制御部入力端子
スイッチング出力端子(ch1)
ドライブ部グランド端子(ch1)
ソフトスタート, ON/OFF 端子(ch1)
基準電圧端子(ch1)
周波数設定端子(コンデンサ用)
グランド端子
周波数設定端子(抵抗用)
基準電圧端子(ch2)
ソフトスタート, ON/OFF 端子(ch2)
ドライブ部グランド端子(ch2)
スイッチング出力端子(ch2)
チップイネーブル端子
パワー部入力端子(ch2)
端子機能説明
・AGND (端子番号 1, 9): SPI-8001/2/3TW
アナロググランド端子です。
・DGND1, 2 (端子番号 5, 12): SPI-8001/2TW
(端子番号 5, 13): SPI-8003TW
パワーグランド端子です。
・VIN1, 2 (端子番号 2, 15): SPI-8001/2TW
(端子番号 2, 16): SPI-8003TW
外部メイン電圧の入力端子です。VIN1 と VIN2 は別々に接続することも可能です。
・VCC (端子番号 3) : SPI-8001/2/3TW
内部電源供給用の端子です。VIN(2,15 番端子:SPI-8001/2TW、2,16 番端子:SPI-8003TW)に接
続もしくは推奨動作範囲内の電圧を印加してください。低い電圧のほうが、消費電力が減尐しま
す。
・Swout1、2 (端子番号 4、13) : SPI-8001/2TW
(端子番号 4、14) : SPI-8003TW
スイッチング出力端子です。
・SS1、2 (端子番号 6、11) : SPI-8001/2TW
(端子番号 6、12) : SPI-8003TW
ソフトスタート用端子です。接続されたコンデンサ C4、C5 より、出力電圧をソフトスタートさせることができま
す。SS 端子を 0.5V 以下にすることで Ch 別に ON/OFF できます。詳細は P.20 を参照願います。
R5、R6 は、オープンコレクタトランジスタを用いて ON/OFF した際のディスチャージ保護用です。ON/OFF
しない場合は、R5、R6 は不要です。
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SPI-8000TW
・Vref1、2 (端子番号 7、10) : SPI-8001/2TW
(端子番号 7、11) : SPI-8003TW
出力電圧設定用の端子です。R1、R2 で Ch1 の出力電圧、R3、R4 で Ch2 の出力電圧を設定しま
す。出力電圧設定方法は P.20 を参照願います。出力電圧可変範囲1~16V(SPI-8001TW)、1~
24V(SPI-8002/3TW)です。
・C/E (端子番号 14) : SPI-8001/2TW
(端子番号 15) : SPI-8003TW
ON/OFF 端子です。0.8V 以下で出力 OFF、2V 以上で出力 ON となります。C/E 端子を用いた
ON/OFF は Ch1、Ch2 ともに ON/OFF します。C/E 端子で OFF した場合の VIN、VCC の流入
電流はそれぞれ 1μA 以下になります。C/E を使用しない場合は VIN にプルアップ願います。
・Cosc、Rosc (端子番号 8、10) : SPI-8003TW
発振周波数設定用の端子です。C9、R7(R8)で発振周波数を設定します。発振周波数設定方法
については P.21 の動作周波数特性を参照願います。
発振周波数可変動作範囲は 200kHz~400kHz(SPI-8003TW)です。
・N/C(端子番号 8、16): SPI-8001/2TW
N/C 端子は内部回路に接続されていませんので、オープンとしてください。ノイズの影響をさけるた
め中継パッド等には使用しないでください。
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SPI-8000TW
5.ご使用に際しての注意事項
●5-1
周辺部品選定上の注意
5-1-①
チョークコイル(L1,2)
チョークコイルLは、スイッチングトランジスタ OFF 時に負荷側に電流を供給しており、チョッパ型スイッチ
ングレギュレータの中心的役割を果たしています。レギュレータの安定動作維持のため、飽和状態での
動作や、自己発熱による高温動作等の危険な状態は回避しなくてはなりません。チョークコイル選定の
