参考回路:日本語版

回路 ノート
CN-0190
接続/参考にしたデバイス
Circuits from the Lab™ 実用回路は
今日のアナログ・ミックスド・シ
グナル、RF 回路の設計上の課題の
解決に役立つ迅速で容易なシステ
ム統合を行うために作製、テスト
されました。詳しい情報と支援に
ついては
www.analog.com/jp/CN0190.をご覧
ください。
ADP1872
150 mA 同期式降圧
コントローラ
ADP121
150 mA リニア・レギュレータ
ADP1864
降圧コントローラ
ADP1613
昇圧 PWM スイッチング・
コンバータ
ADP2114
デュアル同期型ステップ
ダウン・レギュレータ
ADM1066
出力電圧調整機能付き
スーパー・シーケンサ
ADP2300
非同期降圧レギュレータ
ADM1178
ホットスワップ・コントローラ
とデジタル電力モニタ
ADP2301
非同期降圧レギュレータ
ADCMP670
リファレンス内蔵デュアル・
コンパレータ
ADP2108
600 mA , 3 MHz 降圧
コンバータ
ADM1170
1.6 V~16.5 V ホットスワップ・
コントローラ
ADP1741
2A 低ドロップアウト・
リニア・レギュレータ
ADCMP350
リファレンス内蔵コンパレータ
ADP151
超低ノイズ、200 mA
リニア・レギュレータ
AD628
高同相電圧差動アンプ
堅牢な、6 V ~14 V 入力、多電圧、高効率、25W ユニバーサル電源モジュール
CALENDAR10 評価と設計支援
回路の機能とその利点
回路評価基板
CN-0190 回路評価基板(EVAL-CN0190-EB1Z)
設計と統合ファイル
回路、レイアウト・ファイル 、BOM
FPGA や,CPU、 DSP など、アナログ回路を各種組み合わせて
使用する近年の複雑なシステムでは、一般的に多電圧レール
を必要とします。電源システムは高信頼性、高安定性を高め
るために、多電圧レールを出力するだけでなく、適切なシー
ケンス・コントロールと必要な保護回路を内蔵する必要があ
ります。
ADM1178
INPUT CONTROL
POWER MONITOR
ADP1872
3.3V (2A)
SYNC-BUCK
CONTROLLER
ADP121
I2C INTERFACE
LOW QUIESCENT
CURRENT LDO
3V (0.1A)
ADP2114
1.5V (1A)
DUAL SYNC BUCK
REGULATOR
1.8V (1A)
ADP1741
ADP2300
NON-SYNC
BUCK REGULATOR
SYNC BUCK
REGULATOR
ADM1066
SEQUENCING
MONITORING
MARGIN CONTROL
ADP2108
LOW DROPOUT
HIGH CURRENT LDO
1.0V (2A)
1.2V (0.5A)
2.5V (1A)
ADP2301
ADP1864
NON-SYNC
BUCK CONTROLLER
NON-SYNC BUCK
REGULATOR
–5V (0.2A)
5V (1A)
ADP151
3.3V (0.1A)
LOW NOISE
LDO
ADP1613
NON-SYNC BOOST
REGULATOR
ENABLE
Px (0.1A)
2.5V, 5V, 12V OR 15V
ENABLE
Nx (0.1A)
ENABLE
09578-001
6V TO 14V
図 1.ユニバーサル電源モジュールの機能ブロック図
アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の
利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いま
せん。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示的または暗示的に許諾するもので
もありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、各社の所有
に属します。
※日本語資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。
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社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル
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電話 06(6350)6868
CN-0190
図 1 に示すモジュールは多電圧電源システムのリファレンス・
ソルーションです。お客様のご要求に応じて回路を容易に変更
して、使用頻度の高いシステムの電源電圧を出力させる事がで
きます。出力がフル負荷時、全体の効率が約 78%になるように、
回路はスイッチング・レギュレータとリニア・レギュレータを
適切に組み合わせて使用しております。フル負荷時に供給され
る出力電力は約 25 W です。
回路説明
回路のブロック図を図 1 に示します。このセクションの完全な
回路は CN0190 Design Support Package に載っています。このモ
ジュールは、デジタル回路とアナログ回路に必要とされるほと
んどの標準的な電源電圧を出力し、過大電圧、過小電圧、過大
電流の検出と保護を実現する簡単な方法も明示しています。
さらに、このモジュールはシーケンス・コントロールと出力電
圧調整機能(出力電圧マージニング)を実施する方法も示して
います。
回路の入力電圧範囲は 6 V ~14 V と広く、柔軟性があります。
これは各電源レールの初段に使用されている高効率スイッチン
グ・コントローラとスイッチング・レギュレータ各々の入力範
囲が広いためです。ADM1178 ブロックは入力電源の過大電圧、
過大電流の検出と保護を行うと共にシステム全体に対してホッ
トスワップ・コントロールを行います。ADM1066 はワンチッ
プで 12 電源レール全部の電源電圧モニタとシーケンス・コント
ロールさらに 3.3V(2A)レールの出力電圧調整機能を行います。
VIN_MAIN
R2
SYSTEM_POWERIN
