MT-234: ADA2200 を時間領域フィルタとして使用

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ミニ・チュートリアル
MT-234
ADA2200 を時間領域
このフィルタは、デシメーション・フィルタとプログラマブル・
フィルタという 2 つの部分から構成されています。デシメーショ
ン・フィルタの伝達関数は固定で、これによってプログラマブ
ル・ブロックにエイリアシングが生じることを防ぎます。プログ
ラマブル・フィルタは無限インパルス応答(IIR)フィルタで、
デシメーション・フィルタの出力を入力サンプリング・レートの
1/8 でサンプリングし、その出力を同じレートで更新します。
SYNCO 端子は、出力が変わるごとに同期パルスを生成します。
この端子は、A/D コンバータ(ADC)などの他の離散時間型デバ
イスにおいて、フィルタされた信号を同期的に再構成(AD サン
プリング位置の同期)するために使用できます。(注:ADA2200
の信号入出力は、デジタル・フィルタ処理されますがすべてアナ
ログ信号です)
フィルタとして使用
著者:Gustavo Castro
アナログ・デバイセズ
内容
このミニ・チュートリアルでは、ADA2200 をプログラマブル・
フィルタとして使用した場合の動作の概要を説明します。
ADA2200 内のフィルタは、明確に定義された一連のコンデン
サ・アレイによって決定されるため、伝達関数特性は再現性が高
く、フィルタ動作位置を入力クロックによって操作できる上、動
作時の消費電力もきわめて少なくなっています。
はじめに
ADA2200 は非常に柔軟なデバイスで、同期復調機能をオフにす
ることにより、プログラマブル・フィルタとして使用することが
できます。パワーアップ/リセット時に SPI ポートまたは
EEPROM を介して 23 個の異なるレジスタへ書込みを行うことに
より、図 1 に示すプログラマブル・フィルタ・ブロックで、ロー
パス、バンドパス、ハイパス、バンドストップなどのさまざまな
フィルタ形態を実装することができます。さらに、CLKIN に供
給するクロックのレートを変えるか、クロック分周器の値を変更
することにより、コーナー周波数または中心周波数の位置を調整
することができます。
このチュートリアルの目的は、ADA2200 のプログラマブル・フィ
ルタとしての動作の概要と、表 1 に示すフィルタを定義するため
のレジスタ内容を示すことにあります。
表 1.
1
Filter Type
Order, Q
Corner/Center
Frequency
(Hz)1
Band-Pass (BP1)
Band-Pass (BP2)
Low-Pass (LP1)
Low-Pass (LP2)
Notch
2nd, Q = 8.4
2nd, Q = 4.3
4th
4th
1st
fSI/32
fSI/32
fSI/40
fSI/64
fSI/32
Pass-Band
Gain (dB)
0
0
0
0
0
たとえば、 fSI = fCLK = 500 kHz の場合、コーナー周波数は fSI/32 = 15.625 kHz
です。
VDD
ADA2200
8
INN
LPF
OUTP
PROGRAM
FILTER
OUTN
fM
CLKIN
XOUT
÷2m
fSI
÷8
Rev. 0
90°
fSO
VCM
÷2n+1
CLOCK
GEN
CONTROL
REGISTERS
SYNCO
GND
図 1.
VOCM
RCLK/SDO
SPI/I2C
MASTER
RST
BOOT
SCLK/SCL
SDIO/SDA
CS/A0
12892-001
INP
ADA2200 の簡略ブロック図
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MT-234
ミニ・チュートリアル
8fSO – f
f fN = fSO /2 fSO
2 fS
(A)
ELIMINATED BY DECIMATION FILTER
fSO – f fSO + f 2fSO – f 2fSO + f
8fSO – f
GAIN
PHASE
–10
8fSO + f
8fSO = fSI
180
0
GAIN (dB)
fSO – f fSO + f 2fSO – f 2fSO + f
225
10
135
–20
90
–30
45
–40
0
–50
–45
–60
–90
–70
–135
–80
–180
–90
8fSO + f
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
NORMALIZED FREQUENCY (Hz/Nyquist)
図 3.
