AN-369 アプリケーション・ノート AD594/AD595を使用した熱電対信号のコンデショニング 著者: Joe Marcin はじめに 温度計測に最も広範囲に採用されているデバイスの 1 つは熱電対 です。熱電対は、工業用、商用、科学技術用アプリケーションを問 わず、多くの環境で広い温度範囲を計測するコスト/パフォーマン スの優れたソリューションを提供します。残念なことに基本原理が しばしば誤解されて、大きな測定誤差が発生しています。このアプ リケーション・ノートでは、熱電対の基礎をレビューして、熱電対 シグナル・コンデショニング回路のデザインについて AD594/ AD595 モノリシック IC を使用して説明します。 基本に戻る 熱電対の基本原理は、1821 年に Thomas Seebeck により発明されま した。2 つの異種メタルを両端で接合して、一端を加熱すると電流 が流れます。このループを中央で切断すると解放電圧(ジーベック 電圧)が発生し、この電圧は 2 つの接点の温度差に比例します。こ のため、測定接点の温度を求めるためには、リファレンス接点の温 度を知る必要があります。 図 1a.熱電対ループ アイス・バスを使うとリファレンス接点の温度を 0°C に設定するこ とができます。これが、種々のメタル組み合わせに対する熱電対出 力電圧の温度特性表で標準リファレンス・ポイントになりました。 これらの組み合わせは、National Institute of Standards and Technology (以前の National Bureau of Standards)によりキャラクタライズされて 分類されました。次の表に、広く採用されている熱電対のタイプ、 構成、特性を示します。 表 I.熱電対の特性 ANSI Code Alloy Combination B E J K N R Platinum/Rhodium Chromel/Constantan Iron/Constantan Chromel/Alumel Nicrosil/Nisil Platinum/Rhodium Platinum Platinum/Rhodium Platinum Copper/Constantan S T Maximum Temperature Range mV Output 0°C to +1700°C –200°C to +900°C 0°C to +750°C –200°C to +1250°C –270°C to +1300°C 0°C to +1450°C 0 to +12.426 –8.824 to +68.783 0 to +42.283 –5.973 to +50.633 –4.345 to +47.502 0 to +16.741 0°C to +1450°C 0 to +14.973 –200°C to +350°C –5.602 to +17.816 電圧計はジーベック電圧を測定するときに広く使用されています が、電圧計を熱電対に接続するときに細心の注意が必要です。図1c に示すように、2つの追加接点J2とJ3が熱電対と測定器との間の接 続で形成されます。これら2つの接点は、熱電対ループ内で逆電圧 を発生します。接続ポイントに等温ブロックを使用すると、これら の接点は熱平衡状態に維持され、逆極性の等しい起電力を発生しま す。被測定電圧は、測定接点と等温ブロック(リファレンス接点)と の間の電位差になります。 図 1c.電圧計による熱電対電圧の測定 図 1b.氷点リファレンス 本 社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル 電話 03(5402)8200 大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー 電話 06(6350)6868 AN-369 帰還パスを使って、メイン・アンプは入力での平衡を維持します。 熱電対の故障またはデバイス入力での断線の際には、これらの入力 大部分のアプリケーションでは、リファレンス接点にアイス・バス は不平衡になるため、故障が検出されます。過負荷検出回路は電流 を使用することが実用的です。リファレンス接点で発生する電圧を 制限 NPN トランジスタを駆動し、このトランジスタはアラームと 補償することにより、氷点リファレンスをなくすることができます。 してインターフェースすることができます。 これは、リファレンス接点電圧と等しい逆の電圧を熱電対ループに これらの IC はタイプ J またはタイプ K の熱電対に対して特別にキ 加えることにより行われます。