S
15mΩ
1%
2010
G
D
Q1
Si7461DP
R4
100kΩ
1%
0603
R1
100kΩ
1%
0603
V3_3_AUX
D1
RED
LED0603
TP1
U1
R65
100kΩ
1%
0603
1
2
3
4
5
EN_ADP1178
C2
0.1µF
50V
0603
SYS_GND
VCC
SENSE
ON
GND
TIMER
C31
0.1µF
50V
0603
VIN
Q2
SI7192DP
30V
60A
ALERT
GATE
ADR
SDA
SCL
10
9
8
7
6
ADM1178ARMZ
R3
10Ω
1%
0603
R5
1kΩ
1%
0603
SYS_GND
SCL
SDA
SYS_GND SYS_GND SYS_GND
VIN_MAIN
R11
52.3kΩ
1%
0603
V3_3_AUX
Q5
SI2302CDS-T1-GE3
20V
3A
R8
1kΩ
1%
0603
SYS_GND
SYS_GND
R9
1kΩ
1%
0603
U3
1
2
3
SYS_GND
R11
1.5kΩ
1%
0603
Q4
Si2302CDS-T1-GE3
20V
3A
VOUTA
GND
+INA
SYS_GND
V3_3_AUX
6
VOUTB
5
VDD
4
–INB
ADCMP670-1YUJZ
D4
RED
LED0603
R12
60.4kΩ
1%
0603
SYS_GND
D2
RED
LED0603
C5
0.1µF
50V
0603
SYS_GND
R13
4.7kΩ
1%
0603
SYS_GND
09578-002
VIN_MAIN
図 2.モジュールの入力保護回路
入力保護回路の説明
入力電圧極性反転保護
図 2 に示す回路はモジュールの入力保護回路ですが、次のセ
クションで詳しく説明します。
極性反転に対する保護は P-チャンネル MOSFET( Q1)によっ
て行われます。入力電圧が正で正常動作では、
SYSTEM_POWERIN と SYS_GND の間の電圧が正でゲート-ソ
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CN-0190
ース間スレシホールド電圧より大きい時、Q1(SI7461DP)はタ
ーンオンします。入力が負(極性反転した故障状態)の場合、
主要回路を破損から守るために Q1 はターンオフするので、そ
の機能はダイオードに似た機能になります。
P チャンネル MOSFET は高入力電流(6.67 A まで)なので、
ダイオードよりはるかに優れています。なぜなら MOSFET は
低オン抵抗なので電力消費を最小にできるからです。例えば
SI7461DP のオン抵抗は VGS が−4.5 V の時約 0.02Ω です。従って
6.67 A の電流の場合、消費電力はわずか 0.9 W です。順方向電
圧降下 0.6 V のダイオードは同じ電流で約 4W を消費します。
SI7461DP の最大 VGS は±20 V なので、モジュールの入力範囲 6
V ~ 14 V をカバーします。Q1 を入力電圧変化に対して堅牢に
するために、Q1 のゲート・バイアス電圧を抵抗 R4-R5 で分割
した出力から供給している事に注目してください。
もし入力電圧が高電圧側でウィンドウ域を外れると、VOUTA
が”ハイ”になり、Q5 がターンオンして、ADM1178 の ON ピ
ンが”ロー”に落ちるので Q2 がターンオフします。同じように、
もし入力電圧が低電圧側でウィンドウ域を外れると、VOUTB
が”ハイ”になり、Q4 がターンオンして、ADM1178 の ON ピン
がローに落ちるので Q2 がターンオフします。
過電流、低電圧、過電圧の計算のまとめ
過電流スレッショールド=100 mV ÷ 15 mΩ = 6.67 A
電流検出用抵抗の電力= 100 mV × 6.67 A = 0.667 W ( 0.75 W 抵
抗を使用)
高電圧スレッショールド= 0.4 V(R10 + R11)/R11 = 14.35 V
低電圧スレッショールド= 0.4 V(R12 + R13)/R11 = 5.54 V
過電流検出と保護
入力電流はホットスワップ・コントローラ/デジタル・パワ
ー・モニタ ADM1178 を使用して、15 mΩ の電流検出抵抗 R2
の電圧降下を測定する事により検出されます。最大負荷電流
は ADM1178 内部の FET ドライブ・コントローラが N-チャン
ネル MOSFET(Q2)のゲート電圧を制御する事により調整されま
す。 検出抵抗両端の電圧が 100 mV 以上になると、ゲート駆
動電圧は Q2 を流れる電流を制限してそれ以降の回路を保護し
ます。
過電圧と低電圧の検出と保護
ADCMP670-1 はデュアル、低電力、高精度のコンパレータで
400 mV のリファレンスを内蔵しています。2 つのコンパレー
タと外付け MOSFET(Q4,Q5)でウインド・コンパレータを形
成しています。5.54 V と 14.35 V の低電圧スレッショールドと
高電圧スレッショールドはそれぞれ抵抗分割 R10–R11 と R12–
R13 によって設定されます。
IC 保護回路
各電源用 IC には関連したいくつかの保護機能もあります。出
力レールがパワーアップ時に予測可能な方向で動作するため
に必要な最低入力電圧よりも入力電圧が下がった時、低電圧
ロックアウト(UVLO)が IC へのすべての入力と出力をディス
エーブルにします。サーマル・シャット・ダウン(TSD) は高
動作接合部温度による破損から IC を守ります。過電流保護
(OCP)は同様に出力が短絡した時 IC を守ります。詳細は、
個々の電源 IC のデータシートに載っています。
ユニバーサル電源モジュールの電源レールの説明
表 1 にまとめたように、ここにはこのモジュールによって供
給される 12 種類の電源レールがあります。3.3V(2A)、
1.5V(1A)、1.8V(1A)、1.2V(0.5A)の 4 種類のレールは同期降圧
回路を基本にしています。5.0V(1A)と、 2.5V(1A)の 2 種類の
レールは非同期降圧回路を基本にしています。−5 V レールは
+5.0V(1A)レールから反転バック・ブースト回路を使用して生