0.9
–225
1.0
PHASE (Degrees)
デシメーション・フィルタは入力からのエイリアシングを防き、
入力のアンチエイリアシング・フィルタへの要求を緩和します。
図 2 に示すように、デシメーション・フィルタがないと、ナイキ
スト周波数(fSO/2)より上のすべてのイメージがエイリアスとし
てパスバンドに入り込みます。たとえば、周波数 f の入力信号の
出力は周波数 f + fSO の入力信号の出力と同じになり、単純に出力
を見ただけでは両者を区別することができなくなります。
デシメーション・フィルタの伝達関数を図 3 に示します。この図
から分かるように、信号周波数が fSO/4(ナイキストの 1/2)を超
えると減衰が大きくなり、直線的な位相シフトが生じます。プロ
グラマブル・フィルタの設計においては、このロールオフと位相
シフトを考慮する必要があります。
12892-003
デシメーション・フィルタ
デシメーション・フィルタの伝達関数
デシメーション・フィルタの無効化
fN
fSO
2fSO
fSI
(B)
図 2.
デシメーション・フィルタは無効(Disable)にできますが、無効に
してもデシメーション動作が行われなくなることはありません。
デシメーション・フィルタを無効にしても同じレート fSI で入力
サンプリングが行われ、プログラマブル・フィルタ・ブロックは、
入力レートの 1/8 でデシメーション・ブロックの出力サンプリン
グを継続します。したがって、IIR の最大動作周波数は fSI/8 のま
まです。
12892-002
f
デシメーション・フィルタによるエイリアシング除去
デシメーション・フィルタは、fSO/2 より上と fSI − fSO/2 より下の
すべてのイメージを除去します。しかし大きな信号がこの高周波
帯に存在することが予想される場合は、ADA2200 への入力前に
アンチエイリアシング・フィルタを追加しなければならないこと
があります。入力前段の周波数成分が限られている場合は、簡単
な RC 回路を使用して、さらにエイリアシング除去機能を追加す
ることができます。
デシメータを無効にすることによって得られる効果は、デシメー
タによるロールオフと位相シフトがなくなることです。追加的な
アンチエイリアシングが求められない場合、これは望ましいこと
と言えます。
デシメータを無効にするには、レジスタ 0x027 のビット 6 にロ
ジック 1 を書き込みます。
Rev. 0
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MT-234
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IIR プログラマブル・フィルタ
IIR フィルタは再帰型フィルタです。再帰は、連続時間型フィル
タ(アナログ・フィルタ)における帰還に似ています。このため、
わずかな数の係数でフィルタを定義することが可能ですが、フィ
ルタが不安定になる可能性もあります。デフォルトでは、IIR ブ
ロックは、中心周波数が fSO/8(fSI/64)のバンドパス・フィルタ
として構成されます。図 4 はデフォルト・フィルタの伝達関数で、
これにはデシメーション・フィルタの影響も含まれています。
10
0
f C = 0.4 × 0.5 f SO = 0.4 × 0.5 × 0.125 f SI = 0.025 × 2 − m f CLK
ここで、
m はクロック周波数の分周比で、1、2、または 8 を値に取ること
ができます。
fCLK は、CLKIN ピンに加えられるクロック信号の周波数です。fCLK
= 500 kHz で m = 1 の場合、コーナーの位置は 12.5 kHz で、fSO =
62.5kHz、fN = 31.25 kHz です。すべてのパラメータをこのままで、
クロック周波数を 100 kHz に下げるとコーナー周波数は 2.5 kHz
まで下がります。
バンドパス・フィルタやバンドストップ・フィルタの Q は一定
のままです。これは、周波数が倍になるとパスバンドの幅も倍に
なることを意味します。ノッチの場合はストップバンドが倍にな
ります。この様子を図 5 に示します。
–10
GAIN (dB)
たとえば、コヒーレント周波数が fC = 0.4 fN の 4 次ローパス・フィ
ルタのコーナー周波数は、次式で計算できます。
–20
10
–30
FCLK/4 = 100kHz
0
FCLK = 400kHz
–40
0.25
0.50
0.75
1.00
NORMALIZED FREQUENCY (Hz/Nyquist)
図 4.
