AN-1373: ADA4530-1 を使用したフェムトアンペア・レベルの入力バイアス電流測定 (Rev. 0) PDF

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AN-1373
アプリケーション・ノート
ADA4530-1 を使用したフェムトアンペア・レベルの入力バイアス電流測定
はじめに
ADA4530-1 は、フェムトアンペア(10−15)レベルの入力バイ
アス電流(IB)と超低オフセット電圧を実現した電位計グレー
ドのシングル・オペアンプです。システム・アプリケーション
で確実に性能目標を満たすように、超低入力バイアス電流は
25 °C と 125 °C で出荷時にテストされています。
図 1 と図 2 に、
広範な温度および入力コモンモード電圧にわたるデバイスの卓
越した入力バイアス電流性能を示します。
1000
–40°C TO +125°C LIMIT
VSY = 10V
VCM = VSY/2
RH < 10%
100
通常、各種の低入力バイアス電流アンプは、T0-99 パッケージ
でも供給されています。これらのパッケージでは、高インピー
ダンス入力ピンを空中配線したり、Teflon® 絶縁体スタンドオ
フを使用してリーク電流を防止したりできます。ただし、これ
らの技術は製造コストの増加を伴い、自動化された最新の PCB
組み立て工程との互換性がありません。ADA4530-1 に採用され
た表面実装型のプラスチック・パッケージにより、この従来の
組み立て方法を回避できます。また、このパッケージは、最新
の表面実装の製造環境で優れた信頼性を示します。
–40°C TO +85°C LIMIT
IB (fA)
10
1
0.1
IB+
IB–
このアプリケーション・ノートでは、ADA4530-1R-EBZ-TIA ま
たは ADA4530-1R-EBZ-BUF 評価用ボードを使用して、SOIC
パッケージに収められた ADA4530-1 のフェムトアンペア・レ
ベルの入力バイアス電流を測定するいくつかの方法について説
明します。
0.001
10
20
30
40
50
60
70
80
90 100 110 120 130
TEMPERATURE (°C)
13419-101
0.01
0
リング用のプリアンプなど、非常に低い入力バイアス電流と低い
オフセット電圧が要求されるアプリケーションに適しています。
ADA4530-1 には、独自のピン配置が採用されています。リーク
を防止するため、入力ピンと電力供給ピンはパッケージの反対
側に配置されています。設計が容易になるように、ADA4530-1 は
ガード・バッファを内蔵しています。ガード・バッファは、入
力ピンを囲むガード・リングを駆動し、プリント回路基板(PCB)
設計の入力ピンへのリーク電流と基板部品数を最小限に抑えま
す。ガード・リングを簡単に配線できるように、ガード・バッ
ファ出力ピンは入力ピンの横に配置されています。ガーディン
グおよびガーディング技法の物理的な実装方法の詳細について
は、ADA4530-1 データシートを参照してください。
図 1. 入力バイアス電流(IB)と温度の関係
300
VSY = 10V
27 CHANNELS
TA = 125°C
200
PREFERRED
COMMON-MODE RANGE
100
IB+ (fA)
0
–100
–200
13419-203
–300
–400
–500
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
VCM (V)
13419-102
図 3. ADA4530-1R-EBZ-TIA の写真
–600
図 2. 非反転入力バイアス電流(IB+)とコモンモード
電圧の関係(VCM)
ADA4530-1 は −40 °C ~ +125 °C の工業温度範囲で動作し、8 ピ
ン SOIC パッケージを採用しています。さまざまな電流出力トラ
ンスデューサ(フォトダイオード、光電子増倍管)、分光測定、
クロマトグラフィ、化学センサーの高インピーダンス・バッファ
図 3 に、ADA4530-1R-EBZ-TIA の写真を示します。本書の以降
の部分では、ADA4530-1R-EBZ-TIA および ADA4530-1R-EBZ-BUF の
両方を ADA4530-1R-EBZ と表します。
ADA4530-1 の詳細については、ADA4530-1 データシートを参照
してください。本アプリケーション・ノートとともに
ADA4530-1R-EBZ ユーザー・ガイド(UG-865)も参照してくだ
さい。
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よって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利
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Rev. 0
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電話 06(6350)6868
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AN-1373
アプリケーション・ノート
目次
はじめに ..........................................................................................1
入力テスト・コンデンサを使用した合計入力容量の測定
................................................................................................. 6
改訂履歴 ..........................................................................................2
既知の入力容量を使用した IB+ の測定 ................................ 6
クリーニングと取り扱い...............................................................3
ΔVOUT(2 つのテスト出力電圧)の測定 ................................. 8
測定テクニック ..............................................................................4
IB− の測定 ............................................................................... 8
Keithley 6430 測定 ......................................................................4
IB+ の測定 .............................................................................. 10
容量性積分測定 ..........................................................................5
入力の直列抵抗を使用した合計入力容量の測定 ...............6
結論 ................................................................................................ 11
改訂履歴
10/15—Revision 0: 初版
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AN-1373
アプリケーション・ノート
クリーニングと取り扱い
アプリケーション・ノートで説明している入力バイアス電流測
定方法では ADA4530-1R-EBZ を使用します。各測定を行う前に
ADA4530-1R-EBZ を適切にクリーニングして、ハンダ・フラッ
クス、塩分を含む湿気、埃、塵などの汚染物を取り除きます。
このクリーニングにより、ADA4530-1R-EBZ の低リーク性能を
維持できます。
4.
