高精度ゼロ・ドリフト 電流シャント・モニタ AD8217 機能ブロック図 特長 高い同相モード電圧範囲 R4 AD8217 動作: 4.5 V~80 V サバイバル: 0 V~85 V バッファ付き出力電圧 –IN 広い動作温度範囲: −40°C~+125°C +IN R1 OUT R2 優れた AC/DC 性能 R3 LDO オフセット: ±100 µV/°C (typ) 09161-001 オフセット・ドリフト: ±100 nV/°C (typ) GND ゲイン・ドリフト: ±5 ppm/°C (typ) DC での CMRR: 100 dB (typ) 図 1. アプリケーション ハイサイド電流検出 48 V 通信機器 パワー・マネジメント 基地局 単方向モーター・コントロール 高精度高電圧電流源 概要 AD8217 は、高電圧高分解能の電流シャント・アンプであり、ゲ インは 20 V/V、最大ゲイン誤差は全温度範囲で ±0.35%です。 出力電圧にはバッファが付いているため、一般的なコンバータ に直接インターフェースすることができます。AD8217 は、4.5 V ~80 V で優れた同相モード除去比を提供し、高電圧レールから直 接デバイスへ電源を供給できるようにする LDO を内蔵していま す。このため、入力同相モード範囲が 4.5 V~80 V の場合、電源 の追加が不要です。AD8217 を使うと、モーター・コントロール、 バッテリ・マネジメント、基地局パワー・アンプのバイアス制 御などの様々な工業用および通信アプリケーションでシャント 抵抗を使った単方向電流測定を行うことができます。 Rev. 0 AD8217 は、−40°C~+125°C の温度範囲でブレークスルー性能 を提供します。このデバイスは、全動作温度と同相モード電圧 範囲で±100 nV/°C (typ)のオフセット・ドリフトを実現するゼ ロ・ドリフト・コアを採用しています。同相モード電圧の有無 によらず 0 mV~250 mV の入力差動電圧範囲で出力直線性を維持 し、入力オフセット電圧が ±100 µV (typ)となるように特別な注 意が払われています。 AD8217 は 8 ピン MSOP パッケージを採用し、仕様は−40°C~ +125°C の温度範囲で規定されています。 アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に 関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、 アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様 は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、各社の所有に属します。 ※日本語データシートは REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。 ©2010 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル 電話 03(5402)8200 大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー 電話 06(6350)6868 本 AD8217 目次 特長......................................................................................................1 アンプ・コア................................................................................ 10 アプリケーション ..............................................................................1 内蔵LDO ....................................................................................... 10 機能ブロック図 ..................................................................................1 アプリケーション・ノート ............................................................ 11 概要......................................................................................................1 出力直線性.................................................................................... 11 改訂履歴..............................................................................................2 アプリケーション情報 .................................................................... 12 仕様......................................................................................................3 ハイサイド電流検出 .................................................................... 12 絶対最大定格 ......................................................................................4 モーター・コントロールでの電流検出..................................... 