AD594/AD595 ファミリーの熱電対 ャリブレーションされていますが、再キャリブレーションすると、 シグナル・コンディショニング IC には、冷接点補償回路、増幅機 他の熱電対タイプにも使用することができます。温度により制御さ 能、熱電対断線検出機能が内蔵されています。 れる電圧と帰還の内部ノードに対するピン接続が、再キャリブレー ション用に設けてあります。 実用的な熱電対測定 AD594/AD595 出力電圧の解釈 図 1d.冷接点補償 AD594/AD595 回路の説明 図 2 に、AD594/AD595 熱電対シグナル・コンディショナ IC のブロ ック図を示します。タイプ J (AD594 用)またはタイプ K (AD595 用) の熱電対が、ピン 1 とピン 14 の計装アンプ差動ステージ入力に接 続されます。この入力アンプは、ローカル温度を基準とするループ 内に接続されます。IC もローカル温度に設定して、ローカル温度 基準の熱電対ループ内で欠損電圧に等しい電圧を氷点補償回路に より発生します。この電圧は 2 つ目のプリアンプに入力され、この プリアンプ出力は入力アンプ出力と加算されます。こうして得られ た出力は次にメイン出力アンプに入力されます。このメイン出力ア ンプは合成信号のゲインを設定する帰還を持っています。この氷点 補償電圧は、IC 温度を測定するアイス・バス基準の熱電対により 発生されるはずの電圧に等しくなるようにスケールされます。この 電圧は次にローカル温度基準のループ電圧と加算されて、氷点基準 のループ電圧になります。 10 mV/°C の温度比例出力を発生し、回路の定格動作範囲でリファ レンス接点を精確に補償するために、AD594/AD595 のゲインは +25℃で J タイプと K タイプの熱電対の伝達特性に一致するように 出荷時にトリムされています。このキャリブレーション温度でのジ ーベック係数(与えられた温度でのサーマル電圧の温度変化率)は、 タイプ J 熱電対に対しては 51.70 µV/°C に、タイプ K に対しては 40.44 µV/°C に、それぞれなっています。これは、AD594 と AD595 に対して、10 mV/°C 出力を得るためのそれぞれゲイン= 193.4 とゲ イン= 247.3 に対応します。+25°C で 250 mV の出力を得るようにデ バイスはトリムされていますが、出力アンプに入力オフセット誤差 が発生して、AD594/AD595 ではそれぞれ 16 µV と 11 µV のオフセ ットになります。AD594/AD595 の実際の出力電圧を求めるときは、 次式を使う必要があります。 AD594 出力= (タイプ J 電圧+ 16 µV) × 193.4 AD595 出力= (タイプ K 電圧+ 11 µV) × 247.3 ここで、タイプ J 電圧とタイプ K 電圧は 0℃基準の熱電対電圧表か ら取得。 熱電対出力は狭い温度範囲で直線であることに注意することは重 要です。広い温度範囲では、ジーベック係数が非線形になります。 AD594/ AD595 では直線化を行っていませんが、外部で任意の直線 化技術を使用することができます。これにより、高次多項式を使っ て 熱電対温 度を 計算する こと ができま す。 National Institute of Standards and Technology は、与えられた熱電対タイプに対する多項 式係数表を提供しています。この表はこの処理で使うことができま す。 図 2. AD594/AD595 の機能ブロック図 - 2/7 - AN-369 表 II.さまざまな周囲温度での計算誤差 Ambient Temp. AD594C Temp. Rej. Error AD594C Total Error AD594A Temp. Rej. Error AD594A Total Error AD595C Temp. Rej. Error AD595C Total Error AD595A Temp. Rej. Error AD595A Total Error °C °C °C °C °C °C °C °C °C –55 –25 0 +25 +50 +70 +85 +125 4.83 1.98 0.62 0.00 0.62 1.46 2.25 4.90 5.83 2.98 1.62 1.00 1.62 2.46 3.25 5.90 6.83 3.23 1.25 0.00 1.25 2.59 3.75 7.40 9.83 6.23 4.25 3.00 4.25 5.59 6.75 10.40 5.28 2.04 0.62 0.00 0.62 1.38 1.99 3.38 6.28 3.04 1.62 1.00 1.62 2.38 2.99 4.38 7.28 3.29 1.25 0.00 1.25 2.50 3.49 5.88 10.28 6.29 4.25 3.00 4.25 5.50 6.49 8.88 注 Temp. Rej. Errorには、(a)実際のリファレンス接点と氷点補償電圧×ゲインとの間の差、および(b) 0°C~+50°Cの規定値から外挿したオフセットTCおよびゲイ ンTCの2つの成分があります。