高精細マルチメディア・インターフェイス(HDMI)

LTC4307-1
高精細マルチメディア・
インターフェイス(HDMI)
レベルシフト2線バス・バッファ
特長
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
概要
ディスプレイ・データ・チャネル(DDC)
用の
双方向バッファ
HDMI仕様バージョン1.3のDDC容量要件に準拠
3.3Vと5V間のレベル変換
5kV人体モデルESD保護
バッファのオフセット電圧:負荷と関係なく60mV
非準拠VOL I2Cデバイスと互換
入力SDAおよびSCLラインを出力から絶縁
I2C、I2C Fast Mode、
SMBus規格に準拠
READYオープンドレイン出力
VCC = 0V時にSDAピンとSCLピンがハイ・インピーダンス
小型8ピン(3mm 3mm ) DFNおよび8ピンMSOPパッケー
ジ
LTC4307-1は入出力間の容量バッファリングを提供する2
線バス・バッファです。HDMI規格では、機器のDDCバス・
ラインの入力容量が50pF以下であることが規定されて
います。容量バッファリング機能を搭載したLTC4307-1
は、10pF以下のデータおよびクロック入力容量により、
HDMIデバイスが50pF要件を容易に満たし、内部バス上
の高い容量を許容できるようにします。
また、LTC4307-1は3.3Vシステムと5Vシステム間のレベ
ルシフトを行うので、より低電圧のHDMI送信機、受信
機、EEPROMが5V DDCバスにインターフェイスできま
す。READYは、入出力バスが接続されているかどうか
を知らせ、HDMIの活線挿入検出(HPD)信号にインター
フェイスできるオープンドレイン・デジタル出力フラグ
です。ENABLEデジタル入力が H にドライブされると、
ストップ・ビットまたはバス・アイドルが検知された後で
接続することができます。ENABLE入力が L にドライブ
されると、入力バスと出力バスの接続が絶たれます。
アプリケーション
■
■
■
HDMI
3.3V/5Vレベル変換
容量バッファ/バス・エクステンダ
、LT、LTC、LTMはリニアテクノロジー社の登録商標です。他のすべての商標はそれぞ
れの所有者に所有権があります。7032051、6356140、6650174を含む米国特許によって保
護されています。
標準的応用例
L 状態からの立ち上がりエッジ
DVD PLAYER (SOURCE)
TV (SINK)
1000
3.3V
1.8k
1.8k
HDMI
CABLE
HDMI TX
IC
0.1µF
EEPROM
LTC4307-1
<50pF
800
10k
VCC
SDAIN SDAOUT
HDMI RX
IC
SCLIN SCLOUT
DDC GROUND
10k
ENABLE
GND
200mV/DIV
5V
600
LOW
OFFSET
400
SDAOUT
SDAIN
µC
200
0
43071 TA01a
0
100
200
300
400
100ns/DIV
500
600
43071 TA01b
43071f
1
LTC4307-1
絶対最大定格 (Note 1、6)
VCCからGND ........................................................... ­0.3V∼6V
SDAIN、
SCLIN、SDAOUT、
SCLOUT、
READY、
ENABLE ...................................................... ­0.3V∼6V
最大シンク電流(SDAIN、
SCLIN、SDAOUT、
SCLOUT、
READY)......................................................... 50mA
動作温度範囲
LTC4307C ..............................................................0 C∼70 C
LTC4307I ..........................................................­40 C∼85 C
保存温度範囲
DFN .................................................................­ 65 C∼125 C
MSOP .............................................................­ 65 C∼150 C
リード温度(半田付け、10秒)
MSOP ........................................................................... 300 C