成します。正と負のアナログ電圧{Px,Nx}(0.1A)は Sepic-Cuk
回路で生成します。 最後の 3 種類の電源電圧は LDO を使用し
て供給します。各レールの LED インジケータは独立した電源
をもちます。表 1 は電圧、最大電流能力、電源用 IC の主な特
長、各電源電圧の代表的なアプリケーションの一覧です。
表 1 ユニバーサル電源モジュールの電源レールの一覧
代表的な
出力電圧
3.3 V
アプリケーション
電流
電源 IC
2A
ADP1872 は汎用、電流モードの同期式ステップ・ダウン・コントローラで、優れ
た過度応答、最適な安定性を提供し、設定可能な電流検出ゲイン、電流制御回路
ADP1872
を伴った一定のオン時間、擬似固定周波数を用いた電流制限保護も備えていま
す。
5.0 V
1A
1.5 V
1A
1.8 V
1A
2.5 V
1A
1.2 V
0.5 A
電源 IC の概要
汎用デジタル回路、
ADP1864 は小型、低価格、一定周波数、電流モードのステップ・ダウン DC/DC コ I/O 電圧
ントローラです。ADP1864 で駆動する P チャンネル MOSFET は、14V という高い
ADP1864 入力電圧から 5A までの負荷電流に対して、0.8V という低い出力電圧を±1.25%の
精度でレギュレーションします。デバイスは低ドロップアウト電圧のために 100%
デューティ・サイクルで動作する事ができます。
ADP2114 は汎用、同期型デュアル、ステップダウン・スイッチング・レギュレー
タでユーザーの広範囲の負荷要求を満足します。2 つの PWM チャンネルは、独立
ADP2114 した 2A と 2A(又は 1A/3A)出力に設定するか、1つの 4A インターリーブ出力に
設定できます。入力のリップル電流を軽減し、入力容量を軽減するために 2 つの
PWM チャンネルは 180°位相シフトされております。
MCU、 DSP 又は
FPGA のコア電圧
ADP2300 は、小型、一定周波数、電流モードのステップ・ダウン DC-DC レギュレ
ADP2300 ータで、パワーMOSFET を内蔵しています。ADP2300 は 3.0 V ~20 V の入力電圧
で動作するので広範囲のアプリケーションに適しています。
ADP2108 ADP2108 は高効率、低静止電流のステップ・ダウン DC/DC コンバータです。この
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デバイスには全部で 3 個の小さな外付け部品しか必要としません。このデバイス
は、優れた安定性と過度応答のために当社独自の高速電流モード、一定周波数の
パルス幅変調(PWM)制御回路を使用しております。100%デューティ・サイク
ルでの動作は低ドロップ・アウト電圧を提供します。
ADP1741 は 1.6 V~3.6 V で動作し、最大出力電流が 2A の低ドロップ・アウト
(LDO)CMOS リニア・レギュレータです。
1.0 V
2A
ADP1741
Px
0.1 A
Nx
0.1 A
ADP1613 は、最大 20 V の出力電圧が可能なパワー・スイッチ内蔵のステップ・ア
ADP1613 ップ DC/DC スイッチング・コンバータです。
3.3 V
0.15 A
3V
0.1 A
-5 V
0.2 A
ADP151 は、超低ノイズ (9µV)、低ドロップ・アウトのリニア・レギュレータで、 ADC、DAC、アン
プ、アナログ・マル
2.2V~5.5V で動作し、最大出力電流は 200 mA です。
チプレクサなどのア
ADP121 は、低静止電流、超低ノイズ、低ドロップ・アウトのリニア・レギュレー ナログ又はミックス
ADP121
ド・シグナル・シス
タで、2.3V~5.5V で動作し、最大出力電流は 150 mA です。
テム
ADP2301 は、小型、一定周波数、電流モードのステップ・ダウン DC-DC レギュレ
ADP2301 ータで、パワーMOSFET を内蔵しています。デバイス ADP2301 は 3.0 V ~ 20 V の
入力電圧で動作するので、広範囲のアプリケーションに適しています。
ADP151
低ドロップ・アウト・リニア・レギュレータ(LDO)は一般的に
スイッチング電源よりも容易に使用可能で、低ノイズで、過度
応答特性が優れています。しかしそれらは、出力電圧が入力電
圧よりかなり低い時には効率が悪くなります。この事はそれら
の電流出力能力を制限します。
スイッチング電源は高効率で高電流出力なので一般的に電源シ
ステムの初段に最適です。
スイッチング電源によって生じるノイズはコントロール・ルー
プを適切に設計し、優れた PCB レイアウト技術を用いる事によ
り最小限に抑える事ができます。スイッチング電源は、次の回
路ノートに述べるように注意して使用する事により、しばしば
高性能アナログ回路の電源として使用する事ができます:
、 CN-0137、CN-0141 と CN-0193
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CN-0190
表 2ADIsimPower のスイッチング・コンバータ設計パラメータ入力
VOUT
VIN(MIN)
VIN(MAX)
IOUT(MAX)
IRIPPLE
VRIPPLE
ISTEP
VSTEP
3.3V(2A)
6V
14 V
4A
33% IOUT(MAX)
1% VOUT
80% IOUT(MAX)
5% VOUT
5.0V(1A)
6V
14 V
2A
33% IOUT(MAX)
1% VOUT
75% IOUT(MAX)
5% VOUT
2.5V(1A)
6V
14 V
1A
33% IOUT(MAX)
1% VOUT
80% IOUT(MAX)
5% VOUT
{Px,Nx}(0.1A)
6V
14 V
0.1 A
33% IOUT(MAX)
1% VOUT
70% IOUT(MAX)
5% VOUT
1.8V(1A)
3.2 V
3.4 V
3A
33% IOUT(MAX)
1% VOUT
90% IOUT(MAX)
5% VOUT
1.5V(1A)
3.2 V
3.4 V
1A
33% IOUT(MAX)
1% VOUT
90% IOUT(MAX)
5% VOUT
1.2V(0.5A)
3.2 V
3.4 V
0.5 A