Total errorは、temp. rej.と初期キャリブレーション誤差の和です。 性能の最適化 ハンダ処理 冷接点誤差 AD594/AD595 の最適性能は、熱電対の冷接点とデバイスが熱平衡 しているときに得られます。AD594/ AD595 の周囲に発熱デバイス または発熱部品を配置すると冷接点に関係する誤差が発生するた め、避けてください。AD594/AD595 の周囲温度範囲は 0°C~+50°C に規定されているため、冷接点補償電圧はこの範囲での熱電対出力 の最適近似直線に一致します。この範囲外での動作では、誤差が大 きくなります。表 II に、種々の周囲温度での最大計算誤差を示しま す。 熱電対と PC パターンの接続には、正しいハンダ技術と表面処理が 必要です。熱電対の配線を清掃して、ハンダ処理の前に酸化物を除 去してください。非腐食性ロジン融剤は、錫 95%アンチモン 5%、 錫 95%銀 5%または錫 90%鉛 10%のハンダに対して有効です。 バイアス電流のリターン AD594/AD595 の入力計装アンプは入力バイアス電流のリターン・ パスを必要とするため、“フローティング”のままにしておくことは できません。熱電対の測定接点が電気的に絶縁されている場合、IC のピン 1 を電源コモンのピン 4 へ接続する必要があります。アプリ ケーションによっては、熱電対を直接コモンに接続できないことが 回路基板のレイアウト あります。ピン 1 とコモンの間に抵抗を接続すると、バイアス電流 図 3 に示す回路ボード・レイアウト(キャリブレーション抵抗付き) のリターン・パスが構成されますが、それを流れる 100 nA のバイ では、冷接点と AD594/AD595 との間で熱平衡が得られます。パッ アス電流により入力オフセット電圧が発生してしまいます。熱電対 ケージ温度と回路ボードは、ピン 1 とピン 14 の下でプリント回路 ボードの銅パターンと熱的に接触しています。リファレンス接点は、 を測定接点でグラウンドへ接続する必要がある場合または小さい 同相モード電位が存在する場合には、ピン 1 とピン 4 を接続しない IC と熱平衡している銅―コンスタンタン(または銅―アルメル)接 続と銅―鉄(または銅―クロム)接続から構成されるようになります。 でください。 ノイズの除去 熱電対から低レベルの出力電圧を検出する際、ノイズの除去が重要 な問題です。ノイズは内部発生か、または発生源から放射によるか を問わず、ダイナミック・レンジと分解能を制限する要因になりま す。ノイズ問題の解決には、発生源の除去および/またはシールド が含まれます。後者は、発生源を制御または特定できない場合に有 効です。 図 3. PC ボードのレイアウト ノイズは、長い熱電対を使うときに AD594/AD595 の入力アンプへ 混入します。このノイズ・パスが犯人かどうかを識別するときは、 AD594/AD595 から熱電対を切り離して、ピン 1 とピン 14 をピン 4 に接続します。AD594/ AD595 のピン 9 の出力電圧が周囲温度 (+25°C で 250 mV)を表示するようになります。出力(ピン 9)のノイ ズがなくなる場合は、入力のシールドが必要です。シールドされた 熱電対をシールド線で IC のピン 4 に接続すると、ノイズ除去が効 果的になります。出力にまだノイズがある場合には、電源経由の混 入と見られます。適切な電源バイパスとデカップリングによりこの 状態が改善されます。 - 3/7 - AN-369 熱電対入力をフィルタすると、増幅前のノイズが減衰します。図 4 に、ピン 1 に直列な抵抗とこのピンとグラウンドとの間に接続した コンデンサから構成される効果的な入力フィルタを示します。抵抗 を流れる入力バイアス電流によりオフセット電圧が発生します。反 転入力(ピン 14)の入力バイアス電流が入力電圧の変化により変化 するため、この入力に直列に任意の抵抗を接続すると、入力に依存 するオフセット電圧が発生してしまいます。このため、このピンを 直接コモンに接続することが推奨されます。