日本語版

正誤表
この製品のデータシートに間違いがありましたので、お詫びして訂正いたします。
この正誤表は、2009 年 11 月 05 日現在、アナログ・デバイセズ株式会社で確認した誤りを
記したものです。
なお、英語のデータシート改版時に、これらの誤りが訂正される場合があります。
正誤表作成年月日:
2009 年 11 月 05 日
製品名:AD633
対象となるデータシートのリビジョン(Rev):Rev.E
訂正箇所
1)P.2、オーダー・ガイド・セレクションテーブル
オーダー・ガイド・セレクションテーブルが更新されている為、最新のセレクション
テーブルを最終ページに添付されております。
2)P.5、逆関数の生成
誤:E<0
正:E>0
*英語のデータシート(Rev.E)に間違いがあるため和文のデータシートでは
訂正されております。
3)P.7、図 13、電圧制御直交発振器
左側の AD633 の Z 出力が R2:16KΩ及び 0.1uF に接続していない。
*英語のデータシート(Rev.E)に間違いがあるため和文のデータシートでは
訂正されております。
本
社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹
芝サウスタワービル
電話 03(5402)8200
大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大
阪 MT ビル 2 号
電話 06(6350)6868
低価格のアナログ乗算器
AD633
特長
接続図
4 象限乗算
8 ピン・プラスチックDIP(N)パッケージ
低価格、8 ピン・パッケージ
全機能内蔵―外付け部品不要
レーザ・トリミングによる精度と安定性
X1
1
X2
2
1
8
+VS
7
W
6
Z
5
–VS
FS の 2%以内のトータル誤差
ハイ・インピーダンスの差動 X 入力と Y 入力
ハイ・インピーダンスのユニティ・ゲイン・サミング入力
レーザ・トリミングされた 10V スケーリング・リファレンス
Y1
3
アプリケーション
Y2
4
A
1
10V
1
AD633JN/AD633AN
乗算、除算、2 乗
変調/復調、位相検出
電圧制御アンプ/減衰器/フィルタ
8 ピン・プラスチックSOIC(R-8)パッケージ
概要
AD633 は、全機能内蔵型の 4 象限アナログ乗算器です。ハイ・イ
ンピーダンスの差動 X 入力と Y 入力、ハイ・インピーダンスのサ
ミング入力(Z)を備え、低インピーダンスの出力電圧は埋込み
ツェナーによって公称 10V のフルスケールになります。AD633 は、
低価格の 8 ピン・プラスチック DIP および SOIC パッケージで初め
てこれらの機能を実現した製品です。
AD633 は、レーザ・トリミングによるキャリブレーションで、フ
ルスケールの 2%のトータル精度が保証されています。Y 入力の非
直線性は代表値で 0.1%未満、出力換算ノイズの代表値は 10Hz~
10kHz の帯域幅で 100μV rms 未満です。1MHz の帯域幅、20V/μs の
スルーレート、容量性負荷を駆動する能力により、単純性とコス
トが重要視される広範なアプリケーションで活用できます。
AD633 は、単純な製品であるにもかかわらず豊富な機能を備えて
います。Z 入力から出力バッファ・アンプにアクセスできるため、
2 個以上の乗算器の出力を加算、乗算器のゲインの増加、出力電圧
の電流への変換等、さまざまなアプリケーションを構成できます。
AD633 は、8 ピン・プラスチック DIP パッケージ(N)と 8 ピン
SOIC(R)で提供されています。このデバイスは、0~70C の商用
温度範囲(J グレード)または−40~+85C の工業用温度範囲(A
グレード)で仕様が規定されています。
Y1
1
Y2
2
–VS
3
Z
4
1
1
1
10V
A
8
X2
7
X1
6
+VS
5
W
AD633JR/AD633AR
W=
(X1 – X2) (Y1 – Y2)
10V
+Z
製品のハイライト
1. AD633 は、低価格で 8 ピン・プラスチック・パッケージを採用
した全機能内蔵型の 4 象限乗算器です。これにより、経済的で、
容易に設計できる製品になっています。
2. AD633 を使用すれば、外付け部品も、費用のかかるユーザ・
キャリブレーションも必要ありません。
3. モノリシック構造とレーザ・キャリブレーションにより、高い
安定性と信頼性を実現します。
4. 入力抵抗値が 10MΩ と高いため、信号源負荷が無視できるほど
わずかになります。
5. 電源電圧は±8~±18V の範囲が可能です。安定したツェナー・
ダイオードによって内部スケーリング電圧を生成します。乗算
器精度は、基本的に電源変動の影響を受けません。
Rev. E
アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に
関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、
アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様
は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、各社の所有に属します。
※日本語データシートは REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。
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本
AD633
仕様
特に指定のない限り、TA=25C、VS=±15V、RL≧2kΩ。
Model
AD633J, AD633A
W 
TRANSFER FUNCTION
Parameter
MULTIPLIER PERFORMANCE
Total Error
TMIN to TMAX
Scale Voltage Error
