地上波アナログ放送用復調 LSI ワールドワイドの地上波アナログ放送に CXD2823ER 対応した映像復調、音声多重放送復調 LSI CXD2823ER(左)は、現行のCXD2813R(右)の後継品です 。 今回ソニーが開発した“CXD2823ER”は、CXD3787ER(地上波シリコンチューナ LSI)との チップセットにより、超小型、超薄型のチューナを実現します。 ワールドワイド対応のアナログ放送、System M/N、B/G、I、D/K、L/L' 方式の映像復調機能に加え、 EIAJ、BTSC、A2、NICAM の音声多重復調機能も内蔵しました。 CVBS 映像出力信号の映像周波数特性、群遅延特性を調整できるイコライザ機能を デジタル回路で搭載したことにより、高画質化とセット開発期間の短縮に貢献します。 ■ ソニー製シリコンチューナ LSI 制 御機能 ■ 映像出力特性補正イコライザ機能 ■ ワールドワイド対応の音声多重復 調機能 ■ 高リニアリティ12 ビット ADC 搭載 ■ 水平同期信号検出機能 ワールドワイドのアナログ放送受 信対応 アメリカでは 2009 年、日本では 2011 年に アナログ放送停波が予定されていますが、 世界ではまだこれからもアナログ放送受信 機能が要求されています。 そのためソニーでは、ハイビジョン時代に 合わせて高画質のアナログ放送受信用LSI を開発しました。 本 LSI は映像復調機能と音声多重復調機 能を1Chip 化しており、EIAJ 、BTSC 、 A 2、NICAM とワールドワイドな音声多重 放送に対応しています。 ワールドワイド対応ですので、チューナモ ジュールやテレビセットの商品設計効率を 飛躍的に高めることができます。 ソニー製シリコンチューナ LSI と 最適チップセット ソニー製シリコンチューナLSI の受信性能 を引き出して最適化するソフトウェアを内 蔵していますので、テレビセットのマイコ ンからは簡単な命令で済みます。このた め、従来の CAN チューナを使う感覚で使 用することができます。 高性能映像復調機能の内蔵 本 LSI は映像出力信号調整イコライザ機 能を内蔵しており、放送システムごとに映 像周波数特性、群遅延特性を最適化する ことができます。 従来のアナログ処理 LSI を使った回路の ように、SAW Filter を何度も作り直して 画作りをする必要はなく、I 2C バスにより レジスタ設定を書き換えるだけで画作りが 実現できます。 また、従来のアナログ信号処理方式の映 像復調や音声多重復調 LSI では、個体間 のばらつきや電源電圧、および温度による 特性変化をいかに抑えて量産できるかが 課題でしたが、本 LSI ではデジタル信号 処理技術により、このような課題を考える 必要がなくなりました。 コストダウンへの貢献 ソニー製シリコンチューナLSIとチップセッ トで使う場合、SAW Filter が不要です。 SECAM-LやSECAM-L’ に対応する場合、 2 ∼ 4 個必要だった SAW Filter やその切 り替え回路を廃止することができます。 また、水平同期信号検出機能を有してお り、テレビセットでチャネルサーチ機能を 実現する場合、テレビセット側の水平同期 信号検出回路を廃止することができます。 このように、従来のアナログ信号処理方式 のLSI と比べて周辺部品を大幅に減らすこ とができますので、ワールドワイド対応ア ナログ放送復調ブロックとして大幅なコス トダウンを実現することが可能です。 低消費電力の実現 消費電力は、音 声多重放送受信時でも 200mW 程度と、従来の1/ 3 です。このこ とは、テレビセットの低消費電力化にも有 効となります。 設計者 深井誠一郎 (中央) 今回開発した CXD2823ER はデジタル処 理 LSI ですが、中身はソニーのアナログ 処理回路技術が詰まった LSI です。 小型薄型化、チューナの複数搭載化、将 来のコストダウンに大きな可能性を秘め たソニーのシリコンチューナ LSI 群を、 ぜひ一度ご検討ください。 