Component - Thermistor V1.0 - Japanese

®
PSoC Creator™ コンポーネントデータシート
サーミスタ計算機
1.0
特長
 NTC サーミスタ(負温度係数サーミスタ)のほとんどに適用可能
 ルックアップテーブル(LUT)または方程式による実装
 サーミスタの値に基づき基準抵抗を選択
 選択可能な温度範囲
 LUT 法では計算分解能を選択可能
概要
サーミスタ計算機コンポーネントは、サーミスタで測定された電圧に基づき温度を計算します。本コンポーネントは
ほとんどの NTC サーミスタに適用可能です。温度範囲と対応する基準抵抗に基づき、Steinhart-Hart 式係数
を計算します。本コンポーネントは生成された係数を利用し測定された電圧に基づく温度を返す API 関数を提
供します。
本コンポーネントは ADC または AMUX を含みません。これらのコンポーネントはプロジェクトに別途配置しなけ
ればなりません。
サーミスタ計算機の用途
このコンポーネントの用途は一つです コンポーネントの API により、サーミスタで測定された電圧に基づき温度を
計算します。
入出力の接続
このコンポーネントはソフトウェアコンポーネントであり入出力の接続はありません。
Cypress Semiconductor Corporation • 198 Champion Court • San Jose, CA 95134-1709 • 408-943-2600
Document Number: 001-85054 Rev. **
Revised December 4, 2012
サーミスタ計算機
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パラメータおよび設定
サーミスタ計算機コンポーネントを回路図の上にドラッグし、ダブルクリックして Configure ダイアログを開きます。こ
のダイアログにはサーミスタ計算機コンポーネントを設定するタブがあります
General タブ
General タブには、次のパラメータがあります。
Reference resistor
Reference resistor は、シンボルに表示されている通りサーミスタに接続して、温度測定の電圧タイプを一定
にします。Rref と RT を交換すると、温度に対する電圧変化を反転させることができます。理想的には基準抵
抗の値を、所望の温度範囲の中間でサーミスタの値と等しくなるようにします。
範囲 = 1Ω~1GΩ (初期値 10000)。
Implementation
方程式または LUT により温度を取得します。2 つの方法のトレードオフは、メモリ、速度、測定範囲、分解能で
す。方程式法はより正確で、測定範囲および精度が固定されています。方程式法では浮動小数点演算ライブ
ラリが必要であるため、より多くのメモリを使用します。LUT はメモリをそれほど使用せず、応答も高速です。初期
設定は方程式法です。
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Calculation resolution (°C)
LUT 実装を選択するとこのパラメータが有効になり、温度精度の設定ができます。
このパラメータで指定する精度は、温度測定の精度です。この精度は、電圧から温度への変換そのものに対す
るものです。つまり基準抵抗の許容誤差、基準電圧の変動、ADC の精度といったシステム内の他の不正確さ
を含みません。
電圧測定が正確であると想定した場合、このパラメータは本コンポーネントの温度出力の精度となります。
選択肢 = 0.01、0.05、0.1(初期値)、0.5、1、2°C
Temperature (°C) / Resistance (Ω)
最初の列は、所望の温度範囲の最高、中間、最低温度を指定します。次の列は、その温度に対する抵抗値
を入力します。この表への入力に基づき Steinhart-Hart 係数が計算されます。
またこれらのパラメータは、LUT 実装の温度範囲も決定します。これらのパラメータに入力された最高および最
低温度値により、LUT の開始値および終了値が決まります。
範囲:


温度(max, mid, min) -80~325°C。(初期値: max = 50、mid = 25、min = 0)
抵抗値(max, mid, min) 0~1MΩ (初期値 max = 4161、mid = 10000、min = 27219)
本コンポーネントは広範な温度範囲(-80~325°C)をサポートしていますが、より良い精度を得るためには標準