Supply Rejection
Nonlinearity, X
Nonlinearity, Y
X Feedthrough
Y Feedthrough
Output Offset Voltage
DYNAMICS
Small Signal BW
Slew Rate
Settling Time to 1%
OUTPUT NOISE
Spectral Density
Wideband Noise
OUTPUT
Output Voltage Swing
Short Circuit Current
INPUT AMPLIFIERS
Signal Voltage Range
Offset Voltage X, Y
CMRR X, Y
Bias Current X, Y, Z
Differential Resistance
POWER SUPPLY
Supply Voltage
Rated Performance
Operating Range
Supply Current
Conditions
Min
−10 V ≤ X, Y ≤ +10 V
SF = 10.00 V Nominal
VS = ±14 V to ±16 V
X = ±10 V, Y = +10 V
Y = ±10 V, X = +10 V
Y Nulled, X = ±10 V
X Nulled, Y = ±10 V
X
1
−X
2
Y
10 V
1
− Y2
Z
Typ
Max
Unit
±1
±3
±0.25%
±0.01
±0.4
±0.1
±0.3
±0.1
±5
±2
% Full Scale
% Full Scale
% Full Scale
% Full Scale
% Full Scale
% Full Scale
% Full Scale
% Full Scale
mV
±1
±0.4
±1
±0.4
±50
VO = 0.1 V rms
VO = 20 V p-p
Δ VO = 20 V
1
20
2
MHz
V/μs
μs
f = 10 Hz to 5 MHz
f = 10 Hz to 10 kHz
0.8
1
90
μV/√Hz
mV rms
μV rms
±11
RL = 0 Ω
30
Differential
Common Mode
±10
±10
VCM = ±10 V, f = 50 Hz
60
±5
80
0.8
10
40
±30
2.0
±15
±8
Quiescent
4
±18
6
V
mA
V
V
mV
dB
μA
MΩ
V
V
mA
太字で表記する仕様は、電気的テストで全製造ユニットに試験が行われています。これらのテスト結果を使用して、出荷品質レベルが計算されています。最小値と最
大値の仕様はすべて保証されていますが、全製造ユニットの試験が行われているのは太字で示した値のみです。
仕様は予告なく変更される場合があります。
絶対最大定格 1
Supply Voltage ............................................................................ ±18 V
Internal Power Dissipation2 ..................................................... 500 mW
Input Voltages3 ............................................................................ ±18 V
Output Short Circuit Duration .................................................Indefinite
Storage Temperature Range ...................................... −65C to +150C
Operating Temperature Range
AD633J...........................................................................0C to 70C
AD633A .................................................................. −40C to +85C
Lead Temperature Range (Soldering 60 sec)...............................300C
ESD Rating................................................................................ 1000 V
注
1
上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えると、デバイスに恒久的な損
傷を与えることがあります。この規定はストレス定格のみを指定するもの
であり、この仕様の動作セクションに記載する規定値以上でのデバイス動
作を定めたものではありません。デバイスを長時間絶対最大定格状態に置
くと、デバイスの信頼性に影響を与えることがあります。
2
8 ピン・プラスチック DIP パッケージ:θJA=90C/W、8 ピン・スモール・
アウトライン・パッケージ:θJA=155C/W
3
電源電圧が±18V 未満の場合、絶対最大入力電圧は電源電圧に等しくなり
ます。
Rev. E
- 2/9 -
AD633
代表的な性能特性
100
0dB = 0.1V rms, RL = 2k
0
90
80
CL = 0dB
CMRR – dB
OUTPUT RESPONSE – dB
CL = 1000pF
–10
TYPICAL
FOR X,Y
INPUTS
70
60
50
–20
NORMAL
CONNECTION
40
30
–30
10k
1M
100k
FREQUENCY – Hz
TPC 1.
