LT3508 - デュアル・モノリシック1.4A降圧

LT3508
デュアル・モノリシック1.4A降圧
スイッチング・レギュレータ
特長
概要
■
広い入力電圧範囲:3.7V∼36V
■ パワースイッチを搭載した2個の
1.4A出力スイッチング・レギュレータ
■ 250kHz∼2.5MHzの調整可能なスイッチング周波数
■ 全周波数範囲で同期可能
■ 位相をずらしたスイッチングにより、
リップルを低減
■ 小型のインダクタとセラミック・コンデンサを使用
■ 高精度でプログラム可能な低電圧ロックアウト
■ 個別のトラッキング、
ソフトスタート、
パワーグッド回路により、電源シーケンスを簡素化
■ 最小800mVまで調整可能な出力
■ 4mm×4mm小型24ピンQFNパッケージまたは
熱特性が改善された16ピンTSSOP表面実装パッケージ
LT ® 3508は2つの1.4A出力を生成可能なパワースイッチ内
蔵のデュアル電流モードPWM降圧DC/DCコンバータです。
3.7V∼36Vという広範囲の入力電圧で動作するので、車載
バッテリ、24V産業用電源、非安定化ACアダプタなどの様々
な電源を安定化するのに最適です。
どちらのコンバータも最
大2.5MHzまでプログラム可能な1つの発振器に同期し、逆位
相で動作するので、入力リップル電流を低減します。動作周波
数が高いので、小型で低コストのインダクタやセラミック・コン
デンサを使用可能で、
出力リップルが低く予測可能です。各レ
ギュレータはトラッキング回路とソフトスタート回路を個別に
搭載し、出力が安定化するとパワーグッド信号を生成するの
で、電源シーケンスと、
マイクロコントローラやDSPとのインタ
フェースが簡素化されます。
アプリケーション
サイクルごとの電流制限、
周波数フォールドバック、
サーマル・
シャットダウンによって短絡出力からデバイスを保護し、
ソフト
スタートによって起動時の入力電流サージをなくします。低電
流(<2μA)
シャットダウン・モードにより、
バッテリ駆動システム
のパワー・マネージメントを簡素化できます。
車載
DSP電源
■ ACアダプタ・
トランスの安定化
■ DSLおよびケーブル・モデム
■ PCI Express
■
■
、LT、LTCおよびLTMはリニアテクノロジー社の登録商標です。
他のすべての商標はそれぞれの所有者に所有権があります。
標準的応用例
出力シーケンス制御付き、3.3Vと5Vのデュアル出力降圧コンバータ
VIN
5.6V TO 36V
ON OFF
SHDN
VIN
BOOST1
OUT2
5V
1.4A
BOOST2
0.22µF
6.8µH
0.22µF
SW1
10µH
11.5k
22µF
51k
150pF
1nF
VIN = 12V
VOUT2 = 5V
90
SW2
LT3508
35.7k
95
FB1
FB2
VC1
VC2
TRACK/SS1
TRACK/SS2
PG1
PG2
GND
56.2k
43k
RT/SYNC
52.3k
fSW = 700kHz
10µF
10.7k
EFFICIENCY (%)
OUT1
3.3V
1.4A
効率
4.7µF
80
75
70
100k
65
100pF
3508 TA01a
VOUT1 = 3.3V
85
POWER
GOOD
0
0.5
1
LOAD CURRENT (A)
1.5
3508 TA01b
3508fc
1
LT3508
絶対最大定格 (Note 1、7)
VINピンの電圧 .....................................................(−0.3V)、40V
BOOSTピンの電圧 ............................................................. 60V
SWの電圧を超えるBOOST................................................ 30V
SHDN、PGの電圧 ................................................................ 40V
TRACK/SS、
FB、RT/SYNC、VCの電圧 ...................................... 6V
動作接合部温度範囲 (Note 2)
LT3508E .........................................................−40℃~125℃
LT3508I ..........................................................−40℃~125℃
LT3508H ........................................................−40℃~150℃
保存温度範囲
QFN ................................................................−65℃~150℃
TSSOP ...........................................................−65℃~150℃
リード温度 (半田付け、10秒)
TSSOP ..........................................................................300℃
ピン配置
VC2
PG2
RT/SYNC
SHDN
VC1
TOP VIEW
PG1
TOP VIEW
TRACK/SS1
1
16 FB1
BOOST1
2
15 VC1
FB1 1
SW1
3
14 PG1
TRACK/SS1 2
VIN1
4
13 RT/SYNC
GND 3
VIN2
5
12 SHDN
GND 4
SW2
6
11 PG2
GND 5
14 GND
BOOST2
7
10 VC2
GND 6
13 GND
TRACK/SS2
8
9
16 GND
25
15 GND
SW2
9 10 11 12
BOOST2
8
VIN2
7
VIN1
FE PACKAGE
16-LEAD PLASTIC TSSOP
θJA = 40°C/W, θJC = 10°C/W
EXPOSED PAD (PIN 17) IS GND AND MUST BE SOLDERED TO PCB
17 TRACK/SS2
SW1
FB2
18 FB2
BOOST1
17
24 23 22 21 20 19
UF PACKAGE
24-LEAD (4mm × 4mm) PLASTIC QFN
θJA = 40°C/W, θJC = 10°C/W
EXPOSED PAD (PIN 25) IS GND AND MUST BE SOLDERED TO PCB
発注情報
鉛フリー仕様
テープアンドリール
製品マーキング*
パッケージ
温度範囲
LT3508EFE#PBF
LT3508EFE#TRPBF
3508FE
16-Lead Plastic TSSOP
–40°C to 125°C
LT3508IFE#PBF
LT3508IFE#TRPBF
3508FE
16-Lead Plastic TSSOP
–40°C to 125°C
LT3508HFE#PBF
LT3508HFE#TRPBF
3508HFE
16-Lead Plastic TSSOP
–40°C to 150°C
LT3508EUF#PBF
LT3508EUF#TRPBF
3508
24-Lead (4mm × 4mm) Plastic QFN
–40°C to 125°C
LT3508IUF#PBF
LT3508IUF#TRPBF
3508
24-Lead (4mm × 4mm) Plastic QFN
–40°C to 125°C
LT3508HUF#PBF
LT3508HUF#TRPBF
3508H
24-Lead (4mm × 4mm) Plastic QFN
–40°C to 150°C
さらに広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。 *温度グレードは出荷時のコンテナのラベルで識別されます。
非標準の鉛ベース仕様の製品の詳細については、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。
鉛フリー仕様の製品マーキングの詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/leadfree/ をご覧ください。
テープアンドリールの仕様の詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/tapeandreel/ をご覧ください。
3508fc
2
LT3508
電気的特性
●は全動作温度範囲の規格値を意味する。
それ以外はTA = 25℃での値。注記がない限り、VIN = 12V。(Note 2)
PARAMETER
CONDITIONS
MIN
Minimum Operating Voltage, VIN1
TYP
MAX
l
3.4
3.7
l
UNITS
V
Minimum Operating Voltage, VIN2
VIN1 = 12V
2.5
3.0
V
VIN1 Quiescent Current
Not Switching
4.3
5.2
mA
VIN2 Quiescent Current
Not Switching
320
500
µA
Shutdown Current (VIN1 + VIN2)
VSHDN = 0.3V
FB Voltage
l
FB Pin Bias Current (Note 3)
VFB = 0.800V, VC = 0.5V
FB Voltage Line Regulation
5V < VIN < 40V
0.790
0.784
l
0.1
2
µA
0.800
0.814
0.816
V
V
50
300
nA
0.01
%/V
Error Amp Transconductance
300
µS
Error Amp Voltage Gain
600
V/V
2.5
A/V
VC to Switch Current Gain
Switching Frequency
RT = 33.2k
Switching Phase
RT = 33.2k
Maximum Duty Cycle (Note 4)
RT = 33.2k
RT = 7.50k
RT = 169k
Foldback Frequency
RT = 33.2k, VFB = 0V
Switch Current Limit (Note 5)
Duty Cycle = 15%
Switch VCESAT
ISW = 1.5A