さらに、入力ピンのコ ンデンサにより、熱電対故障の際にアラーム回路の応答時間が大き くなります。 容量を周波数補償ピン(ピン 10)に接続すると、AD594/AD595 出力 アンプの帯域幅がロールオフされるため、ノイズが抑えられます。 補償がない場合の 3 dB 帯域幅は約 10 kHz です。ピン 10 とピン 11 との間に 0.1 µ F のコンデンサを接続すると、 3 dB ポイントが 120 Hz に低下しますが、この方法はノイズにより入力ステージが飽和しな い場合にのみ有効です。 図 5.オプションのキャリブレーション オフセットとゲインの変更 AD594/AD595 は公称ゲイン 10 mV/°C により 0°C で 0 V 出力を発生 するようにデザインされていますが、他の範囲も容易に可能です。 ゼロ出力温度はオフセット電圧をピン 8 に加えることにより変更 することができます。この電圧の大きさは、与えられた熱電対温度 に対して AD594/AD595 出力電圧の式を使って計算されます。ゲイ ンの変更は、ゲイン増には抵抗の直列接続により、ゲイン減には公 称 47 kΩ の帰還抵抗の並列接続により、容易に行うことができます。 次の方法でこの原理を説明します。 図 4.入力のフィルタリング キャリブレーション誤差の調整 AD594/AD595 では 2 種類の性能グレードが提供されており、グレ ードに応じて 1°C または 3°C の最大キャリブレーション誤差を実現 するように出荷時に調整されています。大部分のアプリケーション では、この範囲の誤差を許容できますが、図 5 に示すオプションの トリム回路を接続するとこの誤差をなくすことができます。約 3°C の負のオフセットがピン 5 に加えられます。トリム用ポテンショメ ータにより、平衡電流がピン 3 に加えられるため、キャリブレーシ ョン誤差が相殺されます。 - 4/7 - 1. 温度範囲T1~T2を選択します。 2. この範囲に基づいて、最大出力範囲を両電源動作では(–VS + 2.5)~(+VS – 2)に、単電源動作では0~(+VS – 2)に、それぞ れ制限する出力感度(mV/°C)を決めます。 3. 選択した温度範囲での平均熱電対感度(VT1–VT2)/(T1–T2) を計算します。 4. 所望の出力感度(mV/°C)を平均熱電対感度(mV/°C)で除算し ます。これにより、AD594/AD595の新しいゲイン(G)が得ら れます。 5. ピン8とピン5の間の実際の帰還抵抗RFBを測定します。 6. RIN = RFB/193.4 –1、ここでRFBは帰還抵抗の測定値。注意: AD595には193.4ではなく247.3を使用してください。 7. 新しい帰還抵抗はREXT = (G × 1)(RIN)になります。 AN-369 図 7.電流モード伝送 温度/周波数変換 図 6.オフセットとゲインの変更 電流モード伝送 多くのアプリケーションで、AD594/AD595はノイズの多い離れた場 所に配置され、出力は長いケーブルを駆動します。これらの厳しい 条件では、電流伝送が優れたノイズ耐性を提供するため、ケーブル 抵抗による誤差が解消されます。図7に示す回路はAD594/AD595出 力を電流に変換した後、制御ポイントで電圧に戻します。ピン9の 帰還電圧は、RSENSEの両端の電圧を熱電対電圧に一致させます。 RSENSEに示す値を使うと、これは電流出力スケール・ファクタ10 µA/°Cになります。このため、検出抵抗を流れるAD594/ AD595の静 止電流が最小測定温度を16°Cに制限することに注意してください。 AD711のオペアンプは制御ポイントでこの電流を公称10 mV/°Cに 戻します。総合誤差は、AD594/AD595キャリブレーション誤差およ び検出抵抗と制御ポイントでの1 kΩの電流/電圧変換抵抗との間の 一致に依存します。 デジタル出力フォーマットは、AD594/AD595 の電圧出力を周波数 へ変換することにより発生することもできます。このフォーマット は長い伝送パスでノイズ耐性を強化するだけでなく、コンピュータ へ直接インターフェースできる情報も提供します。低価格の電圧/ 周波数コンバータである AD654 は、10 mV/°C の電圧出力を TTL 互 換の方形波出力へ変換します。図 8 に示すように、システム全体は 5 V の単電源を使い、0°C~+300°C の温度測定が可能です。熱電対 温度が高いほど、電源より 2.5 V 低い AD594/AD595 の最大出力振 幅 を維 持するた めに 高い電源 電圧 が必要に なり ます。