20
100
10M
TPC 4.
周波数応答性
NOISE SPECTRAL DENSITY – V/ Hz
BIAS CURRENT – nA
500
400
300
1M
CMRR の周波数特性
–40
–20
0
20
40
60
80
100
120
1
0.5
0
10
140
100
TEMPERATURE – C
入力バイアス電流の温度特性(X、Y、または Z 入力)
TPC 5.
1k
FREQUENCY – Hz
100k
10k
ノイズ・スペクトル密度の周波数特性
1000
14
Y-FEEDTHROUGH
12
OUTPUT, R L
P-P FEEDTHROUGH – mV
PEAK POSITIVE OR NEGATIVE SIGNAL – V
100k
1.5
600
TPC 2.
10k
FREQUENCY – Hz
700
200
–60
1k
2k
10
ALL INPUTS
8
100
X-FEEDTHROUGH
10
1
6
0
4
8
10
12
14
16
18
PEAK POSITIVE OR NEGATIVE SUPPLY – V
TPC 3.
Rev. E
10
100
20
TPC 6.
電源電圧 対 入力/出力信号範囲
- 3/9 -
1k
10k
100k
FREQUENCY – Hz
1M
AC フィードスルーの周波数特性
10M
AD633
機能の説明
アプリケーション
AD633 は、トランスリニア・コア、埋込みツェナー・リファレ
ンス、アクセス可能なサミング・ノードを備えたユニティ・ゲ
イン接続の出力アンプで構成された低価格の乗算器です。図 1 に
機能ブロック図を示します。差動の X 入力と Y 入力は、電圧/電
流変換器によって差動電流に変換されます。これらの電流の積
は乗算コアで生成します。埋込みツェナー・リファレンスは、
10V の全スケール・ファクタを供給します。(X×Y)/10+Z の和が
出力アンプに与えられます。このアンプのサミング・ノード Z
により、2 つ以上の乗算器出力の加算、出力電圧の電流への変
換等、さまざまなアナログ演算機能を設定できます。
AD633 は、変調/復調、自動ゲイン制御、電力測定、電圧制御
アンプ、周波数ダブラーなどのアプリケーションに最適です。
以下のアプリケーションの説明では、AD633JN のピン配置
(8 ピン DIP)を示していますが、これは AD633JR のピン配置
(8 ピン SOIC)とは異なりますので注意してください。
X1
1
X2
8
1
3
Y2
1
10V
7
0.1 F
W
X
INPUT
6
1
4
図 3 は、乗算の基本的な接続図です。X 入力と Y 入力は、通常そ
の負ノードをグラウンドに接続しますが、入力は完全に差動であ
り、多くのアプリケーションではグラウンド接続入力が反転する
(特定の極性の信号に接続すると同時に、所望の出力極性を確保
するために)か、またはこの両方の入力が駆動されます。
+15V
A
2
Y1
+VS
乗算器接続
AD633
5
Z
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
W=
10V
OPTIONAL SUMMING
INPUT, Z
AD633JN
Y
INPUT
–VS
3
Y1
Z
4
Y2
–VS 5
(X1 – X2) (Y1 – Y2)
6
+Z
0.1 F
図 1.
機能ブロック図(AD633JN のピン配置)
–15V
このブロック図から、以下の式で全体の伝達関数を表すことが
できることがわかります。
W 
X
1
−X
2
Y
1
− Y2
10 V
Z
(1)
誤差源
図 3.