l
l
l
0.92
1
1.06
MHz
150
180
210
Deg
84
90
80
98
%
%
%
120
kHz
2.0
2.6
3.2
300
A
mV
Switch Leakage Current
0.01
1
µA
Minimum Boost Voltage
1.7
2.5
V
Boost Pin Current
ISW = 1.5A, VBOOST = 17V
35
50
mA
TRACK/SS Pin Current
VTRACK/SS = 0V
0.8
1.2
2.2
µA
PG Threshold Offset
VFB Rising
56
75
110
mV
PG Voltage Output Low
VFB = 0.6V, IPG = 250µA
0.13
0.4
V
PG Pin Leakage
VPG = 2V
0.01
1
µA
2.53
2.63
2.73
V
6
8
10
µA
5.5
7.5
9.5
µA
1
1.25
SHDN Threshold Voltage
SHDN Input Current (Note 6)
VSHDN = 60mV Above Threshold Voltage
SHDN Threshold Current Hysteresis
SYNC Threshold Voltage
SYNC Input Frequency
Note 1:絶対最大定格に記載された値を超すストレスはデバイスに永続的損傷を与える可能
性がある。長期にわたって絶対最大定格条件に曝すと、
デバイスの信頼性と寿命に悪影響を
与える可能性がある。
Note 2:LT3508Eは0℃~125℃の接合部温度範囲で性能仕様に適合することが保証されてい
る。−40℃~125℃の動作接合部温度範囲での仕様は設計、特性評価および統計学的なプロ
セス・コントロールとの相関で確認されている。LT3508Iは−40℃~125℃の動作接合部温度範
囲で保証されている。LT3508Hは−40℃~150℃の動作接合部温度範囲で保証されている。高
い接合部温度は動作寿命に悪影響を及ぼす。接合部温度が125℃を超えると動作寿命は短く
なる。
0.25
1.5
V
2.5
MHz
Note 3:電流はピンから流れ出す。
Note 4:VBOOST = 12V。
VBOOST > VIN+2.5Vのとき、回路はLT3508の最大デューティ・サイクルを
増加させる。詳細については
「アプリケーション情報」
のセクションの
「最小動作電圧」
を参照。
Note 5:電流制限は設計および静的テストとの相関によって保証されている。
高いデューティ・
サイクルではスロープ補償により電流制限が低下する。
Note 6:電流はピンに流れ込む。
Note 7:このデバイスには短時間の過負荷状態の間デバイスを保護するための過温度保護機
能が備わっている。過温度保護機能がアクティブなとき接合部温度は最大動作接合部温度
範囲を超える。規定された最高動作接合部温度を超えた動作が継続すると、
デバイスの信頼
性を損なうおそれがある。
3508fc
3
LT3508
標準的性能特性
効率、VOUT = 3.3V
TA = 25°C
f = 700kHz
90
VIN = 12V
EFFICIENCY (%)
VIN = 32V
80
75
70
65
TA = 25°C
f = 700kHz
85
VIN = 24V
85
EFFICIENCY (%)
90
効率、VOUT = 1.8V
85
VIN = 12V
VIN = 24V
80
75
VIN = 32V
70
65
0
0.5
1
LOAD CURRENT (A)
60
1.5
VIN = 3.3V
75
VIN = 5V
70
VIN = 12V
65
60
0
0.5
1
LOAD CURRENT (A)
3508 G01
55
1.5
0
0.5
1
LOAD CURRENT (A)
1.5
3508 G02
帰還電圧
3.0
0.810
3508 G03
スイッチ電流リミットと温度
3.0
スイッチ電流リミットと
デューティ・サイクル
TA = 25°C
TYPICAL
2.5
2.5
0.800
CURRENT LIMIT (A)
0.805
CURRENT LIMIT (A)
FEEDBACK VOLTAGE (V)
TA = 25°C
f = 1MHz
80
EFFICIENCY (%)
効率、VOUT = 5V
95
2.0
1.5
1.0
0.795
0.5
0.790
–50 –25
0
0
100
75
50
25
0
0.5
1.0
1.5
FREQUENCY (MHz)
2.0
2.5
3508 G07
40
60
DUTY CYCLE (%)
3.0
RT = 33.2k
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0
–50 –25
0
100
80
スイッチング周波数フォールド
バック
SWITCHING FREQUENCY (MHz)
SWITCHING FREQUENCY (MHz)
RT (kΩ)
1.2
TA = 25°C
125
20
3508 G06
スイッチング周波数と温度
150
0
3508 G05
スイッチング周波数とRT
0
1.0
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3508 G04
175
MINIMUM
1.5
0.5
0
–50 –25
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
2.0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3508 G08
TA = 25°C
2.5
RT = 7.50k
2.0
1.5
1.0
RT = 33.2k
0.5
0
RT = 169k
0
100 200 300 400 500 600 700 800
FEEDBACK VOLTAGE (mV)
3508 G09
3508fc
4
LT3508
標準的性能特性
消費電流
VC電圧
2.5
TA = 25°C
4.5
VIN1
4.0
30
2.0
CLAMP VOLTAGE
VC VOLTAGE (V)
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
1.0
TO SWITCH
15 20 25 30
INPUT VOLTAGE (V)
35
0
–50 –25
40
0
3508 G10
SOURCING
10
0
25
50
75
100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3508 G12
BOOSTピンの電流
35
TA = 25°C
TA = 25°C
30
300
250
200
150
100
25
20
15
10
5
50
0
15
3508 G11
スイッチの電圧降下
350
20
0
–50 –25
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
BOOST PIN CURRENT (mA)
10
1
0.5
SWITCH CURRENT (A)
0
0
1.5
1
0.5
SWITCH CURRENT (A)
0
1.5
3508 G14
3508 G13
SHDNピンの電流
低電圧ロックアウト
4.0
120
TA = –45°C
100
3.0
TA = 125°C
80
VIN1
3.5
INPUT VOLTAGE (V)
5
SWITCH VOLTAGE (mV)
0
SINKING
25
5
VIN2
0.5
0
1.5
0.5
SHDN PIN CURRENT (µA)
INPUT CURRENT (mA)
誤差アンプの出力電流
35
OUTPUT CURRENT (µA)
5.0
TA = 25°C
60
40
VIN2
2.5
2.0
1.5
1.0
20
0
0.5
0
5
10 15 20 25 30
SHDN PIN VOLTAGE (V)
35
40
3508 G15
0
–50 –25
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3508 G16
3508fc
5
LT3508
ピン機能
BOOST1、
BOOST2:これらのBOOSTピンを使って、
入力電圧よ
SW1、
SW2:SWピンは内部パワー・スイッチの出力です。
これら
りも高いドライブ電圧を内部NPNパワー・スイッチに与えま
す。VOUTやVINなどの2.8V以上の電源にダイオードを介して
接続します。
のピンは、
インダクタ、
キャッチ・ダイオードおよび昇圧コンデン
サに接続します。
露出パッド:パッケージの露出したパッド・メタルにより、
グラ
ンドへの電気的接触とプリント回路基板への十分な熱的接
触の両方が実現されます。最適動作のため、露出パッドを回
路基板に半田付けする必要があります。
2本のチャネルをソフトスタートさせますので、
片方のチャネル
が他方の出力をトラッキングするか、
または両方のチャネルが
別の出力をトラッキングすることができます。
トラッキングの場
合、抵抗分割器をトラッキングされる出力からこのピンに接
続します。
ソフトスタートの場合、
コンデンサをこのピンに接続
します。内部の1.2μAソフトスタート電流がコンデンサを充電
して、
このピンに電圧ランプを生じさせます。TSSOPパッケー
ジでは、
これらのピンを使用しない場合、各ピンからGNDに
47pF以上のコンデンサを接続します。
FB1、
FB2:LT3508は各帰還ピンを0.800Vに安定化します。
帰
還抵抗分割器のタップをこれらのピンに接続します。
GND:GNDピンを露出パッドとグランド・プレーンに直接接続
します。
PG1、
PG2:パワーグッド・ピンは内部コンパレータのオープン・
コレクタ出力です。PGはFBピンが最終安定化電圧の10%以
内に入るまで L に保たれます。出力の安定化状態を示すだ
けでなく、PGピンを使って2つのスイッチング・レギュレータの
シーケンスを制御することができます。
これらのピンは接続し
ないままにしておいてもかまいません。PG出力はV IN1が3.7V
を超えており、SHDNが H のとき有効です。PGコンパレータ
はシャットダウン時にはディスエーブルされます。
RT/SYNC:RT/SYNCピンを使って内部発振器の周波数を設定
します。1MHzのスイッチング周波数の場合、33.2kの抵抗を
RT/SYNCからGNDに接続します。
デバイスを外部周波数に同
期させるには、正負のパルス幅が少なくとも80nsのロジック・レ
ベルの信号を使ってRT/SYNCピンをドライブします。