AD594/ AD595 の出力電圧は、直列抵抗を介して AD654 入力に接続されて、 0 mA~1 mA のフルスケール電流を発生します。コンデンサ CT は フルスケール出力周波数を決定し、 最大有効周波数 500 kHz で 0.4% の非直線性が得られます。その他の温度範囲と出力周波数も実現可 能です。詳細については、AD654 のデータ・シートを参照してくだ さい。 図 8.温度/周波数変換 - 5/7 - AN-369 華氏温度出力 AD594/AD595 は、華氏温度スケールの温度に比例した電圧を発生 するように設定することができます。摂氏温度から華氏温度スケー ルへの温度変換では、摂氏温度に 9/5 を乗算して 32゜のオフセット を加算する必要があります。このオフセットは 200 nA/°C の電流を ピン 3 に入力して発生し、ゲイン 9/5 を実現するため帰還抵抗を大 きくします。出力キャリブレーションは次のように行います。 1. 2. 3. 熱電対を切り離して、ピン1とピン14に10 mVp-pの100 Hz AC 信号を入力します。 ピン9のp-p出力が3.481 V (AD594)または4.451 V (AD595)にな るようにRGAINを調整します。 熱電対を接続して、0°Cを測定しながら、ピン9の出力が320 mV になるまでROFFSETを調整します。 華氏温度出力の理論伝達関数は次のようになります。 AD594 出力= (タイプ J 電圧+ 919 µV) × 348.12 AD595 出力= (タイプ K 電圧+ 719 µV) × 445.14 この場合、熱電対の有効範囲で得られる出力電圧振幅が大きくなる ため、電源より 2.5 V 低い最大出力電圧を維持するためには電源電 圧を高くする必要があります。 図 9.華氏温度出力 平均温度 AD594/AD595 入力に多数の熱電対を並列接続すると、平均接点温 度を測定することができます。図 10 に示すように、300 Ω の抵抗 を各熱電対の一端に直列接続して、各熱電対の枝の間を還流する電 流を制限します。平均値より高いまたは低い熱電対温度に基づいて、 正または負の電圧降下が発生します。 図 10.平均温度の測定 - 6/7 - AN-369 熱電対のマルチプレクス 参考文献 複数の熱電対を ADG507A のような外付け CMOS アナログ・マル チプレクサを使って 1 個の AD595/AD595 に接続することができま す。正しい動作のためには、複数の熱電対間のすべての接続、マル チプレクサ、AD594/AD595 入力には銅を使い、等温ブロックによ り熱平衡状態に維持します。図 11 に示すように、IC 温度を測定す るため、さらに等温ブロックのリファレンス接点電圧を相殺させる ために熱電対を実装します。マルチプレクサをイネーブルすると、 等温ブロックで熱電対接続により形成されるコンスタンタン(アル メル)—銅接点とリファレンス熱電対接続により形成される銅—コ ンスタンタン(アルメル)接点は直列になります。 1. 3. ブロックは等温であるため、この直列組み合わせにより電圧は等し く極性は逆になります。この状態で、AD594/AD595 の内部冷接点 補償機能が IC のリファレンス接点を補償するようになり、0°C~ +50°C の間に維持されます。ただし、等温ブロックは任意の便利な 温度または場所に置くことができることに注意してください。未使 用のマルチプレクサ入力はコモンに接続して、漂遊信号が混入しな いようにする必要があります。AD594/AD595 の入力が“フローティ ング”になり出力が飽和してしまうのを防止するため、イネーブル 入力を+5 V にして、マルチプレクサを常時イネーブルする必要が あります。 図 11.入力のマルチプレクス Analog Devices, Inc. All rights reserved. 商標および登録商標は各社の所有に属します。 - 7/7 - E1796a–0–7/98 2. Sheingold, Dan, ed. Transducer Interface Handbook, Analog Devices, 1980. 1992 Amplifier Applications Guide, Analog Devices, Pub. No. G1646–10–4/92. American Society for Testing and Materials, Manual On The Use Of Thermocouples In Temperature Mea-surement, ASTM PCN 04-470020-40.