温度範囲(-40~125°C)を使用することを推奨します。
標準温度範囲内では、精密な抵抗値がサーミスタのデータシートの抵抗値温度特性表に記載されています。
-40~125°C の外側の非標準温度範囲については、事前測定を行なって、特定の温度について正しい抵抗
値を取得しなければなりません。Steinhart-Hart 係数は、標準の範囲内で最良の精度を提供します。標準範
囲を超える場合は、精度が落ちる場合があります。
サーミスタ計算機コンポーネントを使用してより広い範囲の温度を測定する場合、標準範囲内であっても、その
広い温度範囲を小区間に分割して精度を最大限に高めることを強く推奨します。例えば範囲が-40~125°C
である場合、以下の 3 つの小区間に分割します: -40°C~0°C、0°C~50°C、50°C~125°C。範囲を分割す
ることで、各小区間の抵抗温度曲線をより直線状にし、LUT 入力の不正確さを平滑化し、最良の温度精度
が得られます。小区間がいくつかある場合、どのインスタンスを電圧計算のために利用するかを決定する必要が
あります。抵抗値の計算は温度範囲から独立していますので、どのインスタンスの関数も抵抗値を計算するのに
利用可能です。その後計算された抵抗値に基づき、該当する小区間のインスタンスを利用して温度を計算しな
ければなりません。
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Information
LUT のサイズや適切な基準抵抗といったその他のパラメータに基づき、追加情報が表示されます。LUT サイズ
は冒頭行に表示されます。サイズは 2001 ステップに限定されています。LUT サイズは以下の方程式により決定
されます:
LUT _ サイズ = (最高_温度 − 最低_温度) / 計算分解能 + 1
式に示される通り、LUT サイズは温度範囲および精度によって変ります。したがって、LUT サイズが限度を超え
る場合、および精度は別にしてエラーが起こる場合は、精度または範囲のいずれかを下げる必要があります。
アプリケーションプログラミングインタフェース
アプリケーションプログラミングインターフェース (API) ルーチンにより、ソフトウェアを使用してコンポーネントを設定で
きます。次の表は、各関数へのインターフェースとその説明を示しています。続くセクションでは、各関数について
詳しく説明します。
初期設定では、PSoC Creator は、ユーザの回路図に最初に配置されたコンポーネントのインスタンス名として
"Thermistor_1"を割り当てます。インスタンスの名称は、識別子の文法ルールに従って固有の名前に変更でき
ます。インスタンス名は、すべてのグローバル関数名、変数名、定数名の接頭辞になります。便宜上、次の表で
は"Thermistor"というインスタンス名を使用します。
関数
機能
uint32 Thermistor_GetResistance (int16 Vreference, int16 VThermistor) 基準抵抗とサーミスタ全体の電圧のデジタル
値が、パラメータとしてこの関数に渡されます。
これらは本コンポーネントへの入力と見なされま
す。関数は電圧に基づき抵抗値を返します。
int16 Thermistor_GetTemperature (uint32 ResT)
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サーミスタの抵抗値が、パラメータとしてこの関
数に渡されます。関数は抵抗値に基づき温度
を返します。温度を計算する方法は、方程式
法またはLUT法により異なります。
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uint32 Thermistor_GetResistance(int16 Vreference, int16 VThermistor)
機能:
基準抵抗およびサーミスタ全体の電圧のデジタル値が、パラメータとしてこの関数に渡されます。これらは
本コンポーネントへの入力と見なされます。関数は電圧に基づき抵抗値を返します。
パラメータ:
Vreferenceは基準抵抗両端の電圧です。
Vthermistorはサーミスタ両端の電圧です。これらの2つの電圧の比率をこの関数で使用します。したがっ
て、両方のパラメータの単位は同じでなければなりません。
返り値:
返り値はサーミスタの抵抗値です。返り値の型は、上記の関数プロトタイプに示すように、32ビットの符号
なし整数です。返り値は抵抗値(単位オーム)です。