SHDN:このシャットダウン・ピンを使ってLT3508をシャットダウ
ン・モードにします。LT3508をシャットダウンするには、
このピ
ンを0.3Vより下に引き下げます。2.63Vのスレッショルドは精
確な低電圧ロックアウト
(UVLO)
として機能することができ、
入力電圧がプログラムされたレベルに達するまで、
レギュレー
タが動作するのを抑止します。SHDNをVIN1より6Vを超えてド
ライブしないでください。
TRACK/SS1、
TRACK/SS2:それぞれのTRACK/SSピンを使って
VC1、
VC2:VCピンは内部誤差アンプの出力です。
これらのピン
の電圧により、
ピーク・スイッチ電流が制御されます。
これらの
ピンは制御ループの補償に通常使われますが、
ループを無効
にするのにも使うことができます。各スイッチング・レギュレータ
をシャットダウンするには、
オープン・ドレインを使ってこれら
のピンをグランドに引き下げます。
VIN1:VIN1ピンはLT3508の内部回路とSW1に接続された内部
パワー・スイッチに電流を供給します。
このピンはローカルにバ
イパスする必要があります。
チャネル1またはチャネル2が動作
するには、VIN1が3.7Vより大きくなければなりません。
VIN2:VIN2ピンはSW2に接続された内部パワー・スイッチに電
流を供給します。
このピンはローカルにバイパスする必要があ
ります。
このピンは、
チャネル2の電力が別のソースから来ない
限り、直接V IN1に接続します。
チャネル2が動作するには、VIN2
が3Vより大きく、VIN1が3.7Vより大きくなければなりません。
3508fc
6
LT3508
ブロック図
SHDN
VIN1
INT REG
AND REF
TRACK/SS
RT/SYNC
CLK1
MASTER
OSC
CLK2
1.2µA
VIN
VIN
CIN
0.75V
+
Σ
SLOPE
R
S
C1
BOOST
D2
Q
SLAVE
OSC
CLK
C3
SW
L1
OUT
+
ERROR
AMP
0.625V
VC
–
CC
+
TRACK/SS
R1
R2
0.80V
+
ILIMIT
CLAMP
C1
75mV
PG
GND
+
–
CF
RC
FB
+
+
–
–
D1
3508 F01
図1.LT3508と関連外付け部品のブロック図(2つのスイッチング・レギュレータの片方だけが示されている)
3508fc
7
LT3508
動作
LT3508はデュアルの固定周波数、電流モード・レギュレータ
で、パワー・スイッチを内蔵しています。
ブロック図を参照する
と動作をよく理解できます。SHDNピンがグランドに接続され
ているとLT3508はシャットダウンし、VINピンに接続された入
力ソースから微小電流が流れます。SHDNピンが1Vを超える
と、内部レギュレータ、
リファレンス、発振器などの内部バイア
ス回路がオンします。
スイッチング・レギュレータはSHDNピン
が2.63Vを超えてはじめて動作を開始します。
このスイッチャは電流モードのレギュレータです。パワー・ス
イッチのデューティ・サイクルを直接変調する代わりに、帰還
ループがサイクル毎にスイッチを流れるピーク電流を制御しま
す。電圧モードの制御に比べて、電流モードの制御ではルー
プの動特性が改善され、サイクル毎に電流を制限します。発
振器からのパルスにより、RSフリップ・フロップがセットされ、
内部NPNパワー・スイッチがオンします。
スイッチと外部インダ
クタを流れる電流が増加し始めます。
この電流がVCの電圧で
定まるレベルを超えると、電流コンパレータC1がフリップ・フ
ロップをリセットしてスイッチをオフします。
インダクタの電流は
外部ショットキー・ダイオードを通って流れ、減少し始めます。
発振器からの次のパルスにより、
このサイクルが再度開始され
ます。
このようにして、VCピンの電圧により、
インダクタを通って
出力に流れる電流が制御されます。
内部誤差アンプはVCピン
の電圧を連続的に調節して出力電流を安定化します。VCピン
のスイッチング・スレッショルドは0.8Vで、1.75Vのアクティブ・
クランプにより出力電流を制限します。
スイッチング周波数はRT/SYNCピンからGNDに接続された抵
抗またはRT/SYNCピンをドライブするロジック・レベル信号の
周波数のどちらかによって設定されます。
このピンにSYNC信
号が存在するかを検出回路がモニタして、2つのモードを切り
替えます。固有の回路が適切なスロープ補償ランプを発生し、
2本のチャネルのための180゚位相がずれたクロックを発生しま
す。
スイッチング・レギュレータは過負荷状態のあいだ周波数
フォールドバックをおこないます。VFBが0.625Vより低いとアン
プが検知して、最大周波数から公称周波数の12%(VFB = 0V
のとき)
まで発振器周波数を下げ始めます。FBピンは起動時、
短絡時、
さらに過負荷状態のとき0.8Vを下回ります。周波数
フォールドバックはこれらの状態でスイッチ電流を制限するの
に役立ちます。
スイッチ・ドライバはV INピンまたはBOOSTピンのどちらかで
動作します。外付けのコンデンサとショットキー・ダイオードを
使って入力電源より高い電圧をBOOSTピンに発生させます。
これにより、
ドライバは内部バイポーラNPNパワー・スイッチを
飽和させ、高い効率で動作させることができます。
TRACK/SSピンは誤差アンプへの代替入力として機能しま
す。
アンプは0.8VのリファレンスまたはTRACK/SSピンの電圧
のどちらか低い方の電圧を誤差アンプの正入力として使いま
す。TRACK/SSピンは定電流源によってドライブされますの
で、
このピンに1個のコンデンサを接続すると、
出力電圧のリニ
アなランプが発生します。
片方のスイッチング・レギュレータの
出力からの抵抗分割器にTRACK/SSピンを接続すると、一方
の出力が他方の出力をトラッキングすることができます。
PG出力はオープン・コレクタ・トランジスタで、出力が安定化
しているときオフしているので、外部抵抗によりPGピンを H
に引き上げることができます。LT3508がイネーブルされていて
(SHDNピンが H )、VIN1が約3.7Vを超えているときパワー
グッドは有効です。
3508fc
8
LT3508
アプリケーション情報
出力電圧の設定
出力電圧は出力とFBピンの間に接続した抵抗分割器を使っ
てプログラムします。次式に従って1%抵抗を選択します。
V

R1 = R2  OUT – 1
 0.8 V 
バイアス電流による誤差を避けるため、R2は20k以下にしま
す。参照名についてはブロック図を参照してください。
最小動作電圧
最小動作電圧はLT3508の低電圧ロックアウトまたは最大
デューティ・サイクルのどちらかによって決まります。V IN1と
VIN2を相互に結線すると、低電圧ロックアウトは3.7V以下に
なります。
これら2つの入力が別個に使われると、VIN1の低電
圧ロックアウトは3.7V以下で、V IN2の低電圧ロックアウトは
3V以下になります。
内部電源はVIN1によって動作しますので、
V IN1 > 3.7Vでない限り、チャネル2は動作しません。
デュー
ティ・サイクルは内部スイッチがオンしている時間の割合であ
り、入力電圧と出力電圧によって決まります。
DC =
VOUT + VF
VIN – VSW + VF
多くの固定周波数レギュレータとは異なり、LT3508は複数サ
イクルの間オンすることによりデューティ・サイクルを拡張する
ことができます。十分な電圧が昇圧コンデンサ
(図1のC3)
の
両端にあれば、LT3508は各クロック・サイクルの終点でスイッ
チをオフしません。
やがて、昇圧コンデンサの電圧が低下し、
リ
フレッシュが必要になります。回路がこの状態を検出し、強制
的にスイッチをオフしますので、
インダクタ電流が昇圧コンデ
ンサを充電することができます。
これにより、最大デューティ・
サイクルが次のように制限されます。
DCMAX =
1
1+
1
β SW
ここで、
「 標準的性能特性」のセクションに示されているよう
に、βSWはSWピンの電流をBOOSTピンの電流で割ったもの
に等しくなります。
したがって、最小入力電圧は次のようになり
ます。
VIN(MIN) =
VOUT + VF
– VF + VSW
DCMAX
ここで、V F はキャッチ・ダイオードの順方向電圧降下(約
0.4V)、VSWは内部スイッチの電圧降下(最大負荷で約0.4V)
です。
例:ISW = 1.5AおよびIBOOST = 50mA、VOUT = 3.3V、βSW =
1.5A/50mA = 30、DCMAX = 1/(1+1/30) = 96%;
VIN(MIN) =
3.3V + 0.4V
– 0.4V + 0.4V = 3.8 V
96%
最大動作電圧
最大動作電圧はVINピンとBOOSTピンの絶対最大定格と最
小デューティ・サイクルによって決まります。
DCMIN = tON(MIN) • f
(TJ > 125℃ではtON(MIN)は
ここで、tON(MIN)は130nsに等しく
150nsに等しい)、fはスイッチング周波数です。低い周波数で
動作させると低い最小デューティ・サイクルが可能です。パル
ス・スキップが起きる前の最大入力電圧は、出力電圧と最小
デューティ・サイクルに依存します。
VIN(PS) =
VOUT + VF
– VF + VSW
DCMIN
例:f = 790kHz、V OUT = 3.3V、DC MIN = 130ns • 790kHz =
0.103:
VIN(PS) =
3.3V + 0.4V
– 0.4V + 0.4V = 36 V
0.103
LT3508はVIN(PS)より大きな入力電圧で出力電流を安定化し
ます。
たとえば、図2に示されているように、
出力電圧が1.8Vで
スイッチング周波数が1.5MHzのアプリケーションのVIN(PS)は
11.3Vです。18Vでの動作を図3に示します。
出力リップルとピー
ク・インダクタ電流が大きく増加しています。外付け部品の定
格がピーク条件を扱うのに十分であれば、
またピーク・インダ
クタ電流が3.2Aを超えなければ、出力が安定化しているとき
VIN(PS)を超えても安全です。
インダクタが飽和すると性能がさ
らに低下することがあります。起動時または過負荷状態の間
はVIN(PS)を超えてはいけません
(出力電圧が5Vを超える場合
は、VOUT = 5Vを使用してVIN(PS)を計算してください)。20Vを
超えたパルス・スキップ・モードの動作では、
スイッチング周波
数を1.1MHz以下にプログラムします。
3508fc
9
LT3508
アプリケーション情報
表1.