5.
6.
7.
有効なクリーニング手順を以下に示します。
1.
2.
3.
クリーンルーム等級のイソプロピル・アルコールを入れ
た超音波槽に 15 分間 ADA4530-1R-EBZ を浸します。超音
波クリーニングでは、高周波の超音波を使用するので、
クリーニング液にキャビテーションが発生します。この
プロセスにより、ADA4530-1R-EBZ の表面の汚染物や、手
の届きにくいハンダ付けされた部品の下の汚染物を取り
除くことができます。以下のクリーニング手順では、未
使用のイソプロピル・アルコールを使用する必要があり
ます。
ピンセットを使用して ADA4530-1R-EBZ を超音波槽から取
り出します。イソプロピル・アルコールで ADA4530-1R-EBZ
をすすいで洗い流し、残留汚染物を取り除きます。
ADA4530-1R-EBZ にイソプロピル・アルコールを注いで、
酸性ブラシで優しくこすります。U1 ピン間の領域、J1 へ
の入力パターン、ガード・リング、SHIELD1 内の領域を
集中的にクリーニングします。
8.
9.
再度イソプロピル・アルコールで ADA4530-1R-EBZ をす
すいで洗い流します。
ADA4530-1R-EBZ の下面で手順 3 と手順 4 を繰り返します。
最終洗浄として、イソプロピル・アルコールで
ADA4530-1R-EBZ の上面と下面を洗い流します。
圧縮乾燥空気を使用して、ADA4530-1R-EBZ を乾燥させ
ます。U1 ピン、J1 への入力パターン、ガード・リング領
域の周囲に空気を吹き付けます。J1 と U1 の下にも圧縮空
気を吹き付けます。
ADA4530-1R-EBZ が完全に乾燥するように、125 °C の高温
チャンバー内で 15 分間 ADA4530-1R-EBZ を加熱します。
クリーニングの完了後、金属シールドのカバーを取り付
けます。金属シールドは、保護されている領域への接触
を防止する目的でも役立ちます。
ADA4530-1R-EBZ を取り扱う際は必ず端の部分を持ち、絶対に
SHIELD1 または SHIELD2 内の領域には触れないでください。
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AN-1373
アプリケーション・ノート
ADA4530-1R-EBZ には、2 つのデフォルト構成があります。
ADA4530-1R-EBZ-BUF は被テスト・デバイス(DUT)がバッ
ファ・モード、ADA4530-1R-EBZ-TIA は DUT がトランスイン
ピーダンス・モードになっています。
499Ω
KEITHLEY
6430
ADA4530-1R-EBZ には、出力負荷をアンプの出力から分離し、
過度な容量性負荷による発振を防止する 499 Ω の出力抵抗もあ
らかじめ取り付けられています。
このアプリケーション・ノートでは、IB+ は DUT の非反転ピン
を流れる入力バイアス電流を表し、IB− は DUT の反転ピンを流
れる入力バイアス電流を表します。IB は、IB+ と IB− の両方を表
します。
13419-005
図 5. Keithley 6430 SourceMeter
測定テストのセットアップ手順は、以下のとおりです。
1.
2.
3.
4.
ここでは、ADA4530-1R-EBZ で実行可能な入力バイアス電流の
測定方法について説明します。
5.
KEITHLEY 6430 を使用した測定
25 °C での ADA4530-1 の代表的な入力バイアス電流は 1 fA 未
満で、市販の電位計ではこの超低電流を正確に測定することは
できません。
例えば、
1 pA レンジでの Keithley 6430 SourceMeter®
のオフセット電流は 7 fA に制限されています。このため、IB を
測定するには DUT を加熱して測定可能な値まで入力バイアス
電流を増やす必要があります。データシートの仕様によれば、
125 °C で IB は ±250 fA max に達し、測定可能になります。
ADA4530-1
図 4. Keithley 6430 SourceMeter を使用した IB+
測定の簡略化した回路図
ADA4530-1R-EBZ の金属シールドは、外部干渉からの容量結
合を防止します。シールドは、ガードされている領域への接触
も防止するので、指紋や塵による高インピーダンス入力に対す
る 汚 染 を 防 止 で き ま す 。 ADA4530-1R-EBZ-BUF と
ADA4530-1R-EBZ-TIA には、1.0 インチ × 1.5 インチ × 0.25 イン
チの金属シールドが基板の上面(SHIELD1)と下面(SHIELD2)
にあらかじめ取り付けられています。さらに、各評価ボードに
は、大きな 1.5 インチ × 3 インチ × 0.75 インチの金属シールド
(SHIELD2)が付属しています。各基板には、SHIELD2 を所定
の位置に固定するための金属クリップが取り付けられています。
ガード・バッファは、これらのシールドを DUT の非反転ピン
電位まで駆動します。
入力バイアス電流を評価する際は、より優れた静電シールド性
能を実現できるように ADA4530-1R-EBZ を金属製のボックスで
シールドします。このボックス・イン・ボックスは、外側のシー
ルドがグラウンドまで駆動され、内側のシールドがガードとと
もに駆動されるので効果的です。カーディングとシールディン
グの詳細については、ADA4530-1 データシートを参照してく
ださい。
VOUT
TO
MULTIMETER
13419-004
測定技法
6.