ピン配置
TOP VIEW
TOP VIEW
ENABLE 1
SCLOUT 2
SCLIN 3
9
GND 4
8
VCC
7
SDAOUT
6
SDAIN
5
READY
ENABLE
SCLOUT
SCLIN
GND
1
2
3
4
8
7
6
5
VCC
SDAOUT
SDAIN
READY
MS8 PACKAGE
8-LEAD PLASTIC MSOP
TJMAX = 125°C, θJA = 200°C/W
DD PACKAGE
8-LEAD (3mm × 3mm) PLASTIC DFN
TJMAX = 125°C, θJA = 43°C/W
EXPOSED PAD (PIN 9) IS GND, MUST BE SOLDERED TO PCB
発注情報
LEAD FREE FINISH
TAPE AND REEL
PART MARKING*
PACKAGE DESCRIPTION
TEMPERATURE RANGE
LTC4307CDD-1#PBF
LTC4307CDD-1#TRPBF
LDBP
8-Lead (3mm × 3mm) Plastic DFN
0°C to 70°C
LTC4307IDD-1#PBF
LTC4307IDD-1#TRPBF
LDBP
8-Lead (3mm × 3mm) Plastic DFN
0°C to 85°C
LTC4307CMS8-1#PBF
LTC4307CMS8-1#TRPBF
LTDBN
8-Lead Plastic MSOP
0°C to 70°C
LTC4307IMS8-1#PBF
LTC4307IMS8-1#TRPBF
LTDBN
8-Lead Plastic MSOP
0°C to 85°C
さらに広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社へお問い合わせください。*温度グレードは出荷時のコンテナのラベルで識別されます。
鉛フリー製品のマーキングの詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/leadfree/ をご覧ください。
テープアンドリールの仕様の詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/tapeandreel/ をご覧ください。
電気的特性
●は全動作温度範囲の規格値を意味する。
それ以外はTA = 25 Cでの値。注記がない限り、VCC = 3.3V。
SYMBOL
PARAMETER
CONDITIONS
MIN
TYP
MAX
UNITS
Power Supply
VCC
Positive Supply Voltage
ICC
Supply Current
VCC = 5.5V, VSCLOUT = VSDAOUT = 0V (Note 5)
ISD
Shutdown Supply Current
VCC = 5.5V, ENABLE = GND, SDA, SCL = 5.5V ●
tIDLE
Bus Idle Time
●
2.3
●
●
55
5.5
V
8
11
mA
900
1200
µA
95
175
µs
43071f
2
LTC4307-1
電気的特性
●は全動作温度範囲の規格値を意味する。
それ以外はTA = 25 Cでの値。注記がない限り、VCC = 3.3V。
SYMBOL
PARAMETER
CONDITIONS
MIN
TYP
MAX
VTHR_ENABLE
ENABLE Threshold
0.8
1.4
2
V
IENABLE
ENABLE Input Current
ENABLE from 0V to VCC
0.1
±5
µA
tPLH_EN
ENABLE Delay Off-On
VCC = 3.3V (Figure 1)
95
µs
tPHL_EN
ENABLE Delay On-Off
VCC = 3.3V (Note 3) (Figure 1)
10
ns
tPLH_READY
READY Delay Off-On
VCC = 3.3V (Note 3) (Figure 1)
10
ns
tPHL_READY
READY Delay On-Off
VCC = 3.3V (Note 3) (Figure 1)
VOL_READY
READY Output Low Voltage
IPULLUP = 3mA, VCC = 2.3V
●
IOFF_READY
READY Off Leakage Current
VCC = READY = 5.5V
●
●
10
0.1
UNITS
ns
0.4
V
±5
µA
Propagation Delay
tPHL
SDA/SCL Propagation Delay High to Low
CLOAD = 50pF, 2.7k to VCC on SDA, SCL,