基本的な乗算器の接続図
2 乗器と周波数ダブラー
図 4 に示すように、入力信号 E の 2 乗は、単純に X 入力と Y 入力
を並列に接続して E2/10V の出力を生成するだけで実現します。入
力の極性はどちらでも構いませんが、出力は正です。ただし、X 入
力か Y 入力を置き換えることで出力極性を反転できます。Z 入力
を利用して、もう1つの信号を出力に追加することもできます。
+15V
乗算器の誤差は、主に入力/出力オフセット、スケール・ファ
クタ誤差、乗算コア内部の非直線性によります。入力/出力オ
フセットは、図 2 に示すオプションのトリムによって除去でき
ます。この方法で、正味の誤差をスケール・ファクタ誤差(ゲ
イン誤差)と乗算コア内部の単純化できない非直線性成分に低
減します。X と Y の非直線性は、代表値でそれぞれフルスケー
ルの 0.4%と 0.1%です。スケール・ファクタ誤差は、代表値で
フルスケールの 0.25%です。特に駆動対象のシステムが遠隔の
場合は、ハイ・インピーダンスの Z 入力が常にそのシステムの
グラウンド・ポイントを基準とするようにしてください。これ
と同様に、AD633 の最高精度を実現するために、差動 X 入力と
Y 入力はそれぞれのグラウンドを基準とするようにします。
0.1 F
E
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
3
Y1
Z 6
4
Y2
–VS 5
W=
AD633JN
E2
10V
0.1 F
–15V
図 4.
2 乗器の接続図
入力がサイン波の E sin ωt である場合、この 2 乗器は以下の式
に基づいて周波数ダブラーとして動作します。
+VS
E sin t 
2
300k
50k
1k
50mV
TO APPROPRIATE
INPUT TERMINAL
(e.g., X2, X2, Z)
–VS
図 2.
オプションのオフセット・トリム構成
10 V
E2
1 − cos 2 t
20 V
(
)
(2)
式 2 から、出力の DC 項が入力 E の振幅が変化するにつれて大
きく変動することがわかります。図 5 に示す接続を利用するこ
とで、これを回避できます。この回路は、RC ネットワークを
使用して、積に DC 項を持たない 2 つの信号を生成します。こ
れには、以下の等式が使用されています。
cos sin
Rev. E
=
- 4/9 -

1
sin 2
2
(
)
(3)
AD633
+15V
R
10k
0.1 F
E
1
R
2
W 7
X2
3
Y1
Z 6
4
Y2
–VS 5
E2
W=
10V
R1
1k
AD633JN
C
+15V
+VS 8
X1
R2
3k
E
0.1 F
「バウンスレス」周波数ダブラー

1
E
sin
10V  2 
E
2
40V  
sin 2
o
t  45 
E
2
(sin
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
AD633JN
AD711
3
Y1
Z 6
4
Y2
–VS 5
W' = –10V
図 7.
E
EX
除算の接続図
同様に、図 7 は、帰還ループに乗算器を使用して除算器を構成
する方法です。この除算器の伝達関数は、以下のとおりです。
t − 45 °)
W ' = −10V
o
(4)
t
0.1 F
–15V
–15V
ωO=1/CR のときに、X 入力は入力信号を 45°進め(√2の減衰)、
Y 入力は X 入力を 45°遅らせます(同様に√2の減衰)。X 入力
と Y 入力は位相が 90°異なるため、この回路の応答性は以下の
ようになります(式 3 を満足します)。
W 
EX
R
10k
0.1 F
–15V
図 5.
0.1 F
+15V
0.1 F
E
E
(6)
X
o
+15V
0.1 F
これには、DC 成分が存在しません。抵抗 R1 と R2 を配置する
ことで、10V の入力振幅に対して出力振幅を 10V に復元します。
出力の振幅は、周波数に対してわずかに追従する弱い関数です。
このため、出力振幅は ω=0.9ωO および ωO =1.1ωO のときに
0.5%低くなりすぎます。
X
INPUT
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
Y
INPUT
Y1
Z 6
4
Y2
–VS 5
(X1 – X2) (Y1 – Y2)
(R1 + R2)
10V
1k
R1, R2
R1
100k
10 E V
(5)
+15V
0.1 F
+15V
0.1 F
7
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
3
Y1
R2
S
Z 6
4 0.1 F
4
Y2
–VS 5
図 8.