ポイントとしては以下の事項が挙げられます
a)スイッチングレギュレータ用であること
ノイズフィルタ用のコイルは、損失が大きく発熱が大となりますので使用をさけてください。
b)インダクタンス値が適正であること
チョークコイルのインダクタンスは、大きいほどコイルを流れるリップル電流が減尐し出力リップル電
圧が小さくなりますが、コイルの外形は大形になります。逆に小さなインダクタンスとすると、スイッチ
ングトランジスタやダイオードを流れるピーク電流が増大して損失が増加し、リップル電圧も大きくな
り安定動作確保の上で好ましくありません。
インダクタンスが大きい程、リップル電流・電圧は
インダクタンスが小さい程、リップル電流・電圧が
小さくなる。ただし、コイルの外形は大型になる。
大きくなる。コイルの外形は小型になるが、動作が
不安定になりやすい。
仕様書に示すインダクタンス値は、安定動作に適した目安の値でありますが、また次式によって適当な
インダクタンス値を求めることもできます。
ここで、ΔIL はチョークコイルのリップル電流値を示し、大略下記の目安に従って設定します。
・使用出力電流が SPI-8000TW の最大定格(1.5A)に近い場合:出力電流×0.2~0.3 倍
・使用出力電流が大略 0.5A 以下の場合:出力電流×0.5~0.6 倍
L
(Vin  Vout )  Vout
IL  Vin  f
---(1)
c)定格電流を満足すること
チョークコイルの定格電流は、使用する最大負荷電流より大きくなくてはなりません。負荷電流がコ
イルの定格電流を越えると、インダクタンスが激減し、ついには飽和状態となります。この状態では、
高周波インピーダンスが低下し、過大な電流が流れますのでご注意ください。
d)ノイズが尐ないこと
ドラム型のような開磁路型コアは、磁束がコイルの外側を通過するため周辺回路へノイズによる障
害を与えることがあります。なるべくトロイダル型や EI 型、EE 型のような閉磁路型コアのコイルをご使
用下さい。
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5-1-②入力コンデンサ(C1)
入力コンデンサは、入力回路のバイパスコンデンサとして動作し、スイッチング時の急峻な電流をレギュ
レータに供給しており、入力側の電圧降下を補償しています。従って極力レギュレータICの近くに取り
付ける必要があります。また、AC 整流回路の平滑コンデンサが入力回路にある場合には、入力コンデ
ンサは平滑コンデンサと兼用とすることができますが、同様の配慮が必要です。
C1選定のポイントとして次のことが挙げられます。
a)耐圧を満足すること。
b)許容リップル電流値を満足すること。
c)低ESRであること。低ESRのほうが、出力に発生するスパイクノイズが減尐します。
C1の電流の流れ
これら耐圧や許容リップル電流値を、オーバーしたりディレーティング無しで使用した場合、コンデンサ
自身の寿命が低下(パンク、容量の減尐、等価インピーダンス増大、等)するばかりでなく、レギュレータ
の異常発振を誘発する危険があります。従って、十分なマージンをとった選択が必要です。なお入力コ
ンデンサに流れるリップル電流実効値 Irms は下記の式で求められます。Vin は最低入力電圧としてくだ
さい。
Irms  1.2 
Vo1
Vo 2
 Iout1  1.2 
 Iout 2
Vin
Vin
Vo1:Ch1 の出力電圧、Vo2:Ch2 の出力電圧
---(2)
Io1:Ch1 の出力電流、Io2:Ch2 の出力電流
5-1-③出力コンデンサ(C2,3)
出力コンデンサC2は、チョークコイルLと共にLCローパスフィルターを構成して、スイッチング出力の平
滑コンデンサとして機能しています。出力コンデンサにはチョークコイル電流の脈流部ΔIL と等しい電
流が充放電されています。従ってC2選定のパラメータとしては入力コンデンサと同様に、耐圧及び許容リ
ップル電流値に十分なマージンをとった上で満足する必要があります。また、その他のポイントとして、
直流等価抵抗(ESR)、容量となります。以下に選定の注意点を示します。
C2 の電流の流れ
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a)許容リップル電流
