AN-1154: ADF4157 および ADF4158 の PLL の位相ノイズとスプリアス性能の コンスタント・ネガティブ・ブリード使用による最適化 (Rev. 0) PDF

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AN-1154
アプリケーション・ノート
ADF4157 および ADF4158 の PLL の位相ノイズとスプリアス性能の
コンスタント・ネガティブ・ブリード使用による最適化
著者: Robert Brennan および Dawid Powazynski
はじめに
コ ンス タント・ ネガ ティブ・ ブリ ード電流 を使 用すると 、
ADF4157 および ADF4158 の位相ノイズ (PN)と整数境界スプリ
アス (IBS) 性能を改善することができます。 最大の改善は、位
相周波数検出器 (PFD)の周波数の整数倍周波数またはその付近
で得られます。効果は 60 kHz 以上のループ帯域幅で顕著に現れ
ますが、すべての PLL ループ帯域幅に対してコンスタント・ネ
ガティブ・ブリードを使用すことが推奨されます。
コンスタント・ネガティブ・ブリード電流は、チャージ・ポン
プに固定オフセットを加算することにより機能します (PLL ル
ープでは位相オフセットと等価)。これは、原点付近の非直線領
域 (チャージ・ポンプ・デッド・ゾーンと呼ばれることもありま
す)から遠ざけることによりチャージ・ポンプを直線化する効果
を持ちます。 図 1 に、この現象を説明します。
ADF4157 と ADF4158 のコンスタント・ネガティブ・ブリード
は、レジスタ 4 のビット DB[24:23]に 0b11 を設定すると使用可
能になります。
位相ノイズとスプリアスに対するブリード電流の
効果
コンスタント・ネガティブ・ブリードを使用すると、チャー
ジ・ポンプ電流(ICP)の一定範囲でのみ位相ノイズと整数境界ス
プリアスが改善されます。ICP 値によっては、位相ノイズとスプ
リアスの性能が低下することもあります。この現象を、12.5
MHz と 25 MHz の 2 つの PFD 周波数に対して測定しました。各
PFD 周波数は、2 つの隣接整数チャンネルの近くでテストしま
した。各 PFD 周波数に対するループ・フィルタ構成は、アペン
ディックスに示します。
測定値の記録方法
dQ
測定値は、EV-ADF4157SD1Z 評価用ボードで記録しました。 ル
ープ・フィルタは、各 PFD 周波数に対して調整しました。
DEAD ZONE
1.
2.
3.
4.
dp
BLEED CURRENT PUSHES THE
CHARGE PUMP OUT OF DEAD ZONE
5.
6.
10729-001
7.
図 1.ブリード電流のチャージ・ポンプへの効果
8.
9.
この固定電流オフセットなしでは、シグマ・デルタ量子化 (dQ)
ノイズが帯域内に折り返されるため、大きなノイズまたはスプ
リアスが発生します。シグマ・デルタ・ノイズの帯域内への折
り返しは、ADF4157 や ADF4158 で使用されているような高分
解能シグマ・デルタ変調器で (モジュラス値が大きい場合)のみ
発生します。これらのデバイスでは、最適な位相ノイズとスプ
リアス性能を実現するためにコンスタント・ネガティブ・ブリ
ード電流を使用する必要があります。この電流は、モジュラス
値が小さい非整数型 N PLL または整数型 N PLL に対しては不要
です。
25 MHz の PFD 周波数を使って、ループを 5800.001 MHz に
ロックしました。
チャージ・ポンプ電流を最小値 (0.31 mA)に設定しました。
ネガティブ・ブリードをディスエーブルしました。
5 kHz オフセットでの位相ノイズと、1 kHz での整数境界ス
プリアスを記録しました。
ネガティブ・ブリードをイネーブルしました。
5 kHz オフセットでの位相ノイズと、1 kHz での整数境界ス
プリアスを記録しました。
5 mA までの各チャージ・ポンプ電流設定に対してステップ
3~ステップ 6 を繰り返しました。
ループを 5825.001 MHz にロックして、ステップ 2 ~ステ
ップ 7 を繰り返しました。
12.5 MHz の PFD 周波数に対してループ・フィルタを変更
し、12.5 MHz の PFD 周波数を使ってループを 5800.001
MHz にロックしました。ステップ 2~ステップ 8 を繰り返
しました。
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Rev. 0
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AN-1154
アプリケーション・ノート
目次
はじめに ............................................................................................. 1
結果 ..................................................................................................... 3
位相ノイズとスプリアスに対するブリード電流の効果 .............. 1
結果の解析 ......................................................................................... 4
測定値の記録方法 ............................................................................. 1
結論 ..................................................................................................... 4
改訂履歴 ............................................................................................. 2
アペンディックス ............................................................................. 5