ADA4530-1R-EBZ-BUF を 使 用 し ま す 。 SHIELD1 と
SHIELD3 が閉じていることを確認します。
ADA4530-1R-EBZ-BUF を金属ボックスに入れます
(図 6 を
参照)。
金属ボックスの蓋を閉めて、ADA4530-1R-EBZ-BUF を高
温チャンバーに入れます。
耐熱温度が 125 °C の 3 軸ケーブルを使用して、入力 3 軸
コネクタ(J1)を Keithley 6430 Remote PreAmp の IN/OUT
ポートに接続します。多くの 3 軸ケーブルの耐熱温度は
85 °C です。125 °C の 3 軸ケーブルは、Harbour Industries
M17/131-RG403 TRX ケーブルと Pomona Electronics の
Model 5218 の 3 軸コネクタを使用して作成できます。
高温チャンバーを 125 °C に設定します。Keithley 6430
Remote PreAmp または SourceMeter を高温チャンバーに入
れないでください。
高温チャンバーが 125 °C に達したら、評価ボードを 1 時
間浸漬します。
ADA4530-1R-EBZ-BUF を高温チャンバー
IB+ のテストの目的で、
に入れます。IB+ を測定するには、3 軸ケーブルを使用して
ADA4530-1 の非反転ピンを Keithley 6430 SourceMeter に直接接
続します(J1 を通じて)。3 軸ケーブルの詳細については、
ADA4530-1 データシートを参照してください。
13419-007
簡略化した回路図については、図 4 を参照してください。使用
した SourceMeter については、図 5 を参照してください。
図 6. ADA4530-1R-EBZ-BUF を囲んでいる
金属ボックス(信号グラウンドに接続)
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AN-1373
アプリケーション・ノート
ADA4530-1R-EBZ-BUF に、以下の電圧を供給します。
a. V+ (J3): 5 V
b. GND (J4): 0 V
c. V− (J5): -5 V
Keithley 6430 SourceMeter のテスト設定を以下に示します。
a. オート・レンジ: オフ
b. ソース電圧(V): 0 V
c. 測定電流(I): 電流範囲を 1 pA に設定
d. 電力線サイクルの数(NPLC): 1(標準測度)
e. フィルタ: オート
1 SPS(サンプル/秒)で 300 秒の測定データを記録し、
平均 IB+ を計算します。測定期間が長いほど、より正確な
平均値が得られます。平均 IB+ は 100 fA より小さくする必
要があります。
1.
2.
3.
図 7 に、1 つの代表的な DUT を 5000 秒測定して得られたデー
タを示します。測定された IB+ の平均値は 125 °C で 11 fA ~ 12
fA です。125 °C での代表的な入力バイアス電流はデバイスご
とに異なります。ADA4530-1R-EBZ-BUF では、ほとんどの DUT
の測定値が 100 fA になることが期待されます。
20
VSY = ±5V
VCM = 0V
TA = 125°C
18
IB+ を計算するには、以下の式を使用します。
I B+ =
C P dVOUT
dt
ここで
CP は入力容量。
dVOUT/dt は、時間に対するアンプの出力電圧の変化。
図 8 に、容量性積分法の簡略化した回路図を示します。
TEST BOX
499Ω
CP
VOUT
TO
MULTIMETER
ADA4530-1
13419-011
Keithley 6430 SourceMeter を使用して ADA4530-1 の IB+ を測定
するテスト手順を以下に示します。
図 8. 容量性積分法の簡略化した回路図
Keithley 6430 Measurement のセクションで説明した測定方法と
同じように、ADA4530-1R-EBZ-BUF を高温チャンバーに入れま
す。高温チャンバーの外部にあるテスト・ボックスに接続され
た 3 軸ケーブル/コネクタを使用して DUT の非反転入力に接
続します(図 9 を参照)。テスト・ボックスには、非反転入力
信号、ガード、および信号グラウンド電位に接続されている 3
軸コネクタが含まれています(図 10 を参照)。これにより、
DUT の非反転入力ピンを高温チャンバー外部のグラウンドに
短絡することができます。
16
14
IB+ (fA)
12
10
13419-106
8
6
図 9. 容量性積分測定法
2
0
0
500
1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000
TIME (Seconds)
13419-006
ONE SAMPLE IS TAKEN
EVERY SECOND WITH
THE KEITHLEY 6430 AFTER
THE UNIT HAS BEEN BAKED
AT 125°C FOR AN HOUR.