VCC = 3.3V (Notes 2, 3) (Figure 1)
70
ns
tPLH
SDA/SCL Propagation Delay Low to High
CLOAD = 50pF, 2.7k to VCC on SDA, SCL,
VCC = 3.3V (Notes 2, 3) (Figure 1)
10
ns
tFALL
SDA/SCL Transition Time High to Low
CLOAD = 100pF, 10k to VCC on SDA, SCL,
VCC = 3.3V (Notes 3, 4) (Figure 1)
30
300
ns
60
100
mV
Input-Output Connection
VOS
Input-Output Offset Voltage
2.7k to VCC on SDA, SCL, VCC = 3.3V,
Driven SDA, SCL = 0.2V
VTHR
SDA, SCL Logic Input Threshold Voltage
Rising Edge
VHYS
SDA, SCL Logic Input Threshold Voltage
Hysteresis
(Note 3)
CIN
Digital Input Capacitance SDAIN, SDAOUT,
SCLIN, SCLOUT
(Note 3)
ILEAK
Input Leakage Current
SDA, SCL, Pins
●
VOL
Output Low Voltage
SDA, SCL Pins, ISINK = 4mA,
SDAIN/SCLIN = 0.2V, VCC = 2.7V
●
0
2.7k to VCC on SDA, SCL, VCC = 3.3V,
Driven SDA, SCL = 0.1V
●
120
VCC = 3.3V
●
VILMAX
Buffer Input Logic Low Voltage
●
20
0.45VCC 0.55VCC 0.65VCC
50
160
V
mV
10
pF
±5
µA
0.4
V
205
mV
1.2
V
Timing Characteristics
fI2C,MAX
I2C Maximum Operating Frequency
(Note 3)
tBUF
Bus Free Time Between Stop and Start
Condition
(Note 3)
1.3
µs
tHD,STA
Hold Time After (Repeated) Start Condition (Note 3)
100
ns
tSU,STA
Repeated Start Condition Set-Up Time
(Note 3)
0
ns
tSU,STO
Stop Condition Set-Up Time
(Note 3)
0
ns
tHD,DATI
Data Hold Time Input
(Note 3)
0
ns
tSU,DAT
Data Set-Up Time
(Note 3)
100
ns
Note 1:絶対最大定格はそれを超えるとデバイスに永続的な損傷を与える可能性がある
値。また、絶対最大定格状態が長時間続くと、デバイスの信頼性と寿命に悪影響を与える
恐れがある。
Note 2:プルアップ抵抗およびバス容量と相関のあるtPHLとtPLHについては、
「動作」の項
目の「伝播遅延」を参照のこと。
400
600
kHz
Note 3:設計によって決定されており、
製造時のテストは行われない。
Note 4:測定ポイントは0.3 • VCCと0.7 • VCCである。
Note 5:ICCテストは接続回路をアクティブにして行われる。
Note 6:注記がない限り、
ピンに流れ込む電流はすべて正で、電圧はすべてGND基準であ
る。
43071f
3
LTC4307-1
タイミング図
ENABLE、
CONNECT、
READYのタイミング
tPLH_READY
tPLH_EN
tPHL_READY
tPHL_EN
ENABLE
CONNECT
READY
4307 F01a
SDAIN、
SDAOUTおよびSCLIN、
SCLOUTの立ち上がりおよび立ち下がりの伝播遅延と立ち上がり時間および立ち下がり時間
tPLH
tPHL
tRISE
tRISE
tFALL
tFALL
SDAIN/SCLIN
SDAOUT/SCLOUT
4307 F01b
図1. タイミング図
43071f
4
LTC4307-1
標準的性能特性 注記がない限り、TA = 25 C、VCC = 3.3V。
ICCと温度
8.0
950
VCC = 5.5V
VCC = 5.5V
900
7.7
7.4
ISD (µA)
VCC = 3.3V
7.1
6.8
850
VCC = 3.3V
800
6.5
750
–25
0
50
25
TEMPERATURE (°C)
75
100
700