注意事項:
なし
int16 Thermistor_GetTemperature (uint32 ResT)
機能:
サーミスタの抵抗値が、パラメータとしてこの関数に渡されます。関数は抵抗値に基づき温度を返します。
温度を計算する方法は、方程式法またはLUT法により異なります。
パラメータ:
ResTはサーミスタの抵抗値(単位オーム)です。
返り値:
返り値は温度(摂氏、0.01°C単位)です。例えば、実際の温度が23.45℃である場合、返り値は2345で
す。
注意事項:
なし
ファームウェアソースコードのサンプル
PSoC Creator は、数多くのサンプルプロジェクトを提供しており、そこには回路図およびコード例が含まれてい
ます。
詳しくは AN66477 - PSoC 3 and PSoC 5 Temperature Measurement with Thermistor を参照してくだ
さい。
機能の詳細
プロジェクト全体では、外部に抵抗とサーミスタを PSoC に接続することが必要です。外部に接続する抵抗と
サーミスタの電圧は ADC を利用して測定され、その値は API 呼び出しを通してサーミスタコンポーネントへと渡
されます。この API 呼び出しの返り値は温度です。この方式は ADC をコンポーネントに含まず拘束しないため、
ADC をプロジェクト内の他の関数で利用することができます。システム全体のブロック図を次に示します。
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図 1. サーミスタによる温度モニタシステムのブロック図
プロジェクト全体では、外部に抵抗とサーミスタを PSoC に接続することが必要です。外部に
接続する抵抗とサーミスタの電圧は ADC を利用して測定され、その値は API 呼び出しを通して
サーミスタコンポーネントへと渡されます。この API 呼び出しの返り値は温度です。この方式
は ADC をコンポーネントに含まず拘束しないため、ADC をプロジェクト内の他の関数で利用
することができます。システム全体のブロック図を次に示します。
図 1 に示す抵抗とサーミスタの組合せに、一定電圧 Vhi が加えられます。
サーミスタの抵抗値は温度変化により変ります。したがってサーミスタの電圧降下は温度により変ります。サーミス
タおよび抵抗全体の電圧降下を測定し、以下の式を利用してサーミスタの抵抗値を特定できます。
 V  Vlow 

RT  Rref  T
 Vhi  VT 
温度は方程式法または LUT 法のいずれかを通して、抵抗値に基づき決定されます。温度は、以下の
Steinhart-Hart 方程式を直接使用して、方程式法で得られます:
1
 A  B  ln(RThermistor )  C  (ln(RThermistor ))3
TK
A、B、C は、本コンポーネントにより計算される Steinhart-Hart 係数です。係数は、本コンポーネント内に
“Thermistor Parameters"を代入することで生成される 3 つの連立方程式を解くことで得られます。
LUT 法の場合、本コンポーネントにより温度と抵抗値の表が生成され、プログラムメモリに保存されます。LUT を
生成するには、当該範囲内の温度に対する抵抗値を以下の式を利用して計算します:
RThermistor  e
1
1

    / 2  3     / 2  3 


最低温度から抵抗値を計算し始めて、ユーザー定義の最高温度まで精度単位で上げていきます。LUT はこれ
らの抵抗値からなり、プログラムメモリに保存されます。測定された抵抗値に対応する温度は、動作中に表から
取得します。
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
ここに
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1
3
2
T ,    B   
C
4
 3C 
A
上記の式はユーザの参考として記載します。本コンポーネントはこれらのすべての計算を行い、Configure ダイア
ログでの選択に基づき必要な温度を提供します。
以下の表は、2 つの実装方法の比較を示したものです。
方程式法
LUT法
コメント
精度(+/-)
0.01
≥ 0.01
精度には、計算のみの精度が示されています。これには、サーミス
タ、基準抵抗、基準電圧、ADCの精度は含まれていません。方
程式法の精度は±0.01℃以下ですが、関数が摂氏0.01℃単
位の数を返すため、出力は±0.01℃の分解能に制限されます。