12 ESDの注意 ......................................................................................4 外形寸法............................................................................................ 13 ピン配置およびピン機能説明 ..........................................................5 代表的な性能特性 ..............................................................................6 動作原理............................................................................................10 改訂履歴 7/10—Revision 0: Initial Version Rev. 0 - 2/13 - オーダー・ガイド ........................................................................ 13 AD8217 仕様 特に指定がない限り、TOPR = −40°C~+125°C、TA = 25°C、RL = 25 kΩ (RL は出力負荷抵抗)、入力同相モード電圧 (VCM = 4.5 V)。 表 1. Parameter Min Unit Test Conditions/Comments V/V % % ppm/°C VO ≥ 0.1 V dc, TA TOPR TOPR µV µV nV/°C 25°C TOPR TOPR µA µA V mV dB TA TOPR Common-mode continuous Differential input voltage TOPR T A4 TA4 2 V V Ω Small Signal −3 dB Bandwidth 500 kHz Slew Rate 1 V/µs 2.3 µV p-p 110 nV/√Hz GAIN Initial Accuracy Accuracy over Temperature Gain vs. Temperature Typ Max 20 ±0.1 ±0.35 ±5 VOLTAGE OFFSET Offset Voltage (RTI)1 Over Temperature (RTI)1 Offset Drift ±100 INPUT Bias Current2 500 ±250 ±300 Common-Mode Input Voltage Range Differential Input Voltage Range3 Common-Mode Rejection (CMRR) 800 80 4.5 90 250 100 OUTPUT Output Voltage Range Low Output Voltage Range High Output Impedance 0.01 5 DYNAMIC RESPONSE NOISE 0.1 Hz to 10 Hz, (RTI)1 1 Spectral Density, 1 kHz, (RTI) POWER SUPPLY Operating Range 4.5 Quiescent Current Over Temperature Power Supply Rejection Ratio (PSRR) 90 80 V Power regulated from common mode 800 µA dB TOPR 110 Throughout input common mode TEMPERATURE RANGE For Specified Performance −40 +125 1 °C RTI = 入力換算。 入力バイアス電流については、図 8 を参照してください。この電流は、入力同相モード電圧に依存して変化します。さらに、内蔵 LDO の電源は+IN ピンを流れる入力 バイアス電流からも供給されます。 3 出力が内部で 5 V にクランプされるため、差動入力電圧は 250 mV (typ)として規定されます。このため、出力電圧が 5 V を超えることがないので、AD8217 入力に高 い電圧 (最大 80 V)が存在しても、一般的なコンバータに損傷を与えることなく、インターフェースすることができます。 4 種々の負荷に対する AD8217 の出力範囲については、図 17 と図 18 を参照してください。+IN ピンの電圧が 5.6 V を超えると、AD8217 の出力は最大 5.6 V にクランプ されます。+IN ピンの電圧が 5.6 V を下回ると、出力は最大値(V+IN − 100 mV)になります。 2 Rev. 0 - 3/13 - AD8217 絶対最大定格 表 2. Parameter Rating Maximum Input Voltage ( +IN, −IN to GND) 0 V to 85 V Differential Input Voltage (+IN to –IN) ±1 V HBM (Human Body Model) ESD Rating Operating Temperature Range (TOPR) Storage Temperature Range ±2000 V −40°C to +125°C −65°C to +150°C Output Short-Circuit Duration Indefinite 上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えるとデバイスに恒 久的な損傷を与えることがあります。この規定はストレス定格 の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動作のセクシ ョンに記載する規定値以上でのデバイス動作を定めたものでは ありません。デバイスを長時間絶対最大定格状態に置くとデバ イスの信頼性に影響を与えます。 ESDの注意 ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイス です。電荷を帯びたデバイスや回路ボードは、検 知されないまま放電することがあります。本製品 は当社独自の特許技術である ESD 保護回路を内 蔵してはいますが、デバイスが高エネルギーの静 電放電を被った場合、損傷を生じる可能性があり ます。