–50
–25
25
50
0
TEMPERATURE (°C)
75
4307 G01
入力から出力までの
H から L への伝播遅延とCOUT
130
40
CIN = COUT = 50pF
RPULLUPIN = RPULLUPOUT = 10k
0
–50
100
–25
0
25
50
TEMPERATURE (°C)
75
100
4307 G03
接続回路のVOUT – VIN
(VOS)
85
CIN = 50pF
RPULLUPIN = RPULLUPOUT = 10k
120
VCC = 3.3V
4307 G02
75
110
VCC = 5.5V
VOUT – VIN (mV)
5.9
–50
VCC = 5.5V
60
20
VCC = 2.3V
6.2
VCC = 2.3V
80
VCC = 2.3V
tPHL (ns)
ICC (mA)
100
tPHL (ns)
8.3
入力から出力までの
H から L への伝播遅延と温度
ISDと温度
100
90
VCC = 3.3V
80
65
55
70
60
0
200
400
600
COUT (pF)
800
1000
4307 G04
45
1
2
3
4
5
6
7
RPULLUP (kΩ)
8
9
10
4307 G05
43071f
5
LTC4307-1
ピン機能
ENABLE( ピン 1 )
:接続イネーブル入力。これは1.4Vのデ
ジタル・スレッショルド入力ピンです。通常動作では
ENABLEを H にプルアップするか、または H に接
続します。ENABLEを0.8Vより低くドライブすると、
SDAOUTからSDAINを、SCLOUTからSCLINをそれぞ
れ絶縁し、READYを L にします。フォールトが生じた
後のENABLEの立ち上がりエッジによって、SDAINと
SDAOUTの間およびSCLINとSCLOUTの間が接続されま
す。使用しない場合にはVCCに接続します。
SCLOUT( ピン 2 )
:シリアル・クロック出力。このピンは
DDCバスのクロック・ラインに接続します。このピンと
VCC電圧以上の電源電圧の間にプルアップ抵抗を接続し
ます。
SCLIN
(ピン3)
:シリアル・クロック入力。このピンはDDC
バスのクロック・ラインに接続します。このピンとVCC電
圧以上の電源電圧の間にプルアップ抵抗を接続します。
GND(ピン 4 )
:デバイスのグランド。最高の結果を得るた
め、このピンはグランド・プレーンに接続します。
READY( ピン 5 )
:接続レディの状態出力。READYピンは
オープンドレインのNチャネルMOSFET出力で、ENABLE
が L のとき、または「動作」の項目で述べる起動と接続
のシーケンスが完了していないとき、 L になります。
READYは、ENABLEが H のときに接続が行われると
H になります。READYはHDMI HPD信号の制御に使用
することができます。このピンからV CCにプルアップ抵
抗(標準10k)を接続してプルアップを行います。このピン
を使用しない場合にはフロートさせることができます。
SDAIN
(ピン6)
:シリアル・データ入力。このピンはDDCバ
スのデータ・ラインに接続します。このピンとVCC電圧以
上の電源電圧の間にプルアップ抵抗を接続します。
SDAOUT(ピン7)
:シリアル・データ出力。このピンはDDC
バスのデータ・ラインに接続します。このピンとVCC電圧
以上の電源電圧の間にプルアップ抵抗を接続します。
VCC
(ピン8):電源電圧入力。最高の結果を得るため、VCCの
近くに少なくとも0.01µFのバイパス・コンデンサを接続
します。
露出パッド(ピン 9 、DFN パッケージのみ ):露出パッドは
オープンのままにするか、デバイスのグランドに接続す
ることができます。
43071f
6
LTC4307-1
ブロック図
低オフセットのレベルシフト2線バス・バッファ
VCC 8
CONNECT
6
SDAIN
SDAOUT
SLEW RATE
DETECTOR
7
SLEW RATE
DETECTOR
CONNECT
CONNECT
3
SCLIN
SCLOUT
SLEW RATE
DETECTOR
SLEW RATE
DETECTOR
+
CONNECT
+
0.55VCC
2
–
0.55VCC
–
+
+
LOGIC
0.55VCC
–
0.55VCC
–
READY
CONNECT
1
ENABLE
5
+
1.4V
–
UVLO
95µs
DELAY
CONNECT
GND
4
43071 BD
43071f
7
LTC4307-1
動作
起動
LTC4307-1は、パワーアップ時に最初にV CC ピンに電力
が供給されると、低電圧ロックアウト(UVLO)状態で動
作を開始し、VCCが2V(標準)を上回るまではSDAピンや
SCLピンのあらゆる活動状態を無視します。このため、