メモリ使用量
浮動小数点がまだ含
まれていない場合、よ
り高くなります。
浮動小数点がまだ
含まれていない場
合、より低くなりま
す。
方程式法のメモリ使用量は固定されており、それは浮動小数点
ライブラリが原因です。別のコンポーネントまたは関数により浮動
小数点ライブラリがすでに利用されている場合、方程式法は効
率的です。
浮動小数点がすでに
含まれている場合、よ
り低くなります。
浮動小数点がすで
に含まれている場
合、より高くなりま
す。
LUT法のメモリ使用量は、選択する範囲および精度により異なり
ます。
範囲
指定範囲より広い
指定範囲に限定
方程式法では、温度を指定範囲の外で測定可能です(精度は
下がります)。LUT法は指定範囲に限定されています。
速度
遅い
速い
方程式法は、計算を多用する浮動小数点演算ライブラリを使
用します。LUT法は、LUTのバイナリサーチを行うだけです。
温度と抵抗値をどのように組合せても、有効な Steinhart-Hart 方程式となるわけではありません。入力した値
が無効な方程式を生成した場合には、以下のエラーが発生します:
これは、サーミスタデータシートの基準値を利用する場合、または正確に事前測定された値を利用する場合には、
起こりません。
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GCC コンパイラで方程式法を実装する場合、下図に示すように Build Settings ダイアログの Linker オプショ
ンにある Additional libraries フィールドに"m"を入力して、演算ライブラリをインクルードしなければなりません。
リソース
コンポーネントはファームウェアで完全に実装されています。他の PSoC リソースは消費しません。
API メモリ使用量
コンポーネントのメモリ使用量は、コンパイラ、デバイス、使用されている API の数やコンポーネントの構成によって
大きく異なります。以下の表は、特定のコンポーネント構成で使用できるすべての API についてのメモリ使用量を
示しています。
最適化をサイズ優先、リリースモードに設定したコンパイラを使って測定されました。特定の設計については、コン
パイラによって生成されたマップファイルを分析してメモリ使用量を特定できます。
PSoC 3 (Keil_PK51)
構成
式
LUT
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PSoC 5 (GCC)
PSoC 5LP (GCC)
フラッシュ
SRAM
フラッシュ
SRAM
フラッシュ
SRAM
バイト
バイト
バイト
バイト
バイト
バイト
339
0
208
0
208
0
774 + (LUT
サイズ*4)
0
144 + (LUT
サイズ*4)
0
144 + (LUT
サイズ*4)
0
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性能
本コンポーネントの性能は、カスタマイザで選択する実装方法により異なります。以下の値は、CPU 速度
24MHz、コンパイラをリリースモードに設定した状態で測定されました。これらの数値は、必要なトレードオフを特
定するための近似値として使用してください。
デバイス
方程式法
101エントリLUT
2001エントリLUT
PSoC 3 (Keil PK51)
26,000サイクル
3,400サイクル
5,400サイクル
PSoC 5 (GCC)
20,000サイクル
200サイクル
540サイクル
変更履歴
バージョ
ン
1.0
変更の説明
変更の理由 / 影響
バージョン1.0はサーミスタ計算機コンポーネントの最初のリリー
スです。
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り、医療、生命維持、救命、重要な管理、又は安全の用途のために使用することを保証するものではなく、また使用することを意図したものでもありません。さらにサイプレスは、誤動作や故障によって使用者に重大な傷害を
もたらすことを合理的に予想される、生命維持システムの重要なコンポーネンツとしてサイプレス製品を使用することを許可していません。生命維持システムの用途にサイプレス製品を提供することは、製造者がそのような使用
におけるあらゆるリスクを負うことを意味し、その結果サイプレスはあらゆる責任を免除されることを意味します。
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