GAIN (dB)
0
12892-004
–10
–50
デフォルト・バンドパス・フィルタの伝達関数
–20
–30
IIR フィルタの特性を変えるには、レジスタ 0x0011 からレジスタ
0x0027 までの内部メモリに保存されているデフォルトのフィル
タ定義を変更する必要があります。これらのレジスタの内容は
フィルタの特性を定義しますが、実際のフィルタ係数を表しては
おらず、必要なフィルタを表す係数を生成する ADA2200 の内部
構成を表しています。これらのレジスタにアクセスしてその内容
を変更するための詳しい方法については、「IIR フィルタのプロ
グラミング」を参照してください。
–50
0.10
6.25
12.50
18.75
25.00
FREQUENCY (kHz)
12892-005
–40
図 5. クロック周波数のスケーリングが
バンドパス・フィルタに与える影響
クロック周波数を下げることのもうひとつの利点は、消費電力が
減ることで、システムは使用する帯域幅に応じて電力が変化しま
す。
周波数スケーリング
ADA2200 はサンプリングを伴うアナログ技術を使用したデバイ
スであるため、その周波数特性はクロック周波数に直接依存しま
す。そのため、コーナー周波数、パスバンドの中心値、あるいは
ナイキスト周波数の位置といったパラメータは、デバイスの駆動
に使用するクロック周波数の関数になります。このような基本的
特性の当然の帰結として、これらのフィルタでは、クロック周波
数の変更やオンチップ・クロック分周器の使用によるスケーリン
グが可能です。これによりユーザーは、デバイスのプログラムを
やり直すことなく、周波数スイープの実行、コヒーレント・フィ
ルタリング用ソースへのフィルタのロック、あるいはコーナー周
波数の変更などを行うことができます。
500
475
450
425
3.3V
IDD (µA)
400
375
350
2.7V
325
300
250
0
200
400
600
CLKIN FREQUENCY (kHz)
800
1000
12892-006
275
図 6. CLKIN 周波数 対 消費電流(代表値、VDD = 2.7 V および 3.3 V)
Rev. 0
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MT-234
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出力信号の再構成(サンプル・ホールド出力)
コヒーレント・フィルタリングと基準クロック
特定のアプリケーション、特にパスバンド・フィルタやノッチを
使用するアプリケーションでは、使用する信号(あるいは除外す
る信号)がフィルタの中心周波数に正確に位置している必要があ
ります。信号と中心周波数の間に不整合があると(設計誤差、時
間や温度のドリフト、および干渉源の不確実性などによるもの)、
バンドパス・アプリケーションに望ましくない減衰や位相誤差が
生じます。ノッチ・フィルタ(またはバンドストップ・フィルタ)
の場合、こうした不整合によって干渉除去機能の有効性(信号除
去の性能)が低下し、不要信号を完全に除去することが非常に難
しくなります。これを、2 つの異なるノッチ・フィルタについて
示したものが図 7 です。隣接周波数への影響を防ぐには狭いノッ
チが望ましいのですが、不要信号が中心周波数に一致していない
と、ノッチを広くした場合よりはるかに有効性が低下します。
ADA2200 の OUTP 端子と OUTN 端子の間に生じる出力電圧は、
並列に組み合わされたコンデンサの両端にかかる電圧に等しい
ため、この値は次の更新サイクルまで一定に保たれます。このた
め、出力信号は、図 8 に示すように離散時間ステップのシーケン
スによって形成されます。ただし振幅方向の分解能は、無限です。
OUTPUT
INPUT
RECONSTRUCTED
20
100mV/DIV
20µs/DIV
図 8.
入力波形、出力波形、および再構成波形
–20
–40
連続時間型システムでは、出力更新レートの逓倍周波数において
ステップ・シーケンスがイメージを生成します。図 8 にはこの影
響が現れており、垂直線は出力の帯域幅が有限であることから生
じます(ピン・ドライバは連続時間型デバイス)。高周波イメー
ジは、出力ステップにクロスする正弦波をトレースして、それを
減じることによって可視化できます。これによって得られる鋸歯
状波形は基本周波数の倍数で、これは典型的な不要アーチファク
トです。連続時間型システムの望ましくないイメージを減らすに
は、図 9 に示すように、出力に再構成フィルタを取り付ける必要
があります。
–60
–78dB
–100
0.1fC
fC
FREQUENCY (Hz)
図 7.