可変スケール・ファクタの接続図
可変スケール・ファクタ
場合によっては、10V 以外のスケーリング電圧を使用するほう
がよいことがあります。図 8 に示す接続は、システムのゲイン
を(R1+R2)/R1 の比で増加します。実際のアプリケーションでは、
この比は 100 までに制限されます。サミング入力 S は、出力に
信号を追加するために使用してもよいし、グラウンドに接続し
ておくことも可能です。
電流出力
図 9 に示すように AD633 の W ピンと Z ピンの間に抵抗 R を追
加することによって、AD633 の電圧出力を電流出力に変換でき
ます。この接続回路は、この「アプリケーション」で後述する
AD633JN
1N4148
OP27
0.1 F
+15V
–15V
–15V
W=
1N4148
図 6.
(
10E
0.1 F
)V
X
INPUT
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
R
AD633JN
平方根の接続図
Y
INPUT
3
Y1
Z 6
4
Y2
–VS 5
IO =
1
R
1k
0.1 F
–15V
図 9.
Rev. E
+S
0.1 F
–15V
オペアンプの帰還ループに乗算器を配置することによって、除
算および平方根などの乗算の逆関数を実装できます。図 6 は、
E > 0 の場合の次の伝達関数で平方根器を構成する方法です。
E
R1
3
逆関数の生成
W 
W=
AD633JN
- 5/9 -
電流出力の接続図
(X1 – X2) (Y1 – Y2)
10V
R
100k
AD633
電圧制御の積分器や発振器の基本構成になります。この回路の
伝達関数は、次のような形になります。
dB
f2 f1
IO 

1 X1 − X
R
2
Y
1
− Y2

0.1 F
(7)
10 V
CONTROL
INPUT EC
SIGNAL
INPUT ES
リニア振幅変調器
外付け部品を使用せずに、AD633 をリニア振幅変調器として使
用できます。この回路を図 10 に示します。AD633 のキャリア
入力と変調入力が乗算されて、ダブルサイドバンド信号が生成
されます。キャリア信号は AD633 の Z 入力にフィードフォワー
ドで送られ、ここでダブルサイドバンド信号と加算されて、
キャリア出力付きのダブルサイドバンド信号が生成されます。
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
Z 6
4
Y2
–VS 5
C
図 11.
電圧制御ローパス・フィルタ
dB
f1 f2
+15V
0.1 F
CONTROL
INPUT EC
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
3
(8)
RC
C
OUTPUT A
R
5
–15V
1
図 13 は、2 個の乗算器を使用して、二次微分式の帰還ループで
時定数を制御できる積分器の回路です。R2 と R5 によって、制
御された電流出力動作が得られます。電流はコンデンサ C1 お
よび C2 で積分され、それによって得られたハイ・インピーダ
ンスの電圧が 2 番目の AD633 の X 入力に供給されます。Y 入
力に接続された周波数制御入力 EC は、100Hz/V の校正に応じて
積分器のゲインを変化させます。この精度は、Y 入力オフセッ
トによって制限されます。この回路の実用的な同調範囲は 100:1
です。C2(C1 と C3 に比例)、R3、R4 によって再生帰還が得
られ、発振を開始し、維持します。D1~D4 のダイオード・ブ
リッジ(1N914s)とツェナー・ダイオード D5 は、再生ダンピ
ングによって経済的な温度安定化と±8.5V の振幅安定性を実現
します。2 番目の積分器の出力(10V sin ωt)における歪みは最
小になります。
(9)
RC
周波数 f1 を超えると、f1/f2=EC/10 の一定減衰量でレベルが低下
します。
+15V
0.1 F
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
W = 1+
AD633JN
3
4
Y1
Z 6
Y2
–VS 5
EM
10V
ECsin
t
AGCアンプ
0.1 F
–15V
図 10.