33% IOUT(MAX)
1% VOUT
90% IOUT(MAX)
3% VOUT
ADIsimPower を使った個別のスイッチング電源回路
の設計
ADIsimPower は対話型設計ツールで、電源 IC の選択工程を簡
略化し、最適なリニア又は DC-DC コンバータを組み立てるた
めに必要な情報を提供します。プログラムはすべての面倒な計
算を遂行し、最終回路、推奨する部品表、推定性能を提供し
ます。使用部品の推薦は既知の電気的特性に基づき大規模な
部品データベースから行われます。ユーザーは単にプログラ
ムにシステム-レベルの入力を行うだけです;表 2 に示すよう
に最小入力電圧、最大入力電圧、出力電圧、出力電流、出力
電流リップル、出力電圧リップル、過度応答など。
(反転バック・ブースト構成の)ADP2301 を使用した
−5V(0.2A)レールを除き、この電源モジュールのスイッチン
グ・コントローラとスイッチング・レギュレータを基本とし
たすべての電源レールは ADIsimPower を使用して設計されま
す。
ADIsimPower に関する詳細は Analog Dialogue 44-01
“ADIsimPower M Provides Robust, Customizable DC-to-DC
Converter Designs” と www.analog.com/jp/ADIsimPower を参照
してください。
設計例 1:ADP1872 を使用した 3.3V(2A)レール
図 3 に ADP1872 で制御する同期降圧回路の回路図を示します。
この回路は次の 3 つの部分に分ける事ができます。A の部分は
ADP1872 のバイアス電圧の生成部で、B の部分はイネーブル・
コントロール、そして C の部分は電圧のスイッチング・レギュ
レータ部です。
ADP1872 は 2.75 V~5.5 V の広範囲のバイアス電圧で動作しま
す。図 3 の A の部分に示すように、この回路でバイアス電圧は
NPN バッファ・トランジスタと組み合せた 4.7 V ツェナ―・ダ
イオードが供給します。選択したツェナ―ダイオード
(DDZ9687)は電流 50 µA でツェナ―電圧が 4.7 V です。
ADP1872 の最大入力電圧は 20 V です。
ADP1872 のピン 2 (COMP/EN)は内部の高精度イネーブル回路
に接続しているだけでなく全体のループ特性をコントロールす
る内蔵誤差アンプの出力にも接続されています。N チャンネル
MOSFET(Q9)は ADP1872 のイネーブル・コントロールを接
地してデバイスをディスエーブルにするために使用します。Q9
がオフで、ADP1872 がイネーブルの時、ループ特性は C11, C12
と R16 の回路網でコントロールされます。Q8 はインバータと
して動作し、B の部分 の入力(EN_3.3V)に正のロジック信号が
加わると ADP1872 がイネーブルになります。
図 3 の C の部分に示す回路は表 2 に示した入力を基に
ADIsimPower を使用して作成しました。
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CN-0190
VIN
VDD_ADP1872
+
Q6
MMBT2222A
Q7-B
FDS6898A
A
GND_ADP1872
2
VIN
C11
4.7nF
50V
0603
FB_1872
3
5
DRVH
GND
PGND
VDD
DRVL
9
SYS_GND
MSS1038-102NL
L1
3.3V_2A
8
Q7-A
FDS6898A
7
6
+
C18
10µF
0805
10V
C13
330µF
10V
SYS_GND SYS_GND
R17
100kΩ
1%
0603
ADP1872ARMZ-0.6-R7
C38
1µF
25V
0805
SYS_GND
C
図 3. 設計例 1:
C17
22µF
10V
1206
SYS_GND
R20
22kΩ
0603
1%
FB_1872
GND_ADP1872
SYS_GND
を使用した同期型降圧回路で生成された 3.3V (2A)レール
NV_CS
NX_VOUT
R21
1%
NX(0.1A)
240mΩ
0805
F2
1 IN
L8-B
C62
10µF
25V
1206
SYS_GND
C72
10µF
25V
1206
C70
1µF
50V
1206
R77
1%
2
GND
1µF
PV_CS
PX_VOUT
240mΩ
0805
2
C120
10µF
25V
1206
C118
10µF
25V
1206
1µF
GND
1
C68
1µF
50V
1206
L7-A
OUT 3
B10
330@100MHz
SYS_GND
D12
SS24S
L7-B
C61
10µF
25V
1206
C71
10µF
25V
1206
D11
SS24S
L8-A
MSD7342-153ML
VIN_ADP1612
R19
100kΩ
1%
0603
4
VDD_ADP1872
GND_ADP1872
GND_ADP1872
SW
FB
4
GND_ADP1872
Q8
2N7002E
B
C15
0.1µF
50V
0603
10
3
R23
160Ω
1%
0603
Q9
2N7002E
EN_3.3V
BST
COMP/EN
VDD_ADP1872
C12
39pF
50V
0603
SYS_GND
1
1
2
R22
100kΩ
1%
0603
SYS_GND
U4
GND_ADP1872
R16
69.8 kΩ
1%
0603
C8
10µF
25V
1206
C7
220µF
16V
SYS_GND
GND_ADP1872
C77
0.1µF
50V
0603
5
6
C14
0.1µF
50V
0603
D6
4.3V
DDZ9687
C6
220µF
16V
7
8
P2
+
09578-003
R15
4.7kΩ
1%
0603
C79
10µF
25V
1206
C81
10µF
25V
1206
B9
330@100MHz
3
IN
OUT
F1
PX(0.1A)
MSD7342-153ML
SYS_GND
SYS_GND
1
COMP
0603
1%
24.3kΩ
R60
C65
22pF
50V
0603
2
3
4
図 4.