10fC
12892-007
–80
ノッチ周波数と不要信号間の不整合が
バンドストップの有効性が低下
使 用す る信号が 分か っている 場合 は、その 信号 を使用し て
ADA2200 ドライブ用のクロック信号を生成できます。あるいは、
基準クロックを使用して、たとえば使用信号の時間ベースの生成
や同期を行なったり、励起信号源として必要な実際の信号とした
りすることも可能です。ADA2200 と使用信号を同期させれば、
その信号を常にフィルタの中心周波数に一致させることができ
ます。
+3.3V
INPUT
VDD
INP
OUTP
INN
OUTN
OUTPUT
ADA2200
VOCM
CLKIN
XOUT
VSS
図 9.
SYNCO
ADA4841-1
SCK
SDI
SDO
CS
12892-009
MAGNITUDE (dB)
–17dB
12892-008
0
二次再構成フィルタの追加
離散時間型システム(逐次比較型(SAR)ADC など)に接続す
る場合、後段に続くデバイス(ADC など)のサンプラが ADA2200
の出力に同期されていれば、再構成フィルタは不要です。たとえ
ば、SAR ADC が ADA2200 の出力更新ステップ毎に取り込むサ
ンプルが 1 つだけだとすると、信号を再構成する必要はなく、高
周波イメージはすべて消滅します。つまり、ADC にとって高周
波イメージは存在しなかったことになります。
Rev. 0
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MT-234
ミニ・チュートリアル
ADA2200 は SYNCO 端子を通じて出力パルスを生成しますが、
このパルスは、ADA2200 の出力の A/D 変換を開始するために、
マイクロプロセッサまたは ADC が使用することができます
(ADC は直接使用)。SYNCO 信号は、出力更新レートと同じ周
波数(fSO)のパルスを生成することによって、ADA2200 の出力
サンプル・ウィンドウ内の最適なタイミングで ADC サンプリン
グが行われるようにします。パルスには極性を設定でき、図 10
に示すように、16 種類の異なる遅延タイミングから 1 つを選択
することができます。遅延タイミングの間隔は fSI クロック・サ
イクル間隔の 1/2 で、範囲は出力サンプル・ウィンドウ全体にま
たがっています。出力更新のタイミングを基準にして適切な遅延
値を選択すれば安定した信号が得られ、ADC のフィードスルー
誤差を避けることができます。極性や遅延といった SYNCO パル
スの構成設定は、レジスタ 0x0029 に格納されます。
ナイキスト周波数以上の信号のフィルタリング
ADA2200 の推奨最大入力サンプリング周波数は 1 MHz で(ク
ロック分周器が 1 に設定されている場合はクロック周波数と同
じ)、これはその帯域幅を理論上 fSO/16(62.5 kHz)に制限しま
す。ADA2200 の入力信号帯域幅は 4 MHz であるため、ADA2200
はこの周波数までの信号を扱うことができます。しかし、これら
の信号はすべて出力でダウンコンバージョンされ、fSO/2(出力更
新レートのナイキスト周波数)に制限されます。言い方を変える
と、ナイキスト周波数以上では、ADA2200 はその入力サンプリ
ング特性を活かし、フィルタおよびダウンコンバージョン・ミキ
サーとして機能します。
たとえば、ADA2200 が入力を fSI = fCLK = 500 kHz でサンプリング
し、フィルタは中心周波数 7.8 kHz、パスバンドは 6 kHz~10 kHz
に設定されているものとします。デシメータ・フィルタが有効に
なっている場合は、492.2 kHz、507.8 kHz、992.2 kHz、1.0078 MHz、
1.4922 MHz といった周波数を中心として帯域幅 4 kHz のフィル
タが形成されます。したがって、ADA2200 の入力に周波数 3.992
MHz の信号が加わった場合、出力される信号は 8 kHz になりま
す。この例における中心周波数 3.9922 MHz のフィルタ・イメー
ジの等価 Q 値は、ほぼ 1000 です。
INx, OUTx
SYNCO (0)
これらいずれの場合でも、fSI の倍数値の上下には隣接フィルタ・
イメージが存在するという事実に留意することが重要です。つま
り、設計者はエイリアシングの可能性を考慮しなければなりませ
ん。さらに、周波数が高くなるほど、アンチエイリアシング・フィ
ルタに必要な Q の値も大きくなります。
SYNCO (1)
SYNCO (13)
SYNCO (14)
CLKIN
0
図 10.