4
INPUT
図 7. 非反転入力バイアス電流(IB+)と時間の関係
GUARD
容量性積分測定
GND
IC =
C dVC
dt
13419-103
コンデンサを流れる電流(IC)は、以下の式を使用して、容量
値(C)と時間に対するコンデンサ両端の出力電圧の測定され
た変化値(dVC/dt)を使用して計算できます。
図 10. テスト・ボックスと 3 同軸コネクタ
この関係は、
DUT の入力容量を充電する速度に基づいて IB+ を
計算する際に使用できます。非反転入力が接続されていない状
態のバッファ構成で DUT の出力を測定して、入力容量の充電
を監視します。
DUT の出力電圧の上昇率から入力バイアス電流を計算するに
は、入力容量値が既知であることが前提です。このため、DUT、
基板、パターン、および 3 軸ケーブル/コネクタから成る合計
入力容量(CP)を測定する必要があります。ただし、入力容量
は非常に低いため、測定が困難です。CP の値を相互チェック
する方法として、入力の直列抵抗を使用する方法と入力テス
ト・コンデンサを使用する方法が推奨されます。
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AN-1373
アプリケーション・ノート
入力の直列抵抗を使用した合計入力容量の測定
4.
5.
測定ガイドラインは、以下のとおりです。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
ADA4530-1R-EBZ-BUF を使用します。JP3 を使用して、
ADA4530-1R-EBZ-BUF で 3 軸のガードをアンプのガード
に短絡させます。
ADA4530-1R-EBZ-BUF を金属ボックスに入れます。
3 軸ケー
ブル/コネクタを使用して ADA4530-1R-EBZ-BUF をテス
ト・ボックスに接続します(図 9 を参照)。
入力直列抵抗 RS を通じて、テスト・ボックスの入力ピン
にファンクション・ジェネレータを接続し、
ADA4530-1R-EBZ-BUF の出力にオシロスコープを接続し
ます(図 11 を参照)。
入力の直列抵抗 RS を短絡させます。
ファンクション・ジェネレータを使用して、1 kHz、1 V p-p
の入力サイン波を流します。
オシロスコープを使用して VOUT = VIN であることを確認し
ます。
RS の短絡を取り外します。RS には、8 MΩ の抵抗を使用
します。浮遊容量を小さくするには、1 つの大きな抵抗を
使用するのではなく、複数の抵抗を直列で使用します。
この場合、4 つの 2 MΩ 抵抗を直列にハンダ付けします。
出力が 1/√2 に下がるまで、入力信号周波数をゆっくりと
増やします。この周波数では、−3 dB での入力信号周波数
を求めるには、以下の式を使用します。
f −3dB =
1
2 × π × RS × CP
つまり、以下のようになります。
CP =
TEST BOX
VIN
TO
FUNCTION
GENERATOR
ADA4530-1
VOUT
TO
OSCILLOSCOPE
ADA4530-1
既知の入力容量を使用した IB+ の測定
2 つの入力容量測定方法では、ADA4530-1R-EBZ-BUF の測定
された入力寄生容量は平均で約 2 pF でした。この容量値は、
データシートに記載されているアンプの仕様よりも小さく、使
用した 3 軸ケーブルの長さを考慮すると低い値です。内部ガー
ド・バッファは、
物理容量の大半をブートストラップするので、
実効入力容量値が大幅に低減します。
2.
13419-009
RS
VOUT
TO
OSCILLOSCOPE
3.
4.
入力テスト・コンデンサを使用した合計入力容量の測定
5.
この方法では、入力容量と既知の容量から作成された分圧器を
使用して、入力電圧の減衰を測定することで合計入力容量を計
算します。
測定ガイドラインは、以下のとおりです。
3.
CP
499Ω
図 12. 入力テスト・コンデンサを使用した合計入力容量の
測定
1.
499Ω
図 11. 入力直列抵抗を使用した 合計入力容量の
測定
2.
CTEST
テスト測定のセットアップ手順は、以下のとおりです。
TEST BOX
1.
CTEST (VIN − VOUT )
VOUT
この容量性積分法の簡略化した回路図については、図 8 を参照
してください。
1
CP =
2 × π × RS × f −3dB
CP
VOUT
CTEST
=
VIN
CP + CTEST
既知の入力容量を使用することで、DUT の出力電圧の上昇率
を測定して IB+ を計算できます。
つまり、以下のようになります。
VIN
TO
FUNCTION
GENERATOR
6.