U17
SS
FB
FREQ
EN
VIN
GND
R54
10kΩ
1%
0603
SYS_GND
SW
8
VDD_1612
7
6
5
C66
1µF
25V
0805
R63
10kΩ
1%
0603
C90
0.1µF
50V
0603
Q17
SI2308DS
60V
2A
R58
9.1kΩ
1%
0603
ADP1613ARMZ
C64
3.3nF
50V
0603
SYS_GND
50V
0603
SYS_GND
SYS_GND
SYS_GND
R59
680Ω
1%
0603
SYS_GND
設計例 2:ADP1613 で制御する Sepic-Cuk 構成回路をベースとしたアナログ{Px,Nx}(0.1A)レール
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09578-004
C50
0.1µF
EN_ADP1612
CN-0190
います。R76 と R77 は過電流検出のために追加した 240 mΩ
シャント抵抗ですが、コントロール・ループの特性には重大
な影響を及ぼしません。
設計例 2:出力の過電流検出と保護回路つき正/負の
アナログ・レール{Px,Nx}(0.1A)
正/負のアナログ・レール{Px,Nx}(0.1A)は、ステップアッ
プ・コントローラ ADP1613 を使い Sepic-Cuk 回路構成で設計
されています。フィードバック経路の抵抗の値を変える事に
より、出力を 4 つの異なる対称な出力電圧に設定する事がで
きます。設定できる電圧は{+2.5V,−2.5V}、 {+5V,−5V}、
{+12V,−12V}、{+15V,−15V}です。図 4 はすべての部品を
ADIsimPower に基づいて選択した回路です。アナログ電源の
出力リップルをさらに削減するために出力容量を 10 µF に増
やしました。又ノイズを抑制するためにフェライト・ビーズ
と 3 端子コンデンサを使った外付け LC フィルタを使用して
VDD_1612
C63
0.1µF
50V
0603
SYS_GND
PV_CS
C76
100pF
0603
50V
図 5 に過電流検出回路を示します。ADM1170 はソフトスター
ト機能付きホットスワップ・コントローラで、この回路では
正の出力レールの過電流検出に使用しています。内部の過電
流検出回路は{Px,Nx} 出力の範囲 2.5 V~15 V を含む 1.6 V~
16.5 V の電圧を制御できます。SENSE+と SENSE−間の電圧が
50 mVtyp 以上の時、ゲートピンが接地され、ADP1613 をシャ
ットダウンします。 過電流スレッショールドは 240 mΩ シャ
ットダウン抵抗(R76)によって 208 mAtyp に設定されてい
ます。
VDD_1612
U13
8
VCC
TIMER
7
SENSE+
GND
6
SENSE–
SS
5
GATE
ON
1
2
3
4
C89
ADM1170–2AUJZ 100pF
50V
0603
R67
D13 GREEN
2kΩ
1%
0603
LED0603
Q13
2N7002E
60V
240mA
C75
0.1µF
50V
0603
SYS_GND
PX_VOUT
SYS_GND
EN_ADP1612
+PX_VOUT
R48
1kΩ
0603
1%
0.1µF
50V
R47
124kΩ
0603
VDD_1612
1%
SYS_GND
SYS_GND
C103
0.1µF
50V
0603
NX_VOUT
C78
0603
SYS_GND
5
OUT
R62
2kΩ
1%
0603
CFILT
4
RG 6
VREF
+VS
–VS
2
3
–IN
+IN
U11
AD628ARM
1
C98
100pF
0603
50V
7
8
NV_CS
C92
2
0.1µF
50V
SYS_GND
NX_VOUT
U14
1
100pF
SYS_GND
VIN
VCC
GND
OUT
R64
10kΩ
0603
1%
4
3
ADCMP350YKSZ
SYS_GND
図 5. {Px,Nx }(0.1A )レールの過電流検出回路
Rev. 0 | Page 7 of 16
09578-05
C102
0603
CN-0190
抵抗 2 kΩ(R62)は{Px,Nx}電圧がそれぞれの最終値になる
前に AD628 の出力をプルダウンし、回路がラッチアップ状態
にならないように防ぎます。
負の出力レールの過電流検出回路には高同相電圧プログラマブ
ル・ゲイン差動アンプ AD628 と 0.6 V リファレンス内蔵のコ
ンパレータ ADCMP350 を組み合わせて使用します。AD628 は
2 段構成のアンプです。初段は、固定ゲイン= 0.1 の差動アン
プです。2段目のゲイン(G)は外付け抵抗で設定できます。
過電流スレッショールドとシャント抵抗の値は正のレールで使
用された値と同じです。2 段目のアンプのゲインは(式 1 を G
について解く式に書き直す事により計算され)G = 125 になり
ます。
ITHRESHOLD × RSHUNT × (G × 0.1) = 0.6 V
設計例 3:ADP2301 で制御する反転バック・ブース
ト構成を使用した−5V(0.2A)
ADP2301 は非同期ステップダウン・レギュレータです。図 6 に
示す回路で ADP2301 は負電圧を発生させるために反転バッ
ク・ブースト構成で使用されます。この回路は直接
ADIsimPower でサポートされていませんが、詳細はアプリケー
ション・ノート
スイッチング・レギュレータ
ADP2300 と ADP2301 を使った反転降圧ブーストのデザイン."
に説明されています。この構成で、ADP2301 の VIN ピンと
GND ピンは それぞれ電圧の入力レールと出力レールに接続さ
れます。フィードバック抵抗の値を変える事により他の負電
圧を発生させる事ができます。しかし、 |VIN| + |VOUT| を
ADP2301 の最大入力電圧の 20 V 以下にする事が重要です。
(1)
ここで ITHRESHOLD = 208 mA, and R SHUNT = 240 mΩ.
AD628 の電源は{Px,Nx} レールから供給されるので、モジュ
ールの初期パワーオン期間の間に両電圧が安定する時間が必
要です。この時間の間は電源レベルが不定なので AD628 は異
常に動作する可能性があります。
L11
LPS5030-472ML
TP8
C112
0.1µF
50V
U9 0603
VIN_ADP2300
C113
100µF
6.3V
1206
R121
100kΩ
1%
0603
6 SW
5 VIN
BST 1
GND 2
4 EN
FB 3
C101
100µF
6.3V
1206
R123
14.7kΩ
1%
0603
SYS_GND
ADP2301AUJZ
SYS_GND
EN_ADP2300
R130
Q24
MMBT3906
R122
10kΩ
1%
0603
C109
10µF
25
1206
C115
10µF
25
1206
R125
2.8kΩ
1%
0603
VOUT(-5V_0.2A)
10kΩ
1%
0603
09578-006
Q23
MMBT3906
C119
100µF
6.3V
D22
SS24S 1206
SYS_GND
図 6.設計例 3:ADP2301 で制御する−5V 反転バック・ブースト回路
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CN-0190
電源モニタ、シーケンスと出力電圧調整機能
電圧モニタ
Super Sequencer® ADM1066 は設定可能なデバイスで、多電源
システムの電源モニタとシーケンスをワンチップで処理でき
ます。回路を図 7 に示します。システムの入力電源を
ADM1066 の VH に接続します。−5V(0.2A)を除くすべての電
源レールを抵抗分割で減衰後、直接 VPx、VXx 、AUXx に
接続します。 高電圧入力又は負入力をモニタする方法につい
ての詳細は AN-780 と AN-782 を参照してください。
ADM1066 には最大 10 個の電源故障検出(SFD)があります。