改訂履歴
5/12—Revision 0: Initial Version
Rev. 0
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AN-1154
アプリケーション・ノート
結果
PFD 周波数 = 25 MHz
PFD 周波数 = 12.5 MHz
出力周波数 = 5800.001 MHz
出力周波数 = 5800.001 MHz
0
0
RFOUT = 5800.001MHz; PFD = 12.5MHz
–20
–20
–30
–40
PN AT 5kHz; BLEED OFF
IBS; BLEED OFF
PN AT 5kHz; BLEED ON
IBS; BLEED ON
–50
–60
–30
–40
–50
–70
–70
–80
–80
–90
0.31
1.31
2.31
3.31
4.31
CHARGE PUMP CURRENT (mA)
PN AT 5kHz; BLEED OFF
IBS; BLEED OFF
PN AT 5kHz; BLEED ON
IBS; BLEED ON
–60
–90
0.31
3.31
4.31
図 4.5800.001 MHz での位相ノイズおよび IBS
PFD 周波数 = 12.5 MHz
出力周波数 = 5825.001 MHz
出力周波数 = 5825.001 MHz
0
0
RFOUT = 5825.001MHz; PFD = 12.5MHz
–10
–20
–20
PN (dBc/Hz); IBS (dBc)
–10
–30
–40
PN AT 5kHz; BLEED OFF
IBS; BLEED OFF
PN AT 5kHz; BLEED ON
IBS; BLEED ON
–50
–60
–30
–40
–50
–70
–70
–80
–80
1.31
2.31
3.31
4.31
CHARGE PUMP CURRENT (mA)
–90
0.31
10729-003
–90
0.31
PN AT 5kHz; BLEED OFF
IBS; BLEED OFF
PN AT 5kHz; BLEED ON
IBS; BLEED ON
–60
1.31
2.31
3.31
4.31
CHARGE PUMP CURRENT (mA)
図 5.5,825.001 MHz での位相ノイズおよび IBS
PFD 周波数 = 12.5 MHz
図 3.5,825.001 MHz での位相ノイズおよび IBS
PFD 周波数 = 25 MHz
- 3/5 -
10729-005
RFOUT = 5825.001MHz; PFD = 25MHz
PN (dBc/Hz); IBS (dBc)
2.31
CHARGE PUMP CURRENT (mA)
図 2.5800.001 MHz での位相ノイズおよび IBS
PFD 周波数 = 25 MHz
Rev. 0
1.31
10729-004
PN (dBc/Hz); IBS (dBc)
–10
10729-002
PN (dBc/Hz); IBS (dBc)
RFOUT = 5800.001MHz; PFD = 25MHz
–10
AN-1154
アプリケーション・ノート
結果の解析
結論
図 2 から、25 MHz の PFD 周波数の場合、3.13~3.75 のチャー
ジ・ポンプ電流の使用が、最適 PN と IBS に対する最適オプショ
ンであることが分かります。 これは、3.13~3.75 の値が両周波数
に対して最適であることを示している図 3 と矛盾しません。
PFD 周波数によっては、特定のチャージ・ポンプ電流でネガテ
ィブ・ブリードを使うと、整数境界スプリアスと位相ノイズが
改善されることがあります。
別の PFD 周波数では、ネガティブ・ブリードを使っても位相ノ
イズの改善は得られませんが、整数境界スプリアスを大幅に改
善することができます。この場合、最適整数境界スプリアスと
最適位相ノイズとの間のトレードオフは、アプリケーションに
依存します。
図 4 と図 5 から、12.5 MHz の PFD 周波数の場合、PN を改善す
るチャージ・ポンプ電流値はありませんが、4.06 以上のチャー
ジ・ポンプ電流を使用すると、PN の大きな性能低下なしに、
IBS の大幅な改善が得られることが分かります。
最適チャージ・ポンプ電流を見つけるためには、特定のアプリ
ケーションの PFD 周波数でこのアプリケーション・ノートの測
定を繰り返す必要があります。
Rev. 0
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AN-1154
アプリケーション・ノート
アペンディックス
表 1.コンスタント・ネガティブ・ブリード対チャージ・ポンプ
電流スケーリング
CP
Current (mA)
Bleed (µA)
% Bleed
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
0.3125
0.625
0.9375
1.25
1.5625
1.875
2.1875
2.5
2.8125
3.125
3.4375
3.75
4.0625
4.375
4.6875
5.00
100
200
200
300
600
700
700
800
100
200
200
300
600
700
700
700
32
32
21
24
38
37
32
32
4
6
6
8
15
16
15
14
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Rev. 0
ループ・フィルタ
PFD 周波数 = 25 MHz でのループ・フィルタ構成
チャージ・ポンプ 電流 = 2.5 mA。
ループ帯域幅
位相マージン
C1
R1
C2
R2
C3
107 kHz
45°
560 pF
680 Ω
6.8 nF
1.2 kΩ
220 pF
PFD 周波数 = 12.5 MHz でのループ・フィルタ構成
チャージ・ポンプ 電流 = 2.5 mA。
ループ帯域幅
101 kHz
位相マージン
47°
C1
220 pF
R1
1.2 kΩ
C2
3.3 nF
R2
2.7 kΩ
C3
100 pF
商標および登録商標は、それぞれの所有者の財産です。
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