LTC4307-1は機能するのに十分な電圧を得るまでは機能
しようとしません。
LTC4307-1はUVLO状態から出ると、両方の2線バスでス
トップ・ビットまたはバスのアイドル状態をモニタし、
データ・トランザクションの完了を知らせます。両方がア
イドル状態、または一方にストップ・ビットがあり他方が
アイドル状態の場合、入力から出力への接続回路が起動
され、SDAINとSDAOUTの間、およびSCLINとSCLOUTの
間が接続されます。
接続回路
接続回路が起動されると、SDAINピンとSDAOUTピン
の機能は等しくなります。任意の時点でどちらかのピン
が L にされると、両方のピンの電圧が L になります。
LTC4307-1では、I2Cバスのロジック L のDC電圧は、最大
で0.3VCCのVIL I2C規格まで許容されます。
LTC4307-1は、バスの立ち上がりエッジをセンスすると、
バスの電圧が0.48Vまで低下するようにプルダウン・デバ
イスの動作を停止させます。クロック・ストレッチやアー
ビトレーションに参加しているデバイスが、LTC4307-1の
入力を0.48Vより低いロジック L の電圧にすることがで
きるように注意する必要があります。
SDAINとSDAOUTの両方ですべてのデバイスが H に解
放された時のみ、SDAINとSDAOUTはロジック H にな
ります。SCLINとSCLOUTでも同様です。この重要な機能
により、システム内のデバイスがどのようにLTC4307-1に
接続されているかに関係なく、クロック・ストレッチ、ク
ロックの同期化、アービトレーション、アクノリッジのプ
ロトコルが常に機能することが保証されます。
接続回路のもう1つの主要な機能として、この回路は双方
向バッファリングを備えており、2本の2線バスの容量を
互いに絶縁するようにします。LTC4307-1をHDMIの送信
機や受信機内のHDMIポートの近くに配置することによ
り、HDMIデバイスは容量の適合基準を満たすことがで
きます。この絶縁により、SDAINとSCLINの波形は以下に
述べるように、対応するSDAOUTとSCLOUTの波形とわ
ずかに異なって見えます。
入力から出力までのオフセット電圧
LTC4307-1のデータ・ピンまたはクロック・ピンのどちら
かがロジック L の電圧(V LOW1 )にドライブされると、
LTC4307-1は反対側のデータ・ピンまたはクロック・ピン
の電圧をわずかに高い電圧(通常VLOW1より60mV上)に
制御します。このオフセットはプルアップ電流と実質的
に関係ありません(「標準的性能特性」のグラフを参照)。
伝播遅延
立ち上がりエッジでは、それぞれの側の立ち上がり時間
はバスのプルアップ抵抗とライン上の等価容量によって
決定されます。プルアップ抵抗の値が等しい場合、両側の
容量の差に正比例する立ち上がり時間の差が生じます。
2本の2線バス間のRC時定数の差を考慮し、両方のバスが
システム・タイミング仕様のすべてを満たしていること
を確認する必要があります。
立ち下がりの波形には、接続回路による有限の伝播遅延
があります。VCC = 5.5V、両側のプルアップ抵抗が10k、入
力バスの寄生容量が150pF、出力ピンの容量が50pFの場合
の立ち下がりエッジ波形を図2に示します。外付けNチャ
ネルMOSFETデバイスが150pFの容量をもった側の電圧
を引き下げます。一方、LTC4307-1は反対側の電圧を引き
下げますが80nsの遅延を伴います。この遅延は常に正の
値で、電源電圧、温度、バスの両側のプルアップ抵抗およ
び等価バス容量と相関関係をもちます。デバイスの両側
のプルアップ抵抗が10kで、等価容量が50pFの場合の、温
度および電圧と相関関係をもつ伝播遅延を「標準的性能
特性」の項目に示します。また、V CC = 5.5Vの場合のt PHL
とCOUTの曲線は、容量を50pFから150pFに増加させると、
tPHLが81nsから91nsに増加することを示しています。
OUTPUT SIDE
50pF
1V/DIV
INPUT SIDE
150pF
1V/DIV
200ns/DIV
43071 F02
図2. 入力から出力までの立ち下がりエッジ波形
43071f
8
LTC4307-1
動作
出力容量を大きくすると遅延が増加します(最大125ns)。
システム内の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの伝
播時間の差を定量化し、それに従ってセットアップ時間
とホールド時間を調節する必要があります。
READYデジタル出力
このピンは、ENABLEが L のとき、またはこの項目で前
述されている起動シーケンスが完了していないとき L
になるデジタル・フラグを出力します。ENABLEが H