スイッチング周波数のプログラミング
VOUT
100mV/DIV
(AC)
SWITCHING FREQUENCY (MHz)
RT (kΩ)
2.5
7.50
2.2
9.76
2
11.5
IL
500mA/DIV
2µs/DIV
3508 F02
図2.VIN(PS)より下の動作。VIN = 10V、VOUT = 1.8VおよびfSW = 1.5MHz
VOUT
100mV/DIV
(AC)
IL
500mA/DIV
2µs/DIV
3508 F03
図3.VIN(PS)を超えた動作。VIN = 18V、VOUT = 1.8Vおよび
fSW = 1.5MHz。出力リップルとピーク・インダクタ電流が増加
スイッチング周波数の設定
スイッチング周波数は、
ロジック・レベルのSYNC信号でRT /
SYNCピンをドライブすることによって、または抵抗をR T /
SYNCピンからグランドに接続することによってプログラムさ
れます。特定の動作周波数に対するRTの値を選択するための
グラフが「標準的性能特性」のセクションに示されています。
様々なスイッチング周波数に対応したプログラミング抵抗を表
1に示します。
高いスイッチング周波数を選択すると、
ソリューション全体の
サイズを小さくすることができます。ただし、高い入力電圧で
は、
スイッチング周波数を上げると効率が大きく低下すること
があります。
スイッチング周波数の選択は、入力電圧範囲、
イン
ダクタとコンデンサの選択、
および補償にも影響を与えます。
詳細については、関連セクションを参照してください。
1.8
14
1.6
16.9
1.4
20.5
1.2
26.1
1
33.2
0.9
38.3
0.8
44.2
0.7
52.3
0.6
61.9
0.5
76.8
0.45
88.7
0.4
100
0.35
115
0.3
140
0.25
169
インダクタの選択と最大出力電流
最初に選択するインダクタの値としては次の値が良いでしょう。
L = (VOUT + VF ) •
1.2µH
f
ここでVFはキャッチ・ダイオードの電圧降下(約0.4V)
で、fの
単位はMHzです。
インダクタのRMS電流定格は最大負荷電
流より大きくなければならず、
その飽和電流は少なくとも30%
大きくなければなりません。最高の効率を得るには、直列抵抗
(DCR)
を0.1Ωより小さくします。適しているタイプと製造元の
リストを表2に示します。
表2.
インダクタの製造元
VENDOR
URL
PART SERIES
TYPE
Coilcraft
www.coilcraft
MSS7341
Shielded
Murata
www.murata.com
LQH55D
Open
TDK
www.component.tdk.com
SLF7045
SLF10145
Shielded
Shielded
Toko
www.toko.com
DC62CB
D63CB
D75C
D75F
Shielded
Shielded
Shielded
Open
Sumida
www.sumida.com
CR54
CDRH74
CDRH6D38
CR75
Open
Shielded
Shielded
Open
3508fc
10
LT3508
アプリケーション情報
特定のアプリケーションに最適なインダクタは、
この簡単な設
計ガイドで示されているものと異なることがあります。
インダク
タの値を大きくすると最大負荷電流が増加し、出力電圧リッ
プルが減少します。実際の負荷が最大負荷電流より小さけれ
ば、
インダクタの値を小さくして高いリップル電流で動作させる
ことができます。
この場合、物理的に小さいインダクタを使うこ
とができます。
あるいはDCRの小さいものを使って効率を上げ
ることができます。上述の簡単な規則と異なるインダクタンス
の場合、最大負荷電流は入力電圧に依存することに注意して
ください。
また、
インダクタンスが低いと不連続モード動作にな
ることがあり、最大負荷電流がさらに減少します。不連続モー
ド動作の詳細については、
リニアテクノロジー社の「アプリ
ケーションノート44」
を参照してください。最後に、
デューティ・
サイクルが50%を超える場合(VOUT/VIN > 0.5)、低調波発振
を防ぐため小さなインダクタンスが必要です。
LMIN = (VOUT + VF ) •
0.8µH
f
ここでfの単位はMHzです。
インダクタを流れる電流は三角波
で、
その平均値が負荷電流に等しくなります。
ピーク・スイッチ
電流は出力電流にピーク-ピーク間のインダクタ・リップル電流
の半分を足したものです。LT3508とシステムを過負荷フォール
トから保護するためにLT3508はスイッチ電流を制限します。
し
たがって、
LT3508が供給する最大出力電流は、
スイッチ電流リ
ミット、
インダクタの値、
および入力電圧と出力電圧に依存しま
す。
スイッチがオフのとき、
インダクタ両端には出力電圧にキャッ
チ・ダイオードの電圧降下を加えた電圧が加わります。
した
がって、
インダクタのピーク-ピーク間リップル電流は次のとお
りです。
∆IL =
(1– DC)(VOUT + VF )
L•f
ここで、fはLT3508のスイッチング周波数、Lはインダクタの値
です。
インダクタとスイッチのピーク電流は次のとおりです。
ISW(PK ) = IL(PK ) = IOUT +
∆IL
2
出力を安定化された状態に保つには、このピーク電流は
LT3508のスイッチ電流リミットILIMより小さくなければなりま
せん。ILIMは低デューティ・サイクルでは少なくとも2Aですが、
直線的に低下してDC = 90%では1.55Aになります。最大出力
電流は選択されたインダクタ値の関数です。
IOUT(MAX ) = ILIM –
∆IL
∆I
= 2A • (1 – 0.25 • DC) – L
2
2
リップル電流が小さくなるようにインダクタ値を選ぶと、
スイッ
チ電流リミットに近い最大出力電流が可能になります。
インダクタ選択の一方法として、
上述の単純な規則から始めて、
利用可能なインダクタを調べ、
目標とするコストとスペースに適
合するものを選択します。次に、
これらの式を使って、必要な出
力電流をLT3508が供給できるかチェックします。
これらの式は
インダクタ電流が連続して流れると仮定していることに注意して
ください。
IOUTが∆IL/2より小さいと不連続動作になります。
入力コンデンサの選択
X 7 RまたはX 5 Rタイプのセラミック・コンデンサを使って
LT3508回路のVINピンをバイパスします。500kHzを超えるス
イッチング周波数では、4.7μF以上のコンデンサを使います。
500kHzより低いスイッチング周波数では、10μF以上のコンデ
ンサを使います。VINピンが相互に結線されていれば、1個のコ
ンデンサしか必要ありません。VINピンが相互に結線されてい
なければ、各ピンにそれぞれのバイパスが必要です。以下、入
力コンデンサに関する検討事項をさらに詳しく説明します。
降圧レギュレータには入力電源から高速の立上りと立下りを
伴うパルス電流が流れます。
そのためLT3508の入力に生じる
電圧リップルを減らし、
このスイッチング電流を狭いローカル・
ループに押し込めてEMIを最小に抑えるために入力コンデンサ
が必要です。
これを効果的に実現するには、入力コンデンサは
スイッチング周波数でのインピーダンスが小さく、
リップル電流
定格が十分でなければなりません。
2つのスイッチャは同じ周波
数で動作しますが、位相とデューティ・サイクルは異なっている
ので、入力コンデンサのRMS電流の計算は簡単ではありませ
ん。
ただし、
ほとんどの電力
(V OUTとIOUTの積)
を供給している
チャネルのRMS入力電流を控えめな値として使えます。
CIN(RMS) = IOUT •
VOUT (VIN – VOUT )
VIN
<
IOUT
2
これはVIN = 2VOUT(50%のデューティ・サイクル)
で最大にな
ります。2番目の低電力チャネルに入力電流が流れるとき、位
相のずれた電流が高電力チャネルに流れる電流を相殺する
ので、入力コンデンサのRMS電流は実際には減少します。1つ
のチャネルから流れる最大負荷電流は約1.4Aであることを考
慮すると、RMSリップル電流は常に0.7Aより小さくなります。
3508fc
11
LT3508
アプリケーション情報
LT3508は周波数が高いので、入力コンデンサに必要なエネル
ギー貯蔵量は小さくてすみます。
セラミック・コンデンサはサイ
ズが小さくてインピーダンスが低いので(低等価直列抵抗:
ESR)
この用途に適しています。低ESRなので電圧リップルが
非常に小さくなります。
セラミック・コンデンサは同じ値の他の
種類のコンデンサに比べて大きなリップル電流を扱うことがで
きます。X5RとX7Rのタイプを使ってください。
値の大きなセラミック・コンデンサの代替は、値の小さなセラ
ミックと値の大きな電解コンデンサの併用です。電解コンデン
サの場合、ESRとリップル電流の要求条件を満たすにはたぶ
ん10μFより大きなものが必要でしょう。入力ソースが印加され
るとき入力コンデンサにはおそらく大きなサージ電流が流れ
ます。
タンタル・コンデンサは大きなサージ電流により損傷する
ことがあります。適切なサージ電流定格のタンタル・コンデン