Rev. 0
2
4
6
8
10
12
12892-010
SYNCO (15)
OUTP/OUTN、INP/INN、CLKIN を基準とした
SYNCO 出力タイミング
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MT-234
ミニ・チュートリアル
テスト・セットアップを図 11 に示します。ボードの電源は、動
作中の任意の USB ポートから取ることができます。すべての
フィルタは 400 kHz オンボード発振器を基準としています。ネッ
トワーク・アナライザのシングルエンド端子は、AD8476-EVALZ
と EVAL-INAMP-82RZ(AD8429 使用)を介して ADA2200 に接
続します。ADA2200-EVALZ ボードに関するその他の詳細や回路
図については、ADA2200-EVALZ のユーザー・ガイドを参照して
ください。
IIR フィルタのプログラミング
SPI ポートを介してフィルタをプログラムするには、書込みサイ
クルを開始して、ADA2200 のアドレス 0x0011 からアドレス
0x0027 までのレジスタへ新しいフィルタ定義のデータを転送し
ます。フィルタ・オプションとそれらに対応するレジスタ値につ
いては、表 2 を参照してください。フィルタ値をロードしたら、
レジスタ 0x0010 に 0x03 を書き込んで ADA2200 に新しいフィル
タ特性を設定します。SPI ポート経由での接続に関する詳細は、
ADA2200 のデータシートを参照してください。
HP 3577A NETWORK ANALYZER
ブ ー ト 時 ま た は リ セ ッ ト 操 作 後 に 外 部 EEPROM を 介 し て
ADA2200 をプログラムするには、アドレス 0x0011 からアドレス
0x002B までのメモリ設定を EEPROM にあらかじめロードしてお
く必要があります。これらのアドレスには、フィルタ定義とその
他の設定レジスタが含まれています。デフォルトのメモリ内容と
事前に定義されているフィルタについては、表 2 を参照してくだ
さい。また、ADA2200 の詳しいプログラム方法については、
ADA2200 データシートの「Device Configuration(デバイスの設
定)」を参照してください。
OUTPUT
+3.3V
このチュートリアルのフィルタ測定は、ADA2200-EVALZ を使用
し、EEPROM プログラマでオンボード EEPROM の内容を書き直
すことによって行っています。EEPROM の内容はどの設定につ
いても表 2 と同じで、オフセット 0x00 から始まります。プログ
ラムされた EEPROM を X1 にロードして EEPROM_BOOT スイッ
チを設定すると、ボードの電源投入後に自動的に新しいフィルタ
設定がロードされます。
R
A
+15V
400kHz OSC
P2
P11
AD8429
ADA2200
AD8476-EVALZ
図 11.