電圧制御ハイパス・フィルタ
電圧制御直交発振器
AD633 の直接の出力である出力 B の電圧は、RC フィルタの自
然ブレークポイントである周波数 f1 までは応答性が同じです。
リニア振幅変調器
たとえば、R=8kΩ、C=0.002μF の場合、100mV~10V の EC に
対して出力 A は 100Hz~10kHz の周波数範囲の極を持ちます。
出力 B は 10kHz 時にゼロが追加されます(乗算器の低インピー
ダンス出力であるため、負荷をかけることができます)。図 12
に示すように、Z の抵抗とコンデンサを置き換えることによっ
てこの回路をハイパス・フィルタに変更できます。
Rev. E
–VS
Y2
図 12.
CARRIER
INPUT
ECsin t
OUTPUTB
+6dB/OCTAVE
OUTPUTA
Z 6
Y1
f
0
OUTPUT B
AD633JN
SIGNAL
INPUT ES
ロールオフは 1 オクターブ当たり 6dB です。ハイ・インピーダ
ンス・ポイントにあるこの出力は、バッファが必要なことがあ
ります。
MODULATION
INPUT
EM
1
10
=
W2 ECRC
0.1 F
EC
2
T2 =
–15V
4
f1 
T1 = 1 = RC
W1
0.1 F
1 個の乗算器を使用して、電圧制御ローパス・フィルタを構成
する回路を図 11 に示します。出力 A の電圧は、ES をフィルタ
処理した結果になります。ブレーク周波数は、制御入力 EC に
よって変調されます。このブレーク周波数 f2 は、以下の式で表
すことができます。
20 V 
1 + T1P
1 + T2P
1
OUTPUT A =
1 + T2P
OUTPUT B =
R
Y1
OUTPUTB
OUTPUTA
電圧制御のローパス・フィルタとハイパス・フィルタ
f2 
–6dB/OCTAVE
AD633JN
3
f
0
+15V
図 14 は、RMS/DC 変換器を使用して、出力波形の振幅を測定す
る AGC 回路です。AD633 と AD712 デュアル・オペアンプの片
方のアンプ A1 が、電圧制御アンプを構成しています。RMS/DC
変換器の AD736 が、出力信号の RMS 値を測定します。その出
力が積分器/コンパレータの A2 を駆動し、さらにその出力が
電圧制御アンプのゲインを制御します。1N4148 ダイオードは、
A2 の出力が負に変化しないようにします。50kΩ 可変抵抗の R8
が、回路の出力レベルを設定します。ループの帰還によって、
A2 の反転入力と非反転入力の電圧が等しくなり、このようにし
て自動ゲイン制御が行われます。
- 6/9 -
AD633
D5
1N5236
D1
1N914
D3
1N914
D2
1N914
D4
1N914
(10V) cos
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
3
Y1
0.1 F
R2
16k
AD633JN
EC
4
Z 6
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
3
Y1
Z 6
4
Y2
–VS 5
R5
16k
(10V) sin
0.1 F
–15V
–15V
R2
1k
電圧制御直交発振器
R3
10k
R4
10k
AGC THRESHOLD
ADJUSTMENT
+15V
+15V
0.1 F
C1
1 F
0.1 F
1
X1
+VS 8
2
X2
W 7
3
Y1
Z 6
4
Y2
–VS 5
1/2
AD712
1 CC COMMON 8
0.1 F
R9
10k
R10
10k
AD736
0.1 F
3 CF OUTPUT 6
4 –VS
CAV 5
–15V
C4
33 F
A2
1N4148
+VS 7
2 VIN
–15V
C2
0.02 F
C3
0.2 F
EOUT
R5
10k
A1
AD633JN
E
1/2
AD712
+15V
R8
50k
0.1 F
–15V
図 14.
Rev. E
自動ゲイン制御回路のための接続図
- 7/9 -
t
EC
f=
kHz
10V
C3
0.1 F
0.1 F
図 13.