で、入力と出力の2線バスが接続されているとき、READY
は H になります。このピンは、ピンを0.4Vに保ったまま
3mAをシンクすることができるオープンドレインのプル
ダウンによってドライブされます。V CCに抵抗を接続し
てプルアップを行います。
READYをHDMIの活線挿入検出(HPD)信号の制御に使
用し、シンクの通信準備ができる前にソースが誤ってシ
ンクと交信しようとする可能性を排除することができま
す。
ENABLE
ENABLEピンがLTC4307-1のグランドを基準にして0.8V
より低い電圧にドライブされると、入力の2線バスは出
力の2線バスから切断されてREADYピンが内部で L に
されます。このピンが2Vを超える電圧にドライブされる
と、デバイスは(「起動」の項目で述べたように)、両方の
2線バスでのデータ・トランザクションが完了するのを
待ってから両側を接続します。この時点でREADYの内部
プルダウンは解放されます。
LTC4307とLTC4307-1の機能の違い
LTC4307-1のHDMIレベルシフト2線バス・バッファは、特
にHDMIアプリケーション向けを意図したものです。汎
用のLTC4307デバイスの機能で、HDMIシステムに不要な
部分は削除されています。さらに、LTC4307-1にはレベル
シフト機能が追加されているので、3.3V HDMIデバイス
を5V HDMI DDCバスと安全にインターフェイスさせる
ことができます。LTC4307とLTC4307-1の相違点について
は表1を参照してください。
表1. LTC4307とLTC4307-1の相違点
SPECIFICATION
LTC4307
LTC4307-1
COMMENTS ON LTC4307-1
Pre-charge
Yes
No
Level Shifting
No
Yes,
2.2V to 5.5V
Stuck Bus Disconnect and Recovery
Yes
No
Stuck Busses, Not an Issue in HDMI Systems
Rise Time Accelerators
Yes
No
Complies with HDMI Specification Version 1.3 DDC Capacitance
Requirement
HDMI DDC Lines are Not Hot Swapped
Provides Communication Between 3.3V and 5V DDC Busses, Protects
3.3V Devices from 5V Supply
アプリケーション情報
容量バッファリングのアプリケーションに使用される
LTC4307-1を図3に示します。LTC4307-1の容量バッファ
リング機能と10pF以下の入力容量により、図示するよう
にLTC4307-1がHDMIコネクタ・インターフェイスの間
近に配置されている場合、このアプリケーション回路は
HDMIの50pFの最大DDC容量の規格を容易に満たしま
す。SDAINピンとSCLINピンに接続された内部バスの容
量は50pFよりはるかに大きくなることがありますが、
LTC4307-1の容量バッファリングによって、内部バスの容
量はHDMIコネクタから絶縁されます。
HDMIでは、シンク・デバイスが活線挿入検出(HPD)信号
を H にし、DDCを介してコマンドを受け取る準備がで
きたことをソースに知らせます。この信号をLTC4307-1
のREADYピンにより制御し、シンクが拡張ディスプレ
イ識別データ(EDID)を返す準備ができる前に、ソースが
誤ってシンクと交信しようとする可能性を排除すること
ができます。READYピンは、5Vが印加され、LTC4307-1の
ENABLEピンがHDMIの受信デバイス、シンク内のコント
ローラ、または5Vライン自体により H にされるときだ
け H になります。
43071f
9
LTC4307-1
アプリケーション情報
容量バッファリングと5Vから3.3Vへのレベルシフトに
使用されているLTC4307-1を図4に示します。このアプ
リケーションでは、EEPROMはこの装置がオフしたとき
に得られる3.3Vのバックアップ電源から電力供給され
ます。EEPROM内のEDIDは、たとえ装置の電源がオフで
あっても読み出すことができます。
この項目で示すアプリケーションはHDMIの受信チャネ
ルを対象としていますが、このデータシートの最終ペー
ジの「標準的応用例」に示すように、LTC4307-1はHDMIの
送信チャネルでも問題なく使用することができます。
5V
5V
R1
1.8k
C1
0.1µF
R2
1.8k
R4
47k
R5
1k
LTC4307-1
VCC
READY
SDA
R6
100k
R7
10k
R8
10k
EEPROM
VCC
SCL SDA GND
R9
10k