サだけを使ってください。製造元がコンデンサの定格電圧より
低い電圧での使用を推奨していることもあります。
入力にセラミック・コンデンサを使用する際の最後の注意点
は次のとおりです。入力のセラミック・コンデンサは浮遊イン
ダクタンスと結合して共振タンク回路を形成することがありま
す。電源が瞬時に投入されると
(たとえば、
スイッチの入った電
源に回路を差し込む場合)、
このタンク回路がリンギングを生
じて入力電圧が倍になり、LT3508を損傷することがあります。
解決策としては、入力電圧をクランプするか、
セラミック・コン
デンサに並列に電解コンデンサを追加してタンク回路を減衰
させます。詳細については、
「アプリケーションノート88」
を参照
してください。
出力コンデンサの選択
出力コンデンサには2つの基本的な機能があります。
インダクタ
とともに、
出力コンデンサはLT3508が生成する方形波をフィル
タ処理してDC出力を生成します。
この機能では出力コンデン
サが出力リップルを決定するので、
スイッチング周波数でのイ
ンピーダンスが低いことが重要です。2番目の機能は、過渡負
荷に電流を供給してLT3508の制御ループを安定させるため
にエネルギーを貯めることです。
セラミック・コンデンサの等価
直列抵抗(ESR)
は非常に小さいので、最良のリップル性能を
与えます。次の値が適当です。
COUT =
50 V 1MHz
•
VOUT
f
ここで、COUTの単位はμFです。X5RまたはX7Rのタイプを使っ
てください。
この選択により、出力リップルが小さくなり、過渡
応答が良くなります。補償ネットワークもループ帯域幅を保つ
ように調整されていると、大きな値のコンデンサを使って過渡
性能を改善することができます。
もっと小さな値の出力コンデ
ンサを使うこともできますが、過渡性能が低下します。外部補
償ネットワークを使うと、
コンデンサの小さな値を補償するた
めにループ利得を下げることができます。
コンデンサのデータ
シートを注意深く調べて、動作条件(加えられる電圧や温度)
での実際の容量を確認してください。物理的に大きなコンデ
ンサまたは電圧定格が高いコンデンサが必要なことがありま
す。高性能電解コンデンサを出力コンデンサに使うことができ
ます。ESRが小さいことが重要ですから、
スイッチング・レギュ
レータ用のものを選択します。製造元によってESRが規定され
このタイプのコ
ている必要があり、0.05Ω以下のものにします。
ンデンサはセラミック・コンデンサより大きく、容量も大きくな
ります。
これはESRを小さくするためコンデンサを大きくする必
要があるからです。
コンデンサの製造元のリストを表3に示しま
す。
表3.
コンデンサの製造元
VENDOR
PART SERIES
COMMENTS
Panasonic
Ceramic
Polymer
Tantalum
EEF Series
Kemet
Ceramic
Tantalum
Sanyo
Ceramic
Polymer
Tantalum
Murata
Ceramic
AVX
Ceramic
Tantalum
Taiyo Yuden
Ceramic
TDK
Ceramic
T494, T495
POSCAP
TPS Series
3508fc
12
LT3508
アプリケーション情報
ダイオードの選択
キャッチ・ダイオード
(図1のD1)
はスイッチのオフ時間の間だ
け電流を流します。通常動作時の平均順方向電流は次式で
計算することができます。
ID( AVG) =
IOUT (VIN – VOUT )
VIN
公称動作に必要な電流定格より大きな電流定格のダイオー
ドを検討する唯一の理由は、出力が短絡したときのワースト
ケース条件に対応するためです。
この場合、
ダイオード電流は
標準ピーク・スイッチ電流まで増加します。
ピーク逆電圧はレギュレータの入力電圧に等しくなります。逆
電圧定格が入力電圧より大きいダイオードを使います。
いくつ
かのショットキー・ダイオードとその製造元を表4に示します。
高い周囲温度で動作する場合、逆リーク電流の小さなショッ
トキー・ダイオードの使用を検討してください。
VR
(V)
D2
IAVE
(A)
VF at 1A
(mV)
LT3508
20
0.5
MBR0540
40
0.5
620
MBRM120E
20
1
530
MBRM140
40
1
550
GND
B0530W
30
0.5
B120
20
1
500
500
(4a)
D2
30
1
1
DFLS140
40
1.1
B240
40
2
C3
BOOST
LT3508
Diodes Inc.
40
VOUT
SW
VBOOST – VSW ≅ VOUT
MAX VBOOST ≅ VIN + VOUT
MBR0520L
B130
VIN
VF at 2A
(mV)
On Semiconductor
B140HB
C3
BOOST
VIN
表4.
ショットキー・ダイオード
PART NUMBER
2.5V以上高くなければなりません。3.3V以上の出力の場合、
標準回路(図4a)が最善です。2.8V∼3.3Vの出力の場合、小
型のショットキー・ダイオード
(BAT-54など)
を使います。
さらに
低い出力電圧の場合、昇圧ダイオードは入力に接続すること
ができます
(図4b)。電圧の低い方の電圧源からBOOSTピン
の電流が供給されるので、図4aの回路の方が効率が高くなり
ます。最後に、昇圧ダイオードのアノードを少なくとも3Vある別
の電圧源に接続することができます
(図4c)。
たとえば、3.3Vの
出力を発生する場合、
その特定のチャネルがオンしているとき
常に3.3V出力がオンしているなら、昇圧ダイオードのアノード
をこの3.3V出力に接続することができます。
いずれにせよ、必
ずBOOSTピンの最大電圧を60Vより小さくし、BOOSTピンと
SWピンの間の電圧差を30Vより小さくします。
VIN
VIN
VOUT
SW
GND
VBOOST – VSW ≅ VIN
MAX VBOOST ≅ 2VIN
(4b)
510
500
BOOSTピンに関する検討事項
BOOSTピンに接続されたコンデンサとダイオードにより、入
力電圧より高い電圧がBOOSTピンに発生します。ほとんど
の場合、0.22μFのコンデンサと高速スイッチング・ダイオード
(CMDSH-3やMMSD914LT1など)で十分です。1MHz以
上のアプリケーションには、0.1μFのコンデンサで十分です。
500kHzより下で動作するアプリケーションには、0.47μF以上
のコンデンサを使います。図4に昇圧回路の構成法を3つ示し
ます。最高効率を達成するには、BOOSTピンはSWピンより
D2
VIN2 > 3V
BOOST
C3
LT3508
VIN
VIN
SW
VOUT
GND
VBOOST – VSW ≅ VIN2
MAX VBOOST ≅ VIN2 + VIN
MINIMUM VALUE FOR VIN2 = 3V
3508 F04
(4c)
図4.BOOST電圧の発生
3508fc
13
LT3508
アプリケーション情報
LT3508のアプリケーションの最小動作電圧は低電圧ロックア
ウト
(約3.7V)
および最大デューティ・サイクルによって制限さ
れます。昇圧回路も、正常に起動するための最小入力電圧を
制限します。入力電圧がゆっくりランプアップするか、出力が
既に安定化しているときLT3508がオンすると、昇圧コンデンサ
が十分充電されないことがあります。昇圧コンデンサはインダ
クタに蓄えられたエネルギーによって充電されるので、昇圧回
路を正常に動作させるには、回路はいくらかの最小負荷電流
に依存します。
この最小負荷は、入力電圧、
出力電圧および昇
圧回路の構成に依存します。最小負荷電流は回路が起動し
た後は通常ゼロになります。起動および動作に必要な最小負
荷電流を入力電圧の関数としてプロットしたものを図5に示し
ます。出力負荷電流が存在しなくても、多くの場合、放電した
最小入力電圧、VOUT = 3.3V
6.5
TA = 25°C
VOUT = 3.3V
INPUT VOLTAGE (V)
6.0
5.5
5.0
TO START
4.5
4.0
TO RUN
3.5
3.0
1
10
100
1000
LOAD CURRENT (mA)
10000
3508 F05a
最小入力電圧、VOUT = 5V
9
TA = 25°C
VOUT = 5V
INPUT VOLTAGE (V)
8
7
TO START
6
TO RUN
5
4
1
100
10
1000
LOAD CURRENT (mA)
10000
3508 G05b
図5.最小入力電圧は出力電圧、負荷電流および
昇圧回路に依存する
出力コンデンサがスイッチャの負荷となり、
スイッチャは起動す
ることができます。
プロットはV INが非常にゆっくりランプアッ
プするワーストケースを示しています。
周波数補償
LT3508は電流モード制御を使って出力を制御します。
これに
より、
ループ補償が簡素化されます。特に、LT3508は安定動
作のために出力コンデンサのESRを必要としないので、
自由に
セラミック・コンデンサを使用して出力リップルを下げ、回路の
サイズを小さくすることができます。
図1に示されているように、周波数補償はVCピンに接続され
と抵抗
た部品によって与えられます。一般に、
コンデンサ
(CC)
(RC)