したがって、性能劣化や機能低下を防止す るため、ESD に対する適切な予防措置を講じる ことをお勧めします。 Rev. 0 - 4/13 - AD8217 +IN 1 NC 2 AD8217 NC 3 TOP VIEW (Not to Scale) GND 4 8 –IN 7 NC 6 NC 5 OUT NC = NO CONNECT 09161-002 ピン配置およびピン機能説明 図 2.ピン配置 表 3.ピン機能の説明 ピン番号 記号 説明 1 +IN 非反転入力。内蔵 LDO への電源ピン。 2 NC 未接続。内部接続なし。 3 NC 未接続。内部接続なし。 4 GND グラウンド。 5 OUT 出力。 6 NC 未接続。内部接続なし。 7 NC 未接続。内部接続なし。 8 −IN 反転入力。 Rev. 0 - 5/13 - AD8217 代表的な性能特性 30 40 27 38 24 36 MAGNITUDE (dB) 21 VOSI (µV) 34 32 30 18 15 12 9 28 6 26 0 20 40 60 80 100 120 140 TEMPERATURE (°C) 1k 図 3.入力オフセットの温度特性 10k 100k FREQUENCY (Hz) 1M 09161-006 0 –20 09161-003 24 –40 3 図 6.小信号帯域幅 (VOUT = 200 mV p-p) 140 10 9 130 8 TOTAL OUTPUT ERROR (%) 120 CMRR (dB) 110 100 90 –40°C +25°C +125°C 80 70 7 6 5 4 3 2 1 0 –1 –2 60 –3 10k 100k 1M FREQUENCY (Hz) –5 09161-004 1000 0 5 図 4.CMRR の周波数特性 15 30 35 20 25 DIFFERENTIAL INPUT (mV) 40 45 50 図 7.差動入力電圧対総合出力誤差 500 800 450 700 INPUT BIAS CURRENT (µA) 400 GAIN ERROR (ppm) 10 09161-007 –4 50 100 350 300 250 200 150 +IN 600 500 400 300 200 100 0 20 40 60 TEMPERATURE (°C) 80 100 120 09161-005 –20 0 0 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 INPUT COMMON-MODE VOLTAGE (V) 図 5.ゲイン誤差の温度特性 Rev. 0 5 図 8.入力同相モード電圧対入力バイアス電流 (差動入力電圧 = 5 mV) - 6/13 - 09161-008 –IN 100 –40 AD8217 INPUT 100mV/DIV INPUT 5mV/DIV OUTPUT 2V/DIV 1µs/DIV 5µs/DIV 図 9.立上がり時間 (差動入力 = 5 mV) 09161-012 100mV/DIV 09161-009 OUTPUT 図 12.立下がり時間 (差動入力 = 200 mV) INPUT 200mV/DIV INPUT OUTPUT 2V/DIV 2V/DIV 5µs/DIV 09161-010 OUTPUT 5µs/DIV 図 10.立上がり時間 (差動入力 = 200 mV) 図 13.差動過負荷回復(立上がり) INPUT INPUT 5mV/DIV 200mV/DIV OUTPUT OUTPUT 100mV/DIV 5µs/DIV 図 11.立下がり時間 (差動入力 = 5 mV) 図 14.差動過負荷回復(立下がり) - 7/13 - 09161-014 09161-011 2V/DIV 1µs/DIV Rev. 0 09161-013 100mV/DIV AD8217 250 OUTPUT VOLTAGE RANGE FROM GND (V) MAXIMUM OUTPUT SINK CURRENT (mA) 11.5 11.0 10.5 10.0 9.5 9.0 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 TEMPERATURE (°C) 150 100 50 0 09161-015 5.0 –40 –30 –20 –10 200 0 図 15.最大出力シンク電流の温度特性 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 OUTPUT SINK CURRENT (mA) 4.0 4.5 5.0 図 18.出力シンク電流対 GND 基準の出力電圧範囲 9.0 8.5 INPUT 8.0 50V/DIV 7.5 7.0 6.5 OUTPUT 6.0 1V/DIV 5.5 5.0 4.5 150 500ns/DIV 09161-016 TEMPERATURE (°C) 140 130 110 120 90 100 80 70 60 50 40 30 20 0 10 –10 –20 –30 –40 4.0 09161-019 MAXIMUM OUTPUT SOURCE CURRENT (mA) 9.5 図 19.同相モード・ステップ応答(立上がり) 図 16.最大出力ソース電流の温度特性 5.000 INPUT 4.990 50V/DIV 4.980 4.970 OUTPUT 4.960 1V/DIV 4.950 4.940 4.930 4.910 1µs/DIV 4.900 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 OUTPUT SOURCE CURRENT (mA) 4.5 5.0 図 20.同相モード・ステップ応答 (立下がり) 図 17.出力ソース電流対出力電圧範囲 Rev. 0 - 8/13 - 09161-020 4.920 09161-017 OUTPUT VOLTAGE SWING FROM RAIL (V) 5.010 09161-018 12.0 AD8217 800 1200 700 1000 600 500 COUNT COUNT 800 600 400 300 400 200 –150 –100 –50 0 50 100 150 100 0 200 VOSI (µV) COUNT 800 600 400 09161-022 200 0 GAIN DRIFT (ppm/°C) 5 10 図 22.