入力は過小電圧故障(入力電圧が予め設定された値以下に下
がる)、又は過電圧故障(入力電圧が予め設定された値以上
に高くなる)、またはウィンドウ域外故障(入力電圧が予め
設定された範囲の外になる)を検出するために設定する事が
できます。モジュールのすべての電源はウィンドウ域外故障
の基準を使用してモニタされます。各ウィンドウのスレッ
ショールドは VOUT + 5% と VOUT − 5%.に設定されます。各
電源のパラメータを表 3 に示します。
ADM1066 の 10 個の PDO 出力が 12 種類の電源レールをす
べてコントロールします。 5.0V(1A)、−5V(0.2A)と
{Px,Nx}(0.1A)は1つの PDO ピンを共用します。 他のすべ
ての出力は個々の PDO ピンによってコントロールされます。
図 7. ADM1066 を使用した電源シーケンス、電源モニタ、出力電圧調整機能
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CN-0190
表 3 出力電圧レールの過大電圧と過小電圧のスレッショールド
VX1
Power Rail
1.0V_2A
VMAX
(V)
1.05
VMIN
(V)
0.95
Resistor
Divider
1
Overvoltage
Threshold (V)
1.05
Undervoltage
Threshold (V)
0.95
VX2
1.5V_1A
1.575
1.425
5/6
1.31
1.19
VX3
1.2V_0.5A
1.26
1.14
1
1.26
1.14
VX4
3.3V_0.1A
3.465
3.135
5/16
1.08
0.98
VX5
1.8V_1A
1.89
1.71
11/16
1.30
1.18
VP1
5.0V_1A
5.25
4.75
1
5.25
4.75
VP2
3.3V_2A
3.465
3.135
1
3.465
3.135
VP3
2.5V_1A
2.625
2.375
1
2.625
2.375
VP4
3.0V_0.1A
3.15
2.85
1
3.15
2.85
VH
VIN
14.20
5.70
1
14.20
5.70
AUX1
Nx_0.1A
−2.375
−15.75
1/11
1.65
0.43
AUX2
Px_0.1A
15.57
2.375
1/12
1.30
0.22
シーケンス・コントロールの方策
図 1 に示すように、出力レールによって電源経路は、3 段階
まで上がることができます。3.3V(2A)、2.5V(1A)、5V(1A)、
{Px,Nx}(0.1A)のレールは入力電圧から直接変換され初段だ
け通過します。3V(0.1)、1.5V(1A)、1.8V(1A)、1.2V(0.5A)、
−5V(0.2A)、3.3V(0.1A)のレールは 2 段通過します。
1.0V(2A)レールは 3 段通過します。
シーケンスとコントロールは次のように行われます:
1.
初段、2 段目、3 段目を順次ターンオンし、次に各
レールの電圧をチェックします。
2.
もしいくつかのレールが設定時異常であれば、同じ
段のすべてのレールをターンオフし、戻って前段の
出力をチェックします。もし前段のレールがすべて
正常なら、再度この段のすべてのレールをターンオ
ンします。
3.
それらがすべて正常にターンオンした後に全ての
レールをモニタします。いずれかの出力が異常の
場合、3 段すべての出力全部をターンオフし、初め
のステップにもどり、初段の出力をターンオンし
ます。
ADM106x Configuration Tool-Version 4.0.6 によって生成され
たステート・マシン を図 8 に示します。Application Note
AN-0975, "Automatic Generation of State Diagrams for the
ADM1062 to ADM1069 Using Graphviz."(英文)もご覧くだ
さい。
下記はステート図に使用される項目の定義です。
 PSetUp :電源の入力電圧をチェック。
 TOnStx :x(x = 1, 2, 3)段をターンオン。
 TOffStx :x(x = 1, 2, 3)段をターンオフ。
 MoStx :x(x = 1, 2, 3)段をモニタ。
 MoAll:全 3 段の全レールをモニタ。
 注意:バイナリ・ワード形式は(PDO10, PDO9,
PDO8, PDO7, PDO6, PDO5, PDO4, PDO3, PDO2,
PDO1)です。
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CN-0190
PSetUp
OUTPUTS = 00000 00000
(T) IF VIN_7A (VH) IS
NOT OKAY AFTER 0.1ms
(S) IF VIN_7A (VH) IS OKAY AFTER 100ms
TOnSt1
OUTPUTS = 11010 00001
(T) AFTER 100ms
(T) AFTER 100ms
MoSt1
OUTPUTS = 11010 00001
(T) AFTER 100ms
(T) AFTER 100ms
TonSt2
OUTPUTS = 11111 10111
(M) IF XXXXX 111XX1
TOffSt2
OUTPUTS = 00000 00000
(M) IF 11111 11111
(T) AFTER 100ms
MoSt2
OUTPUTS = 11111 10111
(M) IF X1111 XXX1XX
TOffSt2
OUTPUTS = 11010 00001
(T) AFTER 100ms
TOnSt3
OUTPUTS = 11111 11111
(T) AFTER 100ms
(T) AFTER 100ms
MoSt3
OUTPUTS = 11111 11111
(M) IF 1XXXX XXXXXX
MoALL
OUTPUTS = 11111 11111
(T) AFTER 10ms
図 8. パワーモニタとシーケンス・コントロール方法のステート・マシン図
各スイッチング電源と電源モジュール全体の効率の
3.3V(2A)電圧レールの出力電圧調整機能
ADM1066 には閉ループ・マージニング・システムを行うため
に使用する 6 つの DAC があります。閉ループ・マージニン
グ・システムは DAC 出力を使って DC/DC コンバータのフィー
ドバック・ノードまたはリファレンスを変える事により電源の
調整を可能にします。DAC1 は R85、C82 と R89 を通して
3.3V(2A)レール系統の ADP1872 のフィードバックに接続されま
す。コンデンサ C82 は PCB パターンのノイズをデカップリング
するために使用されます。R89 と R85 の合計抵抗は 152.3 kΩ に
設定されるので、3.3V(2A)の出力を VOUT_3.3(2A) − 0.2 V から
VOUT_3.3V(2A) + 0.2 まで連続に調整できます。
実測値
各スイッチング電源の実測した効率を負荷電流の関数として図
9 に示します。10V 入力電圧で出力がフル負荷時の電源モジュ
ール全体の効率を図 10 に示します。表 4 は入力電圧が 6 V、10
V、14 V の場合のモジュールの効率の一覧です。
Rev. 0 | Page 11 of 16
09578-008
TOffSt3
OUTPUTS = 11111 10111
(T) AFTER 100ms
CN-0190
95
1.5V (1A)
1.8V (1A)
3.3V (2A)
90
5V (1A)
85
2.5V (1A)
–5V (0.2A)
1.2V (0.5A)
5V (1A)
75
70
65
[PX, NX] 0.1A AT 15V
60
55
50
45
40
0
200
400
600
800
1000 1200 1400 1600 1800 2000
CURRENT OUTPUT (mA)
09578-009
EFFICIENCY (%)
80
図 9. スイッチング電源の効率 対 出力電流
図 10.