ファンクション・ジェネレータを使用して、1 kHz、1 V p-p
の入力サイン波を流します。
オシロスコープを使用して、ピーク to ピーク出力電圧を
測定します。
入出力伝達関数は、以下のようになります。
13419-010
この方法では、既知の抵抗と入力容量の間の相互関係から作成
された極の周波数を測定することで合計入力容量を計算します。
ADA4530-1R-EBZ-BUF を使用します。JP3 を使用して、
ADA4530-1R-EBZ-BUF で 3 軸のガードをアンプのガード
に短絡させます。
ADA4530-1R-EBZ-BUF を金属ボックスに入れます。
3 軸ケー
ブル/コネクタを使用して ADA4530-1R-EBZ-BUF をテス
ト・ボックスに接続します(図 9 を参照)。
既知の値の容量 CTEST を入力ピンに配置します。10 pF テ
スト容量を使用します。CTEST を通して、テスト・ボック
スの入力ピンにファンクション・ジェネレータを接続し、
ADA4530-1R-EBZ-BUF の出力にオシロスコープを接続しま
す。図 12 を参照。
6.
7.
8.
Rev. 0 | 6/11
ADA4530-1R-EBZ-BUF を 使 用 し ま す 。 SHIELD1 と
SHIELD3 が閉じていることを確認します。
JP3 を使用して、ADA4530-1R-EBZ-BUF で 3 軸のガード
をアンプのガードに短絡させます。
ADA4530-1R-EBZ-BUF を金属ボックスに入れます(図 9 を
参照)。
ADA4530-1R-EBZ-BUF が入っている金属ボックスを高温
チャンバーに入れます。
入力 3 軸コネクタ(J1)をテスト・ボックスに接続します
(図 8 を参照)。耐熱温度が 125 °C の 3 軸ケーブルを使用
します。多くの 3 軸ケーブルの耐熱温度は 85 °C です。
125 °C の 3 軸 ケ ー ブ ル は 、 Harbour Industries
M17/131-RG403 TRX ケーブルと Pomona Electronics の
Model 5218 の 3 軸コネクタを使用して作成できます。
出力 BNC コネクタまたは出力端子ブロック経由で、基板
の出力をマルチメータに接続します。ここでは、データ・
ロギングをサポートしている 5.5 桁~ 6.5 桁のマルチメー
タを使用しました。
高温チャンバーを 125 °C に設定します。
高温チャンバーが 125 °C に達したら、
ADA4530-1R-EBZ-BUF を
1 時間かけて浸漬します。
AN-1373
アプリケーション・ノート
容量性積分測定法を使用して ADA4530-1 の IB+ を測定するため
のテスト手順は、以下のとおりです。
ADA4530-1R-EBZ-BUF に、以下の電圧を供給します。
a. V+ (J3): 5 V
b. GND (J4): 0 V
c. V− (J5): -5 V
Keithley 2000 を以下のテスト・セットアップに設定します。
a. オート・レンジ: オフ
b. カスタム・レンジ: 10 V
c. 時間遅延: 1 ms
d. 測定遅延: 1 s
e. NPLC: 1(標準速度)
テスト・ボックスを使用して、DUT の非反転入力を信号
グラウンドに約 10 秒間短絡させます。
グラウンドへの短絡を取り外して、非反転ピンを未接続
のままにしておきます。
入力容量の両端を流れる容量性電流(ICAP)が DUT 出力
電圧の変化として現れます。
マルチメータを使用して、1 SPS で 300 秒にわたって出力
電圧を記録します。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
図 13 に基板の出力電圧と時間の関係を示し、図 14 に容量性電
流と時間の関係を示します。
4.5
VSY = ±5V
4.0 TA = 125°C
OUTPUT VOLTAGE (V)
3.5
3.0
2.5
2.0
非反転入力を未接続にした直後に、入力バイアス電流(IB+)
が入力寄生容量を流れ、出力電圧が変化します。非反転ピンを
グラウンドから接続解除した直後に容量性電流を測定します
(図
14 を参照)。これは、この短い期間に容量性電流(ICAP)が IB+
に近い値になるためです。非反転入力電圧が高くなるに従い、
基板上の寄生抵抗(IRES)を流れるリーク電流が大きくなりま
す。このため、出力電圧の変化は IRES と ICAP の関数になりま
す(図 15 を参照)。
また、入力バイアス電流は、入力コモンモード電圧範囲の全体
で一定ではありません(ADA4530-1 データシートの入力バイ
アス電流と入力コモンモード電圧の関係のグラフを参照)。こ
の変動は、積分の傾斜が変化する原因となります(図 14 を参
照)。出力電圧は、入力バイアス電流が入力コモンモード電圧
を RP で除算した値と等しくなると上昇を停止します(図 13 を
参照)。入力バイアス電流がゼロに近い場合、入力コモンモー
ド電圧範囲外でこの状態が発生します。
低温では ADA4530-1 の入力バイアス電流は超低レベルになり、
誘電緩和はこの方法の精度を制限する追加の誤差となります。
これらの誘電緩和電流は、実際のバイアス電流よりも大きくな
ることがあります。このため、入力バイアス電流が誘電降下を
支配する 125 °C の高い温度で、この方法による測定を実行し
ます。誘電緩和の詳細については、ADA4530-1 データシートを
参照してください。
1.5
1.0
0.5
0
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
TIME (Seconds)
13419-012
–0.5
–1.0