を直列にグランドに接続して使います。
さらに、小さな値
のコンデンサを並列に接続することができます。
このコンデンサ
(C F)
はループ補償の一部ではなく、
スイッチング周波数のノ
イズを除くのに使われ、位相リード・コンデンサが使われてい
るか、
または出力コンデンサのESRが大きい場合にだけ必要
です。
ループ補償により安定性と過渡性能が決まります。補償ネッ
トワークの設計はいくらか複雑で、最適値はアプリケーション
に、特に出力コンデンサの種類に依存します。実際的な手法
としては、
このデータシートの回路の中の、
目的のアプリケー
ションに似た回路から出発し、補償ネットワークを調整して性
能を最適化します。次に、負荷電流、入力電圧、温度などすべ
ての動作条件にわたって安定性をチェックします。LT1375の
データシートにはループ補償のさらに詳細な説明が含まれて
おり、過渡負荷を使った安定性のテスト方法が説明されてい
ます。
LT3508の制御ループの等価回路を図6に示します。誤差アン
プは出力インピーダンスが有限のトランスコンダクタンス・アン
プです。変調器、
パワー・スイッチおよびインダクタで構成され
る電源部分はVCピンの電圧に比例した出力電流を発生する
トランスコンダクタンス・アンプとしてモデル化されます。
出力コ
ンデンサはこの電流を積分し、VCピンのコンデンサ
(CC)
は誤
差アンプの出力電流を積分するのでループに2つのポールが
生じることに注意してください。
ほとんどの場合ゼロが1つ必要
で、
出力コンデンサのESRまたはCCに直列な抵抗RCによって
生じます。
この簡単なモデルは、
インダクタの値が大きすぎず、
ループのクロスオーバー周波数がスイッチング周波数よりはる
かに低い限り有効です。
3508fc
14
LT3508
アプリケーション情報
帰還分割器の両端の位相リード・コンデンサ
(CPL)
によって
過渡応答が改善されることがあります。
LT3508
CURRENT MODE
POWER STAGE
gm = 2.5S
VSW
ERROR
AMPLIFIER
CPL
FB
–
gm =
300µS
2M
ESR
+
0.8V
VC
GND
C1
R2
RC
UVLOスレッショルドを調節する必要があれば、SHDNピンを
使うことができます。SHDNピンのコンパレータのスレッショル
ド電圧は2.63Vです。SHDNスレッショルドの上に電流ヒステ
リシスが追加されています。
これを使って、以下の式に従って
UVLOの電圧ヒステリシスを設定することができます。
OUTPUT
R1
CF
3.7Vの最小VIN1より下に下がると、
内部コンパレータがデバイ
スを強制的にシャットダウンします。
この機能を使って、
バッテ
リ駆動システムの過度の放電を防ぐことができます。
C1
+
R3 =
POLYMER
OR
TANTALUM
CERAMIC
R4 =
CC
図6.
ループ応答モデル
シャットダウンと低電圧ロックアウト
低電圧ロックアウト
(UVLO)
をLT3508に追加する方法を図7
に示します。UVLOは、入力電源が電流制限されているか、
あ
るいは入力電源のソース抵抗が比較的高い状況で通常使用
されます。
スイッチング・レギュレータはソースから一定の電力
を引き出すので、
ソース電圧が低下するにつれ、
ソース電流が
増加します。
この現象はソースからは負の抵抗負荷のように
見えるため、低いソース電圧状態では、
ソースが電流制限した
り、
あるいは低電圧にラッチすることがあります。UVLOは、
こ
の問題が発生するおそれのあるソース電圧ではレギュレータ
が動作しないようにします。
LT3508
2.6V
–
VC
R3
+
SHDN
C1
R4
TRACK/SS
8µA
7.5µA
VH = 4.75V, VL = 4.0 V
R3 =
R4 =
4.75V – 4V
= 100k
7.5µA
2.663V
= 200k
4.75V – 2.63V
– 8µA
100k
抵抗からSHDNピンへの接続は短くし、
スイッチング・ノードの
プレーン間容量あるいは表面容量を小さくします。高い抵抗
値が使われる場合、SHDNピンを1nFのコンデンサでバイパス
して、
スイッチ・ノードからのカップリングの問題を防ぎます。
ソフトスタート
LT3508の出力はTRACK/SSピンまたは内部0.8Vリファレンス
のどちらか低い方の電圧に安定化します。TRACK/SSピンか
らグランドに接続されたコンデンサが内部1.2μAの電流源に
よって充電され、0Vから安定化出力電圧まで直線的に出力を
ランプさせます。
ランプ時間は次式で与えられます。
tRAMP =
3508 F07
図7.低電圧ロックアウト
2.63V
VH – 2.63V
– 8µA
R3
例:入力が4.75Vを超えるまではスイッチングは開始されず、入
力が4Vより下に下がると停止するようにします。
3508 F06
VIN
VH – VL
7.5µA
CSS • 0.8 V
1.2 µA
起動時に、
内部のオープンコレクタ出力が両方のTRACK/SS
ピンを放電させます。
これらのピンは1.3Vにクランプされます。
3508fc
15
LT3508
アプリケーション情報
出力のトラッキングとシーケンシング
LT3508のTRACK/SSピンとPGピンを使って、
チャネル間の
複雑な出力トラッキングとシーケンシングを実現することがで
きます。5Vと3.3Vのアプリケーションの出力のトラッキングと
シーケンシングのいくつかの構成法を図8に示します。
独立したスタートアップ
各チャネルの独立したソフトスタートを図8aに示します。
各チャ
ネルの出力のランプ時間は、
「ソフトスタート」
のセクションで
説明されているように、
ソフトスタート・コンデンサによって設
定されます。
レシオメトリック・スタートアップ
同時スタートアップ
VOUT1
VOUT1
VOUT2
VOUT1
VOUT2
1V/DIV
VOUT2
1V/DIV
1V/DIV
20ms/DIV
20ms/DIV
0.1µF
TRACK/SS1 VOUT1
5V
0.22µF
5V
TRACK/SS1 VOUT1
LT3508
0.047µF
20ms/DIV
0.1µF
LT3508
TRACK/SS2 VOUT2
3.3V
5V
TRACK/SS1 VOUT1
LT3508
3.3V
TRACK/SS2 VOUT2
3.3V
TRACK/SS2 VOUT2
R1
28.7k
(8a)
R2
10.0k
(8b)
出力のシーケンシング
(8c)
制御されたパワーアップとパワーダウン
VOUT1
VOUT1
VOUT2
VOUT2
1V/DIV
1V/DIV
EXTERNAL SOURCE
20ms/DIV
0.1µF
20ms/DIV
TRACK/SS1 VOUT1
LT3508
5V
EXTERNAL
SOURCE
PG1
0.047µF
TRACK/SS2 VOUT2
3.3V
+
–
TRACK/SS1 VOUT1
5V
LT3508
TRACK/SS2 VOUT2
3.3V
R1
28.7k
R2
10.0k
(8d)
(8e)
図8
16
3508fc
LT3508
アプリケーション情報
加を許すことにより、インダクタのサイズを小さくすることが
できます。
デュアル降圧アプリケーション
(図9)
では、入力電
圧(V IN1 )
を高い方の出力電圧に降圧してから、
その電圧を
使って2番目の出力
(VIN2)
に給電します。VOUT1はその出力に
必要な電流にVOUT2が最大負荷のときのVIN2の入力電流を
加えた電流を供給できなければなりません。
図8bでは、
両方のTRACK/SSピンを相互接続することにより、
レ
シオメトリック・トラッキングが実現されています。
この構成法で
は、
TRACK/SSピンのソース電流が2倍
(2.4μA)
になりますので、
出力の立上り時間を計算するとき考慮に入れる必要があります。
VOUT2の電圧を設定するのと同じ比でVOUT1からTRACK/SS2
への帰還ネットワークを接続することにより、図8cに示されて
いるアブソリュート・トラッキングが実現されます。TRACK/SS2
の1.2μAのソース電流による小さなVOUT2の電圧オフセットが
現れます。
このオフセットはR2の値をわずかに減らすことにより
補正することができます。VOUT1が安定化状態のときTRACK/
SS2が1V以上に引き上げられるような抵抗分割器を使います。
TRACK/SSが1Vより下だと、
出力がFBを800mVリファレンス
電圧より低い電圧に安定化することがあります。
複数の入力電圧を使うアプリケーションでは、LT3508はわず
か3Vの入力電圧までV IN2に受け入れることができます。
これ
は、12Vの入力は電力が制限されており、3.3Vの入力は電力
を他の出力をドライブするのに利用できる、
PCI Expressバスか
らの出力を安定化するアプリケーションに役立つ可能性があ
ります。
この場合、12V入力をVIN1に接続し、3.3V入力をVIN2
に接続します。
回路例については、
「標準的応用例」
のセクショ
ンを参照してください。
図8dは出力シーケンシングを示しています。V OUT1が安定化
電圧の10%以内にくると、PG1がTRACK/SS2ソフトスタート・
ピンを解除しますので、VOUT2はソフトスタートを開始すること
ができます。