P3
EEPROM
P12
–15V
ADA2200-EVALZ
(POWERED FROM USB)
EVAL-INAMP-RZ
12892-011
AD8476
ADA2200-EVALZ を使用したテスト・セットアップ
ADA2200 を時間領域フィルタとして設定するための推奨レジス
タ内容を表 2 に示します。
表 2. 各種フィルタの推奨レジスタ内容
ADA2200 Address
0x0011
0x0012
0x0013
0x0014
0x0015
0x0016
0x0017
0x0018
0x0019
0x001A
0x001B
0x001C
0x001D
0x001E
0x001F
0x0020
0x0021
0x0022
0x0023
0x0024
0x0025
0x0026
0x0027
0x0028
0x0029
0x002A
0x002B
1
Register Name
Filter
configuration
Analog pin configuration
Sync control
Demod control
Clock configuration
BP1
BP2
LP1
LP2
Notch
Default
All-Pass
External EEPROM Address1
0xC0
0x0F
0x36
0xD1
0xC0
0x0F
0x07
0x80
0x07
0x80
0x00
0x20
0xC0
0x4F
0xAA
0xAA
0xC0
0x0F
0xC0
0x4F
0x23
0x02
0x02
0x00
0x0D
0x08
0x02
0xC0
0x0F
0xFA
0xD5
0xC0
0x0F
0x15
0x92
0x15
0x92
0x00
0x20
0xC0
0x4F
0xB2
0x2F
0xC0
0x0F
0xC0
0x4F
0x23
0x02
0x02
0x00
0x0D
0x08
0x02
0x52
0xAE
0x52
0xA6
0x52
0xAE
0x74
0x81
0x74
0x81
0x4E
0x9D
0x22
0x53
0x4F
0x80
0xC0
0x0F
0xF1
0xDE
0x23
0x02
0x12
0x00
0x0D
0x08
0x02
0x51
0x80
0x40
0x80
0x51
0x80
0x56
0x10
0x56
0x10
0xC8
0xA0
0x97
0xD9
0xED
0x12
0xC0
0x0F
0x00
0xE0
0x23
0x02
0x06
0x00
0x0D
0x08
0x02
0xC0
0x4F
0x84
0x9B
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0x84
0x9B
0x36
0x14
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0xC0
0x4F
0x23
0x02
0x07
0x00
0x0D
0x08
0x02
0xC0
0x0F
0x1D
0xD7
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0x1D
0x97
0x7E
0x88
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0x00
0xE0
0x23
0x02
0x24
0x00
0x2D
0x08
0x02
0x00
0xA0
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0xC0
0x0F
0x23
0x02
0x00
0x00
0x2D
0x08
0x02
0x000
0x001
0x002
0x003
0x004
0x005
0x006
0x007
0x008
0x009
0x00A
0x00B
0x00C
0x00D
0x00E
0x00F
0x010
0x011
0x012
0x013
0x014
0x015
0x016
0x017
0x018
0x019
0x01A
EEPROM は、ADA2200-EVALZ の X1 位置にロードされます。
Rev. 0
- 6/9 -
MT-234
ミニ・チュートリアル
以下のグラフは、表 2 に示すフィルタの伝達関数特性を示したものです。
GAIN
PHASE
180
GAIN
PHASE
–20
90
–30
45
–30
45
–40
0
–40
0
–50
–45
–50
–45
–60
–90
–60
–90
–70
–135
–70
–135
–80
–180
–80
–180
–90
–225
1.0
GAIN (dB)
–90
100
1k
10k
–225
100k
FREQUENCY (Hz)
BP1 フィルタの伝達関数
図 15. BP1 フィルタの伝達関数
(対数スイープ、fCLKIN = fSI = 400 kHz)
10
180
0
GAIN
PHASE
225
180
GAIN
PHASE
–10
–20
90
–20
90
–30
45
–30
45
–40
0
–40
0
–50
–45
–50
–45
–60
–90
–60
–90
–70
–135
–70
–135
–80
–180
–80
–180
–90
–225
1.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
NORMALIZED FREQUENCY (Hz/Nyquist)
図 13.
0.9
GAIN (dB)
–90
100
135
1k
10k
–225
100k
FREQUENCY (Hz)
図 16. BP2 フィルタの伝達関数
(対数スイープ、fCLKIN = fSI = 400 kHz)
BP2 フィルタの伝達関数
10
GAIN
PHASE
0
12892-013
0
PHASE (Degrees)
135
–10
225
10
180
0
225
180
GAIN
PHASE
135
–10
–20
90
–20
90
–30
45
–30
45
–40
0
–50
–45
–60
–90
–60
–90
–70
–135
–70
–135
–80
–180
–80
–180
–90
–225
1.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
NORMALIZED FREQUENCY (Hz/Nyquist)
図 14.
Rev. 0
0.9
GAIN (dB)
PHASE (Degrees)
–10
0
PHASE (Degrees)
225
0
12892-016
10
135
–40
0
–50
–45
–90
100
1k
10k
FREQUENCY (Hz)
図 17. LP1 フィルタの伝達関数
(対数スイープ、fCLKIN = fSI = 400 kHz)
LP1 フィルタの伝達関数
- 7/9 -
–225
100k
PHASE (Degrees)
図 12.