図 13 を参照してください。0 ~ 10 秒は、非反転入力がグラウ
ンドに短絡されています。このため、最初の 10 秒間にわたり、
出力電圧は 0 V 付近になります。非反転入力をグラウンドから
接続解除すると、出力電圧が急激に変化します。これは手動に
よる接続解除であるため、指からの振動や充電が入力に結合さ
れ、10 秒のところに示されているように出力電圧スパイクが
発生することがあります。リレーは、小さい絶縁抵抗が存在す
るので、入力ピンの短絡や解放には使用しません。仮に小さい
絶縁抵抗が存在するリレーを使用すると、非反転入力の合計抵
抗が実質的に減少するため、測定精度が損なわれます。絶縁抵
抗の詳細については、ADA4530-1 データシートを参照してくだ
さい。
容量性積分法で、125 °C における入力バイアス電流の測定値は
100 fA 未満になります。
図 13. 出力電圧と時間の関係
35
30
VOUT
TO
MULTIMETER
ADA4530-1
IB+ = 25fA
RP
25
20
15
IRES CP
ICAP
図 15. 入力バイアス電流を測定する際に使用した基板の
入力寄生容量
10
5
0
0
100
200
300
400
500
600
700
800
TIME (Seconds)
900
1000
13419-013
–5
–10
499Ω
13419-014
CAPACITIVE CURRENT, ICAP (fA)
IB+
VSY = ±5V
TA = 125°C
図 14. 容量性電流と時間の関係
Rev. 0 | 7/11
AN-1373
アプリケーション・ノート
ΔVOUT(2 つのテスト出力電圧)の測定
テスト測定のセットアップ手順は、以下のとおりです。
このアプリケーション・ノートで説明した最初の 2 つの測定法
では、評価ボードを 125 °C に加熱して入力バイアス電流を測
定可能なレベルに増やす必要がありました。この ΔVOUT 測定
法では、高温チャンバーなしで、IB+(または IB−)を室温で測
定できます。
1.
2.
この ΔVOUT 法では、入力バイアス電流を測定するため、2 つ
のテストを行う必要があります。最初のテストでは VOUT1 を
測定します。これは、ADA4530-1R-EBZ のベースライン・オ
フセット電圧に対応します。2 番目のテストでは VOUT2 を測定
します。これは、ベースライン・オフセット電圧と帰還また
は入力直列抵抗を流れる IB− または IB+ によって生じる電圧降
下の合計です。
IB− の測定には ADA4530-1R-EBZ-TIA を使用し、IB+ の測定には
ADA4530-1R-EBZ-BUF を使用します。
3.
4.
IB− を測定するためのステップごとのテスト手順は、以下のと
おりです。
1.
2.
IB− の測定
図 16 に、ADA4530-1R-EBZ-TIA を使用した IB− の測定回路を示
します。DUT はトランスインピーダンス構成を備え、8.5 桁マ
ルチメータである Keysight 3458A を使用してオフセット電圧を
測定しました。ギガオーム(GΩ)またはテラオーム(TΩ)の
大きな値の帰還抵抗を使用すれば、測定可能な出力電圧が得ら
れます。例えば、ADA4530-1 の特性評価には、1 TΩ(TΩ = 1012
Ω)の抵抗を使用しています。この結果 fA あたり 1 mV の感度
を実現できます。
ADA4530-1R-EBZ-TIA には、RF1 に 10 GΩ SMT 抵抗が取り付
けられています。帰還抵抗は IB− を出力電圧(VOUT)に変換し
ます。この値は以下の式で求められます。
3.
4.
5.
6.
7.
VOUT = IB− × 帰還抵抗
VOUT
TO
MULTIMETER
ADA4530-1
13419-015
RF1 OR RF2
499Ω
8.
図 16.IB− 測定回路
まず、帰還抵抗を短絡させ、バッファ構成で DUT の出力電圧
(VOUT1)を測定して、ADA4530-1R-EBZ-TIA のベースライン・
オフセット電圧を決定します。その後、短絡を取り外して、帰
還抵抗がある状態で出力電圧を測定します。
ADA4530-1R-EBZ-TIA に、以下の電圧を供給します。
a. V+ (J3): +5 V
b. GND (J4): 0 V
c. V− (J5): -5 V
Agilent 3458A を以下のテスト・セットアップに設定します。
a. オート・レンジ: オフ
b. マニュアル・レンジ: 0.1 V
c. NPLC: 10
出力電圧を測定します。結果を記録して、平均出力電圧
(VOUT1)を計算します。測定期間が長いほど、より正確な
平均値が得られます。60 秒以上のテストを実施すると、
あらゆるウォームアップ効果に対応できます。
ADA4530-1R-EBZ-TIA への供給をオフにします。
短絡を取り外します。デフォルトでは、RF1 に 10 GΩ の帰
還抵抗があるトランスインピーダンス構成になっている
ことが期待されます。
SHIELD1 にカバーを取り付けます。
出力電圧を測定します(基板のオフセット電圧と帰還抵
抗を流れる IB− による電圧降下の合計)。結果を記録して、
平均出力電圧(VOUT2)を計算します。推奨されるテスト
時間は 300 秒です。平均化により、抵抗のノイズが低下
します。10 GΩ の抵抗は、約 12.8 µV/√Hz の熱ノイズを発
生します。300 秒のデータでは、内蔵抵抗の合計ノイズは
約 6 µV p-p になります。これは、約 0.6 fA の測定誤差に
等しい値です。平均回数が多くなると、低周波数 1/f ノイ
ズの増加により収穫逓減になります。
入力バイアス電流の計算には、以下の式を使用します。
I B− =
9.