10V 入力でフル負荷時のモジュール全部の効率
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CN-0190
表 4 各種入力電圧におけるフル負荷時の電源モジュールの効
率
RIPPLE = 8.60mV p–p
VIN = 6 V
VIN = 10 V
VIN = 14 V
Total Input Power (W)
30.79
31.47
32.24
Total Circuit Power Loss (W)
5.96
6.63
7.39
Total Output Power (W)
24.83
24.85
24.86
Overall Efficiency (%)
80.6
78.9
77.1
1
DC = 1.5V
2
09578-011
実測した出力電圧リップル
すべてのスイッチング・モジュールの出力についてリップル
を測定しました。スイッチング電源 ADP2114 の出力 1.5V(1A)
の代表的な結果を図 11 に示します。表 5 はリップルの結果の
一覧です。
CH1 10.0mV/DIV
CH2 1V/DIV
図 11.1.5V(1A)、ADP2114 の出力電流 0.5A での出力リップル
オシロスコープ(テクトロニクス TDS3034B )、プローブ
(P6139A)、オシロスコープ の帯域幅は 300 MHz に設定
表 5 スイッチング・レギュレータのリップルと
過度応答の一覧
Power Rail
VIN
VRIPPLE (P-P)
ISTEP
VSTEP
3.3V(2A)
10 V
26.4 mV (0.8%)
3.2 A*
170 mV (5.2%)
5.0V(1A)
10 V
43.6 mV (0.9%)
1.5 A*
130 mV (2.6%)
2.5V(1A)
10 V
8.2 mV (0.3%)
0.8 A
80 mV (3.2%)
1.8V(1A)
3.3 V
7.6 mV (0.4%)
2.7 A*
50 mV (2.8%)
1.5V(1A)
3.3 V
8.6 mV (0.6%)
0.9 A
39 mV (2.6%)
1.2V(0.5A)
3.3 V
11.4 mV (0.9%)
0.45 A
26 mV (2.2%)
*
2µs/DIV
実測した過度応答
FPGA、DSP、その他のデジタル IC はしばしば電源には過度
電流が発生する負荷になります。電源をこれらの条件下で規
定された制限内に保つ事が重要です。ADP2114 をベースとし
た出力 1.8V(1A)の代表的な過度応答を図 12 に示します。スイ
ッチング電源の過度応答測定の一覧を表 5 に示します。
3.3V(2A)、5V(1A)、1.8V(1A)レールの場合、ステップ電流が
各々のレール出力の電流より高くなる事に注意してください。
なぜならこれらの電圧は複数段を駆動するからです。
これらの出力はモジュールのレギュレータを駆動します。
ΔV = 50mV
リップルの測定は回路のレイアウト、オシロスコープの帯域
幅設定、プローブの帯域幅、プローブを出力に接続する方法
に大きく依存します。図 11 に示す測定は受動プローブ
(P6139A, 500 MHz, 10×) を使用し、テクトロニクスの 300
MHz オシロスコープ(TDS3034B)で行われました。オシロ
スコープとプローブを組み合わせたフル帯域幅は 300 MHz で
す。オシロスコープにはいくつかの(有効帯域幅を減衰する
内部フィルタを使用した)内部帯域設定があります。図 11 の
データは、フルの 300MHz 帯域幅で測定されました。
1
ΔI = 0.9A
2
09578-013
電源ノイズとリップルの測定に関する詳細は Chapter 8, Power
and Thermal Management Hardware Design Techniques, Analog
Devices, 1998.(英語)に載っています。
CH1 100mV/DIV
CH2 2A/DIV
400µs/DIV
図 12.1.8V(1A)、ADP2114 出力の過度応答、
オシロスコープ(テクトロニクス TDS3034B)、プローブ
(P6139A)、オシロスコープの帯域は 20 MHz に設定
Rev. 0 | Page 13 of 16
CN-0190
バリエーション回路
必要な装置(同等の装置に変更可能)
ADM1275 はワンチップでシステムのホットスワップ・コント
ロールと過大電流、過小電圧、過大電圧の検出と保護が可能
です。ADP1870 は内部回路に電圧を供給できるバイアス・レ
ギュレータ(従って外部部品の数を減らす)を内蔵している
ので、外付け部品を削減できます。ADP1871 と ADP1873 は
ADP1870 や ADP1872 の 低消費電力モード (PSM)版 ですが、
軽負荷で高効率を必要とするアプリケーションにも使用でき
ます。ADP2116 は 3 A/3 A あるいは 3 A/2 A のデュアル出力
負荷構成または結合して 6A のシングル出力負荷に設定可能
で ADP2114 とピン・コンパチブルです。大電流出力能力のあ
る負レールは ADP1621 を使用して Cuk 回路構成にする事によ
り生成できます。
 テクトロニクス TDS3034B 4 チャンネル 300 MHz カラ
ー・デジタル・フォスファ・オシロスコープ
 テクトロニクス P6139A、500 MHz、8 pF、10 MΩ、10× 受
動プローブ
 アジレント N3302A、 150 W、0 A ~ 30 A、0 V ~ 60 V
N3300A と組み合わせの電子負荷モジュール
 アジレント E3631A、0 V ~ 6 V、5 A; 0 V ~±25 V、1 A、
トリプル出力 DC 電源
 アジレント 3458A、 8.5 デジット・デジタル・マルチメー
タ
 フルーク 15B デジタル・マルチメータ
回路評価とテスト
 USB-SMBUS-CABLE Z (USB to I2C インターフェース・ド
ングル) または CABLE-SMBUS-3PINZ (パラレル・ポート
to I2C インターフェース ケーブル)
この電源モジュールは 6 V ~ 14 V の任意の電圧の DC 電源で
電源投入後、簡単に評価する事ができます。任意の電源レー
ルの出力能力をテストする時、DC 電源が要求を満足している
かどうかを確認してください。図 8 に示すようにすべての電
源レールは ADM1066 を使ってプリロードしたモニタとコン
トロールの手順でターンオンします。ユーザーは又ユーザー
自信のアプリケーションの電源モニタとシーケンス・コント
ロールを行うために、Super Sequencer 評価基板ソフトウエア
ADM106x を使って、ユーザー自信のコントロール手順を設計
し、それを I2C バス・コネクタ JP1 を介して ADM1066 にダウ
ンロードする事ができます。詳細については ADM1066 と
AN-698” Configuration Registers of
ADM1062/ADM1063/ADM1064/ADM1065/ADM1066/ADM1067
/ADM1166 ” (英文)と AN-0975 を参照してください。
 USB インターフェースつき PC (Windows 2000 または
Windows XP)
セット・アップとテスト
電源レールの効率を測定するブロック図を図 14 に示します。