出力コンデンサのリップル電流実効値は、下記の式で求められます。
Irms 
IL
2 3
---(3)
b)直流等価抵抗(ESR)
安定動作のため ESR は適切な値を選ぶことが必要です。ESR が過大な場合には、出力リップル電圧増
大による異常発振、一方、過尐な場合は位相余裕の不足となります。出力リップル電圧は、チョークコ
イル電流の脈流部ΔIL(=C2充放電電流)と ESR の積で決まり、出力リップル電圧としては、出力電圧
の 0.5~1%程度(例:Vout=5V で 0.5%の場合:25mV)にて良好な動作となり、出力電圧リップルの求め
方は(4)(5)を参照願います。ESR は温度で変化し、特に高温時には ESR が低下することから注意が
必要です。
Vrip 
Vin  Vout Vout ESR L  Vin  f
Vrip  IL  ESR ---(4)
---(5)
また、ESR が極端に小さい場合(約10~20mΩ以下)位相遅れが大きくなり、異常発振となる可能性が
あります。このため、出力コンデンサにタンタルコンデンサや積層セラミックコンデンサを単体で用いる
ことは適当ではありません。但し低温(<0 ゚ C)で使用される場合には、電解コンデンサと並列にタンタ
ルコンデンサや積層セラミックコンデンサを接続すると出力リップル電圧の低減に有効です。更に、一
層出力リップル電圧を小さくするには、下図に示すように、LCフィルタを一段追加しπ型フィルターを
構成するのが効果的です。
SPI8000TW
L2 : 20uH
Co2 : 200uF
このように、出力コンデンサC2においては、耐圧及び許容リップル電流が満足されれば、容量より
ESR の方が動作安定度に与える影響が大きい事にご注意ください。出力コンデンサのレイアウトについて
は、IC より離れた場所に配置した場合、配線抵抗等で擬似的に ESR の上昇と等価となるため、IC 近
傍の配置を推奨します。
5-1-④フライホイールダイオード(Di1,2)
ダイオード Di は、スイッチングオフ時にチョークコイルに貯えられたエネルギーを放出させるための物
です。フライホイールダイオードには必ずショットキーバリアダイオードを使用して下さい。一般の整流
用ダイオードやファーストリカバリダイオード等を使用した場合、リカバリ及びオン電圧による逆電圧印
可によりICを破壊する恐れがあります。
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SPI-8000TW
●5-2
パターン上の注意
SPI-8001/2TW
VC/E
R6
L2
C5
1pin
Di2
VO2
16pin
1.25±0.25
1.27±0.25
R3
C8
1pin
R4
C3
GND
VIN
C1
1
(0.4)
(0.87)
C2
C6
R2
8pin
C7
pin
R1
Di1
C4
9pin
VO1
1.5±0.1
0.3±0.1
L1
R5
7.5±0.2
(11.1)
(4.5)
推奨ランドパターン
SPI-8003TW
C/E
R2
L2
Di2
R4
SS2
C3
R7
C8
16
9
1
8
Di1
C7
C9
C4
C1
L1
C2
SS1
R1
R3
推奨パターン
*最適な動作条件とするためには、GND ラインは 9 番端子を中心にした 1 点
GND 配線とし、各部品を最短で配置することが必要です。
●5-3
動作上の注意
1. SPI-8000TW の出力を並列動作させることはできません。
2. SPI-8000TW は GND が共通なため、反転チョッパレギュレータとして使用することはできません。
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6.応用
●6-1ソフトスタート
6,11 番端子にコンデンサを接続すると入力電圧投入時にソフトスタートがかかるようにな
ります。コンデンサC4、C5 はPWM制御の OFF 期間をコントロールして立ち上がり時間を制
御する為のもので、遅れ時間 Td 及び立ち上がり時間 Ts は下記の式で求められます。但し実機
においては、入力電源、負荷の立ち上がり、等の影響を受ける為多尐の変動があります。
VIN
SPI-8000TW
6.11PIN
Td 
VOUT
C4
C5
Td
Ts 
Ts
C4
60  106
(Sec)