ゲイン・ドリフトの分布 Rev. 0 –0.2 0 0.2 図 23.入力オフセット・ドリフトの分布 1000 –5 –0.4 OFFSET DRIFT (µV/°C) 図 21.入力オフセットの分布 0 –10 09161-023 0 –200 09161-021 200 - 9/13 - 0.4 AD8217 動作原理 アンプ・コア 一般的なアプリケーションでは、AD8217 はシャント抵抗を流れ る負荷電流により発生する小さな差動入力電圧を増幅します。 AD8217 は高い同相モード電圧(最大 80 V)を除去して、A/Dコン バータ(ADC)にインターフェースするグラウンド基準のバッファ された出力を提供します。図 24 に、AD8217 の簡略化した回路 図を示します。 R4 AD8217 ILOAD –IN SHUNT +IN 4.5V TO 80V R3 LDO GND 図 24.簡略化した回路図 AD8217は、ディファレンス・アンプとして使用しています。伝 達関数は次式で表されます。 OUT = (R4/R1) × (V1 − V2) Rev. 0 メイン・アンプでは、新しいゼロ・ドリフト・アーキテクチャを 採用して、全温度範囲で極めて安定なデバイスを提供します。 オフセット・ドリフトは±100 nV/°C (typ)以下であり、これによ り最適な精度とダイナミックレンジが実現されています。 AD8217は、デバイスの電源を入力の同相モード電圧から直接供 給できるようにするLDOを内蔵しています。+IN ピンの同相モ ード電圧が4.5 V~80 Vの場合、外付け電源は不要です。同相モ ード電圧が5.6 Vを超えると、LDO 出力が5.6 Vの最大値になり ます。この値がAD8217の最大出力電圧範囲になります。一般に、 AD8217 出力はコンバータにインターフェースされるため、 5.6 Vの最大出力範囲により、ADC 入力が過電圧による損傷を受 けないようにしています。 OUT R2 09161-024 V1 AD8217 は入力差動信号を正確に増幅し、4.5 V~80 V の範囲の 高電圧同相モードを除去します。 内蔵LDO R1 V2 LOAD 抵抗 R4とR1は0.01%以内で一致し、値はそれぞれ1.5 MΩと75 kΩです。これは、AD8217の入力から出力までの全ゲインが20 V/Vであることを意味します。 +INピンを流れる入力バイアス電流により、LDO電源が供給さ れるため、AD8217の電源電流は2倍になります。この電流は、 入力同相モード電圧に依存して変化します。詳細については、 図8を参照してください。 - 10/13 - AD8217 アプリケーション・ノート 出力直線性 すべての電流検出アプリケーションでは、入力差動電圧または入 力同相モード電圧の有無によらず、規定の出力直線性を電流セン サーで維持することが重要です。AD8217 は、差動入力電圧が非 常に小さい場合でも、非常に優れた入力―出力間の直線性を維持 します。 AD8217 は、同相モードが存在しても、入力電位差が 1 mV 以上で あれば正しい電圧を出力します。AD8217 は、同相モード電圧が あっても、非常に小さい差動入力で動作できるため、すべての電 流検出アプリケーションで、最適なダイナミック・レンジ、精度、 柔軟性を提供することができます。 200 180 160 OUTPUT (mV) 140 120 100 80 60 40 0 0 1 2 3 4 5 6 7 DIFFERENTIAL INPUT (mV) 8 9 10 09161-025 20 図 25.小さい差動入力でのゲイン直線性 (VCM = 4.5 V~80 V) Rev. 0 - 11/13 - AD8217 アプリケーション情報 ハイサイド電流検出 モーター・コントロールでの電流検出 この構成では、シャント抵抗はバッテリ電圧を基準とします(図 26 参照)。高電圧が電流検出アンプに入力されます。シャントが バッテリを基準とする場合、AD8217 はグラウンド基準のリニ アなアナログ出力を発生します。AD8217 は、デバイスの電源 を高い電圧レールから供給できるようにするLDOを内蔵してい るため、電源の追加が不要です。 AD8217 は、モーター・コントロール・アプリケーションでの ハイサイド電流検出に対して実用的で正確なソリューションを 提供します。シャント抵抗がバッテリを基準とし、かつ電流が 単方向に流れる場合(図 27 参照)、AD8217 は電源ピンの追加な しで電流をモニタすることができます。 BATTERY ILOAD IMOTOR SHUNT ADC –IN +IN –IN +IN AD8217 GND AD8217 09161-026 OUT OUT GND 図 26.バッテリ基準のシャント抵抗 Rev. 0 MOTOR 09161-027 4.5V TO 80V 図 27.モーター・コントロールでのハイサイド電流検出 - 12/13 - AD8217 外形寸法 3.20 3.00 2.80 8 3.20 3.00 2.80 1 5 5.15 4.90 4.65 4 PIN 1 IDENTIFIER 0.65 BSC 0.95 0.85 0.75 15° MAX 1.10 MAX 0.40 0.25 6° 0° 0.23 0.09 0.80 0.55 0.40 COMPLIANT TO JEDEC STANDARDS MO-187-AA 100709-B 0.15 0.05 COPLANARITY 0.10 図 28. 8 ピン・ミニ・スモール・アウトライン・パッケージ[MSOP] (RM-8) 寸法: mm オーダー・ガイド Model1 Temperature Range Package Description Package Option Branding AD8217BRMZ AD8217BRMZ-RL AD8217BRMZ-R7 −40°C to +125°C −40°C to +125°C −40°C to +125°C 8-Lead Mini Small Outline Package (MSOP) 8-Lead Mini Small Outline Package (MSOP) 8-Lead Mini Small Outline Package (MSOP) RM-8 RM-8 RM-8 Y2L Y2L Y2L 1 Z = RoHS 準拠製品。 Rev. 0 - 13/13 -