10 V で EVAL-CN0190-EB1Z の電源を立ち上げた後に、電子
負荷(アジレント N3302A)を定電流モードで動作するよう
に設定します。アジレント 3440A を電流計として動作するよ
うに設定し、フルーク 15B を電圧計として動作するように設
定します。電力出力は VOUT を IOUT に乗算する事により計算で
きます。VIN と IIN は DC 電源(アジレント E3631A)の表示ウ
ィンドウから直接読み取れます。効率は式 2 から計算できま
す。
EVAL-CN0190-EB1Z 基板の写真を図 13 に示します。
効率 = POUT/PIN = (VOUT × IOUT) ÷ (VIN × IIN)
IIN
DC POWER
SUPPLY
AGILENT
E3631A
(2)
VIN
EVAL-CN0190-EB1Z
GND
VOUT
GND
VOLTMETER
FLUKE 15B
ELECTRONIC LOAD
AGILENT N3302A
図 13. EVAL-CN0190-EB1Z ユニバーサル電源モジュールの写真
図 14.効率を測定するためのテスト・セットアップ
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AMMETER
AGILENT
3440A
09578-015
09578-014
IOUT
CN-0190
リップルと過度応答は図 15 に示した回路を使って測定します。
オシロスコープのチャンネル A はモジュールの出力電圧をモ
ニタします。チャンネル B は電流検出抵抗 0.1Ω 両端の電圧
(負荷電流に比例する)をモニタします。振幅と周波数をプ
リセットし、電子負荷を”スイッチ”モードに設定します。そ
こで出力ダイナミック電圧とダイナミック電流はオシロスコ
ープで捉える事ができます。
CN-0193 Circuit Note,.
低電圧電源(3V)で動作可能な高電圧(30V)DAC を用い
たアンテナやフィルタ用チューニング電圧生成回路
アプリケーション・ノート
スイッチング・レギュレータ ADP2300 と ADP2301 を使っ
た反転降圧ブーストのデザイン
アプリケーション・ノート
AN-1075
ADP1870/ADP1872 を利用した同期反転 SEPIC により、非
VIN
DC POWER
SUPPLY
AGILENT
E3631A
AN-1083
反転昇降圧アプリケーションで高効率を実現
EVAL-CN0190-EB1Z
GND
Application Note AN-0975
VOUT
GND
Generation of State Diagrams for the ADM1062 to ADM1069
Using Graphviz
0.1 Ω
Application Note AN-693
Configuration Registers of the ADM1062/ADM1063/
ADM1064/ADM1065/ADM1066/ADM1067/ADM1166
Application Note AN-780
CHANNEL B
OSCILLOSCOPE
ELECTRONIC LOAD
AGILENT N3302A
09578-016
CHANNEL A
Monitoring Negative Voltages with the ADM1062 to ADM1069
Super Sequencers
Application Note AN-782
Monitoring High Voltages with the ADM1062–ADM1069 Super
Sequencers
図 15.リップルと過度応答を測定するテスト回路
Application Note AN-897
ADC Readback Code
さらに詳しくは
セミナー&トレーニング
CN-0190 Design Support Package:
http://www.analog.com/CN0190-DesignSupport
データシードと評価ボード
ADIsimPower™デザイン・ツール:
CN-0190 Circuit Evaluation Board (EVAL-CN0190-EB1Z)
http://www.analog.com/adisimpower
ADP1872
MT-031 Tutorial,
ADP1864
Grounding Data Converters and Solving the Mystery of "AGND"
and "DGND," Analog Devices
MT-101 Tutorial
ADP2114
ADP2300
ADP2301
Decoupling Techniques, Analog Devices.
ADP2108
CN-0135 Circuit Note
ADP1741
Powering the AD9272 Octal Ultrasound ADC/LNA/VGA/AAF
with the ADP5020 Switching Regulator PMU for Increased
Efficiency, Analog Devices.
ADP151
ADP121
ADP1613
CN-0137 Circuit Note
Powering the AD9268 Dual Channel, 16-bit, 125 MSPS Analogto-Digital Converter with the ADP2114 Synchronous Step-Down
DC-to-DC Regulator for Increased Efficiency, Analog Devices.
CN-0141 Circuit Note
Powering the AD9788 800 MSPS TxDAC Digital-to-Analog
Converter Using the ADP2105 Synchronous Step-Down DC-toDC Regulator for Increased Efficiency, Analog Devices.
ADM1066
ADM1178
ADCMP670
ADM1170
ADCMP350
AD628
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CN-0190
改訂履歴
7/11—Revision 0:初版
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まは製品設計で「Circuits from the Lab/実用回路集 」を使用することはできますが、その回路例を利用もしくは適用したことにより、特許権またはその他の知的所有権のも
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期しています。しかし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかな
る種類の明示的、暗示的、法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはそ
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れを行う義務はありません。 商標および登録商標は各社の所有に属します。
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