SDAOUT SDAIN
TO
SCL
HDMI
TX IC HPD
R10
10k
SCLOUT SCLIN
HDMI CABLE
HDMI
RX IC
ENABLE
GND
DDC
R3
100k
DDC/CEC
GROUND
3.3V
HDMI SINK
(DIGITAL TV)
HDMI SOURCE
(DVD PLAYER)
43071 F03
図3. HDMI容量バッファリングのアプリケーションに使用されるLTC4307-1
SWITCHED
3.3V
BACKUP 3.3V
5V
5V
R1
1.8k
R2
1.8k
TO SDA
HDMI SCL
TX IC
R3
47k
R4
47k
LTC4307-1
VCC
READY
R5
100k
R6
10k
R7
10k
HDMI
RX IC
SDAIN SDAOUT
HDMI CABLE
SCLIN SCLOUT
DDC
DDC/CEC
GROUND
HDMI SOURCE
(DVD PLAYER)
C1
0.1µF
EEPROM
VCC
SCL SDA
ENABLE
GND
µC
HDMI REPEATER
(DIGITAL RECEIVER)
43071 F04
図4. レベルシフトと容量バッファリングの3.3Vバックアップ付きHDMIアプリケーションに使用されるLTC4307-1
43071f
10
LTC4307-1
パッケージ寸法
DDパッケージ
8ピン・プラスチックDFN
(3mm
3mm)
(Reference LTC DWG # 05-08-1698)
R = 0.115
TYP
5
0.675 ±0.05
3.5 ±0.05
1.65 ±0.05
2.15 ±0.05 (2 SIDES)
パッケージ
の外形
0.25 ± 0.05
3.00 ±0.10
(4 SIDES)
ピン�
トップマーク
(������)
1.65 ± 0.10
(2 SIDES)
4
0.25 ± 0.05
0.75 ±0.05
0.200 REF
0.50
BSC
2.38 ±0.05
(2 SIDES)
0.38 ± 0.10
8
(DD8) DFN 1203
1
0.50 BSC
2.38 ±0.10
(2 SIDES)
0.00 – 0.05
底面図̶露出パッド
推奨する半田パッドのピッチと寸法
����:
���図は�����パッケージ外形������のバリエーション
(������)
になる予定
���図は実寸とは異なる
���すべての寸法はミリメートル
���パッケージ底面の露出パッドの寸法にはモールドのバリを含まない。
モールドのバリは
(もしあれば)各サイドで������を超えないこと
���露出パッドは半田メッキとする
���網掛けの部分はパッケージの上面と底面のピン�の位置の参考に過ぎない
MS8パッケージ
8ピン・プラスチックMSOP
(Reference LTC DWG # 05-08-1660 Rev F)
3.00 ± 0.102
(.118 ± .004)
(NOTE 3)
0.889 ± 0.127
(.035 ± .005)
0.254
(.010)
8
7 6 5
3.00 ± 0.102
(.118 ± .004)
(NOTE 4)
4.90 ± 0.152
(.193 ± .006)
DETAIL “A”
0.52
(.0205)
REF
0° – 6° TYP
ゲージプレーン
5.23
(.206)
MIN
3.20 – 3.45
(.126 – .136)
0.53 ± 0.152
(.021 ± .006)
DETAIL “A”
0.42 ± 0.038
(.0165 ± .0015)
TYP
0.65
(.0256)
BSC
1
1.10
(.043)
MAX
2 3
4
0.86
(.034)
REF
0.18
(.007)
推奨する半田パッド・レイアウト
����:
��� 寸法はミリメートル�(インチ)
��� 図は実寸とは異なる
��� 寸法にはモールドのバリ、突出部、
またはゲートのバリを含まない。
� モールドのバリ、突出部、
またはゲートのバリは、
各サイドで�������(������)
を超えないこと
��� 寸法には、
リード間のバリまたは突出部を含まない。
リード間のバリまたは突出部は、
� 各サイドで�������(������)
を超えないこと
���リードの平坦度
(整形後のリードの底面)
は最大�������(������)
であること
シーティング
プレーン
0.22 – 0.38
(.009 – .015)
TYP
0.65
(.0256)
BSC
0.1016 ± 0.0508
(.004 ± .002)
MSOP (MS8) 0307 REV F
43071f
リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責務は一切負い