研究開発部門のメンバー 図-1 ブロック図 I2Cバス I2Cバス マイコン 検波器 Sony CMOS Si-Tuner Low-IF 同期信号 検出器 メモリ 12Bit ADC 隣接チャネル 除去フィルタ 映像復調 イコライザ 音声復調 音声多重 復調 HOST I/O H_DET I/O AFT 12Bit DAC 映像/音声 分離 CVBS L PWM AGC LPF AGC X'tal 41MHz PLL 写真-1 モジュール写真 Mono PWM R 12Bit DAC SIF 表-1 基本性能 ソニー製シリコンチューナとの 組み合わせ時の特性 項目 最大感度 最大Video S/N –95dBm –95dBm 49dB@–35dBm 47dB@–35dBm –64dBm –64dBm ±0.5dB以内/ ±20ns以内 ±3dB以内/ ±50ns以内 0.7%/0.7˚ 1.5%/1.6˚ 55dB 49dB 雑音制限感度 VIDEO F特/GDバラツキ DG/DP 従来CANチューナの 一般的な特性 Stereo S/N Stereo歪み率 0.08% 0.1% Stereoセパレーション 46.0dB 33.0dB S/Buzz 54.0dB 53.5dB SOUND 図-2 ワールドワイドテレビシステムごとの周波数特性、群遅延補正効果 System B/G System D/K 1.0 2.0 3.0 Group Delay [ns] 150.0 100.0 50.0 0.0 –50.0 –100.0 –150.0 0.0 1.0 4.0 5.0 5.8 4.43MHz 0ns 2.0 3.0 4.0 5.0 1.0 0.0 –1.0 –2.0 –3.0 –4.0 –5.0 –6.0 –7.0 –8.0 –9.0 –10.0 0.0 0.8 1.0 150.0 100.0 50.0 0.0 –50.0 –100.0 –150.0 0.0 1.0 2.0 3.0 Group Delay [ns] 150.0 100.0 50.0 0.0 –50.0 –100.0 –150.0 0.0 1.0 3.0 4.0 5.0 5.8 4.43MHz –1ns 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 System L 4.0 5.0 5.8 5.8 150.0 100.0 50.0 0.0 –50.0 –100.0 –150.0 0.0 4.0 5.0 0.0 2.0 3.0 Group Delay [ns] 1.0 4.0 5.0 5.8 4.43MHz 6ns 2.0 3.0 4.0 5.0 (注) Amplitudeの波形はイコライザの性能を示すため、 実際に使われる波形よりフラットに合わせています。 1.2 2.0 時間 [μs] 0.8 2.8 5.8 補正後 0.4 0.0 0.0 1.0 0.4 5.8 Amplitude [dB] (Ref. at 0.24MHz) 4.43MHz –0.0dB 1.0 0.0 –1.0 –2.0 –3.0 –4.0 –5.0 –6.0 –7.0 –8.0 –9.0 –10.0 0.0 4.43MHz 0ns 2.0 3.0 補正前 0.4 0.0 System I Amplitude [dB] (Ref. at 0.24MHz) 4.43MHz –0.0dB 1.0 0.0 –1.0 –2.0 –3.0 –4.0 –5.0 –6.0 –7.0 –8.0 –9.0 –10.0 0.0 2.0 Group Delay [ns] 5.8 リンギング特性補正 振幅レベル 1.0 0.0 –1.0 –2.0 –3.0 –4.0 –5.0 –6.0 –7.0 –8.0 –9.0 –10.0 0.0 Amplitude [dB] (Ref. at 0.24MHz) 4.43MHz 0.0dB 振幅レベル Amplitude [dB] (Ref. at 0.24MHz) 4.43MHz –0.1dB 0.4 1.2 2.0 時間 [μs] 2.8