帰還抵抗は IB− を測定可能な出力電圧に変換します。VOUT2 は、
ベースライン・オフセット電圧と帰還抵抗を流れる IB− によっ
て生じる電圧降下の合計です。
以下の式で IB− を計算します。
I B− =
ADA4530-1R-EBZ-TIA を使用します。
SHIELD1 カバーを取り外します。
P7 と VOUT ピン・ソケッ
トを使用して帰還抵抗(RF1)を短絡させます。
ADA4530-1R-EBZ-TIA を金属ボックスに入れます。
ADA4530-1R-EBZ-TIA の出力を Keysight 3458A マルチ
メータに接続します。
(VOUT2 − VOUT1)
FeedbackResistor
VOUT2 − VOUT1
10 GΩ
手順 8 の式は、帰還抵抗値が正確にわかっていると仮定
しています。既知のテスト電流を ADA4530-1R-EBZ-TIA に
供給して出力電圧を測定することで、この仮定を検証し
ます。
Keithley 6430 SourceMeter を使用して、J1 経由で DUT
の反転ピンに 250 pA を供給しました。出力は以下のよう
になります。
250 pA × 10 GΩ = 2.5 V
出力電圧の期待値からの偏差は、帰還抵抗の許容誤差
によって発生します。
あらかじめ取り付けられている 10 GΩ
抵抗 RF1 の許容誤差は 10 % です。
Rev. 0 | 8/11
AN-1373
アプリケーション・ノート
2.0
図 17 と図 18 に、サンプル・ユニットの 300 秒間の VOUT1 と VOUT2
に加え、関係のある平均値を示します。図 19 に、計算した IB−
を示します。図 20 に測定した帰還抵抗値 RF1 の平均を示しま
す。抵抗値は 10 % の許容誤差内に収まっています。
IB– AVERAGE = 0.2fA
1.5
1.0
4.5
VOUT1 AVERAGE = 2.5µV
IB– (fA)
4.0
3.5
0.5
0
–0.5
2.5
–1.0
2.0
1.5
–1.5
0
50
100
1.0
150
200
250
300
TIME (Seconds)
13419-018
VOUT1 (µV)
3.0
図 19. IB− と時間の関係
0.5
10.70
0
50
100
150
200
250
300
TIME (Seconds)
RF1 AVERAGE = 10.6GΩ
13419-017
0
図 17. VOUT1 と時間の関係
10.65
20
RF1 (GΩ)
VOUT2 AVERAGE = 4.3µV
15
10.60
10.55
5
10.50
0
0
50
100
150
200
250
TIME (Seconds)
–5
図 20. 測定した帰還抵抗(RF1)と時間の関係
0
50
100
150
200
TIME (Seconds)
図 18. VOUT2 と時間の関係
250
300
13419-117
–10
300
13419-019
VOUT2 (µV)
10
この測定方法は、大きな値の帰還抵抗でも実行できます。通常、
これらの大きな値の抵抗には、
ガラス封入のハーメチック・シー
ルが施されていて、大きなフットプリントが採用されています。
大きい値の帰還抵抗を使用すると、出力で優れた S/N 比を得ら
れ、より正確な測定が可能になります。ADA4530-1R-EBZ-TIA
は、非常に高い抵抗で安定性の高いハーメチック・シールが施
された Ohmite RX-1M などのスルーホール抵抗(RF2)を使用
できるピン・ソケットを備えています。これらの値の大きなス
ルーホール抵抗を使用する場合、ADA4530-1R-EBZ-TIA にあら
かじめ取り付けられている RF1 を取り外します。再加工した後
は 、 Cleaning and Handling の セ ク シ ョ ン の 説 明 に 従 っ て
ADA4530-1R-EBZ-TIA をクリーニングしてから測定を実施しま
す。P7 と VOUT ピン・ソケットの間に大きなスルーホール抵
抗を挿入して、このセクションで説明している手順と同じ方法
を繰り返して IB− を測定します。使用する抵抗に応じて、手順 9
で DUT に供給する電流の大きさを変更します。
Rev. 0 | 9/11
AN-1373
アプリケーション・ノート
IB+ の測定
IB+ の測定には ADA4530-1R-EBZ-BUF を使用します。この測定
方法は、IB− Measurement のセクションで説明した測定方法とほ
ぼ同じです。IB+ 測定回路については、図 21 を参照してくださ
い。入力直列抵抗は IB+ を J2 での出力電圧(VOUT)に変換しま
す。この値は以下の式で求められます。
VOUT = IB+ × 入力直列抵抗