C 4  Vo
Vin  60  106
--(6)
(Sec)--(7)
例えば VIN=15V. Vo=5V、C3=1uF とすると、
1 106
 16.6(ms)
60  106
Td  Ts ≒ 22.1(ms)
Td 
Ts 
5  1  106
≒ 5.5(ms )
15  60  106
よって、電源投入後、出力電圧立ち上がりまで、22.1ms かかる事になります。
但しC4、C5を大きくしますと VinOFF 後のC4、C5ディスチャージも時間がかかるよ
うになります。C4、C5は 4.7uF 以内の値で使用される事をお奨めします。
●6-2
ソフトスタートを用いた出力の ON・OFF 制御
6、11番・ソフトスタート端子を用いて、出力 ON・OFF 制御が可能です。オープンコレク
タ等のスイッチにより、
6、
11番端子を Lo レベル(0.5V以下)とすると出力は停止します。
又ソフトスタートとの併用も可能です。ソフトスタート端子はIC内部でプルアップ済みです
ので外部からは電圧を印加しないで下さい。R5、R6 は C4、C5 ディスチャージ時保護用です。
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6,11PIN
R5,R6
C4,C5
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●6-3
出力電圧設定
R1、R2 で Ch1 の出力電圧、R3、R4 で Ch2 の出力電圧を設定します。
出力電圧が 5V の場合、R1 は 4kΩ、R2 は1kΩとなります。
R1( R3) 
VO1  V REF1  VO1  1
I REF 1
●6-4

110
3
,R 2( R 4) 
V REF 1
1

≒1K 
I REF 1 110 3
‐‐(8)
逆バイアス保護
入力端子より出力の電圧が高くなるような場合には、入出力間に逆バイアス保護用のダイオ
ードが必要となります。推奨ダイオード:SFPL52(サンケン製)
2,15
PIN
●6-5
SPI-8000TW
4,13
PIN
動作周波数範囲(SPI-8003TW)
SPI-8003TW Rosc-fosc(Ta=25℃)
500
450
y  3686 x 0.7442
400
fosc(kHz)
350
y  1741.8x 0.7082
300
Cosc=220pF
Cosc=100pF
250
200
150
100
50
0
1
10
Rosc(kohm)
100
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7.用語解説
・ジッタ
異常スイッチング動作の一種で、入出力条件が一定にも関わらずスイッチングパルス幅が変
動する現象であります。ジッタが発生すると、出力のリップル電圧ピーク幅が増加します。
・推奨動作条件
正常な回路機能を維持するために必要とされる動作条件を示すもので、実使用においては当
条件内とする必要があります。
・絶対最大定格
破壊限界を示す定格であり、瞬時動作及び定常動作において、一項目かつ一瞬たりとも規格
値を超えないように配慮する必要があります。
・電気的特性
各項目に示している条件で動作させた場合の特性値規格であります。動作条件が異なる場合
には、規格値から外れる可能性があります。
・PWM (Pulse width modulation)
パルス変調方式の一種で、変調信号波(チョッパ型スイッチングレギュレータの場合、出力
電圧)の変化に応じて、パルスの幅を変えて変調する方式であります。
・ESR (Equivalent series resistance)
コンデンサの等価直列抵抗値を示します。コンデンサに直列に接続された抵抗と同等の作用
を示します。
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8.使用上の注意
!注意
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際には、最新の情報である事をご確認下さい。
●本書に記載されている動作例及び回路例は、使用上の参考として示したもので、これらに
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