この場合、PG1はTRACK/SSピンによって1.3Vに
引き上げられます。
複数入力を使う場合はTRACK/SS1とTRACK/SS2を相互に
結線しないでください。VIN2が3Vより下だと、TRACK/SS2が
L になり、2つのピンが相互に結線されているとTRACK/SS1
も L に保持されて、
チャネル1の動作が妨げられます。
短絡入力と逆入力に対する保護
過度に飽和しないようにインダクタを選択すると、LT3508降
圧レギュレータは出力の短絡に耐えます。LT3508に入力が加
わっていないときに出力が高く保持されるシステムでは、考慮
すべき状況がもう1つあります。
出力の精密なランプアップとランプダウンが必要な場合、図8e
に示されているように、TRACK/SSピンをドライブします。
複数入力
VIN対VOUTの比が大きいため大きなインダクタを必要とする
アプリケーションでは、2段降圧の手法によって周波数の増
VIN
5.7V TO 36V
C1
4.7µF
ON OFF
D1
OUT1
5V
0.9A
C2
0.1µF
L1 6.8µH
C4
10µF
VIN2
VIN1
BOOST1
BOOST2
SW1
SW2
C6
100pF
C8
1nF
FB2
VC1
VC2
TRACK/SS1
TRACK/SS2
PG1
PG2
GND
L2
3.3µH
C3
0.1µF
D4
LT3508
FB1
R5
39k
D2
SHDN
D3
R1
56.2k
R3
10.7k
OUT1
R6
47k
R2
18.7k
R4
15.0k
R8
33.2k
C5
47µF
R7
100k
RT/SYNC
C9
3.3nF
OUT2
1.8V
1A
C7
330pF
fSW = 1MHz
3508 F09
POWER
GOOD
図9.広い入力範囲の5V出力と1.8V出力
(1MHz)
3508fc
17
LT3508
アプリケーション情報
それはバッテリ充電アプリケーションまたはバッテリや他の電
源がLT3508の出力とダイオードOR結合されているバッテリ・
バックアップ・システムで生じることがあります。V INピンがフ
ロート状態で、SHDNピンが(ロジック信号によって、
あるいは
VINに接続されていて)H に保持されていると、SWピンを通
してLT3508の内部回路に静止電流が流れます。
この状態で
数mAの電流を許容できるシステムであればこれは問題あり
ません。SHDNピンを接地すればSWピンの電流は実質的に
ゼロに低下します。
ただし、出力を高く保持した状態でVINを
接地すると、
出力からSWピンおよびVINピンを通ってLT3508
内部の寄生ダイオードに大きな電流が流れる可能性がありま
す。入力電圧が与えられているときだけ動作し、短絡入力や逆
入力に対して保護する回路を図10に示します。
PARASITIC DIODE
D4
VIN
VIN
SW
VOUT
PCBのレイアウト
動作を最適化し、EMIを最小にするには、
プリント回路基板の
レイアウト時に注意が必要です。推奨PCBレイアウトおよびト
レースとスルーホールの位置を図11に示します。大きなスイッ
チング電流がLT3508のVINピンとSWピン、
キャッチ・ダイオー
ド
(D1)
および入力コンデンサ
(CIN)
を流れることに注意して
ください。
これらの部品が形成するループはできるだけ小さく
します。
これらの部品とインダクタおよび出力コンデンサは回
路基板の同じ側に配置し、
それらをその層で接続します。
これ
らの部品の下には切れ目のないローカル・グランド・プレーン
を配置します。SWノードとBOOSTノードはできるだけ小さくし
ます。最後に、
グランド・トレースがSWノードとBOOSTノード
からFBノードとV CノードをシールドするようにFBノードとVC
ノードは小さくします。
パッケージの底の露出パッドは、
ヒート
シンクとして機能するように、
グランド・プレーンに半田付けす
る必要があります。熱抵抗を低く保つには、
グランド・プレーン
をできるだけ広げ、基板内の追加グランド・プレーンや裏側へ
のサーマル・ビアをLT3508の下や近くに追加します。
LT3508
3508 F10
図10.
ダイオードD4は、
出力に接続されたバックアップ用
バッテリが入力の短絡によって放電するのを防ぐ
(11a)FE16パッケージのレイアウト例
(11b)QFNパッケージのレイアウト例
図11.優れたPCBレイアウトは適切な低EMI動作を保証する
3508fc
18
LT3508
アプリケーション情報
6Vを超える出力
高温に関する検討事項
6Vを超える出力の場合、1k∼2.5kの抵抗をインダクタの両端
LT3508のダイ温度は125℃(Hグレードでは150℃)
の最大定
に追加し、
SWノードの不連続リンギングを減衰させて、意図
格より低くなければなりません。
これは、
周囲温度が85℃を超
せぬSW電流を防ぎます。
「標準的応用例」
のセクションの12V
えない限り一般に心配いりません。
もっと高い温度では、回路
出力の回路にはこの抵抗を置く位置が示されています。
のレイアウトに注意してLT3508に十分なヒートシンクを与えま
す。最大負荷電流は周囲温度が125℃
(Hグレードでは150℃)
リニアテクノロジー社の他の出版物
に近づくにつれディレーティングします。
ダイ温度はLT3508の
消費電力に接合部から周囲への熱抵抗を掛けて計算します。 「アプリケーションノート」の19、35および44には降圧レギュ
レータと他のスイッチング・レギュレータの詳細な説明と設計
LT3508内部の電力消費は効率測定から計算される総電力
情報が含まれています。LT1376のデータシートには出力リップ
損失からキャッチ・ダイオードの損失を差し引いて推測するこ
ル、
ループ補償および安定性のテストに関するさらに広範な
とができます。熱抵抗は回路基板のレイアウトに依存します
「デザインノート318」
には降圧レギュ
が、30℃/W∼60℃/Wが標準的な値です。
ダイ温度の上昇は、 説明が与えられています。
レータを使って両方の極性の電源出力を発生させる方法が
6.5cm 7.5cmの4層回路基板を使い、静止空気中で1.4A(fSW
示されています。
= 700kHz)
の負荷で測定されました。12V入力から3.3V出力
の場合、
ダイ温度の上昇は周囲温度より13℃上でした。24V
入力から3.3V出力の場合、上昇は18℃でした。12V入力から
5V出力では、上昇は14℃で、24V入力から5V出力では上昇は
19℃でした。
標準的応用例
シーケンス制御付きの3.3V出力と1.8V出力
(1MHz)
VIN
3.9V TO 16V
C1
4.7µF
D1
OUT2
OUT1
1.8V
1.4A
C2
0.1µF
L1 3.3µH
C4
47µF
VIN1 VIN2 SHDN
BOOST1
BOOST2
SW1
D3
R1
18.7k
R3
15.0k
ON OFF
SW2
R5
47k
C6
330pF
FB2
VC1
VC2
TRACK/SS1
TRACK/SS2
PG1
PG2
GND
R6
39k
R8
33.2k
fSW = 1MHz
OUT2
3.3V
1.4A
L2 4.7µH
R2
35.7k
R4
11.5k
C5
10µF
R7
100k
RT/SYNC
C8
1nF
C1 TO C5: X5R OR X7R
D1, D2: MMSD4148
D3: DIODES INC. B140
D4: DIODES INC. B240A
C3
0.1µF
D4
LT3508
FB1
D2
C7
150pF
3508 TA02
POWER
GOOD
3508fc
19
LT3508
標準的応用例
出力シーケンス制御付きの、3.3Vと5Vのデュアル出力降圧コンバータ
VIN
5.7V TO 36V
C1
4.7µF
D1
C2
0.22µF
L1 6.8µH
OUT1
3.3V
1.4A
ON OFF
VIN1 VIN2 SHDN
BOOST1
SW1
D3
R1
35.7k
BOOST2
SW2
R5
51k
C6
150pF
C4
22µF
VC1
VC2
TRACK/SS1
TRACK/SS2
PG1
PG2
GND
R2
56.2k
R4
10.7k
R6
43k
C5
10µF
R7
100k
RT/SYNC
R8
52.3k
OUT2
5V
1.4A
L2 10µH
FB2
C8
1nF
C1 TO C5: X5R OR X7R
D1, D2: MMSD4148
D3: DIODES INC. B140
D4: DIODES INC. B240A
C3
0.22µF
D4
LT3508
FB1
R3
11.5k
D2
C7
100pF
fSW = 700kHz
3508 TA03
POWER
GOOD
入力範囲の広い5V出力と1.8V出力
(1MHz)
VIN
5.7V TO 36V
C1
4.7µF
ON OFF
D1
OUT1
5V
0.9A
C2
0.1µF
L1 6.8µH
C4
10µF
VIN2
VIN1
BOOST1
BOOST2
SW1
SW2
C6
100pF
C8
1nF
C1 TO C5: X5R OR X7R
D1, D2: MMSD4148
D3: DIODES INC. B240A
D4: DIODES INC. B120
C3
0.1µF
D4
LT3508
FB1
R5
39k
D2
SHDN
D3
R1
56.2k
R3
10.7k
OUT1