0.9
135
12892-017
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
NORMALIZED FREQUENCY (Hz/Nyquist)
12892-012
0.1
PHASE (Degrees)
–10
90
12892-014
GAIN (dB)
0
135
0
GAIN (dB)
180
225
–20
–10
GAIN (dB)
10
PHASE (Degrees)
0
225
12892-015
10
MT-234
ミニ・チュートリアル
10
225
180
0
180
–10
135
–10
–20
90
–20
–30
45
–40
0
–50
–45
–60
–70
–80
–135
–80
–180
–90
100
1k
10k
–225
100k
FREQUENCY (Hz)
225
10
225
180
0
180
–10
135
–10
–20
90
–30
45
–40
0
–50
–45
–60
–90
–70
–135
–80
–180
–90
–225
1.0
0.1
0.6
0.7
0.8
0.4
0.5
0.2
0.3
NORMALIZED FREQUENCY (Hz/Nyquist)
図 19.
0.9
GAIN
PHASE
0
GAIN (dB)
PHASE (Degrees)
90
–30
45
–40
0
–50
–45
–60
–90
–70
–135
–80
–180
–90
100
1k
10k
–225
100k
FREQUENCY (Hz)
図 22. ノッチ・フィルタの伝達関数
(対数スイープ、fCLKIN = fSI = 400 kHz)
ノッチ・フィルタの伝達関数
10
135
GAIN
PHASE
–20
12892-019
0
225
10
180
0
225
180
GAIN
PHASE
135
135
–10
–20
90
–20
90
–30
45
–30
45
–40
0
–40
0
–50
–45
–50
–45
–60
–90
–60
–90
–70
–135
–70
–135
–80
–180
–80
–180
–90
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
NORMALIZED FREQUENCY (Hz/Nyquist)
図 20.
Rev. 0
0.9
–225
1.0
GAIN (dB)
PHASE (Degrees)
–10
0
12892-022
–225
1.0
PHASE (Degrees)
–70
–180
GAIN (dB)
–90
図 21. LP2 フィルタの伝達関数
(対数スイープ、fCLKIN = fSI = 400 kHz)
GAIN
PHASE
0
GAIN (dB)
–60
–135
LP2 フィルタの伝達関数
10
GAIN (dB)
–90
PHASE (Degrees)
図 18.
0.9
–45
12892-023
0.6
0.7
0.8
0.2
0.3
0.4
0.5
NORMALIZED FREQUENCY (Hz/Nyquist)
0
–50
–90
100
1k
10k
FREQUENCY (Hz)
図 23. デフォルト・フィルタの伝達関数
(対数スイープ、fCLKIN = fSI = 400 kHz)
デフォルト・フィルタの伝達関数
- 8/9 -
–225
100k
PHASE (Degrees)
0.1
–40
12892-024
0
90
45
12892-020
GAIN (dB)
–90
135
GAIN
PHASE
–30
12892-018
GAIN
PHASE
0
PHASE (Degrees)
225
10
MT-234
10
180
0
225
180
GAIN
PHASE
135
–10
–20
90
–20
90
–30
45
–30
45
–40
0
–40
0
–50
–45
–50
–45
–60
–90
–60
–90
–70
–135
–70
–135
–180
–80
–180
GAIN
PHASE
–80
–90
0
図 24.
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
NORMALIZED FREQUENCY (Hz/Nyquist)
0.9
–225
1.0
GAIN (dB)
PHASE (Degrees)
–10
–90
100
1k
10k
–225
100k
FREQUENCY (Hz)
オールパス・フィルタの伝達関数(デシメータ有効)
図 25. オールパス・フィルタの伝達関数
(デシメータ有効、対数スイープ、fCLKIN = fSI = 400 kHz)
改訂履歴
12/14—Revision 0: Initial Version
Rev. 0
135
- 9/9 -
PHASE (Degrees)
225
0
12892-025
10
12892-021
GAIN (dB)
ミニ・チュートリアル