RS1
OR
RS2
VOUT
TO
MULTIMETER
ADA4530-1
13419-020
499Ω
DUT の非反転ピンをグラウンドに短絡させて、
ADA4530-1R-EBZ-TIA
のベースライン・オフセット電圧を決定します。これを行うに
は、P7 から P4(GND)ピン・ソケットにワイヤを接続します。
ベースライン・オフセット電圧は VOUT1 です。短絡を取り外し
て、入力直列抵抗がある状態で出力電圧を測定します。1206 ま
たは 1210 パッケージ・サイズの SMT 抵抗を RS1 に取り付ける
ことができます。または、P7 から P4(GND)ピン・ソケット
に値の大きいスルーホール抵抗を接続します。入力直列抵抗は
IB+ を測定可能な出力電圧に変換します。VOUT2 は、ベースライ
ン・オフセット電圧と入力直列抵抗を流れる IB+ によって生じ
る電圧降下の合計です。以下の式で IB+ を計算します。
I B+ =
図 21. IB+ 測定回路
Rev. 0 | 10/11
VOUT2 − VOUT1
Input Series Resistor
AN-1373
アプリケーション・ノート
結論
ADA4530-1 は、フェムトアンペア・レベルの入力バイアス電流
を実現した電位計グレードのアンプです。このアプリケーショ
ン・ノートでは、フェムトアンペア・レベルの入力バイアス電
流を測定するため、次の 3 つの方法について説明しました。
Keithley 6430 による測定、容量性積分測定、および ΔVOUT(2 つ
のテスト出力電圧)の測定。
•
•
Keithley 6430 に よ る 測 定 方 法 は 、 Keithley 6430
SourceMeter を使用して IB+ を直接測定する方法です。こ
のテスト方法では、入力バイアス電流の測定に、1 台の校
正済み装置のみを使用します。ただし、DUT の入力バイ
アス電流は非常に低いため(< 1 fA)、室温で IB を正確に
測定することは不可能です。DUT を加熱して、測定可能
な値まで IB を増やす必要があります。このため、この方
法では高温チャンバー、
耐熱温度 125 °C の 3 軸ケーブル、
Keithley 6430 SourceMeter が必要です。単純な直接測定の
見返りとしてセットアップ・コストは高くなります。
容量性積分法では、既知の入力容量で時間に対するアン
プの出力電圧の変化を測定して IB を計算します。この測
定は、ハイエンドのソース・メジャー・ユニット(SMU)
なしで実行できます。出力電圧を監視するためのマルチ
メータのみが必要です。ただし、セットアップには時間
がかかります。入力バイアス電流を計算するには、合計
入力容量値がわかっている必要があります。このため、
統合試験の前に入力容量を測定する必要があります。こ
の測定方法では、小さい絶縁抵抗が存在するリレーを使
用しないで済むようにワイヤを手動で接続解除する必要
があります。また、DUT を加熱して測定可能なレベルま
で IB を増加させるため、高温チャンバーが必要です。ま
た、入力コモンモード電圧全体にわたって IB を一定にす
る必要があります。容量性積分測定法で I B を計算でき
る時間は非常に短いです。
•
ΔVOUT(2 つのテスト出力電圧)測定法では、2 つのテス
トを実行して入力バイアス電流を測定する必要がありま
す。最初のテストでは VOUT1 を測定します。これは、
ADA4530-1R-EBZ のベースライン・オフセット電圧に対応
します。2 番目のテストでは VOUT2 を測定します。これは、
ベースライン・オフセット電圧と帰還抵抗または入力直
列抵抗を流れる IB− または IB+ によって生じる電圧降下の
合計です。セットアップには時間がかからず、コストも
かかりません。ADA4530-1R-EBZ-TIA には 10 GΩ 抵抗があ
らかじめ取り付けられていて、マルチメータで測定値を
取得できます。ただし、より正確な測定を行うには、値
の大きな帰還抵抗または入力直列抵抗を使用する必要が
あります。通常、これらの値の大きな抵抗は、ガラス封
入のハーメチック・シールで密閉されていて、高い精度
と安定性を実現できます。その代わり、コストは比較的
高くなります。これらの抵抗は、非常に高い清浄度が求
められ、特別なクリーニング手順に従う必要があります。
また、汚染しないように取り扱うには、必ず端子を持つ
必要があります。
ADA4530-1 の詳細については、ADA4530-1 データシートおよび
ADA4530-1R-EBZ ユーザー・ガイド UG-865 を参照してくだ
さい。
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