FB2
VC1
VC2
TRACK/SS1
TRACK/SS2
PG1
PG2
GND
R6
47k
R8
33.2k
fSW = 1MHz
OUT2
1.8V
1A
R2
18.7k
R4
15.0k
C5
47µF
R7
100k
RT/SYNC
C9
3.3nF
L2
3.3µH
C7
330pF
3508 TA04
POWER
GOOD
3508fc
20
LT3508
標準的応用例
5V出力と12V出力
(1MHz)
VIN
14V TO 36V
C1
4.7µF
D1
OUT2
OUT1
12V
1.4A*
C2
0.1µF
L1 15µH
R2 1k
C4
4.7µF
VIN1 VIN2 SHDN
BOOST1
C6
100pF
C3
0.1µF
OUT2
5V
1.4A*
L2 6.8µH
SW2
D4
LT3508
FB1
R5
43k
D2
BOOST2
SW1
D3
R1 154k
R4
11.0k
ON OFF
FB2
VC1
VC2
TRACK/SS1
TRACK/SS2
PG1
PG2
GND
R6
39k
R9
33.2k
fSW = 1MHz
C1 TO C5: X5R OR X7R
D1, D2: MMSD4148
D3: DIODES INC. B240A
D4: DIODES INC. B140
R2: 0.25W抵抗を使う。30Vを超える連続動作では、
C5
10µF
R7
10.7k
R8
100k
RT/SYNC
C8
1nF
R3
56.2k
C7
100pF
3508 TA06
POWER
GOOD
2個の2k、0.25Wの抵抗を並列に使う
*高い周囲温度と高い入力電圧では、
出力電流をディレーティングして
接合部温度を絶対最大定格より下に保つ
3508fc
21
LT3508
パッケージ
FEパッケージ
16ピン・プラスチックTSSOP (4.4mm)
(Reference LTC DWG # 05-08-1663)
露出パッドのバリエーションBA
4.90 – 5.10*
(.193 – .201)
2.74
(.108)
2.74
(.108)
16 1514 13 12 1110
6.60 ±0.10
9
2.74
(.108)
4.50 ±0.10
2.74 6.40
(.108) (.252)
BSC
SEE NOTE 4
0.45 ±0.05
1.05 ±0.10
0.65 BSC
1 2 3 4 5 6 7 8
推奨半田パッド・レイアウト
4.30 – 4.50*
(.169 – .177)
0.09 – 0.20
(.0035 – .0079)
NOTE:
1. 標準寸法:ミリメートル
ミリメートル
2. 寸法は
(インチ)
3. 図は実寸とは異なる
0.25
REF
1.10
(.0433)
MAX
0˚ – 8˚
0.50 – 0.75
(.020 – .030)
0.65
(.0256)
BSC
0.195 – 0.30
(.0077 – .0118)
TYP
0.05 – 0.15
(.002 – .006)
FE16 (BA) TSSOP 0204
4. 露出パッド接着のための
推奨最小PCBメタルサイズ
*寸法にはモールドのバリを含まない。
モールドのバリは
各サイドで0.150mm(0.006")
を超えないこと
3508fc
22
LT3508
パッケージ
UFパッケージ
24ピン・プラスチックQFN (4mm 4mm)
(Reference LTC DWG # 05-08-1697)
0.70 ±0.05
4.50 ± 0.05
2.45 ± 0.05
3.10 ± 0.05 (4 SIDES)
パッケージの外形
0.25 ±0.05
0.50 BSC
推奨する半田パッドのピッチと寸法
4.00 ± 0.10
(4 SIDES)
底面図̶露出パッド
R = 0.115
TYP
0.75 ± 0.05
ピン1のノッチ
R = 0.20(標準)
または
0.35 45 の面取り
23 24
0.40 ± 0.10
PIN 1
TOP MARK
(NOTE 6)
1
2
2.45 ± 0.10
(4-SIDES)
(UF24) QFN 0105
0.200 REF
0.00 – 0.05
0.25 ± 0.05
0.50 BSC
NOTE:
1. 図はJEDECパッケージ外形MO-220のバリエーション
(WGGD-X)
にするよう提案されている
(承認待ち)
2. 図は実寸とは異なる
3. すべての寸法はミリメートル
4. パッケージ底面の露出パッドの寸法にはモールドのバリを含まない。
モールドのバリは
(もしあれば)各サイドで0.15mmを超えないこと
5. 露出パッドは半田メッキとする
6. 網掛けの部分はパッケージのトップとボトムのピン1の位置の参考に過ぎない
3508fc
リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責務は一切負い
ません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料はあくまでも参考資
料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。
23
LT3508
標準的応用例
PCI Expressから5V出力と1.8V出力
VIN
12V
C1
4.7µF
R9
40.2k
OUT1
5V
0.9A
BOOST1
C3
0.1µF
L1 6.8µH
BOOST2
SW1
D3
R1
52.3k
R3
10k
D2
SHDN
D1
R10
14.7k
VIN2
VIN1
VIN2
3.3V
C2
4.7µF
SW2
R5
43k
C9
100pF
C6
10µF
D4
LT3508
FB1
C8
0.047µF
FB2
VC1
VC2
TRACK/SS1
TRACK/SS2
PG1
PG2
GND
R6
47k
R8
33.2k
fSW = 1MHz
L2
3.3µH
OUT2
1.8V
1.4A
R2
18.7k
R4
15.0k
C5
47µF
R7
100k
RT/SYNC
C10
0.047µF
C1 TO C6: X5R OR X7R
D1, D2: MMSD4148
D3: DIODES INC. B140
D4: DIODES INC. B120
C4
0.1µF
C7
330pF
3508 TA05
POWER
GOOD
関連製品
製品番号
説明
注釈
LT1765
25V、
2.75A (IOUT)、1.25MHz高効率降圧
DC/DCコンバータ
VIN:3V∼25V、VOUT(MIN) = 1.2V、IQ = 1mA、S8、
TSSOP16Eパッケージ
LT1766
60V、
1.2A (IOUT)、200kHz高効率降圧
DC/DCコンバータ
VIN:5.5V∼60V、VOUT(MIN) = 1.2V、IQ = 2.5mA、
TSSOP16/TSSOP16Eパッケージ
LT1767
25V、
1.2A (IOUT)、1.25MHz高効率降圧
DC/DCコンバータ
VIN:3V∼25V、VOUT(MIN) = 1.2V、IQ = 1mA、MS8、
MS8Eパッケージ
LT1940/LT1940L デュアル、
モノリシックの1.4A、1.1MHz
降圧スイッチング・レギュレータ
VIN:3.6V∼25V、VOUT(MIN) = 1.25V、IQ = 3.8mA、
TSSOP16Eパッケージ
LTC3407
デュアル600mA、1.5MHz同期整流式降圧
レギュレータ
VIN:2.5V∼5.5V、VOUT(MIN) = 0.6V、IQ = 40μA、
MSEパッケージ
LT3493
2mm 3mm DFNの1.2A、750kHz降圧
スイッチング・レギュレータ
VIN:3.6V∼36V、VOUT(MIN) = 0.78V、IQ = 1.9mA、
2mm 3mm DFNパッケージ
LT3501/LT3510
デュアル3A/2A、1.5MHz高効率降圧
スイッチング・レギュレータ
VIN:3.6V∼25V、VOUT(MIN) = 0.8V、IQ = 3.7mA、ISD < 10μA、
TSSOP20Eパッケージ
LT3506/LT3506A デュアル、
モノリシックの1.6A、1.1MHz降圧
スイッチング・レギュレータ
VIN:3.6V∼25V、VOUT(MIN) = 0.8V、IQ = 3.8mA、
16ピンDFNと16ピンTSSOPEパッケージ
LTC3701
2フェーズ、
デュアル、500kHz、固定周波数、
電流モード、高効率降圧DC/DCコンバータ
VIN:2.5V∼10V、VOUT(MIN) = 0.8V、IQ = 460μA、
SSOP-16パッケージ
LTC3736
デュアル、2フェーズ、No RSENSE™、
同期整流式コントローラ、
出力トラッキング付き
VIN:2.75V∼9.8V、VOUT(MIN) = 0.6V、IQ = 300μA、
4mm 4mm QFNまたはSSOP-24パッケージ
LTC3737
デュアル、2フェーズ、No RSENSE
DC/DCコントローラ、
出力トラッキング付き
VIN:2.75V∼9.8V、VOUT(MIN) = 0.6V、IQ = 220μA、
4mm 4mm QFNまたはSSOP-24パッケージ
No RSENSEはリニアテクノロジー社の商標です。
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