R4
16k
R3
330k
AD633JN
0.1 F
–VS 5
Y2
C2
0.01 F
+15V
0.1 F
R1
1k
t
+15V
OUTPUT
LEVEL
ADJUST
R6
1k
+15V
0.1 F
AD633
外形寸法
8 ピン・プラスチック・デュアル・インライン・パッケージ[PDIP]
(N-8)
寸法単位:インチ(mm)
0.375 (9.53)
0.365 (9.27)
0.355 (9.02)
8
5
1
4
0.295 (7.49)
0.285 (7.24)
0.275 (6.98)
0.325 (8.26)
0.310 (7.87)
0.300 (7.62)
0.100 (2.54)
BSC
0.015
(0.38)
MIN
0.180
(4.57)
MAX
0.150 (3.81)
0.130 (3.30)
0.110 (2.79)
0.022 (0.56)
0.018 (0.46)
0.014 (0.36)
0.150 (3.81)
0.135 (3.43)
0.120 (3.05)
0.015 (0.38)
0.010 (0.25)
0.008 (0.20)
SEATING
PLANE
0.060 (1.52)
0.050 (1.27)
0.045 (1.14)
COMPLIANT TO JEDEC STANDARDS MO-095AA
CONTROLLING DIMENSIONS ARE IN INCHES; MILLIMETER DIMENSIONS
(IN PARENTHESES) ARE ROUNDED-OFF INCH EQUIVALENTS FOR
REFERENCE ONLY AND ARE NOT APPROPRIATE FOR USE IN DESIGN
8 ピン標準スモール・アウトライン・パッケージ[SOIC]
ナロー・ボディ
(R-8)
寸法単位:インチ(mm)
5.00 (0.1968)
4.80 (0.1890)
4.00 (0.1574)
3.80 (0.1497)
8
5
1
4
1.27 (0.0500)
BSC
0.25 (0.0098)
0.10 (0.0040)
COPLANARITY
SEATING
0.10
PLANE
6.20 (0.2440)
5.80 (0.2284)
1.75 (0.0688)
1.35 (0.0532)
0.51 (0.0201)
0.33 (0.0130)
8
0.25 (0.0098) 0
0.19 (0.0075)
0.50 (0.0196)
0.25 (0.0099)
45
1.27 (0.0500)
0.41 (0.0160)
COMPLIANT TO JEDEC STANDARDS MS-012AA
CONTROLLING DIMENSIONS ARE IN MILLIMETERS; INCH DIMENSIONS
(IN PARENTHESES) ARE ROUNDED-OFF MILLIMETER EQUIVALENTS FOR
REFERENCE ONLY AND ARE NOT APPROPRIATE FOR USE IN DESIGN
Rev. E
- 8/9 -
AD633
Model
AD633AN
AD633ANZ 1
AD633AR
AD633AR-REEL
AD633AR-REEL7
AD633ARZ1
AD633ARZ-R71
AD633ARZ-RL1
AD633JN
AD633JNZ1
AD633JR
AD633JR-REEL
AD633JR-REEL7
AD633JRZ1
AD633JRZ-R71
AD633JRZ-RL1
1
Temperature Range
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
0°C to 70°C
0°C to 70°C
0°C to 70°C
0°C to 70°C
0°C to 70°C
0°C to 70°C
0°C to 70°C
0°C to 70°C
Package Description
8-Lead Plastic Dual-in-Line Package [PDIP]
8-Lead Plastic Dual-in-Line Package [PDIP]
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N]
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N], 13" Tape and Reel
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N], 7" Tape and Reel
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N]
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N], 13" Tape and Reel
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N], 7" Tape and Reel
8-Lead Plastic Dual-in-Line Package [PDIP]
8-Lead Plastic Dual-in-Line Package [PDIP]
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N]
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N], 13" Tape and Reel
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N], 7" Tape and Reel
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N]
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N], 7" Tape and Reel
8-Lead Standard Small Outline Package [SOIC_N], 13" Tape and Reel
Package Option
N-8
N-8
R-8
R-8
R-8
R-8
R-8
R-8
N-8
N-8
R-8
R-8
R-8
R-8
R-8
R-8
Z = RoHS 準拠製品。
改訂履歴
Location
Page
10/02—Data Sheet changed from REV. D to REV. E.
Edits to title of 8-Lead Plastic SOIC Package (RN-8) ........................................................................................................................................................... 1
Edits to ORDERING GUIDE................................................................................................................................................................................................ 2
Change to Figure 13 .............................................................................................................................................................................................................. 7
Updated OUTLINE DIMENSIONS ...................................................................................................................................................................................... 8
Rev. E
- 9/9 -
C00786-0-10/02(E)-J
オーダー・ガイド