ません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料はあくまでも参考資
料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。
11
LTC4307-1
標準的応用例
LTC4307-1が送信チャネルと受信チャネルの両方で
容量バッファリングを行うHDMIアプリケーション
DVD PLAYER (SOURCE)
TV (SINK)
5V
EEPROM
C1
0.1µF
R1
10k
R2
10k
LTC4307-1
VCC
READY
R3
10k
R4
1.8k
R5
1.8k
HDMI
CABLE
SDAIN SDAOUT
HDMI TX
IC
SCLIN SCLOUT
<50pF
3.3V
C2
0.1µF
LTC4307-1
VCC
READY
R6
10k
R7
10k
SDAIN SDAOUT
HDMI RX
IC
SCLIN SCLOUT
ENABLE
ENABLE
GND
GND
µC
DDC GROUND
43071 TA02
関連製品
製品番号
LTC1380/LTC1393
LTC1427-50
LTC1623
LTC1663
LTC1694/LTC1694-1
LTC1695
LT1786F
LTC1840
LTC4300A-1/
LTC4300A-2/
LTC4300A-3
LTC4301
説明
SMBusインターフェイス付き、シングルエンド8チャネル/
差動4チャネル・アナログ・マルチプレクサ
SMBusインターフェイス付き、
マイクロパワー10ビット電流出力DAC
SMBusインターフェイス付きデュアル・
ハイサイド・スイッチ・コントローラ
SMBusインターフェイス付き10ビット・レール・
トゥ・レール・マイクロパワーDAC
SMBusアクセラレータ
ThinSOTTMパッケージのSMBus/I2Cファン
速度コントローラ
SMBusで制御されるCCFL用スイッチング・
レギュレータ
デュアルI2Cファン速度コントローラ
ホットスワップ可能な2線バス・バッファ
電源に依存しないホットスワップ可能な
2線バス・バッファ
LTC4301L
低電圧レベル変換付き、ホットスワップ
可能な2線バス・バッファ
LTC4302-1/LTC4302-2 アドレス指定可能な2線バス・バッファ
LTC4303/LTC4304
スタックバス復旧機能付き、ホットスワップ
可能な2線バス・バッファ
LTC4305/LTC4306
容量バッファリング付き2/4チャネル、
2線バス・マルチプレクサ
LTC4307
注釈
低RON:35Ω、
シングルエンド/70Ω差動、
32本のシングルエンド・
チャネルまたは16本の差動チャネルに拡張可能
全温度範囲で高精度50µA 2.5%の許容誤差、
4つの選択可能な
SMBusアドレス、DACはゼロまたは中間スケールで起動
8つの選択可能なアドレス/16チャネル対応
DNL < 0.75LSB(最大)、5ピンSOT-23パッケージ
改善されたSMBus/I2C立 ち上がり時間、
複数のSMBus/I2C
デバイスでデータの完全性を保証
0.75ΩPMOS 180mAレギュレータ、
6ビットDAC
1.25A、
200kHz、
フロートまたは接地したランプ構成
2つの100µA 8ビットDAC、2つのタコメータ入力、4つのGPI0
LTC4300A-1:READY、
ACC、
ENABLE付きバス・バッファ
LTC4300A-2:READY、
ACC付きデュアル電源バス・バッファ
LTC4300A-3:READY、
ENABLE付きデュアル電源バス・バッファ
電源に依存しない
SDAINおよびSCLINで1Vの低いバス・プルアップ電圧が可能
アドレス拡張、
GPIO、
ソフトウェア制御
自動クロッキングでスタックI2Cバスを復旧
2/4の選択可能な下り方向バス、
スタックバスの切断、
立ち上がり時間アクセラレータ、フォールト通知、 10kV人体
モデルESD耐性
スタックバス復旧機能付き、低オフセットの バッファのオフセット:60mV、
スタックバス切断および復旧:
ホットスワップ可能な2線バス・バッファ
30ms
ThinSOTはリニアテクノロジー社の商標です。
43071f
12
リニアテクノロジー株式会社
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6紀尾井町パークビル8F
TEL 03-5226-7291 FAX 03-5226-0268 www.linear-tech.co.jp
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0707 • PRINTED IN JAPAN
 LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2007